説明

端子台およびこれを用いた配電装置

【課題】端子の不完全接続などの異常に対して温度ヒューズが確実に反応する安全機能を備えた端子台を提供する。
【解決手段】一次側端子に接続される一次側端子部11と、二次側端子に接続される二次側端子部12と、前記一次側端子部または前記二次側端子部の少なくとも一方に近接して設けられた着火材40と、この着火材40に接続された温度ヒューズ23とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台およびこれを用いた配電装置に係り、特に、温度ヒューズを備えた端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分電盤、制御盤等の電気機器収納箱には、内部に収納した電気機器からの電線(内部電線すなわち二次配線)と、外部からの電線(外部電線すなわち一次配線)とを中継する端子台が備えられている(例えば、特許文献1参照)。このような端子台では、電気機器収納箱の製造業者が、電気機器収納箱内の電気機器からの内部電線を接続する。一方、外部電線の接続は、電気機器収納箱を現場に設置した後に、現場の施工業者が行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−69638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように内部電線すなわち二次配線と、外部電線すなわち一次配線とが接続される端子台は、内部電線を接続した状態で出荷され、現場では外部電線の接続のみを行う。しかし、現場の施工業者が、電気機器収納箱内に外部電線を接続する際に、接続がゆるみ、発熱しやすいという課題があった。
【0005】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、端子の不完全接続などの異常に対して温度ヒューズが確実に反応する安全機能を備えた端子台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による端子台は、一次側端子に接続される一次側端子部と、二次側端子に接続される二次側端子部と、前記一次側端子部または前記二次側端子部の少なくとも一方に近接して設けられた着火材と、前記着火材に接続された温度ヒューズとを備えている。
【0007】
また本発明は、上記端子台であって、前記着火材の一端は、前記一次側端子部または前記二次側端子部の少なくとも一方に当接され、他端は前記温度ヒューズに接続されたものを含む。
【0008】
また本発明は、上記端子台であって、前記一次側端子部と前記二次側端子部の間に、所定の間隔を隔てて、遮蔽板が配設されており、前記遮蔽板に温度ヒューズが配設され、前記着火材が前記遮蔽板から垂下されたものを含む。
【0009】
また本発明は、上記端子台であって、前記一次側端子部と前記二次側端子部とを分離するセパレート部を備え、前記着火材は、前記セパレート部の全幅に相当する領域にわたる貼着部で前記遮蔽板に貼着され、前記温度ヒューズは前記着火材に近接して前記遮蔽板上に配設されたものを含む。
【0010】
また本発明は、上記端子台であって、前記着火材は、前記貼着部から先端まで所定の間隔を有し、前記一次側端子部と前記二次側端子部の端子の配列方向に沿って延焼できる延焼部を構成したものを含む。
【0011】
また本発明は、上記端子台であって、前記延焼部の裏面側に延焼防止カバーを有するものを含む。
【0012】
また本発明は、上記端子台であって、前記着火材は、端子記号を表示する表示ラベルを構成するものを含む。
【0013】
また本発明は、上記端子台であって、前記着火材は、紙であるものを含む。
【0014】
また本発明は、上記端子台で配電装置を構成する。
【発明の効果】
【0015】
上記構成によれば、端子の不完全接続などの異常に対して温度ヒューズが確実に反応し得、安全を確保することのできる端子台を提供することができる。
このため、端子台が更に加熱されて焼損、発火することがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1の端子台を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1の端子台を示す分解斜視図であり、(a)は端子台本体、(b)は温度ヒューズユニットを示す図
【図3】実施の形態2の端子台を用いた分電盤を示す斜視図
【図4】実施の形態3の端子台を示す断面図
【図5】図4に示した端子台の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の端子台について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の端子台を示す斜視図、図2はこの端子台を示す分解斜視図であり、(a)は端子台本体、(b)は温度ヒューズユニットを示す図である。
【0018】
この端子台100は、図1に示すように、端子台本体10に、一次側端子に接続される一次側端子部11と、二次側端子に接続される二次側端子部12と、着火材40と温度ヒューズ23とを備えた金属製の遮蔽板16を有している。そしてこの金属製の遮蔽板16は、コの字型の板状体であり、一次側端子部11と二次側端子部12との間に、これらの端子の配列面に垂直に設置されている。これらの端子の配列面に垂直に形成された遮蔽板16に、この端子の配列幅全体にわたり、この端子の配列方向に沿う貼着部面に着火材40としての紙が、櫛状体の根本部に貼着部41を有し、短冊状の個片42を有している。そして温度ヒューズ23は遮蔽板に接続されている。
ここでは一次側端子部11、二次側端子部12ともに8個の端子を備えるが、各端子部は隔壁10sで分離されている。温度ヒューズ23としては、所定の温度以上になるとこれを検知して溶断する温度ヒューズ23を用いている。そして温度ヒューズ23を備えた温度ヒューズユニット20を構成し、信号線を構成する電線24に接続されている。
そしてこの端子台は、一次側端子部11と二次側端子部12とを分離するセパレート部13が、端子台本体10と一体成型で形成されている。
【0019】
一次側端子部11は、端子ネジ11aを台座11bに設けられたネジ穴に螺合させることにより、一次側配線の各端子とこの端子台本体10との電気的接続を達成している。また、二次側端子部12は、端子ネジ12aを台座12bに設けられたネジ穴に螺合させることにより、二次側配線の各端子とこの端子台本体との電気的接続を達成している。
14は端子台本体10の両端の支持板であり、それぞれ支持板本体14aと、取り付け突起14bと、ビス14cとを有している。14dは外部接続用端子部である。また15は端子板であり、この端子板15に形成された配線パターンによって一次側端子部11と二次側端子部12とが接続されている。
【0020】
上記構成によれば、着火材40を用いることで、一次側端子部11と二次側端子部12とのいずれか1方が所定の温度以上になると着火材40が燃え、その熱が温度ヒューズに伝達されるため、極めて容易に温度ヒューズ23を高感度化することができる。
また上記構成によれば、金属製の遮蔽板16を有する端子台の構造を変更することなく、着火材となる紙などを貼着するだけで、温度ヒューズを高感度化することができる。
【0021】
また各端子は端子台本体10の複数個の突起すなわち隔壁10sで確実に保持されながらも、いずれかの端子が許容温度を超えた時にも、着火材40が各端子に着火の事実を容易に伝達することができる。このように本実施の形態の端子台では、8端子に対して1個の温度ヒューズでよく、着火材の火が端子台の端子配列方向に沿って効率よく延焼しうるように構成されている。
またこの構成によれば、端子の不完全接続などの異常に対してセンサが確実に反応することができるため、確実な安全装置として作用する。
【0022】
ここで、着火材40は、貼着部41から個片42の先端まで所定の間隔を有し、前記一次側端子部と前記二次側端子部の端子の配列方向に沿って延焼できる延焼部を構成するように形成するのが望ましい。かかる工程によれば、極めて簡単な構成で、安全装置として高感度の機能を奏功し得る。
【0023】
なお、前記実施の形態では、温度ヒューズを用いたが、高温を検知して溶断する温度ヒューズに代えて、単に温度センサを用いて、警告信号を発信したり、別の場所で警告音を発するようにしてもよい。
【0024】
また、前記実施の形態では、8端子に対して1個の温度ヒューズを用いているが、着火材の火が端子台の端子配列方向に沿って延焼しうるように、着火材が根本部では一体化され先端で端子毎に分離した櫛状をなすように形成されている。従って、使用作業性が良好となる。なお、温度ヒューズはさらに多数配設することで、さらなる高感度化をはかることができる。
【0025】
(実施の形態2)
次いで、本発明の実施の形態2について、図面を参照して説明する。
図3は、実施の形態1で示した端子台を用いた分電盤を示す斜視図である。
本実施の形態では一次側端子部11と二次側端子部12との間に金属遮蔽板16を配置した端子台100を用いた分電盤Bについて説明する。
分電盤Bとしては通常の構成を示すものであるが、表示部D、端子台100を備えている。なお、図1に示した実施の形態1の端子台と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0026】
この構成によれば、高温になると着火材が燃焼して温度ヒューズの溶断を助成するため、安全性の高い分電盤を得ることができる。
【0027】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3の端子台について説明する。この例では、図4に示すように、金属板からなる延焼防止用カバー50を設けている。本実施の形態では、着火材40として、貼着部41から個片42の先端まで所定の間隔を有し、一次側端子部と二次側端子部の端子の配列方向に沿って延焼できる延焼部Cとしての空間を構成している。
そしてこの延焼部Cとしての空間に対向して延焼部Cの裏面側に金属シートからなる延焼防止用カバー50を有する。
この構成によれば、高温となり着火材が着火し、燃焼した場合にも、延焼防止用カバー50の存在により、延焼を防止することが可能となる。
他部については前記実施の形態1で示した端子台と同様であり、ここでは説明を省略するが、同一部位には同一符号を付した。
なお、図5に示すように、着火材に端子名を記載することで、表示ラベルと着火材とを兼用とすることができる。従って部材の数を低減しつつも誤配線を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0028】
10 端子台本体
10s 隔壁
11 一次側端子部
11a 端子ネジ
11b 台座
12 二次側端子部
12a 端子ネジ
12b 台座
13 セパレート部
14 支持板
14a 支持板本体
14b 取り付け突起
14c ビス
15 端子板
20 温度ヒューズユニット
23 温度ヒューズ
40 着火材
41 貼着部
42 個片
100 端子台
C 延焼部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側端子に接続される一次側端子部と、
二次側端子に接続される二次側端子部と、
前記一次側端子部または前記二次側端子部の少なくとも一方に近接して設けられた着火材と、前記着火材に接続された温度ヒューズとを備えた端子台。
【請求項2】
請求項1に記載の端子台であって、
前記着火材の一端は、前記一次側端子部または前記二次側端子部の少なくとも一方に当接され、他端は前記温度ヒューズに接続された端子台。
【請求項3】
請求項2に記載の端子台であって、
前記一次側端子部と前記二次側端子部の間に、所定の間隔を隔てて、遮蔽板が配設されており、
前記遮蔽板に温度ヒューズが配設され、
前記着火材が前記遮蔽板から垂下された端子台。
【請求項4】
請求項3に記載の端子台であって、
前記一次側端子部と前記二次側端子部とを分離するセパレート部を備え、
前記着火材は、前記セパレート部の全幅に相当する領域にわたる貼着部で前記遮蔽板に貼着され、
前記温度ヒューズは前記着火材に近接して前記遮蔽板上に配設された端子台。
【請求項5】
請求項4に記載の端子台であって、
前記着火材は、前記貼着部から先端まで所定の間隔を有し、
前記一次側端子部と前記二次側端子部の端子の配列方向に沿って延焼できる延焼部を構成した端子台。
【請求項6】
請求項5に記載の端子台であって、
前記延焼部の裏面側に延焼防止カバーを有する端子台。
【請求項7】
請求項1に記載の端子台であって、
前記着火材は、端子記号を表示する表示ラベルを構成する端子台。
【請求項8】
請求項1に記載の端子台であって、
前記着火材は、紙である端子台。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の端子台を含む配電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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