説明

穿刺針廃棄器具

【課題】 生体の表面を穿刺する穿刺器具および穿刺針を廃棄する穿刺針廃棄器具を、安全かつ簡単に取り扱え、使用後の穿刺針をまとめて処分すること。
【解決手段】 廃棄器具6を、穿刺器具1の穿刺針8を保持している穿刺針固定爪3aと当接して、穿刺針8と穿刺針固定爪3aとの係合を解除する端面7cと、穿刺針8の溝9cと係合するグリップ爪7aを備え、その内部に複数の穿刺針8を収納可能な筒形状部7とからなるものとし、グリップ爪7aにより穿刺針本体9を把持して穿刺器具1から抜き取り、抜き取った穿刺針8を直線状に筒形状部7内部に複数個収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖値測定時に使用するような生体の表面を穿刺する穿刺器具の穿刺針を廃棄するための器具に関し、特に穿刺器具から穿刺針を容易に抜き取り、複数個収納可能な穿刺針廃棄器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
糖尿病の患者さんは、自分自身で血糖値を一日に数回測定している。また病院では、糖尿病の患者さんの血糖値を一日に数十回測定している。この測定時に、指先などから少量の血液を採取する必要がある。そのために、図4(a)に示したように、穿刺器具51と言われる装置に、使い捨ての穿刺針58を取り付け、その穿刺針58によって、指先や腕などを穿刺し、その穿刺した部位からの出血を測定に用いる。一般的な穿刺器具51は筒状の本体ケース52とキャップ53とから構成されている。さらに本体部分には、取り付けた穿刺針58を打ち出すための第1のバネ56、打ち出した穿刺針58を後退させるための第2のバネ57および圧縮された上記第1のバネ56を解放するための穿刺ボタン54を有している。
【0003】
また、穿刺後の穿刺針58は、穿刺器具51から取り外した後、袋59や箱等に収納して廃棄している。
【0004】
以下、使用方法について説明する。まず、本体ケース52からキャップ53を外すと共に、穿刺針58の針部58aを保護する樹脂カバー58bを外す。次にスライダー55の弾性爪55aに穿刺針58を装着し、再度キャップ53を本体ケース52にかぶせる。そして、第1のバネ56を圧縮して、穿刺動作を可能状態とし、キャップ53の穿刺部押圧面53aを指先などの穿刺部に当て、穿刺ボタン54を押すことにより穿刺針58が打ち出され、その後、第2のバネ57の収縮力により穿刺針58は即座に指先などから後退することになる。この動作によって血液を採取することができる。一度使用した穿刺針58を再使用することは衛生面から非常に危険である。そのため、次の使用時には穿刺針58を交換する必要がある。使用後の穿刺針58は、まず本体ケース52からキャップ53を外した後、スライダー55から取り外す。その後、穿刺する前に外した針部58aを保護する樹脂カバー58bを針の先端に取付け直し、専用の袋59や箱に収納し廃棄する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−237172号公報(第3−4頁、第1図(a))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の穿刺針廃棄器具は以上のように構成されており、使用者は、穿刺針の扱いや使用後の穿刺針の廃棄処理等において、手作業による面倒な動作段階を数多く踏まなければならない。この影響もあり、使用者は、一度挿入された穿刺針を、穿刺動作および血液採取のために数回使用してしまいがちになる。1本の穿刺針を複数回使用することは、特に穿刺針を2人以上の人物に使用する場合、衛生面の理由から避けなければならない。このような状況は、例えば開業医院、病院において起こり得るが、子供が間違って使用してしまうケースも除外できない。
【0007】
一方で、穿刺針は1回毎の使い捨て用として製造されているので、複数回使用すれば先端がすぐに鈍くなってしまうため、穿刺針の連続使用は患者にさらに痛みを与える原因となる。さらに、使用後の穿刺針を廃棄する場合、むき出しの針に保護カバーを被せる際に怪我をしたり、はずした保護カバーをなくす恐れがあった。また、使用後の穿刺針を袋や箱に収納し、病院に持って行くなり自分で燃えるゴミとして安全に廃棄しなければならず、手間であった。
【0008】
以上のように、従来は、穿刺針の廃棄時に使用済みの穿刺針で指先を怪我する危険性や、取り外した後の廃棄処理が煩わしく、特に糖尿病の合併症等により、目の不自由な患者さんにとっては大きな問題点であった。
【0009】
本発明は以上のような問題点に鑑みてなされたもので、使用後の穿刺針を、簡単な操作で、安全に取り外し、その後の廃棄処理に手間のかからない穿刺針廃棄器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は、穿刺器具にセットした使用後の穿刺針を廃棄器具でキャッチし、複数個の穿刺針を安全かつ簡単に廃棄できるようにしたものである。
【0011】
すなわち、本発明にかかる穿刺針廃棄器具は、生体の表面を穿刺する穿刺針を着脱可能に保持する保持部材を有する穿刺器具より穿刺針を取り外して廃棄するための穿刺針廃棄器具であって、上記穿刺針廃棄器具を、上記穿刺器具に保持された穿刺針を把持して穿刺器具から抜き取る穿刺針抜き取り部材と、該抜き取った穿刺針を複数個収納可能な筒形状の部材と、から構成したことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明にかかる穿刺針廃棄器具は、上記穿刺針廃棄器具において、上記筒形状の部材の内部に収納された穿刺針が外部に出ないよう、上記筒形状の部材の先端が閉じていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明にかかる穿刺針廃棄器具は、生体の表面を穿刺する穿刺針を着脱可能に保持する保持部材を有する穿刺器具より穿刺針を取り外して廃棄するための穿刺針廃棄器具であって、上記穿刺器具に保持された穿刺針を把持して穿刺器具から抜き取る穿刺針抜き取り部材と、該抜き取った穿刺針を1個分収納可能な筒形状の部材と、上記筒形状の部材を挿入する開口部を有する廃棄ボックスと、から構成したことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明にかかる穿刺針廃棄器具は、上記穿刺針廃棄器具において、上記穿刺針を1個分収納可能な筒形状部と、上記廃棄ボックスとを、分離可能に構成したことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明にかかる穿刺針廃棄器具は、上記穿刺針廃棄器具において、上記穿刺針を1個分収納可能な筒形状部を、上記廃棄ボックスから分離したときに、上記廃棄ボックスの開口部を閉じる手段を備えたことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明にかかる穿刺針廃棄器具は、上記穿刺針廃棄器具において、上記廃棄ボックスは、上記穿刺針を該廃棄ボックス内から排出するための開閉自在の蓋を有することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明にかかる穿刺針廃棄器具は、上記穿刺針廃棄器具において、上記筒形状の部材ならびに上記廃棄ボックスの、全体あるいは一部が透明であることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明にかかる穿刺針廃棄器具は、上記穿刺針廃棄器具において、上記廃棄ボックスの開口部上面に、上記穿刺器具の外形をガイドする部材を備えたことを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明にかかる穿刺針廃棄器具は、上記穿刺針廃棄器具において、上記筒形状の部材の、上記廃棄ボックスの開口部への挿入深さを規制するストッパー部材を上記廃棄ボックスの開口部周囲に備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる穿刺針廃棄器具によれば、生体の表面を穿刺する穿刺針を着脱可能に保持する保持部材を有する穿刺器具より穿刺針を取り外して廃棄するための穿刺針廃棄器具であって、上記穿刺針廃棄器具を、上記穿刺器具に保持された穿刺針を把持して穿刺器具から抜き取る穿刺針抜き取り部材と、該抜き取った穿刺針を複数個収納可能な筒形状の部材と、から構成したものとしたので、穿刺器具に廃棄器具を挿入し抜去するだけの操作で、安全にかつ簡単に、穿刺針を穿刺器具から取り外し、取り外した穿刺針を複数個、安全に保管することができる効果がある。
【0021】
また、本発明にかかる穿刺針廃棄器具によれば、上記穿刺針廃棄器具において、上記筒形状の部材の内部に収納された穿刺針が外部に出ないよう、上記筒形状の部材の先端が閉じているものとしたので、廃棄ボックスに収納された穿刺針が廃棄時などに外部に出る恐れが無く、安全性を高めることができる効果がある。
【0022】
また、本発明にかかる穿刺針廃棄器具によれば、生体の表面を穿刺する穿刺針を着脱可能に保持する保持部材を有する穿刺器具より穿刺針を取り外して廃棄するための穿刺針廃棄器具であって、上記穿刺器具に保持された穿刺針を把持して穿刺器具から抜き取る穿刺針抜き取り部材と、該抜き取った穿刺針を1個分収納可能な筒形状の部材と、上記筒形状の部材を挿入する開口部を有する廃棄ボックスと、から構成したものとしたので、穿刺器具に廃棄器具を挿入し抜去するだけの操作で、安全にかつ簡単に、穿刺針を穿刺器具から取り外し、取り外した穿刺針を複数個、安全に保管することができる効果がある。
【0023】
また、本発明にかかる穿刺針廃棄器具によれば、上記穿刺針廃棄器具において、上記穿刺針を1個分収納可能な筒形状部と、上記廃棄ボックスとを、分離可能に構成したものとしたので、穿刺針廃棄時に、廃棄ボックスのみを廃棄して、筒形状部を再利用することができる効果がある。
【0024】
また、本発明にかかる穿刺針廃棄器具によれば、上記穿刺針廃棄器具において、上記穿刺針を1個分収納可能な筒形状部を、上記廃棄ボックスから分離したときに、上記廃棄ボックスの開口部を閉じる手段を備えたものとしたので、廃棄ボックスのみを廃棄する際に、廃棄ボックス内部に収容された穿刺針が外部に出る恐れが無く、安全性を高めることができる効果がある。
【0025】
また、本発明にかかる穿刺針廃棄器具によれば、上記穿刺針廃棄器具において、上記廃棄ボックスは、上記穿刺針を該廃棄ボックス内から排出するための開閉自在の蓋を有するものとしたので、廃棄ボックス内より穿刺針のみを廃棄することもできる効果がある。
【0026】
また、本発明にかかる穿刺針廃棄器具によれば、上記穿刺針廃棄器具において、上記筒形状の部材、ならびに上記廃棄ボックスの、全体あるいは一部が透明であるものとしたので、使用後の針の廃棄ボックス等への蓄積状況を即座に確認することができる効果がある。
【0027】
また、本発明にかかる穿刺針廃棄器具によれば、上記穿刺針廃棄器具において、上記廃棄ボックスの開口部上面に、上記穿刺器具の外形をガイドする部材を備えたものとしたので、穿刺器具をより精度良く廃棄ボックスの開口部にガイドすることができ、操作性を向上することができる効果がある。
【0028】
また、本発明にかかる穿刺針廃棄器具によれば、上記穿刺針廃棄器具において、上記筒形状の部材の、上記廃棄ボックスの開口部への挿入深さを規制するストッパー部材を上記廃棄ボックスの開口部周囲に備えたものとしたので、穿刺器具から穿刺針を抜き取る部材を装着した穿刺器具を穿刺針廃棄器具に押込む際に、上記穿刺針を抜き取る部材の先端が廃棄ボックスの開口部に過剰に入り込んだり、また、上記穿刺針を抜き取る部材に大きな応力が印加されて穿刺針本体を介して、穿刺器具内部に応力が加わったりするのを防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1(a)】本発明の穿刺器具と廃棄器具の構成を示す断面図。
【図1(b)】本発明の穿刺針(U)の構成を示す断面図。
【図1(c)】本発明の穿刺器具を廃棄器具に押込んだ状態を示す断面図。
【図2】本発明の穿刺器具を廃棄器具に押込んだ状態を示す断面図。
【図3】本発明の穿刺器具を廃棄器具に押込んだ状態を示す断面図。
【図4(a)】従来の穿刺器具の構成を示す図。
【図4(b)】従来の穿刺器具に用いられる穿刺針本体の構成を示す図。
【図4(c)】従来の穿刺器具による穿刺針の廃棄方法を説明するための図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における穿刺器具と廃棄器具について、図1(a)〜(c)に基づいて説明する。図1(a)において、1は穿刺器具であり、その本体ケース2の中に紙面上下動作可能な穿刺スライダー3、穿刺スライダー3を一時的に固定するロックアーム4、これと一体に構成したロックアーム爪4aを有し、ロックアーム4はロックアームスプリング4にて時計回りに付勢している。2aは本体ケース2から構成し、後述するスライダースプリング5の一端を挟持するバネ用リブ、3cは穿刺スライダー3から構成し、スライダースプリングの他端を挟持する付勢リブであり、これらリブ2aと3cの間にスライダースプリング5が挿入してある。穿刺スライダー3はスライダースプリング5の伸縮に合わせてスライドするように構成されている。3bは穿刺針ストッパーであり、穿刺針本体9を一定の位置で固定する。3aは穿刺針固定爪であり、弾性的に回動可能であり、穿刺針本体9の着脱が可能な構造となっている。3eはスライダー3と一体形成された前部端面であり、後ほど説明する廃棄器具6の筒部端面7cと当接する部分である。3fは3と一体形成されたスライダー後部端面であり、スライダーストッパー3gと当接する。
【0031】
また、3dは穿刺スライダーに設けた段差であり、穿刺スライダー3が上方向にスライドした時、時計方向に回転付勢されたロックアーム4のロックアーム爪4aがひっかかり、穿刺スライダー3を一時的に固定する。この時、スライダースプリング5は圧縮された状態で保持される。
【0032】
6は廃棄器具であり、穿刺針本体9が挿入収納可能な筒形状部7と、穿刺針本体9の落下防止のストッパー7bと、穿刺器具1から穿刺針本体9を引抜くことが可能な弾性的に回動可能なグリップ爪7aと、穿刺針固定爪3aの穿刺針本体9への固定を開放する筒部端面7cとを有する。
【0033】
図1(b)において、8は穿刺針であり、針9aを固定する穿刺針本体9と針先を保護する保護カバー9d、穿刺器具1の穿刺針固定爪3aがかかる溝9b、筒形状部7のグリップ爪7aがかかる溝9cとを有する。
【0034】
図1(c)は穿刺器具1を廃棄器具6に押込んだ状態であり、穿刺器具1の穿刺用固定爪3aが筒形状部7の端面7cにて押し広げられ、穿刺針本体9の溝9bへのロックが解除されている。
【0035】
一方、筒形状部7のグリップ爪7aが弾性的に撓んだ後、穿刺針本体9の溝9cをグリップしている。また筒形状部7の筒部端面7cがスライダー前部端面3eを突くことで、穿刺スライダー3が上方に押され、スライダースプリング5は圧縮されている。ここでロックアーム爪4aが穿刺スライダー3の段差3dに落ち込み、穿刺スライダー3が保持される。この位置で、スライダー後部端面3fとスライダーストッパー3g間は若干の隙間を有する。また、穿刺器具1をさらに押込もうとしても、スライダー後部端面3fとスライダーストッパー3gがすぐに当接し、これ以上は押込めない。
【0036】
この状態から穿刺器具1を紙面上方に廃棄器具6より引抜くと、穿刺針本体9はグリップ爪7にてグリップされており、穿刺用固定爪3aは筒部端面7cによって溝9bとの係合が解除されており、溝9bと穿刺用固定爪3aの解除状態を保ったまま、穿刺針本体9は廃棄器具6の筒形状部7側に引抜かれる。グリップ爪7aにより保持された穿刺針本体9は、紙面上方向に抜けることはなく、次の穿刺針本体9が廃棄されるまで、そこに保持された状態となる。そして次の穿刺針本体9により軽い力で筒型状部7内に押し込まれ、廃棄器具6の底部のストッパー7bに当たるまで落下し、穿刺針本体9を簡単かつ安全に廃棄することができる。
【0037】
もちろん、廃棄器具6は、複数個の穿刺針本体9を内部に蓄積することができる。このとき、先に落下した穿刺針本体9の上面側に形成された孔9eに、後から落下した穿刺針本体9の針9aが挿入されて、収容時の体積を低減させている。
【0038】
また、穿刺針8を穿刺器具1より取り外した後、穿刺スライダー3は、スライダースプリング5が圧縮された状態でロックアーム4により保持されたままとなっているため、この位置で新たな穿刺針8を穿刺器具1の穿刺針固定爪3aまで押込み固定し、穿刺針8の保護カバー9dをはずせば、穿刺可能状態となる。
【0039】
このように本実施の形態1にかかる穿刺針廃棄器具によれば、廃棄器具6を、穿刺器具1の穿刺針8を保持している穿刺針固定爪3aと当接して、穿刺針8と穿刺針固定爪3aとの係合を解除する端面7cと、穿刺針8の溝9cと係合するグリップ爪7aを備え、その内部に複数の穿刺針8を収納可能な筒形状部7とからなるものとしたので、使用後の穿刺針を、簡単な操作で、安全に取り外し、その後の廃棄処理の手間を軽減することができる。
【0040】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における穿刺針廃棄器具について、図2を参照して説明する。図2において、図1と同一符号は同一、または相当部分を示し、10はその一部、もしくは全体が透明な素材で形成された廃棄ボックスであり、その上面には開閉蓋11によって開口する開口部10aが設けられている。この開口部10aには、図1及び図2で示した、廃棄器具6の筒形状部7の落下防止のストッパー7b側を切断して短くした廃棄器具60の筒形状部7と連通する状態で嵌合するようになっている。
【0041】
上記開閉蓋11は、その支点11aを中心に回動可能に支持されており、開閉スプリング12にて反時計方向に付勢されている。
【0042】
13は廃棄キャップであり、廃棄ボックス10と着脱可能に装着されている。14は上記開口部10a周囲の廃棄ボックス10に設けられた筒状の外ガイドであり、穿刺器具1の本体ケース2の外形をガイドする役割を果たす。上記廃棄ボックス10, 開閉蓋11,開閉スプリング12,廃棄キャップ13,外ガイド14により廃棄器具61が構成されている。
【0043】
そして、上記廃棄器具60と61により、本実施の形態2による廃棄器具が構成され、一体となって機能を果たす。
【0044】
次に使用方法について説明する。上記実施の形態1で説明したのと同様に、穿刺器具1先端を廃棄器具60に押込んで、穿刺針本体9の穿刺器具1への固定を解除し、その状態で廃棄器具60の筒形状部7先端を廃棄ボックス10の外ガイド14に沿って、開口部10aに挿入する。
【0045】
そして、穿刺器具1を紙面上方に移動させることで、穿刺針本体9は穿刺器具1から離脱して筒型状部7側に引き抜かれ、また、これと同時に穿刺スライダー3のセットが行なわれるグリップ爪7aにより保持された穿刺針本体9は、紙面上方向に抜けることはなく、次の穿刺針本体9が廃棄されるまで、そこに保持された状態となる。そして次の穿刺針本体9 により軽い力で筒型状部7内に押し込まれ、廃棄ボックス10内に落下して廃棄される。
【0046】
この実施例の特徴は、廃棄器具61が、筒形状部7と廃棄ボックス10の2つに分離可能なところである。廃棄器具60と61との着脱については、例えば廃棄ボックス10と筒型状部7間が、軽圧入、あるいはネジなどで接続することで着脱可能に構成できる。もちろん分離しないで、廃棄器具61ごと処分することもできるし、分離後、廃棄ボックス10だけを処分することもできる。また、分離した時、筒形状部7と廃棄ボックス10の連通する開口部10aを、開閉蓋11と開閉スプリング12にて塞ぐ構造としているため、廃棄ボックス10内にある使用後の穿刺針本体9が誤って出てくるのを防ぐことができる。
【0047】
さらに、廃棄ボックス10に設けられた分離可能な廃棄キャップ13により、使用後の穿刺針本体9 を別の処分場所に廃棄することも可能である。
【0048】
また、外ガイド14によって、廃棄器具60が取り付けられた穿刺器具1の本体ケース2をより精度良く廃棄ボックス10の開口部10aにガイドすることができ、操作性が向上する。
【0049】
このように、本実施の形態2にかかる穿刺針廃棄器具によれば、廃棄器具60を、穿刺器具1の穿刺針8を保持している穿刺針固定爪3aと当接して、穿刺針8と穿刺針固定爪3aとの係合を解除する端面7cと、穿刺針8の溝9cと係合するグリップ爪7aを備えた筒形状部7とからなるものとし、廃棄器具61を、その内部に複数の穿刺針8を収納可能な廃棄ボックス10を有し、該廃棄ボックス10の開口部10aに、穿刺器具1と廃棄器具60とを組み合わせた状態で装着可能なものとし、取り外した後の穿刺針8を上記廃棄ボックス10の中に落下して蓄積させるようにしたので、使用後の穿刺針を、簡単な操作で、安全に取り外し、その後の廃棄処理の手間を軽減することができる。
【0050】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における穿刺針廃棄器具について、図3を用いて説明する。上記実施の形態1でも説明したものと同様に、廃棄器具60を装着した穿刺器具1を廃棄器具61に押込んで、穿刺針本体9の廃棄や穿刺スライダー3のセットを行なう。
【0051】
本実施の形態3の特徴は、廃棄ボックス10あるいは筒形状部7と、外ガイド14間に、廃棄器具60を装着した穿刺器具1を廃棄器具61に押込む際のストッパー15を設け、器具の破損防止と操作の確実性を向上することができる。
【0052】
実施の形態2のように、廃棄器具60を装着した穿刺器具1を廃棄器具61に押込む際に、廃棄器具60の先端が開口部10aに過剰に入り込んだり、また、廃棄器具60に大きな応力が印加されて穿刺針本体9を介して、該応力が穿刺針ストッパー3bに加わったりする可能性があるが、ストッパー15を設けることにより、このような不具合を回避することができる。
【0053】
以上のように、廃棄器具60を装着した穿刺器具1を廃棄器具61に押込む操作を反復することにより、血糖値の測定時などに使用する穿刺針本体9を、複数個廃棄器具60の筒形状部7を介して廃棄ボックス10内に収納することができ、安全かつ簡単に廃棄可能である。一方、操作者は所定の操作後、穿刺器具1に穿刺針8をセットし保護カバー9dをはずし、ロックアーム4を押す事によって、指先や腕などの採血部への穿刺動作が行え、一連の採血動作を行なうことができる。
【0054】
このように本実施の形態3にかかる穿刺針廃棄器具によれば、廃棄器具60を装着した穿刺器具1を廃棄器具61に押込んで、穿刺針本体9の廃棄を行うものにおいて、廃棄ボックス10あるいは筒形状部7と、外ガイド14間にストッパー15を設けたので、廃棄器具60を装着した穿刺器具1を廃棄器具61に押込む際に、廃棄器具60の先端が開口部10aに過剰に入り込んだり、また、廃棄器具60に大きな応力が印加されて穿刺針本体9を介して、穿刺針ストッパー3に応力が加わったりするのを防止することができる。
【0055】
なお、上記各実施の形態において、廃棄器具6(60)を構成する筒形状部7を透明な素材を用いて構成することにより、穿刺針8の着脱状態や収容状態を確認しやすくするようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の穿刺針廃棄器具は、簡単な操作で安全に、穿刺針を穿刺器具から取り外すことができるものであり、例えば、血糖値等の測定に使用するランセットの廃棄に適用して有用である。特に、従来は血糖値測定のたびに穿刺針本体を穿刺器具からはずし、穿刺針本体の先端に保護カバーをして廃棄していたものに比べ、この操作が不要となり、針先を覆ったりすることもなく、安全性が高くなり有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 穿刺器具
2 本体ケース
2a バネ用リブ
3 穿刺スライダー
3a 穿刺針固定爪
3b 穿刺針ストッパー
3c 付勢リブ
3d 段差
3e 前部端面
3f スライダー後部端面
3g スライダーストッパー
4 ロックアーム
4a ロックアーム爪
4b ロックアームスプリング
5 スライダースプリング
6,60,61 廃棄器具
7 筒形状部
7a グリップ爪
7b 落下防止のストッパー
7c 筒部端面
8 穿刺針
9 穿刺針本体
9a 針
9b 溝
9c 溝
9d 保護カバー
10 廃棄ボックス
10a 開口部
11 開閉蓋
12 開閉スプリング
13 廃棄キャップ
14 外ガイド
15 ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の表面を穿刺する穿刺針を着脱可能に保持する保持部材を有する穿刺器具より穿刺針を取り外して廃棄するための穿刺針廃棄器具であって、
上記穿刺器具に保持された穿刺針を把持して穿刺器具から抜き取る穿刺針抜き取り部材と、
該抜き取った穿刺針を収納可能な筒形状の部材と、
上記筒形状の部材を挿入する開口部を有し、この開口部を通して、前記筒形状の部材に収納された穿刺針が廃棄される廃棄ボックスと、
から構成され、
前記穿刺器具を穿刺針廃棄器具に対して、押し込む動作を行うことにより、前記穿刺針抜き取り部材が前記穿刺器具の穿刺針の保持を解除し、引き抜く動作を行うことにより、前記穿刺針抜き取り部材が解除された前記穿刺針を把持し、前記穿刺針抜き取り部材が、穿刺針を穿刺器具から抜き取り、前記筒形状の部材に穿刺針を収納するようにしたことを特徴とする穿刺針廃棄器具。
【請求項2】
請求項1記載の穿刺針廃棄器具において、
上記穿刺針を収納可能な筒形状部と、上記廃棄ボックスとを、分離可能に構成したことを特徴とする穿刺針廃棄器具。
【請求項3】
請求項2記載の穿刺針廃棄器具において、
上記穿刺針を収納可能な筒形状部を、上記廃棄ボックスから分離したときに、上記廃棄ボックスの開口部を閉じる手段を備えたことを特徴とする穿刺針廃棄器具。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の穿刺針廃棄器具において、
上記廃棄ボックスは、上記穿刺針を該廃棄ボックス内から排出するための開閉自在の蓋を有することを特徴とする穿刺針廃棄器具。
【請求項5】
請求項1記載の穿刺針廃棄器具において、
上記筒形状の部材、ならびに上記廃棄ボックスの、全体あるいは一部が透明であることを特徴とする穿刺針廃棄器具。
【請求項6】
請求項1記載の穿刺針廃棄器具において、
上記廃棄ボックスの開口部上面に、上記穿刺器具の外形をガイドする部材を備えたことを特徴とする穿刺針廃棄器具。
【請求項7】
請求項1記載の穿刺針廃棄器具において、
上記筒形状の部材の、上記廃棄ボックスの開口部への挿入深さを規制するストッパー部材を上記廃棄ボックスの開口部周囲に備えたことを特徴とする穿刺針廃棄器具。
【請求項8】
請求項1に記載の穿刺針廃棄器具において、
次の穿刺針の廃棄までの間、1個分の穿刺針を穿刺針抜き取り部材に保持するよう構成したことを特徴とする穿刺針廃棄器具。

【図1(a)】
image rotate

【図1(b)】
image rotate

【図1(c)】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4(a)】
image rotate

【図4(b)】
image rotate

【図4(c)】
image rotate


【公開番号】特開2010−17601(P2010−17601A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249690(P2009−249690)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【分割の表示】特願2003−316865(P2003−316865)の分割
【原出願日】平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】