説明

筆記用具、および筆記用具のための内表面溝を有するキャップ

本発明の筆記用具は、筆記本体および本体に結合された位置にてペン先(11)を覆うための取り外し可能なキャップ(C)を備える。キャップは、底部(35)と、底部(35)に接触する第1端部(20a)および開口部(24)を形成する第2端部(20b)の間に長軸方向に延在する管状壁(32)とを有する。管状壁(32)は好都合に内表面を有し、該内表面上には結合位置にて筆記本体(10)に係合可能な隆起した外形(31)が突出し、キャップ(C)の内表面は、2つの前記突起(31)の間に配置され、かつ管状壁の第2端部(20b)へ延在する少なくとも1つの溝(33)を有する。したがってこの溝は、キャップの取り外しを妨げることなく、かつ設計の単純さを維持しながら、キャップの装着中に圧力がキャップ(C)にかかることを防ぎ、かつ取り外す際にキャップに負圧がかかることを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクペンなどの筆記用具に関し、特に筆記本体と一体のペン先を有する端部から延在する筆記本体と、筆記本体にキャップが結合された状態においてペン先を覆う取り外し可能なキャップとを備える筆記用具に関し、前記キャップは底部と、底部に接合する第1端部および軸開口部を形成する第2端部の間に中心軸に沿って延在する管状壁とを有し、前記管状壁は内表面を有し、その内表面の上の突起は、結合された状態の筆記本体に係合することによりキャップを保持することができる。
【背景技術】
【0002】
ボールペンのような上述したタイプの筆記用具は、水性インクまたは、任意の標準的なインクを格納することができる。用具を使用しない間キャップによって先端を覆うことにより、先端の過度の乾燥を回避することができる。外部に対する封止は、ペン先に隣接した筆記本体の端部にキャップの管状壁が環状に接触することにより達成される。場合によっては、キャップはペン先のみを覆う内部キャップを備える。
【0003】
しかし、筆記用具の本体がキャップに結合している場合、キャップ内部の空気は圧縮され、それにより使用者によってはキャップ内部に圧力上昇が生じることを気づくことがある。キャップが外される場合、キャップ内部の空気の圧力は突然減少し、インクの放出およびくみ上げを生じる。通常使用の際にキャップが交互に筆記用具の本体に結合され、および取り外されるにつれ、例えば排気空洞の邪魔板に詰まって残ることによる、著しい量のインクの放出および無駄のリスクがある。本発明者は、空のインク貯槽、または繊維緩衝内に格納された液体インクの場合にも、液体のインクが使用される場合はいつもこの現象が顕著になることを発見した。
【0004】
キャップ内部の圧力を均一にする解決法は、開口部の反対に穴を作ることである。したがって特許文献1はペン本体に装着されている場合のキャップ内部の加圧を回避するために空気通路を提供する。この通路はキャップの底部に形成され、かつバネと組み合わさった密封バルブにより閉じられている。このタイプの装置において、結合するより前に空気は穴を通じて出ることができ、かつキャップがペン本体に固定保持される場合にバネが空気通路を閉鎖することができる。キャップのいくつかの局部的な内側の突起は、ペン本体の外周に形成された環状突起に係合することにより閉鎖したままの位置を維持する。
【0005】
このタイプの筆記用具の欠点は、バネを含むいくつかの部品が必要な密封システムの複雑さである。したがってキャップアセンブリはこのようなシステムを含むペンの魅力を制限し、より高価になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,441,356号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明のねらいは、キャップの結合および取り外し中のインクの損失を回避でき、かつ単純な設計の筆記用具を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明による筆記用具は、2つの前記突起の間に配置され、かつ管状壁の第2端部へ延在する少なくとも1つの溝をキャップの内表面に有することを特徴とする。
【0009】
したがって閉じる操作の間、キャップの底部に蓄積した空気がキャップ開口部へ流れることは、第2端部へ延在する溝によって達成される。溝は、キャップおよび筆記本体の間に介在する空気通路として使用される。したがって溝が均圧機能として働き、キャップを装着する際のキャップの加圧、または取り外す際の負圧を防ぐことが可能となる。さらにこの配置は、キャップの保持を妨げず、かつキャップの底部は単純設計とすることができる。
【0010】
さらなる特徴によると、筆記用具は、前記少なくとも1つの溝とキャップの第1端部との間に配置され、キャップに一体化した封止部材を備える。封止部材は、例えば前記第1および第2端部から離れ、キャップの内表面に形成された環状のリブを備え、前記少なくとも1つの溝はキャップの中央部へ延在し、かつ環状リブに近接する。したがってペン先の乾燥を防ぐために、環状封止接触は結合位置におけるリブにて達成されることが可能である。封止接触を意図した環状リブに溝が近いことにより、筆記用具の端部がキャップに入る場合にキャップの底部に蓄積した余分な空気がすべて溝を介して排出することが可能となる。
【0011】
さらなる特徴によると、筆記本体は、空のインクカートリッジを備え、カートリッジは貯槽と、ペン先および貯槽の間に配置された内部空洞とを備え、空洞は貯槽に連通し、かつ筆記本体の外部の開口部を通じて外部に直接連通し、前記空洞はインクの漏れの吸収に適している。したがって圧力変化に敏感なインクシステムを使用する際に漏れを避けることができ、かつ1つまたは複数の溝を有するキャップの存在はキャップを取り外す段階においてインクの任意の移動をさらに制限する。さらなる特徴によると、少なくとも2つの溝が前記管状壁の内表面に設けられ、前記突起および溝は交互に並ぶ。突起の数は少なくとも3つで、かつ円形に分布することが好ましく、溝の数は前記突起の数と等しい場合もある。それぞれの溝は中央軸に略平行に延在し、かつ一連の溝は軸開口部において正多角形の頂点を形成する。この分散した配置によって、キャップおよび筆記用具本体の間の任意の相対的な傾きに関わらずキャップを装着する間に空気は容易に逃げることが可能になる。
【0012】
さらなる特徴によると、それぞれの溝は2つの前記突起に隣接し、かつ2つの前記突起を分離する。したがってキャップ外周のへこみおよび山の配置により、キャップを装着する間、均圧効果を最適化しながら非常に効率的に保持することができる。突起が分布されたキャップの環状部分において、突起および溝は、キャップの内周の半分以上、例えば少なくともこの内周の75%を占めることができる。
【0013】
さらなる特徴によると、封止部材に対する溝の距離は、0.1mm〜0.5mmの間で構成される。したがって溝の端部は、キャップの封止部分に最も近い。(溝の長さがキャップの深さの40%またはそれ以上に相当する)溝の配置の効果により、溝を介して吸い出されることができる空気の量がより多くなり、かつ筆記本体の把持部がキャップによって密接に囲まれている場合においても、キャップの底部の圧縮された空気は、筆記本体がキャップに挿入される間ずっと逃げることができるしかし、封止部材の非均一な変形を引き起こさないように、近接しすぎることは避けるべきである。
【0014】
さらなる特徴によると、筆記本体はペン先に隣接する円柱の把持面を有し、前記突起と協働するために、この把持面は突出した環状突起を有し、前記把持面がキャップよって完全に覆われるように、突出した突起はペン先と反対側に配置される。突起は、前記第2端部近くに配置される。
【0015】
したがってキャップの開口部に好ましく近い突起による保持は、材料と材料、例えばプラスチックとプラスチックとの接触による固定に相当し、キャップ内に初期に収容された空気のほとんどが吸い出される場合にキャップの装着の完了となる。溝は細長く、かつ筆記中に使用される筆記本体の把持部を覆うように通常2cm以上、好ましくは4cm以上の長さでキャップに作られる。
【0016】
さらなる特徴によると、キャップの管状壁の外表面は少なくとも前記第2端部に向かって滑らかとなっており、キャップは円断面を有する。したがってキャップは容易に把持することができ、かつうねのない表面を有することができ、感触がより快適になる。したがって滑らかな外表面および溝付き内表面の形は相違点がある。キャップの厚みは薄く、かつ例えば最大1mmおよび最少0.6mmの間で変化させることができる。したがってそれぞれの溝において、キャップは、キャップの一般的な厚さの40%および70%の間で構成された厚みを有する。
【0017】
さらなる特徴によると、筆記本体は、結合位置においてキャップの第2端部に接触する軸面を有する環状の肩部を有する。したがってキャップが閉じた状態において、筆記用具は通常の外観を有し、キャップがのる肩部によりキャップ内部に形成された溝を少なくとも部分的に閉じることができる。
【0018】
さらなる特徴によると、筆記本体はカートリッジと、前記ペン先と反対側のカートリッジを部分的にカバーする胴部とを備え、カートリッジは胴部を固定することができる雄ねじを有し、前記肩部は前記胴部の一方の端部により形成される。したがって、通常外部突起がなくかつ使用者の握り心地のよい胴部は、キャップの延長部に好都合に配置され、各溝の出口をふさぐことが可能である。
【0019】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して非限定的な例によって与えられるいくつかの実施形態についての以下の説明により明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるキャップ本体第1の縦断面に沿った図である。
【図2】第2の縦断面に沿った図1のキャップ本体の図である。
【図3A】図2に示したキャップ本体の管状壁の第1の詳細を示す。
【図3B】図2に示したキャップ本体の管状壁の第2の詳細を示す。
【図4】本発明によるキャップと協働することができるペン本体を構成するカートリッジおよび結合した胴部を示す分解組立図である。
【図5】本発明によるキャップを構成する部材を示す分解組立図である。
【図6】図1および図2のキャップ開口部の軸方向の図である。
【図7】キャップがペン本体に結合した位置を示す。
【図8】キャップがペン本体に結合した位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
異なる図において全く同一の参照符号は、全く同一のまたは類似した項目を意味する。筆記用具1は、以下インクと呼ばれる任意の筆記、消去、または強調媒体により筆記することができる。
【0022】
図1、図2、図4および図5を参照すると、筆記用具1は、筆記本体10および結合位置において筆記本体10の一方または他方の端部(10a、10b)を覆うのに適する、取り外し可能キャップCを備える。ペン先11は、筆記本体10の端部(10a、10b)の一方に取り付けられる。非限定的な例により、筆記本体10はプラスチック材料から作られている管状部12を備えることができ、管状部は、インク貯槽13を囲み、かつペン先11を支えるインク供給装置14を収容することを可能にする。
【0023】
図4の実施形態において、インク貯槽13、インク供給装置14およびペン先11を有する管状部12は、カートリッジ15を形成する。カートリッジ15は、胴部16内に挿入され、かつ持続的にまたは取り外し可能にこの胴部16へ接続されることができる。図4の例において締め付けは、取り外し可能であり、かつカートリッジ15の管状部12の外側に形成された雄ねじ17を使用して実行されることができる。胴部16は、内壁に形成された雌ねじを備えることができ、胴部16およびカートリッジ15は取り外し可能に互いに固定されることができる。インクが切れた場合に交換カートリッジは、胴部16内に挿入されることが可能であることが理解できるだろう。締め付け方法は、例えば非限定的な、圧入、ロックによる接点締結のように異なる方法にすることができる。化学結合または超音波結合を提供することができ、この場合カートリッジ15は胴部16から取り外し可能ではなくなる。別の方法として、またはさらに追加として、筆記用具1はインク貯槽13を含む取り外し可能な貯槽を備えることができる。この場合この貯槽はカートリッジ15の後部に固定される。
【0024】
図5、図7および図8に示されるように、筆記用具1は筆記本体10と協働することが可能なキャップCを備える。キャップCは、管状のキャップ本体20、内部キャップ21およびクリップ22、ならびにクリップ22をキャップ本体20に持続的に固定するためのキャップCの一方の端部20aにインサート23を有することができる。内部キャップ21は、ペン先11の乾燥を防ぐ作用をする。もちろんキャップCの特定の実施形態においては除外することができる。キャップCの軸開口部24は、実質的に筆記本体10の把持部30の外径に一致する内径を有する。この把持部30は、円柱とすることができ、または筆記作業中に親指および人差し指の間で把持するのに適した異なる形を有する。図4、図7および図8の非限定的な例において、把持部30は、カートリッジ15の一体部分を形成する。
【0025】
本発明の好ましい実施形態において、キャップCの本体20は、突起31を有し、キャップCが結合位置にある場合にこの突起は筆記本体10に係合することが可能である。図1および図2に明らかなように、突起31をキャップCの軸開口部24近くに円状に分布させることができる。これらの突起31は、例えばキャップCの中心軸Zに向かって放射状に突出させることにより形成される。キャップ本体20の管状壁32はまたその内表面に、キャップ本体20の厚みに作られた1つまたは複数の溝33を有する。これらの溝33は、キャップCの中央部MおよびキャップCの開口部24が形成されている端部20bの間に軸方向に延在する。それぞれの溝33は、2つの隣接する突起31の間に配置される。それぞれの溝33の断面は、例えば図6に示されるような広がったUの形を有する“U”に対応することができる。開口部24と反対の溝33の端部の深さを浅くすることができる。言い換えれば溝33は、側面の斜面により形成されることができ、かつ1つの斜面は開口部24の反対側にある。厚さの変化は急すぎではない。溝のこの形により、特に壁が薄い場合空洞またはマークがキャップCの外側から見えることを回避することができる。
【0026】
図4、図7および図8を参照すると、筆記本体10の把持部30は、突起31に協働するための突出した環状突起Bを有する円柱面を有する。環状突起Bは、把持部30がキャップCによって完全に覆われることができるように、ペン先11と逆に配置される。異なる形においては、突起31と協働することが可能な結合手段は、環状突起とは異なる形−例えば非限定的に、それぞれが把持部30の外周の半分より短く延在する1つまたは複数の形を有することができる。
【0027】
図8より明らかなように、キャップCがその閉鎖位置に到達し、ロックされた場合に、局部的な突起の係合が起こる。したがってこの位置において、突起31はキャップCを筆記本体10に保持し、その結果使用者の操作なしではキャップCは筆記本体10から離れることができない。使用者が突起31を環状突起Bから係合解除するとすぐに、取り外しが特に容易になる。
【0028】
図1および図2を参照すると、キャップ本体20の管状壁32はまた任意に、内表面に環状のリブ34または類似した突起を有し、これはキャップCが筆記本体10に装着される場合に、キャップの底部35にあるキャップCの内容積を封止することを意図するものである。溝33は、キャップCの出口および環状リブ34に隣接する位置の間に底部35から離れて延在する。この環状リブ34の位置は、例えばキャップCの中央横断面近く、または中央横断面に合併しており、かつより一般的にはキャップ本体20の端部20a、20bから離れている。
【0029】
図1、図2、図3A、図7および図8において明らかなように、キャップ本体20内部に形成された環状リブ34により、底部35に近い空気の容積は密閉され、キャップCが完全に結合位置にある場合この空気が外側に逃れることを防いでいる。筆記本体10がキャップCに挿入される間、フランジまたは環状リブ34が筆記本体10に接触する前の瞬間まで、溝33は圧力均一機能として働く。この接触は摩擦により達成され、かつ突起31による筆記本体10の固定の直前または同時に起こる。したがって遅くとも突起31が筆記本体10の環状突起Bに係合する際に、ペン先11の周りの空気量Vは密封される。図7および8は、密封境界が典型的に形成された中央部Mを示す。
【0030】
溝33は突起31と交互にあるため、突起31の保持機能を妨げない。したがってそれぞれの溝33は、中央軸Zに平行に延在する。それぞれの溝33が通路を構成することにより、キャップCの底部35近くの蓄積した空気は、大きい軸開口部24を通じて逃げることができる。非限定的に、溝33の数は三本より多いか、または等しくすることができる。図6の実施形態においては、6本の溝33がキャップ本体20の管状壁32の厚みに形成されている。したがってこれらの溝33はキャップCの軸開口部24にて正六角形の頂点を形成する。もちろん溝の間の角度は60°と異なることも可能である。
【0031】
キャップCの内側を示す図1−図2および図6−図8を参照すると、突起31は円形状に分布している。示された例においてキャップは、円の断面を有する。この場合一連の突起31に接触する仮想の円があり、この円は好ましくは軸Zに垂直な横断面、で内接され、かつ環状突起Bの直径D2より確実に小さい直径D1を有する。突起31および溝33は、例えばキャップCの内周の少なくとも75%以上、好ましくは少なくとも90%以上に延在する。図1および図2において、それぞれの溝33は、2つの隣接する突起31を分離する。したがって2つの連続する突起31の間は実質的に溝33の幅に対応する。
【0032】
管状壁32の外表面、少なくともキャップCの開口部24に向かう面は滑らかであることが好ましい。より一般的には、溝または類似の長手方向の突起は、溝33の反対側に現れず、キャップC内に完全に配置される。この壁32にでこぼこがないことにより、使用者にとって筆記用具1の把持がより快適な感触になる。図7および図8に示されるように、筆記用具1の胴部16は、カートリッジ15と協働することができ、かつ溝33の出口とは向かい合う位置をとる。一例として胴部16は、キャップCの外径と略等しいか、またはわずかに小さい外径を有することができ、溝33それぞれの出口を閉じる。
【0033】
任意の実施形態において、キャップC内部の密封は、胴部16およびキャップ本体20の端部20bの間の環状の接触封止によってなされることが可能である。これがなされるために、封止コーティングまたはガスケット(図示せず)が、筆記本体10の把持部30に近い胴部16の端部に任意に固定、または隣接して配置される。この封止は、環状リブ34によって作られた封止を補う、または置き換えることができる。したがってキャップCの内側の封止は、キャップC端部20bの環状の縁および筆記本体10の肩部40の間の接触封止によって達成されることがわかるだろう。あるいは、結合位置においてキャップCの第2端部20bに接触する軸面を有するこの環状の肩部40は、単純にキャップCを延長する作用をし、かつ接点を封止することなく溝33の出口を少なくとも部分的に閉じることができる。この肩部40をカートリッジ15に一体化して、または環によって形成することができる。
【0034】
図7および図8の例において、カートリッジ15は胴部16が固定できる雄ねじ17を有し、かつこのねじ山17近くに半径方向の環状突起45が設けられている。環状突起45は、胴部16がカートリッジ15に完全にねじ込まれるための止め具を形成している。そして図8に示すように、突起31が環状突起Bの後にて係合する場合、胴部16はキャップCの止め具として働く。異なる実施形態において、キャップCの軸の固定は、カートリッジ15にて実行される。図1、図2および図8に示すように、キャップCには第2端部20bに向かって拡大された内径が設けられる。これにより環状突起45に適合することができる。
【0035】
図6、図7および図8に見られるように、各溝33の厚さe2をキャップCの一般的な厚さの40%〜70%の間で構成することができる。空気通路の断面の高さは、最大化することができる。射出成型プラスチックのキャップCの場合、残りの厚さe2は約0.6mmに制限され、これは注入時に充填の問題を生じさせないために十分な残りの厚さである。結合位置にある場合に、筆記本体10上に形成された環状突起Bの非連続的な部分のみがキャップCに接触するということが理解できるだろう。
【0036】
非限定的に、キャップCの長さは、少なくとも2cmとすることができ、かつ少なくとも4cm〜5cmが好ましい。突起31は、キャップCの軸開口部24の境界を定める端部に近く、かつ開口部24の端との距離は、例えば溝33の長さの10%〜25%を示す。したがってキャップCが結合されている最中、突起31が環状突起B、または筆記本体10の把持部30の後ろに形成された任意の他の締め付け要素に係合するのは、行程の最後のみである。溝33の長さは、環状突起Bまたは類似のものと、ペン先11が固定される管状部12の端部の上部との間に形成された筆記本体10の把持部30の長さに実質的に一致することがわかるだろう。図の実施形態において、異なる溝33の長さは同じであり、かつキャップCの深さ50の少なくとも40%となる。より一般的には、各溝33の長さは筆記本体10の構造に依存し、かつまたキャップCの全体の形により調整することができる。
【0037】
図4に示されるカートリッジ15は、インク漏れを吸収するのに適した空洞(図示せず)と組み合わさった、インクをペン先へ供給する装置14を備えることができる。胴部16に覆われたカートリッジ15の一部は実質的にインク貯槽に対応し、かつ装置14およびこの貯槽の間にインク貯槽13が格納される空洞が配置される。例えば管状部12を有するインク供給装置は、貯槽に連通する空洞の境界を定める。この空洞は、外部に開かれた開口部(図示せず)によって直接外部に連通する。均圧および漏れインクを吸収するためのこのような空洞の存在により、インク漏れの危険はきわめて小さくなる。
【0038】
本発明の1つの利点は、内部に捕えられた空気を放出するために、主として筆記本体10の把持部30を覆うのに通常十分長いキャップCの性能であり、かつ、そのためかさ高および/または組み立てに関する問題を引き起こすようなキャップCの設計を行わずに均圧を実施する。
【0039】
変形例において(図示せず)、内部キャップは、ペン先11を受容し、かつ囲む空洞の形とすることができる。内部キャップの空洞は開口部を有し、開口部の縁は、筆記本体10の端部上の母線の接点上に延在する。これは、ペン先11の周辺にインクを垂らすことなくペン先11のインクの乾燥を防ぐ。これは筆記用具1を後で使用する際に筆記媒体の汚れを防ぐ。
【0040】
内部キャップは、この内部キャップの空洞の開口部の縁を筆記本体10の放射状の肩部に対して押し込むバネ上に好都合に取り付けられることが可能である。内部キャップ21はまたエラストマー材料から作られることが可能であり、または母線の接点上に封止を提供するためにエラストマー被覆の縁を有することができる。
【0041】
筆記本体10の円錐部分にジグザグチャネルの開口部によって外部に連結された液体のインク貯槽を備える筆記本体に関して、内部キャップの空洞がジグザグチャネルの出口開口部をも覆うと、有益である。
【0042】
空気排出溝33の存在は、筆記用具1の貯槽からインクくみ上げ動作を防ぐのに特に好都合である。
【0043】
それぞれの上述した実施形態の形および詳細は、単体または組み合わせにより使用することができる。本発明が、請求した本発明の出願分野から逸脱することなく他の多数の特定の形における実施形態を許容することは当業者には明らかであろう。特に記述はキャップCの厚みに、一定の幅を有して中央軸Zに平行に形成された溝33について述べたが、長手方向の要素を有するチャネルの任意の他の形が、キャップCを閉じる際にキャップCの開口部24を通じて空気を逃すのに適していることを当業者は理解できるだろう。キャップCの内表面に作られた溝33がキャップCの内部の配置に起因することが理解されるだろう。例えば少なくとも1つの溝33はキャップCの内側の部品の溝によって、またはキャップCの内表面の部品を構成する異なる要素の間の空間により形成されることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 筆記用具
10 筆記本体
10a 端部
10b 端部
1 1ペン先
12 管状部
13 インク貯槽
14 インク供給装置
15 カートリッジ
16 胴部
17 雄のねじ山
20 キャップ本体
20a 端部
20b 端部
21 内部キャップ
22 クリップ
23 インサート
24 開口部
30 把持部
31 突起
32 管状壁
33 溝
34 環状リブ
35 底部
50 キャップCの深さ
B 環状突起
C キャップ
M 中央部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部(10a)から延在する筆記本体(10)であって、前記端部が該筆記本体に一体のペン先(11)を有する、筆記本体と、
キャップが前記筆記本体(10)に結合した位置において前記ペン先(11)を覆う取り外し可能キャップ(C)と、
を備える筆記用具であって、
前記キャップ(C)は底部(35)と管状壁(32)とを有し、
該管状壁(32)は、前記底部(35)に結合した第1端部(20a)と、軸開口部(24)を形成する第2端部(20b)との間で中央軸(Z)に沿って延在し、
前記管状壁(32)は内表面を有し、該内表面上の突起(31)は、前記結合した位置において前記筆記本体(10)と係合することにより前記キャップ(C)を保持することが可能であり、
前記キャップ(C)の前記内表面は少なくとも1つの溝(33)を有し、該少なくとも1つの溝(33)は、2つの前記突起(31)の間に配置され、かつ前記管状壁(32)の前記第2端部(20b)へ延在することを特徴とする筆記用具。
【請求項2】
前記少なくとも1つの溝(33)と前記キャップの前記第1端部(20a)との間に配置された、前記キャップ(C)に一体の封止部材を備える請求項1に記載の筆記用具。
【請求項3】
前記封止部材が前記キャップ(C)の前記内表面上に形成された環状リブ(34)を前記第1および第2端部(20a,20b)から離れて備え、
前記少なくとも1つの溝(33)は前記キャップの中央部(M)へ延在し、かつ前記環状のリブ(34)に近接している請求項2に記載の筆記用具。
【請求項4】
前記少なくとも1つの溝(33)の前記封止部材に対する距離が0.1mm〜0.5mmの間に構成される請求項2または3に記載の筆記用具。
【請求項5】
前記筆記本体(10)が空のインクカートリッジ(15)を備え、
前記カートリッジ(15)が、貯槽と、前記ペン先(11)および前記貯槽の間に配置された内部空洞とを含み、
前記空洞は前記貯槽に連通し、かつ前記筆記本体(10)の外側の開いた開口部を通じて外部に直接開き、前記空洞はインクの漏れを吸収するのに適している請求項1〜4のいずれか一項に記載の筆記用具。
【請求項6】
少なくとも2つの溝(33)が前記管状壁(32)の前記内表面に設けられ、前記突起(31)および前記溝(33)が交互に並んでいる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の筆記用具。
【請求項7】
各前記溝(33)が2つの前記突起(31)に隣接し、かつ2つの前記突起(31)を分離する請求項6に記載の筆記用具。
【請求項8】
前記突起(31)が少なくとも3つあり、かつ円形状に分布し、
前記溝(33)の数が前記突起の数に等しく、
各前記溝(33)が前記中央軸(Z)に略平行方向に延在し、かつ一連の前記溝が前記軸の開口部(24)にて正多角形の頂点を形成する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の筆記用具。
【請求項9】
前記突起(31)が前記第2端部(20b)近くに配置され、かつ前記ペン先(11)から離れた前記筆記本体(10)の一部に係合する請求項1〜8に記載の筆記用具。
【請求項10】
前記筆記本体(10)が前記ペン先(11)に隣接するシリンダ状の把持面を有し、
前記把持面は前記突起(31)に協働するための突出した環状突起(B)を有し、
前記把持面が前記キャップ(C)によって完全に覆われることができるように、前記突出した突起(B)は前記ペン先(11)の反対側に配置される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の筆記用具。
【請求項11】
前記キャップ(C)の前記管状壁(32)の前記外表面が少なくとも前記第2端部(20b)へ向かって滑らかであり、前記キャップが円断面を有する請求項1〜10のいずれか一項に記載の筆記用具。
【請求項12】
前記キャップ(C)が、各前記溝(33)の位置において、前記キャップの一般的な厚み(e1)の40%〜70%の間に構成された厚み(e2)を有する請求項1〜11のいずれか一項に記載の筆記用具。
【請求項13】
前記筆記本体(10)が、前記結合位置において前記キャップ(C)の前記第2端部(20b)に接触する軸面を有する環状肩部(40)を有する請求項1〜12のいずれか一項に記載の筆記用具。
【請求項14】
前記筆記本体(10)がカートリッジ(15)と、前記ペン先(11)と反対側の前記カートリッジ(15)を部分的に覆う胴部(16)とを備え、前記カートリッジ(15)は前記胴部を固定することができる雄ねじ(17)有し、前記肩部(40)は前記胴部(16)の一方の端部により形成されている請求項13に記載の筆記用具。
【請求項15】
前記突起(31)が分布した前記キャップ(C)の環状部において、前記突起(31)および前記溝(33)が前記キャップ(C)の内周の少なくとも75%を占めることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の筆記用具。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−510386(P2012−510386A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538033(P2011−538033)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052289
【国際公開番号】WO2010/061130
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(501325048)ソシエテ・ビック (24)
【Fターム(参考)】