説明

突き技練習具

【課題】
剣道競技や銃剣道競技などにおける突き技について、練習者および練習相手がともに身体を痛めることなく安全に練習することができる突き技練習具を提供する。
【解決手段】
筒状の本体2と筒状または棒状の先端部3の間にバネなどの伸縮部4を備え、ストッパー5、ストッパー6およびストッパー7により安定させる。通常の状態では、本体2と先端部3は伸縮部4とストッパー5、ストッパー6およびストッパー7により安定しているが、突き技を練習するとき、先端部3が本体2に挿入され、本体の内部に設けた伸縮部4が衝撃を吸収しながら縮み、練習を終えると伸縮部4の反発により通常の状態に戻る構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剣道競技や銃剣道競技などにおける突き技について、練習者および練習相手がともに身体を痛めることなく安全に練習することができる突き技練習具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
剣道競技において、突き技はとても重要な技であるが、正しい部位を突いても相手の首への衝撃や痛みが大きく、また、もし正しい部位を外れた場合は、相手の首や胸に怪我をさせることがある。このため、危険な技として小中学生の試合では認められておらず、小中学生ではほとんど練習されていない。高校生以上の試合で突き技は有効となるが、突き技は数多くの反復練習の末に習得されるものなので、高校生になってからの少ない練習ではなかなか習得することがむずかしく、未熟のまま技を使うと試合相手に怪我を負わせるなど大変危険である。
【0003】
練習時は、正しい部位を突いたとしても衝撃が大きく痛みを伴うため、連続して数多くの練習をすることが困難であり、もし正しい部位を外れた場合は相手に痛い思いをさせるという懸念から、なかなか力いっぱい練習できないのが実情である。また、ひとりで練習する際は、立ち木、壁や塀などを竹刀で突いたりするが、衝撃が吸収されないため自分の手首、肘や肩を痛めたり、打突音が大きくて近隣の迷惑になったり、壁や塀などを壊したりする心配があった。
【0004】
また、銃剣道競技においては、有効とされる技はすべて突き技であり、練習する技は突き技ばかりとなるため、突き技練習時の衝撃や身体にかかる負担は剣道競技に比較して極めて大きくなる。
【0005】
練習相手の衝撃を軽減する従来技術として、練習相手が装着する保護具があるが、問題点を総合的に解決するには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3121341号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて小中学生や初心者でも安全に練習でき、数多く練習しても練習者および練習相手が共に身体を痛めることなく、また、ひとりで練習する際に静かに且つ突く対象物を壊すことなく練習することができる突き技練習具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかる突き技練習具1は、筒状の本体2と筒状または棒状の先端部3の間にバネなどの伸縮部4を備え、ストッパー5、ストッパー6およびストッパー7により安定させる構成とした。
【0009】
本発明において、本体2は筒状をした構造体で、先端部3は、筒状または棒状をした構造体である。これらの構造体の強度を保つため、特に限定されないが、高強度・高剛性・耐磨耗性等に優れた強化プラスチックや炭素繊維、アルミなどの金属類あるいは竹や木材などを使用する。また、本体2および先端部3は、それぞれが一体成形されていても、分割体を組み立てて形成するようにしても構わない。
【0010】
本発明において、伸縮部4は、本体2と先端部3の間が伸縮するようすれば良く、バネやゴムを使用しても、空気の圧縮や磁石の反発を利用しても構わない。
【0011】
本発明において、ストッパー5、ストッパー6およびストッパー7は、本体2、先端部3および伸縮部4を安定させるために備えるもので、本体2や先端部3と一体構造になっていても、また、個別に用意してネジや接着剤で取りつけても構わない。個別に用意する場合は、形状および材質は特に限定されないが、筒状または棒状をした構造体で、本体2および先端部3と同等の材質にすることが望ましい。なお、本体2、先端部3および伸縮部4を安定させることができれば良く、ストッパーの個数にはこだわらない。
【0012】
本発明の突き技練習具1の長さ、太さおよび重量は、特に限定されないが、剣道競技の突き技練習具とする場合は、剣道競技における竹刀と同様の形状かつ同程度の長さ、太さおよび重量にすることが望ましい。また、本発明の突き技練習具1を銃剣道競技の突き技練習具とする場合は、銃剣道競技における木銃と同様の形状かつ同程度の長さ、太さおよび重量にすることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる突き技練習具1は、通常の状態では、本体2と先端部3は伸縮部4の反発とストッパー5、ストッパー6およびストッパー7により安定しているが、突き技を練習するとき、突き技練習具1の先端が練習相手の部位に到達し、さらに力を加え続けると、先端部3と本体2の間に設けた伸縮部4が縮んで衝撃を吸収する。練習を終えると伸縮部4の反発により先端部3は、通常の状態に戻る。
【0014】
伸縮部4が、練習時の衝撃を吸収するため、数多く練習しても練習相手の身体を痛めにくく、もし正しい部位を外れても、練習相手が怪我をする心配が少ないため力いっぱい練習することができる。
【0015】
ひとりで練習する際も、伸縮部が衝撃を吸収するので、自分の手首、肘や肩を痛める心配が少ない。また、練習時の音も静かであり、さらに突く対象物を壊す心配が少ない。
【0016】
突き技練習具1の本体2の形状を剣道競技で使用される竹刀と同等の形状とし、先革8、弦9、中結い10、柄革11を取り付けることで、より現実的な感覚で練習することができる。
【0017】
また、突き技練習具1の本体2の形状を銃剣道競技で使用される木銃と同等の形状とすることで、銃剣道競技の突き技練習具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる突き技練習具1の1つの実施形態の斜視図である。
【図2】本発明にかかる突き技練習具1の1つの実施形態の正面図である。
【図3】図2の突き技練習具1の背面図である。
【図4】図2の突き技練習具1の上面図である。
【図5】図2の突き技練習具1の側面図である。
【図6】図2の突き技練習具1の上面を縦方向に割った断面図である。
【図7】図6の突き技練習具1の要部拡大断面図である。
【図8】本発明にかかる突き技練習具1の1つの実施形態で、本体2の形状を剣道競技で使用される竹刀の竹の形状と同等にし、先革8、弦9、中結い10、柄革11を取り付けて実際の竹刀と同様にした実施形態の側面図である。
【図9】図1の突き技練習具1の本体2を2つ割りの分割体とし、個別に用意したストッパー6と雄ネジ14、および連結補助具17と雄ネジ16を締めこむことにより連結固定する構造とした実施形態の組み立て図である。
【図10】図5の本体2の一部を脱着可能とした実施形態における本体2の一部を取り外した状態を表す側面図である。
【図11】図5の本体2の一部を脱着可能とし、全長および重量調整部20を設けた実施形態における本体2と、全長および重量調整部20を取り外した状態を表す側面図である。
【図12】本発明にかかる突き技練習具1の1つの実施形態で、本体2の形状を銃剣道競技で使用される木銃の形状と同等にした実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
練習者および練習相手がともに安全に突き技を練習できるという目的を、実際の剣道競技に使用する竹刀または、銃剣道競技で使用する木銃と同等の使い心地を保ちつつ、最小の部品点数で実現した。
【実施例1】
【0020】
以下に、本発明をその実施の形態をあらわす図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1〜図5は、本発明にかかる突き技練習具1の1つの実施の形態をあらわしており、本体2と先端部3とを備えている。
【0022】
図6は、図5に示す突き技練習具1の上部を縦方向に割った断面図である。本体2の内部に、伸縮部4とストッパー5およびストッパー6を備えている。また、先端部3にストッパー7を備えている。通常の状態では、本体2と先端部3は伸縮部4の反発とストッパー5、ストッパー6およびストッパー7により安定しているが、突き技を練習するとき、先端部3が本体2に挿入され、本体の内部に設けた伸縮部4により衝撃を吸収しながら縮み、練習を終えると伸縮部4の反発により通常の状態に戻る。
【0023】
図7は、図6に示す突き技練習具1の要部拡大断面図である。
【0024】
図8は、図5に示す実施形態について、本体2の形状を剣道競技で使用される竹刀の竹の形状と同等にし、更に現実的な感覚で練習することができるようにするため、先革8、弦9、中結い10、柄革11を取り付けて剣道競技の竹刀と同様にした実施形態の側面図である。
【0025】
図9は、本体2を2つ割りの分割体にした場合の組み立て図である。本体の分割体12に設けられたネジ挿通孔13に雄ネジ14を挿入し、雄ネジ14を締め込むことによって本体の分割体12とストッパー6が連結固定される。このとき、先端部3と伸縮部4を挟み込む。本体の分割体12を安定させるため、ネジ挿通孔15に雄ネジ16を挿入し、雄ネジ16を締め込むことによって本体の分割体12と連結補助具17が連結固定される。なお、連結補助具17は、ストッパー6と同じ形状であるためストッパー6を代用することもできる。なお本体2は、2つ割りまたは4つ割りなど複数に分割されても構わない。
【実施例2】
【0026】
図10は、図5に示す突き技練習具1の本体2の一部に脱着可能とするための雄ネジ部18と雌ネジ部19を設け、分割することにより、持ち運びを簡便にした実施例2の取り外した状態を表す側面図である。なお、雌ネジ部19は本体2の内側に設けているため、破線にて表現した。
【実施例3】
【0027】
図11は、図5に示す突き技練習具1の本体2に雄ネジ部18と雌ネジ部19および、全長および重量調整部20に雄ネジ部21と雌ネジ部22を設け、全長および重量調整部20を脱着可能として本体2の全長および重量を変えられるようにした実施例3の取り外した状態を表す図である。全長および重量調整部20には金属などの重量物(図示せず)を入れることにより普段使用している竹刀の全長と重量を同等に調整することができる。なお、雌ネジ部19は本体2の内側に設けているため、破線にて表現した。また、雌ネジ部22は全長および重量調整部20の内側に設けているため、破線にて表現した。
【実施例4】
【0028】
図12は、図4に示す突き技練習具1の本体2を銃剣道競技に使用する木銃の形状と同等にし、現実的な感覚で銃剣道競技における突き技を練習することができるようにした実施形態の側面図である。
【符号の説明】
【0029】
1突き技練習具
2本体
3先端部
4伸縮部
5ストッパー
6ストッパー
7ストッパー
8先革
9弦
10中結い
11柄革
12本体の分割体
13ネジ挿通孔
14雄ネジ
15ネジ挿通孔
16雄ネジ
17連結補助具
18雄ネジ部
19雌ネジ部
20全長および重量調整部
21雄ネジ部
22雌ネジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全長が収縮して突き技練習時の衝撃を吸収する機能を有することを特徴とした突き技練習具

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−205797(P2012−205797A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74134(P2011−74134)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(399132009)