説明

筆記具

【課題】軸筒内に少なくともシャープペンシル筆記体を収容する筆記具において、筆記具を分解することなく鉛芯の補充を容易に行うことができ、且つ、芯ケースパイプに収容された鉛芯の不用意な飛び出しや粉漏れを防止する。
【解決手段】軸筒2,3内に少なくともシャープペンシル筆記体11を収容し、前記筆記体の後端に連結されたノック棒7の繰り出し操作により筆記体の先端部を軸先から突出させる筆記具1であって、前記ノック棒は、前記シャープペンシル筆記体において鉛芯30を収容する芯ケースパイプ11aの後端に連結され、前記芯ケースパイプに連通すると共に後端から鉛芯を挿入可能な芯補充路20が形成された棒体7aと、前記棒体の側面に回動自在に設けられ、前記棒体に係止した一の状態において前記芯補充路を開き、前記一の状態から回動して前記棒体に係止した他の状態において前記芯補充路を閉じる蓋部材23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸筒内に複数の筆記体を収容し、前記筆記体の繰り出し操作により筆記体の先端部を軸先から突出させる筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸筒の中に複数の筆記体を収容し、所定の繰り出し操作により、軸先から筆記体の先端部を突出させる構造の複式筆記具が広く用いられている。
例えば、軸筒に収容された複数の筆記体のうち、一つを選択的に繰り出す機構の方式としては、複数のノック操作部にそれぞれ固定された複数の筆記体を、軸内に設けた縦溝に沿って摺動自在とし、選択的に一つの筆記体の先端を軸先から突出させて係合させる所謂ノック方式が知られている。
【0003】
尚、このノック方式において選択された筆記体の係合を解除する場合、他のいずれかの筆記体を突出させることにより解除され、筆記体は、所謂リターンスプリングの作用により軸筒内に収納される。
また、軸筒に収容される筆記体としては、シャープペンシル筆記体、ボールペン筆記体等が用いられている。
【0004】
ところで従来、軸筒内のシャープペンシル筆記体に鉛芯を補充する際には、その都度、軸筒を分解する必要があった。
即ち、軸筒を分解してシャープペンシル筆記体を取り外し、そのノック棒から芯ケースパイプを抜き取った後、芯ケースパイプの上端開口から鉛芯を補充しなければならず、作業が煩雑であるという課題があった。
【0005】
そのような課題に対し、特許文献1には、シャープペンシルを主筆記体とし、これと他の筆記体とを軸筒に収容し、シャープペンシル筆記体への鉛芯の補充を容易とする筆記具が開示されている。具体的には、複式の筆記具でありながら、鉛芯の補充時には、単式のシャープペンシル筆記具と同様に筆記具後端のノックカバーを取り外し、そこから鉛芯の補充が可能な構成となされている。
また、特許文献2には、シャープペンシル筆記体に取り付けたノック操作部(ノック棒)に、外部と芯ケースパイプとを連通する芯補充路を形成した筆記具が開示されている。
この特許文献2に開示された筆記具によれば、軸筒を分解等しなくても、ノック操作部の後端から鉛芯を芯ケースパイプに補充することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−91289号公報
【特許文献2】特開平10−129189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された筆記具にあっては、鉛芯の補充の際に、ノックカバー等を必ず取り外す必要があり、取り外した部品(ノックカバーや消しゴム)を紛失しやすいといった課題があった。
また、特許文献2に開示された筆記具にあっては、芯補充路の後端(ノック操作部の後端)が開放されているために、筆記部の軸先を上方に向けると、ノック操作部の後端から鉛芯が不用意に飛び出す、或いは芯ケースパイプ内に溜まった芯粉が漏れて下方に落ちる(以下、粉漏れと呼ぶ)虞があった。
【0008】
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、軸筒内に少なくともシャープペンシル筆記体を収容する筆記具において、筆記具を分解することなく鉛芯の補充を容易に行うことができ、且つ、芯ケースパイプに収容された鉛芯の不用意な飛び出しや粉漏れを防止することのできる筆記具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記した課題を解決するために、本発明に係る筆記具は、軸筒内に少なくともシャープペンシル筆記体を収容し、前記シャープペンシル筆記体の後端に連結されたノック棒の繰り出し操作により前記シャープペンシル筆記体の先端部を軸先から突出させる筆記具であって、前記ノック棒は、前記シャープペンシル筆記体において鉛芯を収容する芯ケースパイプの後端に連結され、前記芯ケースパイプに連通すると共に後端から鉛芯を挿入可能な芯補充路が形成された棒体と、前記棒体の側面に回動自在に設けられ、前記棒体に係止した一の状態において前記芯補充路を開き、前記一の状態から回動して前記棒体に係止した他の状態において前記芯補充路を閉じる蓋部材とを備えることに特徴を有する。
このように構成することにより、シャープペンシル筆記体への鉛芯の補充の際には、筆記具の本体軸筒を分解する必要がなく、蓋部材により芯補充路を開き、棒体の後端から鉛芯を芯ケースパイプに容易に補充することができる。
また、鉛芯の補充を行わないときには、蓋部材を回動させて芯補充路を閉じることによって、芯ケースパイプに収容された鉛芯が、不用意に落下するのを防止することができる。
なお、蓋部材の取り付けについては、シャープペンシル筆記体のノック棒だけでなく、ボールペン、サインペン、消しゴム等の筆記体のノック棒に取り付けても良い。
【0010】
尚、前記軸筒内に配置され、前記ノック棒を摺動可能に保持すると共に、その後端に前記ノック棒の芯補充路に連通する芯補充孔が形成された内筒と、前記内筒の後端に着脱可能に設けられ、その頭部が軸方向に押圧されることにより前記シャープペンシル筆記体の先端から鉛芯が繰り出されるノックカバーとを備え、前記ノックカバーの側面には、芯補充溝が形成され、前記内筒に装着されるノックカバーにおける前記芯補充溝の配置によって、前記芯補充溝が前記内筒の芯補充孔に連通可能となることが望ましい。
このように構成することにより、ノックカバーを取り外すことなく鉛芯の補充を行うことができる。
また、前記芯補充孔の位置と、ノックカバーの芯補充溝の位置とをずらして配置することによっても芯補充路を閉じることができ、より確実に鉛芯の落下等を防止することができる。
【0011】
また、前記棒体の側面に回動自在に設けられる蓋部材は、シャープペンシル筆記体の軸先方向に回動することによって、前記芯補充路を閉じることが望ましい。
このように構成することにより、筆記具の使用時において、蓋部材が不用意に開くことを防止することができる。
また、前記蓋部材の周面には突起部が形成され、前記突起部が前記棒体に係止することにより、前記蓋部材が前記棒部材に固定されることが望ましく、それにより、所定の外力を加えなければ蓋部材は回動せず、蓋部材が棒体に係止した状態の保持力を向上することができる。
また、前記蓋部材は、熱可塑性エラストマー等のゴム弾性を有する材料により形成されることが望ましく、それにより、前記突起部によって蓋部材が棒体に係止した状態の保持力を向上させ、且つ、使用者による蓋部材の開閉操作を滑ることのない容易なものとすることができる。
さらに筆記具内に熱変色性インク等を収納したボールペン筆記体とした場合には、蓋部材で筆記した描線を擦ると変色、消色することができる。また、蓋部材を、可塑剤を含めた熱可塑性エラストマーで形成した場合には、シャープペンシル筆記体で筆記した描線や消しゴム消去性インクを収納したボールペン筆記体で筆記した描線を消去することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軸筒内に少なくともシャープペンシル筆記体を収容する筆記具において、筆記具を分解することなく鉛芯の補充を容易に行うことができ、且つ、芯ケースパイプに収容された鉛芯の不用意な飛び出しや粉漏れを防止することのできる筆記具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係る筆記具の軸方向に沿って中央で破断した状態の断面図であって、図1(a)は、シャープペンシル筆記体に鉛芯を補充するための芯補充路が閉じられた状態、図1(b)は、前記芯補充路が開かれた状態を示している。
【図2】図2(a)は、図1の筆記具の後軸内に配置される内筒の側面図、図2(b)は、図2(a)の断面図、図2(c)は内筒の後端の正面図である。
【図3】図3(a)は、ノック棒の正面図、図3(b)は、ノック棒の側面図、図3(c)は、図3(b)の断面図、図3(d)は、ノック棒の後端の正面図である。
【図4】図4(a)は、ノック棒に取り付けられる蓋部の正面図、図4(b)はその側面図である。
【図5】図5(a)は、蓋部材によって芯補充路が閉じられた状態を示すノック棒の断面図、図5(b)は、蓋部材によって芯補充路が開かれた状態を示すノック棒の断面図である。
【図6】図6(a)は、図1(a)のA−A矢視断面図、図6(b)は、図1(b)のB−B矢視断面図である。
【図7】図7は、ノックカバーの芯補充溝から鉛芯を補充する状態を示す一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明にかかる筆記具について、図1に示す実施の形態に基づいて説明する。尚、図1は、筆記具の軸方向に沿って中央で破断した状態の断面図であって、図1(a)は、シャープペンシル筆記体に鉛芯を補充するための芯補充路が閉じられた状態、図1(b)は、前記芯補充路が開かれた状態を示している。
【0015】
筆記具1を構成する軸筒は、前軸2および後軸3により構成されている。即ち、前軸2の後端部に設けられた円筒状の連結螺子2aが、後軸3の前端部内周面に形成されたねじ部3aに螺合することで、前軸2および後軸3が結合されて軸筒を構成している。
前記前軸2には、当該前軸2の周側面のほぼ全体を覆うようにして、ゴム素材により形成されたグリップ部材5が捲装されている。
また、本実施の形態においては、前軸2の先端がテーパ状に縮径することによって、筆記体の先端が出没可能な先口部2bが形成されている。
【0016】
一方、本実施の形態において、前記後軸3にはノック方式の繰り出し機構が設けられている。具体的には、後軸3の後方側面に設けられたクリップ4と並行して、複数の縦溝6(図1では一つのみを示す)が形成されている。
尚、この縦溝6は軸筒に収容されるシャープペンシル筆記体11などの数に対応して形成されているが、図1においてはシャープペンシル筆記体11に対応する縦溝6のみが示されている。
【0017】
また、前記後軸3内には、内筒15が配置されている。
図2(a)に内筒15の側面図、図2(b)にその断面図、図2(c)に後端の正面図を示す。内筒15の周面には、後軸3に配置された状態において前記縦溝6と重なる縦溝16が形成されている。この縦溝16には、図1(a)、図1(b)に示すようにノック棒7(スライド部材)が摺動自在に保持され、このノック棒7の摺動に伴い、ノック棒7の後端部に形成された突出部7dが、前記後軸3の縦溝6に沿って摺動するようになされている。
また、前記ノック棒7の前端部7bには、鉛芯30を収容するための芯ケースパイプ11aの後端部が取り付けられ、ノック棒7とシャープペンシル筆記体11とが結合されている。
【0018】
また、前記後軸3の前端側における内周面には、バネ受け部材21が配置されており、このバネ受け部材21には、前記芯ケースパイプ11aや他のボールベン筆記体等を通す複数の小孔21aが穿設されると共に、前記小孔21a内に形成された段部(図示せず)と前記ノック棒7の前端部7bとの間には、前記芯ケースパイプ11aを捲装するようにしてリターンバネ22が配置されている。これにより、ノック棒7の前端部7bは、前記バネ受け部材21との間でリターンバネ22を伸縮させながら筆軸方向に移動自在となされている。
【0019】
また、前記内筒15の縦溝16には、リブ16aが形成されており、全ての筆記具が軸筒内に完全に収容された状態から、例えばシャープペンシル筆記体11のノック棒7の突出部7dを前方に押し出すと、ノック棒7の係合突起7eが前記リブ16aの端部に係合するようになされている。
これにより、ノック棒7の前進に連動して、芯ケースパイプ11aを介しシャープペンシル筆記体11が軸筒内を前進し、その先端部が、先口部2bより突出した状態となされる。
【0020】
また、内筒15の後端には、円筒状の消しゴム受け15bが設けられ、この消しゴム受け15bが後軸3の後端から突出した配置とされる。図1に示すように、消しゴム受け15bには、略円柱形の消しゴム17が装着可能となっている。また、消しゴム受け15b(消しゴム17)には、ノックカバー18が着脱自在に装着されている。
【0021】
また、いずれの筆記体も、軸筒内に収容された状態にあっては、前記リターンバネ22の付勢力によって、内筒15の前端部15aに、そのノック棒の前端部が係止するようになされている。
また、前記内筒15は、保持する筆記体と共に、後軸3内を軸方向に沿って所定距離を摺動自在に配置されている。そして、シャープペンシル筆記体11の先端部が先口部2bから突出した状態で、ノックカバー18(消しゴム受け15b)の頭部が軸先方向に押圧されると、前記筆記体先端部は先口部2bに保持されているため、鉛芯30を把持するチャックが開き、鉛芯30が繰り出されるようになっている。
尚、後軸3の中に押し込まれたノックカバー18(消しゴム受け15b)は、全ての筆記体に設けられたリターンバネ22の付勢力により元の位置、即ち後軸3の後端から突出した状態に戻される。
【0022】
一方、シャープペンシル筆記体11と共に軸筒内に収容された他の筆記体についても、前記縦溝6、16に沿ってスライド移動可能なノック棒(図示せず)が備えられている。
そして、シャープペンシル筆記体11の先端部が先口部2bから突出している状態で、他の筆記体に対応するノック棒を縦溝6、16に沿って押し出すことで、シャープペンシル筆記体11を支持するノック棒7は、内筒15の縦溝16に形成されたリブ16aに対する係合が外され、シャープペンシル筆記体11はリターンバネ22の作用により軸筒内に収容される。そして、押し出された他の筆記体のノック棒が後軸2内に形成された前記リブ16aに係合し、その筆記体の先端部が先口部2bから突出した状態になされる。
【0023】
また、本発明に係る複式筆記具1にあっては、シャープペンシル筆記体11に鉛芯30を補充するための構成に特徴を有するため、その構成について、更に詳細に説明する。
図3(a)はノック棒7の正面図、図3(b)はその側面図、図3(c)は図3(b)の断面図、図3(d)はノック棒7の後端の正面図である。また、図4(a)は、ノック棒7に取り付けられる蓋部の正面図であり、図4(b)はその側面図である。また、図5(a)、(b)はノック棒7の断面図である。
【0024】
図3(c)に示すように、ノック棒7は、先端部7bが芯ケースパイプ11aに連結される棒体7aを備え、この棒体7aの内部には、軸方向に貫通すると共に、その後端からシャープペンシルの鉛芯30を挿入可能な芯補充路20が形成されている。
即ち、図5(b)に示すように、ノック棒7に芯ケースパイプ11aが結合されると、ノック棒7(棒体7a)の後端部7c(芯補充路20の後端)から鉛芯30をシャープペンシル筆記体11に補充できるようになっている。
【0025】
また、棒体7aの後端側に形成された突出部7dには、前記芯補充路20に連通する溝状の蓋取付孔19が設けられている。この蓋取付孔19には、図4の蓋部材23が回動自在に装着される。即ち、蓋部材23は、略半円板状に形成され、その両側面に、回転軸となる軸突起23aが設けられている。この軸突起23aは、図3に示すように前記蓋取付孔19の左右側面に形成された軸受19aに係合し、図5(a)に示す状態(芯補充路20が塞がれた状態)と、図5(b)に示す状態(芯補充路20が開かれた状態)との間で回動可能となされている。
【0026】
より詳しく説明すると、蓋取付孔19の後側側面には、図5に示すように、蓋部材23を係止させるための第一の被係止部19bと第二の被係止部19cとが形成されている。
また、蓋部材23には、前記第一の被係止部19bに係止可能な第一の係止部23bと、前記第二の被係止部19cに係止可能な第二の係止部23cとが形成されている。
即ち、図5(a)に示すように、前記蓋部材23の第一の係止部23bが、前記蓋取付孔19の第一の被係止部19bに係止することによって、芯補充路20が蓋部材23によって塞がれるようになっている。
尚、このように蓋部材23が軸先方向(使用者が筆記具1を使用するとき下方向)に回動して芯補充路20が閉じられる構成とすることにより、筆記具1の使用中等に蓋部材23が不用意に回転して芯補充路20が開くことを防止することができる。
【0027】
また、図5(a)に示す状態から蓋部材23が回動すると、図5(b)に示すように蓋部材23の第二の係止部23cが、前記蓋取付部19の第二の被係止部19cに係止することによって、芯補充路20が開かれ、鉛芯30を補充可能な状態となるように構成されている。
尚、蓋部材23が、その自重により不用意に回動しないように、蓋部材23の周面には、図5(a)の状態を保持するための保持突起23d(突起部)と、図5(b)の状態を保持するための保持突起23e(突起部)とが設けられている。即ち、保持突起23d(23e)が棒体7aに係止することによって、蓋部材23が棒体7aに固定されるようになされている。
また、蓋部材23は、例えば熱可塑性エラストマー等のゴム弾性を有する材料により形成されることが望ましく、それにより、保持突起23d(23e)によって蓋部材23が棒体7aに係止した状態の保持力を向上させ、且つ、使用者による蓋部材23の開閉操作を容易なものとすることができる。
【0028】
また、図2(c)に示すように、内筒15の後端部において、消しゴム受け15bの外側には芯補充孔15cが形成されている。この芯補充孔15cは、シャープペンシル筆記体11に連結されたノック棒7の芯補充路20と連通している。このため、例えば、ノックカバー18が外された状態で、前記芯補充孔15cから鉛芯30を挿入し、シャープペンシル筆記体11の芯ケースパイプ11aに鉛芯30を補充することができる。
【0029】
また、図6(a)は図1(a)のA−A矢視断面図であり、図6(b)は図1(b)のB−B矢視断面図である。
図6(a)、図6(b)、及び図1(b)に示すように、ノックカバー18の側面には、鉛芯を挿通可能な芯補充溝18aが設けられている。そして、このノックカバー18を、図6(a)のような芯補充溝18aの配置で装着することによって、内筒15の芯補充孔15cを塞ぐことができる。
一方、ノックカバー18を図6(a)の状態から軸周りに所定角度(例えば90°)回転させ、図6(b)に示す芯補充溝18aの配置で装着することによって、芯補充溝18aと、内筒15の芯補充孔15cとを連通させることができる。
【0030】
したがって、ノックカバー18を取り外さなくとも、ノックカバー18を図6(b)に示す状態に配置し、蓋部材23を図1(b)(図5(b))に示す配置として芯補充路20を開くことにより、図7に示すように前記芯補充溝18aから鉛芯30を挿入し、シャープペンシル筆記体11に鉛芯30を補充することができる。
一方、鉛芯30の補充を行わない場合には、蓋部材23を図1(a)(図5(a))に示す配置として芯補充路20を閉じた状態とする、或いは、ノックカバー18を図6(a)に示す状態として芯補充溝18aを閉じればよく、それにより筆記具後端からの鉛芯30の落下、及び粉漏れを防止することができる。
【0031】
以上のように本発明に係る実施の形態によれば、シャープペンシル筆記体11に連結されたノック棒7に、芯ケースパイプ11aに連通する芯補充路20が設けられ、前記芯補充路20に連通する芯補充孔15cが筆記具1の後端に設けられる。更に、前記芯補充路20は、ノック棒7の側面側に設けられた回動自在な蓋部材23によって、開閉自在となされる。
このような構成により、シャープペンシル筆記体11への鉛芯30の補充の際には、筆記具1の本体軸筒を分解する必要がなく、筆記具1の後端の芯補充孔15cから容易に補充することができる。
また、筆記具1の通常使用時等、鉛芯30の補充を行わないときには、蓋部材23を回動させて芯補充路20を閉じることによって、芯ケースパイプ11aに収容された鉛芯30の不用意な落下、及び粉漏れを防止することができる。
【0032】
また、筆記具1の後端において、ノックカバー18に、前記芯補充孔15cに連通する芯補充溝18aを設けることにより、ノックカバー18を取り外すことなく鉛芯30の補充を行うことができる。また、前記芯補充孔15cの位置と、ノックカバー18の芯補充溝18aの位置とをずらして配置することによっても芯補充路20を閉じることができ、鉛芯30の落下等を防止することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 筆記具
2 前軸(軸筒)
3 後軸(軸筒)
7 ノック棒
7a 棒体
11 シャープペンシル筆記体
11a 芯ケースパイプ
20 芯補充路
23 蓋部材
30 鉛芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筒内に少なくともシャープペンシル筆記体を収容し、前記シャープペンシル筆記体の後端に連結されたノック棒の繰り出し操作により前記シャープペンシル筆記体の先端部を軸先から突出させる筆記具であって、
前記ノック棒は、
前記シャープペンシル筆記体において鉛芯を収容する芯ケースパイプの後端に連結され、前記芯ケースパイプに連通すると共に後端から前記鉛芯を挿入可能な芯補充路が形成された棒体と、
前記棒体の側面に回動自在に設けられ、前記棒体に係止した一の状態において前記芯補充路を開き、前記一の状態から回動して前記棒体に係止した他の状態において前記芯補充路を閉じる蓋部材とを備えることを特徴とする筆記具。
【請求項2】
前記軸筒内に配置され、前記ノック棒を摺動可能に保持すると共に、その後端に前記ノック棒の芯補充路に連通する芯補充孔が形成された内筒と、
前記内筒の後端に着脱可能に設けられ、その頭部が軸方向に押圧されることにより前記シャープペンシル筆記体の先端から鉛芯が繰り出されるノックカバーとを備え、
前記ノックカバーの側面には、芯補充溝が形成され、
前記内筒に装着されるノックカバーにおける前記芯補充溝の配置によって、前記芯補充溝が前記内筒の芯補充孔に連通可能となることを特徴とする請求項1に記載された筆記具。
【請求項3】
前記棒体の側面に回動自在に設けられる蓋部材は、
シャープペンシル筆記体の軸先方向に回動することによって、前記芯補充路を閉じることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された筆記具。
【請求項4】
前記蓋部材の周面には突起部が形成され、
前記突起部が前記棒体に係止することにより、前記蓋部材が前記棒体に固定されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された筆記具。
【請求項5】
前記蓋部材は、熱可塑性エラストマーにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された筆記具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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