説明

空調システム及び建物

【課題】非居室空間内に放熱器などを設置する必要がない空調システムを提供する。
【解決手段】建物1の床上空間5は、居間51とホール52及び洗面所53とから成り、居間51の床部1aには面状の床空調装置3が設けられているとともに、面状の床空調装置3の下部には断熱材が設けられており、床下空間4にはファンコイルユニット7が設けられており、ファンコイルユニット7の空調空気吹出部7aと洗面所53の給気口8とがダクト10を介して連通されているとともに、空調空気吸込部7bとホール52の排気口9とがダクト11を介して連通されており、面状の床空調装置3とファンコイルユニット7とは、これらに熱媒としての温水又は冷水を循環させる共通の熱源としてのヒートポンプ2に床下空間4に配設された循環管路を介して接続された構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の空調システム及びこの空調システムを備えた建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物全体の快適性を考慮して、居間などの居室空間だけでなく、洗面所などの非居室空間も暖冷房などの空調を行える空調システムが知られている(例えば、特許文献1等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−162469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような従来の空調システムでは、非居室空間内に放熱器などを設置する必要があるが、洗面所などの非居室空間には、このような設置スペースを確保できないケースも多々ある。
【0005】
そこで、本発明は、非居室空間内に放熱器などを設置する必要がない空調システム、及びこの空調システムを備えた建物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の空調システムは、建物の床上空間は、居室空間と非居室空間とから成り、前記居室空間の床には床空調装置が設けられているとともに、該床空調装置の下部には断熱材が設けられており、前記建物の床下空間にはファンコイルユニットから成る吹出型の空調装置が設けられているとともに、該吹出型の空調装置の空調空気吹出部と前記非居室空間に面して設けられた給気口とが連通されており、前記床空調装置と前記吹出型の空調装置とは、これらに熱媒を循環させる共通の熱源に前記床下空間に配置された循環管路を介して接続されていることを特徴とする。
【0007】
なお、本発明の空調システムは、暖房及び冷房の両方が行えるものだけでなく、暖房及び冷房のいずれか一方のみが行えるものも含む。
【0008】
また、前記熱源は、前記建物の屋外に設けられたヒートポンプである。
【0009】
さらに、前記吹出型の空調装置の前記空調空気吹出部と前記給気口との間が、ダクトを介して接続されている。
【0010】
また、前記吹出型の空調装置の前記空調空気吸込部と前記非居室空間に面して設けられた排気口とが連通されている。
【0011】
さらに、前記吹出型の空調装置の前記空調空気吸込部と前記排気口との間が、ダクトを介して接続されている。
【0012】
また、前記循環管路は、前記熱源から前記床空調装置に熱媒を送る床空調装置用往路管と、前記床空調装置から前記熱源に熱媒を戻す床空調装置用復路管と、前記熱源から前記吹出型の空調装置に熱媒を送る空調装置用往路管と、前記吹出型の空調装置から前記熱源に熱媒を戻す空調装置用復路管と、前記床空調装置用復路管と前記空調装置用往路管との間を流路切替弁を介して繋ぐバイパス管とから成り、前記流路切替弁の制御により、熱媒が前記バイパス管を通って前記熱源から前記床空調装置と前記吹出型の空調装置とに一連に循環する流路と、熱媒が前記バイパス管を通らずに前記熱源から前記床空調装置と前記吹出型の空調装置とに個別に循環する流路とに切替可能とされているとよい。
【0013】
さらに、前記居室空間内には、室内空調装置が設けられているとよい。
【0014】
本発明の建物は、上記した空調システムを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
このような本発明の空調システムは、建物の床上空間は、居室空間と非居室空間とから成り、居室空間の床には床空調装置が設けられており、建物の床下空間にはファンコイルユニットから成る吹出型の空調装置が設けられているとともに、床空調装置の下部には断熱材が設けられている。
【0016】
そして、吹出型の空調装置の空調空気吹出部と非居室空間に面して設けられた給気口とが連通されている。
【0017】
さらに、床空調装置と吹出型の空調装置とは、これらに熱媒を循環させる共通の熱源に床下空間に配置された循環管路を介して接続された構成とされている。
【0018】
こうした構成なので、非居室空間内に放熱器などを設置する必要がないため、間取りなどに関係なく広く実施することができる。
【0019】
そのうえ、床空調装置と吹出型の空調装置とで、共通の熱源を利用するので、全体を簡易な構造とすることができる。
【0020】
また、熱源が、建物の屋外に設けられたヒートポンプを用いるので、省エネルギー性能に優れたものとすることができる。
【0021】
さらに、吹出型の空調装置の空調空気吹出部と給気口との間が、ダクトを介して接続されているので、空調空気吹出部と給気口との間を簡易且つ安価な構造で連通させることができる。
【0022】
また、吹出型の空調装置の空調空気吸込部と非居室空間に面して設けられた排気口とが連通されているので、非居室空間内での空調空気の循環をよくして、効率的な暖冷房を行うことができる。
【0023】
さらに、吹出型の空調装置の空調空気吸込部と排気口との間が、ダクトを介して接続されているので、空調空気吸込部と排気口との間を簡易且つ安価な構造で連通させることができる。
【0024】
また、循環管路は、熱源から床空調装置に熱媒を送る床空調装置用往路管と、床空調装置から熱源に熱媒を戻す床空調装置用復路管と、熱源から吹出型の空調装置に熱媒を送る空調装置用往路管と、吹出型の空調装置から熱源に熱媒を戻す空調装置用復路管と、床空調装置用復路管と空調装置用往路管との間を流路切替弁を介して繋ぐバイパス管とから成り、流路切替弁の制御により、熱媒がバイパス管を通って熱源から床空調装置と吹出型の空調装置とに一連に循環する流路と、熱媒がバイパス管を通らずに熱源から床空調装置と吹出型の空調装置とに個別に循環する流路とに切替可能とされている場合は、通常の寒時や暑時には、熱媒がバイパス管を通って熱源から床空調装置と吹出型の空調装置とに一連に循環する流路として、余熱により、非居室空間も適度な暖冷房を行うことができ、厳寒時や酷暑時には、熱媒がバイパス管を通らずに熱源から床空調装置と吹出型の空調装置とに個別に循環する流路として、熱源からの直接的な熱の供給により、非居室空間も十分に暖冷房を行うことができる。
【0025】
さらに、居室空間内には、室内空調装置が設けられている場合は、居室空間においては、床空調装置からの床暖房又は床冷房だけでなく、室内空調装置からの通常の暖冷房も行うことができる。
【0026】
このような本発明の建物は、上記した空調システムを備えた構成とされている。
【0027】
こうした構成なので、上記した効果を奏する建物とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1の空調システムを備えた建物の概略構成を説明する説明図である。
【図2】実施例1の空調システムの運転パターンを説明する説明図である。
【図3】実施例1の空調システムの運転パターンを説明する説明図である。
【図4】実施例2の空調システムを備えた建物の概略構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に示す実施例1,2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0030】
先ず、実施例1の構成について説明する。
【0031】
図1は、実施例1の空調システムを備えた建物1の概略構成を示している。
【0032】
まず、このような建物1は、基礎として構築された基礎底盤コンクリート1bと、その側縁に立設された基礎側壁コンクリート1cと、さらにその上に立設された外壁部1dと、その外壁部1dの上端開口を塞ぐ天井部1eとから主に構成されている。
【0033】
そして、この天井部1eと外壁部1dとに囲まれる空間は、床としての床部1aによって床下空間4と床上空間5とが区切られている。
【0034】
さらに、この床上空間5は、中間壁1f,1gにより、居室空間としての居間51と、非居室空間としてのホール52と、非居室空間としての洗面所53とに区画されている。
【0035】
そして、実施例1の空調システムでは、居室空間としての居間51の床部1aの内部に面状の床空調装置3が設けられている。
【0036】
ここで、この面状の床空調装置3は、図2及び図3に示したように、薄型の熱伝導体3a内に放熱管30が波形状に折り返して配設されたものである。
【0037】
そのうえで、放熱管30は、一端部に床空調装置用往路管31が設けられ、他端部には床空調装置用復路管32が設けられており、熱源としてのヒートポンプ2に接続されており、熱媒としての温水又は冷水が循環可能とされている。
【0038】
なお、面状の床空調装置3の下部には、断熱材(図示せず)が設けられており、床下空間4へ熱が漏れるのを極力防止している。
【0039】
さらに、居室空間としての居間51内には、室内空調装置としてのエアコンディショナ6が設けられており、循環管路としての室内空調装置用往路管61と室内空調装置用復路管62とにより、熱源としてのヒートポンプ2に接続されており、熱媒としてのハイドロクロロフルオロカーボン類やハイドロフルオロカーボン類などの代替フロンが循環可能とされている。
【0040】
また、非居室空間としてのホール52及び洗面所53の下方の床下空間4には、建物1の屋外に連通するドレイン13を有する吹出型の空調装置としてのファンコイルユニット7が設けられている。
【0041】
ここで、ファンコイルユニット7は、下流側に空調空気吹出部7aが設けられ、上流側には空調空気吸込部7bが設けられている。
【0042】
また、非居室空間としての洗面所53の床部1aには、グリル付きの給気口8が設けられ、非居室空間としてのホール52の床部1aには、グリル付きの排気口9が設けられている。
【0043】
また、空調空気吹出部7aと給気口8との間は、ダクト10を介して接続されており、空調空気吸込部7bと排気口9との間も、ダクト11を介して接続されている。
【0044】
さらに、非居室空間としてのホール52と洗面所53との間の中間壁1gには、欄間12が設けられており、両者間での通気が可能とされている。
【0045】
そのうえで、吹出型の空調装置としてのファンコイルユニット7は、循環管路としての空調装置用往路管71と空調装置用復路管72とにより、熱源としてのヒートポンプ2に接続されており、熱媒としての温水又は冷水が循環可能とされている。
【0046】
また、この実施例の暖冷房システムでは、床空調装置用復路管32の中継部と空調装置用往路管71の中継部との間が、流路切替弁14A,14Bを介して、バイパス管15で繋がれている。
【0047】
なお、居室空間としての居間51には、所望の運転パターンに設定するためのコントローラ16が設けられている。
【0048】
次に、実施例1の空調システムの運転パターンについて説明する。
【0049】
まず、暖房運転時のパターンについて説明する。
【0050】
通常の寒時には、図2に示したように、流路切替弁14A,14Bを制御して、熱媒としての温水は、熱源としてのヒートポンプ2から床空調装置用往路管31を通って面状の床空調装置3内の放熱管30を通り、床空調装置用復路管32と、バイパス管15と、空調装置用往路管71とを通って、吹出型の空調装置としてのファンコイルユニット7内の熱交換器(図示せず)を通り、空調装置用復路管72を通って、ヒートポンプ2に戻る一連の流路で循環を繰り返す。
【0051】
これにより、居室空間としての居間51では、面状の床空調装置3による十分な床暖房が行えるうえに、非居室空間としてのホール52及び洗面所53でも、余熱により、寒さから来る不快感を与えない程度のファンコイルユニット7による適度な暖房を行える。
【0052】
厳寒時には、図3に示したように、流路切替弁14A,14Bを制御して、熱媒としての温水は、熱源としてのヒートポンプ2から床空調装置用往路管31を通って面状の床空調装置3内の放熱管30を通り、床空調装置用復路管32を通って、ヒートポンプ2に戻る流路と、熱源としてのヒートポンプ2から空調装置用往路管71を通って、吹出型の空調装置としてのファンコイルユニット7内の熱交換器(図示せず)を通り、空調装置用復路管72を通って、ヒートポンプ2に戻る流路とで個別の循環を繰り返す。
【0053】
これにより、居室空間としての居間51では、面状の床空調装置3による十分な床暖房が行えるうえに、非居室空間としてのホール52及び洗面所53でも、ヒートポンプ2からの直接的な熱の供給により、厳しい寒さから来る不快感を与えないファンコイルユニット7による十分な暖房を行える。
【0054】
なお、いずれの暖房運転の際も、居室空間としての居間51内に設けられた室内空調装置としてのエアコンディショナ6は、居住者の好みに合わせて運転すればよい。
【0055】
また、建物1の屋内又は屋外に温度センサーを設けておき、図2に示した運転パターンと図3に示した運転パターンとを自動で切替制御するようにして実施してもよい。
【0056】
さらに、図3に示した運転パターンでは、居室空間としての居間51と非居室空間としてのホール52及び洗面所53にそれぞれ温度センサーを設けておき、いずれかが必要以上の温度になれば、運転を停止し、床空調装置3とファンコイルユニット7のうち、片側のみ運転するように自動で切替制御するように実施してもよい。
【0057】
次に、冷房運転時のパターンについて説明する。
【0058】
通常の暑時には、図2に示したように、流路切替弁14A,14Bを制御して、熱媒としての冷水は、熱源としてのヒートポンプ2から床空調装置用往路管31を通って面状の床空調装置3内の放熱管30を通り、床空調装置用復路管32と、バイパス管15と、空調装置用往路管71とを通って、吹出型の空調装置としてのファンコイルユニット7内の熱交換器(図示せず)を通り、空調装置用復路管72を通って、ヒートポンプ2に戻る一連の流路で循環を繰り返す。
【0059】
これにより、居室空間としての居間51では、面状の床空調装置3による十分な床冷房が行えるうえに、非居室空間としてのホール52及び洗面所53でも、余熱により、暑さから来る不快感を与えない程度のファンコイルユニット7による適度な冷房を行える。
【0060】
酷暑時には、図3に示したように、流路切替弁14A,14Bを制御して、熱媒としての冷水は、熱源としてのヒートポンプ2から床空調装置用往路管31を通って面状の床空調装置3内の放熱管30を通り、床空調装置用復路管32を通って、ヒートポンプ2に戻る流路と、熱源としてのヒートポンプ2から空調装置用往路管71を通って、吹出型の空調装置としてのファンコイルユニット7内の熱交換器(図示せず)を通り、空調装置用復路管72を通って、ヒートポンプ2に戻る流路とで個別の循環を繰り返す。
【0061】
これにより、居室空間としての居間51では、面状の床空調装置3による十分な床冷房が行えるうえに、非居室空間としてのホール52及び洗面所53でも、ヒートポンプ2からの直接的な熱の供給により、厳しい暑さから来る不快感を与えないファンコイルユニット7による十分な冷房を行える。
【0062】
なお、いずれの冷房運転の際も、居室空間としての居間51内に設けられた室内空調装置としてのエアコンディショナ6は、居住者の好みに合わせて運転すればよい。
【0063】
また、建物1の屋内又は屋外に温度センサーを設けておき、図2に示した運転パターンと図3に示した運転パターンとを自動で切替制御するようにして実施してもよい。
【0064】
さらに、図3に示した運転パターンでは、居室空間としての居間51と非居室空間としてのホール52及び洗面所53にそれぞれ温度センサーを設けておき、いずれかが必要以下の温度になれば、運転を停止し、床空調装置3とファンコイルユニット7のうち、片側のみ運転するように自動で切替制御するように実施してもよい。
【0065】
次に、実施例1の作用効果について説明する。
【0066】
このような実施例1の空調システムは、建物1の床上空間5は、居室空間としての居間51と非居室空間としてのホール52及び洗面所53とから成り、居間51の床としての床部1aには面状の床空調装置3が設けられており、建物1の床下空間4には吹出型の空調装置としてのファンコイルユニット7が設けられている。
【0067】
そして、ファンコイルユニット7の空調空気吹出部7aと洗面所53の床部1aに設けられた給気口8とがダクト10を介して連通されているとともに、空調空気吸込部7bとホール52の床部1aに設けられた排気口9とがダクト11を介して連通されており、面状の床空調装置3とファンコイルユニット7とは、これらに熱媒としての温水又は冷水を循環させる共通の熱源としてのヒートポンプ2に循環管路を介して接続された構成とされている。
【0068】
こうした構成なので、非居室空間としてのホール52及び洗面所53内に放熱器などを設置する必要がないため、間取りなどに関係なく広く実施することができる。
【0069】
ここで、循環管路は、ヒートポンプ2から面状の床空調装置3に熱媒としての温水又は冷水を送る床空調装置用往路管31と、面状の床空調装置3からヒートポンプ2に熱媒としての温水又は冷水を戻す床空調装置用復路管32と、ヒートポンプ2からファンコイルユニット7に熱媒としての温水又は冷水を送る空調装置用往路管71と、ファンコイルユニット7からヒートポンプ2に熱媒としての温水又は冷水を戻す空調装置用復路管72と、床空調装置用復路管32と空調装置用往路管71との間を流路切替弁14A,14Bを介して繋ぐバイパス管15とから成る。
【0070】
そして、流路切替弁14A,14Bの制御により、熱媒としての温水又は冷水がバイパス管15を通ってヒートポンプ2から面状の床空調装置3とファンコイルユニット7とに一連に循環する流路と、熱媒としての温水又は冷水がバイパス管15を通らずにヒートポンプ2から面状の床空調装置3とファンコイルユニット7とに個別に循環する流路とに切替可能とされている。
【0071】
このため、通常の寒時や暑時には、熱媒としての温水又は冷水がバイパス管15を通ってヒートポンプ2から面状の床空調装置3とファンコイルユニット7とに一連に循環する流路として、余熱により、非居室空間としてのホール52及び洗面所53も適度な暖冷房を行うことができ、厳寒時や酷暑時には、熱媒としての温水又は冷水がバイパス管15を通らずにヒートポンプ2から面状の床空調装置3とファンコイルユニット7とに個別に循環する流路として、ヒートポンプ2からの直接的な熱の供給により、非居室空間としてのホール52及び洗面所53も十分に暖冷房を行うことができる。
【0072】
また、居間51内には、室内空調装置としてのエアコンディショナ6が設けられており、ヒートポンプ2と熱媒を循環させる循環管路としての室内空調装置用往路管61及び室内空調装置用復路管62を介して接続されている。
【0073】
このため、居間51においては、面状の床空調装置3からの床暖冷房だけでなく、エアコンディショナ6からの通常の暖冷房も行うことができる。
【0074】
さらに、熱源は、建物1の屋外に設けられたヒートポンプ2である。
【0075】
このため、ヒートポンプを用いるので、省エネルギー性能に優れたものとすることができる。
【0076】
このような実施例1の建物1は、上記した実施例1の空調システムを備えた構成とされている。
【0077】
こうした構成なので、上記した実施例1の空調システムの作用効果を奏する建物とすることができる。
【実施例2】
【0078】
次に、実施例2について説明する。
【0079】
なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0080】
図4は、実施例2の空調システムを備えた建物1Aの概略構成を示している。
【0081】
この実施例2の建物1Aの空調システムでは、バイパス管15及び流路切替弁14A,14Bを設けず、また、暖房のみに用いるので、ドレイン13も設けていないことが実施例1と主に異なる。
【0082】
このため、実施例1に比べて、より簡易な構成で実施することができる。
【0083】
また、面状の床空調装置3は、床暖房のみを行うものなので、その下部には断熱材を設けずに実施してもよい。
【0084】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【0085】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例1,2に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、これら実施例1,2に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0086】
例えば、上記した実施例1,2では、本発明の空調システムの説明を簡単に行えるように、建物1,1Aの構造などを単純化したが、これに限定されず、より複雑な構造の建物で実施してもよい。
【0087】
また、上記した実施例1,2では、給気口8、排気口9を床部1aに設けて実施したが、これに限定されず、これらを内壁などに設けて実施してもよい。
【0088】
さらに、上記した実施例1では、面状の床空調装置3の下部に断熱材を設けて床冷房も行えるようにして実施したが、これに限定されず、面状の床空調装置3の下部に断熱材を設けずに床暖房のみを行えるようにして実施してもよい。
【0089】
また、上記した実施例1,2では、床空調装置3として、面状のものを用いて実施したが、これに限定されず、床空調装置としての機能を果たせば、形状等は特に問わずに実施することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 建物
1A 建物
1a 床部(床)
1b 基礎底盤コンクリート
1c 基礎側壁コンクリート
1d 外壁部
1e 天井部
1f 中間壁
1g 中間壁
2 ヒートポンプ(熱源)
3 床空調装置
3a 熱伝導体
30 放熱管
31 床空調装置用往路管
32 床空調装置用復路管
4 床下空間
5 床上空間
51 居間(居室空間)
52 ホール(非居室空間)
53 洗面所(非居室空間)
6 エアコンディショナ(室内空調装置)
61 室内空調装置用往路管
62 室内空調装置用復路管
7 ファンコイルユニット(吹出型の空調装置)
7a 空調空気吹出部
7b 空調空気吸込部
71 空調装置用往路管
72 空調装置用復路管
8 給気口
9 排気口
10 ダクト
11 ダクト
12 欄間
13 ドレイン
14A 流路切替弁
14B 流路切替弁
15 バイパス管
16 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の床上空間は、居室空間と非居室空間とから成り、
前記居室空間の床には床空調装置が設けられているとともに、該床空調装置の下部には断熱材が設けられており、
前記建物の床下空間にはファンコイルユニットから成る吹出型の空調装置が設けられているとともに、該吹出型の空調装置の空調空気吹出部と前記非居室空間に面して設けられた給気口とがダクトを介して接続されているとともに、該吹出型の空調装置の空調空気吸込部と前記非居室空間に面して設けられた排気口とがダクトを介して接続されており、
前記床空調装置と前記吹出型の空調装置とは、これらに熱媒を循環させる前記建物の屋外に設けられたヒートポンプから成る共通の熱源に前記床下空間に配設された循環管路を介して接続されており、
前記循環管路は、前記熱源から前記床空調装置に熱媒を送る床空調装置用往路管と、前記床空調装置から前記熱源に熱媒を戻す床空調装置用復路管と、前記熱源から前記吹出型の空調装置に熱媒を送る空調装置用往路管と、前記吹出型の空調装置から前記熱源に熱媒を戻す空調装置用復路管とから成ることを特徴とする空調システム。
【請求項2】
前記循環管路は、前記床空調装置用復路管と前記空調装置用往路管との間を流路切替弁を介して繋ぐバイパス管を有し、前記流路切替弁の制御により、熱媒が前記バイパス管を通って前記熱源から前記床空調装置と前記吹出型の空調装置とに一連に循環する流路と、熱媒が前記バイパス管を通らずに前記熱源から前記床空調装置と前記吹出型の空調装置とに個別に循環する流路とに切替可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記居室空間内には、室内空調装置が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の空調システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の空調システムを備えていることを特徴とする建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−137282(P2012−137282A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−37252(P2012−37252)
【出願日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【分割の表示】特願2011−152630(P2011−152630)の分割
【原出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【出願人】(390002886)株式会社長府製作所 (197)
【Fターム(参考)】