説明

空調装置

【課題】使用者の不快感や健康障害を招く虞のある強制対流の発生を回避しながらも冷暖房効果を効率的に得ることのできる空調装置を提供する。
【解決手段】冷凍回路3の循環冷媒Rと室内空気とを熱交換させる熱交換器7の伝熱部を室内設置時に縦姿勢において室内11に露呈する状態で室内機8に設け、熱交換器7を冷凍回路3の蒸発器として伝熱部に吸熱作用させることで伝熱部周りにコールドドラフトを生じさせて室内11を冷房する自然対流式の冷房運転と、熱交換器7を冷凍回路3の凝縮器として伝熱部に発熱作用させることで室内11に輻射熱を放射して室内11を暖房する輻射式の暖房運転とを実行可能に構成するとともに、伝熱部の温度を調整する制御手段10を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住居や施設等の室内を冷暖房するのに用いられる空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ファン付きの室内機(所謂、エアコン)によって室内空気を温度調整した調整空気(冷気又は暖気)を室内に吹き出すことで、この吹出し空気による強制対流を生じさせて室内を冷暖房する空調装置が多く用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記従来の技術では、比較的短時間で室内を冷暖房し得るものの、室内機からの吹出し空気に人体が晒されるため、その吹出し空気の触感や吹出し空気に晒された部位の冷えすぎ(又は暖まりすぎ)によって使用者が不快感を感じたり、吹出し空気に晒された部位の冷えすぎ(又は暖まりすぎ)によって使用者に健康障害が生じたりする問題があった。
【0004】
特に、吹出し空気に晒された部位の冷えすぎ(又は暖まりすぎ)が起こることは、子供や老人や病人等の比較的体力の乏しい者が空調装置の使用を敬遠する事態となって、そのことで、これらの者に熱中症などの空調装置を使用しないための別種の健康障害を生じさせる問題も招いていた。
【0005】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、使用者の不快感や健康障害を招く虞のある強制対流の発生を回避しながらも冷暖房効果を効率的に得ることのできる空調装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、空調装置に係り、その特徴は、
冷凍回路の循環冷媒と室内空気とを熱交換させる熱交換器の伝熱部を室内設置時に縦姿勢において室内に露呈する状態で室内機に設け、前記熱交換器を冷凍回路の蒸発器として前記伝熱部に吸熱作用させることで伝熱部周りにコールドドラフトを生じさせて室内を冷房する自然対流式の冷房運転と、熱交換器を冷凍回路の凝縮器として伝熱部に発熱作用させることで室内に輻射熱を放射して室内を暖房する輻射式の暖房運転とを実行可能に構成するとともに、前記伝熱部の温度を調整する制御手段を設けてある点にある。
【0007】
上記構成によれば、自然対流式の冷房運転では、縦姿勢において室内に露呈した前記伝熱部の吸熱作用で伝熱部周りにコールドドラフトを生じさせて室内を冷房する、つまり、伝熱部周りのコールドドラフトにより室内の下方側から順次に冷気を貯めていく状態で室内を冷房するから、使用者にほとんど気流を体感させない状態で室内を冷房することができ、恰も鍾乳洞に居るようなひんやりとした略無風の冷房感を使用者に与えることができる。
【0008】
しかも、上述の如く室内下方側から順次に冷気を貯めていくことで、使用者存在域となる下部域から室内を冷却していくから、使用者に対して比較的早期に冷房感を与えることができる。
【0009】
一方、輻射式の暖房運転では、縦姿勢において室内に露呈した前記伝熱部の発熱作用で前記伝熱部から輻射熱を放射して室内を暖房するから、つまり、輻射熱でもって使用者の人体を暖めるから、恰も暖炉の前に居るような略無風の暖房感を使用者に早期に与えることができる。また、室形状によっては伝熱部周りの暖気上昇による自然対流も利用して室内を暖房することができる。
【0010】
そして、自然対流式の冷房運転及び輻射式の暖房運転のいずれでも、室内側での直接的な冷媒の相変化による吸熱作用及び発熱作用で室内を冷暖房するから、冷水や温水を介して室内を冷暖房する場合に比べ、単位面積当たりで大きな吸熱量及び発熱量を得ることができ、その分、室内の冷暖房を効率的に行うことができるとともに、室内機の小型化も図ることができる。
【0011】
しかも、前記制御手段による前記伝熱部の温度調整によって、例えば、伝熱部の温度をその時点で使用者が設定した温度に制御したり、施設管理者等が予め設定した温度に制御したりすることが可能になる。
【0012】
本発明の第2特徴構成は、前記伝熱部を室内の上部域を除く域内に縦姿勢で配置することで、室内の上部域を除く域内を空調対象域として前記冷房運転及び前記暖房運転を実行可能に構成してある点にある。
【0013】
つまり、室内の上部域は使用者の存在域から外れる空間が多いが、上述の如く、自然対流式の冷房運転では室内下方側から順次に冷気を貯めていく状態で室内を冷房し、輻射式の暖房運転では縦姿勢の伝熱部から輻射熱で室内を暖房するから、室内の上部域を外して空調対象域を制限しても、室内下方側から順次に冷気を貯めていく状態で使用者存在域を冷房することができ、また、輻射式の暖房運転では縦姿勢の伝熱部からの輻射熱で使用者存在域を暖房することができる。
【0014】
従って、室内の上部域を除く域内を空調対象域とする上記構成によれば、使用者に対しては十分な冷房感及び暖房感を与えながら、空調対象域を制限する分だけ省エネルギ面で有利なものとすることができる。
【0015】
本発明の第3特徴構成は、前記制御手段を、前記室内機に設けた熱交換器の伝熱部を着霜防止又は除霜する構成にしてある点にある。
【0016】
つまり、上述した自然対流式の冷房運転では、冷媒蒸発による高い吸熱作用により伝熱部の表面部がかなり低温化するため、強制的な通風を行わない状況下において伝熱部の表面部に霜が付いて運転効率が低下する虞があるが、上記構成によれば、前記制御手段により前記伝熱部を着霜防止又は除霜する構成にしてあるから、伝熱部の表面部に着霜した状態での運転により運転効率が低下するのを抑止することができる。
【0017】
本発明の第4特徴構成は、前記制御手段を、自然対流式の前記冷房運転と輻射式の前記暖房運転とで種別の異なる指標に基づいて前記伝熱部の温度を調整する構成にしてある点にある。
【0018】
つまり、自然対流式の冷房運転と、輻射式の暖房運転とで人体への熱伝達形態が異なるため、使用者の体感により近い指標の種別が異なることが考えられるが、上記構成によれば、冷房運転と暖房運転とで種別の異なる指標に基づいて伝熱部の温度を調整するから、冷房運転と暖房運転とでより使用者の体感に近い指標を選択することで、より使用者の体感に即した冷房運転及び暖房運転を実行することができる。
【0019】
本発明の第5特徴構成は、前記伝熱部の伝熱管部を上下方向に沿って冷媒を通過させる縦管姿勢で配置するとともに、この伝熱管部に対して、前記冷房運転時は上向きに冷媒を流し、且つ、前記暖房運転時は下向きに冷媒を流す構成にしてある点にある。
【0020】
上記構成によれば、冷房運転時及び暖房運転時のいずれの場合でも液相冷媒が伝熱管部の下側に位置し、且つ、気相冷媒が伝熱管部の上側に位置する状態で冷媒を循環させることができるから、例えば、液相冷媒が伝熱管部の上側に位置し、且つ、気相冷媒が伝熱管部の下側に位置する状態で冷媒を循環させる場合に比べ、伝熱管中での圧損の少ない状態で、また、円滑に冷媒を循環させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】空調装置の構成図
【図2】室内機の要部の横断面図
【図3】(a)冷房運転時の状態を模式的に示す説明図 (b)暖房運転時の状態を模式的に示す説明図
【図4】前段制御を示すフローチャート
【図5】出力制御1を示すフローチャート
【図6】出力制御2を示すフローチャート
【図7】出力制御3を示すフローチャート
【図8】出力制御4を示すフローチャート
【図9】強制再起動制御を示すフローチャート
【図10】別実施形態の出力制御を示すフローチャート
【図11】別実施形態の出力制御を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、住宅や施設等に設置されるセパレート式の空調装置を示し、この空調装置は、圧縮機1と凝縮器と膨張機構(膨張弁やキャピラリチューブ等)2と蒸発器とにわたって冷媒Rを循環させることで、蒸発器における低圧下での冷媒蒸発により蒸発器の伝熱部に吸熱作用させるとともに、凝縮器における高圧下での冷媒凝縮により凝縮器の伝熱部に発熱作用させる冷凍回路3(ヒートポンプ回路)を備え、冷凍回路3の凝縮器・蒸発器として機能するコイル型の室外側熱交換器4及び通風ファン5を室外機6に装備するとともに、冷凍回路3の蒸発器・凝縮器として機能するフィンチューブ型の複数の室内側熱交換器7を室内機8に装備した装置構成になっている。
【0023】
9は、冷媒Rを図1中の点線矢印方向に沿って循環させる冷房運転と、冷媒Rを図1中の実線矢印方向に沿って循環させる暖房運転とを切り換える四方弁である。また、10は当該空調装置の運転を司る制御器(制御手段の一例)である。
【0024】
前記室内側熱交換器7は、図2に示すように、室内設置時において該熱交換器7の伝熱部(表面部)が室内空間(室内)11に露呈する状態で室内機8に配設してある。当該室内側熱交換器7の伝熱部は、上下方向に沿う縦管姿勢で並列配置した銅製(金属製の一例)の伝熱管部7aの各々に対して、アルミニウム製(金属製の一例)のフィン型の伝熱体7bを外嵌装着して構成してある。
【0025】
ここで、複数の伝熱管部7aを室外機6の圧縮機1に対して並列に接続するには、リバースリターン方式やディストリビュータ方式を採用するのがよい。
【0026】
また、図3に示すように、室内機8は、室内側熱交換器7の伝熱部が主たる使用者の存在域(例えば、室床面から高さ約1.5m程度の範囲)に配置されるように天井高h2よりも小さな高さ寸法h1で構成し、室内側熱交換器7の伝熱部を室内壁面から所定寸法L(例えば、20cm)だけ離した状態で室床面に設置してある。
【0027】
つまり、室内側熱交換器7の伝熱部を使用者存在域に配置することで、室内空間11の使用者存在域を空調対象域として前記冷房運転及び前記暖房運転を実行する。
【0028】
そして、この空調装置は、図1、図2に示すように、室内側熱交換器7の伝熱管部7aの各々に対して、前記冷房運転時は上向きに冷媒Rを流し、且つ、前記暖房運転時は下向きで冷媒Rを流す構成にしてあり、これにより、冷房運転時及び暖房運転時のいずれの場合でも液相冷媒が下側で気相冷媒が上側に位置する相対関係で冷媒Rを循環させる。
【0029】
また、この空調装置は、図3(a)に示すように、室内側熱交換器7を冷凍回路3の蒸発器として伝熱部に吸熱作用させることで伝熱部周りにコールドドラフト(つまり、冷気CAの下降)を生じさせて室内空間11を冷房する自然対流式の冷房運転と、図3(b)に示すように、室内側熱交換器7を冷凍回路3の凝縮器として前記伝熱部に発熱作用させることで室内空間11に輻射熱Hを放射する輻射式の暖房運転とを実行可能に構成してある。
【0030】
つまり、冷房運転では、図1中の点線矢印で示すように、圧縮器1、室外側熱交換器4、膨張機構2、室内側熱交換器7の順で冷媒Rを循環させることにより室内側熱交換器7を冷凍回路3の蒸発器として室内側熱交換器7の伝熱部に吸熱作用させ、室内側熱交換器7の伝熱部での吸熱作用により伝熱部周りの空気を冷気CAにしてコールドドラフトを生じさせて冷気CAを室内空間11の下方側から順次に貯めていく。
【0031】
また、暖房運転では、図1中の実線矢印で示すように、圧縮機1、室内側熱交換器7、膨張機構2、室外側熱交換器4の順で冷媒Rを循環させることにより室内側熱交換器7を冷凍回路3の凝縮器として機能させて室内側熱交換器7の伝熱部に発熱作用させ、この室内側熱交換器7の伝熱部の発熱作用により室内空間11に輻射熱Hを放射させるとともに、伝熱部周りの空気を暖気HAにする。
【0032】
前記制御器10は、室内機8に設けた操作部や室内に配置した操作端末などの出力指示手段による出力指示値(出力指示情報の一例)、及び、室内側熱交換器7の伝熱部(本例では、伝熱管部7aに設けた温度センサ(検出器の一例)の検出値(検出情報の一例)に基づき、四方弁9の切り換えや圧縮機1の段階的な出力調整(段階的又は連続的な出力調整の一例)を行うことにより、後述する前段制御、出力制御(伝熱部の温度制御)、強制再起動制御の各制御を実行する。
【0033】
先ず、前段制御について説明する。
図4に示すように、前段運転制御では、冷房運転モードと暖房運転モードのいずれが選択されたかを検出し、所定時間の間、検出した運転モードで最大出力での運転(本例では、100%出力運転)を実行させる。そして、目盛1〜4(出力指示値の一例)のいずれの目盛が選択されたかを検出し、目盛に応じた出力制御に移行する。
【0034】
次に、出力制御について説明する。
図5〜図7に示すように、出力制御1〜3の各々では、先ず、目盛1〜3の各々に応じた目標温度を設定し、前記強制再起動制御のための時間計測をスタートさせ、その目盛に応じた基本設定出力での運転を実行させる。
【0035】
なお、図5〜図7は、基本的に冷房運転モードのフローチャートを示しており、暖房運転モードの場合に代わる箇所のみを同図中に括弧書きで示している。
【0036】
本実施形態では、33%出力運転、66%出力運転、100%出力運転の3段階の出力運転を設定してあり、目盛1の場合は33%出力運転、目盛2の場合は66%出力運転、目盛3の場合は100%出力運転を基本出力運転に設定してある。
【0037】
そして、設定された基本出力運転を最上段の出力運転として、出力過多状態になった場合には、出力を一段落とした減段出力での運転を実行させるとともに、出力不足状態になった場合には、出力を一段上げた増段出力での運転を実行させる。一方、出力過多状態、及び、出力不足状態のいずれにもならない場合には、その時点の出力での運転を継続させる。
【0038】
ここで、冷房運転モードでは、温度センサの検出値が目盛に応じた下限値(例えば、目標温度−2℃)を逸脱すると出力過多状態と判定し、温度センサの検出値が目盛に応じた上限値(例えば、目標温度+2℃)を逸脱すると出力不足状態と判定する。
【0039】
また、暖房運転モードでは、温度センサの検出値が目盛に応じた上限値を逸脱すると出力過多状態と判定し、温度センサの検出値が目盛に応じた下限値を逸脱すると出力不足状態と判定する。
【0040】
すなわち、出力制御1〜3では、目盛毎に設定された基本出力以下の範囲において、温度センサの検出値に基づき、温度センサの検出値が上限値と下限値の間に位置するように出力を自動的に調整する。
【0041】
そして、出力過多状態になっても減段すべき低段位の出力運転がない場合には、所定時間(例えば、3分間)だけ運転を停止したのちに再び起動させる再起動モードを実行させ、図4の前段運転制御に戻って目盛1〜4のいずれの目盛が選択されたかを検出し、再び、目盛に応じた出力制御に移行する。
【0042】
一方、図8に示すように、出力制御4では、前記強制再起動制御のための時間計測をスタートさせ、最大出力での運転(本例では100%出力運転)を実行させる。
【0043】
次に、強制再起動制御について説明する。
図9に示すように、強制再起動制御では、前記の各運転制御での時間計測のスタートから所定時間(例えば、1時間)が経過したら、各運転制御に優先して前記再起動モードを実行させ、図4の前段運転制御に戻って目盛1〜4のいずれの目盛が選択されたかを検出し、再び、目盛に応じた出力制御に移行する。
【0044】
つまり、所定時間毎に運転を停止することで、冷房運転時における室内側熱交換器7の伝熱部の表面部に着霜するのを防止し、また、着霜した場合には除霜し、これにより、着霜状態での運転により運転効率が低下するのを抑止する。
【0045】
[別実施形態]
(1)前述の実施形態では、目盛毎に設定した基本設定出力を上限出力とする状態で、温度センサの検出値が設定温度(具体的には、上限値と下限値の間の温度)となるように出力を調整(つまり、伝熱部の温度を調整)する場合を例に示したが、目盛毎に上限出力を定めない状態で検出値が目盛毎の設定温度(具体的には、上限値と下限値の間の温度)となるように出力を調整するようにしてもよい。
【0046】
その場合、例えば、図10に示すように、最大出力で運転を開始するようにしてもよく、或いは、温度センサの検出値と設定温度との偏差に応じた出力で運転を開始するようにしてもよい。なお、図10は、図5〜図7と同様、基本的に冷房運転モードのフローチャートを示しており、暖房運転モードの場合に代わる箇所のみを同図中に括弧書きで示している。
【0047】
(2)前述の実施形態では、出力過多状態になっても減段すべき低段位の出力運転がないときは再起動モードを実行させる場合を例に示したが、例えば、図10に示すように、出力過多状態になっても減段すべき低段位の出力運転がないときは一旦運転を停止し、その状態で出力不足状態になったら運転を再開するようにしてもよい。
【0048】
(3)前述の実施形態では、温度センサの検出値が設定温度となるように出力を調整(つまり、伝熱部の温度を調整)する場合を例に示したが、例えば、図11に示すように、基本設定出力から出力を段階的(又は連続的)に低下させたのちに基本設定出力に復帰する動作を所定時間tピッチで繰り返すようにしてもよい。
【0049】
このようにすれば、基本設定出力に復帰する際の出力変化(つまり、伝熱部の温度変化)によって冷暖房運転が行われていることを使用者に所定時間tピッチで体感させることができる。
【0050】
(4)前述の実施形態では、伝熱部の検出温度に基づいて出力を調整(つまり、伝熱部の温度を調整)する場合を例に示したが、冷媒温度や冷媒圧力、室内温度、室内の流速、放射温度、壁面温度などに基づいて出力を調整するようにしてもよい。
【0051】
(5)前述の実施形態では、冷房運転と暖房運転とで同じ指標(具体的には、伝熱部の検出温度)に基づいて出力を調整(つまり、伝熱部の温度を調整)する場合を例に示したが、冷房運転と暖房運転とで異なる指標に基づいて出力を調整するようにしてもよい。例えば、冷房運転時は検出した室内下部又は伝熱部近傍箇所の温度(又は流速)に基づいて出力を調整し、暖房運転時は検出した伝熱部の温度(又は冷媒温度、冷媒圧力)や放射温度や壁面温度に基づいて出力を調整するようにしてもよい。
【0052】
(6)前述の実施形態では、検出器の検出値が上限値と下限値の間に位置するように出力を調整(つまり、伝熱部の温度を調整)する場合を例に示したが、例えば、検出器の検出値が単一値となるように出力を調整するようにしてもよい。
【0053】
(7)前述の実施形態の改良として、暖房運転時の輻射熱の表側(室中央側)への放射量を増大させるように、室内側熱交換器7の伝熱部の背面側に位置する状態で室内機8に反射板を付加的に装備させてもよく、或いは、ドレンポンプ等のドレンアップ装置や加湿装置を付加的に装備させてもよい。
【0054】
(8)前述の実施形態では、室内側熱交換器7の伝熱部を、上下方向に沿う縦管姿勢で左右幅方向に並列配置した伝熱管部7aとそれに外嵌装着した伝熱体7bとから構成する場合を例に示したが、例えば、左右幅方向に沿う横管姿勢で上下方向に並列配置した伝熱管部7aとそれに外嵌装着した伝熱体7bから構成してもよい。要するに、室内側熱交換器7の伝熱部は、室内設置時に全体として縦姿勢となるように室内機7に設けてあればよい。
【0055】
(9)前述の実施形態では、室内機8が、室内の床面に載置する床置き型である場合を例に示したが、例えば、室内の壁面に取り付ける壁付け型等であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
R 冷媒
3 冷凍回路
7 熱交換器(室内側熱交換器)
7a 伝熱部(伝熱管部)
7b 伝熱部(伝熱体)
8 室内機
10 制御手段(制御器)
11 室内空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍回路の循環冷媒と室内空気とを熱交換させる熱交換器の伝熱部を室内設置時に縦姿勢において室内に露呈する状態で室内機に設け、前記熱交換器を冷凍回路の蒸発器として前記伝熱部に吸熱作用させることで伝熱部周りにコールドドラフトを生じさせて室内を冷房する自然対流式の冷房運転と、熱交換器を冷凍回路の凝縮器として伝熱部に発熱作用させることで室内に輻射熱を放射して室内を暖房する輻射式の暖房運転とを実行可能に構成するとともに、前記伝熱部の温度を調整する制御手段を設けてある空調装置。
【請求項2】
前記伝熱部を室内の上部域を除く域内に縦姿勢で配置することで、室内の上部域を除く域内を空調対象域として前記冷房運転及び前記暖房運転を実行可能に構成してある請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
前記制御手段を、前記室内機に設けた熱交換器の伝熱部を着霜防止又は除霜する構成にしてある請求項1又は2記載の空調装置。
【請求項4】
前記制御手段を、自然対流式の前記冷房運転と輻射式の前記暖房運転とで種別の異なる指標に基づいて前記伝熱部の温度を制御する構成にしてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項5】
前記伝熱部の伝熱管部を上下方向に沿って冷媒を通過させる縦管姿勢で配置するとともに、この伝熱管部に対して、前記冷房運転時は上向きに冷媒を流し、且つ、前記暖房運転時は下向きに冷媒を流す構成にしてある請求項1〜4のいずれか1項に記載の空調装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−167825(P2012−167825A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26398(P2011−26398)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000119830)因幡電機産業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】