説明

空調機器管理システム

【課題】空調機器の管理が低コストで実現でき、かつ、管理システムに対してセキュリティ上の影響を及ぼすことのない空調機器管理システムを得る。
【解決手段】空調機器101a〜101d,102a〜102dと集中コントローラ200とは第一の通信手段で通信接続される。集中コントローラ200と通信機器300a,300bとは、二者間限定の近距離通信である第二の通信手段で通信接続される。通信機器300a,300bは、第二の通信手段によって得た情報を個体情報管理サーバ400に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機器の個体管理を行う空調機器管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一つのビルや家屋において複数の空調機を集中管理する空調システムとして、例えば特許文献1に記載されたものがあった。また、特許文献2には、集中管理に必要となる各空調機等の個体識別方法および個体識別情報の取得の方法として各空調機(室内機)のMACアドレスや位置情報を用いること、情報取得および保持手段としてRFIDタグ、RFIDリーダを用いることが開示されている。さらに、従来、LAN配線にインターネット接続モデム及びVPNルーターを介し遠隔地のパソコンからインターネットに接続することにより空調機の異常内容を確認できる、空調機の監視・操作機能が実用化されていた。
このようなシステムにより、空調機のタイムリーな情報を得、これら情報を継続的に集積した情報群は機器の履歴としてフィールドサービスや製品開発に有用な情報となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−38967号公報
【特許文献2】特開2007−10223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記システムなどによる継続的な諸情報集積と蓄積は、フィールドの各機器毎に大容量の集積部を必要とするなど、コスト的に問題があった。また集中管理側に確実に集積するには、頻繁なフィールドへのアクセスが必要になり現実的でない。
更には、LAN配線にインターネット接続モデム及びVPNルータを介し遠隔地のパソコンからインターネットに接続するシステムは、セキュリティの問題や公衆回線インフラの問題から、設置が制約される場合があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、空調機器の管理が低コストで実現でき、かつ、複数の空調機器を集中管理する空調システムといった管理システムに対してセキュリティ上の影響を及ぼすことのない空調機器管理システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る空調機器管理システムは、少なくとも1台の室内機と1台の室外機とで構成される1または複数の空調ユニットと集中コントローラとの間で通信を行い、空調ユニットの情報を集中コントローラに転送するための第一の通信手段と、集中コントローラと通信機器との間で通信を行い、集中コントローラに転送された空調ユニットの情報を通信機器に転送するための第二の通信手段と、通信機器に転送された情報を、空調ユニットの情報を管理する個体情報管理サーバに転送するための第三の通信手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の空調機器管理システムは、空調ユニットと集中コントローラとを通信接続する第一の通信手段と、集中コントローラと通信機器とを通信接続する第二の通信手段と、通信機器と個体情報管理サーバとを通信接続する第三の通信手段とを備えたので、空調機器の管理が低コストで実現でき、かつ、複数の空調機器を集中管理する空調システムといった管理システムに対してセキュリティ上の影響を及ぼすことのない空調機器管理システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による空調機器管理システムを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1の空調機器管理システムにおける空調機器と集中コントローラと個体情報管理サーバの内部構成を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1の空調機器管理システムにおける個体情報データベースと運転情報データベースと廃棄情報データベースの詳細を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1の空調機器管理システムにおける空調機器の生産から廃棄までのデータの流れを示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1の空調機器管理システムにおける空調機器のデータ取得部の動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1の空調機器管理システムにおける空調機器の冷媒回収検知処理を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2による空調機器管理システムを示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態2の空調機器管理システムにおける空調機器と集中コントローラとデータインタフェースサーバの内部構成を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態3による空調機器管理システムを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による空調機器管理システムを示す構成図である。
図1に示す空調機器管理システムは、空調機器101a〜101d,102a〜102d、コントローラ110a,110b、集中コントローラ200、通信機器300a,300b,301,302、個体情報管理サーバ400を備えている。
【0010】
実施の形態1の空調機器管理システムは、空調機器101a〜101d,102a〜102d、コントローラ110a,110b、集中コントローラ200からなるフィールドシステムに比較的少容量のデータ蓄積部を備え、フィールドシステムから得られる各種の情報を、このシステムに接続される比較的近距離での通信が可能な通信機器300a,300bによって各空調機器の個体識別情報と共に適宜収集する。そして、収集した各空調機器の個別の諸情報を、通信機器300a,300bに備えられた公衆回線による通信手段によって個体情報管理サーバ400に送信する。個体情報管理サーバ400ではこの通信手段によって得られる膨大な空調機器の諸情報(継続的な履歴情報も含む)を各個体毎、もしくは同機種毎等の任意の条件で集計することで、空調機器毎のさまざまな情報(状況、履歴など(例えば地域毎、時間毎、季節毎等の運転情報、故障情報、整備情報、リプレイス情報など)を効率的に得る。また、通信機器300a,300bは、フィールドサービスに有用な個体情報管理サーバ400内のデータ(各機器の履歴データなど)を参照、更新する。
以下、このような空調機器管理システムについて詳細に説明する。
【0011】
空調機器101a〜101d,102a〜102dとコントローラ110a,110bとは、データ通信可能な通信線120a,120bで物理的に接続されている。また、空調機器101a,102aは室外機、空調機器101b〜101d,102b〜102dは、それぞれ空調機器101a,102aに接続される室内機であり、空調ユニットを構成している。尚、空調機器として換気機器といった機器を含んでもよい。集中コントローラ200は、ハブ10を介してLANなどのネットワーク11で空調機器101a〜101d,102a〜102dに通信接続されている。また、ネットワーク11は第一の通信手段を構成している。ハブ10には、通信機器300a,300bとの無線通信接続を行うための無線アクセスポイント12と通信機器301が接続され、これらは空調機器を使用する建物内に設置される。
【0012】
通信機器300a,300bは、無線アクセスポイント12を介して例えばTCP/IP等のプロトコルを用いたBluetoothや無線LAN等の二者間限定の近距離通信で集中コントローラ200との通信を行うことが可能なスマートフォンやポータブルコンピュータ等の携帯端末である。また、通信機器301は、ハブ10に有線LANで接続されるパーソナルコンピュータといった通信機器である。ここで、無線アクセスポイント12と通信機器300a,300b間の通信手段や、通信機器301とハブ10を介したネットワーク11への通信手段は、集中コントローラ200に対して通信機器300a,300b,301を任意に接続可能な第二の通信手段を構成している。
【0013】
個体情報管理サーバ400は、データセンタや出荷工場といった空調機器のメーカの管理下にあり、ハブ30を介してLAN31で接続されている。また、ハブ30には、無線アクセスポイント32が接続されていると共に、パーソナルコンピュータ等の通信機器302が有線LANで接続されており、これらはTCP/IP通信で接続される。また、破線枠内のこれら個体情報管理サーバ400、ハブ30、LAN31、無線アクセスポイント32、通信機器302は、個体情報管理サーバ400とのアクセスを行うためのシステムを示している。さらに、無線アクセスポイント32と通信機器300a,300b間のネットワークやLAN31は、インターネット等の公衆回線を用いた第三の通信手段を構成している。また、通信機器300a,300bは、第三の通信手段を用いて個体情報管理サーバ400と通信を行うため、第二の通信手段に対応したインタフェースと、第三の通信手段に対応したインタフェースを有している。
【0014】
図2は、空調機器101a〜101d,102a〜102d、集中コントローラ200、個体情報管理サーバ400の内部構成を示している。
空調機器101a〜101d,102a〜102dには、それぞれの制御基板部分にデータ取得部130a,130b,…と、データ送受信部140a,140b,…と、ROM150a,150b,…と、RAM160a,160b,…とを備えている。尚、空調機器102a〜102dの構成は空調機器101a〜101dと同様であるため、図2ではその図示を省略している。また、空調機器101c,101dの内部構成は空調機器101bと同様であるため、内部構成の図示は省略している。
【0015】
データ取得部130a,130b,…は、環境データや運転データを取得してRAM160a,160b,…に格納する機能部であり、データ送受信部140a,140b,…は、図1に示すコントローラ110a,110bを介して集中コントローラ200との通信を行うための通信制御部である。尚、データ取得部130a,130b,…は、個体管理制御プログラムや環境データ測定制御プログラムをプロセッサが実行することで実現されている。ROM150a,150b,…には、個体識別番号や機種情報といった、空調機器としての個体識別に関する情報やデータ取得部130a,130b,…の機能を実現するためのプログラム等が記録されている。RAM160a,160b,…には、環境データや運転データといった設置後の取得データが記録される。
【0016】
集中コントローラ200は、LAN通信部201、制御部202、接続機器通信部203、データ部204を備えている。LAN通信部201は、ハブ10や無線アクセスポイント12を介して通信機器300a,300b,301との通信制御を行う機能部である。制御部202は、受信した電文の解析や送信する電文の編集、データ部204へのデータ格納といった集中コントローラ200としての各種の制御を行う機能部である。接続機器通信部203は、空調機器101a〜101d,102a〜102dとのデータの送受信を行うための通信制御部である。すなわち、LAN通信部201は、第二の通信手段を構成するための通信部であり、接続機器通信部203は、第一の通信手段を構成するための通信部である。データ部204は、空調機器101a〜101d,102a〜102dのアドレスや機器種類、個体識別番号といった空調機器101a〜101d,102a〜102dに関する情報を記録する記憶部である。
【0017】
個体情報管理サーバ400は、個体情報管理部401、個体情報データベース402、運転情報データベース403、廃棄情報データベース404を備えている。個体情報管理部401は、空調機器101a〜101d,102a〜102dの出荷から廃棄までを集中管理する機能部であり、それぞれの状態のデータの管理を、集中管理データベースとしての個体情報データベース402〜廃棄情報データベース404を用いて行うよう構成されている。
【0018】
図3は、個体情報データベース402〜廃棄情報データベース404の詳細を示す説明図である。
個体情報データベース402は、空調機器101a〜101d,102a〜102d自身に関する情報のためのデータベースであり、個体識別番号や機種情報、ソフトウェア(S/W)とそのバージョン(Ver.)、出荷検査記録といった項目の情報が格納される。運転情報データベース403は、空調機器101a〜101d,102a〜102dの運転状態に関する情報のためのデータベースであり、室外機と室内機の接続状態を示す接続情報やメンテナンスの状態を示すメンテ情報といった項目の情報が格納される。また、運転情報データベース403は、空調機器101a〜101d,102a〜102dに関する特定箇所の振動、電流値、音、温湿度といった計測データを動作環境データとして格納することも可能である。廃棄情報データベース404は、空調機器101a〜101d,102a〜102dの冷媒回収や廃棄に関する情報のためのデータベースであり、廃棄原因や冷媒回収日といった情報が格納される。
【0019】
また、これら個体情報データベース402〜廃棄情報データベース404は、個体情報管理サーバ400とLAN31によって接続される通信機器302や、無線アクセスポイント32を介して接続される通信機器300a,300bからアクセスし、そのデータの照会や変更を行うことが可能である。
【0020】
次に、空調機器管理システムの動作について説明する。
図4は、空調機器の生産から廃棄までのデータの流れを示す説明図である。
空調機器101a〜101d,102a〜102dの生産時100−1には各空調機器固有の個体識別番号(例えばシリアル番号)を決定し、図3で示した個体情報管理サーバ400における個体情報データベース402に機器情報(個体識別番号、機種情報等)が登録される。一方、図2で示した各空調機器の制御基板上のROM150a,150b,…には、個体識別番号が書き込まれる。出荷検査時100−2には、個体識別番号と対応した検査データを図3で示した個体情報データベース402に出荷検査記録として登録する。出荷100−3の際には、個体識別番号と対応した出荷情報を前述の個体情報データベース402に登録する。
【0021】
図1で示した空調機器101a〜101d,102a〜102dを使用する建物への設置100−4の際には、設置建物内における空調システム構成と個体識別番号を図1で示した通信機器301(または通信機器302)により集中コントローラ200を介して取得する。このとき、通信機器301(または通信機器302)などの作業者端末は、その識別情報(例えばMACアドレス)がメーカ側のデータベースに事前に登録されており、集中コントローラ200へのアクセスは登録された通信機器のみから許可される。図4で示した機器の点検や修理などのメンテナンス時100−5には、空調機器101a〜101d,102a〜102d内に蓄積した空調機器の運転データや環境データを個体識別番号と共に集中コントローラ200を介して通信機器301(または302)に取り込み、また、メンテナンス作業者が直接通信機器端末301(または302)から入力した修理情報などとともに、図3で示した運転情報データベース403に個体識別番号と対応させてそれぞれの情報が記録される。リプレースなど、図4で示した廃棄100−6の際には、設置現場で、冷媒回収情報など廃棄と判断できる情報を空調機器101a〜101d,102a〜102dから取得する。または、図1で示した通信機器302の製品追跡データ管理画面から作業者の入力作業によって図2で示す廃棄情報データベース404に登録する。製品追跡データ管理画面からは、個体識別番号を含む空調機器101a〜101d,102a〜102dの登録情報を条件抽出して照会することが可能である。
【0022】
以下、図2をもとに個体識別情報を取得する際の各部の役割と動作について説明する。
通信機器300a,300bと建物内に設置された集中コントローラ200との通信を確立する。このとき、第二の通信手段は、無線アクセスポイント12を介したTCP/IP通信による。次に、設置済みの空調機器101a〜101d,102a〜102dについて、その個体識別情報、空調システム上の接続情報、機種情報などを得る場合、通信機器300a,300bから、個体識別情報照会のための通信電文を集中コントローラ200宛に発行する。これにより、集中コントローラ200は、この通信電文を制御部202で解析し、同一の通信線120a,120b上に接続された空調機器101a〜101d,102a〜102d全てに対して、各機器の個体識別情報と、機種などの機器固有の情報、そして接続構成に関する情報取得のための電文を編集して、接続機器通信部203を介して全空調機器101a〜101d,102a〜102dに送信する。
【0023】
各空調機器101a〜101d,102a〜102dは、この電文を、データ送受信部140a,140b,…で受けると、要求に応じてROM150a,150b,…上の個体識別情報及び各機器の情報、さらに必要な場合にはRAM160a,160b,…上の情報を集中コントローラ200に応答する。集中コントローラ200は、接続機器通信部203を介して応答電文を受け取り、制御部202で解析してデータ部204にある自身の持つ空調システム上のアドレス情報と組み合わせてデータ部204を更新する。次に、集中コントローラ200は、制御部202により、情報取得要求があった各通信機器300a,300bの種類を判別し、それに応じて、空調機器101a〜101d,102a〜102dから取得した情報を応答電文に編集してLAN通信部201を介して通信機器300a,300bに応答し、取得情報を通信機器300a,300bのディスプレイ上に表示させると共に、通信機器300a,300b上に保存可能なデータ形式に編集して保存を促すメッセージを画面に表示させる。なお、このとき、接続情報に関しては、集中コントローラ200は、同一の通信線120a,120b上に接続された空調機器101a〜101d,102a〜102d全ての情報を独自に保存しているデータ部204上の情報と合わせて応答電文を生成する。通信機器300a,300bからは、データ保存を実行し、個体識別情報を一定のデータ形式で一括ダウンロードすることが可能である。
【0024】
次に、設置後の特定の空調機器の運転データ、環境データなどの個体情報を取得するにあたって、先ず取得したい情報の種類や記録条件を設定する場合の、各構成の役割と動作について説明する。
個体情報条件設定では、上述した個体識別情報取得時と同様に、通信機器300a,300b,301から集中コントローラ200に通信を確立した上で、個体識別情報取得時に個体識別番号とともに得たシステム上の宛先に対して、機器に与えたい設定条件と共に、所定の形式に則った通信電文を集中コントローラ200に発行する。集中コントローラ200は、受け取った電文を解析し、データ部204より個体識別番号に対応するシステム上の宛先を得て、設定すべき記録条件と共に、所定の形式で通信線120a,120bを介して配下の特定の空調機器に対してコマンドとして発行する。なお、宛先の空調機器の特定は、収集済みの個体識別データを通信機器300a,300b,301のディスプレイ上に表示して、建物内の該当の空調機器を選択するなどして行うことができる。
【0025】
設定すべき条件とは、計測対象のセンサ、計測開始トリガ、計測終了条件、計測方法などを示し、予め決められた記述形式に則って設定できる。例えば、ある地域の建物で、高温になる可能性が疑われる場所に設置された空調機器Aに対し、空調機器内の温度センサCの検知温度が閾値Xを越えた場合に機器内のセンサBの値を記録したい場合などが考えられる。このとき、コマンド内には、環境測定の条件としてセンサCの検知温度を用いる場合などが考えられる。このとき、コマンド内には、環境測定の条件としてセンサCの検知温度を監視すること、センサCの閾値X、閾値オーバでセンサBの値を記録することを記録条件として記述する。
【0026】
条件を受け取った空調機器Aは、データ取得部130a,130b,…で、受け取ったコマンドを解析し、環境データ記録のための制御を開始する。このとき、受け取った条件値やデータは、RAM160a,160b,…に記録する。例えば、空調機器Aを、図2で示す空調機器101bとした場合、固定の情報としての識別情報はROM150aに、また、制御条件及び記録データはRAM160aに格納される。
【0027】
次に、空調機器設置後の環境データ測定時の動作について説明する。
図2に示した空調機器101a〜101d,102a〜102dのデータ取得部130a,130b,…は、所定の条件下で環境データを測定し、記録する。図5は、前記データ取得部130a,130b,…の動作を示すフローチャートである。
先ず環境測定要否判定を行い(ステップST1)、測定しない=NOであれば処理を終了する。測定する=YESであれば、次に、測定条件による分岐を行う。条件Aが処理対象であったとき(ステップST2:YES)は、収集周期であって記録条件を満たす(ステップST4:YES)のとき、センサAよりデータを取得して(ステップST5)、所定の形式でRAM160a,160b,…に記録する(ステップST6)。
【0028】
条件Bが処理対象であったとき(ステップST7:YES)は、センサCの値が閾値Xを超えたときに記録条件を満たす(ステップST9:YES)としてセンサBのデータを取得して(ステップST10)、所定の形式でRAM160a,160b,…に記録する(ステップST11)。
【0029】
条件Cが処理対象であったとき(ステップST12:YES)は、センサCの値が閾値Xを超えたことをトリガに、一定周期で記録条件を満たす(ステップST14:YES)。記録条件を満たしたとき、センサBのデータに基づいて記録値Qを算出し(ステップST15)、記録する(ステップST16)。このとき、値QはセンサA値、センサC値を所定の計算式に代入して求めた解である。いずれの場合も、終了条件を満たしてれば(ステップST3、ST8、ST13:YES)記録は行わず処理を終了する。
【0030】
尚、環境データは複数の測定条件と測定対象を組み合わせて動作することも可能である。また、個体内のセンサ類以外に、空調機器外に計測機器類を設置し、そこから空調機器に接続した上で、空調機器の外部入力による値を測定するようにすることも可能である。
【0031】
次に、個体識別情報または各個体で記録した環境データ、運転状態データの収集と、個体情報管理サーバ400への情報登録の動作について説明する。
個体識別情報または各個体で記録した環境データ、運転状態データの収集においては、個体識別情報取得時と同様に、通信機器300a,300b,301から集中コントローラ200に通信を確立した上で、取得済みの個体識別情報と接続情報とを元に特定機器の宛先を決定し、個体の宛先情報と共に情報収集命令を所定の形式に則った通信電文で集中コントローラ200に発行する。集中コントローラ200は、受け取った電文を制御部202で解析し、所定の形式で通信線120a,120bを介して配下の特定の空調機器にコマンドとして発行する。
宛先の空調機器は、要求された情報について、データ送受信部140a,140b,…は、ROM150a,150b,…、あるいはRAM160a,160b,…から収集し、所定の形式に編集の上、集中コントローラ200に応答する。このとき、環境データ、運転状態データが要求された場合も、個体識別情報を合わせて応答する。集中コントローラ200は、空調機器からの応答電文を解析し、所定の形式に則った通信電文として通信機器300a,300b,301へと送信する。
【0032】
次に、空調機器101a〜101d,102a〜102dから得られた個体別の情報を個体情報管理サーバ400に登録する。図3に示しているように、各通信機器300a,300b,302から、TCP/IP通信を介して個体情報管理サーバ400との通信を確立する。このとき、通信先は、個体情報管理サーバ400と通信可能な中継機でもよい。個体情報管理サーバ400(または中継機)は、通信機器300a,300b,302の種類を判別し、それに応じて通信機器の個体識別情報登録画面情報をその通信機器に送信する。通信機器からは、表示された個体識別情報登録画面から、個体情報管理サーバ400に対して、取得できた個体情報や廃棄情報をデータ送信することが可能である。個体情報管理サーバ400では、受信したデータを個体情報管理部401によって、運転情報データベース403や廃棄情報データベース404に格納する。
【0033】
また、空調機器101a〜101d、102a〜102dについて、各個体から得られる情報以外の情報を通信機器300a、300b、302から作業者が直接入力することも可能である。たとえば、部品の交換について、交換部品の形名や交換理由、作業者の名前などといった一定の情報を、通信機器画面から入力する。このとき、入力情報は、個体情報をデータベースに登録する際と同様の接続手段を用いて運転データベース403に登録することができる。
【0034】
次に、動作異常など、空調機器の不具合の調査や修理を行う場合などに、個体情報をもとに類似事象や対応策を得る方法について説明する。図2に示した空調機器101a〜101dについて、いずれかまたは全ての機器に不具合事象があって調査する場合、メンテナンス作業者は、前述の手段で目的の空調機器の個体識別情報と個体情報を得る。次に、得られた個体情報、例えば、その機種、ロット、空調機制御ソフトウェアのバージョン、センサで検知した機器の内部状態の特徴、不具合事象などを抽出条件として任意に組み合わせた上で、通信機器300a、300bから、または中継機から個体情報管理サーバ400内の運転情報データベース403に対して蓄積情報読み取り要求を出力する。これに対して、個体情報管理サーバ400より、該当の情報が抽出されて、問合せ結果が通信機器300a、300b、あるいは中継機に返却される。返却された情報は、通信機器300a、300bなどの端末上で読み取ることができる。
【0035】
次に、図1に示した空調機器101a〜101d,102a〜102dを廃棄する際の情報登録について説明する。
廃棄する空調機器の特定は、先に収集済みの個体識別データを用いて建物内の該当の空調機器を通信機器300a,300bのディスプレイ上で選択するなどして行う。取得済みの個体識別情報と接続情報を元に特定機器の宛先を決定し、冷媒回収検知機能を搭載した空調機器に対しては、個体の宛先情報と共に廃棄処理開始を所定の形式に則った通信電文で集中コントローラ200に発行する。空調機器は集中コントローラ200経由で廃棄処理開始命令を受け取り、データ取得部130a,130b,…により、冷媒回収検知処理を実行する。
【0036】
冷媒回収検知処理を図6のフローチャートに示す。実行条件が与えられると、冷媒圧の変化検知が開始され(ステップST101)、冷媒回収を示すと判断できる変化値が出現するまで実行する。所定の算出方法に従って、冷媒回収と判断できる値変化が発生したかどうかを判定し(ステップST102)、発生=YESならば、個体上のRAM160a,160b,…に、冷媒回収完了を記録する(ステップST103)。冷媒回収と判断されなければ、冷媒圧の変化等をRAM160a,160b,…に記録し(ステップST104)、集中コントローラ200から新たな指令があるまで処理を継続する。
【0037】
次に、通信機器300a,300bから冷媒回収完了問い合わせの電文を発行する。集中コントローラ200は所定の形式で問い合わせ電文を特定宛先の空調機器に発行し、空調機器はRAM160a,160b,…上に記録された冷媒回収情報を返信する。ここで、通信機器300a,300bが冷媒回収完了の記録を受け取った場合には、廃棄情報データベース404の更新を行う。
【0038】
冷媒回収検知の機能を搭載していない空調機器の廃棄、あるいは、冷媒回収の確認を行わない場合には、廃棄予定の特定の個体情報について廃棄情報を入力する。入力内容は、通信機器300a,300b,302から個体情報管理サーバ400に対し、上述した設置情報登録時と同様の手段で登録する。建物内で確認することなく廃棄情報が分かっている場合は、個体情報データベース402〜廃棄情報データベース404に関する通信機器のメンテナンス画面から設置時の情報を照会し、廃棄情報を追記することが可能である。
【0039】
以上のように、集中コントローラ200に接続された空調機器101a〜101d,102a〜102dから、個体単位に固有の情報を取得するようにしているので、空調システム内の室外機、室内機、換気機器その他全ての空調機器の個体識別情報を一括して取得することができ、さらに、空調機器個体固有の環境データも収集することができる。
また、個体識別情報は、空調機器の制御基板の記憶媒体上に記録されるため、製品生産時に決定可能で、汎用的な空調制御ソフトウェアと密接な関係を持たせることも可能である。これらによって、生産から廃棄に至るまでの一連の製品情報を一括管理することが可能で、正確な個体管理と迅速な個体情報のトレースが可能となる。
【0040】
以上説明したように、実施の形態1の空調機器管理システムによれば、少なくとも1台の室内機と1台の室外機とで構成される1または複数の空調ユニットと集中コントローラとの間で通信を行い、空調ユニットの情報を集中コントローラに転送するための第一の通信手段と、集中コントローラと通信機器との間で通信を行い、集中コントローラに転送された空調ユニットの情報を通信機器に転送するための第二の通信手段と、通信機器に転送された情報を、空調ユニットの情報を管理する個体情報管理サーバに転送するための第三の通信手段とを備えたので、空調機器の管理が低コストで実現でき、かつ、複数の空調機器を集中管理する空調システムといった管理システムに対してもセキュリティ上の影響を及ぼすことのない空調機器管理システムを得ることができる。
【0041】
また、実施の形態1の空調機器管理システムによれば、第二の通信手段は、集中コントローラに対して通信機器を任意に接続可能な通信手段としたので、必要に応じて集中コントローラと通信接続することができる。
【0042】
また、実施の形態1の空調機器管理システムによれば、通信機器は、第二の通信手段に対応したインタフェースと、第三の通信手段に対応したインタフェースとを備えたので、通信機器を介して集中コントローラから得た情報を個体情報管理サーバに転送することができる。
【0043】
また、実施の形態1の空調機器管理システムによれば、第二の通信手段は、二者間限定の近距離通信であり、第三の通信手段は、公衆回線を用いたので、空調機器の管理システムに対するセキュリティを保持し、かつ、低コストで空調機器の管理を行うことができる。
【0044】
また、実施の形態1の空調機器管理システムによれば、個体識別情報を含む個体情報を有する空調機器と、空調機器と通信を行い、個体情報を取得する集中コントローラと、集中コントローラに対して空調機器の個体情報取得要求を行うと共に、個体情報取得要求の応答として集中コントローラから個体情報を取得する通信機器と、通信機器が収集した空調機器の個体情報を保持する個体情報管理サーバとを備え、集中コントローラは、通信機器より個体情報取得要求を受け取った場合、個体情報取得要求に対応した空調機器より個体情報を取得し、この個体情報を通信機器に応答として送出するようにしたので、人為的な誤りがなく全ての空調機器の個体情報を収集することができる。
【0045】
また、実施の形態1の空調機器管理システムによれば、空調機器は、空調機器の環境に関する計測データとしての動作環境データと、空調機器が運転することにより発生する運転履歴データとを個体情報として保持すると共に、計測データの計測条件は、個体情報を取得する経路で通信機器から設定可能であるようにしたので、例えば、任意のタイミングでサービスマン等が通信機器を介して、全ての空調機器またはある特定の空調機器に対して、データの記録条件となる特定センサの閾値や、計測するデータの種類情報を与えることで、環境データの計測開始や、計測条件の変更を行うことができる。更に、その後、任意のタイミングで、各空調機器で検知または計測した特定箇所の振動、電流値、音、温湿度といった動作環境データや、運転有無や設定状態、積算運転時間などといった運転履歴データを通信電文によって個体情報として回収することができる。
【0046】
また、実施の形態1の空調機器管理システムによれば、個体情報管理サーバは、個体識別情報を格納する個体情報データベースと、動作環境データと運転履歴データとを格納する運転情報データベースとを備え、通信機器は、個体情報管理サーバにアクセスすることで、個体情報データベースと運転情報データベースのデータを参照可能であるようにしたので、空調機器に関する個体情報を一元管理することができ、例えば、これらデータベースのデータを分析し、空調機器の機能改善や開発の材料とすることができる。
【0047】
また、実施の形態1の空調機器管理システムによれば、個体情報管理サーバは、空調機器の廃棄情報を格納する廃棄情報データベースを備え、通信機器は、個体情報管理サーバにアクセスすることで、廃棄情報データベースを参照可能であるようにしたので、空調機器が廃棄されたことを確実に把握することができる。
【0048】
また、実施の形態1の空調機器管理システムによれば、個体情報管理サーバは、個体識別情報を格納する個体情報データベースと、動作環境データと運転履歴データとを格納する運転情報データベースとを備え、通信機器は、個体情報管理サーバにアクセスすることで、個体情報データベースと運転情報データベースのデータを参照可能であるようにしたので、通信機器から、ある抽出条件を指定して、これらデータベース上のデータの抽出要求を出し、さらにその結果を通信機器上に得ることができる。例えば、空調機器の不具合事象の調査において、調査対象となった機器の個体情報を取得して、その情報の内容に応じて絞り込み条件を指定して個体情報管理サーバ内のデータから合致する情報を抽出し、通信機器上で確認することができる。これによって、同一機種の傾向と照らして異常の有無を判断したり、類似の不具合事象の原因と対策を抽出し、問題の早期解決や調査内容の統一を期待できる。
【0049】
また、実施の形態1の空調機器管理システムによれば、空調機器は、冷媒圧の変化に基づいて冷媒回収が行われたことを記録するデータ取得部を備えると共に、廃棄情報データベースは冷媒回収の情報を有し、通信機器は、廃棄情報データベースより冷媒回収の有無の情報を取得するようにしたので、例えば、メンテナンス時やリプレース時に、冷媒回収作業に先立ってサービスマン等が通信機器を介して冷媒回収情報を取得することが可能であり、かつ、その後、確実に冷媒回収が行われたか否かといったことを確認することができる。このとき、冷媒回収の目的が空調機器の廃棄のためであれば廃棄情報として個体情報データベース上の廃棄情報データベースにその旨登録可能であり、またはメンテナンス時に部品交換等の理由により冷媒回収のみを行い、その後冷媒を再注入するなどして機器の使用を継続するためのものでれば、メンテナンス情報として固体情報データベース上の運転情報データベースに冷媒回収を記録することができる。
【0050】
また、実施の形態1の空調機器管理システムによれば、個体情報データベースは、空調機器の出荷時の情報を有するようにしたので、空調機器の出荷から廃棄までの流れを確実に把握することができる。
【0051】
実施の形態2.
実施の形態2では、集中コントローラが複数台設けられた例について説明する。
図7は、実施の形態2の空調機器管理システムの構成図である。
実施の形態2における空調機器管理システムは、空調機器101a〜101d,102a〜102d、コントローラ110a,110b、集中コントローラ200a,200b,200c、通信機器300a,300b,301,302、個体情報管理サーバ400、データインタフェースサーバ500を備えている。集中コントローラ200a〜200cは、それぞれ管理対象とする空調機器101a〜101d,102a〜102dが割り当てられており、基本的な機能は実施の形態1の集中コントローラ200と同様である。データインタフェースサーバ500は、どの集中コントローラ200a〜200cがどの空調機器101a〜101d,102a〜102dに割り当てられているかの情報を有し、通信機器300a,300bからの個体識別情報取得要求に対して、いずれかまたは全ての集中コントローラ200a〜200cとの通信を行って、個体識別情報の応答を行うよう構成されている。その他の構成は図1に示した実施の形態1の構成と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
図8は、空調機器101a〜101d,102a〜102dと集中コントローラ200a〜200cと、データインタフェースサーバ500の内部構成を示している。尚、図8においても、集中コントローラ200a〜200cと空調機器101a〜101d,102a〜102dの一例として、集中コントローラ200aと空調機器101a〜101dのみ示している。また、集中コントローラ200aと空調機器101a〜101dの構成は、図2で示した集中コントローラ200と空調機器101a〜101dの構成と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0053】
データインタフェースサーバ500は、LAN通信部501、制御部502、コントローラ通信部503、データ部504を備えており、集中コントローラ200a〜200cが設けられた建物内に設置されている。LAN通信部501は、ハブ10、ネットワーク11、無線アクセスポイント12を介して通信機器300a,300bとの通信制御を行う機能部、制御部502はデータインタフェースサーバ500としての制御を司る機能部、コントローラ通信部503は、ネットワーク11やハブ10を介して集中コントローラ200a〜200cとの通信制御を行う機能部である。
【0054】
このように構成された空調機器管理システムにおいて、通信機器300a,300bは、TCP/IP通信によりデータインタフェースサーバ500と通信を行う。通信機器300a,300bからの個体情報取得要求または個体情報取得のための設定条件は、データインタフェースサーバ500に送信する。データインタフェースサーバ500は、LAN通信部501を介して受け取った要求電文を制御部502で解析し、コントローラ通信部503は、集中コントローラ200a〜200cに対して要求電文を送信する。集中コントローラ200a〜200cに対しては、コントローラ通信部503が、先ず存在確認を行い、応答のあった集中コントローラ200a〜200cのネットワーク上のアドレスをデータ部504に記録する。次に、接続が確立できた集中コントローラ200a〜200cに対し、制御部502は、その集中コントローラ200a〜200c配下の空調機器101a〜101d,102a〜102dに対して各機器の個体識別情報と、機種などの機器固有の情報、そして接続構成に関する情報取得のための電文を編集して、コントローラ通信部503により集中コントローラ200a〜200cに送信する。データインタフェースサーバ500からの情報取得要求を受けた集中コントローラ200a〜200cにおける空調機器101a〜101d,102a〜102dからの情報取得については実施の形態1と同様である。
【0055】
データインタフェースサーバ500では、集中コントローラ200a〜200cから個体情報取得要求に対する応答を受け取ると、LAN通信部501によって通信機器300a,300bに対して取得要求に対する応答電文を送信する。また、データインタフェースサーバ500では、特定の空調機器101a〜101d,102a〜102dに対する個体情報取得要求が通信機器300a,300bからあった場合、制御部502は、データ部504を参照して、該当する集中コントローラ200a〜200cを特定し、その集中コントローラ200a〜200cに対して情報取得要求を送信する。
【0056】
尚、通信機器300a,300bで取得した個体識別情報を個体情報管理サーバ400で管理する点に関する処理については実施の形態1と同様である。
【0057】
以上のように、データインタフェースサーバ500は、ネットワーク上で接続可能な集中コントローラ200a〜200cから、一括してデータを取得し、通信機器300a,300bに応答することが可能である。従って、例えば、サービスマンは、空調機器の試運転やメンテナンス時の機会に、建物内のデータインタフェースサーバ500に対して通信機器300a,300bを用いてアクセスするだけで、建物内の全ての空調機器101a〜101d,102a〜102dの接続情報と個体識別情報を得ることが可能である。建物内のデータインタフェースサーバ500から無線アクセスポイント12による無線通信が可能な場合には、建物内で登録作業を行う必要がなく、また、インターネット回線により正確な接続情報を得ることも可能である。さらに、データインタフェースサーバ500を介して得られた個体識別情報、実施の形態1と同様に、個体情報管理サーバ400に登録し、情報の一元管理を行うことができる。
【0058】
以上説明したように、実施の形態2の空調機器管理システムによれば、それぞれが個体識別情報を含む個体情報を有する複数の空調機器と、個体情報取得要求を受けた場合、複数の空調機器のうち少なくともいずれかの空調機器と通信を行い、個体情報を取得する複数の集中コントローラと、複数の集中コントローラのうち、どの集中コントローラがどの空調機器の個体情報を取得するかを示す情報を管理するデータインタフェースサーバと、データインタフェースサーバに対して空調機器の個体情報取得要求を行うと共に、個体情報取得要求の応答としてデータインタフェースサーバから個体情報を取得する通信機器と、通信機器が収集した空調機器の個体情報を保持する個体情報管理サーバとを備え、データインタフェースサーバは、通信機器より個体情報取得要求を受け取った場合、個体情報取得要求に対応した空調機器の個体情報を取得する集中コントローラに対して個体情報取得要求を行い、集中コントローラからの個体情報取得要求への応答を受けた場合は、この個体情報を通信機器に応答として送出するようにしたので、複数の集中コントローラが存在する場合でも、人為的な誤りがなく全ての空調機器の個体情報を収集することができる。
【0059】
実施の形態3.
実施の形態3は、集中コントローラ専用の機器を用いず、汎用的なパーソナルコンピュータ等を用いて、直接空調機器の通信線に接続し、各機器から直接データ収集を行うようにした例である。
【0060】
図9は、実施の形態3の空調機器管理システムの構成図である。
図9に示す空調機器管理システムは、空調機器101a〜101d,102a〜102d、通信機器303、個体情報管理サーバ400、プロトコル変換器600を備えている。通信機器303は、パーソナルコンピュータ等であり、個体情報収集に関して実施の形態1,2における集中コントローラ200,200a〜200cと同等の機能を有している。すなわち、通信線120a,120b上に存在する複数の空調機器101a〜101d,102a〜102dに対してコマンドを発行し、応答を解析してシステム上の構成と個体情報とを関連付ける機能を有している。このとき、空調機器101a〜101d,102a〜102dにおける専用プロトコルを用いて通信機器303が通信を行う方法と、図9に示す空調機器101a〜101d,102a〜102dの専用プロトコルを通信機器303におけるTCP/IPに変換するプロトコル変換器600を用いてもよい。また、通信機器303は、関連付けた内容で電文を編集し、TCP/IP通信によって個体情報管理サーバ400とのデータ通信を行うことも可能であり、実施の形態1、2と同様に個体情報管理サーバ400に登録し、情報の一元管理を行うことができる。
【0061】
以上説明したように、実施の形態3の空調機器管理システムによれば、個体識別情報を含む個体情報を有する空調機器と、空調機器と通信を行い、個体情報を取得する通信機器と、通信機器が収集した空調機器の個体情報を保持する個体情報管理サーバとを備えたので、集中コントローラ専用の機器が存在しないシステムであっても、人為的な誤りがなく全ての空調機器の個体情報を収集することができる。
【0062】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0063】
101a〜101d,102a〜102d 空調機器、110a,110b コントローラ、120a,120b 通信線、130a,130b データ取得部、140a,140b データ送受信部、150a,150b ROM、160a,160b RAM、200,200a〜200c 集中コントローラ、201 LAN通信部、202 制御部、203 接続機器通信部、204 データ部、300a,300b,301,302,303 通信機器、400 個体情報管理サーバ、401 個体情報管理部、402 個体情報データベース、403 運転情報データベース、404 廃棄情報データベース、500 データインタフェースサーバ、600 プロトコル変換器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1台の室内機と1台の室外機とで構成される1または複数の空調ユニットと集中コントローラとの間で通信を行い、前記空調ユニットの情報を前記集中コントローラに転送するための第一の通信手段と、
前記集中コントローラと通信機器との間で通信を行い、前記集中コントローラに転送された前記空調ユニットの情報を前記通信機器に転送するための第二の通信手段と、
前記通信機器に転送された情報を、前記空調ユニットの情報を管理する個体情報管理サーバに転送するための第三の通信手段とを備えたことを特徴とする空調機器管理システム。
【請求項2】
第二の通信手段は、集中コントローラに対して通信機器を任意に接続可能な通信手段であることを特徴とする請求項1記載の空調機器管理システム。
【請求項3】
通信機器は、第二の通信手段に対応したインタフェースと、第三の通信手段に対応したインタフェースとを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の空調機器管理システム。
【請求項4】
第二の通信手段は、二者間限定の近距離通信であり、第三の通信手段は、公衆回線を用いたものであることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の空調機器管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−24546(P2013−24546A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163186(P2011−163186)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(591036457)三菱電機エンジニアリング株式会社 (419)
【Fターム(参考)】