説明

空調器具

【課題】 改良された空調器具、特に停止駆動のためのスタンドアローン空調器具を提供する。
【解決手段】 冷媒循環内に配置されたコンプレッサ、凝縮器(3)および調整すべき空気を冷却するための蒸発器(2)を有する、スタンドアローン空調器具、特に自動車用の空調器具において、熱を逃がす空気と室内へ供給すべき、冷却された空気のために正確に1つの送風機(5)が設けられており、前記1つの送風機(5)が空気を一部は凝縮器(3)を通して、そして一部は蒸発器(2)を通して給送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の自動車用の空調器具、特に商用車用の空調器具(すなわち、冷媒循環内に配置されたコンプレッサ、凝縮器および調整すべき空気を冷却するための蒸発器を有する、スタンドアローン駆動のための空調器具、特に自動車用の空調器具)に関する。
【背景技術】
【0002】
車両メーカーの目的は、車両の停止状態の間も、特に駆動エンジンがオフにされているときも、車両搭乗者に快適な室内気候を可能にすることである。そのために、特に商用車領域のために、停止状態空調装置が設けられることが、ますます多くなっている。
【0003】
外部温度が極めて高い場合に、たとえば商用車の寝だなで宿泊する運転者にとって、快適さの獲得は重要である。停止時間の間、たとえば空調設備を駆動するための、エネルギの供給が問題となる。車両駆動エンジンの停止によって、冷媒コンプレッサおよび様々な送風機または換気扇のような、必要とされるサブアグリゲートは、代替的なエネルギ源によって給電されなければならない。
【0004】
車両エンジン操作されるコンプレッサの他に、冷媒循環内に電気的に駆動されるコンプレッサを有しており、そのコンプレッサが停止駆動において冷媒循環を引き受け、その場合に機能は、他のコンプレッサが冷媒循環を行う他は、ノーマル駆動の機能と実質的に異ならない、空調設備が知られている。この種の空調設備において、少なくとも2つの電気的に駆動される送風機、1つは車両室内へ供給すべき、蒸発器を貫流する、冷却すべき空気流(新気または循環空気)用で、1つはコンプレッサを冷却する空気流(新気)のための送風機が設けられている。
【0005】
同様に、ノーマルな走行駆動のための空調システム内へ組み込まれておらず、実質的に自給自足のシステムとして提供される、空調器具が知られている。「スタンドアローン空調設備」の概念でも知られている、この種の空調設備は、同様に、電気的に駆動されるコンプレッサによる冷媒循環と2つの電気的に駆動される送風機を有しており、その1つは、車両室内へ供給すべき、蒸発器を貫流する、冷却すべき空気流(新気または循環空気)用であり、1つは、凝縮器を冷却する空気流(新しい空気流)用である。この種の空調器具は、まだ要望を解決していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、改良された空調器具、特に停止駆動のためのスタンドアローン空調器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴を有する空調器具(すなわち、熱を逃がす空気と室内へ供給すべき、冷却された空気のために正確に1つの送風機が設けられており、その場合に前記1つの送風機が空気を一部は凝縮器を通して、そして一部は蒸発器を通して給送することを特徴とする空調器具)によって解決される。好ましい形態が、下位請求項の対象である。
【発明の実施の形態】
【0008】
本発明によれば、冷媒循環内に配置されたコンプレッサ、凝縮器および調整すべき空気を冷却するための蒸発器を有する、スタンドアローン駆動のための、特に自動車または商用車両のための、空調器具は、熱を逃がす空気と室内へ供給すべき、冷却された空気のために正確に唯一の送風機を有しており、その送風機が空気を一部は凝縮器を通して、そして一部は蒸発器を通して給送し、すなわち従来の空調器具とは異なり、送風機ないし換気扇が省かれる。1つの送風機しか設けられていないことによって、従来の空調設備と組み合わせてすべてのコンポーネント、すなわち特にコンプレッサ、蒸発器および凝縮器を二重に設けなければならない場合でも、空調器具をコンパクトに形成することができる。
【0009】
送風機モータを制御するために、正確に1つの出力調節器が設けられているので、送風機と換気扇を有する従来の空調器具に比較して、制御が簡略化される。
【0010】
送風機は、好ましくは2潮流の送風機であって、空気給送量が両側の要請を正当に考慮するように、形成されている。好ましくは送風機は対称に形成されており、その場合に両側の空気給送量は実質的に等しい大きさである。2潮流の送風機を設けることによって、吸い込むべき空気のための空気通路システムのこれまで一般的な構造を維持することができ、すなわち凝縮器には周囲から新気のみが、そして蒸発器にはそれぞれ要請(または温度)に応じて新気および/または循環空気が該当する通路を介して供給される。この種の結合は、特に、しばしば見られる、蒸発器と凝縮器を介して必要とされる空気量間の相関の場合に、特に有意義である。
【0011】
代替的に、送風機の後方に分離壁を設けることができ、その分離壁が凝縮器への空気流を蒸発器への空気流から分離する。その場合に、必要に応じて凝縮器と蒸発器に空気を分配するために、送風機の後方にフラップを設けることができる。
【0012】
この空調器具は、電気的にだけ駆動可能であって、その場合に電気エネルギは通常の車両電気系統を介して供給することができる。しかし特に停止時間が比較的長い場合には、外部の電流供給、たとえば電流網への接続、補助バッテリまたは補助アグリゲートを介して駆動されるジェネレータによる電流供給が可能である。
【0013】
好ましくは、空調器具は、自動車、特にトラックのルーフ領域に配置されている。この領域には、他のコンポーネントはほとんど設けられず、すなわち通常十分な空間が提供される。エネルギ供給および制御のための電気的導線のみを空調器具へ案内すれば済むので、空調器具のエネルギ供給ないし駆動に関して何ら問題は生じない。
【実施例】
【0014】
以下、部分的に図面を参照しながら、3つの実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【0015】
実質的に自動車エンジンから独立して駆動可能で、それによって停止駆動、すなわち車両エンジンがオフにされている場合の駆動に適した、スタンドアローン空調器具1は、以下で詳細に説明する3つの実施例に示すように、それぞれ、コンプレッサ(図示せず)、空気冷却に用いられる蒸発器2および冷媒を冷却する、外気冷却される凝縮器3を備えた冷媒循環を有している。さらに、空気、従って車両室内へ供給すべき循環空気および/または新気と凝縮器3を冷却する新気を給送するために、送風機モータ4によって駆動される唯一の送風機5が設けられており、その場合に送風機モータ4は出力調節器6を介して制御される。すなわち、送風機5は、従来の送風機の課題(蒸発器の場合)も、換気扇(凝縮器の場合)の課題も引き受ける。
【0016】
空調器具1は、−ノーマル走行駆動において空調を(共に)引き受ける空調設備とは関係なく−トラックのルーフの領域に配置されている。空調器具1、特にコンプレッサおよび送風機モータ4の制御は、空調出力への要請に応じて行われ、しかしその場合に、存在するエネルギ、すなわちバッテリの充電状態が、停止空調のために考慮される。
【0017】
図1に示す第1の実施例によれば、送風機5は唯一の羽根車7を有しており、それがモータ軸上に配置されている。羽根車7の回転によって室内と周囲から共通の吸気通路システムを通して吸い込まれる空気が、ここで車両室内へのノズル/流出器が完全に開放している場合に、必要に応じて、特に比較的均一に蒸発器2と凝縮器3へ分配され、それが羽根車7のすぐ後ろに配置された分離壁8によって行われ、その分離壁は蒸発器空気通路、すなわち車両室内へ通じる空気通路を凝縮器空気通路、すなわち外部へ通じる空気通路から分離している。新気と循環空気の組成比の制御は、フラップ(図示せず)を用いて行われる。
【0018】
図2に示す第2の実施例によれば、送風機5は2つに分けて形成されており、すなわち2つの羽根車7a、7bが設けられており、それらが送風機モータ4によって駆動されるモータ軸上に配置されており、それによって2つの羽根車7a、7bは同一の回転数で回転する。別々の吸気によって、凝縮器3に対応づけられた羽根車7aには新気のみを、蒸発器2に対応づけられた羽根車7bには新気および/または循環空気を供給することができる。空気流の混合は、行われない。
【0019】
第1の実施例に似た第3の実施例によれば、送風機の後段に制御されるフラップが配置されており、それが空気流を必要に応じて蒸発器と凝縮器へ分配する。第1の実施例と同様に、共通の吸気通路システムが設けられており、それが新気および/または循環空気の供給を可能にする。新気と循環空気の組成比の制御は、第1の実施例の場合と同様にフラップを用いて行われる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施例を図式的に示している。
【図2】第2の実施例を図式的に示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒循環内に配置されたコンプレッサ、凝縮器(3)および調整すべき空気を冷却するための蒸発器(2)を有する、スタンドアローン駆動のための、特に自動車用の空調器具において、
熱を逃がす空気と室内へ供給すべき、冷却された空気のために正確に1つの送風機(5)が設けられており、前記1つの送風機(5)が空気を一部は凝縮器(3)を通して、そして一部は蒸発器(2)を通して給送することを特徴とする空調器具。
【請求項2】
送風機(5)に対応づけられた送風機モータ(4)のモータ出力のために、出力調節器(6)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空調器具。
【請求項3】
送風機(5)が、2潮流の送風機であることを特徴とする請求項1または2に記載の空調器具。
【請求項4】
送風機(5)が、対称に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の空調器具。
【請求項5】
送風機(5)の後方に分離壁(8)が設けられており、前記分離壁が凝縮器(3)への空気流を蒸発器(2)への空気流から分離することを特徴とする請求項1または2に記載の空調器具。
【請求項6】
送風機(5)の後方に、凝縮器(3)と蒸発器(2)への空気分配を制御するための少なくとも1つのフラップが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の空調器具。
【請求項7】
吸い込むべき空気のための空気通路システムが設けられており、前記空気通路システムを介して送風機(5)へ外気も循環空気も供給可能であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の空調器具。
【請求項8】
空調設備(1)が電気的にのみ駆動可能であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の空調器具。
【請求項9】
空調設備(1)が、自動車、特にトラックのルーフ領域内に配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の空調器具。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−543667(P2008−543667A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517434(P2008−517434)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006096
【国際公開番号】WO2007/000291
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(594042033)ベール ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (222)
【Fターム(参考)】