説明

竪坑用防護柵

【課題】部外者の進入を確実に防ぐ竪坑用防護柵を提供する。
【解決手段】防護柵10は、略垂直に穿設された竪坑9の矩形の開口90の周囲を囲うことができる。防護柵10は、一対の第1グレーチング1・1、第2グレーチング2、一対一組のポール3、及びチェーンを備える。一対の第1グレーチング1・1は、開口90を二分割して閉塞すると共に、開口90の一対の第1側辺と回転自在に連結して起立できる。第2グレーチング2は、開口90を閉塞すると共に、開口90の一対の第2側辺の一辺側と回転自在に連結して起立できる。少なくとも一対のポール3・3は、一対の第2側辺の他辺側に出没するように配置され、開口90から突出できる。チェーン4は、これらのポール3・3の上部に架け渡されて、部外者の進入を阻止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竪坑用防護柵に関する。特に、略垂直に穿設された竪坑に部外者が容易に進入できないように、竪坑の開口の周囲を囲う防護柵の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所などでは、作業員が内部に入れる矩形の開口を有する竪坑が敷地内や建物内に設けられている。通常、これらの竪坑の開口は、素材を格子状に組んだグレーチングで閉塞されている。そして、作業員が竪坑の内部に入るときには、グレーチングが取り外され、竪坑の開口の周囲に複数のセーフティコーンを設置すると共に、これらのセーフティコーンの間にコーンバーを架け渡して、部外者が竪坑に進入できないように、注意を喚起していた。
【0003】
セーフティコーンとコーンバーが組み合わされた防護対策は、部外者が竪坑に進入できないように、注意を喚起することはできる。しかし、これらのセーフティコーンは、「重し」を付加して起立させているだけであり、部外者の進入を確実に防ぐことが困難であった。
【0004】
このような不具合を解消するため、竪坑の開口を閉塞する一対のグレーチング、及びこれらのグレーチングを覆う一対の側枠を備え、これらのグレーチング及び側枠を起立させて、竪坑の開口の四方を囲う防護柵が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
又、このような不具合を解消するため、竪坑の開口を閉塞する一対のグレーチング、及びこれらのグレーチングを覆う一対の側枠を備え、これらのグレーチング及び側枠を起立させて、竪坑の開口の四方を囲うと共に、一方の側枠が外側に倒れ、竪坑への出入りを容易にした防護柵が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−57243号公報
【特許文献2】特開平9−256658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1による防護柵は、一対のグレーチングにカウンタウェイトを設けて、これらのグレーチングを起伏自在に構成しているので、組立が容易であるという利点がある。しかし、特許文献1による防護柵は、一対のグレーチング及び側枠を起立させて、竪坑の開口の四方を囲っているので、作業員が竪坑に出入りするには不便である、という問題がある。
【0008】
一方、特許文献2による防護柵は、一方の側枠が外側に倒れるように構成しているので、作業員が竪坑へ出入りすることは容易である。しかし、特許文献2による防護柵は、作業員が竪坑へ出入りするためには、一方の側枠を乗り越えるか、又は一方の側枠上を歩行する必要があるという問題がある。部外者の進入を確実に防ぐと共に、作業員が竪坑へ容易に出入りできる竪坑用防護柵が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、部外者の進入を確実に防ぐと共に、作業員が竪坑へ容易に出入りできる竪坑用防護柵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、竪坑の開口を閉塞する三枚のグレーチングを起立させて、これらのグレーチングで開口の三方を防護する共に、開放された一方の部分には、一対の出没式のポールを竪坑の開口から突出させ、これらのポールにチェーンを架け渡すことにより、部外者の進入を確実に防ぐと共に、作業員が竪坑へ容易に出入りできると考え、これに基づいて、以下のような新たな竪坑用防護柵を発明するに至った。
【0011】
(1)本発明による竪坑用防護柵は、略垂直に穿設された竪坑の矩形の開口の周囲を囲う竪坑用防護柵であって、前記開口を二分割して閉塞すると共に、前記開口の一対の第1側辺と回転自在に連結する起立可能な一対の第1グレーチングと、前記開口を閉塞すると共に、一対の前記第1側辺と略直交する一対の第2側辺の一辺側と回転自在に連結する起立可能な第2グレーチングと、少なくとも一対の前記第2側辺の他辺側に出没するように配置され、前記開口から突出可能な一対のポールと、これらのポールの上部に架け渡されて、人の進入を阻止するチェーンと、を備える。
【0012】
(2)前記第2グレーチングが前記開口を閉塞した状態では、一対の前記第1グレーチングを閉じて、当該第2グレーチングに載置できることが好ましい。
【0013】
(3)前記チェーンは、一端部が一方の前記ポールに繋留され、他端部が他方の前記ポールに着脱自在に繋留されることが好ましい。
【0014】
(4)前記竪坑は、一対の前記第2側辺の他辺側から下方に延びる内壁に設けられ、人が昇降可能なタラップを備えることが好ましい。
【0015】
(5)本発明による竪坑用防護柵の防護方法は、略垂直に穿設された竪坑の矩形の開口の周囲を囲う竪坑用防護柵の防護方法であって、前略垂直に穿設された竪坑の矩形の開口の周囲を囲う竪坑用防護柵の防護方法であって、前記開口を二分割して閉塞すると共に、前記開口の一対の第1側辺と回転自在に連結する起立可能な一対の第1グレーチングと、前記開口を閉塞すると共に、一対の前記第1側辺と略直交する一対の第2側辺の一辺側と回転自在に連結する起立可能な第2グレーチングと、少なくとも一対の前記第2側辺の他辺側に出没するように配置され、前記開口から突出可能な一対のポールと、これらのポールの上部に架け渡されて、人の進入を阻止するチェーンと、を備える竪坑用防護柵において、一対の前記第1グレーチングを開いて、一対の前記第1グレーチングを前記開口の一対の第1側辺に起立させる第1ステップと、前記第2グレーチングを開いて、前記第1グレーチングを前記開口の一対の第2側辺の一辺側に起立させる第2ステップと、一対の前記ポールを前記開口から突出させる第3ステップと、一対の前記ポールの上部に前記チェーンを架け渡して、人の進入を阻止する第4ステップと、を含んでいる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による竪坑用防護柵は、竪坑の開口を閉塞する一対の第1グレーチング及び第2グレーチングを起立させて、これらのグレーチングで開口の三方を防護する共に、開放された一方の部分には、一対の出没式のポールを竪坑の開口から突出させ、これらのポールにチェーンを架け渡すことにより、部外者の進入を確実に防ぐと共に、チェーンを取り外すことにより作業員が竪坑へ容易に出入りできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による竪坑用防護柵の構成を示す斜視図であり、竪坑の開口の周囲を防護している状態図である。
【図2】前記実施形態による竪坑用防護柵の平面図であり、一対の第1グレーチングが竪坑の開口を閉塞している状態図である。
【図3】前記実施形態による竪坑用防護柵の平面図であり、一対の第1グレーチングを起立させ、第2グレーチングが竪坑の開口を閉塞している状態図である。
【図4】前記実施形態による竪坑用防護柵の縦断面図であり、図3のX−X矢視断面図である。
【図5】前記実施形態による竪坑用防護柵の縦断面図であり、図3のY−Y矢視断面図である。
【図6】前記実施形態による竪坑用防護柵の平面図であり、一対の第1グレーチング及び第2グレーチングを起立させた状態図である。
【図7】前記実施形態による竪坑用防護柵に備わる一対の第1グレーチングの軸受構造を示す斜視分解組立図である。
【図8】前記実施形態による竪坑用防護柵に備わる出没式のポールの構成を示す斜視図である。
【図9】前記実施形態による竪坑用防護柵の防護方法の手順を示す概略図であり、上段に平面図を示し、下段に縦断面図を示すと共に、図9(A)は、一方の第1グレーチングを起立させた状態図、図9(B)は、他方の第1グレーチングを起立させた状態図、図9(C)は、第2グレーチングを起立させた状態図、図9(D)は、複数のポールを竪坑の開口から突出させた状態図、図9(E)は、一対のポールの間にチェーンを架け渡した状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[竪坑用防護柵の構成]
最初に、本発明の一実施形態による竪坑用防護柵の構成を説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による竪坑用防護柵の構成を示す斜視図であり、竪坑の開口の周囲を防護している状態図である。図2は、前記実施形態による竪坑用防護柵の平面図であり、一対の第1グレーチングが竪坑の開口を閉塞している状態図である。図3は、前記実施形態による竪坑用防護柵の平面図であり、一対の第1グレーチングを起立させ、第2グレーチングが竪坑の開口を閉塞している状態図である。
【0020】
図4は、前記実施形態による竪坑用防護柵の縦断面図であり、図3のX−X矢視断面図である。図5は、前記実施形態による竪坑用防護柵の縦断面図であり、図3のY−Y矢視断面図である。
【0021】
(全体構成)
図1から図5を参照すると、本発明の一実施形態による竪坑用防護柵(以下、防護柵と略称する)10は、一対の第1グレーチング1・1と第2グレーチング2を備えている。又、防護柵10は、竪坑9の開口90から突出可能な一対一組(四本)の出没式のポール3を備えている。そして、これらのポール3の上部には、チェーン4を架け渡すことができる。
【0022】
図1から図5を参照すると、一対の第1グレーチング1・1は、通常、竪坑9の矩形の開口90を二分割して閉塞している(図2参照)。又、一対の第1グレーチング1・1は、開口90の一対の第1側辺に配置されたブラケット91・91と回転自在に連結している。第1グレーチング1は、取っ手1nを把持して開くことができ、図1又は図5に示されるように、開口90の一対の第1側辺に起立することができる。なお、第1グレーチング1の軸受構造は、後述する。
【0023】
図1から図5を参照すると、第2グレーチング2は、通常、竪坑9の開口90を閉塞している(図3参照)。又、第2グレーチング2は、一対の前記第1側辺と略直交する一対の第2側辺の一辺側に配置されたブラケット92と回転自在に連結している。
【0024】
図4を参照すると、第2グレーチング2の一端部は、平型蝶番92nを介して、ブラケット92と回転自在に連結している。第2グレーチング2の他端部は、ブラケット93に載置されている。第2グレーチング2の他端部を把持して開くことができ、図1又は図4に示されるように、開口90の一対の第2側辺の一辺側に起立することができる。
【0025】
図4又は図5を参照すると、第2グレーチング2が開口90を閉塞した状態では、一対の第1グレーチング1・1を閉じて、第2グレーチング2に載置できる。この場合、一対の第1グレーチング1・1の表面は、例えば、地面Gと面一の状態になっている。そして、一対の第1グレーチング1・1に妨げられることなく、一対の第1グレーチング1・1上を人や乗り物が通行できる。
【0026】
引き続き、実施形態による防護柵10の構成を説明する。図6は、前記実施形態による竪坑用防護柵の平面図であり、一対の第1グレーチング及び第2グレーチングを起立させた状態図である。図7は、前記実施形態による竪坑用防護柵に備わる一対の第1グレーチングの軸受構造を示す斜視分解組立図である。図8は、前記実施形態による竪坑用防護柵に備わる出没式のポールの構成を示す斜視図である。
【0027】
(ポールの構成)
図8を参照すると、ポール3は、パイプ部材からなるポール本体31とガイド筒32で構成している。ガイド筒32は、ポール本体31をスライド及び回転自在に保持している。ガイド筒32は、その外周に取り付け部材33を溶接している。そして、図6に示されるように、取り付け部材33は、開口90の四隅に取り付けられている。なお、取り付け部材33は、ブラケット91とブラケット92及びブラケット91とブラケット93を相互に結合する機能も有している。
【0028】
図8を参照すると、ポール本体31は、相反する向きに突出する一対のガイドピン31p・31pを下部に備えている(図5参照)。一方、ガイド筒32は、一対のガイドピン31p・31pを案内する一対のガイド溝32g・32gを内壁に形成している。
【0029】
図8を参照すると、ガイド溝32gは、下端部に貫通すると共に、軸方向と平行に延びる縦溝と、この縦溝の終端から円周方向に直角に屈曲した横溝と、この横溝の終端から下降した落込溝を連続して形成している。なお、図示はしないが、ガイドピン31pをガイド溝32gに誘導し易いように、縦溝の下部は、デルタ状に拡幅されている。
【0030】
図8を参照すると、ポール本体31は、取っ手31nを上端部に備えている。取っ手31nを把持して、ポール本体31を引き上げると、縦溝の終端でガイドピン31pがガイド溝32gに当接して、ポール本体31の移動を停止できる。次に、ポール本体31を軸回りに所定角度回動すると、ガイドピン31pが横溝に沿って移動できる。そして、横溝の終端でガイドピン31pを落込溝に落とし込むことができ、ポール本体31をその自重で起立状態に保持できる(図1参照)。
【0031】
図8を参照して、ポール本体31を前述と逆の動作で移動することにより、ポール本体31を下降できる。この場合、ポール本体31の上部に設けた止め鉤31fがガイド筒32の上端面に当接して、ポール本体31の落下を防止している(図5参照)。なお、止め鉤31fは、後述するチェーン4を繋留するためのものである。
【0032】
(チェーンの構成)
図8を参照すると、チェーン4は、環状体が連鎖され、リングキャッチ41を端部に備えている。リングキャッチ41は、円環状の本体に接続体41aが螺合している。接続体41aを一方の方向に回転すると、本体を円環状に閉じることができる。接続体41aを他方の方向に回転すると、本体に隙間を設けることができ、止め鉤31fに繋留できる。リングキャッチ41は、市販品を利用できる。リングキャッチに換えて、市販のフック式のスナップリングを用いてもよい。
【0033】
図4を参照して、ポール本体31が竪坑9の内部に収容されているときは、ポール3とチェーン4が一対一に繋留されていることが好ましい。一方、図1に示されるように、ポール本体31が開口90から突出しているときは、ポール3とポール3の間にチェーン4を架け渡すことができ、部外者の進入を阻止できる。
【0034】
(第1グレーチングの軸受構造)
次に、第1グレーチング1の軸受構造を説明する。図7を参照すると、第1グレーチング1の軸受部5は、トーションバー5t、第1グレーチング1の端部に固定される一組の第1固定金具5a・5b、ブラケット91に固定される一組の第2固定金具5c・5dで構成されている。
【0035】
図7を参照すると、第1グレーチング1は、その一方の端部の両隅部が所定の形状に切り欠かれ(後加工され)、一組の第1固定金具5a・5bが溶接で固定されている(図4又は図5参照)。一方、ブラケット91には、一組の第2固定金具5c・5dが溶接で固定されている(図4又は図5参照)。
【0036】
図4又は図7を参照すると、第1固定金具5aと第2固定金具5cとは、隣接して配置されている。同様に、第1固定金具5bと第2固定金具5dとは、隣接して配置されている。第1固定金具5bと第2固定金具5cは、トーションバー5tの両端部を回動自在に支持している。
【0037】
一方、図7を参照すると、第1固定金具5aには、スプリングピン5pが圧入されてトーションバー5tを結合している。同様に、第2固定金具5dには、スプリングピン5pが圧入されてトーションバー5tを結合している。これにより、第1グレーチング1を開閉するときに、所定の捩れ力(回転モーメント)を第1グレーチング1に付与できる。
【0038】
図5に示されるように、第1グレーチング1が起立状態のときに、第1固定金具5a及び第2固定金具5dにスプリングピン5pを圧入することが好ましく、第1グレーチング1を閉じるときに、第1グレーチング1の自重に抗する捩れ力を第1グレーチング1に付与できる。
【0039】
図5及び図7を参照して、第1グレーチング1が起立状態から外側に傾倒しないように、第1固定金具5aと第2固定金具5cが互いに当接するように、構成することが好ましく、同様に、第1固定金具5bと第2固定金具5dが互いに当接するように、構成することが好ましい。
【0040】
図5を参照すると、第1グレーチング1の重心がトーションバー5tに作用する回転モーメントは、第1グレーチング1が起立状態のときに「零」に近く、第1グレーチング1が倒伏状態のときに最も大きくなる。そして、この回転モーメントは、第1グレーチング1が起立状態から90度、角度変動に対応してサインカーブ状に増加する。
【0041】
一方、図5を参照すると、トーションバー5t自体の回転モーメントは、第1グレーチング1が起立状態から90度、角度変動に対応して直線状に(リニアに)、増加する。したがって、第1グレーチング1が倒伏状態のときに、トーションバー5t自体の回転モーメントが、第1グレーチング1の重心がトーションバー5tに作用する回転モーメントを超えないように、トーションバー5tを設定しておくことが好ましく、第1グレーチング1を確実に閉じることができ、第1グレーチング1を比較的軽い力で開くこともできる。
【0042】
[竪坑用防護柵の作用]
次に、実施形態による防護柵10の防護方法を説明しながら、防護柵10の作用及び効果を説明する。
【0043】
図9は、前記実施形態による竪坑用防護柵の防護方法の手順を示す概略図であり、上段に平面図を示し、下段に縦断面図を示すと共に、図9(A)は、一方の第1グレーチングを起立させた状態図、図9(B)は、他方の第1グレーチングを起立させた状態図、図9(C)は、第2グレーチングを起立させた状態図、図9(D)は、複数のポールを竪坑の開口から突出させた状態図、図9(E)は、一対のポールの間にチェーンを架け渡した状態図である。
【0044】
最初に、図9(A)に示されるように、一方の第1グレーチング1を開いて、起立させる。次に、図9(B)に示されるように、他方の第1グレーチング1を開いて、起立させる。次に、図9(C)に示されるように、第2グレーチング2を開いて、起立させる。
【0045】
次に、図9(D)に示されるように、一対一組のポール本体31を引き上げて、起立状態に保持する(図1参照)。これにより、一対の第1グレーチング1・1及び第2グレーチング2が内側に傾倒することが阻止される。次に、図9(E)に示されるように、ポール3とポール3の間にチェーン4を架け渡すことで、一連の作業を終了する。なお、図1又は図9(E)に示されるように、第2グレーチング2に対向配置されたチェーン4には、立ち入りを禁止した旨を表示した札4fを吊るしておくことが好ましい。
【0046】
図1を参照すると、実施形態による防護柵10は、竪坑9の開口90を閉塞する一対の第1グレーチング1・1及び第2グレーチング2を起立させて、これらの第1グレーチング1・1及び第2グレーチング2で開口90の三方を防護する共に、開放された一方の部分には、少なくとも一対の出没式のポール3・3を竪坑9の開口90から突出させ、これらのポール3・3にチェーン4を架け渡すことにより、部外者の進入を確実に防ぐことができる。
【0047】
又、図1を参照すると、作業員が竪坑9に入る場合は、開放された一方の部分に設けたチェーン4を一旦、取り外して竪坑9に進入した後に、チェーン4を架け渡すことが好ましい。実施形態による防護柵10は、従来のように、一方の側枠が外側に倒れないので、作業員が竪坑へ容易に出入りできる。
【0048】
図4又は図6を参照すると、竪坑9は、作業員が昇降可能なタラップ9tを備えている。タラップ9tは、開口90の一対の第2側辺の他辺側から下方に延びる内壁に設置されている。作業員は、タラップ9tを伝わって竪坑9に下降できる。又、作業員は、タラップ9tを伝わって竪坑9を昇ることができる。
【0049】
実施形態による防護柵10は、以下の効果が期待できる。
(1)竪坑9への進入防止対策が迅速に実施できる。
(2)竪坑9の開口90の三方をグレーチングで防護することにより、小物が竪坑9へ落下することを防止できる。
(3)安全対策用具を別途、用意する必要がなく、防護柵10を組み立てる手順で安全対策を実施できる。
(4)竪坑9は、グレーチングで囲われていない開放側の内壁にタラップ9tを設置しているので、竪坑9の昇降が容易である。
【0050】
図1又は図8を参照して、チェーン4は、ステンレス環などを連鎖した金属チェーンであってもよく、硬質のプラスチック環を連鎖したプラスチックチェーンであってもよい。又、チェーン4に替えて、ロープや紐体を用いることも可能である。
【0051】
本発明による竪坑用防護柵は、地面に穿設される竪坑に好適な実施形態を開示したが、これに限定されない。本発明による竪坑用防護柵は、建物内に穿設される竪坑にも応用することができる。
【0052】
本発明による竪坑用防護柵は、少なくとも一対のポールを開口の一対の第2側辺の他辺側に設けることが好ましいが、四本のポールを開口の四隅に配置することを排除しない。
【0053】
又、発明による竪坑用防護柵は、第2グレーチング上に一対の第1グレーチングを搭載する実施形態を開示したが、一対の第1グレーチング上に第2グレーチングを搭載するように構成してもよい。
【0054】
更に、発明による竪坑用防護柵は、一対の第1グレーチングがトーションバーで開閉し、第2グレーチングが平型蝶番で開閉するヒンジ(開閉部材)を開示したが、これらの第1グレーチング及び第2グレーチングが起立したときに、起立状態を維持できるように、ロック機能を有するヒンジを使用することもできる。
【符号の説明】
【0055】
1 第1グレーチング
2 第2グレーチング
3 ポール
4 チェーン
9 竪坑
10 防護柵(竪坑用防護柵)
90 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略垂直に穿設された竪坑の矩形の開口の周囲を囲う竪坑用防護柵であって、
前記開口を二分割して閉塞すると共に、前記開口の一対の第1側辺と回転自在に連結する起立可能な一対の第1グレーチングと、
前記開口を閉塞すると共に、一対の前記第1側辺と略直交する一対の第2側辺の一辺側と回転自在に連結する起立可能な第2グレーチングと、
少なくとも一対の前記第2側辺の他辺側に出没するように配置され、前記開口から突出可能な一対のポールと、
これらのポールの上部に架け渡されて、人の進入を阻止するチェーンと、を備える竪坑用防護柵。
【請求項2】
前記第2グレーチングが前記開口を閉塞した状態では、一対の前記第1グレーチングを閉じて、当該第2グレーチングに載置できる請求項1記載の竪坑用防護柵。
【請求項3】
前記チェーンは、一端部が一方の前記ポールに繋留され、他端部が他方の前記ポールに着脱自在に繋留される請求項1又は2記載の竪坑用防護柵。
【請求項4】
前記竪坑は、一対の前記第2側辺の他辺側から下方に延びる内壁に設けられ、人が昇降可能なタラップを備える請求項1から3のいずれかに記載の竪坑用防護柵。
【請求項5】
略垂直に穿設された竪坑の矩形の開口の周囲を囲う竪坑用防護柵の防護方法であって、
前記開口を二分割して閉塞すると共に、前記開口の一対の第1側辺と回転自在に連結する起立可能な一対の第1グレーチングと、前記開口を閉塞すると共に、一対の前記第1側辺と略直交する一対の第2側辺の一辺側と回転自在に連結する起立可能な第2グレーチングと、少なくとも一対の前記第2側辺の他辺側に出没するように配置され、前記開口から突出可能な一対のポールと、これらのポールの上部に架け渡されて、人の進入を阻止するチェーンと、を備える竪坑用防護柵において、
一対の前記第1グレーチングを開いて、一対の前記第1グレーチングを前記開口の一対の第1側辺に起立させる第1ステップと、
前記第2グレーチングを開いて、前記第1グレーチングを前記開口の一対の第2側辺の一辺側に起立させる第2ステップと、
一対の前記ポールを前記開口から突出させる第3ステップと、
一対の前記ポールの上部に前記チェーンを架け渡して、人の進入を阻止する第4ステップと、を含んでいる竪坑用防護柵の防護方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−49967(P2013−49967A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187869(P2011−187869)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】