説明

端末情報収集システム、端末情報収集方法および端末情報収集プログラム

【課題】正確な端末情報を収集できるようにする。
【解決手段】放送の受信端末100と、受信端末100における放送の視聴に関する情報を管理する情報管理サーバ202とを有する端末情報収集システムにおいて、受信端末100は、当該受信端末100を操作するリモコン101の信号を受信した時刻を検出するリモコン信号処理部と、放送により配信されたデータを表示用にデコードした時刻を検出するデコーダ部と、検出した各時刻と当該受信端末100で選択されているチャンネルの番号とを記入したメッセージを生成するメッセージ制御部と、このメッセージを情報管理サーバ202に送信する通信処理部とを備え、情報管理サーバ202は、このメッセージを受信する通信処理部と、このメッセージに記入された情報を抽出するメッセージ制御部と、その情報を管理するため処理するメッセージ処理部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像等のデータを配信するサーバによりクライアントの端末に対して放送を行う場合において、その端末での視聴情報を収集するための端末情報収集システム、端末情報収集方法および端末情報収集プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IP(Internet Protocol)を利用したIP放送においては、映像等の情報を配信するサーバから複数のクライアント端末に対してマルチキャストにより、放送を行う。その一方で、逆に視聴者側のクライアント端末から配信サーバに対して情報を送ることができる。よって、放送事業者がすべての視聴者から視聴状況を取得することも可能である。そして、視聴状況を正確に把握し、視聴者に対するコマーシャルメッセージの効果を放送番組のスポンサーに対して的確に報告することができる。その結果、順当な広告料収入をスポンサーから取得することが可能である。このため、IP放送における正確な視聴率の調査に関して種々の技術が開発されている。この種の技術は、例えば、下記の特許文献1〜5に記載されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されたシステムでは、クライアント端末がインターネット放送番組の視聴を開始すると、端末のIDと、番組のIDを送信するようにしている。
【0004】
また、特許文献2に記載されたシステムでは、セッション・イニシエーション・プロトコル(SIP)に従って、選択されている番組を視聴情報として送信している。
そして、特許文献3に記載されたシステムでは、視聴開始/終了/変更などのタイミングで端末が視聴状況を取得して通知する。
【0005】
さらに、特許文献4に記載されたシステムでは、SIPを用いて、チャンネルを切り替える、電源を切るなどの場合に、その情報を送信するものである。
また、特許文献5には、SIPのタイムスタンプを用いるシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−324025号公報
【特許文献2】特開2008−141486号公報
【特許文献3】特開2005−229302号公報
【特許文献4】特開2007−110399号公報
【特許文献5】特開2007−523540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、受信端末の操作は、リモコンで行うが、視聴者がリモコンの操作を行ってから、受信端末で表示装置が動作を開始するまでの遅延時間が長い場合がある。よって、リモコンの操作時点では、視聴が行われていない。
【0008】
例えば、視聴の開始時には、リモコンでスイッチを入れてから映像が表示されるまでの間に、端末内部の遅延により通常数秒程度、表示装置に何も表示されない期間がある。
【0009】
また、IP放送では、この端末装置の遅延時間にネットワークの遅延時間が加わる。つまり、端末から視聴するチャンネルへの接続要求信号をネットワークに送信し、ネットワーク上の機器から該当するチャンネルのデータストリームをコピーする必要があり、その間が遅延時間となる。
【0010】
従って、端末での視聴状況を管理するサーバにおいて、リモコンの操作を契機として視聴開始のメッセージを受け取ったとしても、視聴者が実際に視聴を開始できるのは、最短でも数秒程度後であり、正確な視聴開始時刻を把握できない。さらに、ネットワーク上でトラブルが発生することも考慮する必要があり、そうすると、実際の視聴がいつになるか、あるいは実際に視聴されるのかも、定かでなくなる。
【0011】
一方、上記特許文献1などに記載されているように、実際の視聴が開始された後にメッセージを送信するようにすると、視聴者がリモコンの操作を完了したが、映像の表示がなかなか始まらないときは、その状況を管理サーバで把握できないという問題がある。
【0012】
同様の問題は、視聴者が現在視聴しているチャンネルを他のチャンネルに切り替える際にも生じる。
【0013】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、端末における正確な視聴情報を収集できるようにした端末情報収集システム、端末情報収集方法および端末情報収集プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る端末情報収集システムは、放送を受信する端末と、当該端末における放送の視聴に関する情報を管理するサーバとを有する端末情報収集システムであって、前記端末は、当該端末を操作するリモコンの信号を受信した時刻を検出するリモコン信号処理部と、放送により配信されたデータを表示用にデコードした時刻を検出するデコーダ部と、前記検出した各時刻と当該端末で選択されているチャンネルの番号とを記入したメッセージを生成するメッセージ制御部と、前記メッセージを前記サーバに送信する通信処理部とを備え、前記サーバは、前記メッセージを受信する通信処理部と、前記メッセージに記入された情報を抽出するメッセージ制御部と、前記情報を管理するための処理をするメッセージ処理部とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の第2の観点に係る端末情報収集方法は、放送を受信する端末と、当該端末における放送の視聴に関する情報を管理するサーバとを有する端末情報収集システムにおける端末情報収集方法であって、前記端末は、当該端末を操作するリモコンの信号を受信した時刻を検出するリモコン信号処理と、放送により配信されたデータを表示用にデコードした時刻を検出するデコーダ処理と、前記検出した各時刻と当該端末で選択されているチャンネルの番号とを記入したメッセージを生成するメッセージ生成処理と、前記メッセージを前記サーバに送信する通信処理と、を実行し、前記サーバは、前記メッセージを受信する通信処理と、前記メッセージに記入された情報を抽出して前記情報を管理するための処理をするメッセージ処理と、を実行することを特徴とする。
【0016】
本発明の第3の観点に係る端末情報収集プログラムは、放送を受信する端末と、当該端末における放送の視聴に関する情報を管理するサーバとを有する端末情報収集システムにおいて、コンピュータを、放送を受信する端末として動作させるプログラムに含まれる端末情報収集プログラムであって、前記コンピュータに、当該端末を操作するリモコンの信号を受信した時刻を検出するリモコン信号処理と、放送により配信されたデータを表示用にデコードした時刻を検出するデコーダ処理と、前記検出した各時刻と当該端末で選択されているチャンネルの番号とを記入したメッセージを生成するメッセージ生成処理と、前記メッセージを前記サーバに送信する通信処理と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、端末の操作時刻とともに配信されたデータを表示用にデコードした時刻を検出して収集するため、放送を受信する端末における正確な視聴情報を収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す端末情報収集システムの構成図である。
【図2】図1の受信端末と情報管理サーバの詳細な構成を示す図である。
【図3】IP放送の視聴開始に際しての図1の端末情報収集システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【図4】IP放送の視聴番組の切替に際しての図1の端末情報収集システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【図5】IP放送の視聴終了に際しての図1の端末情報収集システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【図6】IP放送の視聴開始に際して送信するメッセージを示す図である。
【図7】IP放送の視聴番組の切替に際して送信するメッセージを示す図である。
【図8】IP放送の視聴終了に際して送信するメッセージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1に示すように、第1の実施形態の端末情報収集システムは、IP(Internet Protocol)を利用して行うIP放送を受信する受信端末100と、ポータルサーバ200と、映像配信サーバ201と、情報管理サーバ202とを、ネットワーク300に接続して構成される。
【0020】
受信端末100は、放送の受信契約をした加入者毎に設置され、その加入者たるユーザがこれを操作するリモコン101を付属するとともに、放送により配信された映像を表示する映像表示装置102を接続している。
【0021】
ポータルサーバ200は、放送される番組に関する見出し情報を一覧表としてネットワーク300及び受信端末100を介して映像表示装置102上に提供するものである。
【0022】
映像配信サーバ201は、IP放送される映像情報とこれに付随する音声情報をネットワーク300に配信する。
【0023】
ネットワーク300は、IPネットワークであり、通信事業者によって提供される。これは、SIP(セッション・イニシエーション・プロトコル)による通信セッションを制御する機能を有する。そして、ネットワーク300は、SIPのメッセージ機能を利用することができる。また、ネットワーク300は、ルータなどのネットワーク機器を含んでいる。そして、映像配信サーバ201は、ネットワーク300に対して常時すべての放送映像を配信し、放送映像のコピーはネットワーク300においてこれに含まれる機器が行う。
【0024】
情報管理サーバ202は、ネットワーク300で利用できるSIP機能を有し、SIPによりネットワーク300にセッション制御を要求し、メッセージを送信及び受信する機能を有している。
【0025】
受信端末100と、ポータルサーバ200と、映像配信サーバ201と、情報管理サーバ202とは、いずれも、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、ネットワーク・インタフェース回路、ディスプレイ、キーボード等を備えた一般的なコンピュータで構成され、それぞれ格納されたプログラムに従ってサーバやクライアントとしての機能を果たすようになっている。
これらのうち、受信端末100と、情報管理サーバ202について、図2を参照して説明する。
【0026】
受信端末100は、図2に示すように、機能的には、通信処理部110と、ストリーミング処理部111と、映像/音声デコーダ部112と、リモコン信号処理部113と、メッセージ制御部114と、メモリ部115と、を有している。
【0027】
通信処理部110は、ネットワーク300を介してIP放送の受信を行うとともに、ネットワーク300を介して情報管理サーバ202との間でメッセージ等のパケット通信を行うものである。
【0028】
ストリーミング処理部111は、受信したパケットから映像ストリーミングのパケットを抽出する。
【0029】
映像/音声デコーダ部112は、抽出したパケットから映像表示装置102に出力するための映像信号及び音声信号を生成する。
【0030】
リモコン信号処理部113は、リモコン101から出力される信号を処理する。
【0031】
メッセージ制御部114は、映像/音声デコーダ部112又はリモコン信号処理部113からの信号によりSIPのメッセージを生成し、通信処理部110に渡す。
【0032】
メモリ部115は、メッセージ情報を蓄積するためのものである。
【0033】
情報管理サーバ202は、図2に示すように、機能的には、通信処理部210と、メッセージ制御部211と、メッセージ処理部212と、を有している。
【0034】
通信処理部210は、受信端末100側の通信処理部110に対応するもので、ネットワーク300を介してこの受信端末100との間でメッセージ等のパケット通信を行うものである。
【0035】
メッセージ制御部211は、受信したパケットからSIPのメッセージに関するパケットを抽出する。
【0036】
メッセージ処理部212は、上記メッセージから受信端末100毎に各種の情報を処理して保存し、データベースとして管理する。
【0037】
次に、図3のシーケンスチャートを参照して、図1の端末情報収集システムにおける受信端末100と、情報管理サーバ202の動作を説明する。
図1の端末情報収集システムにおいて、映像配信サーバ201は、ネットワーク300に対してマルチキャストによりすべての番組の映像を付帯する音声とともに配信する(ステップS1)。
【0038】
視聴者が電源スイッチ(図示省略)を投入して受信端末100を起動すると、当該受信端末100は、放送番組案内のサービス提供者が提供するポータルサーバ200にアクセスし、ポータルを受信する(ステップS2)。すると、受信端末100から映像表示装置102にポータルの表示データが送られ、映像表示装置102はポータルを表示する(ステップS3)。
【0039】
視聴者は表示されたポータルを見てリモコン101を操作し、視聴したい番組を選択する。これにより、リモコン101は番組選択の信号を受信端末100に送信する(ステップS4)。
【0040】
一方、受信端末100はリモコン101から送信されたリモコン信号を受信する(ステップS5)。すると、受信端末100では通信処理部110が視聴者の選択した番組のマルチキャストグループアドレスへのアクセス要求を生成し、ネットワーク300に送信する(ステップS6)。
【0041】
このとき、受信端末100内では、視聴者がリモコン101で選択した番組を放送しているチャンネルの番号CH#1及びリモコン101を操作した時刻T1をリモコン信号処理部113からメッセージ制御部114に通知する。この通知により、メッセージ制御部114は、SIPに従い、視聴しているチャンネルの番号CH#1を図6に示すようにメッセージに記入し、このチャンネルを選択する操作を行った時刻T1のタイムスタンプを行う。
【0042】
ネットワーク300は受信端末100が送信した番組要求を受け付ける(ステップS7)。
【0043】
すると、ネットワーク300は該当する番組の映像ストリームをコピーして受信端末100に配信する(ステップS8)。
【0044】
受信端末100は、その番組の映像ストリームを通信処理部110により受信する(ステップS9)。すると、受信端末100内では、ストリーミング処理部111が映像/音声パケットを抽出する。そして、映像/音声デコーダ部112が当該映像/音声パケットを、映像表示装置102で表示及び出力するためのフォーマットに変換する(ステップS10)。
【0045】
その後、映像表示装置102がチャンネル番号CH#1の番組の映像を表示する(ステップS11)。
【0046】
ここで、受信端末100内では、映像/音声デコーダ部112が、正常にデコードできた番組のチャンネル番号CH#1と、映像表示装置102に出力した時刻T2とを、メッセージ制御部114に通知する。
【0047】
すると、メッセージ制御部114は、図6に示すように、視聴者が見ている番組のチャンネル番号CH#1と、その番組が映像表示装置102に表示を開始された時刻T2と、視聴者がリモコンを操作した時刻T1とを記入したメッセージを生成する(ステップS12)。
【0048】
そして、通信処理部110は、このメッセージをネットワーク300を介して情報管理サーバ202に送信する(ステップS13)。
【0049】
情報管理サーバ202は、通信処理部210によりこのメッセージを受信し(ステップS14)、IPに従い、応答メッセージを返信する(ステップS15)。
【0050】
情報管理サーバ202では、メッセージ制御部211が通信処理部210からこのメッセージを取り出す。そして、メッセージ処理部212が、視聴者IDと、受信端末100のIDと、視聴開始時刻T2と、視聴番組のチャンネルの番号CH#1と、リモコン101の操作時刻T1とを関連づけて、データベースに格納して管理するという、メッセージに関する処理を行う(ステップS16)。
【0051】
このように、視聴者の視聴状況に関するメッセージは、視聴開始時刻T2の直後にリアルタイムで受信端末100から情報管理サーバ202に送信される。よって、放送事業者は、情報管理サーバ202にアクセスすることにより、視聴者が視聴者の受信端末100を使用してその放送事業者が配信している番組を現在視聴していることをリアルタイムで知ることができる。また、視聴者のリモコン101の操作時刻を知ることができるので、視聴開始に際してネットワーク300の遅延時間がどの程度あったかを調べることができる。
【0052】
次に、図4を参照して視聴者が視聴の途中でチャンネルを切り替える場合の本実施形態に係る端末情報収集システムにおける受信端末100と、情報管理サーバ202の動作について説明する。
【0053】
図4に示すように、映像配信サーバ201が映像配信(ステップS1)を行っている放送を、受信端末100が受信し、映像表示装置102が番組映像表示(ステップS11)を行っており、このときのチャンネル番号をCH#1とする。
【0054】
ここで、視聴者は、リモコン101を操作し、番組をチャンネル番号CH#1からCH#2に切り替えるとする。
すると、リモコン101から受信端末100にチャンネル番号CH#2に切り替えるリモコン信号を送信する(ステップS18)。
【0055】
受信端末100は、このリモコン信号をリモコン信号処理部113で受信すると(ステップS5)、まず、現在行っているチャンネル番号CH#1の映像表示と、音声出力とを停止する指示を映像表示装置102に出力する(ステップS19)。これにより、映像表示装置102は現在行っている映像表示と、音声出力とを一旦停止する。これは、チャンネル番号CH#1の番組の表示を停止しないと、その表示と重ねてチャンネル番号CH#2の番組を受信して表示することになり、混信が生じるためである。
【0056】
このとき、受信端末100内では、リモコン信号処理部113からメッセージ制御部114に、このときの停止した番組のチャンネル番号CH#1と、リモコン101の操作時刻T3とを通知する。
【0057】
この後、受信端末100は、ネットワーク300を介して映像配信サーバ201に対して、現在配信している番組の停止と、新たな番組の配信の開始とを要求する(ステップS20)。
【0058】
この要求をネットワーク300(これに含まれる機器)が受け付けると(ステップS7)、以後、図3で説明したステップS8以降と同様の処理を、チャンネル番号CH#2の番組に関し、ネットワーク300で行う。
【0059】
ネットワーク300内では、受信端末100に対して配信していたチャンネル番号CH#1の番組のコピーを停止する。そして、新たにチャンネル番号CH#2の番組のコピーを開始する。
【0060】
その結果、ネットワーク300は受信端末100に対して新たなチャンネル番号CH#2の番組のコピー映像を配信する(ステップS8)。
すると、受信端末100内では、通信処理部110がその番組の映像ストリームを受信し、ストリーミング処理部111が映像/音声パケットを抽出する(ステップS9)。そして、映像/音声デコーダ部112は、映像/音声パケットを、映像表示装置102の表示用のフォーマットに変換し、映像表示装置102に出力する(ステップS10)。
【0061】
映像表示装置102は、受信端末100の映像表示装置102からチャンネル番号CH#2の番組の映像/音声データを受け取って表示する(ステップS11)。
【0062】
このとき、受信端末100内では、映像/音声デコーダ部112からメッセージ制御部114に、新たな番組のチャンネル番号CH#2と、映像/音声パケットのデコード時の時刻T4を通知する。
すると、メッセージ制御部114は、図7に示すように、停止した番組のチャンネル番号CH#1と、リモコン101による番組の切替操作の時刻T3と、切替後の番組のチャンネル番号CH#2と、その番組の表示開始時の時刻T4とを記入したメッセージを作成する(ステップS12)。
【0063】
そして、受信端末100は、通信処理部110によりネットワーク300を介して情報管理サーバ202の通信処理部210に、上記メッセージを送信する(ステップS13)。
【0064】
情報管理サーバ202では、通信処理部210において上記メッセージを受信すると、IPの通信手順に従ってメッセージを送信した受信端末100に対して応答メッセージを送る(ステップS15)。
【0065】
その後、メッセージ制御部211でメッセージに含まれる、上記の切替前のチャンネル番号CH#1、切替後のチャンネル番号CH#2、時刻T3、T4の各データを抽出し、メッセージ処理部212でこれらのデータをデータベースに格納するという、メッセージ処理を行う(ステップS16)。
【0066】
このようにして、視聴者が見終わった番組のチャンネル番号CH#1と、見終わった正確な時刻T3と、視聴者が新しく見始めた番組のチャンネル番号CH#2と、見始めた正確な時刻T4を、情報管理サーバ202において取得することができる。よって、チャンネル番号CH#1の放送事業者は、視聴が終了した正確な時刻T3を番組のスポンサーに報告することができ、スポンサーからの信頼を得ることができる。また、チャンネル番号CH#2の放送事業者は、視聴が開始した正確な時刻T4を番組のスポンサーに報告することができ、スポンサーからの信頼を得ることができる。また、時刻T3とT4との差を調べることにより、ネットワーク300上でチャンネルの切替に際してどの程度遅延時間があったかを調査することができる。
【0067】
次に、上述した図1の端末情報収集システムで視聴者が視聴を終了する場合の動作について図5を参照して説明する。
視聴者は、現在、チャンネル番号CH#1の番組を見ているとする。ここまでの動作は、すでに図3(ステップS1〜S11)により説明したとおりである。
【0068】
ここで、視聴者がどの放送番組を見ることもやめようとするとき、リモコン101で視聴停止の操作を行う。この操作により、図5に示すように、リモコン101は受信端末100に視聴停止の信号を送信する(ステップS21)。
【0069】
受信端末100は、リモコン信号処理部113でこのリモコン信号を受信する(ステップS5)。
【0070】
すると、受信端末100内では、リモコン信号処理部113がメッセージ制御部211に停止するチャンネルの番号CH#1及び停止するためのリモコン信号を受信した時刻T5を通信処理部110に出力する。これにより、通信処理部110は、チャンネル番号CH#1のマルチキャストアドレスを切断する要求をネットワーク300に出力する(ステップS22)。ネットワーク300は、この要求を受け付ける(ステップS7)。すると、ネットワーク300上の機器は、チャンネル番号CH#1の番組のコピー及びそのコピーの配信を停止する。
【0071】
一方、受信端末100は、配信停止した旨を視聴者に知らせるため、映像表示装置102にポータルを表示する(ステップS3)。
【0072】
そして、メッセージ制御部114により停止した番組のチャンネル番号CH#1及び停止の時刻T5とポータルを表示した時刻T6を記入したメッセージを生成する(ステップS12)。通信処理部110はこのメッセージをネットワーク300を介して情報管理サーバ202に送信する(ステップS13)。
【0073】
情報管理サーバ202では、通信処理部210がこのメッセージを受信し(ステップS14)、このメッセージに対する応答を行い(ステップS15)、視聴を停止した視聴者のIDと、端末のIDと、視聴していたチャンネルの番号CH#1と、停止時刻T5とポータル表示時刻T6を関連づけてデータベースに格納するメッセージ処理を行う(ステップS16)。
【0074】
このようにして、チャンネル番号CH#1の放送事業者は、情報管理サーバ202にアクセスすることにより、視聴者の視聴が終了した正確な時刻T5を知り、番組のスポンサーに報告することができる。また、ポータル表示時刻T6との差を調べることにより視聴停止に際してネットワーク300の遅延時間がどの程度あったかを調査することができる。
【0075】
以上詳細に説明したように、第1の実施形態の端末情報収集システムは、映像表示装置102における放送番組の表示の開始と終了の時刻を記入したメッセージを生成するメッセージ制御部114を備えた受信端末100を有している。これにより、視聴者が実際に番組を視聴している状況を情報管理サーバ202において正確に把握することができるという効果がある。
【0076】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態は、視聴者によるリモコン101の操作の時刻と、映像表示装置102への表示の時刻をメッセージに記入したが、第2の実施形態は、視聴者によるリモコン101の操作から、映像表示装置102への表示に至るまでの間に、受信端末100内で生じる、すべての状態変化の時刻をメッセージに記入するようにしたものである。
【0077】
図3から図5までを参照して第2の実施形態で検出する、受信端末100内での状態変化の時刻について説明する。まず、図3に示すように、リモコン信号受信時刻T1に至るまでの状態変化としてポータル受信時刻T01とポータル表示時刻T02を検出し、番組映像表示時刻T2に至るまでの番組要求指示時刻T11と映像ストリーム受信時刻T12を検出する。
【0078】
また、図4に示すように、番組映像表示時刻T4に至るまでの映像/音声出力停止時刻T31と、番組停止と要求指示時刻T32と、映像ストリーム受信時刻T33を検出する。
【0079】
さらに、図5に示すように、ポータル表示時刻T6に至るまでの映像/音声出力停止時刻T51と、番組停止指示時刻T52を検出する。
【0080】
第2の実施形態によると、視聴者によるリモコン101の操作から、映像表示装置102への表示に至るまでの間に、受信端末100内で生じる、すべての状態変化の時刻をメッセージに記入するようにしたので、視聴者がリモコン101で開始操作をしたのに、なかなか映像表示装置102に表示が現れない場合は、情報管理サーバ202において受信端末100内の状態を解析し、対策を立てることが可能となる。
【0081】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、視聴者がリモコン101で操作を行ってから所定の時間が経過した後にも、ネットワーク300から映像が配信されないときには、選択したチャンネルの番号と、操作を行った時刻とをメッセージに記入して送信するようにしてもよい。
このようにすれば、放送事業者は、情報管理サーバ202にアクセスすることにより、現時点ではまだ番組を視聴していなくても、将来視聴する意思のある視聴者が存在することを知ることができる。
【符号の説明】
【0082】
100 受信端末
101 リモコン
102 映像表示装置
110 通信処理部
111 ストリーミング処理部
112 映像/音声デコーダ部
113 リモコン信号処理部
114 メッセージ制御部
115 メモリ部
200 ポータルサーバ
201 映像配信サーバ
202 情報管理サーバ
210 通信処理部
211 メッセージ制御部
212 メッセージ処理部
300 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送を受信する端末と、当該端末における放送の視聴に関する情報を管理するサーバとを有する端末情報収集システムであって、
前記端末は、当該端末を操作するリモコンの信号を受信した時刻を検出するリモコン信号処理部と、
放送により配信されたデータを表示用にデコードした時刻を検出するデコーダ部と、
前記検出した各時刻と当該端末で選択されているチャンネルの番号とを記入したメッセージを生成するメッセージ制御部と、
前記メッセージを前記サーバに送信する通信処理部とを備え、
前記サーバは、前記メッセージを受信する通信処理部と、
前記メッセージに記入された情報を抽出するメッセージ制御部と、
前記情報を管理するための処理をするメッセージ処理部とを備えることを特徴とする端末情報収集システム。
【請求項2】
前記端末のメッセージ制御部は、当該端末におけるリモコン操作からデータの表示に至る各状態変化の時刻を記入したメッセージを生成することを特徴とする請求項1に記載の端末情報収集システム。
【請求項3】
前記端末は、当該端末におけるリモコン操作から所定時間経過してもデータの表示が行われないときは、その旨のメッセージを生成して前記サーバに対して送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の端末情報収集システム。
【請求項4】
放送を受信する端末と、当該端末における放送の視聴に関する情報を管理するサーバとを有する端末情報収集システムにおける端末情報収集方法であって、
前記端末は、当該端末を操作するリモコンの信号を受信した時刻を検出するリモコン信号処理と、
放送により配信されたデータを表示用にデコードした時刻を検出するデコーダ処理と、
前記検出した各時刻と当該端末で選択されているチャンネルの番号とを記入したメッセージを生成するメッセージ生成処理と、
前記メッセージを前記サーバに送信する通信処理と、を実行し、
前記サーバは、前記メッセージを受信する通信処理と、前記メッセージに記入された情報を抽出して前記情報を管理するための処理をするメッセージ処理と、を実行することを特徴とする端末情報収集方法。
【請求項5】
放送を受信する端末と、当該端末における放送の視聴に関する情報を管理するサーバとを有する端末情報収集システムにおいて、コンピュータを、放送を受信する端末として動作させるプログラムに含まれる端末情報収集プログラムであって、
前記コンピュータに、当該端末を操作するリモコンの信号を受信した時刻を検出するリモコン信号処理と、
放送により配信されたデータを表示用にデコードした時刻を検出するデコーダ処理と、
前記検出した各時刻と当該端末で選択されているチャンネルの番号とを記入したメッセージを生成するメッセージ生成処理と、
前記メッセージを前記サーバに送信する通信処理と、を実行させることを特徴とする端末情報収集プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−232893(P2010−232893A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77522(P2009−77522)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】