説明

竹粉100%有機土壌改良材

【課題】農作物の育成培地に合わせて自在に絡合包被敷設せしめて、育成促進と育成果実の防病と緩衝保持をなし、且収穫後に育成培地と腐食分解同化しえる竹粉100%有機土壌改良材の提供である。
【解決手段】孟宗竹、和竹、笹竹等の竹材を所要の小片に破砕のうえ、加圧押出装置により少なくともその内部圧力が15Kg/cm2以上で加圧混練し、カッターでミンチ状に且その長さを20乃至200mmに裁断のうえ、その先端の多孔なノズルより大気中に吐出し、膨潤拡散して硬組織と柔組織の解体と、細胞壁を形成するセルロースやヘミセルロースもリグニンの固定から解離された状態となり柔軟性や嵩高性の増加に加え、このセルロースやヘミセルロースの周囲にはデンプン粒が存在するため、微生物の関与が容易となり腐食による培地との腐食同化が可能となる有機土壌改良材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は竹粉100%有機土壌改良材に係るもので、更に詳しくは堆肥化の温度と水分率及び竹繊維チョップドストランドを絡合包被を繰り返し腐食分解同化させる竹粉100%有機土壌改良材に関する。
【背景技術】
【0002】
農作物は古くは自然条件下において耕作のうえ播種や定植し育成のうえ収穫がなされてきたものであるが、自然条件下では気温の急変はもとより時期外れの降霜や降雹、台風や突風等の風害或いは集中豪雨等に加え病害等の異常発生等により農業経営は極めて不安定なものとされていた。
そして農業経営も経済の高度成長期における消費の拡大に対処すべく、農業生産増強のため自然条件の変動に左右されることなく安定した栽培生産をなすうえから、土壌培地作りの有機土壌改良材が積極的に取り入れられてきた。
トンネルハウスやビニールハウス等の施設栽培化が積極的に導入され、更には施設化に至らぬ広大な露地栽培地においても育成培地で農作物の栽培促進化を図るため、有機土壌改良材の採用も積極的になされてきた。
【0003】
ところで高度成長期時代には多量生産、多量消費が叫ばれるなか合成土壌改良材及び合成化学肥料が多量に使用され育成培地の変化がみられるようになった。本来の育成培地から化学堆肥及び化学肥料更には農薬に汚染された育成培地に変わった。
【0004】
ところで一方における地球温暖化と他方における森林や山野への管理並びに手入れ不足や放置によって、成長力の旺盛な孟宗竹を初めとする和竹や笹竹等の竹材が、急激且無為に繁殖して地下茎の伸長拡大による他木の栄養分等の奪取ばかりか、急速な伸長と展葉とによる日照遮断により植林はもとより自然育成樹木等にまで育成阻害が随所で発生しており、これによる林業や農業被害は莫大なものに至っている。急激且無為に繁殖する竹材の無償伐採が全国的に要請されるに至っている。
【0005】
このため該急激且無為に繁殖する竹材を伐採してその再利用化を図る試みが各所でなされているが、この繁殖する竹材の伐採処分量は莫大なものであるから、当然に再利用化のための市場も莫大な規模に亘るものが望ましい。
【0006】
発明者等はかかる状況に鑑み、竹材に多様加工性を保持させる必要上から竹繊維を形成し且その性能について研究を重ねた結果、孟宗竹や和竹或いは笹竹等を予め小片に破砕のうえ加圧押出装置で、少なくともその内部圧力をスクリュー並びにストレーナーで15Kg/cm2以上に高めて加圧混練し、且カッターでミンチ状に裁断のうえ先端の多数の吐出孔を有ずるノズルより大気中に吐出膨潤拡散させ解繊された竹繊維チョプドストランドとなすことにより、強靭で且優れた屈撓性に加えて、寸法安定性とガスの吸着性等の物理的性能に加えて抗菌性や鮮度保持性等の化学的性能も保持するとともに竹繊維チョプドストランドは絡合性にもすぐれことを究明し本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は農作物の育成培地に乳酸菌発酵の竹粉100%有機土壌改良材を埋蔵導入する竹粉100%有機土壌改良材の製造方法を言う。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために本発明で採用した技術的手段は、孟宗竹、和竹、笹竹等の竹材を所要の小片に破砕のうえ、加圧押出装置により少なくともその内部圧力が15Kg/cm2以上で加圧混練し、カッターでミンチ状に且その長さを20乃至200mmに裁断のうえ、その先端の多孔なノズルより大気中に吐出し、膨潤拡散して硬組織と柔組織の解体と、細胞壁を形成するセルロース及びヘミセルロースをリグニンより解離させた解繊状の竹繊維チョップドストランドを用い、約40m3容積の下部コンクリート、木質壁面の堆肥化育成場所で絡合包被厚さが3m乃至5mで、絡合包被重量が10,000Kg乃至15,000Kgの範囲で、水分については竹自身の持っている水分率が70%で約10%の水分を与え且その水分が発酵熱及び蒸発等で70%になると同時に更なる水分10%を与える。水分測定器を用い測定後、この繰り返しを約2〜3カ月間行う。また温度管理については発酵熱70℃をキープし冬場等雰囲気温度の低い時は全体をビニールシート等で覆う70℃をキープする。温度計を埋蔵し毎日管理を行う。また竹繊維チョップドストランド絡合包被をユンボ等で切り返しを行い発酵及び水分率が均一になるよう1回/週行う。繰り返し腐食分解同化させることを特徴とした竹粉100%有機土壌改良材である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述の如き製法からなるものであって、孟宗竹、和竹、笹竹等の竹材を所要の小片に破砕のうえ、加圧押出装置により少なくともその内部圧力が15Kg/cm2以上で加圧混練し、カッターでミンチ状に且その長さを20乃至200mmに裁断のうえ、その先端の多孔なノズルより大気中に吐出し、膨潤拡散して硬組織と柔組織の解体と、細胞壁を形成するセルロースやヘミセルロースもリグニンの固定から解離された状態となり柔軟性や嵩高性の増加に加え、このセルロースやヘミセルロースの周囲にはデンプン粒が存在するため、微生物の関与が容易となり腐食による培地との腐食同化が可能となる。
更に竹繊維チョップドストランドが、3mm以下73%、3mm以上17%、5mm以上5%、7mm以上5%であるため長期間の効果が期待できる。
【0010】
加えて播種した農作物の発芽育成に関しては、相互の絡合空隙より容易に成長が可能であるばかりか、該竹繊維チョップドストランドには、原始時に抗菌性を有するものであるため、育成とともに着果するイチゴやウリ、スイカ、カボチヤ等は悪性土壌菌や土壌病害虫も忌避されつつ育成がなされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
孟宗竹を予め略20乃至50cm程度に破砕のうえ、その内部圧力が50Kgcm2の加圧押出装置を用いて混練のうえ、その繊維長が2乃至20cm程度にカッターで裁断のうえ先端の多孔なノズルより大気中に吐出させ膨潤拡散させてなる竹繊維チョップドストランドである。
【実施例1】
【0012】
以下に本発明実施例を図とともに詳細に説明すれば、農作物の発芽育成に関しては、相互の絡合空隙より容易に成長が可能であるばかりか、該竹繊維チョップドストランドには、原始時に抗菌性を有するものであるため、育成とともに着果するイチゴやウリ、スイカ、カボチヤ等は悪性土壌菌や土壌病害虫も忌避されつつ育成がなされる。
育成のスピードが早くなり、わき芽、分欠が増加する。
【0013】
放線菌、乳酸菌、リン溶解菌等の作用で土壌の肥沃度が上がり、微生物が糖分やミネラルを餌として増殖する。アミノ酸や糖分を多く含んでいるので土着の乳酸菌が増殖する。また作物体内の硝酸態窒素の減少で硝酸イオン濃度が30〜40%程度低くなるので作物が美味しくなる。
【0014】
かくしてなる素材用件を具備するは勿論のこと、本発明は農業の如き広大な培地面積に使用されること並びに収穫後には培地に混耕し腐食分解のうえ培地と同化させるものであるから、コスト的に極めて安価であることが絶対用件とされる。
そこで発明者等は近年の温暖化と経済的背景により植林や自然林或いは原野等の森林管理の放置等とも相俟って、特に温暖な九州、四国、山陰、山陽、近畿、東海及び関東の一部にまで孟宗竹や笹竹等の竹材1Aが急激に拡大成長且繁殖しており植林や自然林はもとより果樹園や農地にまで侵入し、栄養分の剥奪と日照の阻害とにより莫大な被害が発生しており、現状では竹材の拡大成長と繁殖に際して管理責任を負う山林、山野の所有者より実質無料にて竹材1Aの伐採要請がなされており、コスト的要件を満足させる素材として提案される。
【0015】
かくしてなる本発明竹粉100%有機土壌改良材の手段としては、いくつかの手段が提案されるが簡便で能率的且安定した品質で形成する方法として図3に示す如き加圧押出装置3を用いることが有利であって、この加圧押出装置3は図3に示す如く、その一方側には適宜の大きさ形状に予め破砕された竹材1Aを供給するホッパーに3Aが設けられ、且該ポッパー3Aが設けられたシリンダー3B内には、回転可能にスクリュー3Cが設けられてなるとともに、このスクリュー3Cの螺回谷部3Dに沿って、ホッパー3Aより供給された竹材1Aは順次前方に移送される。その場合においてシリンダー3Bとスクリュー3Cの螺回谷部3Dとの自積容積は、スクリュー3Cの先端部に向かって順次小さく形成されてなりポッパー3Aより供給され且移送される竹材1Aには過大な内部圧力が付加され、この内部圧力により硬組織や柔組織で形成される竹材1Aが混練されて硬組織と柔組織の解体がなされる。
【0016】
かかる場合においては使用する竹材1A
は孟宗竹や和竹或いは笹竹等が用いられるものであって、竹の種類によっても硬さや柔らかさが異なるものであるから、使用する竹種により内部圧力を調整することが良好な混練のうえから望ましく、具体例として笹竹の場合の内部圧力は少なくとも15Kg/cm2以上が、更に孟宗竹においては少なくとも30乃至50Kg/cm2以上が好適である。そして当然竹材1A移送されるスクリュー3Cの先端部分には、該移送される竹材1Aに背圧に伴う内部圧力を付与させて良好な混練を図るためのストレーナー3Eが設けられ、且該ストレーナー3Eの前部若しくは後部には、竹材1Aが混練されて硬組織とが柔組織の解体された竹繊維を更に所要の長さ範囲にカットするカッター3Fがもうけられたうえ、その先端には多数の吐出孔を有するノズル3Gが設けられてなり、高い内部圧力で所要の長さ範囲にカッターされ且解体された竹繊維は吐出とともに大気圧下に急激に減圧されることで膨潤拡散されて硬組織や柔組織の明確な解体と、硬細胞と柔細胞を固着させてなるリグニンからセルロースやヘミセルロースが解離されて多孔陷部の形成による一段と嵩高柔軟で、而も摩擦係数の高い竹繊維チョップドストランド1Aが形成される。
【0017】
かくして形成された竹繊維チョップドストランド1Aを図2に示すように、約40m3容積の下部コンクリート、木質壁面の堆肥化育成場所で絡合包被厚さが3m乃至5mで絡合包被重量が10,000Kg乃至15,000Kgの範囲で、水分・温度管理及び竹繊維チョップドストランドを絡合包被を繰り返し腐食分解同化させることを特徴とした竹粉100%有機土壌改良材である。
【0018】
竹自身の持っている水分率が70%で約10%の水分を与え且その水分が発酵熱及び蒸発等で70%になると同時に更なる水分10%を与える。水分測定器図4を用い測定後、この繰り返し管理を約2〜3カ月間行う。また温度管理図5については発酵熱70℃をキープし冬場等雰囲気温度の低い時は全体をビニールシート等の被服材図6で覆う70℃をキープする。温度計を埋蔵し毎日管理を行う。また竹繊維チョップドストランド絡合包被をユンボ等で混合切り返しを行い発酵及び水分率が均一になるよう1回/週行う。繰り返し腐食分解同化させることを特徴とした竹粉100%有機土壌改良材である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
育成農作物の土壌改良材は、所要の絡合包被厚さと絡合包被重量に散布包被敷設させることで実用使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】加圧押出装置の説明図である。
【図2】竹繊維チョップドストランドを腐食分解同化させる図である。
【符号の説明】
【0021】
1A 竹材
1B 竹繊維チョップドストランド
3 加圧押出装置
3A ホッパー
3B シリンダー
3C スクリュー
3D スクリューの螺回谷部
3E ストレーナー
3F カッター
3G ノズル
4 水分測定器
5 温度計
6 包被材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孟宗竹、和竹、笹竹等の竹材を所要の小片に破砕のうえ、加圧押出装置により少なくともその内部圧力が15Kg/cm2以上で加圧混練し、カッターでミンチ状にし且その長さを20乃至200mmに裁断のうえ、その先端の多孔なノズルより大気中に吐出し、膨潤拡散して硬組織と柔組織の解体と、細胞壁を形成するセルロース及びヘミセルロースをリグニンより解離させた解繊状の竹繊維チョップドストランドを用い、約40m3容積の下部コンクリート、木質壁面の堆肥化育成場所で絡合包被厚さが3m乃至5mで、絡合包被重量が10,000Kg乃至15,000Kgの範囲で、水分・温度管理及び竹繊維チョップドストランドを絡合包被を繰り返し腐食分解同化させることを特徴とした竹粉100%有機土壌改良材の製造方法である。
【請求項2】
竹繊維チョップドストランドが、3mm以下73%、3mm以上17%、5mm以上5%、7mm以上5%のものを言う。

【図2】
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【公開番号】特開2012−10692(P2012−10692A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176751(P2010−176751)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(507095840)長崎工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】