説明

穿孔ロッド挿入口元の止水装置

【課題】止水パッキングを用いて穿孔ロッドの周囲をシールする止水装置において、止水パッキングを大きくかつ均一に内周側に膨張可能にする。
【解決手段】内周側が開放された中空円環状のハウジング2と、その外周側とハウジング2の内壁間に密閉された加圧室4が形成される配置でハウジング2内にハウジング2の上壁2a及び底壁2bに密接して装填された軟弾性材料製の略円環状の止水パッキング3と、加圧室4に連通可能な配置でハウジング2に形成された加圧流体供給路5を備え、加圧室4内に加圧流体を供給することで止水パッキング3をその内周側へ膨張可能とした穿孔ロッド挿入口元の止水装置において、加圧室4内に、止水パッキング3をその内周側に締め付けて止水パッキング3をその内周側に膨張させる締付手段6を設けるとともに、締付手段6を駆動する駆動手段9を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿孔ロッド挿入口元の止水装置に係り、より詳しくは、径の大きく異なる複数の穿孔ロッドのいずれにも十分対応可能とした穿孔ロッドの挿入口元の止水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、地盤改良や温泉井、井戸の掘削に際しては、まず、穿孔ロッドを用いて地中を削孔するが、このとき、穿孔ロッドの周囲を通して地下水が噴出してしまうために、このような地下水の噴出を防止するために、穿孔ロッドの挿入口元に止水装置を用いることが行われる。
【0003】
ここで、図4は、従来の止水装置の縦断正面を示す図であり、図において31が従来の止水装置で、また、35が穿孔ロッドであり、穿孔ロッド35における下側が、地中を削孔する先端側である。
【0004】
そして、この従来の止水装置31では、地中に貫入したガイド管に連結される止水管32を有しており、この止水管32は、その側壁に、穿孔ロッド35の外周部の間隙から上がってくる泥水を排出するための排水口36を有しており、先端部には、内周部が開放された中空の円環状のパッキング保持枠33が設けられている。
【0005】
また、このパッキング保持枠33内には、円環状の軟弾性材からなる止水パッキング34が装填されており、この止水パッキング34はパッキング保持枠33の上壁33aと底壁33bとに密接して装填され、止水パッキング34の外周部とパッキング保持枠33の外周壁33cとの間には、加圧室33dが設けられている。
【0006】
そして、このような構成において、加圧室33d内にエアー等の流体を充填して、この流体によって止水パッキング34の外周面を内周側に加圧して止水パッキング34を内周側に膨張させて内径を小さくしていくことにより、止水パッキング34を穿孔ロッド35の外周に圧着させて穿孔ロッドの周囲をシール可能としており、この状態で穿孔ロッドを回転させると、穿孔ロッド35により地中を穿孔可能であるとともに、地下水の噴出を防止することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−20700号公報
【特許文献2】特開2005−127072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このように、流体の圧力のみにより止水パッキングを内周側に膨張させる構成の従来の止水装置では、止水パッキングを大きく、かつ均一に内周側に膨張させることができなかった。
【0009】
そのため、従来の止水装置では、互いに径が大きく異なる複数の穿孔ロッドを用いて地中の削孔を行う場合には、一つの止水装置ですべての穿孔ロッドの挿入口元をシールすることが困難であった。
【0010】
例えば、温泉井の掘削の場合には、当初は190φ程度の外径の穿孔ロッドを用いて削孔を行い、その後、徐々に外径の小さい穿孔ロッドに交換していき、最終的には、90φ程度の外径の穿孔ロッドを用いて削孔を行うが、このとき、前述したように従来の止水装置では、止水パッキングを大きくかつ均一に内周側に膨張させることができないため、一つの止水装置で、190φの径の穿孔ロッドから90φの径の穿孔ロッドまでのすべての種類の穿孔ロッドの挿入口元を完全にシールすることは不可能である。即ち、例えば従来の止水装置では、190φの外径の穿孔ロッドに対応した止水装置を用いて90φの外径の穿孔ロッドを締め付けた場合には、穿孔ロッドの外周を完全に締め付けてシールすることができなかった。
【0011】
そのために、従来の止水装置を用いた場合には、温泉井の掘削のように、互いに径が大きく異なる複数の穿孔ロッドを用いて地中の削孔を行う場合には、複数の止水装置を用意する必要があり、コストを上げる要因になっていた。
【0012】
そこで、本発明は、止水パッキングを用いて穿孔ロッドの周囲をシールする止水装置において、止水パッキングを大きくかつ均一に内周側に膨張可能とすることで、一つの止水装置によって、径が大きく異なる複数の穿孔ロッドのすべてに対応可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の穿孔ロッド挿入口元の止水装置は、
内周側が開放された中空の円環状のハウジングと、
その外周側と前記ハウジングの内壁との間に密閉された加圧室が形成されるような配置で、前記ハウジング内に、ハウジングの上壁及び底壁に密接して装填された、軟弾性材料よりなる略円環状の止水パッキングと、
前記加圧室に連通可能な配置で、前記ハウジングに形成された加圧流体供給路と、を備え、
前記加圧流体供給路を介して前記加圧室内に加圧流体を供給することで、前記止水パッキングをその内周側へ膨張可能とした穿孔ロッド挿入口元の止水装置において、
前記加圧室内に、前記止水パッキングをその内周側に締め付けて、止水パッキングをその内周側に膨張させるための締付手段を設けるとともに、該締付手段を駆動するための駆動手段を備えた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の穿孔ロッド挿入口元の止水装置では、内周側が開放された中空の円環状のハウジング内に、ハウジングの内壁との間に密閉された加圧室が形成されるような配置で止水パッキングを装填し、加圧室に連通可能な配置でハウジングに加圧流体供給路を形成し、加圧流体供給路を介して加圧室内に加圧流体を供給することで、止水パッキングをその内周側へ膨張可能とした構成において、加圧室内に、止水パッキングをその内周側に締め付けて止水パッキングをその内周側に膨張させるための締付手段を設けるとともに、この締付手段を駆動するための駆動手段を備えている。
【0015】
このように、本発明の穿孔ロッド挿入口元の止水装置では、加圧室内に供給した加圧流体による圧力と、締付手段による圧力の、双方の圧力によって止水パッキングを内周側に膨張させているために、止水パッキングを大きくかつ均一に内周側に膨張させることが可能となった。
【0016】
そのために、本発明の穿孔ロッド挿入口元の止水装置では、例えば温泉井の掘削のように、互いに径が大きく異なる複数の穿孔ロッドを用いて地中の削孔を行う場合でも、一つの止水装置によって、すべての穿孔ロッドのシールを完全に行うことができ、従来の止水装置を用いた場合と比較して、コストを抑えることも可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の穿孔ロッド挿入口元の止水装置の実施例を説明するための概略横断平面図である。
【図2】本発明の穿孔ロッド挿入口元の止水装置の実施例の作用を説明するための図であり、止水パッキングを内周側に膨張させている状態の概略横断正面図である。
【図3】本発明の穿孔ロッド挿入口元の止水装置の実施例を説明するための図である。
【図4】従来の穿孔ロッド挿入口元の止水装置を説明するための概略縦断正面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の穿孔ロッド挿入口元の止水装置では、内周側が開放された中空の円環状のハウジングを有しており、このハウジング内には、軟弾性材料よりなる略円環状の止水パッキングが装填されている。
【0019】
そして、前記止水パッキングの装填に際しては、止水パッキングの外周側と前記ハウジングの内壁との間に密閉された加圧室が形成されるような配置としているとともに、止水パッキングが前記ハウジングの上壁及び底壁とに密接するようにしている。
【0020】
また、前記ハウジングには、前記加圧室に連通可能な配置で、加圧流体供給路が形成されており、この加圧流体供給路を介して前記加圧室内にエアー等の加圧流体を供給することで、前記止水パッキングを、その内周側へ膨張可能としている。
【0021】
更に、本発明の穿孔ロッド挿入口元の止水装置では、前記加圧室内に、前記止水パッキングをその内周側に締め付けて、止水パッキングをその内周側に膨張させるための締付手段を設けるとともに、この締付手段を駆動するための駆動手段を備えている。
【0022】
ここで、前記締付手段を、前記止水パッキンの外周に当接した締付部材と、この締付部材に連結された可動ロッドとで構成し、前記駆動手段は、可動ロッドに、前記締付部材が前記止水パッキングをその内周側に締め付ける方向への圧力を加え、あるいは加えている圧力を解除可能にすると良い。
【0023】
そして、このとき、前記可動ロッドは、前記ハウジングを貫通するとともに、基端部に受動側傾斜面を備え、駆動手段は、前記受動側傾斜面に摺動可能な駆動側傾斜面を具備して、前記止水パッキングをその内周側に締め付ける方向と直交する方向へ駆動手段を移動することで、前記駆動側傾斜面を前記受動側傾斜面に摺動させながら、前記可動ロッドに、前記締付部材が前記止水パッキングをその内周側に締め付ける方向への圧力を加え、あるいは加えている圧力を解除可能にするとよく、これにより、確実に、止水パッキングを内周側に締め付けることが可能となる。
【実施例1】
【0024】
本発明の穿孔ロッド挿入口元の止水装置(以下単に「止水装置」という。)の実施例について図面を参照して説明すると、図1及び図2は、本実施例の止水装置1の概略横断平面構造を示す図である。
【0025】
また、図3は、本実施例の止水装置1の構造を正面側から説明するための図であり、図3において点線で示した24は、本実施例の止水装置1を貫通しつつ地中を穿孔する掘削ロッドである。
【0026】
更に、図3において21は止水管である。即ち、本実施例の止水装置1は止水管21を有しており、この止水管21は、前記穿孔ロッド24が貫通可能であり、下端部には取付ベース22が備えられており、更に、側壁には、穿孔ロッド24の外周部の間隙から上がってくる泥水を排出するための排水口23が形成されている。
【0027】
そして、前記止水管21の上部には、ハウジングが連結されている。即ち、図において2がハウジングであり、本実施例においてこのハウジング2は、内部を空洞にした中空の円環状にし、穿孔ロッド24が貫通可能としており、また、内周側は、開口して開放している。
【0028】
次に、図において3は止水パッキングである。即ち、本実施例の止水装置1では、前記ハウジング2内に止水パッキング3が装填されており、本実施例においてこの止水パッキング3は、軟弾性材料よりなる略円環状としている。
【0029】
そして、前記止水パッキング3は、止水パッキング3の外周側と前記ハウジング2の内壁との間に密閉された加圧室4が形成されるような配置で、前記ハウジング2内に装填されている。
【0030】
また、前記止水パッキング3は、その上面が前記ハウジング2の上壁2aと密接するとともに、下面は前記ハウジング2の底壁2bと密接しており、これにより、前記ハウジング2の内周側の開口は、前記止水パッキング3によって完全にシールされ、前記加圧室4は密閉された空間とされている。
【0031】
次に、図において5は、前記加圧室4内に圧縮エアー等の加圧流体を供給するための加圧流体供給路である。即ち、本実施例の止水装置1では、前記ハウジング2内に加圧流体供給路5が形成されており、この加圧流体供給路5は、先端が前記加圧室4内で開口とされており、基端部は、ハウジング2の外部で開口とされ、使用に際しては、基端部の開口に、コンプレッサー等の圧縮空気供給手段が連結される。
【0032】
そして、この加圧流体供給路5を介して、前記加圧室4内に圧縮エアー等の加圧流体を供給することで、加圧流体によって前記止水パッキング3を内周側に押圧して、前記止水パッキング3をその内周側に膨張させて、止水パッキング3の内径を縮小させることを可能としている。
【0033】
そのため、穿孔ロッド24でハウジング2を貫通した状態で、前記加圧室4内に圧縮エアー等の加圧流体を供給していき、それにより、前記止水パッキング3を内周側に膨張させて、止水パッキング3の内径を縮小させることで、止水パッキング3を穿孔ロッド35の外周に圧着させて穿孔ロッドの周囲をシールすることが可能である。なお、前記加圧流体は特に限定されず、エアー、液体等いずれでもよい。
【0034】
次に、図において6は、前記止水パッキング3をその内周側に締め付けるための締付手段である。即ち、本実施例の止水装置1では、止水パッキング3をその内周側に締め付けるための締付手段6を有しており、加圧流体による圧力のほかに、この締付手段6による締付圧力によっても、前記止水パッキング3その内周側に膨張させることを可能としている。
【0035】
ここで、前記締付手段6について説明すると、本実施例において、前記締付手段6は、前記止水パッキン3の外周に当接させた締付部材7と、この締付部材7が連結された可動ロッド8とを具備しており、可動ロッド8によって、止水パッキング3を内周側に締め付ける圧力を締付部材7に加えることとしている。
【0036】
そして、前記締付部材7は、前記止水パッキング3の外形に沿うようにわずかに湾曲させた平板状としており、本実施例においては合計で6片を備えており、この6片の締付部材7を、等間隔で、前記加圧室3内において、前記止水パッキング3の外周に当接させている。
【0037】
なお、締付部材7の枚数は特に限定はされず、6枚よりも多くてもよく、6枚よりも少なくても良い。
【0038】
また、前記締付部材7は、図3にも示されているように、前記止水パッキング3の高さ寸法とほぼ同一の高さ寸法としており、また、図1及び図2にも示されるように、止水パッキン具3を内周側に締め付けた際に、隣り合う締付部材7とぶつからない程度の幅寸法としている。
【0039】
次に、前記可動ロッド8は、前記締付部材7の枚数に対応した本数としており、即ち本実施例においては6本としており、この可動ロッド8はそれぞれ、前記ハウジング2の側壁を貫通し、その先端部は、前記加圧室4内において、前記締付部材7に連結されている。従って、前記可動ロッド8を止水パッキング3側へ前進させると、締付部材7は、前記止水パッキング3をその内周側に締め付けて、これにより、止水パッキング3をその内周側に膨張させることが可能であり、また、止水パッキング3を締め付けている状態において可動ロッド8を後退させると、締付部材7による止水パッキング3に対する締め付けを解除することができる。
【0040】
ここで、図3において、前記可動ロッド8の基端部は、下側面をテーパー状に形成して略楔形としており、この基端部の傾斜面を受動側傾斜面801としている。
【0041】
なお、図において25は、前記可動ロッド8の外周側をシールするためのシール部材であり、本実施例においてこのシール部材25は、前記ハウジング2と可動ロッド8の間に、可動ロッド8の周囲をシール可能な配置で介在され、更に、可動ロッド8とシール部材25間、及びハウジング2とシール部材25間にはOリングが介在され、これにより、前記ハウジング2の側壁を貫通している可動ロッド8の周囲から、加圧室4内のエアー等の加圧流体が外部に漏れ出ることを防止している。
【0042】
次に、図1において9は駆動手段であり、この駆動手段9は、前記可動ロッド8を押圧するための押圧部材10と、この押圧部材10を可動するための駆動部材11とを具備しており、前記可動ロッド8を可動させるために用いる。
【0043】
ここで、前記押圧部材10について説明すると、本実施例において前記押圧部材10は、円環状としており、内周側全域は、前記可動ロッド8の基端部に形成した受動側傾斜面801に摺動可能な傾斜面とし、この傾斜面を駆動側傾斜面1001としており、この駆動側傾斜面1001を、前記可動ロッド8の基端部に形成した受動側傾斜面801に当接している。
【0044】
また、前記駆動側傾斜面1001及び前記受動側傾斜面801の傾斜角は、前記駆動側傾斜面1001を前記受動側傾斜面801に当接した際に、押圧部材10の高さ方向を形成する側面と前記可動ロッド8とが略直交するように調整しており、これにより、押圧部材10を上下動することで、駆動側傾斜面1001が前記受動側傾斜面801上を摺動するとともに、可動ロッド8を進退自在としている。
【0045】
即ち、押圧部材10を上昇させると、前記可動ロッド8は、押圧部材10によって上方への圧力を受けるが、このとき、前記可動ロッド8は、前記ハウジング2の側壁を貫通しており上方への移動が阻止されて横方向への移動のみが許容されているため、駆動側傾斜面1001が前記受動側傾斜面801上を摺動しながら上昇すると、可動ロッド8には、横方向、即ち、前記締付部材7が前記止水パッキング3をその内周側に締め付ける方向への圧力が加えられ、従って、可動ロッド8は止水パッキング3側へ移動していく。
【0046】
そのため、押圧部材10を上昇することで、可動ロッド8の移動に伴って、締付部材7は、前記止水パッキング3をその内周側に締め付けて、止水パッキング3をその内周側に膨張させることが可能であり、また、止水パッキング3を締め付けている状態において押圧部材10を下降させることで、止水パッキング3の締め付けを解除することができる。
【0047】
次に、図において11は駆動部材であり、本実施例においてはエアーシリンダーを用いている。そして、本実施例においては、図1にも示されるように、前記押圧部材10の外周側3ヶ所に前記エアーシリンダー11を連結しており、エアーシリンダー11を駆動することで、前記押圧部材10を上昇させ、あるいは下降させることを可能にしている。
【0048】
なお、駆動手段は必ずしもエアーシリンダーを用いる必要は無く、前記押圧部材10を上昇あるいは下降可能な手段であればいずれを用いても良く、従って、例えばセンターホールジャッキーを用いてもよい。また、エアーシリンダーを用いた場合でも用いる個数は特に限定されない。
【0049】
なお、図1乃至図3は本実施例の止水装置の理解を容易にするために一部を省略あるいは変形して描いており、必ずしも正確な図ではないことを、念のために付け加えておく。
【0050】
次に、このように構成される本実施例の止水装置1の作用について説明すると、本実施例の止水装置1を使用する場合には、取付ベース22を用いて掘削対象となる地面等に設置し、穿孔ロッド24でハウジング2及び止水管21を貫通させる。
【0051】
そして、この状態で穿孔ロッド24を回転させながら地中の削孔を行い、穿孔ロッド24の周囲をシールして止水する場合には、前記加圧流体供給路5を介して、加圧室4内に圧縮空気等の加圧流体を供給し、この加圧流体による圧力によって、止水パッキング3をその内周側に膨張させてその内径を小さくし、止水パッキング3の内周側を穿孔ロッド24の外周に圧着する。
【0052】
そしてそれとともに、あるいは加圧流体の圧力によって止水パッキング3を内周側に膨張させる前に、前記駆動部材としてのエアーシリンダー11を駆動して押圧部材10を上昇させ、それによって、前述の機構によって、可動ロッド8を止水パッキング3側へ移動し、締付部材7によって、前記止水パッキング3をその内周側に締め付けて、止水パッキング3をその内周側に膨張させてその内径を小さくして、止水パッキング3の内周側を穿孔ロッド24の外周に圧着する。
【0053】
そうすると、加圧流体による圧力と締付部材7による締付の圧力の双方によって止水パッキングを内周側に膨張させてその内径を小さくすることができるので、止水パッキングを大きくかつ均一に内周側に膨張させることが可能である。この状態が図2の状態であり、止水パッキング3に圧力を加えていない状態が図1の状態である。
【0054】
このように、本実施例の穿孔ロッド挿入口元の止水装置では、加圧室内に供給した加圧流体による圧力と、締付部材7による締付圧力の双方の圧力によって止水パッキングを内周側に膨張させるために、止水パッキングを大きくかつ均一に内周側に膨張させることが可能である。
【0055】
従って、本実施例の穿孔ロッド挿入口元の止水装置では、例えば190φの外径の穿孔ロッドから90φの外径の穿孔ロッドまでのすべての穿孔ロッドに対応でき、即ち、互いに径が大きく異なる複数の穿孔ロッドを用いて地中の削孔を行う場合でも、一つの止水装置によって、すべての穿孔ロッドのシールを完全に行うことができ従来の止水装置を用いた場合と比較して、コストを抑えることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の止水装置では、地下水の噴出を防止するシール部材である止水パッキングを大きくかつ均一に内周側に膨張可能としており、これにより、互いに径が大きく異なる複数の穿孔ロッドのいずれにも対応可能であるため、止水パッキングを用いてシールする方式の止水装置の全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 止水装置
2 ハウジング
3 止水パッキング
4 加圧室
5 加圧流体供給路
6 締付手段
7 締付部材
8 可動ロッド
801 受動側傾斜面
9 駆動手段
10 押圧部材
1001 駆動側傾斜面
11 駆動部材
21 止水管
22 取付ベース
23 排水口
24 穿孔ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周側が開放された中空の円環状のハウジング(2)と、
その外周側と前記ハウジング(2)の内壁との間に密閉された加圧室(4)が形成されるような配置で、前記ハウジング(2)内に、ハウジング(2)の上壁(2a)及び底壁(2b)に密接して装填された、軟弾性材料よりなる略円環状の止水パッキング(3)と、
前記加圧室(4)に連通可能な配置で、前記ハウジング(2)に形成された加圧流体供給路(5)と、を備え、
前記加圧流体供給路(5)を介して前記加圧室(4)内に加圧流体を供給することで、前記止水パッキング(3)をその内周側へ膨張可能とした穿孔ロッド挿入口元の止水装置において、
前記加圧室(4)内に、前記止水パッキング(3)をその内周側に締め付けて、止水パッキング(3)をその内周側に膨張させるための締付手段(6)を設けるとともに、該締付手段(6)を駆動するための駆動手段(9)を備えた、ことを特徴とする穿孔ロッド挿入口元の止水装置。
【請求項2】
前記締付手段(6)を、前記止水パッキン(3)の外周に当接した締付部材(7)と、該締付部材(7)に連結された可動ロッド(8)と、で構成し、
前記駆動手段(9)は、前記可動ロッド(8)に、前記締付部材(7)が前記止水パッキング(3)を内周側に締め付ける方向への圧力を加え、あるいは加えている圧力を解除可能とした、ことを特徴とする請求項1に記載の穿孔ロッド挿入口元の止水装置。
【請求項3】
前記可動ロッド(8)は、前記ハウジング(2)を貫通するとともに基端部に受動側傾斜面(801)を備え、
前記駆動手段(9)は、前記受動側傾斜面(801)に摺動可能な駆動側傾斜面(1001)を具備し、前記駆動側傾斜面(1001)を前記受動側傾斜面(801)に摺動させることで、前記可動ロッド(8)に、前記締付部材(7)が前記止水パッキング(3)をその内周側に締め付ける方向への圧力を加え、あるいは加えている圧力を解除可能にした、ことを特徴とする請求項2に記載の穿孔ロッド挿入口元の止水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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