説明

筆記具

【課題】 レフィール交換時において、コイルスプリングへのレフィールの差込が容易であり、かつノック時の作動感も良好な出没式の筆記具を提供する。
【解決手段】 コイルスプリング30で尾端側に弾発された一本のレフィール20が軸筒内に収容され、出没機構の作動により、レフィール先端のペン体21が軸筒10の先端開口から出没する筆記具において、軸筒を着脱可能に接続された前軸12と後軸11とで構成し、前軸の尾端側に円錐状をしたコイルスプリング後端の大径部32を固定し、コイルスプリング先端の係止部31をレフィールの突部22に係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出没機構の作動によりレフィール先端のペン体が軸筒の先端開口から出没する筆記具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来から広く知られたノック式のボールペンを示す。軸筒10は着脱可能に接続された後軸11と前軸12とからなり、前軸12に先口13が接続されている。軸筒10内にはコイルスプリング30により尾端側に弾発された1本のボールペンレフィール20が収容されている。後軸11内に配置された出没機構は、カム筒40、ノック棒50、回転子60などからなる周知のダブルノック式であり、ノック釦51をノックすると回転子60が前後動してボールペンレフィール20先端のペン体21が先口13の先端開口から出没する。
ここで、コイルスプリング30は、先端部33が先口13内に圧入された状態で先口13に固定されており、後端の係止部31がレフィール20の突出部22に係止して尾端側に弾発している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
レフィール20のインキを使い切って新しいレフィールに交換するとき、前軸12を後軸11から分離すると、レフィール20は前軸12と共に後軸11から分離される。そして、インキを使い切ったレフィール20をコイルスプリング30から引き抜き、次に新しいレフィール20をコイルスプリング30に差し込み、前軸12を後軸11に接続するとレフィール交換が完了する。
【0004】
【特許文献1】特開2003−326889公報
【0005】
このように、レフィール交換に際して、新しいレフィール20をコイルスプリング30に差し込むが、コイルスプリング30は、先端部33が先口13内に圧入された状態で先口13に固定されているので、コイルスプリング30の尾端側が左右に揺れて係止部31の位置が定まりにくい。そして、係止部31は後端開口が拡開されて幾分大径になっているものの、前軸12の内部に位置するので、新しいレフィール20をコイルスプリング30に差し込みにくい不具合がある。
【0006】
また、コイルスプリング30の先端部33を先口13内に圧入して固定するので、強度上の理由からペン体21をガイドする先口13の案内部131が長くなる。このため、ノック時にペン体21が長い距離の案内部131に摺動するので、良好な作動感を得にくい不具合がある。
【0007】
そこで本発明は、レフィール交換時において、コイルスプリングへのレフィールの差込が容易であり、かつノック時の作動感も良好な出没式の筆記具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明は、コイルスプリングで尾端側に弾発された一本のレフィールが軸筒内に収容され、出没機構の作動により、レフィール先端のペン体が軸筒の先端開口から出没する筆記具において、軸筒を着脱可能に接続された前軸と後軸とで構成し、前軸の尾端側に円錐状をしたコイルスプリング後端の大径部を固定し、コイルスプリング先端の係止部をレフィールの突部に係止する。
【発明の効果】
【0009】
このように、円錐状をしたコイルスプリングの大径部を前軸の尾端側に固定し、コイルスプリング先端の係止部をレフィールの突部に係止するので、先端の係止部が左右に揺れても、前軸の尾端開口から挿入されたレフィールは、先端のペン体が円錐状をしたコイルスプリングの内周面にガイドされるので、容易にコイルスプリングに差し込まれ、係止部がレフィールの突部に係止する。また、コイルスプリングを前軸の尾端側に固定するので、先口の案内部を短くすることができ、ノック時の作動感が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1および図2は、ノック式ボールペンに本発明を適用した例を示す。図1において、軸筒10は合成樹脂製の後軸11と金属製の前軸12からなり、後軸11と前軸12は継ぎ手14を介して着脱可能に接続されている。つまり、前軸12に固定された継ぎ手14が後軸11に螺合されている。前軸12の先端には先口13が接続されているが、先口13は前軸12と一体になったものであってもよい。後軸11内には出没機構が配置されているが、出没機構はカム筒40、ノック棒50、回転子60などからなる周知のダブルノック式であり、ノック釦51が後軸11の尾端開口から突出している。
【0011】
軸筒10内に1本のボールペンレフィール20が収容されているが、ボールペンレフィール20の中腹部は、押圧変形することによりに突部22が形成され、先端にはペン体21が取り付けられている。ペン体21はステンレスにて砲弾型に成形されたものであり、その先端のボールハウス内に、例えば外径が0.5mmであり、超硬合金からなるボールが回転可能に抱持されており、ボールペンレフィール20内のインキがボールに供給されて筆記に供される。
【0012】
ボールペンレフィール20はコイルスプリング30により尾端側に弾発され、その尾端面は回転子60に当接している。ここで、コイルスプリング30は、先端に孔を有する円錐状をしており、前軸の尾端側に円錐状をしたコイルスプリング30後端の大径部32が継ぎ手14に固定されており、つまり前軸13の尾端側に固定されている。そして、ボールペンレフィール20はコイルスプリング30の先端孔に差し込まれ、コイルスプリング30先端の係止部31がボールペンレフィール20の突部22に係止している。すなわち、コイルスプリング30の引張り力によりボールペンレフィール20は尾端側に弾発されている。
【0013】
しかして、ペン体21が軸筒10内に没入した図1の状態からノック釦51をノックすると、ノック棒50は回転力を付与しながら回転子50を前進させ、図2に示すように、ペン体21が軸筒10の先端開口から突出するとともに、回転子50がカム筒40の段部に係止して筆記可能になる。また、再びノック釦51をノックすると、回転子50が少し前進してカム筒40の段部との係止が解除され、ノックを解除すると、コイルスプリング30の弾発力により後退して図1の状態に戻る。
【0014】
ボールペンレフィール20のインキを使い切って交換するとき、前軸12を後軸11から分離すると、ボールペンレフィール20は前軸12と共に後軸11から分離される。そして、インキを使い切ったレフィール20をコイルスプリング30から引き抜き、次に新しいレフィール20を前軸12の尾端開口から挿入してコイルスプリング30の先端孔に差し込むが、コイルスプリング30が円錐状であって、後端の大径部32が前軸の尾端側に固定されているので、コイルスプリング30の先端が揺れてもペン体21がコイルスプリング30の内周面に案内されるのでコイルスプリング30の先端孔に容易に差し込むことができる。そして、前軸12を後軸11に接続すると係止部31は突部22に係止してレフィール交換が完了する。また、コイルスプリング30を前軸12の尾端側に固し、先口13には固定しないので、先口13の案内部131を短くすることができ、ノック時の作動感が向上する利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ペン体が没入した状態の本発明実施例の断面図である。
【図2】ペン体が突出した状態の本発明実施例の断面図である。
【図3】従来例の説明図である。
【符号の説明】
【0016】
10 軸筒
11 後軸
12 前軸
13 口金
131 案内部
14 継ぎ手
20 ボールペンレフィール
21 ペン体
22 突部
30 コイルスプリング
31 係止部
32 大径部
33 先端部
40 カム筒
50 ノック棒
51 ノック釦
60 回転子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルスプリングで尾端側に弾発された一本のレフィールが軸筒内に収容され、出没機構の作動により、レフィール先端のペン体が軸筒の先端開口から出没する筆記具において、
前記軸筒は前軸と後軸が着脱可能に接続されてなり、該前軸の尾端側に円錐状をしたコイルスプリング後端の大径部が固定され、該コイルスプリング先端の係止部がレフィールの突部に係止したことを特徴とする筆記具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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