説明

筆記具のクリップ

【課題】クリップ部分に従来にないファッション的要素を付加したり、趣向を凝らしたりして需要者の関心を引く形態とすることが容易で、しかもシンプルな構成であって、製造容易で比較的廉価にて供給することができる筆記具のクリップを提供することを課題とする。
【解決手段】任意形状のプラスチック製又は金属製のクリップ本体1を設け、クリップ本体1を軸筒5の上部又はキャップにおいて軸支させ、軸支部3の上方のクリップ本体1と軸筒5の上部との間に弾性ブロック2を配する。弾性ブロック2は、それに押圧負荷が加わらない状態において、クリップ本体1の先端部が軸筒5又はキャップの外周面に接圧するように作用する。弾性ブロック2は、動物やキャラクター等を模した、種々の変化に富んだ形状とし、また、適宜文字や図形、あるいは、色分け等の印刷表現をすることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は筆記具のクリップに関するものであり、より詳細には、シンプルな構成で、種々趣向性を持たせることができる筆記具のクリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボールペン、万年筆、マーカーその他の筆記具には、多くの場合、ポケット等に挿した際にポケット等の縁辺に保持させるためのクリップが備え付けられている。このクリップはプラスチック製又は金属製で、筆記具の軸筒又はキャップに一体に成形され、その弾性力でポケット等の縁辺を挟持するようになっているものが多い。このようにクリップの弾性を利用する方式で、特にプラスチック製のものの場合には、クリップを開く方向にある程度以上の力が加わったり、過度に反復使用されたりすることにより、クリップの付け根が破損するおそれがある。
【0003】
また、軸筒又はキャップとは別体に成形したクリップの端部に、板バネやコイルバネ等のバネや弾性体が組み付けられ、その弾発力によってポケット等の縁辺に対する挟持力を得るようにしたものも数多く出回っている(特開2007−130900号公報、特開2006−315179号公報、特開2005−231148号公報、実用新案登録第3046649号公報)。
【0004】
クリップの機能面からすると、上記弾性利用方式やバネ方式で何ら問題はないが、一般に、クリップ部分にファッション性を持たせたり、趣向を凝らしたりすることには余り関心が払われておらず、特に、バネが露出するような場合は、それによって外観が損なわれるおそれさえある。更に、バネ方式の場合は部品点数が多くなり、組立てに手間がかかるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−130900号公報
【特許文献2】特開2006−315179号公報
【特許文献3】特開2005−231148号公報
【特許文献4】実用新案登録第3046649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来より種々のタイプの筆記具用クリップが出回っているが、それらについてはファッション性を持たせたり、趣向を凝らしたりすることに余り関心が持たれていなかった。そこで、本発明は、クリップ部分に従来にないファッション的要素を付加したり、趣向を凝らしたりして需要者の関心を引く形態とすることが容易で、しかもシンプルな構成であって、製造容易で比較的廉価にて供給することができる筆記具のクリップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、任意形状のプラスチック製又は金属製のクリップ本体を設け、前記クリップ本体を軸筒の上部又はキャップにおいて軸支させ、前記軸支部の上方の前記クリップ本体と前記軸筒の上部との間に弾性ブロックを配し、前記弾性ブロックは、それに押圧負荷が加わらない状態において、前記クリップ本体の先端部が前記軸筒又はキャップの外周面に接圧するように作用し、前記弾性ブロックに押圧負荷が加わることにより押し縮められて、前記クリップ本体が前記軸筒又はキャップの外周面から離隔することを許容し、前記押圧負荷の解除に伴いその復元力によって直ちに元の状態に戻り、前記クリップ本体の先端部が前記軸筒又はキャップの外周面に接圧するように作用することを特徴とする筆記具のクリップである。
【0008】
一実施形態においては、前記弾性ブロックは、動物、キャラクターその他の任意の特定形状を表すように形成され、また、適宜色分け表現される。
【0009】
また、一実施形態においては、前記弾性ブロックは、前記クリップ本体の上端部の内側面と前記軸筒の上端部外周面のいずれかに固定され、あるいは、前記弾性ブロックは、前記クリップ本体の上端部の内側面と前記軸筒の上端部外周面の双方に固定される。
【0010】
更に、一実施形態においては、前記弾性ブロックは、その一部を前記軸筒の上端部内に埋入することにより前記軸筒の上端部に固定され、あるいは、前記弾性ブロックは、それに前記クリップ本体の上端部を埋入することにより前記クリップ本体の上端部に固定される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述したとおりであって、本発明に係る筆記具のクリップは、部品点数が少ないシンプルな構成であるため、容易且つ低コストにて製造でき、しかも、クリップ部分に従来にないファッション的要素を付加したり、趣向を凝らしたりすることが可能で、需要者の関心を引く製品を提供することができ、単なる筆記目的としてだけでなく、ファンション的要素を持った興趣的アイテムとして広く受け入れられる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るクリップの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係るクリップの他の実施形態を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係るクリップの更に他の実施形態を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態について、添付図面に依拠して説明する。図示された本発明に係る筆記具のクリップにおいては、樹脂製又は金属製のクリップ本体1が、それが取り付けられる軸筒5(又はキャップ、以下同様)とは別体に形成されて、その上端から少し中心寄りの部分が、任意の方法で軸筒5に枢着される。この枢着方法としては、従来のバネ式クリップにおける構成のうちの任意のものをそのまま採用することもできる。
【0014】
クリップ本体1の上端部と軸筒5の上端部との間に、シリコンゴムや弾性プラスチック製の弾性ブロック2が配置される。弾性ブロック2は、クリップ本体1の上端部の内側面と軸筒5の上端部外周面のいずれかに、あるいは、その両面に任意の方法で固定される。例えば、その固定は接着によることができ、あるいは、接着方法と共に又はそれに代えて、その一部を軸筒1の上端部内に埋入したり(図2参照)、それにクリップ本体1の上端部を埋入させたりする方法を用いることもできる(図3参照)。
【0015】
上記いずれの固定方法による場合においても、弾性ブロック2に押圧負荷が加わらない状態において、クリップ本体1の上端部が弾性ブロック2に押し上げられることで、クリップ本体1がその軸支部3を軸に回動して、その先端部(下端部)が軸筒5の外周面に接圧した状態となるように、弾性ブロック2の大きさを設定し、また、材料の選択をする必要がある。
【0016】
また、それと同時に、クリップ本体1の上端部側を押す(あるいは、下端部側を引く)ことにより、弾性ブロック2にその弾発力に抗する押圧負荷を加えた際に、弾性ブロック2が押し縮められることで、クリップ本体1が上記の場合と逆方向に回動してその先端部が軸筒5の外周面から離隔し、その押圧力(あるいは、引張力)を解除すると、弾性ブロック2がその復元力によって直ちに元の状態に戻り、クリップ本体1の先端部が軸筒5の外周面に接圧するように作用し得るように、弾性ブロック2の大きさを設定し、また、材料の選択をする必要がある。
【0017】
弾性ブロック2の形状は任意で、最も単純な形状として球形や立方体等とすることが考えられるが、動物やキャラクターの顔等、種々の変化に富んだ形状のものとすることができる。また、その大きさも任意で、クリップ本体1や軸筒5の幅に拘らず、それらからはみ出す大きさのものとすることもできる。そして、適宜文字や図形、あるいは、色分けを印刷表現することもできる。
【0018】
このように本発明に係る筆記具のクリップにおいては、クッリップ本体1のポケットの縁部等に対する挟持力を、弾性ブロック2の弾発力によって付与するものであって、部品点数の少ないシンプルな構成であるため、容易且つ低コストにて製造でき、しかも、弾性ブロック2は、動物やキャラクター等を模した、種々の変化に富んだ形状とし、また、適宜文字や図形、あるいは、色分け等の印刷表現をすることが可能であるので、このクリップを採用した筆記具は、単なる筆記目的としてだけでなく、ファンション的要素を持った興趣的アイテムとして広く受け入れられ得るものである。
【0019】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【符号の説明】
【0020】
1 クリップ
2 弾性ブロック
3 軸支部
5 軸筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意形状のプラスチック製又は金属製のクリップ本体を設け、前記クリップ本体を軸筒の上部又はキャップにおいて軸支させ、前記軸支部の上方の前記クリップ本体と前記軸筒の上部との間に弾性ブロックを配し、
前記弾性ブロックは、それに押圧負荷が加わらない状態において、前記クリップ本体の先端部が前記軸筒又はキャップの外周面に接圧するように作用し、前記弾性ブロックに押圧負荷が加わることにより押し縮められて、前記クリップ本体が前記軸筒又はキャップの外周面から離隔することを許容し、前記押圧負荷の解除に伴いその復元力によって直ちに元の状態に戻り、前記クリップ本体の先端部が前記軸筒又はキャップの外周面に接圧するように作用することを特徴とする筆記具用クリップ。
【請求項2】
前記弾性ブロックは、動物、キャラクターその他の任意の特定形状を表すように形成される、請求項1に記載の筆記具用クリップ。
【請求項3】
前記弾性ブロックは、適宜色分け表現される、請求項1又は2に記載の筆記具用クリップ。
【請求項4】
前記弾性ブロックは、前記クリップ本体の上端部の内側面と前記軸筒の上端部外周面のいずれかに固定される、請求項1乃至3のいずれかに記載の筆記具用クリップ。
【請求項5】
前記弾性ブロックは、前記クリップ本体の上端部の内側面と前記軸筒の上端部外周面の双方に固定される、請求項1乃至3のいずれかに記載の筆記具用クリップ。
【請求項6】
前記弾性ブロックは、その一部を前記軸筒の上端部内に埋入することにより前記軸筒の上端部に固定される、請求項1乃至5のいずれかに記載の筆記具用クリップ。
【請求項7】
前記弾性ブロックは、それに前記クリップ本体の上端部を埋入することにより前記クリップ本体の上端部に固定される、請求項1乃至5のいずれかに記載の筆記具用クリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−230482(P2011−230482A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105409(P2010−105409)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(500205840)株式会社 エポックケミカル (6)
【Fターム(参考)】