説明

等速ジョイントに連結されるホイールハブアセンブリ用の静的シーリングデバイス

【課題】ホイールハブアセンブリ用静的シーリングデバイスを提供する。
【解決手段】内側リング5はハブと結合されたジョイント6の外側リング10と関係し、転がり体9の保護のために内外リング間に配されたシーリングアセンブリ14と、アセンブリ14は、スリーブ部分によってリング5に嵌め込まれかつスリーブ部分と逆側で信号発生要素19とフランジ部分から突き出すサポート要素を支持するフランジ部分18をジョイント側に備え、アセンブリ15は筒状コア28を含み、両端27,30はジョイント6に面するリップ31および筒状サポート要素24に結合するための環状歯32を形成する弾性材に埋め込まれ、これはそれをスナップ方式で受けかつアセンブリ14に対してアセンブリ15を軸方向に突出保持する歯32に対して相補的形状を伴って形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、等速ジョイントに連結されるホイールハブアセンブリ用の静的シーリングデバイスに関し、そうしたシーリングデバイスは簡単かつ多様な様式で搭載可能である。
【背景技術】
【0002】
ホイールハブアセンブリは、一方側で車輪を支持し、そして、ホイールが駆動される場合、それらは、アクスルシャフトからホイール自体へと駆動トルクを伝達するために関連する等速ジョイントに、ある角度をなして連結される。ホイールハブアセンブリは、回転軸線Aを有し、かつ、互いにかつ回転軸線Aに対して同軸であって、しかも両者間における転がり体のクラウンの配置によって互いに回転可能である内側リングおよび外側リングを備える。
【0003】
内側リングは、ホイールをアセンブリに取り付けることを可能とするためのフランジ付き内側リングであり、かつ、
回転軸線Aと交差するフランジと、
回転軸線Aに沿って延在すると共にフランジと一体化されかつそれと同じ材料からなるアクスルと、
インサートリングであって、アクスルそれ自体に関してフランジと対向する側でアクスル上に軸方向に設けられ、かつ、圧延エッジによってアクスルのショルダーに対して軸方向にロックされたインサートリングとを備える。
【0004】
等速ジョイントからホイールハブへの駆動トルクの伝達は、ホイールハブの、そして等速ジョイントの外側リングの隣接しかつ向き合う端部に設けられた、共役動作伝達歯付き手段によって保証される。この歯付き手段は、特許文献1〜3に示されるように、典型的なスプラインカップリングあるいは向き合って互いに結合する一対の前歯からなる。
【0005】
特に、前歯を備える場合、ホイールハブおよび等速ジョイント間の連結領域は、外部汚染源(水分、ダスト、泥、埃)の侵入に対して保護する必要がある。同じことは、内側リングと、サスペンションアップライトに対する取り付け手段を備える外側リングとの間に配置されて設けられた転がり体にも当てはまる。
【0006】
そうした保護は、特許文献3に基づいて、二つの対向するシールドからなる単一のシーリングアセンブリによって実現されるが、第1のものは、等速ジョイントに面する側で、ベアリングの内側リングに対して固定され、そして第2のものはベアリングの外側リングに対して固定されかつ第1のシールドと接触状態で協働する一つ以上のスライドリップを備えたシーリングリングを支持する。第1のシールドは二重折り曲げ部によって得られた複雑な形状を有し、この結果、そのスリーブ部分はベアリングの内側リングから等速ジョイントの外側リングに向かって突出するように延在し、連結ゾーンを覆っている。この突出部分は、少なくともその自由端部に、等速ジョイントの外側リングと前面で協働する環状シールを備えてもよい。さらに、使用時に等速ジョイントに面する、突出部分すなわち第1のシールドのフランジ部分の面は、環状信号発生要素(「フォニックホイール」とも呼ばれる)を備えてもよく、これは、(シールドが強磁性金属材からなる場合には)突起および凹部の交互列から、あるいは磁化および非磁化ゾーンの、あるいは反対の極性を有するゾーンの交互列を有するように磁化された磁化可能な弾性素材からなる環状シーリング部分から構成される。使用時に、いったん適当なセンサーに接続されると、「フォニックホイール」(これは、上記説明によれば、内側リングと一体である)の回転は、車輪の回転速度を検出するために役立つ信号を発生させる。
【0007】
特許文献3に基づく解決策はコストがかかり、製造および組み立てが複雑で、しかも半径方向および軸方向のいずれにも大きな全体寸法を生じる。
【0008】
特許文献1の場合、第1のシールドは半径方向断面に関して単純なL字形を有し、かつ、そのフランジ部分の上で信号発生要素を支持する。連結領域の保護は、その筒状コアを介して、ホイールハブアセンブリの内側リングの外側面に対して嵌合状態で設けられた、転がり体を保護するために配置されたシーリングアセンブリから分離しかつそれに隣接した第2のシーリングアセンブリによって実施される。その自由端部において、筒状コアは環状スリーブシールを支持するが、これは、ジョイントの外側リング上で半径方向シールを形成する。この解決策はベアリングの軸方向寸法を著しく増大させる。なぜなら、その内側リングは両シーリングアセンブリの離間した取り付けを可能とするために適切な長さを有している必要があるからである。さらに、第2のシーリングアセンブリの取り付けを実現するために、その上で取り付けステップにおいて必要とされるスラストが加えられる、それに対して役立つショルダーを有していることが好ましい。これは、それゆえ取り付けステップにおいてピーク荷重にさらされかつ容易に変形し得る内側リング上の取り付けゾーンの端部において、その自由端部のゾーンに面するコアの上で実現されるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2009/140996号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第2042755号明細書
【特許文献3】国際公開第2008/006339号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記欠点を持たない、低コストであり、製造および取り付けが極めて容易であり、転がり体ならびにジョイントとホイールハブとの間の連結領域の保護効果に優れ、軸方向および半径方向寸法が低減された、等速ジョイントに連結されたホイールハブアセンブリ用の静的シーリングデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
等速ジョイントに連結されたホイールハブアセンブリ用の静的シーリングデバイスは、それゆえ、請求項1において規定されるように、本発明に基づいて提供される。
【0012】
軸方向および半径方向寸法が低減され、製造および組み立てが容易で、デバイス部品がピーク荷重にさらされることがなく、さらに当該部品は妥当な軸方向長さ限度内で維持できる、コンパクトな全体デバイス構造は、こうして得られる。本発明に基づくシーリングデバイスを2回で取り付ける可能性だけでなく、優れた流体シールが、ジョイントの、そしてホイールハブの隣接ゾーンにおいて同様に実現されるが、これは、さまざまな組み立て処理ステップの間、転がり体を保護することを可能とするホイールハブアセンブリの組み立てを容易なものとする。
【0013】
本発明のさらなる特徴および利点は、図面を参照してなされた、その非限定的実施形態に関する以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】等速ジョイントに連結されたホイールハブアセンブリに適用された本発明に基づく静的シーリングデバイスの長手方向の半径方向断面を示す概略図であり、分かりやすくするために一部のみを示している。
【図2】図1のシーリングデバイスの細部の拡大図である。
【図3】図1に示すタイプのホイールハブアセンブリに適用された図1の静的シーリングデバイスの二つの実施可能な構成バージョンの細部の長手方向の半径方向断面を示す概略図であり、分かりやすくするために一部のみを示している。
【図4】図1に示すタイプのホイールハブアセンブリに適用された図1の静的シーリングデバイスの二つの実施可能な構成バージョンの細部の長手方向の半径方向断面を示す概略図であり、分かりやすくするために一部のみを示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1および図2を参照すると、参照数字1(図1)は、回転および対称軸線Aを有するホイールハブ3用の静的シーリングデバイスを大まかに示している。ホイールハブ3は、それと一体的に回転するために等速ジョイント6(分かりやすくするために一部のみを示す)と連係動作するように関連付けられた内側リング5を備える。
【0016】
ホイールハブアセンブリ3は、さらに、リング5の外部で半径方向に、リング5と同軸かつ同心状に設けられた外側リング8と、リング5および8間に配置された複数の転がり体9とを備える。内側リング5は、圧延エッジ7によって軸方向にロックされかつ円筒形外側面26によって外的に範囲が画定された独立した要素として形成された、いわゆる「インサート」リング5aを含み、一方、等速ジョイント6は、円筒形外側面29を、そしてリング5および10の交互隣接部分13(図1)上のエッジ7の上に得られた(分かりやすくするために図示していない)類似の前歯と係合する前歯12を備えた外側リング10を備える。
【0017】
デバイス1は、転がり体9を保護するために内側リング5(特にリング5a)と外側リング8との間に配置された第1のシーリングアセンブリ14と、表面29上に部分的に嵌め込まれて、ホイールハブ3とジョイント6の外側リング10との間に配置された、内側リング5(特にリング5a)に対して(図から分かるように)一体的に拘束された第2のシーリングアセンブリ15とを備える。シーリングアセンブリ14および15は対称的であり、かつ、軸線Aに関して同軸である。
【0018】
シーリングアセンブリ14は、互いに向き合って配置されかつ内側リング5(特に5a)に、そして内側リング8に対してそれぞれ嵌め込まれた二つのシールド16および21と、シールド21と一体でかつシールド16と滑り接触状態で配置された複数の環状リップ22,23とを備える。
【0019】
シールド16は、半径方向断面がL字形であり、そして、締め代によって、したがって流体密封状態で内側リング5の半径方向外側面26に対して定着/嵌合されたスリーブ部分17と、フランジ部分18(これは、スリーブ部分17から外側リング8に向かって外部において突出するように半径方向に延在する)とを備える。
【0020】
ジョイント6に面するその個々の前面20において、フランジ部分18は、磁化されかつそれを全体的にカバーするように前面20に対して定着された磁化可能な弾性材料の(軸方向に測定した所定の厚みを有する)平坦な環状インサート19bによって形成された環状信号発生要素19を支持する。環状インサート19bは、軸線Aを中心として互いに交互に並ぶ複数の磁化および非磁化ゾーンを、あるいは反対の極性を備えた複数の磁化ゾーンを有する。いったん、環状要素あるいはインサート19bがセンサー(公知であり、分かりやすくするために図示していない)と作用的に結合されると、そうしたセンサーは、リング5の回転速度の信号関数を発する。
【0021】
本発明によれば、スリーブ部分17に対して反対の側で、そして環状信号発生要素19の側で、したがって、使用時にはジョイント6に面して、フランジ部分18は、フランジ部分18から、そして使用時には、内側リング5(特に5a)から突出するように軸方向に突き出た筒状サポート要素24を支持する。
【0022】
半径方向内側に、筒状要素24は、シールド16のスリーブ部分17と実質的に面一状態で、したがって、内側リング5の半径方向外側円筒側面26と実質的に面一状態で配置される。
【0023】
上記特徴と共に、第2のシーリングアセンブリ15は筒状コア28を備え、その両端27,30は、少なくとも部分的に弾性材料に埋め込まれており、これは、第1のシーリングアセンブリ14と反対側に面する第1の端部27において、ジョイント6の外側リング10と密封状態で協働する少なくとも一つの環状シーリングリップ31を、そして、第1のシーリングアセンブリ14に面する第2の端部29において、筒状要素24に結合するための弾性的に変形可能な環状歯32を形成する。
【0024】
さらに、やはり上述したものと共に、筒状サポート要素24は、第1のシーリングアセンブリ14に対して、したがってホイールハブ3の内側リング5に対して、第2のシーリングアセンブリ15を、突出様式で軸方向に拘束するために、その中でそれをスナップ方式で受けるように、その半径方向内側面33の側に、歯32のそれに対して相補的な形状を有する。
【0025】
弾性材料の歯32の中にはコア15の第2の端部が埋め込まれ、かつ、筒状要素24の内側面33は、使用時に、半径方向外側面26と実質的に対応して、歯32が内側リング5に対して(特にリング5aに対して)前面で当接するような形状とされている。
【0026】
本発明の特徴によれば、筒状サポート要素24は弾性材料からなる筒状スリーブ34からなるが、これは、環状信号発生要素19から突出するように軸方向に突き出ている。特に、スリーブ34は、環状信号発生要素19と一体に、したがって弾性材料のインサート19bと一体に形成されているが、それを経てスリーブ34によって規定された筒状サポート要素24はフランジ部分18と一体で定着される。
【0027】
好ましくは、筒状サポート要素24を形成する弾性材料からなる筒状スリーブ34は、前面20の側に、その突出延在部を形成するように、シールド16のスリーブ部分17の厚みと実質的に等しい、半径方向に測定した厚みを有する。
【0028】
さらに、歯32とスリーブ34との間のスナップ方式結合の機械的特性を改善するために、シールド16のフランジ部分18は、実質的にスリーブ部分17において、フランジ部分18のU字形折り曲げ部によって形成されかつ筒状サポートスリーブ34に向かってその隆起と共に延在する環状バルジ35を有していてもよい。それは、したがって、シールド21に面するその凹部を有する。
【0029】
シーリングアセンブリ15とシールド16との間のスナップ方式結合を最適化するために、スリーブ34の半径方向内側面33(図2)は、フランジ部分18に近いその第1の端部37に、前面20と平行に配置された、環状信号発生要素19の前方外面39と(ただしそれと反対の側で)実質的に面一状態で実現された環状凹部38を備える。
【0030】
このようにして、環状凹部38は、突出スリーブ34の薄肉根部40(これはインサート19bから直接延在する)に対応する筒状サポート要素24上に選択的半径方向曲げゾーンを、一方側において形成し、そして、他方側において、それは、凹部38自体からなる、弾性的に変形可能な歯32のための環状受けシートを形成する。
【0031】
さらに、側面33はまた、第1の端部37と向き合って、その一つの第2の端部43に実現された環状リム42を備える。リム42は、凹部38の直近のポジションまで延在し、かつ、半径方向断面において、凹部38の対応する凹状湾曲プロファイルに継ぎ目なしでつながる凸状湾曲プロファイルを有し、これによって側面33は実質的に上向きのS字プロファイルを有する。
【0032】
さらに、環状リム42のプロファイルは、フランジ部分18と反対の側に、したがって端部43において、第2のシーリングアセンブリ15の弾性材料の歯32のスリーブ34内への挿入のための誘導部を形成するよう構成された、ジョイント6に向かって開拡する筒状要素24(図2)の入口開口を画定する。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、弾性素材の歯32は、デバイス1の長手方向対称軸線Aと直交するように配置されかつリング5(特に5a)の前方端面と、凹部38内に係合する歯32と共に、当接的に接合するよう構成された前方平坦面45によって第1のシーリングアセンブリ14に向かって範囲が定められているが、これは、したがって、歯32のための軸方向サポートショルダー48、すなわちフランジ部分18と一体であるショルダーを形成する。
【0034】
さらに、歯32は、いったんその結合がなされると、結合の堅牢さを損なうことなく、結合ステップにおけるその弾性変形可能性を改善するために、筒状コア15の第2の端部30から軸方向に突出して、面45の側において、部分的に突き出るような形状とされている。
【0035】
さらに、この目的のために、コア15の端部30は、円錐台環状面46によって歯32に向かって範囲が定められているが、これは、第1のシーリングアセンブリ14および第2のシーリングアセンブリ15が結合されたとき、実質的に、筒状サポート要素24の広がった入口開口44に対して実質的に接する。
【0036】
コア28の軸方向剛性を改善し、かつ、シールド16上でシーリングアセンブリ15のスナップ方式取り付けを実施するためのスラスト面を提供するために、コア28は、筒状コア28のL字折り曲げ部によって得られた、段形状部分41を、実質的に端部27および30間の中央に備える。端部27の側において、さらに、シーリングアセンブリ15は、弾性的に変形可能なシーリングリップ31に加えて、比較的高い剛性を持つような形状とされた第2のリップ47を備え、それは、リップ31に接近する汚染物質のための遠心分離要素を使用時に形成するように、リップ31と反対の側で端部27から突出するように斜めに延在する。
【0037】
筒状要素24を設けたこと、そしてシーリングアセンブリ15の上記形状によって、シーリングアセンブリ15は、リム42の上記形状によって容易にされた、とりわけ簡単なスナップ方式結合によって、それと一体で実現されたかのように、シールド16から軸方向に突出して、シールド16に対して使用時に一体的に拘束されるとはいえ、シーリングアセンブリ14とは、そして特にシールド16とは別個の要素として形成されてもよい。
【0038】
したがって、従来デバイスを用いた場合のように、ただしコア28の変形のリスクが抑えられかつデバイス1の軸方向および半径方向寸法の両方が著しく低減されるという利点を伴って、リング5および8間にシーリングアセンブリ14を設ける前に、デバイス1を事前設置し、シーリングアセンブリ14および15をスナップ方式で結合させることが可能であり、あるいは、本発明のある態様によれば、デバイス1は二つのステップで、すなわちエッジ7の塑性変形を実行する前に、リング5および8間にシーリングアセンブリ14のみをまず設けることにより(このようにして、転がり体9はホイールハブアセンブリ3/等速ジョイント6の全処理ステップの間保護される)、その後、シールド16によって一体的に支持された弾性スリーブ34と、面29に端部27の側でそれを取り付けた後、シーリングアセンブリ15をスナップ方式で結合することによって、設けることができる。
【0039】
ここで、図3および図4を参照すると、図4は図1の静的シーリングデバイスの実施可能な変形例1bを示している。既に説明したものと類似あるいは同一の細部は、分かりやすくするために、同じ参照数字で指し示している。
【0040】
特に、デバイス1bは上記デバイス1と同じものであるが、それが筒状コア28の(外側においてではなく)内側において半径方向に突出して突き出るように形成された歯32bを有する点、ならびに歯32bと結合するよう構成された、本発明に基づく筒状サポート要素24を画定する弾性スリーブ34の面が、上記例におけるように、半径方向内側面33ではなく、スリーブ34の半径方向外側面50である点で異なっている。面50の、そして歯32bのプロファイルは、面33および歯32に関して先に説明したもの、すなわち図2のものであるが、もちろん、それらは軸線Aに関して180°だけ逆転されている。この例では、歯32bのための軸方向シリンダー48は、リング5によってではなく、フランジ部分18によって形成されている。
【0041】
図3を参照すると、それは、信号発生要素19が必要とされない場合に使用される、本発明に基づく静的シーリングデバイスの変形例1cを示している。第2のシーリングアセンブリ15は、図1および図2のデバイス1に関して説明したものと同一であり、かつ、筒状サポート要素24と係合するための歯32を有する。後者は、しかしながら、34としての弾性材料のスリーブからなるのではなく、スリーブ部分1と反対の側でフランジ部分18から突出するように軸方向に突き出すために、少なくともフランジ部分18に設けられた(半径方向断面で)U字形の折り曲げ部によって形成された第1のシールド16の環状隆起部分49からなる。そうしたU字形折り曲げ部はスリーブ部分17に面する凹部を有し、かつ、その対向する面の一つ、特に半径方向に最も内側にあるものは、筒状コア28によって支持された弾性的に変形可能な結合歯32の形状に対して相補的な形状を有する筒状要素24の半径方向内側面33bを画定する。
【0042】
面33bのプロファイルは、実質的に、面33に関して先に説明したものと同一であり、そして、実際には、フランジ部分18の直近でスリーブ部分17の一部を塑性的に変形されることによって形成されている。もちろん、さらに、この変形例に基づいて、シールド16のスリーブ部分17は、フランジ部分18の側において、使用時に、そこから突出的に突き出るように、リング5(5a)のそれよりも大きな軸方向長さを有する。
【0043】
最後に、図1および図4に示す本発明の両実施形態はまた、やはり環状インサート19b(これは、全体的に存在しなくても、あるいは面あるいは表面20を部分的にのみ覆ってもよく、そして、いかなる場合でも、通常の非磁化可能弾性材料から得られる)を伴わずに、フランジ部分18の前面あるいは面20に対して直に弾性スリーブ32あるいは32bを定着させることで、信号発生要素19を伴わずに実施可能であることに留意されたい。
【符号の説明】
【0044】
1 静的シーリングデバイス
3 ホイールハブ
5 内側リング
5a インサートリング
6 等速ジョイント
7 圧延エッジ
8 外側リング
9 転がり体
10 外側リング
12 前歯
13 交互隣接部分
14 第1のシーリングアセンブリ
15 第2のシーリングアセンブリ
16 シールド
17 スリーブ部分
18 フランジ部分
19 環状信号発生要素
19b 環状インサート
20 前面
21 シールド
22,23 環状リップ
24 筒状サポート要素
26 半径方向外側面
27 第1の端部
28 筒状コア
29 円筒形外側面
30 第2の端部
31 環状シーリングリップ
32 環状歯
33 半径方向内側面
34 筒状スリーブ
35 環状バルジ
37 第1の端部
38 環状凹部
39 前方外面
40 薄肉根部
42 環状リム
43 第2の端部
44 入口開口
46 円錐台環状面
47 第2のリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
等速ジョイント(6)に連結されたホイールハブ(3)用の静的シーリングデバイス(1)であって、前記デバイスは、使用時に、外側リング(8)と、前記ホイールハブ(3)の内側リング(5)の半径方向外側円筒側面(26)との間に介在させられた第1のシーリングアセンブリ(14)と、使用時に、前記ホイールハブ(3)と前記等速ジョイントの外側リング(10)との間に配置された第2のシーリングアセンブリ(15)と、を具備してなり、前記第1のシーリングアセンブリ(14)は、前記半径方向外側円筒側面(26)に対して嵌め込まれたスリーブ部分(17)によって前記内側リング(5)に対して定着されかつ前記スリーブ部分(17)から前記ホイールハブ(3)の前記外側リング(8)に向かって突出するように半径方向に延在するフランジ部分(18)を、前記ジョイント(6)の側に備えた第1のシールド(16)を具備してなり、
前記第1のシーリングアセンブリ(14)は、前記フランジ部分(18)から、そして使用時には、前記内側リング(5)から突出するように軸方向に突き出る筒状サポート要素(24)を具備してなり、
前記第2のシーリングアセンブリ(15)は、前記第1のシーリングアセンブリ(14)と反対の側に面する第1の端部(27)において前記ジョイント(6)の前記外側リング(10)と封止的に協働する少なくとも一つの環状シーリングリップ(31)を、そして前記第1のシーリングアセンブリ(14)に面する第2の端部(30)において前記筒状サポート要素(24)に結合するための弾性的に変形可能な環状歯(32)を形成する弾性素材内に少なくとも部分的に埋め込まれた第1および第2の対向する端部(27,30)を有する筒状コア(28)を具備してなり、
前記筒状サポート要素(24)は、前記第1のシーリングアセンブリ(14)に対して、したがって前記ホイールハブの前記内側リング(5)に対して、前記第2のシーリングアセンブリ(15)を軸方向に保持するために前記歯(32)をスナップ方式で受けるように、前記歯(32)の形状に対して相補的な形状を、その側面(33, )の側において有することを特徴とする静的シーリングデバイス(1)。
【請求項2】
弾性材料から形成された前記歯(32)の中には、前記第2のシーリングアセンブリ(15)の前記筒状コア(28)の前記第2の端部(30)が埋設されており、かつ、前記筒状サポート要素(24)の前記側面(33)は、使用時、前記歯(32)が、前記筒状サポート要素と一体でありかつ前記筒状サポート要素の前記側面と実質的に面一状態で始まる軸方向ショルダー()に対して前面で当接するような形状とされていることを特徴とする請求項1に記載のシーリングデバイス(1)。
【請求項3】
前記軸方向ショルダーは、使用時、前記弾性的に変形可能な歯(32)の形状に対して相補的な形状を有する前記筒状サポート要素(24)の前記側面(33, )が、前記筒状サポート要素(24)の前記半径方向内側面であるか、あるいは前記半径方向外側面であるかに依存して、前記内側リング(5)によって、あるいは前記第1のシールドの前記フランジ部分(18)によって形成されることを特徴とする請求項2に記載のシーリングデバイス。
【請求項4】
前記筒状サポート要素(24)は弾性材料からなる筒状スリーブ(34)からなり、これは前記フランジ部分(18)から突出するように軸方向に突き出し、それは一体でそれに対して一体的に拘束されており、かつ、前記スリーブ部分(17)と実質的に面一状態で、したがって前記内側リング(5)の前記半径方向外側円筒側面(26)と実質的に面一状態で配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のシーリングデバイス。
【請求項5】
前記第1のシールド(16)の前記フランジ部分(18)は、外向きにかつ前記ジョイント(6)に向かって、磁化可能な弾性材料からなる、軸方向に測った所定厚みの、インサート(19b)からなる環状信号発生要素(19)を支持し、これは、前記等速ジョイント(6)に面する前記第1のシールド(16)の前記フランジ部分の第1の前面(20)に対して、それを完全に覆うために、定着されており、弾性材料からなる筒状スリーブ(34)からなる前記筒状サポート要素(24)は、前記環状信号発生要素(19)と一体で形成されており、これによって、前記筒状サポート要素(24)は前記第1のシールドの前記フランジ部分(18)に対して一体的に定着されていることを特徴とする請求項4に記載のシーリングデバイス。
【請求項6】
前記筒状サポート要素(24)を形成する弾性材料からなる前記筒状スリーブ(34)は、使用時に前記ジョイント(6)に面する前記フランジ部分(18)の前記第1の前面(20)の側に、その突出延在部を形成するように、前記第1のシールド(16)の前記スリーブ部分(17)の厚みと実質的に等しい半径方向に測定された厚みを有することを特徴とする請求項4または請求項5に記載のシーリングデバイス。
【請求項7】
前記第1のシーリングアセンブリ(14)の前記第1のシールド(16)の前記フランジ部分(18)は、前記フランジ部分(18)のU字形折り曲げ部によって形成され、かつ、前記筒状サポート要素(24)を形成する弾性材料からなる前記筒状スリーブ(34)に向かって延在する環状バルジ(35)を、実質的に前記スリーブ部分(17)に有することを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記筒状サポート要素(24)は、前記スリーブ部分(17)に対して反対側で前記フランジ部分(18)から突出するように軸方向に突き出すために、少なくとも前記フランジ部分(18)に形成された、半径方向断面に関してU字形の折り曲げ部によって形成された前記第1のシールド(16)の環状隆起部分からなり、前記U字形折り曲げ部は前記スリーブ部分(17)に面するその凹面を有し、かつ、その対向する側の一つは、前記筒状サポート要素(24)に対する結合のために、前記弾性的に変形可能な歯(32)の形状に対して相補的な形状を有する前記側面()を形成していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシーリングデバイス。
【請求項9】
前記筒状サポート要素(24)の前記側面(33)は、前記第1のシールド(16)の前記フランジ部分(18)により近いその第1の端部(30)において、一方では、前記筒状サポート要素(24)上に選択的な半径方向曲げゾーン(40)を、そして他方では、前記第2のシーリングアセンブリの前記コア(28)の前記第2の端部の弾性的に変形可能な歯(32)用の環状受けシートを形成するよう構成された環状凹部(38)を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のシーリングデバイス。
【請求項10】
前記筒状サポート要素(24)の前記側面(33)は、前記第1の端部(30)と向き合って、その一つの第2の端部(43)に形成された環状リム(42)を備え、前記リム(42)は、前記凹部(38)に直に隣接するポジションへと延在しており、かつ、半径方向断面に関して、前記凹部(38)の対応する凹状湾曲プロファイルに継ぎ目なくつながる凸状湾曲プロファイルを有することを特徴とする請求項9に記載のシーリングデバイス。
【請求項11】
前記環状リム(42)の前記プロファイルは、前記第1のシーリングアセンブリの前記シールドの前記フランジ部分(18)と反対の側に、前記筒状サポート要素(24)の、前記ジョイント(6)に向かって開く入口開口(44)を形成していることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第2のシーリングアセンブリ(15)の弾性材料からなる前記歯(32)は、前記デバイスの長手方向対称軸線(A)と直交するように配置された前方平坦面(45)によって前記第1のシーリングアセンブリ(14)に向かって範囲が画定され、かつ、前記筒状コア(28)の前記第2の端部(30)から部分的に突出するように軸方向に突出しており、これは、前記第1および第2のシーリングアセンブリが結合された際に、前記筒状サポート要素の前記開拡入口開口(44)に実質的に接する環状の円錐台面(46)によって前記歯(32)に向かって範囲が画定されていることを特徴とする請求項11に記載のシーリングデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−11346(P2013−11346A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−136667(P2012−136667)
【出願日】平成24年6月18日(2012.6.18)
【出願人】(508282993)アクティエボラゲット・エスコーエッフ (42)