説明

空調システム及び建物

【課題】空調により生ずる結露水などの水と、気液接触型の空気清浄装置により生ずる汚染水とを効率的に排水することができる空調システムを提供する。
【解決手段】建物1に空調装置3が設置されており、空調装置3は、下流側の冷暖房機能及び除湿機能を有する空調本体装置としてのエアコンディショナの屋内機3Aと、上流側の気液接触型の空気清浄装置としてのエアワッシャー3Bとが通気可能に接続されて成り、エアコンディショナの屋内機3Aに設けられた分岐ドレイン12Aと、エアワッシャー3Bに設けられた分岐ドレイン12Bとが、共通のドレイン12で合流された構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の空調システム及びこの空調システムを備えた建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の床上空間における空調を行うにあたり、気液接触型の空気清浄装置(エアワッシャー)を用いて空気を清浄化する空調システムが知られている(例えば、特許文献1等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−211741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような従来の空調システムでは、空調(冷房)により生ずる結露水などの水と、気液接触型の空気清浄装置により生ずる汚染水とを、如何に効率的に排水するかについてまでは考慮されていなかったのが実情である。
【0005】
そこで、本発明は、空調により生ずる結露水などの水と、気液接触型の空気清浄装置により生ずる汚染水とを効率的に排水することができる空調システム及びこの空調システムを備えた建物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の空調システムは、建物に空調装置が設置されており、前記空調装置は、下流側の冷暖房機能及び除湿機能を有する空調本体装置と、上流側の気液接触型の空気清浄装置とが通気可能に接続されて成り、前記空調本体装置に設けられた分岐ドレインと、前記気液接触型の空気清浄装置に設けられた分岐ドレインとが、共通のドレインで合流されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記建物の床下空間に前記空調装置が設置されており、前記空調装置には、前記気液接触型の空気清浄装置側に、前記建物の床上空間に面して設けられた排気口と連通する内気吸込部が設けられており、前記空調本体装置側に前記建物の床上空間に面して設けられた給気口と連通する床上用吹出部が設けられているとよい。
【0008】
また、前記給気口と前記床上用吹出部との間が、ダクトを介して接続されているとよい。
【0009】
さらに、前記排気口と前記内気吸込部との間が、ダクトを介して接続されているとよい。
【0010】
また、前記空調装置の前記空調本体装置側に、床下用吹出部が設けられていてもよい。
【0011】
さらに、前記床上空間に面して、前記給気口とは別の給気口が設けられており、該別の給気口は、前記床下空間と連通していてもよい。
【0012】
また、前記空調装置の前記気液接触型の空気清浄装置側に、床下用吸込部が設けられていてもよい。
【0013】
さらに、前記空調装置は、換気機能も備えていてもよい。
【0014】
また、前記空調装置には、前記気液接触型の空気清浄装置側に、前記建物の外側面に面して設けられた外気吸入口と連通する外気吸込部が設けられており、前記空調本体装置側に前記建物の床上空間に面して設けられた給気口と連通する床上用吹出部が設けられているとよい。
【0015】
さらに、前記外気吸入口と前記外気吸込部との間が、ダクトを介して接続されているとともに、前記給気口と前記床上用吹出部との間も、ダクトを介して接続されているとよい。
【0016】
また、前記床上空間に面して、排気口が設けられており、前記空調装置の前記気液接触型の空気清浄装置側に、前記排気口と連通する内気吸込部が設けられており、前記排気口を通じて、前記床上空間の空気を吸込可能とされているとともに、前記建物の外側面に面して設けられた内気吐出口が前記床上空間と連通しており、該内気吐出口を通じて、前記床上空間の空気の一部を前記建物の外部に吐出可能とされているとよい。
【0017】
さらに、前記排気口と前記内気吸込部との間が、ダクトを介して接続されているとともに、前記排気口と前記内気吐出口との間も、ダクトを介して接続されていてもよい。
【0018】
また、前記排気口と前記内気吸込部との間は、ダクトを介して接続されていないとともに、前記床上空間に面して、内気排気口が設けられており、該内気排気口と前記内気吐出口との間が、ダクトを介して接続されていてもよい。
【0019】
本発明の建物は、上記した空調システムを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
このような本発明の空調システムは、建物に空調装置が設置されており、空調装置は、下流側の冷暖房機能及び除湿機能を有する空調本体装置と、上流側の気液接触型の空気清浄装置とが通気可能に接続されて成る。
【0021】
そして、空調本体装置に設けられた分岐ドレインと、気液接触型の空気清浄装置に設けられた分岐ドレインとが、共通のドレインで合流された構成とされている。
【0022】
こうした構成なので、空調本体装置により生ずる結露水などの水と、気液接触型の空気清浄装置により生ずる汚染水とを、共通のドレインでまとめて効率的に排水することができる。
【0023】
そのうえ、気液接触型の空気清浄装置がフィルターのかわりとなり、しかもフィルター交換の必要がないため、略メンテナンスフリーとなる。
【0024】
ここで、建物の床下空間に空調装置が設置されており、空調装置には、気液接触型の空気清浄装置側に、建物の床上空間に面して設けられた排気口と連通する内気吸込部が設けられており、空調本体装置側に建物の床上空間に面して設けられた給気口と連通する床上用吹出部が設けられている場合は、床上空間が空調装置などに占用されず、有効に利用することができるうえに、意匠的外観が良い。
【0025】
また、給気口と床上用吹出部との間が、ダクトを介して接続されている場合は、給気口と床上用吹出部との間を、簡易な構造で連通させることができる。
【0026】
さらに、排気口と内気吸込部との間が、ダクトを介して接続されている場合は、排気口と内気吸込部との間を、簡易な構造で連通させることができる。
【0027】
また、空調装置の空調本体装置側に、床下用吹出部が設けられている場合は、床下用吹出部から暖気を吹き出し、床下空間を暖めることで、床を介して熱が伝達し、床上空間を均一にムラなく暖めるとともに頭寒足熱の快適な環境となる床下暖房を行うこともできる。
【0028】
さらに、床上空間に面して、給気口とは別の給気口が設けられており、別の給気口は、床下空間と連通している場合は、空調装置の気液接触型の空気清浄装置側に、床下用吸込部を別途設けないで済むため、その分経済的に実施することができる。
【0029】
また、空調装置の気液接触型の空気清浄装置側に、床下用吸込部が設けられている場合は、埃のたまりやすい床下空間を清浄化することができるし、別の給気口を設けないで済むため、床上空間の意匠的外観を向上させることができる。
【0030】
さらに、空調装置は、換気機能も備えている場合は、空調だけでなく、換気も行うことができる。
【0031】
また、空調装置には、気液接触型の空気清浄装置側に、建物の外側面に面して設けられた外気吸入口と連通する外気吸込部が設けられており、空調本体装置側に建物の床上空間に面して設けられた給気口と連通する床上用吹出部が設けられている場合は、簡易な構造で、空調だけでなく、換気も行うことができる。
【0032】
さらに、外気吸入口と外気吸込部との間が、ダクトを介して接続されているとともに、給気口と床上用吹出部との間も、ダクトを介して接続されている場合は、外気吸入口と外気吸込部との間、及び給気口と床上用吹出部との間を、簡易な構造で連通させることができる。
【0033】
また、床上空間に面して、排気口が設けられており、空調装置の気液接触型の空気清浄装置側に、排気口と連通する内気吸込部が設けられており、排気口を通じて、床上空間の空気を吸込可能とされているとともに、建物の外側面に面して設けられた内気吐出口が前記床上空間と連通しており、内気吐出口を通じて、床上空間の空気の一部を建物の外部に吐出可能とされている場合は、換気ルートと空調ルートとが明確となるので、換気と空調とを効率的に同時に管理制御して行える。
【0034】
さらに、排気口と内気吸込部との間が、ダクトを介して接続されているとともに、排気口と内気吐出口との間も、ダクトを介して接続されている場合は、排気口と内気吸込部との間、及び排気口と内気吐出口との間を、簡易な構造で連通させることができる。
【0035】
また、排気口と内気吸込部との間は、ダクトを介して接続されていないとともに、床上空間に面して、内気排気口が設けられており、内気排気口と内気吐出口との間が、ダクトを介して接続されている場合は、排気口と内気吸込部との間は、ダクトを介して接続されていないため、床上空間と床下空間との両方を、簡易な構造で清浄化することができる。
【0036】
このような本発明の建物は、上記した空調システムを備えた構成とされている。
【0037】
こうした構成なので、上記した効果を奏する建物とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例1の空調システムを備えた建物の概略構成を説明する説明図である。
【図2】実施例1の空調装置の詳細を説明する模式図である。
【図3】実施例1の空調システムにおいて、即効性を有する暖房、冷房、又は空気清浄化を行った状態を示す説明図である。
【図4】実施例1の空調システムにおいて、床下暖房を行った状態を示す説明図である。
【図5】実施例1の空調システムにおいて、即効性を有する暖房及び床下暖房の両方を行った状態を示す説明図である。
【図6】実施例2の空調システムを備えた建物の概略構成を説明する説明図である。
【図7】実施例3の空調システムを備えた建物の概略構成を説明する説明図である。
【図8】実施例4の空調システムを備えた建物の概略構成を説明する説明図である。
【図9】実施例5の空調システムを備えた建物の概略構成を説明する説明図である。
【図10】実施例6の空調システムを備えた建物の概略構成を説明する説明図である。
【図11】実施例7の空調システムを備えた建物の概略構成を説明する説明図である。
【図12】実施例8の空調システムを備えた建物の概略構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に示す実施例1〜8に基づいて説明する。
【実施例1】
【0040】
先ず、実施例1について説明する。
【0041】
図1は、実施例1の空調システムを備えた建物1の概略構成を示している。
【0042】
まず、このような建物1は、基礎断熱として構築された基礎底盤コンクリート1bと、その側縁に立設された基礎側壁コンクリート1cと、さらにその上に立設された外壁部1dと、その外壁部1dの上端開口を塞ぐ天井部1eとから主に構成されている。
【0043】
そして、この天井部1eと外壁部1dとに囲まれる空間は、床としての床部1aによって床下空間4と居室などの床上空間5とが区切られている。
【0044】
この床部1aは、特に床下空間4側からの床下暖房を考慮して、床下空間4と床上空間5との間の熱の伝達を許容し、断熱材が貼り付けられていない構成となっている。
【0045】
また、基礎側壁コンクリート1cの床下空間4側には、グラスウールなどの基礎断熱材10が貼り付けられており、床下空間4内の暖気の熱が屋外に極力漏れない断熱構造となっている。
【0046】
そして、実施例1の空調システムは、床下空間4に換気機能を備えた空調装置3が設置されている。
【0047】
この空調装置3は、下流側の冷暖房機能及び除湿機能を有する空調本体装置としてのエアコンディショナの屋内機3Aと、上流側の気液接触型の空気清浄機としてのエアワッシャー3Bとが通気可能に接続された構成である。
【0048】
ここで、この空調本体装置としてのエアコンディショナの屋内機3Aは、ヒートポンプ式であり、建物1の屋外に設置された屋外機2と接続されている。
【0049】
また、エアコンディショナの屋内機3Aの内部には、屋外機2に繋がっている熱媒循環管路21が接続されている。
【0050】
さらに、このエアコンディショナの屋内機3Aには、除湿機能を有するものが用いられている。
【0051】
また、このエアコンディショナの屋内機3Aは、床上用吹出部32と床下用吹出部33とを有している。
【0052】
さらに、このエアコンディショナの屋内機3Aには、床上用吹出部32及び床下用吹出部33から空気を様々な強さで吹き出させることが可能なファン(図示せず)が内蔵されている。
【0053】
また、床上用吹出部32と床下用吹出部33とには、電動ダンパーなどから成る開閉弁32a,33aがそれぞれ設けられている。
【0054】
ここで、気液接触型の空気清浄機としてのエアワッシャー3Bは、外気吸込部31Aと、内気吸込部31Bとを有している。
【0055】
また、床部1aには、グリル付きの排気口6と2種類の給気口7,9とが設けられている。
【0056】
ここで、給気口7は、ダクト82によりエアコンディショナの屋内機3Aの床上用吹出部32と接続されており、別の給気口9は、ダクトを介さず、床下空間4と直接連通している。
【0057】
また、エアワッシャー3Bの外気吸込部31Aは、ダクト81により、基礎側壁コンクリート1cに設けられた外気吸入口11と接続されている。
【0058】
ここで、ダクト81内には、吸入用ファン16が設けられている。
【0059】
さらに、エアワッシャー3Bの内気吸込部31Bは、ダクト83により、排気口6と接続されている。
【0060】
そして、ダクト83は、ダクト84により、基礎側壁コンクリート1cに設けられた内気吐出口14と接続されている。
【0061】
ここで、ダクト84内には、吐出用ファン15が設けられている。
【0062】
なお、空調用の空気量よりも換気用の空気量を小さくするために、ダクト81,84には、ダクト82,83よりも内径の小さいものが用いられている。
【0063】
また、床上空間5には、所望の運転パターンに設定するためのコントローラ13が設けられている。
【0064】
さらに、図2にも示したように、空調本体装置としてのエアコンディショナ3Aからは、空調により空調用熱交換器17で生ずる結露水などの水を排水可能なように分岐ドレイン12Aが設けられている。
【0065】
また、気液接触型の空気清浄機としてのエアワッシャー3Bからは、汚染水を排水可能なように分岐ドレイン12Bが設けられている。
【0066】
エアワッシャー3Bでは、空調装置3の運転時には、給水管18の先端の散水ノズル18aから換気用又は空調用の空気を洗浄する水が散水され、ポンプPの汲み上げにより、循環管19を通った水が、再度、給水管18に給水されることを繰り返す。
【0067】
ここで、ある程度の使用時間を経過すると、換気用又は空調用の空気を洗浄したエアワッシャー3B内の水はかなり汚染されるので、開閉弁B1を所定時間に開状態とし、分岐ドレイン12Bから排水し、同時に、開閉弁B2を所定時間に開状態とし、市水給水管20から新鮮な市水を供給して入れ換えを行う。
【0068】
そして、分岐ドレイン12Aと分岐ドレイン12Bとは、共通のドレイン12で合流されており、この共通のドレイン12を通って、建物1の屋外へ排水可能とされている。
【0069】
次に、実施例1の空調システムの運転パターンについて説明する。
【0070】
まず、暖房運転時のパターンについて説明する。
【0071】
床上空間5を、即効性を有する暖房のみで暖めたいときは、空調装置3の床上用吹出部32の開閉弁32aを開状態とし、床下用吹出部33の開閉弁33aは閉状態とする。
【0072】
そして、空調装置3を稼動させると、図3に示したように、床上空間5のみで暖気が対流して、床上空間5が即座に暖まる。
【0073】
床上空間5を、床下暖房のみで暖めたいときは、空調装置3の床上用吹出部32の開閉弁32aを閉状態とし、床下用吹出部33の開閉弁33aは開状態とする。
【0074】
そして、空調装置3を稼動させると、図4に示したように、床下空間4が即座に暖められ、その熱が主に床部1aを介して床上空間5へ伝達され、床上空間5が均一にムラなく暖まる。
【0075】
冬場の厳寒期などに、床上空間5を、即効性を有する暖房及び床下暖房の両者で暖めたいときは、空調装置3の床上用吹出部32の開閉弁32aを開状態とし、床下用吹出部33の開閉弁33aも開状態とする。
【0076】
そして、空調装置3を稼動させると、図5に示したように、床上空間5のみで対流する暖気と、主に床部1aを介して床上空間5へ伝達され、床上空間5を均一にムラなく暖める熱とで、床上空間5が即座に且つ均一にムラなく暖まる。
【0077】
なお、いずれの暖房運転の際も、エアワッシャー3Bを空気が通過するために、床上空間5内の空気が加湿される。
【0078】
すなわち、通常、共通のドレイン12からは、エアワッシャー3Bからの汚染水のみが排水される。
【0079】
次に、冷房運転時のパターンについて説明する。
【0080】
床上空間5を冷房で冷やしたいときは、空調装置3の床上用吹出部32の開閉弁32aを開状態とし、床下用吹出部33の開閉弁33aは閉状態とする。
【0081】
そして、空調装置3を稼動させると、図3に示したように、床上空間5のみで冷気が対流して、床上空間5が即座に冷やされる。
【0082】
なお、この冷房運転時の際には、エアワッシャー3Bを空気が通過するために、エアコンディショナの屋内機3Aの除湿機能で除湿する。
【0083】
すなわち、通常、共通のドレイン12からは、エアコンディショナの屋内機3Aからの結露水及び除湿された水と、エアワッシャー3Bからの汚染水とが排水される。
【0084】
次に、空気清浄化運転時のパターンについて説明する。
【0085】
床上空間5の空気清浄化のみをしたいときは、空調装置3の床上用吹出部32の開閉弁32aを開状態とし、床下用吹出部33の開閉弁33aは閉状態とする。
【0086】
そして、空調装置3を稼動させると、図3に示したように、床上空間5のみで空気が対流して、床上空間5の空気が清浄化される。
【0087】
なお、この空気清浄化運転時の際には、エアワッシャー3Bを空気が通過するために、湿度の高い夏場などであれば、エアコンディショナの屋内機3Aの除湿機能で除湿し、湿度の低い冬場などであれば、除湿機能を停止して、加湿すればよい。
【0088】
すなわち、通常、共通のドレイン12からは、湿度の高い夏場などであれば、エアコンディショナの屋内機3Aからの除湿された水と、エアワッシャー3Bからの汚染水とが排水され、湿度の低い冬場などであれば、エアワッシャー3Bからの汚染水のみが排水される。
【0089】
ここで、いずれの運転時の際も、吸入用ファン16を回して外気吸入口11から吸入される空気量は、約150m/hとし、吐出用ファン15を回して内気吐出口14から吐出される空気量は、略同一の約150m/hとした。
【0090】
また、床上空間5を循環する空気量、すなわち、排気口6から吸い込まれる空気量は、約650m/hとした。
【0091】
要するに、換気用の空気量を空調用の空気量よりも小さくすることにより、熱損失を小さくした。
【0092】
但し、これらの数値は、床上空間5の広さなどの関係から適宜変化するものである。
【0093】
次に、実施例1の作用効果について説明する。
【0094】
このような実施例1の空調システムは、建物1に空調装置3が設置されており、空調装置3は、下流側の冷暖房機能及び除湿機能を有する空調本体装置としてのエアコンディショナの屋内機3Aと、上流側の気液接触型の空気清浄装置としてのエアワッシャー3Bとが通気可能に接続されて成る。
【0095】
そして、エアコンディショナの屋内機3Aに設けられた分岐ドレイン12Aと、エアワッシャー3Bに設けられた分岐ドレイン12Bとが、共通のドレイン12で合流された構成とされている。
【0096】
こうした構成なので、エアコンディショナの屋内機3Aにより生ずる結露水などの水と、エアワッシャー3Bにより生ずる汚染水とを、共通のドレイン12でまとめて効率的に建物1の屋外へ排水することができる。
【0097】
すなわち、分岐ドレイン12A,12Bを、個別に建物1の屋外へ配管する必要がない。
【0098】
そのうえ、エアワッシャー3Bがフィルターのかわりとなり、しかもフィルター交換の必要がないため、略メンテナンスフリーとなる。
【0099】
ここで、建物1の床下空間4に空調装置3が設置されており、空調装置3には、エアワッシャー3B側に、建物1の床部1aに設けられた排気口6とダクト83を介して接続された内気吸込部31Bが設けられており、エアコンディショナの屋内機3A側に建物1の床部1aに設けられた給気口7とダクト82を介して接続された床上用吹出部32が設けられている。
【0100】
このため、床上空間5が空調装置3などに占用されず、有効に利用することができるうえに、意匠的外観が良い。
【0101】
また、空調装置3は、換気機能も備えている。
【0102】
このため、冷暖房や調湿などの空調だけでなく、換気も行うことができる。
【0103】
ここで、空調装置3には、エアワッシャー3B側に、建物1の基礎側壁コンクリート1cに設けられた外気吸入口11とダクト81を介して接続された外気吸込部31Aが設けられている。
【0104】
このため、簡易な構造で、冷暖房や調湿などの空調だけでなく、換気も行うことができる。
【0105】
また、建物1の基礎側壁コンクリート1cに設けられた内気吐出口14がダクト84を介してダクト83と連通しており、内気吐出口14を通じて、床上空間5の空気の一部を建物1の外部に吐出可能とされている。
【0106】
このため、換気ルートと空調ルートとが明確となるので、冷暖房や調湿などの空調と換気とを効率的に同時に管理制御して行える。
【0107】
さらに、外気吸入口11から吸入される空気量と、内気吐出口14から吐出される床上空間5の空気量とは、略同一とされるとともに、この換気用の空気量は、床上空間5を循環する空調用の空気量よりも小さくされている。
【0108】
このため、換気による熱損失が小さいので、冷暖房や調湿などの空調と換気とをより効率的に同時に管理制御して行える。
【0109】
また、空調装置3のエアコンディショナの屋内機3A側に、床下用吹出部33が設けられている。
【0110】
このため、床下用吹出部33から暖気を吹き出し、床下空間4を暖めることで、床部1aを介して熱が伝達し、床上空間5を均一にムラなく暖めるとともに頭寒足熱の快適な環境となる床下暖房を行うこともできる。
【0111】
さらに、床部1aには、給気口7とは別の給気口9が設けられており、この別の給気口9は、床下空間4と連通している。
【0112】
このため、空調装置3のエアワッシャー3B側に、床下用吸込部を別途設けないで済むため、その分経済的に実施することができる。
【0113】
また、空調装置3のエアコンディショナの屋内機3A側の床上用吹出部32と床下用吹出部33とには、開閉弁32a,33aがそれぞれ設けられており、床上用吹出部32からの空調された空気の吹き出しと、床下用吹出部33からの空調された空気の吹き出しとを、それぞれ独立して制御可能とされている。
【0114】
このため、開閉弁32a,33aの開閉により、床上用吹出部32からの冷房と、床上用吹出部32からの即効性を有する暖房と、床下用吹出部33からの床下暖房とを簡易に切替制御することができる。
【0115】
さらに、空調装置3のエアコンディショナの屋内機3Aは、ヒートポンプ式であり、屋外に設置された屋外機2に接続されている。
【0116】
このため、ヒートポンプを用いるので、省エネルギー性能に優れたものとすることができる。
【0117】
また、床下空間4は、建物1の床部1aと基礎底盤コンクリート1bと基礎側壁コンクリート1cとに囲まれているとともに、基礎側壁コンクリート1cには基礎断熱材10が取り付けられている。
【0118】
このため、床下空間4が断熱構造とされ、床下空間4内の暖気の熱を屋外に極力漏らすことなく、エネルギー効率のよい床下暖房を行える。
【0119】
このような実施例1の建物1は、実施例1の空調システムを備えた構成とされている。
【0120】
こうした構成なので、上記した実施例1の空調システムの作用効果を奏する建物とすることができる。
【実施例2】
【0121】
次に、実施例2について説明する。
【0122】
なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0123】
図6は、実施例2の空調システムを備えた建物1Aの概略構成を示している。
【0124】
この実施例2の建物1Aでは、床部1aにダクトを介さない別の給気口9が設けられておらず、空調装置30のエアワッシャー3B側に床下用吸込部31Cが設けられていることが実施例1の建物1と主に異なる。
【0125】
このため、埃のたまりやすい床下空間4を清浄化することができるし、別の給気口9を設けないで済むため、床上空間5の意匠的外観を向上させることができる。
【0126】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【実施例3】
【0127】
次に、実施例3について説明する。
【0128】
なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0129】
図7は、実施例3の空調システムを備えた建物1Bの概略構成を示している。
【0130】
この実施例3の建物1Bでは、床部1aにダクトを介さない別の給気口9が設けられておらず、空調装置300のエアコンディショナの屋内機3A側に床下用吹出部33が設けられておらず、床上用吹出部32の開閉弁32aも設けられていないことが実施例1の建物1と主に異なる。
【0131】
このため、床上空間5が床下暖房を必要としないときに好適であり、空調装置300の構造を簡略化することができる。
【0132】
また、別の給気口9を設けないで済むため、床上空間5の意匠的外観を向上させることができる。
【0133】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【実施例4】
【0134】
次に、実施例4について説明する。
【0135】
なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0136】
図8は、実施例4の空調システムを備えた建物1Cの概略構成を示している。
【0137】
この実施例4の建物1Cでは、床部1aに設けられた排気口6と空調装置301のエアワッシャー3B側の内気吸込部31Bとの間は、ダクト83を介して接続されていない。
【0138】
そして、床部1aには、内気排気口60が別途設けられており、この内気排気口60と内気吐出口14との間が、ダクト84を介して接続されていることが、実施例1の建物1と主に異なる。
【0139】
このため、排気口6と内気吸込部31Bとの間は、ダクト83を介して接続されていないので、床上空間5と床下空間4との両方を、簡易な構造で清浄化することができる。
【0140】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【実施例5】
【0141】
次に、実施例5について説明する。
【0142】
なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0143】
図9は、実施例5の空調システムを備えた建物1Dの概略構成を示している。
【0144】
この実施例5の建物1Dでは、外気吸入口11と、内気吐出口14と、ダクト81と、ダクト84と、空調装置302のエアワッシャー3B側の外気吸込部31Aとが設けられておらず、換気機能を備えていないことが、実施例1の建物1と主に異なる。
【0145】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【実施例6】
【0146】
次に、実施例6について説明する。
【0147】
なお、実施例1,2,5で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0148】
図10は、実施例6の空調システムを備えた建物1Eの概略構成を示している。
【0149】
この実施例6の建物1Eでは、床部1aにダクトを介さない別の給気口9が設けられておらず、空調装置303のエアワッシャー3B側に床下用吸込部31Cが設けられていることが実施例5の建物1Dと主に異なる。
【0150】
すなわち、この実施例6の空調システムは、実施例2の空調システムにおいて、換気機能を備えていないタイプのものといえる。
【0151】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1,2,5と略同様であるので説明を省略する。
【実施例7】
【0152】
次に、実施例7について説明する。
【0153】
なお、実施例1,3,5で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0154】
図11は、実施例7の空調システムを備えた建物1Fの概略構成を示している。
【0155】
この実施例7の建物1Fでは、床部1aにダクトを介さない別の給気口9が設けられておらず、空調装置304のエアコンディショナの屋内機3A側に床下用吹出部33が設けられておらず、床上用吹出部32の開閉弁32aも設けられていないことが実施例5の建物1Dと主に異なる。
【0156】
すなわち、この実施例7の空調システムは、実施例3の空調システムにおいて、換気機能を備えていないタイプのものといえる。
【0157】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1,3,5と略同様であるので説明を省略する。
【実施例8】
【0158】
次に、実施例8について説明する。
【0159】
なお、実施例1,4,5で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0160】
図12は、実施例8の空調システムを備えた建物1Gの概略構成を示している。
【0161】
この実施例8の建物1Gでは、床部1aに設けられた排気口6と空調装置305のエアワッシャー3B側の内気吸込部31Bとの間は、ダクト83を介して接続されていないことが、実施例5の建物1Dと主に異なる。
【0162】
すなわち、この実施例8の空調システムは、実施例4の空調システムにおいて、換気機能を備えていないタイプのものといえる。
【0163】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1,4,5と略同様であるので説明を省略する。
【0164】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例1〜8に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施例1〜8に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0165】
例えば、上記した実施例1〜8では、空調装置3,30,300,301,302,303,304,305を床下空間4に設置して実施したが、これに限定されず、例えば、屋根裏空間などに設置して実施してもよい。
【0166】
また、上記した実施例1〜8では、本発明の換気空調システムの説明を簡単に行えるように、建物1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1Gの構造などを単純化したが、これに限定されない。
【0167】
すなわち、3階以上の階から成る複数の部屋を有する建物において、各部屋に対して、これらの空調システムを適用するようにして実施してもよい。
【0168】
また、上記した実施例1〜8では、空調装置3,30,300,301,302,303,304,305を床下空間4に1台のみ設置して実施したが、これに限定されず、必要に応じ、複数台設置し実施してもよい。
【0169】
さらに、上記した実施例1〜8では、排気口6,給気口7,ダクトを介さない別の給気口9及び内気排気口60などを床部1aに設けて実施したが、これに限定されず、これらを床上空間5の内壁などに設けて実施してもよい。
【符号の説明】
【0170】
1 建物
1A 建物
1B 建物
1C 建物
1D 建物
1E 建物
1F 建物
1G 建物
1a 床部(床)
1b 基礎底盤コンクリート
1c 基礎側壁コンクリート(建物の外周の基礎)
1d 外壁部
1e 天井部
2 エアコンディショナの屋外機
21 熱媒循環管路
3 空調装置
30 空調装置
300 空調装置
301 空調装置
302 空調装置
303 空調装置
304 空調装置
305 空調装置
3A エアコンディショナの屋内機(空調本体装置)
3B エアワッシャー(気液接触型の空気清浄装置)
31A 外気吸込部
31B 内気吸込部
31C 床下用吸込部
32 床上用吹出部
33 床下用吹出部
32a 開閉弁
33a 開閉弁
4 床下空間
5 床上空間
6 排気口
60 内気排気口
7 給気口
81 ダクト
82 ダクト
83 ダクト
84 ダクト
9 別の給気口
10 基礎断熱材
11 外気吸入口
12 共通のドレイン
12A 分岐ドレイン
12B 分岐ドレイン
13 コントローラ
14 内気吐出口
15 吐出用ファン
16 吸入用ファン
17 空調用熱交換器
18 給水管
18a 散水ノズル
19 循環管
20 市水給水管
B1 開閉弁
B2 開閉弁
P ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に空調装置が設置されており、
前記空調装置は、下流側の冷暖房機能及び除湿機能を有する空調本体装置と、上流側の気液接触型の空気清浄装置とが通気可能に接続されて成り、
前記空調本体装置に設けられた分岐ドレインと、前記気液接触型の空気清浄装置に設けられた分岐ドレインとが、共通のドレインで合流されていることを特徴とする空調システム。
【請求項2】
前記建物の床下空間に前記空調装置が設置されており、
前記空調装置には、前記気液接触型の空気清浄装置側に、前記建物の床上空間に面して設けられた排気口と連通する内気吸込部が設けられており、前記空調本体装置側に前記建物の床上空間に面して設けられた給気口と連通する床上用吹出部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記給気口と前記床上用吹出部との間が、ダクトを介して接続されていることを特徴とする請求項2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記排気口と前記内気吸込部との間が、ダクトを介して接続されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の空調システム。
【請求項5】
前記空調装置の前記空調本体装置側に、床下用吹出部が設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項6】
前記床上空間に面して、前記給気口とは別の給気口が設けられており、該別の給気口は、前記床下空間と連通していることを特徴とする請求項5に記載の空調システム。
【請求項7】
前記空調装置の前記気液接触型の空気清浄装置側に、床下用吸込部が設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載の空調システム。
【請求項8】
前記空調装置は、換気機能も備えていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項9】
前記空調装置には、前記気液接触型の空気清浄装置側に、前記建物の外側面に面して設けられた外気吸入口と連通する外気吸込部が設けられており、前記空調本体装置側に前記建物の床上空間に面して設けられた給気口と連通する床上用吹出部が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の空調システム。
【請求項10】
前記外気吸入口と前記外気吸込部との間が、ダクトを介して接続されているとともに、前記給気口と前記床上用吹出部との間も、ダクトを介して接続されていることを特徴とする請求項9に記載の空調システム。
【請求項11】
前記床上空間に面して、排気口が設けられており、前記空調装置の前記気液接触型の空気清浄装置側に、前記排気口と連通する内気吸込部が設けられており、前記排気口を通じて、前記床上空間の空気を吸込可能とされているとともに、前記建物の外側面に面して設けられた内気吐出口が前記床上空間と連通しており、該内気吐出口を通じて、前記床上空間の空気の一部を前記建物の外部に吐出可能とされていることを特徴とする請求項9又は10に記載の空調システム。
【請求項12】
前記排気口と前記内気吸込部との間が、ダクトを介して接続されているとともに、前記排気口と前記内気吐出口との間も、ダクトを介して接続されていることを特徴とする請求項11に記載の空調システム。
【請求項13】
前記排気口と前記内気吸込部との間は、ダクトを介して接続されていないとともに、前記床上空間に面して、内気排気口が設けられており、該内気排気口と前記内気吐出口との間が、ダクトを介して接続されていることを特徴とする請求項11に記載の空調システム。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の空調システムを備えていることを特徴とする建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−102918(P2012−102918A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250510(P2010−250510)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】