説明

空調機用外付け式フラップ装置

【課題】冷房時空調機の室内側から吐出される気流の温度は冷たくこの気流に直接さらされると不快なだけでなく健康にもよくない。空調機の風向調節、冷房温度の引き上げ等だけでは対処できないことが多く空調機の吐出し口近傍に気流遮蔽板を設けたり衝立を立てたりして対応する場合もあるが本来の空調機能を損ねやすくいまだ適切な解決方法が無い。
【解決手段】空調機の室内側吐き出し口から出てくる冷気流の流路のすぐ前方に加熱器を一体的に具有する外部フラップを設けこれに冷気流をあてて加熱し適宜昇温してから再度2次的に吐出させる。フラップの形状、構造、材質、取り付け方法、加熱器の制御等の組合わせで既設の空調機を含め多様な機種への応用展開が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主として冷房のために用いられる空調機から吐出される冷たい気流(以下冷気流と言う)の制御に用いる外部取り付け式フラップ装置に関する。一般に空調機では冷房時室内の空気を室内機が内蔵の送風機で吸入し、やはり内蔵の熱交換器内の冷却媒体と熱交換して冷却し吐出し口から低温の冷気流として送り出し室内を循環して冷房を行うが、特にある程度冷房された室内や冷房負荷の小さい時、あるいは夜間の就寝時等冷房能力を大きく低減させて冷房に伴う除湿効果を強調して運転する「弱冷房」や実態はほぼ同じながら通称「ドライ」(擬似ドライ)運転モードなどではより冷たい冷気流が吐出される。このような冷気流が直接人体にあたることは不快であるだけではなく各種の健康上の弊害も懸念されるため気流の適切な制御をしてより快適な気流を得ることは空調機にとり重要な技術分野である。
【背景技術】
【0002】
通常冷房時空調機室内吐出側はインバーター方式等で圧縮機の回転数を増減して作動冷媒の循環量を変え同時に室内機の送風機の回転数も増減させてその冷却する気流の温度や風量を変化させ、さらにこれを吐出し口通路に設けられる複数のハネ(ブレード)の方向を調節して吐出し方向を設定し冷気流を生成している。一般的に冷房時は吐出し気流の方向は室内高所の天井面や壁面上部や窓に設けられた空調機の室内側からなるべく直下方向を避けて天井面に沿わせるように設定される。これは吐出された比重の大きい冷気流がより遠方に達してから床方向に自然落下するほうが合理的に冷房できるためであるが、前記「弱冷房」や「擬似ドライ」運転モードでは風量が通常の「冷房」運転モードより小に抑制されているため風速が減少し室内側冷却用熱交換器とより長く接触してより冷やされ同時に風速も小となっているため吐出後も遠方までは到達しにくい。通常の空調機では冷房時の標準状態での吸入温度が顕熱温度27度C(潜熱温度19.5度C)時前記運転モードでは吐出し顕熱温度は14ないし12度C程度に低下することがあり冷蔵庫の野菜庫並みの冷たさとなっている。このためより人体におよぼす冷気流の影響は大きくなる傾向にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既述のように冷房時空調機の室内側から吐出される気流の温度は冷たく、特に冷房負荷の少ない「弱冷房」や「擬似ドライ」運転モードではより冷たくなり、この気流に直接さらされると不快なだけでなく健康にもよくない。特に小児や冷え性の人あるいは神経痛の患者等には深刻な問題となっておりいわゆる「冷房病」の原因の懸念もある。空調機側で風向調節、冷房温度の引き上げ等を行って対処しても十分満足な結果が得られない場合が多くやむを得ず空調機の吐出し口近傍に気流遮蔽板を設けたり衝立を立てたりして個々に冷気流の直撃を避ける対応している場合があるが本来の冷房空調の効果が阻害されるだけでなく安定した効果自体あまりに多くは期待できないのが実態でこの課題の解決が強く求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、空調機の室内側吐き出し口から出てくる冷気流の流路のすぐ前方に加熱器を一体的に具備する外部フラップを設けこれに該冷気流をあてて加熱し適宜昇温してから再度2次的に吐出させ前記課題を解決しようとする。
【発明の効果】
【0005】
前述の手段により従来は直接人があたると冷たかった気流がフラップの加熱器で適宜暖められているので大幅に不快感を低減でき健康上の障害度も緩和される。吐出される空気流の顕熱温度は上昇するため冷たい感じは減少し見かけの冷房効果は低下するが除湿効果には変化が無く(潜熱温度は変化しない)真の「ドライ」運転に近づくので特に「弱冷房」もしくは「擬似ドライ」運転時などでは体感上の快適感は向上し得る。夜間睡眠時に冷気流が気になったり冷えすぎを懸念したりしてエアコンの使用に不満足だった使用者も安心して活用可能となり空調機の使用範囲拡大と空調品質の向上に資する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施は該外部フラップの長手方向は該空調機の室内側吐き出し口の長さとほぼ等しく幅は該冷気流に応じてよくこれがあたり熱交換されるような形状及び構造とし、その取り付けは該空調機との相互位置が最適になるよう外部取り付け装置部によりなされる。ここに加熱器は例えば電気ヒーターを用いフラップに密接して設けられこれへの電気入力を該冷気流の加熱具合に応じて適宜制御することにより2次的に吐出される気流の温度は入ってきた時より加熱昇温される。
【実施例】
【0007】
以下、本発明を図1から図2に示す実施例について説明する。同図1は本外付け式フラップ装置を対応する空調機に取り付けた状態の側面概念図、図2は同状態における正面概念図である。本機は主に図1と図2で示すようにエアコン本体(1)の室内側躯体に本外付け式フラップ本体(10)をその取付枠(11)を用いて装着し該エアコン本体(1)の室内側吐出口(31)から吐出される吐出空気流(31)の流路中に来るよう該外付け式フラップ本体(10)におけるフラップ(12)を設けることにより構成される。このとき該フラップ(12)には同図斜線ハッチングで示す加熱器(13)が取り付けられ前記の吐出空気流(31)と十分に接触できるよう必要に応じて角度調整装置(14)により角度や位置を調節される。室内の空調を本実施例では冷房とするとエアコン本体(1)の室内側吸入口(2)から吸入される吸入空気流(21)がエアコン本体(1)に内蔵の送風ファン(図示せず)により吸入され内部の冷却用熱交換器(図示せず)で冷却され該吐出口(30)から冷たい吐出空気流(31)となって室内に戻され冷房の空気流が循環される。現在わが国のエアコンは圧縮機や凝縮熱交換器などの冷媒凝縮機構の入った室外機(図示せず)と送風ファンと冷媒蒸発熱交換器の入った室内機から構成されるセパレート(もしくはスプリト)型が主流であり室内の空気を冷却して得た熱を冷媒の熱作用により室外の熱交換器に放熱することで冷房作動するが室外機部分と室内機部分が一体として構成されおもに窓に取り付けられるウインドウ型でも本発明にかかわる装置は同じく取付け可能で有効に作用し得る。主流のセパレート型室内側は通常室内の壁面に設置されその吐出口(3)は空調気流の流れの関係から吸入口(2)の下部に配設されることが多くその内部のハネ(ブレード)で吐出空気流の方向を設定しており本実施例はこの場合を主体に説明する。
【0008】
本発明の装置の主体であるフラップ(12)には加熱器(13)をその面上に密着して配設し吐出空気流(31)と広い面で接触できるよう該吐出口(3)の形状に沿って長手方向には長く、幅はこれにあたってから再び室内に吐出される2次吐出空気流(32)を制御できる適当な大きさに設定される。加熱器(13)は通常電気ヒーターを用いこれを線状またはシート状に加工したものを該フラップ(12)に密着して取り付けるがその形状、使用温度に応じてネジ締結、勘合、貼着あるいは一体成形等の方法がまたフラップ(12)の材料には耐熱性のある樹脂、鉄板あるいはアルミやマグネシウム合金等多様な方法を選択することが可能である。また該外部フラップ(12)は該取付枠(11)にある該角度調節装置(14)の操作により該吐出空気流(31)がこれにあたる角度や位置の調整をするほか長手方向の長さや位置も可変で適宜設定し該吐出空気流(31)とよく熱交換できるようにしたり、その表面にフィン状もしくは凹凸状の突起を設け該2次吐出気流(32)を最適の方向に吐出すとともに騒音低減する効果を図るようにしたりすることもできる。また加熱器(13)が電気ヒーターの場合この電気入力(図示せず)は吐出空気流(31)中に設けられる温度センサー(図示せず)および(または)吸入空気の温度や使用者の指示に応じて制御装置(図示せず)で適宜制御されることも可能である。なおフラップ(12)がエアコン本体(1)の本来の使用に支障を与えないよう形状や取り付け位置、方法に既述のように柔軟に設定することにより、本実施例で述べた以外の多様な事例や機種に対応可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0009】
【0009】
本発明の外付け式フラップ装置は比較的簡単な構造で従来の空調機の主に冷房時の課題であった吐出し冷気流による不快感や健康阻害等を解消し快適で質の高い空調を実現でき新設のみならず既設の多様な空調機の室内側に簡易に取付け広範な活用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に関わる外付け式フラップ装置の構造、作用を示す。同図1は本装置を空調機に取り付けた状態の側面概念図、図2は同正面概念図である。
【符号の説明】
【0011】
(1) エアコン本体
(2) 吸入口
(3) 吐出口
(21) 吸入空気流
(31) 吐出空気流
(32) 2次吐出空気流
(10) 外付け式フラップ本体
(11) 取付枠
(12) フラップ
(13) 加熱器
(14) 角度調整装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調機においてその室内側の空調された空気が吐出される気流の前方に加熱器を一体的に具有するフラップを該空調機に取り付け該吐出される気流をあてて加熱し昇温してから再び吐出すようにして構成される外付け式フラップ装置。
【請求項2】
請求項1における外付け式フラップ装置において該空調機から吐出されフラップにあたる気流の角度や位置を該フラップの取り付け角度を調節しこれより2次的に再び吐出される気流の角度や位置を調節可能とすること。
【請求項3】
請求項1における外付け式フラップ装置において加熱器への入力を加熱前後の気流の温度に応じて適宜調節し該気流の加熱量を調節可能とすること。
【請求項4】
請求項1における外付け式フラップ装置においてフラップの長手方向の長さおよび位置を適宜調節、選定可能とすること。
【請求項5】
請求項1における外付け式フラップ装置においてフラップ表面にフィン状突起板や凹凸を適当間隔に設け加熱器の吐出し気流との熱交換を容易にさせるとともに気流の流れを整え騒音も軽減可能とすること。
【請求項6】
請求項1における外付け式フラップ装置においてその関与する空調機の躯体に吊り下げたり、嵌め合わせたりネジとめたりして一体的で強固な固定が得られる取付け装置部を有すること。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−93072(P2012−93072A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255337(P2010−255337)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(507014151)株式会社テラテック (14)
【Fターム(参考)】