説明

筆記用ボードとして機能する間仕切り装置

【課題】 建物空間を間仕切りパネルによって仕切る間仕切り装置の一部に筆記することが出来る筆記ボードを組み合わせた間仕切り装置の提供。
【解決手段】 筆記ボード2の基本構造は間仕切りパネル1と共通しているが、表面材5の色彩を違わせている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物の空間を仕切ると共に、一部に筆記用ボードとしての機能を備えた間仕切り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では建物内部に形成される部屋空間(オフィス空間)を仕切る為に間仕切り装置が用いられている。すなわち、完成した建物内部の所定のフロアーを間仕切り装置で仕切ることで、色々な広さのオフィス空間を自由に作ることが可能と成り、また間仕切り装置を撤去したり、入れ替えることで部屋の広さを変更することも自由に出来る。しかも、オフィスの模様変えとして何時でも新たな間仕切り装置に交換することも可能である。
【0003】
ところで、間仕切り装置の形態も色々あるが、基本的な構造は複数枚の間仕切りパネルを配列して構成される。この場合、床には床レールが敷設され、天井には天井レールが取付けられ、そして床レールの所々に配置したアジャスターにて高さ調整された巾木が支持され、この巾木の上に間仕切りパネルが載置され、上端は天井レールに止着されている。また、隣合う間仕切りパネルの間には垂直に起立するスタッドが介在し、間仕切りパネルと連結している。
【0004】
間仕切りパネルは不燃ボードやハニカムコアなどの充填材に鋼板を貼り合わせた構造であり、鋼板の表面は一般に白色系の塗装が成されている。勿論、白色系以外の色彩の使用もされるが、オフィスの内装に合わせた色合いが適している。オフィスにはその目的によって色々な部屋が存在しているが、例えば会議室や打合せ室にはホワイトボードなどの筆記用装置が設置されていて、会議や打合せの内容が筆記される。また、研修や学習用の部屋であれば、講義や学習の内容が筆記用装置に記載される。そこで、間仕切り装置のパネルをホワイトボードとして使用するといった考えが提案されている。
【0005】
実公平4−33297号に係る「筆記用表面板付間仕切り装置」は、黒板、ホワイトボードなどの筆記用表面板を有し、支柱及び地レールの外面に取付けられた間仕切りと、上面に粉受け用の凹溝を設けると共に、背面上縁に間仕切りの表面板下端内面と地レール外面間の間隙に挿入して取付ける為の取付け片を延設し、下面にアジャスターを設けてなる粉受け部とより成っている。
【0006】
このように間仕切りパネルの表面を筆記用として使用することで筆記用装置(ホワイトボード)を設置する必要がなく、その分だけオフィス空間が広くなると共に、オフィス空間の有効利用が可能となる。
【特許文献1】実公平4−33297号に係る「筆記用表面板付間仕切り装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、オフィスの内部を構成する所定の間仕切りパネルと間違えることなく、また眼の疲れを緩和することが出来る筆記用ボードとして機能することが出来る間仕切り装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る間仕切り装置はオフィスの内部の壁を構成し、その一部を筆記用ボード(ホワイトボード)として使用することが出来る。ここで、間仕切り装置を構成する筆記用ボードは不燃ボードやハニカムコアなどの充填材に金属製の表面板を貼着したものであり、この表面板に筆記することが出来る。そして、筆記することが出来るボード表面板の色彩は壁面を構成する他の間仕切りパネルとは異にしている。
【0009】
間仕切りパネルと筆記用ボードの基本構造は同じであって、間仕切りパネルを配列して構成される間仕切り装置の一部に筆記用ボードが使われている。ここで、間仕切りパネルとは異なる色彩を備えた筆記用ボードの表面材にはアクリル樹脂塗料が用いられて焼付け塗装される。表面材の具体的な色彩は限定しないが、基本的には筆記された文字、記号、図形などが分かり易く、長時間使っても目が疲れないようにパステル系が好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る間仕切り装置は筆記用ボードとして機能することが出来る。その為に会議室や打合せ室といった専用の部屋を設けなくても、オフィス内部の間仕切り装置の壁面を筆記用ボードで構成することで、場所に制約されずに自由にコミュニケーションをとることが可能となる。勿論、会議室や打合せ室に本発明の間仕切り装置を設けることで、オフィス内にホワイトボードを別途設置する必要はなく、限られたオフィス空間を有効利用することが出来る。そして、間仕切り装置で構成した壁面の一部が筆記用ボードである為に、オフィスは洗練された空間となる。
【0011】
そして、筆記することが出来る筆記用ボードは他の間仕切りパネルとは色彩を異にしている為に、筆記することが出来る筆記用ボードを間違えることはない。そして、筆記用ボードの色彩は繰り返し筆記しても汚れが目立たないものとすることで、他の間仕切りパネルとの調和が保たれて間仕切り装置の美しさが保たれる。そして、一部の色彩を違わせることにより、白色系で構成した従来の間仕切り装置と比較してオフィスの雰囲気が向上し、オフィス空間の演出に幅が出来る。特に、柔らかいパステル系の色彩とすることで、長時間使用しても眼の疲れが緩和されると共に、白色系の他の間仕切りパネルとの調和がとれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】筆記用ボードを一部に配置した本発明に係る間仕切り装置。
【図2】図1のA−A断面拡大図。
【図3】表面材に塗装膜を形成した部分拡大図。
【図4】図1のB−B断面拡大図。
【図5】充填材の両面に表面材を貼着した筆記用ボードの一部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明に係る筆記用ボードとして機能する間仕切り装置を示す正面図である。間仕切り装置は建物内部の広い空間を使用目的に応じて適度な大きさに仕切ることが出来、一般的な事務室、会議室、打合せ室、更衣室、休憩室など、その用途は色々ある。そして、間仕切り装置は建物本体の一部として設けた建物壁とは異なり、撤去してその位置を変えることも自由である。すなわち、建物本体とは切り離して後で自由な設計施工が可能である。
【0014】
本発明は複数枚の間仕切りパネルを配列して構成しているオフィスを対象とし、その具体的な用途は限定しないが、オフィスの壁面となる間仕切りパネルの一部に筆記用ボードを使用している。勿論、この考えは以前から存在しているが、本発明では、表面に筆記することが出来る筆記用ボード表面材の色彩を他の間仕切りパネルとは違わせている。
【0015】
ところで、図1の1は間仕切りパネル、2は筆記用ボードを表し、該筆記用ボード2は間仕切りパネル1とは色違いとなっている。具体的な色彩は限定しないが、あくまでも筆記する文字、記号、図形などが見やすく、しかも長時間にわたって筆記したり見ていても眼が疲れにくいことが必要である。例えば、間仕切りパネルを白色とし、筆記ボードをパステル系の色彩とすることが適している。
【0016】
同図において、筆記用ボード2,2・・・は5か所に設けられ、しかも高い位置には一般の間仕切りパネル1,1・・・が配置された構造としている。勿論、オフィス空間を構成するその他のパネルは間仕切りパネル1,1・・・であるが、該間仕切りパネル1と筆記用ボード2の構造は同じであり、表面材の色彩のみを異にしている。そして、筆記用ボード2,2・・・には粉受け20,20・・・が磁石を介して取付けられている。
【0017】
図2は図1のA−A断面拡大図を示している。筆記用ボード2は垂直に起立するスタッド3に側端が連結され、該筆記用ボード2は間仕切りパネル1と同じように、充填材4に貼着した表面材5の縁を屈曲して止着片6が形成されている。そこで、両筆記用ボード2,2の止着片6,6にジョイント金具7が係止して上記スタッド3にネジ止めされている。そして、両筆記用ボード2,2間に形成される隙間(目地空間)には目地材19が嵌ってネジ頭部及びジョイント金具7を被覆している。
【0018】
図3は筆記用ボード2の表面材5を示す断面拡大図であり、表面材5には一般に鋼板が使用され、この表面材5を塗装して塗膜8を形成している。塗装する塗料はアクリル樹脂塗料をベースとし、これに白色以外の顔料を加えて焼付け塗装することで、柔らかいパステル系の色彩としている。筆記することのない間仕切りパネル1の色彩を白色とした場合、筆記用ボード2の色彩をパステル系の色彩とすることで、繰り返し筆記しても汚れが目立ちにくくなると共に、長時間の使用に際して目の疲れが緩和される。
【0019】
図4は図1のB−B断面拡大図を示している。床面9には床レール10が敷設され、この床レール10の所々にはアジャスター11が配置され、該アジャスター11によって適度な高さに巾木12が支持されている。そして、この巾木12の上には筆記用ボード2,2が載って起立し、該筆記用ボード2,2の上端には間仕切りパネル1,1が載置されて中間目地13にて連結されている。
【0020】
該中間目地13は筆記用ボード2の充填材4と間仕切りパネル1の充填材4の背面に当接すると共に、表面材5を屈曲して形成した止着片6に係止することで、互いに位置ズレすることなく連結し、積み重ねられて上方へ延びる間仕切りパネル1の上端は天井面14に取付けた天井レール15に拘束されている。実施例では筆記用ボード2の上端に間仕切りパネル1を載せて接続した間仕切り装置の構造としているが、天井まで届く背丈の高い筆記用ボード2を据付けることもある。
【0021】
図5は筆記用ボード16を表す他の実施例であり、この筆記用ボード16は充填材17としてハニカムコアを使用し、該充填材17の両面に表面材18を貼り合わせている。この筆記用ボード16を用いて間仕切り装置を構成する場合の形態は、前記図2、図4に示す断面構造とは異なるが、本発明の筆記用ボードとして機能する間仕切り装置を構成することは十分可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 間仕切りパネル
2 筆記用ボード
3 スタッド
4 充填材
5 表面材
6 止着片
7 ジョイント金具
8 塗膜
9 床面
10 床レール
11 アジャスター
12 巾木
13 中間目地
14 天井面
15 天井レール
16 筆記用ボード
17 充填材
18 表面材
19 目地
20 粉受け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物空間を間仕切りパネルによって仕切る間仕切り装置の一部に筆記することが出来る筆記ボードを使用し、該筆記ボードの基本構造は間仕切りパネルと共通しているが、表面材の色彩を違わせたことを特徴とする筆記用ボードとして機能する間仕切り装置。
【請求項2】
上記筆記用ボードの表面に粉受けを磁石を介して取付けた請求項1記載の筆記用ボードとして機能する間仕切り装置。
【請求項3】
間仕切りパネルの色彩を白色とし、筆記用ボードの色彩をパステル系とした請求項1、又は請求項2記載の筆記用ボードとして機能する間仕切り装置。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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