説明

空調装置

【課題】 地下水を熱源水として用いる空調装置において、外気と地下水との熱交換効率を高めて高効率の室内空調を行う。
【解決手段】 外気と水との混合媒体を気水分離器10に導き、気水分離器10で分離された空気を室内空調に使用し、気水分離器10で分離された水を地下水と熱交換させた後に外気と混合して上記混合媒体を生成する。気水分離器10に至る混合媒体の給送ライン20に、ブロワー30によって給送された外気とラインポンプ40によって給送された水との混合領域Zが設けられている。混合領域Zの下流側にプレート式熱交換器60の内部通路が介在されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気を地下水と熱交換することにより得られる温度調節及び湿度調節された空気を室内空調に使用するようにした空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空調システムとして、建物などの冷房運転を行うビル用マルチ方式の空調設備と、この空調設備の冷房負荷を処理する熱交換器と、熱交換器に熱源水としての冷却水を循環供給させる熱源設備を備えたものが知られていて、この空調システムでは、熱交換器に、伝熱性に優れた金属プレートをろう付け(ブレージング)によって一体化させたブレージングプレート式(プレート式)熱交換器が設けられている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−190788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によって提案されているような空調システムでは、一般的に、冷却水として水道水が使用され、室内空調に使用される空気が、熱交換器を通して室内空気を循環させることによって生成されているものと考えられる。
【0005】
一方、空調装置にあっては、外気を室内空調に使用し、一年を通してほゞ一定の温度に保たれている地下水を熱源水として利用することができるならば、気温と湿度の高い夏場であるか気温と湿度の低い冬場であるかによってそれほど大きな影響を受けることなく、室内の気温と湿度を、一年を通してほぼ一定の気温と湿度に調整することができるものと考えられる。
【0006】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、地下水を熱源水として用いる空調装置において、外気と地下水との熱交換効率を高めて高効率の室内空調を行うことを可能にすることのできる空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る空調装置は、外気と水との混合媒体を気水分離器に導き、当該気水分離器で分離された空気を室内空調に使用し、当該気水分離器で分離された水を地下水と熱交換させた後、外気と混合して上記混合媒体を生成する空調装置であって、上記気水分離器に至る混合媒体の給送ラインに、ブロワーによって給送された外気とラインポンプによって給送された上記水との混合領域が設けられていると共に、この混合領域の下流側にプレート式熱交換器の内部通路が介在されている。
【0008】
このように構成された空調装置によると、ブロワーによって給送された外気とラインポンプによって給送された水とが、給送ラインの混合領域で合流してその下流側のプレート式熱交換器の内部通路を通過する過程で、外気と水とが直接に接触して両者の間で効率のよい熱の授受が行われる。このように水に直接に接触して温度調整された空気は、気水分離器で水から分離されて室内空調に使われる。また、給送ラインの混合領域で外気に合流する水は、気水分離器で分離された水であって、地下水と熱交換を行った後の水であるので、外気に直接に接触する前に地下水温度に近い温度に温度調節されている。
【0009】
したがって、外気温度が地下水よりも高い夏場では、室内空調に使用される空気が地下水に近い温度にまで効率よく冷却され、かつ、その冷却に伴う除湿作用により乾燥して室内空調に使用されることになる。また、外気温度が地下水よりも低い冬場では、室内空調に使用される空気が地下水に近い温度にまで効率よく昇温し、かつ、水との接触に伴う加湿作用を受けて室内空調に使用されることになる。このことから、この発明の空調装置によると、気温の高い夏場であっても、気温の低い冬場であっても、室内の温度が地下水温度に近い温度に保たれると共に、室内の湿度も、夏場は外気よりも低く保たれ、冬場は外気よりも高く保たれるようになる。
【0010】
さらに、この空調装置では、給送ラインの混合領域で水に合流した外気に含まれる花粉や埃などの塵芥が、その下流側のプレート式熱交換器の内部通路を通過する過程で水により捕集されて外気から取り除かれる。そのため、室内空調に使用される空気には、花粉や埃などの塵芥などが含まれなくなって室内空気が清浄化されるという利点もある。
【0011】
本発明に係る空調装置では、上記気水分離器で分離された水を地下水と熱交換させることに用いられている熱交換器がプレート式熱交換器であることが望ましい。ここで、プレート式熱交換器自体はブレージングプレート式熱交換器として知られている。このプレート式熱交換器は、伝熱プレートの両側に狭い一次側通路と二次側通路とを形成し、一次側通路を流通する熱源の温度を広面積の上記伝熱プレートを会して二次側通路を流通する媒体に効率よく伝達する機能を発揮する。したがって、上記構成を備える空調装置によると、プレート式熱交換器の特性により、熱交換効率をそれほど低下させずに熱交換器の小サイズ化を促進しやすくなるという利点がある。
【0012】
本発明では、混合領域の下流側に内部通路の介在されているプレート式熱交換器が、上記給送ラインの上流側から下流側に向かって多段に並列されている、という構成を採用することが可能である。また、上記ラインポンプが、プレート式熱交換器の水の出口から上記混合領域に至る循環水ラインに介在されている、という構成を採用することも可能である。さらに、上記混合媒体の給送ラインが第1及び第2の2系統のラインでなり、混合領域の下流側に内部通路の介在されているプレート式熱交換器に備わっている2系統の通路に上記2系統のラインが各別に接続されている、という構成を採用することも可能である。
【発明の効果】
【0013】
以上説明した本発明による空調装置によると、気温の高い夏場であっても、気温の低い冬場であっても、室内の温度が地下水温度に近い温度に保たれると共に、室内の湿度も、夏場は外気よりも低く保たれ、冬場は外気よりも高く保たれるようになるので、年間を通して室内を快適な環境に保つことが可能になる。また、外気を導入しているにもかかわらず、室内空調に使用される空気に花粉や埃などの塵芥などが含まれなくなって室内空気が清浄化されるという卓越した効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る空調装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は実施形態に係る空調装置の概略構成である。同図において、10は気水分離器を示している。図例の気水分離器10は立筒型であって、この気水分離器10に水道水を供給するための給水管11が接続されている。そして、給水管11に介在されている開閉弁12を開くことによって、給水管11を経て水道水が気水分離器10に供給され、開閉弁12を閉じることによって気水分離器10への水道水の供給が停止される。また、気水分離器10には、水位レベルの上限と下限とを規制するレベルセンサー13,14が装備されていて、一方側のレベルセンサー13が上限水位を検出することにより開閉弁12が開モードから閉モードに切り換わり、他方側のレベルセンサー13が下限水位を検出することにより開閉弁12が閉モードから開モードに切り換わるようになっている。
【0016】
気水分離器10には、外気と水との混合媒体を導入するための給送ライン20が接続されている。この給送ライン20を通して外気と水との混合媒体が気水分離器10に導入されると、気水分離器10の内部では、重力の影響を受けて気水分離作用が行われる。この気水分離作用が行われると、水が下層を形成し、空気が上層を形成する。さらに、気水分離器10には、上層の空気を室内に送出させるための吐出路15が設けられていると共に、その吐出路15に、空気の流通音を消音させるための消音器16が介在されている。そのほか、気水分離器10の底部に、汚れた水を排出するためのドレイ抜き管17が接続されていて、このドレン抜き管17に開閉弁18が介在されている。
【0017】
上記給送ライン20への外気の導入は、当該給送ライン20に接続されたブロワー30を運転することによって行われる。また、気水分離器10の底部から延び出た循環水ライン50が上記給送ライン20に接続されていて、この循環水ライン50に介在されているラインポンプ40を運転することによって、気水分離器10の内部の水が給送ライン20に導入される。したがって、給送ライン20にあっては、循環水ライン50との合流部分が、ブロワー30によって給送された外気とラインポンプ40によって給送された水との混合領域Zを形成している。給送ライン20において、混合領域Zの下流側にはプレート式熱交換器60の内部通路が介在されている。
【0018】
さらに、上記循環水ライン50には、ラインポンプ40の介在箇所の上流側に熱交換器70が介在されていて、この熱交換器70の一次側通路が地下水の流通路として形成され、二次側通路が気水分離器10から出た水の流通路として形成されている。
【0019】
以上説明した空調装置において、気水分離器10に装備されているレベルセンサー13,14は、上記した給水管11の開閉弁12を開閉制御する機能と共に、開閉弁12が閉モードに設定されているときに、ラインポンプ40の起動停止を制御する機能を有している。すなわち、レベルセンサー13,14は、開閉弁12が閉モード時に、気水分離器10の内部の水位が上限水位と下限水位との相互間に常時保たれるようにラインポンプ40の起動停止を制御するようになっている。
【0020】
以上の構成を有する空調装置において、気水分離器10の内部の水位を上限水位と下限水位との相互間に位置させ、循環水ライン50や給送ライン20を水で満たした初期状態で、ラインポンプ40とブロワー30とを起動させると、ブロワー30によって給送された外気とラインポンプ40によって給送された水とが、給送ライン20の混合領域Zで合流してプレート式熱交換器60の内部通路を通過する。そして、この通過過程で、外気と水とが直接に接触して両者の間で効率のよい熱の授受が行われる。このように水に直接に接触して温度調整された空気は、気水分離器10で水から分離された後、吐出路15を経て室内に供給されて室内空調に使われる。また、給送ラインの混合領域で外気に合流する水は、気水分離器10で分離された水であって、熱交換器70の作用で地下水と熱交換を行った後の水であるので、外気に直接に接触する前に地下水温度に近い温度に温度調節されている。
【0021】
したがって、外気温度が地下水よりも高い夏場では、室内空調に使用される空気が、年間を通じて略20℃程度に保たれている地下水に近い温度にまで効率よく冷却され、かつ、その冷却に伴う除湿作用により乾燥して室内空調に使用されることになる。また、外気温度が地下水よりも低い冬場では、室内空調に使用される空気が地下水に近い温度にまで効率よく昇温し、かつ、水との接触に伴う加湿作用を受けて室内空調に使用されることになる。このことから、気温の高い夏場であっても、気温の低い冬場であっても、室内の温度が地下水温度に近い温度に保たれると共に、室内の湿度も、夏場は外気よりも低く保たれ、冬場は外気よりも高く保たれるようになる。
【0022】
さらに、給送ライン20の混合領域Zで水に合流した外気に含まれる花粉や埃などの塵芥が、その下流側のプレート式熱交換器60の内部通路を通過する過程で水により捕集されて外気から取り除かれる。そのため、室内空調に使用される空気には、花粉や埃などの塵芥などが含まれなくなって室内空気が清浄化されるという利点もある。
【0023】
この実施形態では、気水分離器10で分離された水を地下水と熱交換させることに用いられている熱交換器70にプレート式熱交換器を用いている。したがって、プレート式熱交換器の特性により、熱交換効率をそれほど低下させずに熱交換器の小サイズ化を促進しやすい。
【0024】
また、この実施形態では、給送ライン20の混合領域Zの下流側に設置されているプレート式熱交換器60が、図示のように給送ラインの上流側から下流側に向かって多段に並列されている。このため、複数段のプレート式熱交換器60の内部通路を混合媒体が通過するときに、混合媒体に含まれる水と空気とが十分に攪拌されて両者の直接的な熱交換が効率よく十分に効率よく行われるという利点がある。
【0025】
さらに、この実施形態では、図示のように混合媒体の給送ライン20を第1及び第2の2系統のラインによって形成し、多段に配備されたプレート式熱交換器60の内部通路も2系統のラインによって形成している。
【0026】
この実施形態において、気水分離器10の内部の水が、外気に含まれる花粉や埃などを捕集して汚れたときには、開閉弁18を開いてドレン抜きを行う。
【符号の説明】
【0027】
10 気水分離器
20 給送ライン
30 ブロワー
40 ラインポンプ
50 循環水ライン
60 プレート式熱交換器
Z 混合領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気と水との混合媒体を気水分離器に導き、当該気水分離器で分離された空気を室内空調に使用し、当該気水分離器で分離された水を地下水と熱交換させた後、外気と混合して上記混合媒体を生成する空調装置であって、
上記気水分離器に至る混合媒体の給送ラインに、ブロワーによって給送された外気とラインポンプによって給送された上記水との混合領域が設けられていると共に、この混合領域の下流側にプレート式熱交換器の内部通路が介在されていることを特徴とする空調装置。
【請求項2】
上記気水分離器で分離された水を地下水と熱交換させることに用いられている熱交換器がプレート式熱交換器である請求項1に記載した空調装置。
【請求項3】
請求項1に記載したプレート式熱交換器が、上記給送ラインの上流側から下流側に向かって多段に並列されている請求項1又は請求項2に記載した空調装置。
【請求項4】
上記ラインポンプが、請求項1に記載したプレート式熱交換器の水の出口から上記混合領域に至る循環水ラインに介在されている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載した空調装置。
【請求項5】
上記混合媒体の給送ラインが第1及び第2の2系統のラインでなり、請求項1に記載したプレート式熱交換器に備わっている2系統の通路に上記2系統のラインが各別に接続されている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載した空調装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−38749(P2011−38749A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189134(P2009−189134)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(502187036)庄司建設株式会社 (6)
【Fターム(参考)】