説明

突き上げカム装置

【課題】被加工部材や各構成部材に対する負荷の意図しない増大によって各構成部材が破損することを防止することができ、また、破損箇所の特定及び補修を容易ならしめる突き上げカム装置を提供すること。
【解決手段】突き上げカム装置1は、Z方向に移動自在なカムドライバ2と、X方向に移動自在であると共にカムドライバ2に摺動自在に接触しており、当該カムドライバ2のZ1方向の移動においてX1方向に移動するカムスライド3と、Z方向に移動自在であると共にカムスライド3に摺動自在に接触しており、カムスライド3のX1方向の移動においてZ2方向に移動するカムスライド4と、カムドライバ2、カムスライド3及び4の夫々を移動自在に支持する支持手段5と、カムスライド3を初期位置に復帰させる復帰機構6とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のパネルを加工するカム装置であって、傾斜したカム面を利用して加工用の工具を備えるカムスライドを、下から上に突き上げることにより曲げ加工等を行う突き上げカム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1及び2においては、移動金型によって上下移動されるドライバユニットと、このドライバユニットの傾斜カム面によって水平方向に移動される水平スライドユニットと、この水平スライドユニットの水平移動により上下方向に移動されると共に加工用の工具取付面を有する上下スライドユニットと、水平スライドユニットを元の位置に復帰させる弾性手段(復帰機構)と、これらのカム機構を有底矩形筒状のホルダユニットにおける略矩形状のカム収納空間内に収納してなる突き上げカム装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−302412号公報
【特許文献2】特開2008−307546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、斯かる突き上げカム装置では、ドライバユニット、水平スライドユニット及び上下スライドユニット等の各構成部材の移動量の微少誤差や当該突き上げカム装置に取り付けられた加工具のオフセット位置の変更や構成部材間及び金型と被加工部材との間への異物の介在等により被加工部材や各構成部材に意図しない負荷の増大を生じて破損に加えて金型自体の損傷を惹起する虞がある。また、斯かる突き上げカム装置の破損箇所が不特定であるため、破損箇所の特定に困難を極め、破損箇所によっては補修作業を終えるまでに多大な労力を要する場合がある。
【0005】
本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各構成部材や被加工部材への意図しない負荷の増大により金型まで破損が及ぶことを防止し、更には不特定箇所で破損することを回避することにより、破損箇所の特定ならびに補修を容易ならしめ、使用時における意図しない状況による損傷程度を極力抑えることができる突き上げカム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の突き上げカム装置は、上下方向に移動自在なカムドライバと、横方向に移動自在であると共にカムドライバに摺動自在に接触しており、当該カムドライバの下方向の移動において横方向に移動する横方向カムスライドと、上下方向に移動自在であると共に横方向カムスライドに摺動自在に接触しており、当該横方向カムスライドの横方向の移動において上方向に移動する上下方向カムスライドと、カムドライバ、横方向カムスライド及び上下方向カムスライドの夫々を移動自在に支持する支持手段と、横方向カムスライドを初期位置に復帰させる復帰機構とを具備しており、カムドライバ、横方向カムスライド及び上下方向カムスライドのうちの少なくとも一つは、当該カムドライバ、横方向カムスライド及び上下方向カムスライド間において伝達される移動力に基づいて移動される第一移動部材と、前記移動力に基づいて第一移動部材に対して相対的に移動されるように隙間をもって配されている第二移動部材と、第一移動部材及び第二移動部材を連結して一体化している連結部材とを具備しており、連結部材は、第一移動部材及び第二移動部材間において当該連結部材を介して伝達される前記移動力が所定の移動力を超えた際に当該移動力の伝達を解除すべくせん断される脆弱部を有している。
【0007】
本発明の突き上げカム装置によれば、特に、カムドライバ、横方向カムスライド及び上下方向カムスライドのうちの少なくとも一つは、当該カムドライバ、横方向カムスライド及び上下方向カムスライド間において伝達される移動力に基づいて移動される第一移動部材と、前記移動力に基づいて第一移動部材に対して相対的に移動されるように隙間をもって配されている第二移動部材と、第一移動部材及び第二移動部材を連結して一体化している連結部材とを具備しており、連結部材は、第一移動部材及び第二移動部材間において当該連結部材を介して伝達される前記移動力が所定の移動力を超えた際に当該移動力の伝達を解除すべくせん断される脆弱部を有しているために、夫々移動されるカムドライバ、横方向カムスライド及び上下方向カムスライドの移動量の微少誤差や上下方向カムスライドに対する加工具のオフセット位置の変更や異物の介在等により連結部材が第一移動部材及び第二移動部材間において伝達する移動力が予め設定された所定の移動力を超える際には、連結部材の脆弱部がせん断によって優先的に破断し、移動力が与えられる第一移動部材及び第二移動部材のうちの一方は、第一移動部材及び第二移動部材の他方に対して隙間分移動を生じることができるようになり、これにより連結部材による第一移動部材及び第二移動部材間の移動力の伝達を解除することで、カムドライバ、横方向カムスライド及び上下方向カムスライド間での移動力の伝達を解除し、カムドライバ、横方向カムスライド及び上下方向カムスライドに与えられる意図しない移動力の増大並びに当該移動力の増大に基づいて支持手段及び復帰機構に意図しない負荷の増大が生じる虞をなくし得て、金型まで損傷が及ぶことを抑制し得、更に当該カムユニットの構成部材であるカムドライバ、横方向カムスライド、上下方向カムスライド、支持手段及び復帰機構の中の不特定な箇所での破損を防止することにより損傷程度を極力抑えることができ、また、上述のように突き上げカム装置に与えられる移動力の意図しない増大が生じた際には、カムドライバ、横方向カムスライド、上下方向カムスライド、支持手段並びに復帰機構(カムドライバ、横方向カムスライド及び上下方向カムスライドのうちの少なくとも一つが具備する連結部材を除く)に先んじて、連結部材の脆弱部に破断が生じるので、破損箇所の特定が簡単であり、而して、破損箇所の特定及び補修が容易となる。
【0008】
本発明の突き上げカム装置では、カムドライバが前記第一移動部材、第二移動部材及び連結部材を具備していてもよく、斯かる場合には、カムドライバの第一移動部材は、上下方向に移動自在であると共に横方向カムスライドに摺動自在に接触しており、カムドライバの第二移動部材は、上下方向に移動自在であり、カムドライバの第一移動部材に対して上下方向における隙間をもって配されていると共に当該第一移動部材に対して上方向に突出している突出部を有しており、カムドライバの連結部材の脆弱部は、カムドライバの第一移動部材及び第二移動部材間において伝達する上下方向の移動力が所定の移動力を超えた際に当該上下方向の移動力の伝達を解除すべくせん断されるようになっている。斯かる突き上げカム装置によれば、カムドライバに配された連結部材の脆弱部において優先的にせん断による破断を生じさせ得る。
【0009】
本発明の突き上げカム装置では、上下方向カムスライドが、前記第一移動部材、第二移動部材及び連結部材を具備していてもよく、斯かる場合には、上下方向カムスライドの第一移動部材は、上下方向に移動自在であると共に横方向カムスライドに摺動自在に接触しており、上下方向カムスライドの第二移動部材は、上下方向に移動自在であり、上下方向カムスライドの第一移動部材に対して上下方向における隙間をもって配されていると共に当該第一移動部材に対して上方向に突出している突出部を有しており、上下方向カムスライドの連結部材の脆弱部は、上下方向カムスライドの第一移動部材及び第二移動部材間において伝達する上下方向の移動力が所定の移動力を超えた際に当該上下方向の移動力の伝達を解除すべくせん断されるようになっている。斯かる突き上げカム装置によれば、上下方向カムスライドに配された連結部材の脆弱部において優先的にせん断による破断を生じさせ得る。
【0010】
本発明の突き上げカム装置では、横方向カムスライドが、前記第一移動部材、第二移動部材及び連結部材を具備していてもよく、斯かる場合には、横方向カムスライドの第一移動部材は、横方向に移動自在であると共にカムドライバに摺動自在に接触しており、横方向カムスライドの第二移動部材は、横方向に移動自在であり、横方向カムスライドの第一移動部材に対して横方向における隙間をもって配されていると共に上下方向カムスライドに摺動自在に接触しており、横方向カムスライドの連結部材の脆弱部は、横方向カムスライドの第一移動部材及び第二移動部材間において伝達する横方向の移動力が所定の移動力を超えた際に当該横方向の移動力の伝達を解除すべくせん断されるようになっている。斯かる突き上げカム装置によれば、横方向カムスライドに配された連結部材の脆弱部において優先的にせん断による破断を生じさせ得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、突き上げカム装置の各構成部材や被加工部材への意図しない負荷の増大の発生時にカム装置の特定箇所で優先的に破損を生じさせることにより金型まで破損が及ぶことを防止し、更には当該カム装置の不特定箇所で破損することを防止することにより、破損箇所の特定ならびに補修を容易ならしめ、当該カム装置の使用時における意図しない状況による当該カム装置の損傷程度や補修に必要とする労力を極力抑えることができる突き上げカム装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態の例の一部展開斜視説明図である。
【図2】図1に示す例の断面説明図である。
【図3】図1に示す例の平面説明図である。
【図4】図2に示す例のIV−IV線矢視断面説明図である。
【図5】図2に示される連結部材の拡大斜視説明図である。
【図6】図1に示す例の動作説明図である。
【図7】図1に示す例の動作説明図である。
【図8】図2に示される上下方向スライドに代えて用いられる他の上下方向スライドの説明図である。
【図9】図2に示される横方向スライドに代えて用いられる他の横方向スライドの説明図である。
【図10】(a)、(b)及び(c)は、図2、図8及び図9に示される連結部材の脆弱部の説明図である。
【図11】突き上げカム装置の工具取付部に取り付けられた加工具の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明を、図に示す好ましい実施の形態の例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【実施例】
【0014】
図1から図7において、本例の突き上げカム装置1は、上下方向としてのZ方向に移動自在なカムドライバ2と、Z方向に対して直交する横方向としてのX方向に移動自在であると共にカムドライバ2に摺動自在に接触しており、当該カムドライバ2の下方向としてのZ1方向の移動においてX1方向に移動する横方向カムスライド3(以下、カムスライド3と称する)と、Z方向に移動自在であると共にカムスライド3に摺動自在に接触しており、当該カムスライド3のX1方向の移動において上方向としてのZ2方向に移動する上下方向カムスライド4(以下、カムスライド4と称する)と、カムドライバ2、カムスライド3及び4の夫々を移動自在に支持する支持手段5と、カムスライド3を図2に示す初期位置に復帰させる復帰機構6とを具備している。
【0015】
支持手段5は、底壁11と、底壁11に取り付けられている前壁12及び後壁13と、X方向において前壁12及び後壁13間に配され、X方向及びZ方向に直交するY方向において底壁11を間にして対面して配されていると共に、底壁11、前壁12及び後壁13に取り付けられている一対の側壁14及び15とを具備している。底壁11、前壁12、後壁13並びに側壁14及び15はボルト16を介して夫々互いに取り付けられている。底壁11、前壁12、後壁13並びに側壁14及び15は、カムドライバ2、カムスライド3及びカムスライド4を収容する空間を有する一つのカムホルダを形成している。底壁11の内面31は、カムスライド3にX方向に摺動自在に接しており、前壁12の内面32は、カムスライド4にZ方向に摺動自在に接しており、後壁13の内面33は、カムドライバ2にZ方向に摺動自在に接しており、側壁14及び15の内面34及び35は、カムドライバ2及びカムスライド4にZ方向に接していると共にカムスライド3にX方向に摺動自在に接している。底壁11には復帰機構6が装着されている。斯かる支持手段5は、カムドライバ2及びカムスライド4をZ方向に、カムスライド3をX方向に夫々案内するように形成されている。
【0016】
カムドライバ2並びにカムスライド3及び4のうちの少なくとも一つは、当該カムドライバ2並びにカムスライド3及び4間において伝達される移動力に基づいて移動される第一移動部材と、前記移動力に基づいて第一移動部材に対して相対的に移動され得るように隙間をもって配されている第二移動部材と、当該第一移動部材及び第二移動部材を連結して一体化している連結部材とを具備しており、連結部材は、第一移動部材及び第二移動部材間において当該連結部材を介して伝達される前記移動力が所定の移動力を超えた際に当該移動力の伝達を解除すべくせん断される脆弱部を有している。本例においては、カムドライバ2が前記第一移動部材、第二移動部材及び連結部材を具備しているものとして、以下、符号を用いて詳細に説明する。カムドライバ2は、カムスライド3に摺動自在に接触しているZ方向に移動自在な第一移動部材21(以下、移動部材21と称する)と、移動部材21に対して下面52にZ方向における隙間22をもって対面して配されていると共に移動部材21の上面48に対してZ2方向に突出している突出部23を有しているZ方向に移動自在な第二移動部材24(以下、移動部材24と称する)と、Z方向の移動力を移動部材21及び移動部材24間において伝達するように、移動部材21と移動部材24とを連結している連結部材25とを具備している。
【0017】
移動部材21は、後壁13の内面33並びに側壁14及び15の内面34及び35にZ方向に案内されるようにZ方向に摺動自在に接している本体41と、Z方向に伸びる線に対して傾斜して本体41の底部に形成されていると共にカムスライド3に摺動自在に接している傾斜面42と、移動部材24に接触して本体41に形成されている接触面43と、移動部材24の下面52に対してZ1方向側に所定の隙間をもって対面して位置するように本体41に形成されている受け部44と、連結部材25が部分的に嵌挿されるように接触面43からX2方向に伸びて本体41を貫通して形成されていると共に接触面43において開口している孔45を具備している。本例では、孔45を具備しているが、これが凹部であってもかまわない。傾斜面42は、後壁13側に向かうX2方向において底壁11に漸次接近するように傾斜している。また、本体41には、後壁13の内面33にZ方向に摺動自在に接している後面47に、凹状であってZ方向に伸びているスリット56が形成されており、後壁13の上面17には、スリット56に配される突出部を有する係止部材57がボルト等により着脱自在に装着されている。スリット56は本体41の上面48において開口しており、本体41の後面47において上面48側からZ1方向に向かう途中で閉塞面58によって閉塞されている。係止部材57は、カムドライバ2が過度にZ2方向に移動した際に本体41のスリット56の閉塞面58に係合してそのZ2方向の移動を阻止するようになっており、これにより、意図しないカムドライバ2の脱落を防止し得る。
【0018】
移動部材24は、側壁14及び15の内面34及び35並びに摺動プレート85の摺動面92にZ方向に案内されるように摺動自在に接していると共に、下面52が移動部材21の受け部44に対してZ2方向側に所定の隙間をもって配されている本体51と、移動部材21の接触面43と連結部材25を介して接するように本体51に形成されている接触面53と、連結部材25が部分的に嵌挿されるように接触面53からX1方向に伸びて本体51内部に形成されていると共に接触面53において開口し、本体51内部で閉塞している凹所55と、上面26が移動部材21の本体41の上面48に対してZ2方向に突出して本体51に一体的に設けられている突起部23とを具備している。本例では、凹所55を具備しているが、これが孔であってもかまわない。
【0019】
連結部材25は、Z方向に伸びる線に対して交差する方向、本例ではX方向に伸びた本体61と、本体61に形成されていると共に、移動部材21及び24間において伝達するZ方向の移動力が所定の移動力を超えた際に当該Z方向の移動力の伝達を解除すべくせん断される脆弱部62とを有している。本体61は、本例では、例えば図5に示すように円柱状であり、脆弱部62はX方向において本体61の中間部に配設されている。脆弱部62は、本体61の一部が縮径されることによって形成されている。斯かる連結部材25は、本体61が移動部材21の孔45及び移動部材24の凹所55に嵌挿され且つ脆弱部62が孔45及び凹所55の接触面43及び53における開口に配設されることによって、移動部材21及び24間においてZ方向の移動力を伝達する一方、所定のZ方向の移動力を超えるZ方向の移動力の伝達を解除するようになる。前記所定の移動力は、連結部材25の脆弱部62が突き上げカム装置1の各構成部材(連結部材25を除く)に先んじてせん断破断される程度であって前記各構成部材に破損を生じさせない程度の移動力に予め設定されている。
【0020】
斯かるカムドライバ2は、油圧ラム等の作動で上型を介してZ1方向の移動力が移動部材24の突出部23の上面26に対して与えられると、移動部材24の本体51にZ1方向の移動力が生じると共に当該Z1方向の移動力が連結部材25を介して移動部材21の本体41に伝達され、而して、移動部材21、移動部材24及び連結部材25が、後壁13、側壁14及び15の夫々の内面33、34及び35並びに摺動プレート85の摺動面92に案内されながらZ1方向に移動される。このカムドライバ2のZ1方向の移動において移動部材21の傾斜面42はカムスライド3の傾斜面72上を斜め下方向X2Z1に摺動し、これによりカムスライド3はX方向において前壁12側に向かうX1方向の移動力を生じて図6に示すように当該X1方向に移動される。
【0021】
また、カムドライバ2は、X方向において後壁13側に向かうカムスライド3のX2方向の移動に基づいて移動部材21の傾斜面42がカムスライド3の傾斜面72上を斜め下方向X2Z1とは逆方向である斜め上方向X1Z2に摺動する際には、移動部材21、移動部材24及び連結部材25にZ2方向の移動力が生じて当該Z2方向に移動し、図2に示す初期位置に復帰する。
【0022】
例えば、カムドライバ2のZ1方向の移動において、連結部材25の脆弱部62への移動部材24から移動部材21に伝達するZ1方向の移動力が所定の移動力を超えた際には、図7に示すように、連結部材25の脆弱部62にせん断によって破断が生じ、移動部材24が瞬時に隙間22分だけZ1方向に移動し、上型からの移動部材24へのZ1方向の移動力の伝達が解除され、これにより、連結部材25による移動部材24及び移動部材21間のZ1方向の移動力の伝達は解除されて、カムドライバ2からカムスライド3へのX1方向の移動力並びにカムスライド3からカムスライド4へのZ2方向の移動力も解除される。移動部材24は移動部材21に対して隙間22のZ方向における幅分だけ移動可能となり、移動部材24が移動部材21に対して前記幅分だけZ1方向に移動し、移動部材24の本体51が移動部材21の受け部44に受け止められる。
【0023】
カムスライド3は、底壁11の内面31並びに側壁14及び15の内面34及び35にX方向に案内されるようにこれらにX方向に摺動自在に接しているスライド本体71と、X方向に伸びる線に対して傾斜してスライド本体71に形成されていると共にカムドライバ2の傾斜面42に摺動自在に接している傾斜面72と、傾斜面72に対して前壁12側に配されており、X方向に伸びる線に対して傾斜面72とは逆方向に傾斜していると共にカムスライド4に摺動自在に接している傾斜面73と、当該傾斜面73が形成されていると共にカムスライド4に傾斜面73に沿って摺動自在に係合するようにスライド本体71に配設された係合体74とを具備している。
【0024】
傾斜面72は、X2方向において底壁11に漸次接近するように傾斜しており、傾斜面73は、X1方向において底壁11に漸次接近するように傾斜している。
【0025】
係合体74は、例えば図4に示すように、断面略T字状であり、Y方向に突出した一対の係合突出部75及び76を有している。斯かる係合体74には、前記傾斜面73が形成されており、この傾斜面73においてカムスライド4に摺動自在に接している。
【0026】
斯かるカムスライド3は、カムドライバ2のZ1方向の移動に基づいて傾斜面72がカムドライバ2の傾斜面42に対して摺動されると、X1方向の移動力を生じて底壁11の内面31並びに側壁14及び15の内面34及び35に案内されながらX1方向に移動し、このX1方向の移動により傾斜面73をカムスライド4に対して摺動させて当該カムスライド4にZ2方向の移動力を与え、而して、カムスライド4をZ2方向に移動させるようになっている。
【0027】
カムスライド4は、前壁12の内面32、側壁14及び15の内面34及び35並びに摺動プレート85を介してカムドライバ2の移動部材24の前面27にZ方向に案内されるようにZ方向に摺動自在に接しているスライド本体81と、Z方向に伸びる線に対して傾斜していると共にカムスライド3の傾斜面73に摺動自在に接している傾斜面82と、当該傾斜面82が形成されていると共にカムスライド3の傾斜面73に摺動自在に係合されるようにスライド本体81に配設された被係合体83と、図2において支持手段5からZ2方向に突出しているスライド本体81の上面93に配された工具取付部84とを具備している。傾斜面82はX1方向において底壁11に漸次接近するように傾斜している。尚、スライド本体81には、側壁14及び15の夫々の内面34及び35に対して凹状であってZ方向に伸びてZ2方向の夫々の上面94及び95並びにZ1方向の夫々の下面96及び97で夫々閉塞されている一対の凹所86及び87が形成されており、側壁14の上面18には、凹所86に配される突出部を有する係止部材88がボルト等により着脱自在に装着されており、側壁15の上面19には、凹所87に配される突出部を有する係止部材89がボルト等により着脱自在に装着されている。係止部材88及び89は、カムスライド4が過度にZ方向に移動した際にスライド本体81の一対の凹所86及び87の夫々の上面94及び95に係合してそのZ方向の移動を阻止するようになっており、これにより、意図しないカムスライド4の脱落を防止し得る。
【0028】
カムスライド4のスライド本体81は、カムドライバ2の移動部材24に隣接しており、スライド本体81と移動部材24とのX方向における隙間には摺動プレート85が配されており、これにより、カムスライド4は、カムドライバ2に対してZ方向に摺動自在となっている。摺動プレート85はスライド本体81にボルト等によって取り付けられている。
【0029】
被係合体83は、例えば図4に示すように、断面略L字状の一対のL字状部材90及び91からなり、L字状部材90及び91は、係合体74の係合突出部75及び76を夫々囲っている。斯かる被係合体83には、前記傾斜面82が形成されており、この傾斜面82においてカムスライド3の傾斜面73に摺動自在に接している。被係合体83が係合体74に係合されていると、カムスライド4はカムスライド3の傾斜面73に対して相対的に移動自在であるが、カムスライド4とカムスライド3との接触状態は維持される。
【0030】
斯かるカムスライド4は、カムスライド3のX1方向の移動に基づいて傾斜面82がカムスライド3の傾斜面73に対して摺動されると、Z2方向の移動力を生じて前壁12の内面32、側壁14及び15の内面34及び35並びに摺動プレート85を介してカムスライド2の移動部材24の前面27に案内されながらZ2方向に移動し、而して、工具取付部84をZ2方向に移動させるようになっている。工具取付部84に取り付けられた曲げ刃等の加工具は、前記カムスライド4のZ2方向の移動に基づいて被加工部材に曲げ加工等の加工を行い得る。
【0031】
復帰機構6は、一端部64が底壁11の前壁12側に固定されているX方向に伸びたロッド65と、ロッド65を取り巻いてロッド65と同心に配されたコイルばね66と、ロッド65の一端部64に固着されていると共にコイルばね66の一端部67側からの弾性伸長力を受容するばね受け68と、ばね受け68と協働してコイルばね66に初期圧縮力を与えると共にコイルばね66の他端部69側から受容する弾性伸長力をカムスライド3に伝達する伝達部材70とを具備している。伝達部材70は、ロッド65に対してX方向に移動自在であると共にカムスライド3のスライド本体71にボルト等により固着されている。
【0032】
斯かる復帰機構6は、カムドライバ2のZ1方向の移動に基づいてカムスライド3がX1方向に移動された際には、伝達部材70もまた図6に示すようにX1方向に移動されてコイルばね66が圧縮されて、その弾性伸長力が漸増する。上型等からカムドライバ2の移動部材24に対するZ1方向の移動力の付与が終了した際には、コイルばね66が伸長してカムスライド3をX2方向に移動させて図2に示す初期位置に復帰させる。尚、カムスライド3がX2方向に移動する場合、カムドライバ2はZ2方向に移動される一方、カムスライド4は、係合体74及び被係合体83を介してカムスライド3に係合されているため、Z1方向に引っ張られてZ1方向に移動され、これにより、カムスライド4の工具取付部84に取り付けられた加工具を被加工部材から確実に離反させ得る。
【0033】
斯かる突き上げカム装置1では、上述のように上型によりカムドライバ2の移動部材24にZ1方向の移動力が与えられると、カムドライバ2の移動部材21が移動部材24と共にZ1方向に、カムスライド3がX1方向に、カムスライド4がZ2方向に夫々移動し、而して、カムスライド4の工具取り付け部84に取り付けられた曲げ刃等の加工具を上昇させて被加工部材を加工する。また、上述のようにカムドライバ2の移動部材24に対する上型からのZ1方向の移動力の付与が終了すると、復帰機構6の弾性的な復帰力によりカムスライド3をX2方向に移動させ、この移動により、カムドライバ2の移動部材21及び移動部材24をZ2方向に、カムスライド4をZ1方向に夫々移動させ、而して、移動部材21及び移動部材24から構成されたカムドライバ2、カムスライド3及びカムスライド4を夫々初期位置に復帰させると共に、カムスライド4の工具取り付け部84に取り付けられた加工具を下降させて被加工部材から離反させる。
【0034】
しかしながら、夫々移動されるカムドライバ2、カムスライド3及びカムスライド4の移動量の微少誤差や工具取付部84に対する加工具のオフセット位置の変更や異物の介在等によりカムドライバ2の移動部材21の接触面43とカムドライバ2の移動部材24の接触面53に接触部界面を中心として移動部材24の本体51の内部のX1方向及び移動部材21の本体41の内部のX2方向にそれぞれ伸びた連結部材25に付与される移動力がカムドライバ2の移動部材21及び移動部材24間の予め設定された所定のZ方向の移動力を超える際には、図7に示すように連結部材25の脆弱部62がせん断によって優先的に破断し、Z方向の移動力が与えられる移動部材21及び移動部材24のうちの一方は、移動部材21及び移動部材24の他方に対して移動を生じることができるようになり、上型及び移動部材24間のZ方向の移動力の伝達が解除され、これにより、連結部材25によるカムドライバ2の移動部材24及び移動部材21間のZ方向の移動力の伝達は解除されることで、カムドライバ2、カムスライド3及びカムスライド4間でのZ方向の移動力の伝達を解除し、カムドライバ2、カムスライド3及びカムスライド4に与えられる意図しない移動力の増大及び当該移動力の増大に基づいて支持手段5及び復帰機構6に意図しない負荷の増大が生じる虞をなくし得て、金型まで損傷が及ぶことを抑制し得、更に特定箇所であるカムドライバ2内に配した連結部材25の脆弱部62が優先的に破壊するので、当該突き上げカム装置1の構成部材であるカムドライバ2、カムスライド3、カムスライド4、支持手段5及び復帰機構6の中の不特定な箇所での破損を防止することにより損傷程度を極力抑えることができる。また、上述のように突き上げカム装置1に与えられる移動力の意図しない増大が生じた際には、カムドライバ2(連結部材25を除く)、カムスライド3、カムスライド4、支持手段5並びに復帰機構6に先んじて、連結部材25の脆弱部62に優先的に破断が生じるので、破損箇所の特定が簡単であり、而して、破損箇所の特定及び補修が容易となる。
【0035】
尚、図11は、本例の突き上げカム装置1によって上昇、下降される加工具としての曲げ刃120による被加工部材121の曲げ加工に関する説明図である。カムスライド4の工具取付部84に取り付けられた曲げ刃120は、カムスライド4の上昇において被加工部材121に接触し、上型122と協働して被加工部材121に曲げ加工を行う。曲げ加工完了後、曲げ刃120は、カムスライド4の下降により被加工部材121から離反する。符号123は下型であり、上型とともに被加工部材121を挟持している。
【0036】
本例の突き上げカム装置1によれば、Z方向に移動自在なカムドライバ2と、X方向に移動自在であると共にカムドライバ2に摺動自在に接触しており、当該カムドライバ2のZ1方向の移動においてX1方向に移動するカムスライド3と、Z方向に移動自在であると共にカムスライド3に摺動自在に接触しており、当該カムスライド3のX1方向の移動においてZ2方向に移動するカムスライド4と、カムドライバ2、カムスライド3及びカムスライド4の夫々を移動自在に支持する支持手段5と、カムスライド3を初期位置に復帰させる復帰機構6とを具備しており、カムドライバ2並びにカムスライド3及び4のうちの少なくとも一つとしてのカムドライバ2は、当該カムドライバ2並びにカムスライド3及びカムスライド4間において伝達される移動力に基づいて移動される移動部材21と、前記移動力に基づいて移動部材21に対して相対的に移動され得るように隙間22をもって配されている移動部材24と、移動部材21及び24を連結して一体化している連結部材25とを具備しており、連結部材25は、移動部材21及び24間において当該連結部材25を介して伝達される前記移動力が所定の移動力を超えた際に当該移動力の伝達を解除すべくせん断される脆弱部62を有しており、詳細には、カムドライバ2は、カムスライド3に摺動自在に接触しているZ方向に移動自在な移動部材21と、移動部材21の本体41に形成されている受け部44に対して本体51に形成されている下面52にZ方向における隙間22をもって対面して配されていると共に移動部材21の本体41の上面48に対してZ2方向に突出している突出部23を有しているZ方向に移動自在な移動部材24と、Z方向の移動力を移動部材21及び24間において伝達するように、移動部材21と移動部材24とを連結している連結部材25とを具備しており、連結部材25は、移動部材21及び24間において伝達するZ方向の移動力が所定の移動力を超えた際に当該Z方向の移動力の伝達を解除すべくせん断される脆弱部62を有しているために、夫々移動されるカムドライバ2、カムスライド3及びカムスライド4の移動量の微少誤差やカムスライド4に対する加工具のオフセット位置の変更、異物の介在等により連結部材25に付与される移動力がカムドライバ2の移動部材21及び24間において伝達する予め設定された所定のZ方向の移動力を超える際には、連結部材25の脆弱部62がせん断によって優先的に破断し、Z方向の移動力が与えられる移動部材21及び移動部材24のうちの一方は、移動部材21及び移動部材24の他方に対して移動を生じることができるようになり、上型及び移動部材24間のZ方向の移動力の伝達が解除され、これにより、連結部材25によるカムドライバ2の移動部材24及び移動部材21間のZ方向の移動力の伝達は解除することで、カムドライバ2及びカムスライド3間のX方向への移動力並びにカムスライド3及びカムスライド4間のZ方向の移動力の伝達を解除し、カムドライバ2、カムスライド3及び4に与えられる移動力の意図しない増大及び当該移動力の増大に基づいて支持手段5及び復帰機構6に負荷の意図しない増大が生じる虞をなくし得て、金型並びに当該突き上げカム装置1の構成部材であるカムドライバ2、カムスライド3及び4、支持手段5並びに復帰機構6の破損を防止することができる。また、上述のように突き上げカム装置1に与えられる移動力の意図しない増大が生じた際には、カムドライバ2(連結部材25を除く)、カムスライド3及び4、支持手段5並びに復帰機構6に先んじて、連結部材25が破断するので、破損箇所の特定及び補修が容易となる。
【0037】
突き上げカム装置1は、上述ではカムスライド4の構造を有する上下方向カムスライドを具備しているが、これに代えて、例えば図8に示すように、カムドライバ2、カムスライド3及び後述のカムスライド107間において伝達される移動力に基づいて移動される移動部材101と、前記移動力に基づいて移動部材101に対して相対的に移動され得るように隙間102をもって配されている移動部材104と、移動部材101及び104を連結して一体化している連結部材105とを具備しており、連結部材105は、移動部材101及び104間において当該連結部材105を介して伝達される前記移動力が所定の移動力を超えた際に当該移動力の伝達を解除すべくせん断される脆弱部106を有しているZ方向に移動自在なカムスライド107を具備していてもよく、詳細には、カムスライド3に摺動自在に接触しているZ方向に移動自在な移動部材101と、移動部材101に対してZ方向における隙間102をもって配されていると共に移動部材101に対してZ2方向に突出している突出部103を有しているZ方向に移動自在な移動部材104と、Z方向の移動力を移動部材101及び104間において伝達するように、移動部材101と移動部材104とを連結している連結部材105とを具備しており、連結部材105は、移動部材101及び104間において伝達するZ方向の移動力が所定の移動力を超えた際に当該Z方向の移動力の伝達を解除すべくせん断される脆弱部106を有しているZ方向に移動自在なカムスライド107を具備していてもよい。
【0038】
突き上げカム装置1は、上述ではカムスライド3の構造を有する横方向カムスライドを具備しているが、これに代えて、例えば図9に示すように、カムドライバ2、後述のカムスライド117及びカムスライド4若しくは107間において伝達される移動力に基づいて移動される移動部材111と、前記移動力に基づいて移動部材111に対して相対的に移動され得るように隙間112をもって配されている移動部材114と、移動部材111及び114を連結して一体化している連結部材115とを具備しており、連結部材115は、移動部材111及び114間において当該連結部材115を介して伝達される前記移動力が所定の移動力を超えた際に当該移動力の伝達を解除すべくせん断される脆弱部116を有しているX方向に移動自在なカムスライド117を具備していてもよく、詳細には、カムドライバ2に摺動自在に接触しているX方向に移動自在な移動部材111と、移動部材111に対してX方向における隙間112をもって配されていると共にカムスライド4に摺動自在に接触しているX方向に移動自在な移動部材114と、X方向の移動力を移動部材111及び114間において伝達するように、移動部材111と移動部材114とを連結している連結部材115とを具備しており、連結部材115は、移動部材111及び移動部材114間において伝達するX方向の移動力が所定の移動力を超えた際に当該X方向の移動力の伝達を解除すべくせん断される脆弱部116を有しているX方向に移動自在なカムスライド117を具備していてもよい。
【0039】
突き上げカム装置1が図8及び図9に示すカムスライド107及び117のうちの少なくとも一方を具備している場合には、突き上げカム装置1は、カムドライバ2に代えて、例えば、連結部材25の構成が省略されていると共に移動部材21及び24が互いに一体的に形成されているカムドライバ(図示せず)を具備していてもよく、斯かる場合においても、カムスライド107がカムドライバ2と同様に脆弱部106にせん断によって破断を生じさせ得、カムスライド117がカムドライバ2と同様に脆弱部116にせん断によって破断を生じさせ得るので、上記同様の効果を奏し得る。
【0040】
尚、本例の突き上げカム装置1では、連結部材25を装着してなるカムドライバ2を具備しているが、連結部材25が装着されたカムドライバ2、連結部材105が装着されたカムスライド107及び連結部材115が装着されたカムスライド117のうちの少なくとも一つを具備している突き上げカム装置であればよく、斯かる突き上げカム装置1によれば上記同様の効果を奏し得る。
【0041】
連結部材25、105及び115は、機械構造用炭素鋼、機械構造用合金鋼、ステンレス鋼等の鉄系材料又は高力黄銅(CAC304等)、アルミニウム青銅(CAC703等)の銅合金系材料からなっていてもよい。機械構造用炭素鋼としては、S45C等があり、機械構造用合金鋼としては、クロムモリブデン鋼(SCM)、ニッケルクロム鋼(SNC)、ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)等があり、ステンレス鋼としては、オーステナイトステンレス鋼(SUS304等)、マルテンサイトステンレス鋼(SUS420J1等)等がある。連結部材25、105及び115の脆弱部62、106及び116の夫々の側断面形状は、例えば図10の(a)に示すようにU字形状であってもよく、図10の(b)に示すようにコの字形状であってもよく、また、図10の(c)に示すようにV字形状であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 突き上げカム装置
2 カムドライバ
3、4、107、117 カムスライド
5 支持手段
6 復帰機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に移動自在なカムドライバと、横方向に移動自在であると共にカムドライバに摺動自在に接触しており、当該カムドライバの下方向の移動において横方向に移動する横方向カムスライドと、上下方向に移動自在であると共に横方向カムスライドに摺動自在に接触しており、当該横方向カムスライドの横方向の移動において上方向に移動する上下方向カムスライドと、カムドライバ、横方向カムスライド及び上下方向カムスライドの夫々を移動自在に支持する支持手段と、横方向カムスライドを初期位置に復帰させる復帰機構とを具備しており、カムドライバ、横方向カムスライド及び上下方向カムスライドのうちの少なくとも一つは、当該カムドライバ、横方向カムスライド及び上下方向カムスライド間において伝達される移動力に基づいて移動される第一移動部材と、前記移動力に基づいて第一移動部材に対して相対的に移動されるように隙間をもって配されている第二移動部材と、第一移動部材及び第二移動部材を連結して一体化している連結部材とを具備しており、連結部材は、第一移動部材及び第二移動部材間において当該連結部材を介して伝達される前記移動力が所定の移動力を超えた際に当該移動力の伝達を解除すべくせん断される脆弱部を有している突き上げカム装置。
【請求項2】
カムドライバが、前記第一移動部材、第二移動部材及び連結部材を具備しており、カムドライバの第一移動部材は、上下方向に移動自在であると共に横方向カムスライドに摺動自在に接触しており、カムドライバの第二移動部材は、上下方向に移動自在であり、カムドライバの第一移動部材に対して上下方向における隙間をもって配されていると共に当該第一移動部材に対して上方向に突出している突出部を有しており、カムドライバの連結部材の脆弱部は、カムドライバの第一移動部材及び第二移動部材間において伝達する上下方向の移動力が所定の移動力を超えた際に当該上下方向の移動力の伝達を解除すべくせん断されるようになっている請求項1に記載の突き上げカム装置。
【請求項3】
上下方向カムスライドが、前記第一移動部材、第二移動部材及び連結部材を具備しており、上下方向カムスライドの第一移動部材は、上下方向に移動自在であると共に横方向カムスライドに摺動自在に接触しており、上下方向カムスライドの第二移動部材は、上下方向に移動自在であり、上下方向カムスライドの第一移動部材に対して上下方向における隙間をもって配されていると共に当該第一移動部材に対して上方向に突出している突出部を有しており、上下方向カムスライドの連結部材の脆弱部は、上下方向カムスライドの第一移動部材及び第二移動部材間において伝達する上下方向の移動力が所定の移動力を超えた際に当該上下方向の移動力の伝達を解除すべくせん断されるようになっている請求項1に記載の突き上げカム装置。
【請求項4】
横方向カムスライドが、前記第一移動部材、第二移動部材及び連結部材を具備しており、横方向カムスライドの第一移動部材は、横方向に移動自在であると共にカムドライバに摺動自在に接触しており、横方向カムスライドの第二移動部材は、横方向に移動自在であり、横方向カムスライドの第一移動部材に対して横方向における隙間をもって配されていると共に上下方向カムスライドに摺動自在に接触しており、横方向カムスライドの連結部材の脆弱部は、横方向カムスライドの第一移動部材及び第二移動部材間において伝達する横方向の移動力が所定の移動力を超えた際に当該横方向の移動力の伝達を解除すべくせん断されるようになっている請求項1に記載の突き上げカム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−110903(P2012−110903A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259460(P2010−259460)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】