端部フレーム及びこれが取り付けられたサンドイッチパネル
【課題】連続生産法により連続で形成されるサンドイッチパネル構造体を切断して製造されるサンドイッチパネルに対し、その切断面に強固に取り付けることが可能な端部フレーム、及びこの端部フレームが取り付けられたサンドイッチパネルを提供する。
【解決手段】互いに対向する1対の面材2間に発泡材料3が充填されたサンドイッチ構造体13を切断して製造されるサンドイッチパネル1の切断面7に取り付けられる切断端部フレーム4において、切断面7を形成している発泡材料3の端面の一部又は全部を除去された1対の面材2の端部に設けられた係合部11に対して係合される被係合部25を備える。
【解決手段】互いに対向する1対の面材2間に発泡材料3が充填されたサンドイッチ構造体13を切断して製造されるサンドイッチパネル1の切断面7に取り付けられる切断端部フレーム4において、切断面7を形成している発泡材料3の端面の一部又は全部を除去された1対の面材2の端部に設けられた係合部11に対して係合される被係合部25を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに対向する1対の面材間に発泡材料が充填されたサンドイッチ構造体を切断して製造されるサンドイッチパネルの切断面に取り付けられる端部フレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
互いに対向する1対の面材間に発泡材料が充填されたサンドイッチパネルを用いて、大型の冷蔵庫やクリーンルームといった各種構造物を形成する技術が知られている。ここで、サンドイッチパネルの生産方法としては、連続生産ライン上で1対の面材を供給しながら面材間に発泡原液を注入することにより生産する連続生産法と、予め切断されている面材を多段に積層して各面材間に発泡原液を注入することにより生産する不連続生産法(バッチ生産法)とが知られている。
【0003】
不連続生産法によりサンドイッチパネルを生産する場合には、予め切断された面材の4つの端部を折り曲げておき、それらの折曲部によって囲まれる空間内に発泡原液を注入して発泡させることにより、生産されるサンドイッチパネルの各端面に面材の端部からなる端部フレームを形成することができる。このように、不連続生産法によれば、各端面に端部フレームが形成されたサンドイッチパネルを容易に生産することができる。
【0004】
端部フレームを有するサンドイッチパネルには、その端部フレームに凹凸などからなる嵌合部を形成することができる。このようなサンドイッチパネルを複数用意して、それらのサンドイッチパネルの各端面を対向させ、互いの嵌合部を嵌め合せれば、いわゆるプレハブ工法によって容易に構造物を形成することができる。すなわち、不連続生産法は、プレハブ工法に用いるサンドイッチパネルを生産するのに適している。
【0005】
しかしながら、不連続生産法により生産されるサンドイッチパネルでは、発泡原液が発泡する際に発生したガスが、発泡後の発泡材料と面材との間に挟まれた状態となることにより、いわゆるボイド(ガス溜まり)が発生する場合がある。ボイドが発生すると、そのボイドに対向する部分において面材に起伏が生じる場合があり、この場合、サンドイッチパネルの表面の平滑性が低下し、外観が悪くなるといった問題がある。また、不連続生産法では、長尺のサンドイッチパネルを容易に得ることができないといった問題もある。
【0006】
これに対して、連続生産法により生産されるサンドイッチパネルは、ボイドの発生が抑制されるため表面の平滑性が高く、外観がよいといった利点がある。また、連続生産法によれば、長尺のサンドイッチパネルを容易に得ることができるとともに、サンドイッチパネルの製造コストを低減できるといった利点もある。下記特許文献1には、連続生産法により生産されるサンドイッチパネルの一例が示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平8−57720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1には、連続生産法により生産されるサンドイッチパネルの切断面における各面材の端部を折り曲げて、対向するサンドイッチパネルの端部同士を接続する方法が開示されている。しかし、この特許文献1に開示されている方法では、対向するサンドイッチパネルの各端部を接続金具で接続するとともに、その接続部にコーキング剤を設けるような構成となっているため、プレハブ工法に適しているとは言えない。
【0009】
したがって、連続生産法を用いてプレハブ工法に適したサンドイッチパネルを製造するためには、連続生産法により連続で形成されるサンドイッチ構造体を任意の位置で切断したサンドイッチパネルの切断面に対し、プレハブ工法に適した端部フレームを後工程にて取り付ける方法が考えられる。また、その端部フレームは、切断面に対して強固に固定される必要がある。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、連続生産法により連続で形成されるサンドイッチパネル構造体を切断して製造されるサンドイッチパネルに対し、その切断面に強固に取り付けることが可能な端部フレーム、及びこの端部フレームが取り付けられたサンドイッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため本発明に係る端部フレームは、
互いに対向する1対の面材間に発泡材料が充填されたサンドイッチ構造体を切断して製造されるサンドイッチパネルの切断面に取り付けられる端部フレームにおいて、
前記切断面を形成している前記発泡材料の端面の一部又は全部を除去された前記1対の面材の端部に設けられた係合部に対して係合される被係合部を備えることを特徴とする。
【0012】
この構成による端部フレームの作用・効果を説明する。本発明に係る端部フレームは、連続生産法によって連続する互いに対向する1対の面材間に発泡材料を充填して形成されるサンドイッチ構造体を切断して製造されるサンドイッチパネルに対し、その切断面に取り付けられるものである。端部フレームは、サンドイッチパネルの切断面を形成している発泡材料の端面の一部又は全部を除去された1対の面材の端部に取り付けられる。この際、本発明に係る端部フレームは、面材の端部に設けられた係合部に対して係合される被係合部を備えているので、サンドイッチパネルの切断面に強固に取り付けることが可能である。
【0013】
本発明の端部フレームにおいて、前記発泡材料の端面の一部又は全部が除去されて形成された発泡材料の内面と前記端部フレームとの間の空間内に発泡材料を充填するために、発泡原液を溜めるための溜り部を前記空間側に備えることが好ましい。
【0014】
発泡材料の端面の一部又は全部が除去されて形成された発泡材料の内面と前記端部フレームとの間の空間が存在すると、サンドイッチパネルの強度の低下や、断熱性の低下といった問題が生じるため、この空間に発泡材料を充填することが好ましい。この際、端部フレームの空間側に備えられた溜り部に発泡原液を溜めることができ、溜り部に溜めた発泡原液を空間内で発泡させることで、空間内に発泡材料を容易に充填することができる。
【0015】
本発明の端部フレームにおいて、前記1対の面材の端部を互いに対向する方向に折り曲げられて形成される前記係合部の端部に対して挟み込むようにして嵌合する前記被係合部を備え、前記被係合部は前記係合部に対して前記サンドイッチパネルの幅方向の一端部側からスライド移動して嵌合されることが好ましい。
【0016】
係合部は1対の面材の端部を互いに対向する方向に折り曲げられて形成され、被係合部はこの係合部の端部を挟み込むようにして嵌合する。この構成によれば、端部フレームは、サンドイッチパネル内部からの力によっても、または外部からの力によっても、切断面から外れにくい。また、端部フレームの被係合部は、面材の係合部に対してサンドイッチパネルの幅方向の一端部側からスライド移動して嵌合されるように構成されるので、端部フレームの取り付けが容易である。
【0017】
本発明の端部フレームにおいて、前記1対の面材の表面に形成された凹状又は凸状の前記係合部に対して、表面に形成された前記係合部に嵌合する凸状又は凹状の前記被係合部により係合されることが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、面材の表面に形成された凹状又は凸状の係合部と、端部フレームの表面に形成された凸状又は凹状の被係合部とを嵌合して係合させることにより、端部フレームをサンドイッチパネルの切断面に強固に取り付けることができる。また、端部フレームの取り付けも容易である。
【0019】
本発明の端部フレームにおいて、前記1対の面材の端部に設けられた前記係合部に対して、前記被係合部が固定具を介して係合されることが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、1対の面材の端部に設けられた係合部に対して、端部フレームの被係合部が固定具を介して係合されるので、端部フレームをサンドイッチパネルの切断面に強固に固定することができる。
【0021】
本発明の端部フレームにおいて、前記固定具の頭部を覆うカバー部を備えることが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、面材の端部と端部フレームとを係合させた固定具の頭部が、カバー部によって覆われるので、固定具の頭部を保護することができるとともに、外観品質を維持することができる。
【0023】
本発明の端部フレームにおいて、前記カバー部は軟質の樹脂材料により形成され、前記カバー部以外のフレーム本体部は前記カバー部よりも硬質の樹脂材料により形成され、前記カバー部と前記端部フレーム本体部は一体成形されていることが好ましい。
【0024】
このような構成によれば、端部フレームのフレーム本体部よりも軟質のカバー部を弾性変形させながら、フレーム本体部を固定具によって面材の端部と係合させた後、カバー部を元の形状に戻すことにより、固定具の頭部をカバー部で覆うことができる。
【0025】
上記課題を解決するため本発明に係るサンドイッチパネルは、上記説明した端部フレームが前記切断面に取り付けられていることが好ましい。
【0026】
上記説明した端部フレームが切断面に取り付けられているので、切断面に対して強固に端部フレームが取り付けられたサンドイッチパネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る端部フレームを取り付けたサンドイッチパネル1の一例を示した斜視図である。図2は、図1のサンドイッチパネル1の一部断面図であり、当該サンドイッチパネル1を厚さ方向に切断した断面を示している。以下の説明では、図1における上側を上方、下側を下方、左奥側を左方、右手前側を右方として説明することとする。
【0028】
このサンドイッチパネル1は、上下方向に長尺な略長方形状の板状部材であり、互いに平行に対向する1対の面材2と、これらの面材2間に充填された発泡材料3とを備えている。各面材2は、0.3〜1.0mmの厚みを有し、例えばアルミニウム薄板、鋼板、樹脂板、木製合板などの各種薄板により形成することができる。一方、発泡材料3は、例えばポリウレタン発泡原液などの樹脂発泡原液が発泡されることにより形成された発泡樹脂からなり、断熱材として機能するものである。
【0029】
このサンドイッチパネル1は、いわゆる連続生産法により製造される。具体的には、連続生産ライン上に、それぞれ1枚の長い薄板からなる1対の面材2が、互いに平行に対向するように連続で送り出されるとともに、これらの面材2間に発泡原液が注入されることにより、1対の面材2間に発泡材料3が充填された1枚のサンドイッチ構造体が連続して形成される。このようにして形成されるサンドイッチ構造体が、連続生産ライン上において所望の長さで切断されることにより、図1に示すような略長方形状のサンドイッチパネル1が次々と製造される。
【0030】
サンドイッチパネル1の上端部及び下端部は、上記のようにサンドイッチ構造体が切断されることにより形成された切断端部であり、これらの上端部及び下端部には、それぞれ切断端部フレーム4(端部フレームに相当)が取り付けられる。一方、サンドイッチパネル1の左右側端部には、連続生産時にそれぞれ側端部フレーム5が取り付けられている。このように、サンドイッチパネル1の各端部に、切断端部フレーム4及び側端部フレームが取り付けられることにより、サンドイッチパネル1の内部に発泡材料3が封入された状態となっている。切断端部フレーム4及び側端部フレーム5は、それぞれ塩化ビニルなどの樹脂材料により形成された可撓性部材である。
【0031】
この例では、サンドイッチパネル1の上端部に取り付けられた切断端部フレーム4は、当該サンドイッチパネル1の内方に向かって窪んだ凹部20を有する凹形状に形成され、サンドイッチパネル1の下端部に取り付けられた切断端部フレーム4は、当該サンドイッチパネル1の外方に向かって突出した凸部30を有する凸形状に形成されている。また、サンドイッチパネル1の左側端部に取り付けられた側端部フレーム5は、当該サンドイッチパネル1の内方に向かって窪んだ凹部40を有する凹形状に形成され、サンドイッチパネル1の右側端部に取り付けられた側端部フレーム5は、当該サンドイッチパネル1の外方に向かって突出した凸部50を有する凸形状に形成されている。
【0032】
各凹部20,40は同一の断面形状を有しており、各凸部30,50は各凹部20,40に対応する断面形状を有している。したがって、複数のサンドイッチパネル1の端面を互いに対向させ、対応する凹部20,40と凸部30,50とを嵌め合せることにより、いわゆるプレハブ工法によって複数のサンドイッチパネル1を組み立て、大型の冷蔵庫やクリーンルームといった各種構造物を容易に形成することができる。
【0033】
図3は、図1のサンドイッチパネル1の上端部に取り付けられる、第1実施形態に係る切断端部フレーム4の一例を示した斜視図である。この切断端部フレーム4は、左右方向に長尺形状を有する一体成型品であり、左端部から右端部まで下方に窪んだ略台形状の凹部20を形成するように屈曲したフレーム本体部21を備えている。
【0034】
フレーム本体部21の各上端縁には、外方側、すなわち凹部20側とは反対側に向かって水平方向に延びる外側片23が形成されている。また、フレーム本体部21の外面には、それぞれ外側片23に対して下方に所定間隔を隔てて平行に対向するように、外方側に向かって水平方向に延びる内側片24が形成されている。外側片23及び内側片24は、それぞれ凹部20が窪む方向である下方に対して交差方向、より具体的には直交方向に延びている。これらの互いに対向する外側片23及び内側片24は、その間に形成された空間内に面材2の端部を収容することにより、当該切断端部フレーム4を面材2に取り付けるための被係合部25を形成している。
【0035】
各内側片24の先端部には、下方に向かって略直角に折り曲げられた形状の折曲片26が形成されている。フレーム本体部21の外底面には、略L字状の樋27が形成されており、当該樋27と対向するフレーム本体部21の外面とにより形成された溜り部28を介して、発泡原液を注入することができるようになっている。
【0036】
図4は、図3の切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際の態様を示した断面図である。この図4に示すように、図3の切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際、サンドイッチパネル1は、連続生産ライン上で各面材2が水平方向に延びるように搬送され、図3に示した切断端部フレーム4は、溜り部28の底面が下方に位置するように90°回転された状態でサンドイッチパネル1に取り付けられる。
【0037】
切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際には、まず、図4(a)に示すような1対の面材2間に発泡材料3が充填されたサンドイッチパネル1に対して、その切断面7を形成している発泡材料3の上端面を除去する処理が行われる。これにより、図4(b)に示すように、切断面7を形成している1対の面材2の上端部に隣接する発泡材料3が除去され、当該上端部間に空間8が形成される。上端面が除去されることにより形成された発泡材料3の内面9には、その中央部に凹部10が形成される。すなわち、発泡材料3の内面9は、起伏を有する形状に形成される。
【0038】
その後、切断面7を形成している各面材2の上端部が、内方側、すなわち空間8側に折り曲げられることにより1対の係合部11が形成され、これらの係合部11が外側片23及び内側片24からなる被係合部25の間に入り込むようにして切断端部フレーム4が面材2に取り付けられる。これにより、図4(c)に示すように、発泡材料3の内面9に対して空間8を隔てて対向するように切断端部フレーム4が配置され、サンドイッチパネル1の上端部が切断端部フレーム4により覆われた状態となる。このとき、切断端部フレーム4の各内側片24に形成されている折曲片26は、各面材2の内面に当接した状態となる。
【0039】
切断端部フレーム4を面材2に取り付ける際には、溜り部28の底面が下方に位置した状態で溜り部28内に発泡原液12Aが注入され、当該溜り部28内に発泡原液12Aが溜まった状態で、図4(c)に示すように切断端部フレーム4が面材2に取り付けられる。その後、溜り部28内の発泡原液12Aが発泡することにより、図4(d)に示すように、切断端部フレーム4と発泡材料3の内面9との間の空間8全体に発泡材料12が充填される。ただし、溜り部28を省略し、切断端部フレーム4を面材2に取り付けた後に、切断端部フレーム4の一端部側から上記空間8内に発泡原液12Aを注入することも可能である。
【0040】
図5は、図1のサンドイッチパネル1の下端部に取り付けられる切断端部フレーム4の一例を示した斜視図である。この切断端部フレーム4は、左右方向に長尺形状を有する一体成型品であり、左端部から右端部まで下方に突出した略台形状の凸部30を形成するように屈曲したフレーム本体部31を備えている。
【0041】
フレーム本体部31の各上端縁には、外方側、すなわち凸部30側とは反対側に向かって水平方向に延びる内側片33が形成されている。また、フレーム本体部31の外面には、それぞれ内側片33に対して下方に所定間隔を隔てて平行に対向するように、外方側に向かって水平方向に延びる外側片34が形成されている。内側片33及び外側片34は、それぞれ凸部30が突出する方向である下方に対して交差方向、より具体的には直交方向に延びている。これらの互いに対向する内側片33及び外側片34は、その間に形成された空間内に面材2の端部を収容することにより、当該切断端部フレーム4を面材2に取り付けるための被係合部35を形成している。
【0042】
各内側片33の先端部には、上方に向かって略直角に折り曲げられた形状の折曲片36が形成されている。フレーム本体部31の一方の上端縁には、対向する上端縁側へ水平方向に延びる樋37が形成されており、当該樋37と対向するフレーム本体部31の内面とにより形成された溜り部38を介して、発泡原液を注入することができるようになっている。
【0043】
図6は、図5の切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の下端部に取り付ける際の態様を示した断面図である。この図6に示すように、図5の切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の下端部に取り付ける際、サンドイッチパネル1は、連続生産ライン上で各面材2が水平方向に延びるように搬送され、図5に示した切断端部フレーム4は、溜り部38の底面が下方に位置するように90°回転された状態でサンドイッチパネル1に取り付けられる。
【0044】
切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の下端部に取り付ける際には、まず、図6(a)に示すような1対の面材2間に発泡材料3が充填されたサンドイッチパネル1に対して、その切断面7を形成している発泡材料3の下端面を除去する処理が行われる。これにより、図6(b)に示すように、切断面7を形成している1対の面材2の下端部に隣接する発泡材料3が除去され、当該下端部間に空間8が形成される。下端面が除去されることにより形成された発泡材料3の内面9は、図4の例とは異なり平坦面となっている。
【0045】
その後、切断面7を形成している各面材2の下端部が、内方側、すなわち空間8側に折り曲げられることにより1対の係合部11が形成され、これらの係合部11が内側片33及び外側片34からなる被係合部35の間に入り込むようにして切断端部フレーム4が面材2に取り付けられる。これにより、図6(c)に示すように、発泡材料3の内面9に対して空間8を隔てて対向するように切断端部フレーム4が配置され、サンドイッチパネル1の下端部が切断端部フレーム4により覆われた状態となる。このとき、切断端部フレーム4の各内側片33に形成されている折曲片36は、各面材2の内面に当接した状態となる。
【0046】
切断端部フレーム4を面材2に取り付ける際には、溜り部38の底面が下方に位置した状態で溜り部38内に発泡原液12Aが注入され、当該溜り部38内に発泡原液12Aが溜まった状態で、図6(c)に示すように切断端部フレーム4が面材2に取り付けられる。その後、溜り部38内の発泡原液12Aが発泡することにより、図6(d)に示すように、切断端部フレーム4と発泡材料3の内面9との間の空間8全体に発泡材料12が充填される。ただし、溜り部38を省略し、切断端部フレーム4を面材2に取り付けた後に、切断端部フレーム4の一端部側から上記空間8内に発泡原液12Aを注入することも可能である。
【0047】
図3及び図5に示した切断端部フレーム4は、略台形状の凹部20又は凸部30を備えているが、このような構成に限らず、略正方形状、略長方形状又は略三角形状など、各種形状からなる凹部又は凸部を切断端部フレーム4に形成することが可能である。また、溜り部28,38は、略L字状の樋27又は直線状の樋37により形成されるような構成に限らず、他の形状の樋によって溜り部が形成されていてもよい。
【0048】
図4及び図6に示した発泡材料12は、1対の面材2間に予め充填されている発泡材料3と同一の材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。また、図4及び図6のように、切断端部フレーム4を取り付ける際に発泡材料3の端面を全部除去するような構成に限らず、発泡材料3の端面の一部のみを除去するような構成であってもよい。
【0049】
図7は、連続生産法によるサンドイッチ構造体13の製造工程を示した概念図である。連続生産法によりサンドイッチ構造体13を製造する連続生産ライン上には、1対の面材2が搬送される方向に沿って、ロールフォーミング装置501、側端部フレーム取付装置502、発泡材料充填装置503及びコンベア504が、この順序で設置されている。1対の面材2は、それぞれ巻回されることによりロールRとして設けられており、これらのロールRから連続して面材2が繰り出されるようになっている。1対の面材2は、ロールRからコンベア504まで、それらの間隔が徐々に短くなるように搬送される。
【0050】
連続生産ライン上で製造されるサンドイッチ構造体13には、1対の面材2の左右側端部にそれぞれ側端部フレーム5が取り付けられるとともに、1対の面材2間に発泡原液が注入されることにより、1対の面材2及び各側端部フレーム5により囲まれた空間内に発泡材料3が充填される。側端部フレーム5の形状としては、図3に示したような凹形状又は図5に示したような凸形状と同様の形状を採用することができる。
【0051】
ロールフォーミング装置501は、搬送されてくる各面材2の左右側端部を折り曲げるための装置である。このロールフォーミング装置501により折り曲げられた各面材2の左右側端部には、それぞれ側端部フレーム取付装置502により側端部フレーム5が取り付けられる。可撓性部材からなる側端部フレーム5は巻回された状態で用意されており、搬送に伴い徐々に間隔が短くなる各面材2の左右側端部の間に、側端部フレーム5を挟み込むようにして取り付けることにより、図4(c)及び図6(c)に示したような態様で側端部フレーム5が取り付けられるようになっている。ただし、側端部フレーム5は、その凸形状又は凹形状によっては巻回できない場合があり、この場合には、巻回されずに長尺でカットされた定寸のバー材として供給される。
【0052】
ここで、1対の面材2に側端部フレーム5を取り付ける際には、下側の面材2の左右側端部に側端部フレーム5が取り付けられた後、当該面材2上に発泡材料充填装置503により発泡原液が注入されるとともに、上側の面材2が下側の面材2に接近して1対の面材2間に側端部フレーム5が挟み込まれる。その後、1対の面材2は、互いに平行に配置された1対のコンベア504間を搬送される。これらのコンベア504は、1対の面材2間に注入された発泡原液を発泡させるための発泡室505内に配置されており、当該コンベア504により搬送される過程で1対の面材2間の発泡原液が発泡し、1対の面材2及び各側端部フレーム5により囲まれた空間内に発泡材料3が充填され、硬化するようになっている。
【0053】
図8は、サンドイッチ構造体13から図1のサンドイッチパネル1を製造する工程を示した概念図である。図9は、サンドイッチ構造体13から図1のサンドイッチパネル1を製造する工程を示したフローチャートである。図1のサンドイッチパネル1は、連続生産ライン上で送られてくる1枚の長いサンドイッチ構造体13が任意の長さで切断され、その切断面7に切断端部フレーム4を取り付けることにより形成される。
【0054】
この例における連続生産ラインは、サンドイッチ構造体13の搬送方向に沿って延びる第1生産ラインと、第1生産ラインに続いて当該第1生産ラインに対して直交方向に延びる第2生産ラインとからなる。すなわち、図1のサンドイッチパネル1は、互いに直交する第1生産ライン及び第2生産ラインを搬送される過程で、各種処理が施されることにより製造されるようになっている。第1生産ライン上には、切断装置101及び切欠部形成装置102が設置されており、第2生産ライン上には、発泡材料除去装置103、端部折曲装置104及び発泡材料充填装置105が設置されている。
【0055】
第1生産ライン上を搬送されてくるサンドイッチ構造体13は、切断装置101により、予め定められた位置で搬送方向に対して直交方向に切断される(ステップS101)。その後、切断されたサンドイッチパネル1が第1生産ライン上を搬送される過程で、搬送方向の両端面に形成されている切断面7の左右両側縁部において、1対の面材2の端部及びこれらの面材2間に充填されている発泡材料3の端面が除去されることにより、サンドイッチパネル1の4つの角部にそれぞれ略L字状の切欠部14が形成される(ステップS102)。ただし、サンドイッチパネル1の全ての角部に切欠部14が形成されるような構成に限らず、一方の側縁部、例えば第2生産ラインの搬送方向下流側の側縁部にのみ切欠部14が形成されるような構成であってもよい。
【0056】
切欠部14が形成されたサンドイッチパネル1は、搬送方向が水平方向に90°変換されて第2生産ライン上を搬送される。そして、当該第2生産ライン上で、まず、発泡材料除去装置103により、各切断面7を形成している発泡材料3の端面を除去する処理が行われる(ステップS103)。発泡材料除去装置103は、サンドイッチパネル1の各切断面7に対応する位置にグラインダ103Aを備えており、サンドイッチパネル1が第2生産ライン上を搬送されることにより、各切断面7に形成されている搬送方向下流側の切欠部14を介して、それらのグラインダ103Aが1対の面材2の端部間に進入するようになっている。
【0057】
したがって、工具としての各グラインダ103Aを回転させた状態で、切欠部14が形成されたサンドイッチパネル1を第2生産ライン上に搬送することにより、搬送方向下流側の各切欠部14から各切断面7が延びる方向に沿って各グラインダ103Aを相対移動させ、図4(b)及び図6(b)に示したように、各切断面7を形成している発泡材料3の端面を除去することができる。ただし、サンドイッチパネル1を移動させるような構成に限らず、停止したサンドイッチパネル1に対して各グラインダ103Aを移動させることにより、各切断面7を形成している発泡材料3の端面を除去するような構成であってもよい。
【0058】
その後、サンドイッチパネル1の各切断面7を形成している各面材2の端部が、第2生産ライン上で端部折曲装置104により折り曲げられることによって、各端部に係合部11が形成され(ステップS104)、これらの係合部11に、図4(c)及び図6(c)に示した態様で切断端部フレーム4が取り付けられる。各切断端部フレーム4は、カットされた定寸のバー材として供給されるようになっており、各切断端部フレーム4を取り付ける際には、各切断端部フレーム4の一端部において被係合部25を各面材2の一端部にセットした後(ステップS105)、発泡材料充填装置105から各切断端部フレーム4の溜り部28,38に発泡原液12Aが注入される(ステップS106)。
【0059】
この状態で、各切断端部フレーム4が各面材2の幅方向の一端部側からスライドするようにして取り付けられることにより、図4(c)及び図6(c)に示した態様で各切断端部フレーム4が各面材2の端部に取り付けられる。その後、溜り部28,38内の発泡原液12Aが発泡することにより、図4(d)及び図6(d)に示したように、切断端部フレーム4と発泡材料3の内面9との間の空間8全体に発泡材料12が充填される。
【0060】
図10は、図8の端部折曲装置104により各面材2の端部を折り曲げる工程を示した概略図である。この端部折曲装置104は、各面材2における発泡材料3とは反対側の外面に当接する外面当接部71と、各面材2における発泡材料3側の内面に当接する内面当接部72と、各面材2の端部を押圧して折り曲げる押圧部73とを備えている。外面当接部71及び押圧部73は、各面材2に対応付けて2つずつ設けられている。一方、内面当接部72は、各面材2の内面の両方に当接する1つの部材として一体的に形成されている。2つの外面当接部71は、互いに平行に延びており、それらの間にはサンドイッチパネル1の厚さと略同一の空間が形成されている。
【0061】
各面材2の端部を折り曲げる際には、まず、図10(a)及び(b)に示すように、各面材2に対して平行方向に端部折曲装置104が移動されることにより、2つの外面当接部71間にサンドイッチパネル1の端部が入り込み、各面材2の外面に外面当接部71が当接する。このとき、各面材2の端部間には、各端部に隣接する発泡材料3が除去されることにより空間8が形成されており、当該空間8内に内面当接部72が入り込むことにより、各面材2の内面に内面当接部72が当接する。より具体的には、図10(b)の状態において、外面当接部71は、各面材2における係合部11を形成する端部よりも根元側の外面に対して面接触し、内面当接部72は、各面材2における係合部11を形成する端部の根元部の内面に接触部分72Aにて線接触する。
【0062】
各押圧部73は、対応する外面当接部71に対してスライド可能に取り付けられている。各外面当接部71には、当該外面当接部71が延びる方向に対して交差する方向、すなわち各面材2に交差する方向に、押圧部73に対応する形状の貫通孔71Aが形成されており、当該貫通孔71A内に押圧部73が挿入されている。これにより、各押圧部73は、各面材2に交差する方向、より具体的には、面材2の端部に近づくにつれて当該端部の根元側へ向かうような傾斜方向にスライド可能に保持される。各押圧部73は、例えば油圧シリンダにより駆動される。
【0063】
各外面当接部71に形成されている貫通孔71Aの面材2側の開口部は、その周縁部が内面当接部72における面材2との接触部分72Aに対向している。したがって、図10(b)に示すように、内面当接部72の各接触部分72Aが、各面材2における係合部11を形成する端部の根元部の内面に当接した状態では、各面材2における係合部11を形成する端部のみが貫通孔71Aに対向するようになっている。この状態で各押圧部73を面材2側へスライドさせ、2つの外面当接部71間の空間内まで進入させれば、図10(c)に示すように、各面材2の端部が対応する押圧部73により押圧され、内面当接部72の各接触部分72Aを支点として内側へ折り曲げられる。
【0064】
各押圧部73における面材2側の面には、球面状の押圧面73Aと、当該押圧面73Aにおける面材2に対して遠い側の端部に隣接して形成されたストッパ73Bとが備えられている。各押圧部73の押圧面73Aは、図10(a)に示す状態では、各外面当接部71の貫通孔71A内に収容されており、当該押圧面73Aにおける面材2に対して遠い側の端部が、各貫通孔71Aの面材2側の開口部に位置している。
【0065】
この状態では、各押圧部73のストッパ73Bが、各外面当接部71の貫通孔71Aにおける面材2側の開口部から突出しており、この状態で外面当接部71間にサンドイッチパネル1の端部が挿入されると、図10(b)に示すように、各面材2の切断面7を形成している端面がストッパ73Bに当接するようになっている。したがって、内面当接部72の各接触部分72Aに対向する貫通孔71Aの周縁部とストッパ73Bとの距離によって、係合部11の長さが規定されるようになっている。
【0066】
この図10に示したような端部折曲装置104を用いれば、各押圧部73における球面状に形成された押圧面73Aにより各面材2の端部を滑らかに押圧し、図10(c)に示すように、内面当接部72の各接触部分72Aを支点として内側に90°折り曲げられた係合部11を容易に形成することができる。ただし、各押圧部73の押圧面73Aは、球面状に形成されたものに限らず、球面以外の湾曲面状、又は、屈曲面状、平面状などに形成されていてもよい。
【0067】
上記の例では、各押圧部73が、面材2の端部に近づくにつれて当該端部の根元側へ向かうような傾斜方向にスライド可能に構成されているが、このような構成に限らず、面材2の端部に近づくにつれて当該端部の根元側とは反対側へ向かうような傾斜方向にスライド可能な構成であってもよいし、各面材2に対して直交方向にスライド可能な構成であってもよい。
【0068】
また、上記の例では、各面材2に対して平行方向に端部折曲装置104が移動されることにより、2つの外面当接部71間にサンドイッチパネル1の端部が入り込むような構成が示されているが、このような構成に限らず、各面材2に対して平行方向にサンドイッチパネル1が移動されることにより、停止した端部折曲装置104の外面当接部71間にサンドイッチパネル1の端部が入り込むような構成であってもよい。
【0069】
本実施形態では、切断面7を形成している1対の面材2の端部に取り付けられる切断端部フレーム4と、端面が除去されることによって形成された発泡材料3の内面9との間に空間8を形成することができる。そして、この空間8内に入り込むような凹部20を切断端部フレーム4に形成し、当該凹部20を嵌合部として他のサンドイッチパネルの端部と嵌め合せることにより、プレハブ工法によって構造物を形成することができる。すなわち、本実施形態によれば、連続生産法により生産されるサンドイッチ構造体13を切断し、その切断面7に対して上記のように切断端部フレーム4を取り付けることによって、プレハブ工法に適したサンドイッチパネル1を容易に製造することができる。
【0070】
特に、本実施形態では、1対の面材2の端部に取り付けられる切断端部フレーム4の位置よりも内方まで発泡材料3を除去し、その除去された発泡材料3の内面9に対して空間8を隔てて対向するように切断端部フレーム4を配置することができる。したがって、発泡材料3の端面を切断端部フレーム4に対応する形状に除去するような構成と比べて、発泡材料3の除去作業を容易化することができるとともに、当該除去作業時に生じる発泡材料3の上記内面9の位置ずれに起因して、切断端部フレーム4の取付不良が生じるのを防止できる。
【0071】
また、本実施形態では、発泡材料3の端面を除去することにより形成された空間8によって、切断面7を形成している1対の面材2の端部を折り曲げることが可能になり、その折り曲げられた端部(係合部11)に対して切断端部フレーム4を取り付けることができる。したがって、1対の面材2の端部に対して切断端部フレーム4を容易に取り付けることができる。
【0072】
さらに、本実施形態では、切断面7を形成している1対の面材2の端部に取り付けられる切断端部フレーム4と、端面が除去されることにより形成された発泡材料3の内面9との間に形成された空間8内に発泡材料12を充填することができる。これにより、上記空間8が存在することによるサンドイッチパネル1の強度の低下や、断熱性の低下といった問題を防止することができる。
【0073】
特に、切断端部フレーム4に形成されている溜り部28,38を介して上記空間8内に発泡原液を注入し、その発泡原液を発泡させることにより、上記空間8内に発泡材料12を充填することができるので、上記空間8内に発泡材料12を容易に充填することができる。ここで、端面が除去されることにより形成された発泡材料3の内面9には凹部10が形成されているため、発泡して溜り部28から上方へと拡大する発泡材料が、当該凹部10を介して溜り部28の下方まで入り込みやすく、上記空間8内により満遍なく発泡材料12を充填することができる。
【0074】
また、本実施形態では、1対の面材2の端部及び発泡材料3の端面を除去することにより形成された切欠部14を介して、上記1対の面材2の端部間に工具(グラインダ103A)を挿入し、当該工具を切断面7が延びる方向に沿って相対移動させることにより、発泡材料3の端面を容易に除去することができる。
【0075】
<第2実施形態>
第1実施形態では、各面材2の端部を折り曲げることにより形成された係合部11に、切断端部フレーム4が取り付けられるような構成について説明した。これに対して、第2実施形態では、各面材2の表面に形成された凹状の係合部と、切断端部フレーム4の表面に形成された凸状の被係合部とを嵌合して係合させることにより切断端部フレーム4が取り付けられるようになっている点が異なっている。なお、この第2実施形態の切断端部フレーム4についても、第1実施形態と同じように溜り部28に相当する構成を備えるようにしてもよい。
【0076】
図11は、本発明の第2実施形態に係る端部フレームの一例を示した斜視図である。この切断端部フレーム4(端部フレームに相当)は、第1実施形態の切断端部フレーム4と比べ、被係合部25の構成が異なる点及び溜り部28に相当する構成がない点以外は、第1実施形態と同様の構成を有しているので、同様の構成については図に同一符号を付してその説明を省略することとする。
【0077】
この切断端部フレーム4におけるフレーム本体部21の各上端部には、それぞれ凹部20が窪む方向である下方に向かって延びる外側片81及び内側片82が形成されている。これらの外側片81及び内側片82は、水平方向に所定間隔を隔てて平行に対向しており、その間に形成された空間内に面材2の端部を収容することにより、当該切断端部フレーム4を面材2に取り付けるための取付部83を形成している。
【0078】
図12は、図11の切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際の態様を示した断面図である。この図12に示すように、図11の切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際、サンドイッチパネル1は、連続生産ライン上で各面材2が水平方向に延びるように搬送され、図11に示した切断端部フレーム4は、90°回転された状態でサンドイッチパネル1に取り付けられる。
【0079】
この切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際には、第1実施形態の場合と同様に、図12(a)に示すような1対の面材2間に発泡材料3が充填されたサンドイッチパネル1に対して、その切断面7を形成している発泡材料3の上端面を除去する処理が行われることにより、図12(b)に示すように、図11に示した切断端部フレーム4の下面に対応する形状の起伏を有する内面9が形成される。
【0080】
本実施形態では、切断面7を形成している1対の面材2における上端部の外面に、それぞれ凹状の係合部15が形成されている。なお、本実施形態の係合部15は貫通孔で構成されているが、面材2を貫通させずに表面を凹ますだけでもよい。一方、本実施形態における切断端部フレーム4には、図12(c)に示すように、各外側片81から対向する内側片82側に向かって突出する凸部からなる被係合部25が形成されている。この各外側片81に形成されている被係合部25の形状は、各面材2の上端部の外面に形成されている係合部15の形状に対応している。
【0081】
図12(c)に示すように、切断端部フレーム4は、外側片81及び内側片82の間に各面材2の上端部が入り込むようにして取り付けられる。このとき、切断端部フレーム4の各外側片81に形成されている被係合部25が、対応する面材2の上端部に形成されている係合部15に入り込むことにより係合するようになっている。より具体的には、外側片81及び内側片82の間に各面材2の上端部を挿入する際に、外側片81が外方へ弾性変形し、係合部15と被係合部25が互いに対向する位置まで各面材2の上端部が挿入されたときに、係合部15と被係合部25が係合し、弾性変形していた外側片81が元の形状に戻るようになっている。
【0082】
このようにして切断端部フレーム4が各面材2の上端部に取り付けられることにより、図12(c)に示すように、各内側片82の外面が各面材2の上端部の内面に当接するようにして取り付けられる。このとき、上端面が除去されることによって形成された発泡材料3の内面9が、切断端部フレーム4の下面に対応する形状に形成されているため、切断端部フレーム4の下面全体が発泡材料3の内面9に当接するようになっている。このように、本実施形態では、1対の面材2の上端部に形成されている凹状の係合部15と切断端部フレーム4に形成されている凸状の被係合部25とを係合させることにより、切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の切断面に強固に取り付けることができる。また、1対の面材2の上端部に対して切断端部フレーム4を容易に取り付けることができる。
【0083】
図11及び図12では、サンドイッチパネル1の上端部に取り付けられる切断端部フレーム4の構成のみが示されているが、サンドイッチパネル1の下端部に取り付けられる切断端部フレーム4についても、外側片81、内側片82及び被係合部25を備えた同様の取付部83を形成し、当該被係合部25をサンドイッチパネル1の下端部に形成した係合部に係合させることにより取り付けることができる。
【0084】
上記の例では、切断端部フレーム4の外側片81に、対向する内側片82側に向かって突出する凸部が被係合部25として形成された構成について説明したが、このような構成に限らず、切断端部フレーム4の内側片82に、対向する外側片81側に向かって突出する凸部が被係合部25として形成された構成であってもよい。
【0085】
また、切断端部フレーム4側に凸部からなる被係合部25を形成し、各面材2の端部に凹部又は貫通孔からなる係合部15を形成するような構成に限らず、切断端部フレーム4側に凹部又は貫通孔からなる被係合部25を形成し、各面材2の端部に凸部からなる係合部15を形成するような構成であってもよい。ただし、切断端部フレーム4及び各面材2の端部に形成される係合部15と被係合部25は、凹凸により形成されるものに限らず、各種態様で係合可能な構成を採用することができる。
【0086】
図13は、係合部15の変形例を示した断面図である。この例では、各面材2の端部の一部に切り込みが入れられて、内方側へ折れ曲がった折曲片15Aが形成されることにより、係合部15が形成されている。この係合部15には、切断端部フレーム4に形成されている対応する形状の凸部が係合される。このように、各面材2の端部を打ち抜いて貫通孔からなる係合部15を形成するのではなく、折曲片15Aを形成することによって係合部15を形成するような構成とすることにより、係合部15の形成に伴い材料片が分離してごみが出るのを防止できるとともに、折曲片15Aにフックとしての機能を持たせることができる。
【0087】
<第3実施形態>
第1及び第2実施形態では、各面材2の端部と切断端部フレーム4との嵌め合せのみによって切断端部フレーム4が取り付けられるような構成について説明した。これに対して、第3実施形態では、各面材2及び切断端部フレーム4とは別個に設けられた固定具を用いて切断端部フレーム4が取り付けられるようになっている点が異なっている。
【0088】
図14は、本発明の第3実施形態に係る端部フレームの一例を示した斜視図である。この切断端部フレーム4(端部フレームに相当)は、被係合部25の構成及び溜り部28が設けられていない点が第1実施形態の切断端部フレーム4とは異なり、他の構成については同様の構成を有しているので、同様の構成については図に同一符号を付してその説明を省略することとする。なお、この第3実施形態の切断端部フレーム4についても、第1実施形態と同じように溜り部28に相当する構成を備えるようにしてもよい。
【0089】
この切断端部フレーム4におけるフレーム本体部21の各上端部には、凹部20が窪む方向である下方に向かって延びる被係合部25が形成されている。また、フレーム本体部21の各上端部には、被係合部25の外方に覆い被さるようにカバー部85が取り付けられている。このカバー部85は、可撓性を有する樹脂材料により形成され、フレーム本体部21及び被係合部25よりも軟質の材料、例えばフレーム本体部21及び被係合部25を形成している塩化ビニルよりも軟質の塩化ビニルにより形成することができる。各カバー部85は、その一側縁がフレーム本体部21の上端部に取り付けられており、当該一側縁を中心に弾性変形することにより、外方側へ揺動可能となっている。被係合部25及びカバー部85は、水平方向に所定間隔を隔てて対向している。ただし、カバー部85は、省略することも可能である。
【0090】
図15は、図14の切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際の態様を示した断面図である。この図15に示すように、図14の切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際、サンドイッチパネル1は、連続生産ライン上で各面材2が水平方向に延びるように搬送され、図14に示した切断端部フレーム4は、90°回転された状態でサンドイッチパネル1に取り付けられる。
【0091】
この切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際には、第1及び第2実施形態の場合と同様に、図15(a)に示すような1対の面材2間に発泡材料3が充填されたサンドイッチパネル1に対して、その切断面7を形成している発泡材料3の上端面を除去する処理が行われることにより、図15(b)に示すように、切断面7を形成している1対の面材2の上端部間に空間8が形成される。なお、この例では、切断端部フレーム4に溜り部28が設けられていないため、発泡材料3の内面9に凹部10を形成する必要がなく、当該内面9は平坦面となっている。
【0092】
その後、切断面7を形成している各面材2の上端部が、内方側、すなわち空間8側に略L字状に折り曲げられることにより、図15(c)に示すように、互いに平行に延びる1対の係合部17が形成され、これらの係合部17により、各面材2の上端部の外面には段差部18が形成される。これらの係合部17は、当該係合部17以外の部分における1対の面材2間の距離よりも狭い間隔で互いに対向しており、その間隔は、切断端部フレーム4の各被係合部25の外面間の距離と略一致している。
【0093】
本実施形態では、切断面7を形成している1対の面材2における上端部に、それぞれ貫通孔16が形成されており、これらの貫通孔16よりも根元側で各面材2が折り曲げられて係合部17が形成されることにより、図15(c)に示すように、各係合部17に貫通孔16が形成された状態となる。また、切断端部フレーム4の各被係合部25における貫通孔16に対向する位置にはリベット孔86が形成されている。
【0094】
切断端部フレーム4は、各被係合部25の外面が各面材2の係合部17の内面に当接するようにして取り付けられる。このとき、固定具としてのリベット19が、各係合部17に形成されている貫通孔16を通して切断端部フレーム4の対応するリベット孔86に固定されることにより、1対の面材2の上端部及び切断端部フレーム4にリベット19が取り付けられ、1対の面材2の上端部に対して切断端部フレーム4が強固に固定される。ただし、固定具はリベット19に限らず、ねじなどの他の固定具であってもよい。
【0095】
切断端部フレーム4の各カバー部85は、各面材2の係合部17の外方側に対向しており、リベット19を取り付ける際には、これらのカバー部85を外方側に弾性変形させることにより、各係合部17に形成されている貫通孔16を露出させ、当該貫通孔16からリベット19を挿入する。そして、リベット19をリベット孔86に固定した後、カバー部85を元の形状に戻すことにより、リベット19の頭部をカバー部85で覆い保護することができるとともに、リベット19の頭部及びカバー部85を段差部18内に収容することができる。
【0096】
切断端部フレーム4が面材2に取り付けられた状態では、図15(c)に示すように、発泡材料3の内面9に対して空間8を隔てて対向するように切断端部フレーム4が配置され、サンドイッチパネル1の上端部が切断端部フレーム4により覆われた状態となる。その後、切断端部フレーム4の一端部側から切断端部フレーム4と発泡材料3の内面9との間の空間8内に発泡原液を注入することにより、図15(d)に示すように、当該空間8内に発泡材料12が充填される。
【0097】
この例のように、溜り部28が設けられていない構成の場合には、係合部17を形成するために後述する端部折曲装置204を挿入可能な程度の空間8を形成すればよい。このような溜り部28が設けられていない構成では、発泡材料3の端面を除去する量が少なく、切断端部フレーム4の形状も簡略化されるので、製造コストを低減できるというメリットがある。一方、溜り部28が設けられた構成では、発泡原液12Aを均一に注入することができるので、発泡原液12Aの漏れ等が少ないというメリットがある。
【0098】
図14及び図15では、サンドイッチパネル1の上端部に取り付けられる切断端部フレーム4の構成のみが示されているが、サンドイッチパネル1の下端部に取り付けられる切断端部フレーム4についても、被係合部25及びカバー部85を形成し、当該被係合部25をサンドイッチパネル1の下端部にリベット19などの固定具を用いて固定することにより取り付けることができる。
【0099】
上記の例では、切断端部フレーム4の各被係合部25が、各面材2の上端部の内面に当接するような構成について説明したが、このような構成に限らず、各面材2の上端部の外面に当接するような構成であってもよい。また、上記の例では、各面材2の上端部を折り曲げて係合部17が形成された構成について説明したが、各面材2の上端部が折り曲げられていない構成、すなわち段差部18が形成されていないような構成であっても、各面材2の上端部に形成された貫通孔16を通してリベット19を取り付けることにより、切断端部フレーム4を固定することができる。
【0100】
図16は、図15(c)のように各面材2の端部を折り曲げて係合部17を形成する端部折曲装置204の構成例を示した概略図である。この端部折曲装置204は、図8に示した第1実施形態における端部折曲装置104と同様に、発泡材料除去装置103により発泡材料3の端面を除去した後のサンドイッチパネル1に対して、各面材2の端部を折り曲げる処理を行う。この端部折曲装置204は、各面材2の内面にそれぞれ当接する第1当接部91及び第2当接部92と、各面材2の端部を押圧して折り曲げる押圧部93とを備えている。第1当接部91、第2当接部92及び押圧部93は、各面材2に対応付けて2つずつ設けられている。
【0101】
2つの第1当接部91は、各面材2が延びる方向に対して直交方向に対向しており、これらの第1当接部91における互いに遠い方の端部間の距離は、1対の面材2間の距離と略一致している。一方、2つの第2当接部92は、各面材2が延びる方向に対して直交方向に対向しており、これらの第2当接部92における互いに遠い方の端部間の距離は、第1当接部91の端部間の距離よりも短くなっている。より具体的には、2つの第2当接部92における互いに遠い方の端部間の距離は、当該端部折曲装置204により形成される2つの係合部17の内面間の距離と略一致している。各第1当接部91は、対応する第2当接部92の端部に取り付けられている。
【0102】
各面材2の端部を折り曲げる際には、まず、各面材2に対して平行方向に端部折曲装置204が移動されることにより、図16に示すように、各面材2の端部間に形成されている空間8内に、各第1当接部91及び各第2当接部92が入り込み、各第1当接部91が対応する面材2の内面に当接する。このとき、各第1当接部91は、対応する面材2における係合部17を形成する端部の根元部の内面に接触部分91Aにて線接触する。この状態では、図16に示すように、各面材2の端部は折り曲げられておらず、各面材2の端部と第2当接部92との間には空間が形成されている。
【0103】
各押圧部93は、各面材2に対して直交方向にスライド可能に保持されており、例えば油圧シリンダにより駆動される。図16に示した状態で各押圧部93をスライドさせると、各面材2の端部が対応する押圧部93により押圧され、各第1当接部91との接触部分91Aを支点として各面材2が内側へ折り曲げられる。このとき、内側へ折り曲げられた各面材2の端部の内面が、それぞれ対応する第2当接部92に当接することにより、図15(c)に示すように各面材2の端部が略L字状に折り曲げられ、係合部17が形成される。各面材2の端部を押圧する各押圧部93の押圧面、及び、各面材2の端部の内面が当接する各第2当接部92の当接面は、それぞれ平坦面により形成されている。
【0104】
上記の例では、各押圧部93が各面材2に直交する方向へスライド可能に構成されているが、このような構成に限らず、各押圧部93が各面材2に直交する方向に対して傾斜方向へスライド可能な構成であってもよい。
【0105】
また、上記の例では、各面材2に対して平行方向に端部折曲装置204が移動されることにより、2つの面材2間に第1当接部91及び第2当接部92が入り込むような構成が示されているが、このような構成に限らず、各面材2に対して平行方向にサンドイッチパネル1が移動されることにより、停止した端部折曲装置204の第1当接部91及び第2当接部92が2つの面材2間に入り込むような構成であってもよい。
【0106】
以上の実施形態では、図1に示すように、サンドイッチパネル1の上端部に凹部20を有する切断端部フレーム4、下端部に凸部30を有する切断端部フレーム4、左側端部に凹部40を有する側端部フレーム5、右側端部に凸部50を有する側端部フレーム5がそれぞれ取り付けられるような構成について説明した。しかし、このような構成に限らず、凹部20,40及び凸部30,50の組み合わせは適宜に変更可能である。
【0107】
すなわち、サンドイッチパネル1の上端部及び下端部には、それぞれ凹部20又は凸部30を有する切断端部フレーム4のいずれかを適宜に取り付けることができるとともに、サンドイッチパネル1の左側端部及び右側端部には、それぞれ凹部40又は凸部50を有する側端部フレーム5のいずれかを適宜に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1実施形態に係る切断端部フレームを取り付けたサンドイッチパネルの一例を示した斜視図である。
【図2】図1のサンドイッチパネルの一部断面図であり、当該サンドイッチパネルを厚さ方向に切断した断面を示している。
【図3】第1実施形態に係る切断端部フレームの一例を示した斜視図である。
【図4】図3の切断端部フレームをサンドイッチパネルの上端部に取り付ける際の態様を示した断面図である。
【図5】図1のサンドイッチパネルの下端部に取り付けられる切断端部フレームの一例を示した斜視図である。
【図6】図5の切断端部フレームをサンドイッチパネルの下端部に取り付ける際の態様を示した断面図である。
【図7】連続生産法によるサンドイッチ構造体の製造工程を示した概念図である。
【図8】サンドイッチ構造体から図1のサンドイッチパネルを製造する工程を示した概念図である。
【図9】サンドイッチ構造体から図1のサンドイッチパネルを製造する工程を示したフローチャートである。
【図10】図8の端部折曲装置により各面材の端部を折り曲げる工程を示した概略図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る切断端部フレームの一例を示した斜視図である。
【図12】図11の切断端部フレームをサンドイッチパネルの上端部に取り付ける際の態様を示した断面図である。
【図13】係合部の変形例を示した断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る切断端部フレームの一例を示した斜視図である。
【図15】図14の切断端部フレームをサンドイッチパネルの上端部に取り付ける際の態様を示した断面図である。
【図16】図15(c)のように各面材の端部を折り曲げて係合部を形成する端部折曲装置の構成例を示した概略図である。
【符号の説明】
【0109】
1 サンドイッチパネル
2 面材
3 発泡材料
4 切断端部フレーム
7 切断面
8 空間
9 内面
10 凹部
11 係合部
12 発泡材料
13 サンドイッチ構造体
14 切欠部
15 係合部
19 リベット
20 凹部
25 被係合部
27 樋
28 溜り部
30 凸部
35 被係合部
37 樋
38 溜り部
83 取付部
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに対向する1対の面材間に発泡材料が充填されたサンドイッチ構造体を切断して製造されるサンドイッチパネルの切断面に取り付けられる端部フレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
互いに対向する1対の面材間に発泡材料が充填されたサンドイッチパネルを用いて、大型の冷蔵庫やクリーンルームといった各種構造物を形成する技術が知られている。ここで、サンドイッチパネルの生産方法としては、連続生産ライン上で1対の面材を供給しながら面材間に発泡原液を注入することにより生産する連続生産法と、予め切断されている面材を多段に積層して各面材間に発泡原液を注入することにより生産する不連続生産法(バッチ生産法)とが知られている。
【0003】
不連続生産法によりサンドイッチパネルを生産する場合には、予め切断された面材の4つの端部を折り曲げておき、それらの折曲部によって囲まれる空間内に発泡原液を注入して発泡させることにより、生産されるサンドイッチパネルの各端面に面材の端部からなる端部フレームを形成することができる。このように、不連続生産法によれば、各端面に端部フレームが形成されたサンドイッチパネルを容易に生産することができる。
【0004】
端部フレームを有するサンドイッチパネルには、その端部フレームに凹凸などからなる嵌合部を形成することができる。このようなサンドイッチパネルを複数用意して、それらのサンドイッチパネルの各端面を対向させ、互いの嵌合部を嵌め合せれば、いわゆるプレハブ工法によって容易に構造物を形成することができる。すなわち、不連続生産法は、プレハブ工法に用いるサンドイッチパネルを生産するのに適している。
【0005】
しかしながら、不連続生産法により生産されるサンドイッチパネルでは、発泡原液が発泡する際に発生したガスが、発泡後の発泡材料と面材との間に挟まれた状態となることにより、いわゆるボイド(ガス溜まり)が発生する場合がある。ボイドが発生すると、そのボイドに対向する部分において面材に起伏が生じる場合があり、この場合、サンドイッチパネルの表面の平滑性が低下し、外観が悪くなるといった問題がある。また、不連続生産法では、長尺のサンドイッチパネルを容易に得ることができないといった問題もある。
【0006】
これに対して、連続生産法により生産されるサンドイッチパネルは、ボイドの発生が抑制されるため表面の平滑性が高く、外観がよいといった利点がある。また、連続生産法によれば、長尺のサンドイッチパネルを容易に得ることができるとともに、サンドイッチパネルの製造コストを低減できるといった利点もある。下記特許文献1には、連続生産法により生産されるサンドイッチパネルの一例が示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平8−57720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1には、連続生産法により生産されるサンドイッチパネルの切断面における各面材の端部を折り曲げて、対向するサンドイッチパネルの端部同士を接続する方法が開示されている。しかし、この特許文献1に開示されている方法では、対向するサンドイッチパネルの各端部を接続金具で接続するとともに、その接続部にコーキング剤を設けるような構成となっているため、プレハブ工法に適しているとは言えない。
【0009】
したがって、連続生産法を用いてプレハブ工法に適したサンドイッチパネルを製造するためには、連続生産法により連続で形成されるサンドイッチ構造体を任意の位置で切断したサンドイッチパネルの切断面に対し、プレハブ工法に適した端部フレームを後工程にて取り付ける方法が考えられる。また、その端部フレームは、切断面に対して強固に固定される必要がある。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、連続生産法により連続で形成されるサンドイッチパネル構造体を切断して製造されるサンドイッチパネルに対し、その切断面に強固に取り付けることが可能な端部フレーム、及びこの端部フレームが取り付けられたサンドイッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため本発明に係る端部フレームは、
互いに対向する1対の面材間に発泡材料が充填されたサンドイッチ構造体を切断して製造されるサンドイッチパネルの切断面に取り付けられる端部フレームにおいて、
前記切断面を形成している前記発泡材料の端面の一部又は全部を除去された前記1対の面材の端部に設けられた係合部に対して係合される被係合部を備えることを特徴とする。
【0012】
この構成による端部フレームの作用・効果を説明する。本発明に係る端部フレームは、連続生産法によって連続する互いに対向する1対の面材間に発泡材料を充填して形成されるサンドイッチ構造体を切断して製造されるサンドイッチパネルに対し、その切断面に取り付けられるものである。端部フレームは、サンドイッチパネルの切断面を形成している発泡材料の端面の一部又は全部を除去された1対の面材の端部に取り付けられる。この際、本発明に係る端部フレームは、面材の端部に設けられた係合部に対して係合される被係合部を備えているので、サンドイッチパネルの切断面に強固に取り付けることが可能である。
【0013】
本発明の端部フレームにおいて、前記発泡材料の端面の一部又は全部が除去されて形成された発泡材料の内面と前記端部フレームとの間の空間内に発泡材料を充填するために、発泡原液を溜めるための溜り部を前記空間側に備えることが好ましい。
【0014】
発泡材料の端面の一部又は全部が除去されて形成された発泡材料の内面と前記端部フレームとの間の空間が存在すると、サンドイッチパネルの強度の低下や、断熱性の低下といった問題が生じるため、この空間に発泡材料を充填することが好ましい。この際、端部フレームの空間側に備えられた溜り部に発泡原液を溜めることができ、溜り部に溜めた発泡原液を空間内で発泡させることで、空間内に発泡材料を容易に充填することができる。
【0015】
本発明の端部フレームにおいて、前記1対の面材の端部を互いに対向する方向に折り曲げられて形成される前記係合部の端部に対して挟み込むようにして嵌合する前記被係合部を備え、前記被係合部は前記係合部に対して前記サンドイッチパネルの幅方向の一端部側からスライド移動して嵌合されることが好ましい。
【0016】
係合部は1対の面材の端部を互いに対向する方向に折り曲げられて形成され、被係合部はこの係合部の端部を挟み込むようにして嵌合する。この構成によれば、端部フレームは、サンドイッチパネル内部からの力によっても、または外部からの力によっても、切断面から外れにくい。また、端部フレームの被係合部は、面材の係合部に対してサンドイッチパネルの幅方向の一端部側からスライド移動して嵌合されるように構成されるので、端部フレームの取り付けが容易である。
【0017】
本発明の端部フレームにおいて、前記1対の面材の表面に形成された凹状又は凸状の前記係合部に対して、表面に形成された前記係合部に嵌合する凸状又は凹状の前記被係合部により係合されることが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、面材の表面に形成された凹状又は凸状の係合部と、端部フレームの表面に形成された凸状又は凹状の被係合部とを嵌合して係合させることにより、端部フレームをサンドイッチパネルの切断面に強固に取り付けることができる。また、端部フレームの取り付けも容易である。
【0019】
本発明の端部フレームにおいて、前記1対の面材の端部に設けられた前記係合部に対して、前記被係合部が固定具を介して係合されることが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、1対の面材の端部に設けられた係合部に対して、端部フレームの被係合部が固定具を介して係合されるので、端部フレームをサンドイッチパネルの切断面に強固に固定することができる。
【0021】
本発明の端部フレームにおいて、前記固定具の頭部を覆うカバー部を備えることが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、面材の端部と端部フレームとを係合させた固定具の頭部が、カバー部によって覆われるので、固定具の頭部を保護することができるとともに、外観品質を維持することができる。
【0023】
本発明の端部フレームにおいて、前記カバー部は軟質の樹脂材料により形成され、前記カバー部以外のフレーム本体部は前記カバー部よりも硬質の樹脂材料により形成され、前記カバー部と前記端部フレーム本体部は一体成形されていることが好ましい。
【0024】
このような構成によれば、端部フレームのフレーム本体部よりも軟質のカバー部を弾性変形させながら、フレーム本体部を固定具によって面材の端部と係合させた後、カバー部を元の形状に戻すことにより、固定具の頭部をカバー部で覆うことができる。
【0025】
上記課題を解決するため本発明に係るサンドイッチパネルは、上記説明した端部フレームが前記切断面に取り付けられていることが好ましい。
【0026】
上記説明した端部フレームが切断面に取り付けられているので、切断面に対して強固に端部フレームが取り付けられたサンドイッチパネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る端部フレームを取り付けたサンドイッチパネル1の一例を示した斜視図である。図2は、図1のサンドイッチパネル1の一部断面図であり、当該サンドイッチパネル1を厚さ方向に切断した断面を示している。以下の説明では、図1における上側を上方、下側を下方、左奥側を左方、右手前側を右方として説明することとする。
【0028】
このサンドイッチパネル1は、上下方向に長尺な略長方形状の板状部材であり、互いに平行に対向する1対の面材2と、これらの面材2間に充填された発泡材料3とを備えている。各面材2は、0.3〜1.0mmの厚みを有し、例えばアルミニウム薄板、鋼板、樹脂板、木製合板などの各種薄板により形成することができる。一方、発泡材料3は、例えばポリウレタン発泡原液などの樹脂発泡原液が発泡されることにより形成された発泡樹脂からなり、断熱材として機能するものである。
【0029】
このサンドイッチパネル1は、いわゆる連続生産法により製造される。具体的には、連続生産ライン上に、それぞれ1枚の長い薄板からなる1対の面材2が、互いに平行に対向するように連続で送り出されるとともに、これらの面材2間に発泡原液が注入されることにより、1対の面材2間に発泡材料3が充填された1枚のサンドイッチ構造体が連続して形成される。このようにして形成されるサンドイッチ構造体が、連続生産ライン上において所望の長さで切断されることにより、図1に示すような略長方形状のサンドイッチパネル1が次々と製造される。
【0030】
サンドイッチパネル1の上端部及び下端部は、上記のようにサンドイッチ構造体が切断されることにより形成された切断端部であり、これらの上端部及び下端部には、それぞれ切断端部フレーム4(端部フレームに相当)が取り付けられる。一方、サンドイッチパネル1の左右側端部には、連続生産時にそれぞれ側端部フレーム5が取り付けられている。このように、サンドイッチパネル1の各端部に、切断端部フレーム4及び側端部フレームが取り付けられることにより、サンドイッチパネル1の内部に発泡材料3が封入された状態となっている。切断端部フレーム4及び側端部フレーム5は、それぞれ塩化ビニルなどの樹脂材料により形成された可撓性部材である。
【0031】
この例では、サンドイッチパネル1の上端部に取り付けられた切断端部フレーム4は、当該サンドイッチパネル1の内方に向かって窪んだ凹部20を有する凹形状に形成され、サンドイッチパネル1の下端部に取り付けられた切断端部フレーム4は、当該サンドイッチパネル1の外方に向かって突出した凸部30を有する凸形状に形成されている。また、サンドイッチパネル1の左側端部に取り付けられた側端部フレーム5は、当該サンドイッチパネル1の内方に向かって窪んだ凹部40を有する凹形状に形成され、サンドイッチパネル1の右側端部に取り付けられた側端部フレーム5は、当該サンドイッチパネル1の外方に向かって突出した凸部50を有する凸形状に形成されている。
【0032】
各凹部20,40は同一の断面形状を有しており、各凸部30,50は各凹部20,40に対応する断面形状を有している。したがって、複数のサンドイッチパネル1の端面を互いに対向させ、対応する凹部20,40と凸部30,50とを嵌め合せることにより、いわゆるプレハブ工法によって複数のサンドイッチパネル1を組み立て、大型の冷蔵庫やクリーンルームといった各種構造物を容易に形成することができる。
【0033】
図3は、図1のサンドイッチパネル1の上端部に取り付けられる、第1実施形態に係る切断端部フレーム4の一例を示した斜視図である。この切断端部フレーム4は、左右方向に長尺形状を有する一体成型品であり、左端部から右端部まで下方に窪んだ略台形状の凹部20を形成するように屈曲したフレーム本体部21を備えている。
【0034】
フレーム本体部21の各上端縁には、外方側、すなわち凹部20側とは反対側に向かって水平方向に延びる外側片23が形成されている。また、フレーム本体部21の外面には、それぞれ外側片23に対して下方に所定間隔を隔てて平行に対向するように、外方側に向かって水平方向に延びる内側片24が形成されている。外側片23及び内側片24は、それぞれ凹部20が窪む方向である下方に対して交差方向、より具体的には直交方向に延びている。これらの互いに対向する外側片23及び内側片24は、その間に形成された空間内に面材2の端部を収容することにより、当該切断端部フレーム4を面材2に取り付けるための被係合部25を形成している。
【0035】
各内側片24の先端部には、下方に向かって略直角に折り曲げられた形状の折曲片26が形成されている。フレーム本体部21の外底面には、略L字状の樋27が形成されており、当該樋27と対向するフレーム本体部21の外面とにより形成された溜り部28を介して、発泡原液を注入することができるようになっている。
【0036】
図4は、図3の切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際の態様を示した断面図である。この図4に示すように、図3の切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際、サンドイッチパネル1は、連続生産ライン上で各面材2が水平方向に延びるように搬送され、図3に示した切断端部フレーム4は、溜り部28の底面が下方に位置するように90°回転された状態でサンドイッチパネル1に取り付けられる。
【0037】
切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際には、まず、図4(a)に示すような1対の面材2間に発泡材料3が充填されたサンドイッチパネル1に対して、その切断面7を形成している発泡材料3の上端面を除去する処理が行われる。これにより、図4(b)に示すように、切断面7を形成している1対の面材2の上端部に隣接する発泡材料3が除去され、当該上端部間に空間8が形成される。上端面が除去されることにより形成された発泡材料3の内面9には、その中央部に凹部10が形成される。すなわち、発泡材料3の内面9は、起伏を有する形状に形成される。
【0038】
その後、切断面7を形成している各面材2の上端部が、内方側、すなわち空間8側に折り曲げられることにより1対の係合部11が形成され、これらの係合部11が外側片23及び内側片24からなる被係合部25の間に入り込むようにして切断端部フレーム4が面材2に取り付けられる。これにより、図4(c)に示すように、発泡材料3の内面9に対して空間8を隔てて対向するように切断端部フレーム4が配置され、サンドイッチパネル1の上端部が切断端部フレーム4により覆われた状態となる。このとき、切断端部フレーム4の各内側片24に形成されている折曲片26は、各面材2の内面に当接した状態となる。
【0039】
切断端部フレーム4を面材2に取り付ける際には、溜り部28の底面が下方に位置した状態で溜り部28内に発泡原液12Aが注入され、当該溜り部28内に発泡原液12Aが溜まった状態で、図4(c)に示すように切断端部フレーム4が面材2に取り付けられる。その後、溜り部28内の発泡原液12Aが発泡することにより、図4(d)に示すように、切断端部フレーム4と発泡材料3の内面9との間の空間8全体に発泡材料12が充填される。ただし、溜り部28を省略し、切断端部フレーム4を面材2に取り付けた後に、切断端部フレーム4の一端部側から上記空間8内に発泡原液12Aを注入することも可能である。
【0040】
図5は、図1のサンドイッチパネル1の下端部に取り付けられる切断端部フレーム4の一例を示した斜視図である。この切断端部フレーム4は、左右方向に長尺形状を有する一体成型品であり、左端部から右端部まで下方に突出した略台形状の凸部30を形成するように屈曲したフレーム本体部31を備えている。
【0041】
フレーム本体部31の各上端縁には、外方側、すなわち凸部30側とは反対側に向かって水平方向に延びる内側片33が形成されている。また、フレーム本体部31の外面には、それぞれ内側片33に対して下方に所定間隔を隔てて平行に対向するように、外方側に向かって水平方向に延びる外側片34が形成されている。内側片33及び外側片34は、それぞれ凸部30が突出する方向である下方に対して交差方向、より具体的には直交方向に延びている。これらの互いに対向する内側片33及び外側片34は、その間に形成された空間内に面材2の端部を収容することにより、当該切断端部フレーム4を面材2に取り付けるための被係合部35を形成している。
【0042】
各内側片33の先端部には、上方に向かって略直角に折り曲げられた形状の折曲片36が形成されている。フレーム本体部31の一方の上端縁には、対向する上端縁側へ水平方向に延びる樋37が形成されており、当該樋37と対向するフレーム本体部31の内面とにより形成された溜り部38を介して、発泡原液を注入することができるようになっている。
【0043】
図6は、図5の切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の下端部に取り付ける際の態様を示した断面図である。この図6に示すように、図5の切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の下端部に取り付ける際、サンドイッチパネル1は、連続生産ライン上で各面材2が水平方向に延びるように搬送され、図5に示した切断端部フレーム4は、溜り部38の底面が下方に位置するように90°回転された状態でサンドイッチパネル1に取り付けられる。
【0044】
切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の下端部に取り付ける際には、まず、図6(a)に示すような1対の面材2間に発泡材料3が充填されたサンドイッチパネル1に対して、その切断面7を形成している発泡材料3の下端面を除去する処理が行われる。これにより、図6(b)に示すように、切断面7を形成している1対の面材2の下端部に隣接する発泡材料3が除去され、当該下端部間に空間8が形成される。下端面が除去されることにより形成された発泡材料3の内面9は、図4の例とは異なり平坦面となっている。
【0045】
その後、切断面7を形成している各面材2の下端部が、内方側、すなわち空間8側に折り曲げられることにより1対の係合部11が形成され、これらの係合部11が内側片33及び外側片34からなる被係合部35の間に入り込むようにして切断端部フレーム4が面材2に取り付けられる。これにより、図6(c)に示すように、発泡材料3の内面9に対して空間8を隔てて対向するように切断端部フレーム4が配置され、サンドイッチパネル1の下端部が切断端部フレーム4により覆われた状態となる。このとき、切断端部フレーム4の各内側片33に形成されている折曲片36は、各面材2の内面に当接した状態となる。
【0046】
切断端部フレーム4を面材2に取り付ける際には、溜り部38の底面が下方に位置した状態で溜り部38内に発泡原液12Aが注入され、当該溜り部38内に発泡原液12Aが溜まった状態で、図6(c)に示すように切断端部フレーム4が面材2に取り付けられる。その後、溜り部38内の発泡原液12Aが発泡することにより、図6(d)に示すように、切断端部フレーム4と発泡材料3の内面9との間の空間8全体に発泡材料12が充填される。ただし、溜り部38を省略し、切断端部フレーム4を面材2に取り付けた後に、切断端部フレーム4の一端部側から上記空間8内に発泡原液12Aを注入することも可能である。
【0047】
図3及び図5に示した切断端部フレーム4は、略台形状の凹部20又は凸部30を備えているが、このような構成に限らず、略正方形状、略長方形状又は略三角形状など、各種形状からなる凹部又は凸部を切断端部フレーム4に形成することが可能である。また、溜り部28,38は、略L字状の樋27又は直線状の樋37により形成されるような構成に限らず、他の形状の樋によって溜り部が形成されていてもよい。
【0048】
図4及び図6に示した発泡材料12は、1対の面材2間に予め充填されている発泡材料3と同一の材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。また、図4及び図6のように、切断端部フレーム4を取り付ける際に発泡材料3の端面を全部除去するような構成に限らず、発泡材料3の端面の一部のみを除去するような構成であってもよい。
【0049】
図7は、連続生産法によるサンドイッチ構造体13の製造工程を示した概念図である。連続生産法によりサンドイッチ構造体13を製造する連続生産ライン上には、1対の面材2が搬送される方向に沿って、ロールフォーミング装置501、側端部フレーム取付装置502、発泡材料充填装置503及びコンベア504が、この順序で設置されている。1対の面材2は、それぞれ巻回されることによりロールRとして設けられており、これらのロールRから連続して面材2が繰り出されるようになっている。1対の面材2は、ロールRからコンベア504まで、それらの間隔が徐々に短くなるように搬送される。
【0050】
連続生産ライン上で製造されるサンドイッチ構造体13には、1対の面材2の左右側端部にそれぞれ側端部フレーム5が取り付けられるとともに、1対の面材2間に発泡原液が注入されることにより、1対の面材2及び各側端部フレーム5により囲まれた空間内に発泡材料3が充填される。側端部フレーム5の形状としては、図3に示したような凹形状又は図5に示したような凸形状と同様の形状を採用することができる。
【0051】
ロールフォーミング装置501は、搬送されてくる各面材2の左右側端部を折り曲げるための装置である。このロールフォーミング装置501により折り曲げられた各面材2の左右側端部には、それぞれ側端部フレーム取付装置502により側端部フレーム5が取り付けられる。可撓性部材からなる側端部フレーム5は巻回された状態で用意されており、搬送に伴い徐々に間隔が短くなる各面材2の左右側端部の間に、側端部フレーム5を挟み込むようにして取り付けることにより、図4(c)及び図6(c)に示したような態様で側端部フレーム5が取り付けられるようになっている。ただし、側端部フレーム5は、その凸形状又は凹形状によっては巻回できない場合があり、この場合には、巻回されずに長尺でカットされた定寸のバー材として供給される。
【0052】
ここで、1対の面材2に側端部フレーム5を取り付ける際には、下側の面材2の左右側端部に側端部フレーム5が取り付けられた後、当該面材2上に発泡材料充填装置503により発泡原液が注入されるとともに、上側の面材2が下側の面材2に接近して1対の面材2間に側端部フレーム5が挟み込まれる。その後、1対の面材2は、互いに平行に配置された1対のコンベア504間を搬送される。これらのコンベア504は、1対の面材2間に注入された発泡原液を発泡させるための発泡室505内に配置されており、当該コンベア504により搬送される過程で1対の面材2間の発泡原液が発泡し、1対の面材2及び各側端部フレーム5により囲まれた空間内に発泡材料3が充填され、硬化するようになっている。
【0053】
図8は、サンドイッチ構造体13から図1のサンドイッチパネル1を製造する工程を示した概念図である。図9は、サンドイッチ構造体13から図1のサンドイッチパネル1を製造する工程を示したフローチャートである。図1のサンドイッチパネル1は、連続生産ライン上で送られてくる1枚の長いサンドイッチ構造体13が任意の長さで切断され、その切断面7に切断端部フレーム4を取り付けることにより形成される。
【0054】
この例における連続生産ラインは、サンドイッチ構造体13の搬送方向に沿って延びる第1生産ラインと、第1生産ラインに続いて当該第1生産ラインに対して直交方向に延びる第2生産ラインとからなる。すなわち、図1のサンドイッチパネル1は、互いに直交する第1生産ライン及び第2生産ラインを搬送される過程で、各種処理が施されることにより製造されるようになっている。第1生産ライン上には、切断装置101及び切欠部形成装置102が設置されており、第2生産ライン上には、発泡材料除去装置103、端部折曲装置104及び発泡材料充填装置105が設置されている。
【0055】
第1生産ライン上を搬送されてくるサンドイッチ構造体13は、切断装置101により、予め定められた位置で搬送方向に対して直交方向に切断される(ステップS101)。その後、切断されたサンドイッチパネル1が第1生産ライン上を搬送される過程で、搬送方向の両端面に形成されている切断面7の左右両側縁部において、1対の面材2の端部及びこれらの面材2間に充填されている発泡材料3の端面が除去されることにより、サンドイッチパネル1の4つの角部にそれぞれ略L字状の切欠部14が形成される(ステップS102)。ただし、サンドイッチパネル1の全ての角部に切欠部14が形成されるような構成に限らず、一方の側縁部、例えば第2生産ラインの搬送方向下流側の側縁部にのみ切欠部14が形成されるような構成であってもよい。
【0056】
切欠部14が形成されたサンドイッチパネル1は、搬送方向が水平方向に90°変換されて第2生産ライン上を搬送される。そして、当該第2生産ライン上で、まず、発泡材料除去装置103により、各切断面7を形成している発泡材料3の端面を除去する処理が行われる(ステップS103)。発泡材料除去装置103は、サンドイッチパネル1の各切断面7に対応する位置にグラインダ103Aを備えており、サンドイッチパネル1が第2生産ライン上を搬送されることにより、各切断面7に形成されている搬送方向下流側の切欠部14を介して、それらのグラインダ103Aが1対の面材2の端部間に進入するようになっている。
【0057】
したがって、工具としての各グラインダ103Aを回転させた状態で、切欠部14が形成されたサンドイッチパネル1を第2生産ライン上に搬送することにより、搬送方向下流側の各切欠部14から各切断面7が延びる方向に沿って各グラインダ103Aを相対移動させ、図4(b)及び図6(b)に示したように、各切断面7を形成している発泡材料3の端面を除去することができる。ただし、サンドイッチパネル1を移動させるような構成に限らず、停止したサンドイッチパネル1に対して各グラインダ103Aを移動させることにより、各切断面7を形成している発泡材料3の端面を除去するような構成であってもよい。
【0058】
その後、サンドイッチパネル1の各切断面7を形成している各面材2の端部が、第2生産ライン上で端部折曲装置104により折り曲げられることによって、各端部に係合部11が形成され(ステップS104)、これらの係合部11に、図4(c)及び図6(c)に示した態様で切断端部フレーム4が取り付けられる。各切断端部フレーム4は、カットされた定寸のバー材として供給されるようになっており、各切断端部フレーム4を取り付ける際には、各切断端部フレーム4の一端部において被係合部25を各面材2の一端部にセットした後(ステップS105)、発泡材料充填装置105から各切断端部フレーム4の溜り部28,38に発泡原液12Aが注入される(ステップS106)。
【0059】
この状態で、各切断端部フレーム4が各面材2の幅方向の一端部側からスライドするようにして取り付けられることにより、図4(c)及び図6(c)に示した態様で各切断端部フレーム4が各面材2の端部に取り付けられる。その後、溜り部28,38内の発泡原液12Aが発泡することにより、図4(d)及び図6(d)に示したように、切断端部フレーム4と発泡材料3の内面9との間の空間8全体に発泡材料12が充填される。
【0060】
図10は、図8の端部折曲装置104により各面材2の端部を折り曲げる工程を示した概略図である。この端部折曲装置104は、各面材2における発泡材料3とは反対側の外面に当接する外面当接部71と、各面材2における発泡材料3側の内面に当接する内面当接部72と、各面材2の端部を押圧して折り曲げる押圧部73とを備えている。外面当接部71及び押圧部73は、各面材2に対応付けて2つずつ設けられている。一方、内面当接部72は、各面材2の内面の両方に当接する1つの部材として一体的に形成されている。2つの外面当接部71は、互いに平行に延びており、それらの間にはサンドイッチパネル1の厚さと略同一の空間が形成されている。
【0061】
各面材2の端部を折り曲げる際には、まず、図10(a)及び(b)に示すように、各面材2に対して平行方向に端部折曲装置104が移動されることにより、2つの外面当接部71間にサンドイッチパネル1の端部が入り込み、各面材2の外面に外面当接部71が当接する。このとき、各面材2の端部間には、各端部に隣接する発泡材料3が除去されることにより空間8が形成されており、当該空間8内に内面当接部72が入り込むことにより、各面材2の内面に内面当接部72が当接する。より具体的には、図10(b)の状態において、外面当接部71は、各面材2における係合部11を形成する端部よりも根元側の外面に対して面接触し、内面当接部72は、各面材2における係合部11を形成する端部の根元部の内面に接触部分72Aにて線接触する。
【0062】
各押圧部73は、対応する外面当接部71に対してスライド可能に取り付けられている。各外面当接部71には、当該外面当接部71が延びる方向に対して交差する方向、すなわち各面材2に交差する方向に、押圧部73に対応する形状の貫通孔71Aが形成されており、当該貫通孔71A内に押圧部73が挿入されている。これにより、各押圧部73は、各面材2に交差する方向、より具体的には、面材2の端部に近づくにつれて当該端部の根元側へ向かうような傾斜方向にスライド可能に保持される。各押圧部73は、例えば油圧シリンダにより駆動される。
【0063】
各外面当接部71に形成されている貫通孔71Aの面材2側の開口部は、その周縁部が内面当接部72における面材2との接触部分72Aに対向している。したがって、図10(b)に示すように、内面当接部72の各接触部分72Aが、各面材2における係合部11を形成する端部の根元部の内面に当接した状態では、各面材2における係合部11を形成する端部のみが貫通孔71Aに対向するようになっている。この状態で各押圧部73を面材2側へスライドさせ、2つの外面当接部71間の空間内まで進入させれば、図10(c)に示すように、各面材2の端部が対応する押圧部73により押圧され、内面当接部72の各接触部分72Aを支点として内側へ折り曲げられる。
【0064】
各押圧部73における面材2側の面には、球面状の押圧面73Aと、当該押圧面73Aにおける面材2に対して遠い側の端部に隣接して形成されたストッパ73Bとが備えられている。各押圧部73の押圧面73Aは、図10(a)に示す状態では、各外面当接部71の貫通孔71A内に収容されており、当該押圧面73Aにおける面材2に対して遠い側の端部が、各貫通孔71Aの面材2側の開口部に位置している。
【0065】
この状態では、各押圧部73のストッパ73Bが、各外面当接部71の貫通孔71Aにおける面材2側の開口部から突出しており、この状態で外面当接部71間にサンドイッチパネル1の端部が挿入されると、図10(b)に示すように、各面材2の切断面7を形成している端面がストッパ73Bに当接するようになっている。したがって、内面当接部72の各接触部分72Aに対向する貫通孔71Aの周縁部とストッパ73Bとの距離によって、係合部11の長さが規定されるようになっている。
【0066】
この図10に示したような端部折曲装置104を用いれば、各押圧部73における球面状に形成された押圧面73Aにより各面材2の端部を滑らかに押圧し、図10(c)に示すように、内面当接部72の各接触部分72Aを支点として内側に90°折り曲げられた係合部11を容易に形成することができる。ただし、各押圧部73の押圧面73Aは、球面状に形成されたものに限らず、球面以外の湾曲面状、又は、屈曲面状、平面状などに形成されていてもよい。
【0067】
上記の例では、各押圧部73が、面材2の端部に近づくにつれて当該端部の根元側へ向かうような傾斜方向にスライド可能に構成されているが、このような構成に限らず、面材2の端部に近づくにつれて当該端部の根元側とは反対側へ向かうような傾斜方向にスライド可能な構成であってもよいし、各面材2に対して直交方向にスライド可能な構成であってもよい。
【0068】
また、上記の例では、各面材2に対して平行方向に端部折曲装置104が移動されることにより、2つの外面当接部71間にサンドイッチパネル1の端部が入り込むような構成が示されているが、このような構成に限らず、各面材2に対して平行方向にサンドイッチパネル1が移動されることにより、停止した端部折曲装置104の外面当接部71間にサンドイッチパネル1の端部が入り込むような構成であってもよい。
【0069】
本実施形態では、切断面7を形成している1対の面材2の端部に取り付けられる切断端部フレーム4と、端面が除去されることによって形成された発泡材料3の内面9との間に空間8を形成することができる。そして、この空間8内に入り込むような凹部20を切断端部フレーム4に形成し、当該凹部20を嵌合部として他のサンドイッチパネルの端部と嵌め合せることにより、プレハブ工法によって構造物を形成することができる。すなわち、本実施形態によれば、連続生産法により生産されるサンドイッチ構造体13を切断し、その切断面7に対して上記のように切断端部フレーム4を取り付けることによって、プレハブ工法に適したサンドイッチパネル1を容易に製造することができる。
【0070】
特に、本実施形態では、1対の面材2の端部に取り付けられる切断端部フレーム4の位置よりも内方まで発泡材料3を除去し、その除去された発泡材料3の内面9に対して空間8を隔てて対向するように切断端部フレーム4を配置することができる。したがって、発泡材料3の端面を切断端部フレーム4に対応する形状に除去するような構成と比べて、発泡材料3の除去作業を容易化することができるとともに、当該除去作業時に生じる発泡材料3の上記内面9の位置ずれに起因して、切断端部フレーム4の取付不良が生じるのを防止できる。
【0071】
また、本実施形態では、発泡材料3の端面を除去することにより形成された空間8によって、切断面7を形成している1対の面材2の端部を折り曲げることが可能になり、その折り曲げられた端部(係合部11)に対して切断端部フレーム4を取り付けることができる。したがって、1対の面材2の端部に対して切断端部フレーム4を容易に取り付けることができる。
【0072】
さらに、本実施形態では、切断面7を形成している1対の面材2の端部に取り付けられる切断端部フレーム4と、端面が除去されることにより形成された発泡材料3の内面9との間に形成された空間8内に発泡材料12を充填することができる。これにより、上記空間8が存在することによるサンドイッチパネル1の強度の低下や、断熱性の低下といった問題を防止することができる。
【0073】
特に、切断端部フレーム4に形成されている溜り部28,38を介して上記空間8内に発泡原液を注入し、その発泡原液を発泡させることにより、上記空間8内に発泡材料12を充填することができるので、上記空間8内に発泡材料12を容易に充填することができる。ここで、端面が除去されることにより形成された発泡材料3の内面9には凹部10が形成されているため、発泡して溜り部28から上方へと拡大する発泡材料が、当該凹部10を介して溜り部28の下方まで入り込みやすく、上記空間8内により満遍なく発泡材料12を充填することができる。
【0074】
また、本実施形態では、1対の面材2の端部及び発泡材料3の端面を除去することにより形成された切欠部14を介して、上記1対の面材2の端部間に工具(グラインダ103A)を挿入し、当該工具を切断面7が延びる方向に沿って相対移動させることにより、発泡材料3の端面を容易に除去することができる。
【0075】
<第2実施形態>
第1実施形態では、各面材2の端部を折り曲げることにより形成された係合部11に、切断端部フレーム4が取り付けられるような構成について説明した。これに対して、第2実施形態では、各面材2の表面に形成された凹状の係合部と、切断端部フレーム4の表面に形成された凸状の被係合部とを嵌合して係合させることにより切断端部フレーム4が取り付けられるようになっている点が異なっている。なお、この第2実施形態の切断端部フレーム4についても、第1実施形態と同じように溜り部28に相当する構成を備えるようにしてもよい。
【0076】
図11は、本発明の第2実施形態に係る端部フレームの一例を示した斜視図である。この切断端部フレーム4(端部フレームに相当)は、第1実施形態の切断端部フレーム4と比べ、被係合部25の構成が異なる点及び溜り部28に相当する構成がない点以外は、第1実施形態と同様の構成を有しているので、同様の構成については図に同一符号を付してその説明を省略することとする。
【0077】
この切断端部フレーム4におけるフレーム本体部21の各上端部には、それぞれ凹部20が窪む方向である下方に向かって延びる外側片81及び内側片82が形成されている。これらの外側片81及び内側片82は、水平方向に所定間隔を隔てて平行に対向しており、その間に形成された空間内に面材2の端部を収容することにより、当該切断端部フレーム4を面材2に取り付けるための取付部83を形成している。
【0078】
図12は、図11の切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際の態様を示した断面図である。この図12に示すように、図11の切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際、サンドイッチパネル1は、連続生産ライン上で各面材2が水平方向に延びるように搬送され、図11に示した切断端部フレーム4は、90°回転された状態でサンドイッチパネル1に取り付けられる。
【0079】
この切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際には、第1実施形態の場合と同様に、図12(a)に示すような1対の面材2間に発泡材料3が充填されたサンドイッチパネル1に対して、その切断面7を形成している発泡材料3の上端面を除去する処理が行われることにより、図12(b)に示すように、図11に示した切断端部フレーム4の下面に対応する形状の起伏を有する内面9が形成される。
【0080】
本実施形態では、切断面7を形成している1対の面材2における上端部の外面に、それぞれ凹状の係合部15が形成されている。なお、本実施形態の係合部15は貫通孔で構成されているが、面材2を貫通させずに表面を凹ますだけでもよい。一方、本実施形態における切断端部フレーム4には、図12(c)に示すように、各外側片81から対向する内側片82側に向かって突出する凸部からなる被係合部25が形成されている。この各外側片81に形成されている被係合部25の形状は、各面材2の上端部の外面に形成されている係合部15の形状に対応している。
【0081】
図12(c)に示すように、切断端部フレーム4は、外側片81及び内側片82の間に各面材2の上端部が入り込むようにして取り付けられる。このとき、切断端部フレーム4の各外側片81に形成されている被係合部25が、対応する面材2の上端部に形成されている係合部15に入り込むことにより係合するようになっている。より具体的には、外側片81及び内側片82の間に各面材2の上端部を挿入する際に、外側片81が外方へ弾性変形し、係合部15と被係合部25が互いに対向する位置まで各面材2の上端部が挿入されたときに、係合部15と被係合部25が係合し、弾性変形していた外側片81が元の形状に戻るようになっている。
【0082】
このようにして切断端部フレーム4が各面材2の上端部に取り付けられることにより、図12(c)に示すように、各内側片82の外面が各面材2の上端部の内面に当接するようにして取り付けられる。このとき、上端面が除去されることによって形成された発泡材料3の内面9が、切断端部フレーム4の下面に対応する形状に形成されているため、切断端部フレーム4の下面全体が発泡材料3の内面9に当接するようになっている。このように、本実施形態では、1対の面材2の上端部に形成されている凹状の係合部15と切断端部フレーム4に形成されている凸状の被係合部25とを係合させることにより、切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の切断面に強固に取り付けることができる。また、1対の面材2の上端部に対して切断端部フレーム4を容易に取り付けることができる。
【0083】
図11及び図12では、サンドイッチパネル1の上端部に取り付けられる切断端部フレーム4の構成のみが示されているが、サンドイッチパネル1の下端部に取り付けられる切断端部フレーム4についても、外側片81、内側片82及び被係合部25を備えた同様の取付部83を形成し、当該被係合部25をサンドイッチパネル1の下端部に形成した係合部に係合させることにより取り付けることができる。
【0084】
上記の例では、切断端部フレーム4の外側片81に、対向する内側片82側に向かって突出する凸部が被係合部25として形成された構成について説明したが、このような構成に限らず、切断端部フレーム4の内側片82に、対向する外側片81側に向かって突出する凸部が被係合部25として形成された構成であってもよい。
【0085】
また、切断端部フレーム4側に凸部からなる被係合部25を形成し、各面材2の端部に凹部又は貫通孔からなる係合部15を形成するような構成に限らず、切断端部フレーム4側に凹部又は貫通孔からなる被係合部25を形成し、各面材2の端部に凸部からなる係合部15を形成するような構成であってもよい。ただし、切断端部フレーム4及び各面材2の端部に形成される係合部15と被係合部25は、凹凸により形成されるものに限らず、各種態様で係合可能な構成を採用することができる。
【0086】
図13は、係合部15の変形例を示した断面図である。この例では、各面材2の端部の一部に切り込みが入れられて、内方側へ折れ曲がった折曲片15Aが形成されることにより、係合部15が形成されている。この係合部15には、切断端部フレーム4に形成されている対応する形状の凸部が係合される。このように、各面材2の端部を打ち抜いて貫通孔からなる係合部15を形成するのではなく、折曲片15Aを形成することによって係合部15を形成するような構成とすることにより、係合部15の形成に伴い材料片が分離してごみが出るのを防止できるとともに、折曲片15Aにフックとしての機能を持たせることができる。
【0087】
<第3実施形態>
第1及び第2実施形態では、各面材2の端部と切断端部フレーム4との嵌め合せのみによって切断端部フレーム4が取り付けられるような構成について説明した。これに対して、第3実施形態では、各面材2及び切断端部フレーム4とは別個に設けられた固定具を用いて切断端部フレーム4が取り付けられるようになっている点が異なっている。
【0088】
図14は、本発明の第3実施形態に係る端部フレームの一例を示した斜視図である。この切断端部フレーム4(端部フレームに相当)は、被係合部25の構成及び溜り部28が設けられていない点が第1実施形態の切断端部フレーム4とは異なり、他の構成については同様の構成を有しているので、同様の構成については図に同一符号を付してその説明を省略することとする。なお、この第3実施形態の切断端部フレーム4についても、第1実施形態と同じように溜り部28に相当する構成を備えるようにしてもよい。
【0089】
この切断端部フレーム4におけるフレーム本体部21の各上端部には、凹部20が窪む方向である下方に向かって延びる被係合部25が形成されている。また、フレーム本体部21の各上端部には、被係合部25の外方に覆い被さるようにカバー部85が取り付けられている。このカバー部85は、可撓性を有する樹脂材料により形成され、フレーム本体部21及び被係合部25よりも軟質の材料、例えばフレーム本体部21及び被係合部25を形成している塩化ビニルよりも軟質の塩化ビニルにより形成することができる。各カバー部85は、その一側縁がフレーム本体部21の上端部に取り付けられており、当該一側縁を中心に弾性変形することにより、外方側へ揺動可能となっている。被係合部25及びカバー部85は、水平方向に所定間隔を隔てて対向している。ただし、カバー部85は、省略することも可能である。
【0090】
図15は、図14の切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際の態様を示した断面図である。この図15に示すように、図14の切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際、サンドイッチパネル1は、連続生産ライン上で各面材2が水平方向に延びるように搬送され、図14に示した切断端部フレーム4は、90°回転された状態でサンドイッチパネル1に取り付けられる。
【0091】
この切断端部フレーム4をサンドイッチパネル1の上端部に取り付ける際には、第1及び第2実施形態の場合と同様に、図15(a)に示すような1対の面材2間に発泡材料3が充填されたサンドイッチパネル1に対して、その切断面7を形成している発泡材料3の上端面を除去する処理が行われることにより、図15(b)に示すように、切断面7を形成している1対の面材2の上端部間に空間8が形成される。なお、この例では、切断端部フレーム4に溜り部28が設けられていないため、発泡材料3の内面9に凹部10を形成する必要がなく、当該内面9は平坦面となっている。
【0092】
その後、切断面7を形成している各面材2の上端部が、内方側、すなわち空間8側に略L字状に折り曲げられることにより、図15(c)に示すように、互いに平行に延びる1対の係合部17が形成され、これらの係合部17により、各面材2の上端部の外面には段差部18が形成される。これらの係合部17は、当該係合部17以外の部分における1対の面材2間の距離よりも狭い間隔で互いに対向しており、その間隔は、切断端部フレーム4の各被係合部25の外面間の距離と略一致している。
【0093】
本実施形態では、切断面7を形成している1対の面材2における上端部に、それぞれ貫通孔16が形成されており、これらの貫通孔16よりも根元側で各面材2が折り曲げられて係合部17が形成されることにより、図15(c)に示すように、各係合部17に貫通孔16が形成された状態となる。また、切断端部フレーム4の各被係合部25における貫通孔16に対向する位置にはリベット孔86が形成されている。
【0094】
切断端部フレーム4は、各被係合部25の外面が各面材2の係合部17の内面に当接するようにして取り付けられる。このとき、固定具としてのリベット19が、各係合部17に形成されている貫通孔16を通して切断端部フレーム4の対応するリベット孔86に固定されることにより、1対の面材2の上端部及び切断端部フレーム4にリベット19が取り付けられ、1対の面材2の上端部に対して切断端部フレーム4が強固に固定される。ただし、固定具はリベット19に限らず、ねじなどの他の固定具であってもよい。
【0095】
切断端部フレーム4の各カバー部85は、各面材2の係合部17の外方側に対向しており、リベット19を取り付ける際には、これらのカバー部85を外方側に弾性変形させることにより、各係合部17に形成されている貫通孔16を露出させ、当該貫通孔16からリベット19を挿入する。そして、リベット19をリベット孔86に固定した後、カバー部85を元の形状に戻すことにより、リベット19の頭部をカバー部85で覆い保護することができるとともに、リベット19の頭部及びカバー部85を段差部18内に収容することができる。
【0096】
切断端部フレーム4が面材2に取り付けられた状態では、図15(c)に示すように、発泡材料3の内面9に対して空間8を隔てて対向するように切断端部フレーム4が配置され、サンドイッチパネル1の上端部が切断端部フレーム4により覆われた状態となる。その後、切断端部フレーム4の一端部側から切断端部フレーム4と発泡材料3の内面9との間の空間8内に発泡原液を注入することにより、図15(d)に示すように、当該空間8内に発泡材料12が充填される。
【0097】
この例のように、溜り部28が設けられていない構成の場合には、係合部17を形成するために後述する端部折曲装置204を挿入可能な程度の空間8を形成すればよい。このような溜り部28が設けられていない構成では、発泡材料3の端面を除去する量が少なく、切断端部フレーム4の形状も簡略化されるので、製造コストを低減できるというメリットがある。一方、溜り部28が設けられた構成では、発泡原液12Aを均一に注入することができるので、発泡原液12Aの漏れ等が少ないというメリットがある。
【0098】
図14及び図15では、サンドイッチパネル1の上端部に取り付けられる切断端部フレーム4の構成のみが示されているが、サンドイッチパネル1の下端部に取り付けられる切断端部フレーム4についても、被係合部25及びカバー部85を形成し、当該被係合部25をサンドイッチパネル1の下端部にリベット19などの固定具を用いて固定することにより取り付けることができる。
【0099】
上記の例では、切断端部フレーム4の各被係合部25が、各面材2の上端部の内面に当接するような構成について説明したが、このような構成に限らず、各面材2の上端部の外面に当接するような構成であってもよい。また、上記の例では、各面材2の上端部を折り曲げて係合部17が形成された構成について説明したが、各面材2の上端部が折り曲げられていない構成、すなわち段差部18が形成されていないような構成であっても、各面材2の上端部に形成された貫通孔16を通してリベット19を取り付けることにより、切断端部フレーム4を固定することができる。
【0100】
図16は、図15(c)のように各面材2の端部を折り曲げて係合部17を形成する端部折曲装置204の構成例を示した概略図である。この端部折曲装置204は、図8に示した第1実施形態における端部折曲装置104と同様に、発泡材料除去装置103により発泡材料3の端面を除去した後のサンドイッチパネル1に対して、各面材2の端部を折り曲げる処理を行う。この端部折曲装置204は、各面材2の内面にそれぞれ当接する第1当接部91及び第2当接部92と、各面材2の端部を押圧して折り曲げる押圧部93とを備えている。第1当接部91、第2当接部92及び押圧部93は、各面材2に対応付けて2つずつ設けられている。
【0101】
2つの第1当接部91は、各面材2が延びる方向に対して直交方向に対向しており、これらの第1当接部91における互いに遠い方の端部間の距離は、1対の面材2間の距離と略一致している。一方、2つの第2当接部92は、各面材2が延びる方向に対して直交方向に対向しており、これらの第2当接部92における互いに遠い方の端部間の距離は、第1当接部91の端部間の距離よりも短くなっている。より具体的には、2つの第2当接部92における互いに遠い方の端部間の距離は、当該端部折曲装置204により形成される2つの係合部17の内面間の距離と略一致している。各第1当接部91は、対応する第2当接部92の端部に取り付けられている。
【0102】
各面材2の端部を折り曲げる際には、まず、各面材2に対して平行方向に端部折曲装置204が移動されることにより、図16に示すように、各面材2の端部間に形成されている空間8内に、各第1当接部91及び各第2当接部92が入り込み、各第1当接部91が対応する面材2の内面に当接する。このとき、各第1当接部91は、対応する面材2における係合部17を形成する端部の根元部の内面に接触部分91Aにて線接触する。この状態では、図16に示すように、各面材2の端部は折り曲げられておらず、各面材2の端部と第2当接部92との間には空間が形成されている。
【0103】
各押圧部93は、各面材2に対して直交方向にスライド可能に保持されており、例えば油圧シリンダにより駆動される。図16に示した状態で各押圧部93をスライドさせると、各面材2の端部が対応する押圧部93により押圧され、各第1当接部91との接触部分91Aを支点として各面材2が内側へ折り曲げられる。このとき、内側へ折り曲げられた各面材2の端部の内面が、それぞれ対応する第2当接部92に当接することにより、図15(c)に示すように各面材2の端部が略L字状に折り曲げられ、係合部17が形成される。各面材2の端部を押圧する各押圧部93の押圧面、及び、各面材2の端部の内面が当接する各第2当接部92の当接面は、それぞれ平坦面により形成されている。
【0104】
上記の例では、各押圧部93が各面材2に直交する方向へスライド可能に構成されているが、このような構成に限らず、各押圧部93が各面材2に直交する方向に対して傾斜方向へスライド可能な構成であってもよい。
【0105】
また、上記の例では、各面材2に対して平行方向に端部折曲装置204が移動されることにより、2つの面材2間に第1当接部91及び第2当接部92が入り込むような構成が示されているが、このような構成に限らず、各面材2に対して平行方向にサンドイッチパネル1が移動されることにより、停止した端部折曲装置204の第1当接部91及び第2当接部92が2つの面材2間に入り込むような構成であってもよい。
【0106】
以上の実施形態では、図1に示すように、サンドイッチパネル1の上端部に凹部20を有する切断端部フレーム4、下端部に凸部30を有する切断端部フレーム4、左側端部に凹部40を有する側端部フレーム5、右側端部に凸部50を有する側端部フレーム5がそれぞれ取り付けられるような構成について説明した。しかし、このような構成に限らず、凹部20,40及び凸部30,50の組み合わせは適宜に変更可能である。
【0107】
すなわち、サンドイッチパネル1の上端部及び下端部には、それぞれ凹部20又は凸部30を有する切断端部フレーム4のいずれかを適宜に取り付けることができるとともに、サンドイッチパネル1の左側端部及び右側端部には、それぞれ凹部40又は凸部50を有する側端部フレーム5のいずれかを適宜に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1実施形態に係る切断端部フレームを取り付けたサンドイッチパネルの一例を示した斜視図である。
【図2】図1のサンドイッチパネルの一部断面図であり、当該サンドイッチパネルを厚さ方向に切断した断面を示している。
【図3】第1実施形態に係る切断端部フレームの一例を示した斜視図である。
【図4】図3の切断端部フレームをサンドイッチパネルの上端部に取り付ける際の態様を示した断面図である。
【図5】図1のサンドイッチパネルの下端部に取り付けられる切断端部フレームの一例を示した斜視図である。
【図6】図5の切断端部フレームをサンドイッチパネルの下端部に取り付ける際の態様を示した断面図である。
【図7】連続生産法によるサンドイッチ構造体の製造工程を示した概念図である。
【図8】サンドイッチ構造体から図1のサンドイッチパネルを製造する工程を示した概念図である。
【図9】サンドイッチ構造体から図1のサンドイッチパネルを製造する工程を示したフローチャートである。
【図10】図8の端部折曲装置により各面材の端部を折り曲げる工程を示した概略図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る切断端部フレームの一例を示した斜視図である。
【図12】図11の切断端部フレームをサンドイッチパネルの上端部に取り付ける際の態様を示した断面図である。
【図13】係合部の変形例を示した断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る切断端部フレームの一例を示した斜視図である。
【図15】図14の切断端部フレームをサンドイッチパネルの上端部に取り付ける際の態様を示した断面図である。
【図16】図15(c)のように各面材の端部を折り曲げて係合部を形成する端部折曲装置の構成例を示した概略図である。
【符号の説明】
【0109】
1 サンドイッチパネル
2 面材
3 発泡材料
4 切断端部フレーム
7 切断面
8 空間
9 内面
10 凹部
11 係合部
12 発泡材料
13 サンドイッチ構造体
14 切欠部
15 係合部
19 リベット
20 凹部
25 被係合部
27 樋
28 溜り部
30 凸部
35 被係合部
37 樋
38 溜り部
83 取付部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する1対の面材間に発泡材料が充填されたサンドイッチ構造体を切断して製造されるサンドイッチパネルの切断面に取り付けられる端部フレームにおいて、
前記切断面を形成している前記発泡材料の端面の一部又は全部を除去された前記1対の面材の端部に設けられた係合部に対して係合される被係合部を備えることを特徴とする端部フレーム。
【請求項2】
前記発泡材料の端面の一部又は全部が除去されて形成された発泡材料の内面と前記端部フレームとの間の空間内に発泡材料を充填するために、発泡原液を溜めるための溜り部を前記空間側に備えることを特徴とする請求項1に記載の端部フレーム。
【請求項3】
前記1対の面材の端部を互いに対向する方向に折り曲げられて形成される前記係合部の端部に対して挟み込むようにして嵌合する前記被係合部を備え、前記被係合部は前記係合部に対して前記サンドイッチパネルの幅方向の一端部側からスライド移動して嵌合されることを特徴とする請求項1に記載の端部フレーム。
【請求項4】
前記1対の面材の表面に形成された凹状又は凸状の前記係合部に対して、表面に形成された前記係合部に嵌合する凸状又は凹状の前記被係合部により係合されることを特徴とする請求項1に記載の端部フレーム。
【請求項5】
前記1対の面材の端部に設けられた前記係合部に対して、前記被係合部が固定具を介して係合されることを特徴とする請求項1に記載の端部フレーム。
【請求項6】
前記固定具の頭部を覆うカバー部を備えることを特徴とする請求項5に記載の端部フレーム。
【請求項7】
前記カバー部は軟質の樹脂材料により形成され、前記カバー部以外のフレーム本体部は前記カバー部よりも硬質の樹脂材料により形成され、前記カバー部と前記端部フレーム本体部は一体成形されていることを特徴とする請求項6に記載の端部フレーム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の端部フレームが前記切断面に取り付けられているサンドイッチパネル。
【請求項1】
互いに対向する1対の面材間に発泡材料が充填されたサンドイッチ構造体を切断して製造されるサンドイッチパネルの切断面に取り付けられる端部フレームにおいて、
前記切断面を形成している前記発泡材料の端面の一部又は全部を除去された前記1対の面材の端部に設けられた係合部に対して係合される被係合部を備えることを特徴とする端部フレーム。
【請求項2】
前記発泡材料の端面の一部又は全部が除去されて形成された発泡材料の内面と前記端部フレームとの間の空間内に発泡材料を充填するために、発泡原液を溜めるための溜り部を前記空間側に備えることを特徴とする請求項1に記載の端部フレーム。
【請求項3】
前記1対の面材の端部を互いに対向する方向に折り曲げられて形成される前記係合部の端部に対して挟み込むようにして嵌合する前記被係合部を備え、前記被係合部は前記係合部に対して前記サンドイッチパネルの幅方向の一端部側からスライド移動して嵌合されることを特徴とする請求項1に記載の端部フレーム。
【請求項4】
前記1対の面材の表面に形成された凹状又は凸状の前記係合部に対して、表面に形成された前記係合部に嵌合する凸状又は凹状の前記被係合部により係合されることを特徴とする請求項1に記載の端部フレーム。
【請求項5】
前記1対の面材の端部に設けられた前記係合部に対して、前記被係合部が固定具を介して係合されることを特徴とする請求項1に記載の端部フレーム。
【請求項6】
前記固定具の頭部を覆うカバー部を備えることを特徴とする請求項5に記載の端部フレーム。
【請求項7】
前記カバー部は軟質の樹脂材料により形成され、前記カバー部以外のフレーム本体部は前記カバー部よりも硬質の樹脂材料により形成され、前記カバー部と前記端部フレーム本体部は一体成形されていることを特徴とする請求項6に記載の端部フレーム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の端部フレームが前記切断面に取り付けられているサンドイッチパネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−52212(P2009−52212A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217536(P2007−217536)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】
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