等速自在継手用ブーツ装着方法及び等速自在継手用ブーツ装着装置
【課題】熟練することなく、初心者でも安定してブーツバンドを縮径できて、ブーツをブーツ装着部に固定することができる等速自在継手用ブーツの装着方法および装着装置を提供する。
【解決手段】帯状部材51をリング状に丸めてブーツ40のバンド装着部に外嵌されるリング部60を形成する。リング部60には周方向に沿って所定ピッチだけ離間した一対の突起部53,58が形成される。突起部53,58を周方向に沿って相互に接近させて、リング部60を縮径させる。一対の爪部材71,72の先端係止部78,79にて突起部53,58を挟持した状態で、爪部材71,72を枢支部77を中心に相互に接近する方向に揺動させながら、爪部材71,72をリング60の径方向に変位させる。リング部60の縮径に伴った突起部53,58の径方向及び周方向の変位に爪部材71,72の先端係止部78,79の位置を追従させる。
【解決手段】帯状部材51をリング状に丸めてブーツ40のバンド装着部に外嵌されるリング部60を形成する。リング部60には周方向に沿って所定ピッチだけ離間した一対の突起部53,58が形成される。突起部53,58を周方向に沿って相互に接近させて、リング部60を縮径させる。一対の爪部材71,72の先端係止部78,79にて突起部53,58を挟持した状態で、爪部材71,72を枢支部77を中心に相互に接近する方向に揺動させながら、爪部材71,72をリング60の径方向に変位させる。リング部60の縮径に伴った突起部53,58の径方向及び周方向の変位に爪部材71,72の先端係止部78,79の位置を追従させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、等速自在継手用ブーツ装着方法及び等速自在継手用ブーツ装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や各種産業機械における動力の伝達に用いられる等速自在継手には、継手内部への塵埃等の異物浸入防止や継手内部に封入されたグリースの漏れ防止を目的とし、ブーツが装着される。また、等速自在継手用ブーツの材料としては、シリコーン材、CR材(クロロプレン)、VAMAC材(エチレンアクリルゴム)、CM材(塩素化ポリエチレン)等が知られている。
【0003】
そして、等速自在継手用ブーツはブーツバンドを使用して等速自在継手に装着固定される。バンドとしては、特許文献1等に記載のロープロファイルバンドがある。このバンドは、図11に示すような帯状部材1を図12に示すようにリング状に丸めて、ブーツの装着部に外嵌装着するものである。
【0004】
帯状部材1は、一端部側に、表面側に突出する突起部2と、この突起部2に近接する爪部3と、この爪部3に近接して表面側に突出する突起部4,5とが設けられ、また、他端部側に、矩形状の係合孔6と、この係合孔6に近接する長孔7とが設けられている。また、この長孔7に反係合孔側に表面側に突出する突起部8が設けられている。
【0005】
このバンドを用いて、ブーツを固定する方法は、まず、図12(a)に示すように、突起部2が長孔7に嵌合するように、リング状に丸める。すなわち、リング部9を形成して、ブーツのバンド装着部に遊嵌状に外嵌した状態とする。この場合、突起部2を長孔7において係合孔6側に配置する状態とする。
【0006】
その後は、後述する工具10(図13参照)にて、突起部8と突起部2とを挟んだ状態とし、この工具10を操作して、突起部2と突起部8とを相対的に図12(b)に示すように、接近させる。この接近によって、リング部9は順次縮径していくことになる。そして、図12(c)に示すように、突起部2と突起部8とが接触した状態で、突起部5が係合孔6に係合するとともに、突起部4が長孔7の係合孔6側に係合する。これによって、このバンドがブーツのバンド装着部を締め付けることになって、ブーツを等速自在継手の外側継手部材や、この等速自在継手に内側継手部材に嵌入されるシャフトに固着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−219960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前記のように、周方向に沿って所定間隔で離間した突起部を図12に示すような工具10にて、相互に接近させる場合、まず、図13(a)に示す状態にセットする。すなわち、ブーツ11のバンド装着部11aに対して、帯状部材1を丸めてリング部12を形成する。これによって、周方向に沿って所定間隔で配置される突起部2,8が径方向外方に突出される。
【0009】
また、工具10として、一対の爪部材13、13を備えたものである。この場合、爪部材13、13は、枢支軸を中心に揺動するものであって、円弧(軌跡)15に沿って揺動することになる。
【0010】
すなわち、図13(a)に示す初期状態から、爪部材13、13を揺動させて、突起部2,8の間隔を小さくしようとした場合、爪部材13、13の係止部13a,13aは、前記円弧15によって矢印S方向に揺動する。このため、係止部13a,13aは、矢印M方向に相互に接近するとともに、リング部12に対しても矢印N方向に接近することになる。このため、リング部12の縮径により、係止部2,8が前記円弧15から外れることになる。
【0011】
したがって、揺動する係止部13a,13aにて突起部2,8を押圧することができない状態を招くおそれがある。このような場合、リング部12を縮径させることができなくなったり、係止部13a,13aがリング部12に接触して、リング部12が変形したりするおそれがあった。このため、安定した縮径作業を行うことができなかった。したがって、従来では、作業者は、係止部13a,13aをリング部12に接触させないように、爪部材の位置を調整する必要があり、この調整には、熟練者が手作業で行っていた。
【0012】
本発明の課題は、熟練することなく、初心者でも安定してブーツバンドを縮径できて、ブーツをブーツ装着部に固定することができる等速自在継手用ブーツの装着方法および装着装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の等速自在継手用ブーツ装着方法は、帯状部材をリング状に丸めてブーツのバンド装着部に外嵌されるリング部を形成し、このリング部には周方向に沿って所定ピッチだけ離間した一対の突起部が形成され、この一対の突起部を周方向に沿って相互に接近させて、このリング部を縮径させる等速自在継手用ブーツ装着方法であって、一対の爪部材の先端係止部にて前記リング部の一対の突起部を挟持した状態で、この一対の爪部材を枢支部を中心に相互に接近する方向に揺動させながら、この一対の爪部材をリングの径方向に変位させ、リング部の縮径に伴った突起部の径方向及び周方向の変位に前記爪部材の先端係止部の位置を追従させるものである。
【0014】
本発明の等速自在継手用ブーツ装着方法によれば、リング部の縮径に伴った突起部の径方向及び周方向の変位に前記爪部材の先端係止部の位置を追従させることができる。このため、爪部材の先端係止部は、縮径すべきリングに接触したり、突起部から離れたりすることなく、一対の突起部を相互に周方向に沿って接近させることができる。
【0015】
前記一対の突起部の接近作業開始前の周方向位置および径方向位置から接近作業終了後の周方向位置および径方向位置までを演算しておき、この演算値に基づいて一対の爪部材先端係止部の位置を変位させるようにするのが好ましい。
【0016】
このように設定することによって、予め設定しておいて演算値に基づいて一対の爪部材先端係止部の位置を変位させることになる。このため、一対の突起部の相互の接近動作が安定する。
【0017】
爪部材の揺動動作と爪部材の径方向の移動動作とが連動するようにしてもよい。このように連動させれば、一対の突起部の接近操作が滑らかに行える。
【0018】
一対の突起部の接近作業開始前の周方向位置および径方向位置から接近作業終了後の周方向位置および径方向位置までの間に、複数の中間位置を設け、各中間位置で停止させつつ前記リング部を縮径させるようにできる。このように設定させれば、爪部材の1回の動作量を小さくできる。
【0019】
本発明の等速自在継手は、継手内部を密封するブーツを備えた等速自在継手であって、前記等速自在継手用ブーツ装着方法を用いて、ブーツのバンド装着部に締め付け装着されるものである。
【0020】
本発明の等速自在継手用ブーツ装着装置は、帯状部材をリング状に丸めてブーツのバンド装着部に外嵌されるリング部を形成し、このリング部には周方向に沿って所定ピッチだけ離間した一対の突起部が形成され、この一対の突起部を周方向に沿って相互に接近させて、このリング部を縮径させる等速自在継手用ブーツ装着装置であって、枢支部を中心にその先端係止部が相互に接近・離間する方向に揺動する一対の爪部材を有する締め付け手段と、この締め付け手段の爪部材を、ブーツのバンド装着部に対して接近・離間させる方向に往復動させる往復動手段と、この締め付け手段の爪部材を相互に接近・離間する方向に揺動させる駆動手段と、前記往復動手段及び駆動手段を制御して、リング部の縮径に伴った突起部の径方向及び周方向の変位に前記爪部材の先端係止部の位置を追従させる制御手段とを備えたものである。
【0021】
本発明の等速自在継手用ブーツ装着装置によれば、制御手段にて、往復動手段と駆動手段とを制御することによって、リング部の縮径に伴った突起部の径方向及び周方向の変位に締め付け手段の爪部材の先端係止部の位置を追従させることができる。このため、爪部材の先端係止部は、縮径すべきリングに接触したり、突起部から離れたりすることなく、一対の突起部を相互に周方向に沿って接近させることができる。
【0022】
往復動手段や駆動手段にサーボモータを用いることができる。サーボモータとはサーボ機構において位置、速度等を制御する用途に使用するモータである。サーボモータには、ACサーボモータ、DCサーボモータ、ステッピングモータ等がある。ACサーボモータは、位置決め機能との組み合わせで高精度な位置決め制御ができ、ステッピングモータはデジタル制御で高精度の位置決め運転ができる利点がある。
【0023】
等速自在継手は、継手内部を密封するブーツを備えた等速自在継手であって、前記等速自在継手用ブーツ装着装置を用いて、ブーツのバンド装着部に締め付け装着されたものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、爪部材の先端係止部は、縮径すべきリングに接触したり、突起部から離れたりすることなく、一対の突起部を相互に周方向に沿って接近させることができ、安定した縮径作業を行うことができる。このため、ブーツのバンド装着部を安定して締め付けることができ、ブーツを等速自在継手に安定して装着できる。
【0025】
予め設定しておいて演算値に基づいて一対の爪部材先端係止部の位置を変位させるようにすれば、一対の突起部の相互の接近動作が安定し、縮径性の向上を図ることができる。
【0026】
爪部材の揺動動作と爪部材の径方向の移動動作とが連動するものであれば、一対の突起部の接近操作が滑らかに行え、縮径動作が安定する。
【0027】
各中間位置で停止するようにすれば、爪部材の1回の動作量を小さくでき、1回のバンドの締め付け量を少なくでき、締め付け作用が安定する。
【0028】
往復動手段や駆動手段にサーボモータを用いることができ、これによって、爪部材の動作を高精度の制御でき、高精度の縮径が可能となる。
【0029】
本発明の等速自在継手ではブーツを安定した状態で取り付けることができ、長期にわたってブーツによって継手内部を密封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の等速自在継手用ブーツ装着装置の簡略図である。
【図2】前記等速自在継手用ブーツ装着装置の爪部材を示し、(a)は開状態の拡大図であり、(b)は閉状態の拡大図である。
【図3】前記等速自在継手用ブーツ装着装置の爪部材の動作を示す簡略図である。
【図4】前記等速自在継手用ブーツ装着装置の爪部材の接近作業終了後における爪部材とバンドとの関係を示す簡略図である。
【図5】前記等速自在継手用ブーツ装着装置の爪部材の開動作による爪部材の上昇量を示す簡略図である。
【図6】ブーツバンドとブーツのバンド装着部との関係を示す簡略断面図である。
【図7】前記等速自在継手用ブーツ装着装置を用いてブーツを装着した状態の等速自在継手の断面図である。
【図8】ブーツバンドを示す平面図である。
【図9】前記図8に示すブーツバンドを示す側面図である。
【図10】前記図8に示すブーツバンドをリング状に丸めた状態の側面図である。
【図11】従来のブーツバンドを示す平面図である。
【図12】図11に示すブーツバンドの従来の装着方法を示し、(a)は締め付ける前の簡略斜視図であり、(b)は締め付けた途中の簡略斜視図であり、(c)は締め付け後の簡略斜視図である。
【図13】図11に示すブーツバンドを従来の装着方法を示し、(a)は締め付ける前の簡略断面図であり、(b)は締め付けた後の簡略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0032】
図7に継手内部を密封するブーツを備えた等速自在継手を示す。この等速自在継手は、固定式等速自在継手である。この固定式等速自在継手は、内径面21に複数のトラック溝22が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された外側継手部材23と、外径面24に外側継手部材23のトラック溝22と対をなす複数のトラック溝25が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された内側継手部材26と、外側継手部材23のトラック溝22と内側継手部材26のトラック溝25との間に介在してトルクを伝達する複数のボール27と、外側継手部材23の内径面21と内側継手部材26の外径面24との間に介在してボール27を保持するケージ28とを備えている。ケージ28には、ボール27が収容されるポケット28aが周方向に沿って複数配設されている。
【0033】
また、内側継手部材26はシャフト嵌入用孔部29が設けられ、このシャフト嵌入用孔部29の内径面に雌スプライン33が形成されている。内側継手部材26のシャフト嵌入用孔部29にシャフト35の端部雄スプライン35aが嵌入され、この端部雄スプライン35aが内側継手部材26の雌スプライン33に嵌合する。なお、端部雄スプライン35aの端部には周方向溝36が設けられ、この周方向溝36に止め輪37が装着されている。
【0034】
外側継手部材23の開口部がブーツ40にて塞がれている。ブーツ40は、大径部40aと、小径部40bと、大径部40aと小径部40bとを連結する蛇腹部40cとを備える。そして、ブーツ40の大径部40aが、外側継手部材23の開口部に外嵌された状態でブーツバンド50が締め付けられて、外側継手部材23に固定される。また、ブーツ40の小径部40bは、シャフト35のブーツ装着部35bに外嵌された状態でブーツバンド50が締め付けられて、シャフト35に固定される。
【0035】
この場合のブーツバンド50は、図8〜図10に示すような帯状部材51にて構成される。この金属製の帯状部材51は、その一端側に幅狭部52が形成され、この幅狭部52の近傍に表面51a側へ突出する突起部53が設けられる。さらには、この突起部53側に、それぞれ、表面51a側へ突出する突起部54と係合片55a,55bが設けられる。また、この帯状部材51の他端側には、矩形長孔56と、正方形状の係合孔57が設けられている。そして、矩形長孔56の反係合孔側に、表面51a側に突出する突起部58が設けられている。
【0036】
突起部53と突起部58とは、一対の傾斜片53a、53a、58a、58aからなる三角形状体にて構成され、突起部54は、帯状部材51の表面51aから立設される突出する立上片54aと、この立上片54aから帯状部材51と略平行に延びる平行片54bとからなる。また、係合片55a,55bはフック形状からなる。なお、ブーツバンド50の材質として、例えば、アルミニウムまたはステンレス鋼等を用いることができるが、これらに限るものではない。すなわち、図7に示すように、ブーツ40の大径部40aや小径部40bを締め付けることができ、この状態を維持できる剛性を具備するものであって、この等速自在継手の使用環境等において劣化し難いものを選択できる。
【0037】
このように構成されるバンド50の締め付け方法を説明する。まず、図10に示すように、リング状に丸めていって、リング部60を形成する。この丸めは、突起部53、54及び係合片55a、55bが設けられた一端側が、長孔56と係合孔57とが設けられた他端側よりも内径側となるように丸める。そして、縮径初期状態として、一端側の突起部53を内径側から長孔56に嵌入させる。この場合、突起部53は長孔56内において、係合孔57側に位置させる。
【0038】
その後、本発明に係る等速自在継手用ブーツ装着装置を用いて、突起部53と突起部58とを相互に接近させる。これによって、帯状部材51にて構成されるリング部60が縮径する。すなわち、突起部53が内径側に位置する一端側に設けられ、突起部58が外径側に位置する他端側に設けられるので、突起部53と突起部58とが相互に接近することによって、リング部60が縮径する。
【0039】
そして、係合片55bを係合孔57に係合させるとともに、係合片55aを長孔56に係合させる。すなわち、一対の係合片55a,55bにて、長孔56と係合孔57との間の仕切部61を挟持する状態となる。これによって、この縮径状態を維持できる。
【0040】
次に本発明に係る等速自在継手用ブーツ装着装置を説明する。この装置は、図1に示すように、一対の爪部材71,72を有する締め付け手段73と、締め付け手段73の爪部材71,72を、ブーツ40のバンド装着部(大径部40a又は小径部40b)(図1参照)に対して接近・離間させる方向に往復動させる往復動手段74と、この締め付け手段73の爪部材71,72を相互に接近・離間する方向に揺動させる駆動手段75と、前記往復動手段及び駆動手段を制御する制御手段76とを備える。なお、この制御手段76として、マイクロコンピュータ等にて構成できる。
【0041】
爪部材71,72は、図2に示すように、枢支部(枢支軸)77を中心に矢印A,B方向に揺動するものである。この場合、爪部材71,72は長手方向方向中間部において枢支部77を介して連結され、枢支部77よりも基端側の対向面に切欠部71a、72aが設けられている。また、爪部材71,72の対向面先端には、後述するように、ブーツバンド50の突起部53,58を挟むための先端係止部78、79が設けられる。
【0042】
駆動手段75はサーボモータ80を有するサーボシステムにて構成される。すなわち、駆動手段75は、サーボモータ80の駆動によって、その軸心方向に沿って往復動するロッド81を備え、このロッド81の先端にはブロック体82を介して連設される操作軸部83が形成されている。そして、このロッド81の往復動はガイド機構84によってガイドされる。
【0043】
ところで、サーボモータ80とはサーボ機構において位置、速度等を制御する用途に使用するモータである。サーボモータには、ACサーボモータ、DCサーボモータ、ステッピングモータ等がある。ACサーボモータは、位置決め機能との組み合わせで高精度な位置決め制御ができ、ステッピングモータはデジタル制御で高精度の位置決め運転ができる利点がある。この場合、前記サーボモータ80として、前記した既存の種々のモータを用いることができる。
【0044】
ガイド機構84は、いわゆるリニアガイド機構であって、ガイドレール84aと、このガイドレール84aに沿って、矢印C,D方向に往復動するスライダ84bとを備える。そして、このスライダ84bと前記ブロック体82とが一体化されている。このため、サーボモータ80が駆動することによって、ガイド機構84にガイドされつつロッド81が矢印C,D方向に往復動する。
【0045】
操作軸部83は、図2に示すように、その先端部には先端に向かって縮径するテーパ部83aが設けられている。また、爪部材71,72の切欠部71a,72aには、摺接部材85、85が設けられている。この場合、図示省略の弾性部材にて、爪部材71,72は矢印B、B1方向に枢支部77を中心に揺動するように付勢されている。このため、図2(a)に示すように、操作軸部83が上昇した状態では、テーパ部83aの先端側に摺接部材85、85が当接する状態となって、先端係止部78、79が矢印B方向に揺動した状態(つまり、開状態)となる。
【0046】
この図2(a)に示す状態から図2(b)に示すように、操作軸部83が下降すれば、操作軸部83は、爪部材71,72の切欠部71a,72a間に侵入することになる。この侵入によって、摺接部材85、85が操作軸部83のテーパ部83aを摺接して、爪部材71,72は矢印A,A1方向に枢支部77を中心に揺動する。このため、先端係止部78、79が矢印A方向に揺動した状態(つまり、閉状態)となる。また、図2(b)に示す閉状態から操作軸部83を上昇させれば、摺接部材85、85が操作軸部83のテーパ部83aを摺接して、爪部材71,72は矢印B,B1方向に枢支部77を中心に揺動する。このため、先端係止部78、79が矢印B方向に揺動した状態(つまり、開状態)となる。
【0047】
図1に示すように、往復動手段74はサーボモータ90を有するサーボシステムにて構成される。すなわち、往復動手段74は、サーボモータ90の駆動によって、その軸心方向に沿って往復動するロッド91を備え、このロッド91の先端にはブロック体92が連設されている。そして、このロッド91の往復動はガイド機構94によってガイドされる。
【0048】
ガイド機構94はいわゆるリニアガイド機構であって、ガイドレール94aと、このガイドレール84aに沿って、矢印E,F方向に往復動するスライダ94bとを備える。そして、このスライダ94bと前記ブロック体92とが一体化されている。このため、サーボモータ90が駆動することによって、ガイド機構94にガイドされつつロッド91が矢印E,F方向に往復動する。
【0049】
また、ブロック体92に前記駆動手段75のガイド機構84のガイドレール84aが付設される。このため、往復動手段74のサーボモータ90が駆動することによって、ロッド91が矢印E,F方向に往復動すれば、爪部材71,72が矢印E,F方向と平行な矢印E1,F1方向に往復動する。
【0050】
制御手段76には、予め、下記のように求めた算出値(演算値)を入力しておく。算出値(演算値)は、図3に示すP0、P1、P2、P3、P4の位置座標と、P´0、P´1、P´2、P´3、P´4の位置座標である。この場合、加締め開始位置での先端係止部78、79の先端位置をP0、P´0とし、加締め終了位置での先端係止部78の先端位置をP4、P´4とする。そして、このP0、P´0からP4、P´4とまでの座標を演算(算出)することになる。
【0051】
この場合、図4に示すように、リング部60の中心(以下バンド中心)Oからの位置P4と位置P´4とが成す角度(θP4), バンド中心Oを中心に先端位置78aと先端位置79aとを含む円における位置P4、P´4間の弧の長さLP4を算出する。すなわち、締め付後のバンド直径(リング部直径)と、バンドの肉厚、締め付け完了位置での爪部材の間隔寸法(先端位置78a、79a間寸法)に基づいて、これらを算出することになる。
【0052】
また、リング部60の中心(以下バンド中心)Oからの位置P0と位置P´0とが成す角度(θP1), バンド中心Oを中心に先端位置78aと先端位置79aとを含む円における位置P0、P´0間の弧の長さLP0を算出する。締め付前のバンド直径(リング部直径)と、バンドの肉厚、締め付け開始位置での爪部材の間隔寸法(先端位置78a、79a間寸法)に基づいて、これらを算出することになる。
【0053】
加締め開始位置から加締め終了位置までの角度を均等に3分割した位置の途中位置(中間位置)(P0〜P4、P´0〜P´4)とし、1回の動作角度θP(図3参照)を算出する。以上の算出に基づいてP0、P1、P2、P3、P4の座標を算出する。また、P´0、P´1、P´2、P´3、P´4の座標を同様に算出することができる。
【0054】
ところで、図5に示すように、枢支軸77の位置を固定して、爪部材71,72を揺動(開閉)させた場合、爪部材71,72が閉の状態(図2(b)に示す状態)から開の状態(図1(a)に示す状態)に開く場合、爪部材71,72が開くに連れて爪部材71,72の先端係止部78、79の先端位置79a、79aの位置は上昇していく。そこで、開き量Hに対する上昇量hを算出する。この場合、中心Oから先端位置79a、79aまでの距離(半径R)は既知である。この上昇量hを前記P0〜P4、P´0〜P´4の座標位置に対して補正する。
【0055】
また、図6に示すように、リング部60が縮径されていけば、リング部60の中心は上昇することになる。例えば、図6(a)に示すように、バンド装着部(ブーツ40の大径部40a又は小径部40b)にバンド50を外嵌した状態、つまり、縮径する前の状態において、バンド50の肉厚をt1とし、リング部内径をDinとし、リング部外径をDoutとする。そして、このリング部60を縮径させて図6(b)に示す状態(縮径させた状態)となった場合を、リング部内径をD´inとし、リング部外径をD´outとする。この図6(a)(b)から分かるように、リング部60の中心OはI(ずれ量)だけずれる。このため、このずれ量Iを前記P0〜P4、P´0〜P´4の座標位置に対して補正する。
【0056】
すなわち、上昇量h及びずれ量Iを補正したP0〜P4、P´0〜P´4の座標位置を制御手段76に入力する。このように、P0〜P4、P´0〜P´4が入力された制御手段76によって、前記往復動手段74と往復動手段74とを制御することによって、爪部材71、72の位置を図3の仮想線で示す位置に順次変位させる。
【0057】
次に、この装置を用いたブーツ40の装着方法を説明する。ところで、ブーツ40は、その大径部40aが等速自在継手の外側継手部材23の開口部に装着されるとともに、その小径部40bがシャフト35のブーツ装着部35bに装着される。このため、大径部40a及び小径部40bがバンド装着部となる。なお、前記演算値(補正した演算値)は、制御手段76であるマイクロコンピュータのキーボート(タッチパネル等)にて入力することができる。
【0058】
このため、装置を用いたブーツ40の装着は、まず、ブーツバンド50を構成する帯状部材51を、リング状に丸めて、その形成されるリング部60にてバンド装着部(大径部40a又は小径部40b)に外嵌状態とする。この場合、前記したように、縮径初期状態として、一端側の突起部53を内径側から長孔56に嵌入させる。この場合、突起部53は長孔56内において、係合孔57側に位置させる。
【0059】
そして、制御手段76にて、駆動手段75と往復動手段74とを制御して、爪部材71,72にて、突起部58と突起部53を挟む状態とする。すなわち、爪部材71,72の先端係止部78、79の先端位置79a、79aを図3のP0、P´0の位置とする。
【0060】
その後は、駆動手段75と往復動手段74とに基づいて、爪部材71,72の先端係止部78、79の先端位置79a、79aを、順次、前記のように算出したP1、P´1、P2、P´2、P3、P´3、P4、P´4の位置へと変位させる。これによって、突起部58と突起部53との間の間隔を周方向に沿って小さくできる。この場合、リング部60の縮径に伴った突起部53,58の径方向及び周方向の変位に爪部材71、72の先端係止部78,79の位置を追従させることになる。
【0061】
そして、爪部材71,72の先端係止部78、79の先端位置79a、79aがP4、P´4に位置した状態で、係合片55bが係合孔57に係合するとともに、係合片55aが長孔56に係合し、この縮径状態を維持できる。これによって、ブーツ40のバンド装着をこのブーツバンドにて締め付けた状態で、固定することができる。
【0062】
本発明では、爪部材71、72の先端係止部78,79は、縮径すべきリング60に接触したり、突起部53,58から離れたりすることなく、一対の突起部53,58を相互に周方向に沿って接近させることができ、安定した縮径作業を行うことができる。従って、ブーツ40のバンド装着部を安定して締め付けることができ、ブーツ40を等速自在継手に安定して装着できる。
【0063】
また、予め設定しておいて演算値に基づいて一対の爪部材71,72の先端係止部78,79の位置を変位させることになり、一対の突起部53,58を相互に接近動作が安定し、縮径性の向上を図ることができる。また、この装置においては、爪部材71,72の揺動動作と爪部材71,72の径方向の移動動作とが連動することになり、一対の突起部53,58の接近操作が滑らかに行え、縮径動作が安定する。
【0064】
爪部材71,72は、複数の中間位置で停止するものであるので、爪部材71,72の1回の動作量を小さくでき、1回のバンド50の締め付け量を少なくでき、締め付け作用が安定する。往復動手段74や駆動手段75にサーボモータを用いることができ、これによって、爪部材71,72の動作を高精度の制御でき、高精度の縮径が可能となる。
【0065】
このように、本発明の装着装置に基づく装着方法でもって、ブーツ40の大径部40aを外側継手部材23に装着したり、ブーツ40の小径部40bをシャフト35のブーツ装着部35bに装着したりするができる。このため、このように装着すれば、ブーツ40を安定した状態で取り付けることができ、長期にわたってブーツによって継手内部を密封することができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、前記実施形態では、中間点を3点としていたが、4点以上であっても、逆に2点以下であってもよい。また、駆動手段及び往復動手段に、サーボモータを用いたものであったが、このようなサーボモータを用いないで、シリンダ機構等をもって構成してもよい。
【0067】
また、等速自在継手としては、前記実施形態では、バーフィールドタイプの固定式等速自在継手であったが、アンダーカットフリータイプの固定式等速自在継手であっても、さらには、ダブルオフセットタイプ、トリポードタイブ、さらにはクロスグルーブタイプの摺動式等速自在継手であってもよい。ブーツとしても、ゴム製であっても樹脂製であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
40 ブーツ
51 帯状部材
53,58 突起部
60 リング部
71,72 爪部材
73 締め付け手段
74 往復動手段
75 駆動手段
76 制御手段
77 枢支部(枢支軸)
78,79 先端係止部
【技術分野】
【0001】
本発明は、等速自在継手用ブーツ装着方法及び等速自在継手用ブーツ装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や各種産業機械における動力の伝達に用いられる等速自在継手には、継手内部への塵埃等の異物浸入防止や継手内部に封入されたグリースの漏れ防止を目的とし、ブーツが装着される。また、等速自在継手用ブーツの材料としては、シリコーン材、CR材(クロロプレン)、VAMAC材(エチレンアクリルゴム)、CM材(塩素化ポリエチレン)等が知られている。
【0003】
そして、等速自在継手用ブーツはブーツバンドを使用して等速自在継手に装着固定される。バンドとしては、特許文献1等に記載のロープロファイルバンドがある。このバンドは、図11に示すような帯状部材1を図12に示すようにリング状に丸めて、ブーツの装着部に外嵌装着するものである。
【0004】
帯状部材1は、一端部側に、表面側に突出する突起部2と、この突起部2に近接する爪部3と、この爪部3に近接して表面側に突出する突起部4,5とが設けられ、また、他端部側に、矩形状の係合孔6と、この係合孔6に近接する長孔7とが設けられている。また、この長孔7に反係合孔側に表面側に突出する突起部8が設けられている。
【0005】
このバンドを用いて、ブーツを固定する方法は、まず、図12(a)に示すように、突起部2が長孔7に嵌合するように、リング状に丸める。すなわち、リング部9を形成して、ブーツのバンド装着部に遊嵌状に外嵌した状態とする。この場合、突起部2を長孔7において係合孔6側に配置する状態とする。
【0006】
その後は、後述する工具10(図13参照)にて、突起部8と突起部2とを挟んだ状態とし、この工具10を操作して、突起部2と突起部8とを相対的に図12(b)に示すように、接近させる。この接近によって、リング部9は順次縮径していくことになる。そして、図12(c)に示すように、突起部2と突起部8とが接触した状態で、突起部5が係合孔6に係合するとともに、突起部4が長孔7の係合孔6側に係合する。これによって、このバンドがブーツのバンド装着部を締め付けることになって、ブーツを等速自在継手の外側継手部材や、この等速自在継手に内側継手部材に嵌入されるシャフトに固着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−219960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前記のように、周方向に沿って所定間隔で離間した突起部を図12に示すような工具10にて、相互に接近させる場合、まず、図13(a)に示す状態にセットする。すなわち、ブーツ11のバンド装着部11aに対して、帯状部材1を丸めてリング部12を形成する。これによって、周方向に沿って所定間隔で配置される突起部2,8が径方向外方に突出される。
【0009】
また、工具10として、一対の爪部材13、13を備えたものである。この場合、爪部材13、13は、枢支軸を中心に揺動するものであって、円弧(軌跡)15に沿って揺動することになる。
【0010】
すなわち、図13(a)に示す初期状態から、爪部材13、13を揺動させて、突起部2,8の間隔を小さくしようとした場合、爪部材13、13の係止部13a,13aは、前記円弧15によって矢印S方向に揺動する。このため、係止部13a,13aは、矢印M方向に相互に接近するとともに、リング部12に対しても矢印N方向に接近することになる。このため、リング部12の縮径により、係止部2,8が前記円弧15から外れることになる。
【0011】
したがって、揺動する係止部13a,13aにて突起部2,8を押圧することができない状態を招くおそれがある。このような場合、リング部12を縮径させることができなくなったり、係止部13a,13aがリング部12に接触して、リング部12が変形したりするおそれがあった。このため、安定した縮径作業を行うことができなかった。したがって、従来では、作業者は、係止部13a,13aをリング部12に接触させないように、爪部材の位置を調整する必要があり、この調整には、熟練者が手作業で行っていた。
【0012】
本発明の課題は、熟練することなく、初心者でも安定してブーツバンドを縮径できて、ブーツをブーツ装着部に固定することができる等速自在継手用ブーツの装着方法および装着装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の等速自在継手用ブーツ装着方法は、帯状部材をリング状に丸めてブーツのバンド装着部に外嵌されるリング部を形成し、このリング部には周方向に沿って所定ピッチだけ離間した一対の突起部が形成され、この一対の突起部を周方向に沿って相互に接近させて、このリング部を縮径させる等速自在継手用ブーツ装着方法であって、一対の爪部材の先端係止部にて前記リング部の一対の突起部を挟持した状態で、この一対の爪部材を枢支部を中心に相互に接近する方向に揺動させながら、この一対の爪部材をリングの径方向に変位させ、リング部の縮径に伴った突起部の径方向及び周方向の変位に前記爪部材の先端係止部の位置を追従させるものである。
【0014】
本発明の等速自在継手用ブーツ装着方法によれば、リング部の縮径に伴った突起部の径方向及び周方向の変位に前記爪部材の先端係止部の位置を追従させることができる。このため、爪部材の先端係止部は、縮径すべきリングに接触したり、突起部から離れたりすることなく、一対の突起部を相互に周方向に沿って接近させることができる。
【0015】
前記一対の突起部の接近作業開始前の周方向位置および径方向位置から接近作業終了後の周方向位置および径方向位置までを演算しておき、この演算値に基づいて一対の爪部材先端係止部の位置を変位させるようにするのが好ましい。
【0016】
このように設定することによって、予め設定しておいて演算値に基づいて一対の爪部材先端係止部の位置を変位させることになる。このため、一対の突起部の相互の接近動作が安定する。
【0017】
爪部材の揺動動作と爪部材の径方向の移動動作とが連動するようにしてもよい。このように連動させれば、一対の突起部の接近操作が滑らかに行える。
【0018】
一対の突起部の接近作業開始前の周方向位置および径方向位置から接近作業終了後の周方向位置および径方向位置までの間に、複数の中間位置を設け、各中間位置で停止させつつ前記リング部を縮径させるようにできる。このように設定させれば、爪部材の1回の動作量を小さくできる。
【0019】
本発明の等速自在継手は、継手内部を密封するブーツを備えた等速自在継手であって、前記等速自在継手用ブーツ装着方法を用いて、ブーツのバンド装着部に締め付け装着されるものである。
【0020】
本発明の等速自在継手用ブーツ装着装置は、帯状部材をリング状に丸めてブーツのバンド装着部に外嵌されるリング部を形成し、このリング部には周方向に沿って所定ピッチだけ離間した一対の突起部が形成され、この一対の突起部を周方向に沿って相互に接近させて、このリング部を縮径させる等速自在継手用ブーツ装着装置であって、枢支部を中心にその先端係止部が相互に接近・離間する方向に揺動する一対の爪部材を有する締め付け手段と、この締め付け手段の爪部材を、ブーツのバンド装着部に対して接近・離間させる方向に往復動させる往復動手段と、この締め付け手段の爪部材を相互に接近・離間する方向に揺動させる駆動手段と、前記往復動手段及び駆動手段を制御して、リング部の縮径に伴った突起部の径方向及び周方向の変位に前記爪部材の先端係止部の位置を追従させる制御手段とを備えたものである。
【0021】
本発明の等速自在継手用ブーツ装着装置によれば、制御手段にて、往復動手段と駆動手段とを制御することによって、リング部の縮径に伴った突起部の径方向及び周方向の変位に締め付け手段の爪部材の先端係止部の位置を追従させることができる。このため、爪部材の先端係止部は、縮径すべきリングに接触したり、突起部から離れたりすることなく、一対の突起部を相互に周方向に沿って接近させることができる。
【0022】
往復動手段や駆動手段にサーボモータを用いることができる。サーボモータとはサーボ機構において位置、速度等を制御する用途に使用するモータである。サーボモータには、ACサーボモータ、DCサーボモータ、ステッピングモータ等がある。ACサーボモータは、位置決め機能との組み合わせで高精度な位置決め制御ができ、ステッピングモータはデジタル制御で高精度の位置決め運転ができる利点がある。
【0023】
等速自在継手は、継手内部を密封するブーツを備えた等速自在継手であって、前記等速自在継手用ブーツ装着装置を用いて、ブーツのバンド装着部に締め付け装着されたものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、爪部材の先端係止部は、縮径すべきリングに接触したり、突起部から離れたりすることなく、一対の突起部を相互に周方向に沿って接近させることができ、安定した縮径作業を行うことができる。このため、ブーツのバンド装着部を安定して締め付けることができ、ブーツを等速自在継手に安定して装着できる。
【0025】
予め設定しておいて演算値に基づいて一対の爪部材先端係止部の位置を変位させるようにすれば、一対の突起部の相互の接近動作が安定し、縮径性の向上を図ることができる。
【0026】
爪部材の揺動動作と爪部材の径方向の移動動作とが連動するものであれば、一対の突起部の接近操作が滑らかに行え、縮径動作が安定する。
【0027】
各中間位置で停止するようにすれば、爪部材の1回の動作量を小さくでき、1回のバンドの締め付け量を少なくでき、締め付け作用が安定する。
【0028】
往復動手段や駆動手段にサーボモータを用いることができ、これによって、爪部材の動作を高精度の制御でき、高精度の縮径が可能となる。
【0029】
本発明の等速自在継手ではブーツを安定した状態で取り付けることができ、長期にわたってブーツによって継手内部を密封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の等速自在継手用ブーツ装着装置の簡略図である。
【図2】前記等速自在継手用ブーツ装着装置の爪部材を示し、(a)は開状態の拡大図であり、(b)は閉状態の拡大図である。
【図3】前記等速自在継手用ブーツ装着装置の爪部材の動作を示す簡略図である。
【図4】前記等速自在継手用ブーツ装着装置の爪部材の接近作業終了後における爪部材とバンドとの関係を示す簡略図である。
【図5】前記等速自在継手用ブーツ装着装置の爪部材の開動作による爪部材の上昇量を示す簡略図である。
【図6】ブーツバンドとブーツのバンド装着部との関係を示す簡略断面図である。
【図7】前記等速自在継手用ブーツ装着装置を用いてブーツを装着した状態の等速自在継手の断面図である。
【図8】ブーツバンドを示す平面図である。
【図9】前記図8に示すブーツバンドを示す側面図である。
【図10】前記図8に示すブーツバンドをリング状に丸めた状態の側面図である。
【図11】従来のブーツバンドを示す平面図である。
【図12】図11に示すブーツバンドの従来の装着方法を示し、(a)は締め付ける前の簡略斜視図であり、(b)は締め付けた途中の簡略斜視図であり、(c)は締め付け後の簡略斜視図である。
【図13】図11に示すブーツバンドを従来の装着方法を示し、(a)は締め付ける前の簡略断面図であり、(b)は締め付けた後の簡略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0032】
図7に継手内部を密封するブーツを備えた等速自在継手を示す。この等速自在継手は、固定式等速自在継手である。この固定式等速自在継手は、内径面21に複数のトラック溝22が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された外側継手部材23と、外径面24に外側継手部材23のトラック溝22と対をなす複数のトラック溝25が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された内側継手部材26と、外側継手部材23のトラック溝22と内側継手部材26のトラック溝25との間に介在してトルクを伝達する複数のボール27と、外側継手部材23の内径面21と内側継手部材26の外径面24との間に介在してボール27を保持するケージ28とを備えている。ケージ28には、ボール27が収容されるポケット28aが周方向に沿って複数配設されている。
【0033】
また、内側継手部材26はシャフト嵌入用孔部29が設けられ、このシャフト嵌入用孔部29の内径面に雌スプライン33が形成されている。内側継手部材26のシャフト嵌入用孔部29にシャフト35の端部雄スプライン35aが嵌入され、この端部雄スプライン35aが内側継手部材26の雌スプライン33に嵌合する。なお、端部雄スプライン35aの端部には周方向溝36が設けられ、この周方向溝36に止め輪37が装着されている。
【0034】
外側継手部材23の開口部がブーツ40にて塞がれている。ブーツ40は、大径部40aと、小径部40bと、大径部40aと小径部40bとを連結する蛇腹部40cとを備える。そして、ブーツ40の大径部40aが、外側継手部材23の開口部に外嵌された状態でブーツバンド50が締め付けられて、外側継手部材23に固定される。また、ブーツ40の小径部40bは、シャフト35のブーツ装着部35bに外嵌された状態でブーツバンド50が締め付けられて、シャフト35に固定される。
【0035】
この場合のブーツバンド50は、図8〜図10に示すような帯状部材51にて構成される。この金属製の帯状部材51は、その一端側に幅狭部52が形成され、この幅狭部52の近傍に表面51a側へ突出する突起部53が設けられる。さらには、この突起部53側に、それぞれ、表面51a側へ突出する突起部54と係合片55a,55bが設けられる。また、この帯状部材51の他端側には、矩形長孔56と、正方形状の係合孔57が設けられている。そして、矩形長孔56の反係合孔側に、表面51a側に突出する突起部58が設けられている。
【0036】
突起部53と突起部58とは、一対の傾斜片53a、53a、58a、58aからなる三角形状体にて構成され、突起部54は、帯状部材51の表面51aから立設される突出する立上片54aと、この立上片54aから帯状部材51と略平行に延びる平行片54bとからなる。また、係合片55a,55bはフック形状からなる。なお、ブーツバンド50の材質として、例えば、アルミニウムまたはステンレス鋼等を用いることができるが、これらに限るものではない。すなわち、図7に示すように、ブーツ40の大径部40aや小径部40bを締め付けることができ、この状態を維持できる剛性を具備するものであって、この等速自在継手の使用環境等において劣化し難いものを選択できる。
【0037】
このように構成されるバンド50の締め付け方法を説明する。まず、図10に示すように、リング状に丸めていって、リング部60を形成する。この丸めは、突起部53、54及び係合片55a、55bが設けられた一端側が、長孔56と係合孔57とが設けられた他端側よりも内径側となるように丸める。そして、縮径初期状態として、一端側の突起部53を内径側から長孔56に嵌入させる。この場合、突起部53は長孔56内において、係合孔57側に位置させる。
【0038】
その後、本発明に係る等速自在継手用ブーツ装着装置を用いて、突起部53と突起部58とを相互に接近させる。これによって、帯状部材51にて構成されるリング部60が縮径する。すなわち、突起部53が内径側に位置する一端側に設けられ、突起部58が外径側に位置する他端側に設けられるので、突起部53と突起部58とが相互に接近することによって、リング部60が縮径する。
【0039】
そして、係合片55bを係合孔57に係合させるとともに、係合片55aを長孔56に係合させる。すなわち、一対の係合片55a,55bにて、長孔56と係合孔57との間の仕切部61を挟持する状態となる。これによって、この縮径状態を維持できる。
【0040】
次に本発明に係る等速自在継手用ブーツ装着装置を説明する。この装置は、図1に示すように、一対の爪部材71,72を有する締め付け手段73と、締め付け手段73の爪部材71,72を、ブーツ40のバンド装着部(大径部40a又は小径部40b)(図1参照)に対して接近・離間させる方向に往復動させる往復動手段74と、この締め付け手段73の爪部材71,72を相互に接近・離間する方向に揺動させる駆動手段75と、前記往復動手段及び駆動手段を制御する制御手段76とを備える。なお、この制御手段76として、マイクロコンピュータ等にて構成できる。
【0041】
爪部材71,72は、図2に示すように、枢支部(枢支軸)77を中心に矢印A,B方向に揺動するものである。この場合、爪部材71,72は長手方向方向中間部において枢支部77を介して連結され、枢支部77よりも基端側の対向面に切欠部71a、72aが設けられている。また、爪部材71,72の対向面先端には、後述するように、ブーツバンド50の突起部53,58を挟むための先端係止部78、79が設けられる。
【0042】
駆動手段75はサーボモータ80を有するサーボシステムにて構成される。すなわち、駆動手段75は、サーボモータ80の駆動によって、その軸心方向に沿って往復動するロッド81を備え、このロッド81の先端にはブロック体82を介して連設される操作軸部83が形成されている。そして、このロッド81の往復動はガイド機構84によってガイドされる。
【0043】
ところで、サーボモータ80とはサーボ機構において位置、速度等を制御する用途に使用するモータである。サーボモータには、ACサーボモータ、DCサーボモータ、ステッピングモータ等がある。ACサーボモータは、位置決め機能との組み合わせで高精度な位置決め制御ができ、ステッピングモータはデジタル制御で高精度の位置決め運転ができる利点がある。この場合、前記サーボモータ80として、前記した既存の種々のモータを用いることができる。
【0044】
ガイド機構84は、いわゆるリニアガイド機構であって、ガイドレール84aと、このガイドレール84aに沿って、矢印C,D方向に往復動するスライダ84bとを備える。そして、このスライダ84bと前記ブロック体82とが一体化されている。このため、サーボモータ80が駆動することによって、ガイド機構84にガイドされつつロッド81が矢印C,D方向に往復動する。
【0045】
操作軸部83は、図2に示すように、その先端部には先端に向かって縮径するテーパ部83aが設けられている。また、爪部材71,72の切欠部71a,72aには、摺接部材85、85が設けられている。この場合、図示省略の弾性部材にて、爪部材71,72は矢印B、B1方向に枢支部77を中心に揺動するように付勢されている。このため、図2(a)に示すように、操作軸部83が上昇した状態では、テーパ部83aの先端側に摺接部材85、85が当接する状態となって、先端係止部78、79が矢印B方向に揺動した状態(つまり、開状態)となる。
【0046】
この図2(a)に示す状態から図2(b)に示すように、操作軸部83が下降すれば、操作軸部83は、爪部材71,72の切欠部71a,72a間に侵入することになる。この侵入によって、摺接部材85、85が操作軸部83のテーパ部83aを摺接して、爪部材71,72は矢印A,A1方向に枢支部77を中心に揺動する。このため、先端係止部78、79が矢印A方向に揺動した状態(つまり、閉状態)となる。また、図2(b)に示す閉状態から操作軸部83を上昇させれば、摺接部材85、85が操作軸部83のテーパ部83aを摺接して、爪部材71,72は矢印B,B1方向に枢支部77を中心に揺動する。このため、先端係止部78、79が矢印B方向に揺動した状態(つまり、開状態)となる。
【0047】
図1に示すように、往復動手段74はサーボモータ90を有するサーボシステムにて構成される。すなわち、往復動手段74は、サーボモータ90の駆動によって、その軸心方向に沿って往復動するロッド91を備え、このロッド91の先端にはブロック体92が連設されている。そして、このロッド91の往復動はガイド機構94によってガイドされる。
【0048】
ガイド機構94はいわゆるリニアガイド機構であって、ガイドレール94aと、このガイドレール84aに沿って、矢印E,F方向に往復動するスライダ94bとを備える。そして、このスライダ94bと前記ブロック体92とが一体化されている。このため、サーボモータ90が駆動することによって、ガイド機構94にガイドされつつロッド91が矢印E,F方向に往復動する。
【0049】
また、ブロック体92に前記駆動手段75のガイド機構84のガイドレール84aが付設される。このため、往復動手段74のサーボモータ90が駆動することによって、ロッド91が矢印E,F方向に往復動すれば、爪部材71,72が矢印E,F方向と平行な矢印E1,F1方向に往復動する。
【0050】
制御手段76には、予め、下記のように求めた算出値(演算値)を入力しておく。算出値(演算値)は、図3に示すP0、P1、P2、P3、P4の位置座標と、P´0、P´1、P´2、P´3、P´4の位置座標である。この場合、加締め開始位置での先端係止部78、79の先端位置をP0、P´0とし、加締め終了位置での先端係止部78の先端位置をP4、P´4とする。そして、このP0、P´0からP4、P´4とまでの座標を演算(算出)することになる。
【0051】
この場合、図4に示すように、リング部60の中心(以下バンド中心)Oからの位置P4と位置P´4とが成す角度(θP4), バンド中心Oを中心に先端位置78aと先端位置79aとを含む円における位置P4、P´4間の弧の長さLP4を算出する。すなわち、締め付後のバンド直径(リング部直径)と、バンドの肉厚、締め付け完了位置での爪部材の間隔寸法(先端位置78a、79a間寸法)に基づいて、これらを算出することになる。
【0052】
また、リング部60の中心(以下バンド中心)Oからの位置P0と位置P´0とが成す角度(θP1), バンド中心Oを中心に先端位置78aと先端位置79aとを含む円における位置P0、P´0間の弧の長さLP0を算出する。締め付前のバンド直径(リング部直径)と、バンドの肉厚、締め付け開始位置での爪部材の間隔寸法(先端位置78a、79a間寸法)に基づいて、これらを算出することになる。
【0053】
加締め開始位置から加締め終了位置までの角度を均等に3分割した位置の途中位置(中間位置)(P0〜P4、P´0〜P´4)とし、1回の動作角度θP(図3参照)を算出する。以上の算出に基づいてP0、P1、P2、P3、P4の座標を算出する。また、P´0、P´1、P´2、P´3、P´4の座標を同様に算出することができる。
【0054】
ところで、図5に示すように、枢支軸77の位置を固定して、爪部材71,72を揺動(開閉)させた場合、爪部材71,72が閉の状態(図2(b)に示す状態)から開の状態(図1(a)に示す状態)に開く場合、爪部材71,72が開くに連れて爪部材71,72の先端係止部78、79の先端位置79a、79aの位置は上昇していく。そこで、開き量Hに対する上昇量hを算出する。この場合、中心Oから先端位置79a、79aまでの距離(半径R)は既知である。この上昇量hを前記P0〜P4、P´0〜P´4の座標位置に対して補正する。
【0055】
また、図6に示すように、リング部60が縮径されていけば、リング部60の中心は上昇することになる。例えば、図6(a)に示すように、バンド装着部(ブーツ40の大径部40a又は小径部40b)にバンド50を外嵌した状態、つまり、縮径する前の状態において、バンド50の肉厚をt1とし、リング部内径をDinとし、リング部外径をDoutとする。そして、このリング部60を縮径させて図6(b)に示す状態(縮径させた状態)となった場合を、リング部内径をD´inとし、リング部外径をD´outとする。この図6(a)(b)から分かるように、リング部60の中心OはI(ずれ量)だけずれる。このため、このずれ量Iを前記P0〜P4、P´0〜P´4の座標位置に対して補正する。
【0056】
すなわち、上昇量h及びずれ量Iを補正したP0〜P4、P´0〜P´4の座標位置を制御手段76に入力する。このように、P0〜P4、P´0〜P´4が入力された制御手段76によって、前記往復動手段74と往復動手段74とを制御することによって、爪部材71、72の位置を図3の仮想線で示す位置に順次変位させる。
【0057】
次に、この装置を用いたブーツ40の装着方法を説明する。ところで、ブーツ40は、その大径部40aが等速自在継手の外側継手部材23の開口部に装着されるとともに、その小径部40bがシャフト35のブーツ装着部35bに装着される。このため、大径部40a及び小径部40bがバンド装着部となる。なお、前記演算値(補正した演算値)は、制御手段76であるマイクロコンピュータのキーボート(タッチパネル等)にて入力することができる。
【0058】
このため、装置を用いたブーツ40の装着は、まず、ブーツバンド50を構成する帯状部材51を、リング状に丸めて、その形成されるリング部60にてバンド装着部(大径部40a又は小径部40b)に外嵌状態とする。この場合、前記したように、縮径初期状態として、一端側の突起部53を内径側から長孔56に嵌入させる。この場合、突起部53は長孔56内において、係合孔57側に位置させる。
【0059】
そして、制御手段76にて、駆動手段75と往復動手段74とを制御して、爪部材71,72にて、突起部58と突起部53を挟む状態とする。すなわち、爪部材71,72の先端係止部78、79の先端位置79a、79aを図3のP0、P´0の位置とする。
【0060】
その後は、駆動手段75と往復動手段74とに基づいて、爪部材71,72の先端係止部78、79の先端位置79a、79aを、順次、前記のように算出したP1、P´1、P2、P´2、P3、P´3、P4、P´4の位置へと変位させる。これによって、突起部58と突起部53との間の間隔を周方向に沿って小さくできる。この場合、リング部60の縮径に伴った突起部53,58の径方向及び周方向の変位に爪部材71、72の先端係止部78,79の位置を追従させることになる。
【0061】
そして、爪部材71,72の先端係止部78、79の先端位置79a、79aがP4、P´4に位置した状態で、係合片55bが係合孔57に係合するとともに、係合片55aが長孔56に係合し、この縮径状態を維持できる。これによって、ブーツ40のバンド装着をこのブーツバンドにて締め付けた状態で、固定することができる。
【0062】
本発明では、爪部材71、72の先端係止部78,79は、縮径すべきリング60に接触したり、突起部53,58から離れたりすることなく、一対の突起部53,58を相互に周方向に沿って接近させることができ、安定した縮径作業を行うことができる。従って、ブーツ40のバンド装着部を安定して締め付けることができ、ブーツ40を等速自在継手に安定して装着できる。
【0063】
また、予め設定しておいて演算値に基づいて一対の爪部材71,72の先端係止部78,79の位置を変位させることになり、一対の突起部53,58を相互に接近動作が安定し、縮径性の向上を図ることができる。また、この装置においては、爪部材71,72の揺動動作と爪部材71,72の径方向の移動動作とが連動することになり、一対の突起部53,58の接近操作が滑らかに行え、縮径動作が安定する。
【0064】
爪部材71,72は、複数の中間位置で停止するものであるので、爪部材71,72の1回の動作量を小さくでき、1回のバンド50の締め付け量を少なくでき、締め付け作用が安定する。往復動手段74や駆動手段75にサーボモータを用いることができ、これによって、爪部材71,72の動作を高精度の制御でき、高精度の縮径が可能となる。
【0065】
このように、本発明の装着装置に基づく装着方法でもって、ブーツ40の大径部40aを外側継手部材23に装着したり、ブーツ40の小径部40bをシャフト35のブーツ装着部35bに装着したりするができる。このため、このように装着すれば、ブーツ40を安定した状態で取り付けることができ、長期にわたってブーツによって継手内部を密封することができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、前記実施形態では、中間点を3点としていたが、4点以上であっても、逆に2点以下であってもよい。また、駆動手段及び往復動手段に、サーボモータを用いたものであったが、このようなサーボモータを用いないで、シリンダ機構等をもって構成してもよい。
【0067】
また、等速自在継手としては、前記実施形態では、バーフィールドタイプの固定式等速自在継手であったが、アンダーカットフリータイプの固定式等速自在継手であっても、さらには、ダブルオフセットタイプ、トリポードタイブ、さらにはクロスグルーブタイプの摺動式等速自在継手であってもよい。ブーツとしても、ゴム製であっても樹脂製であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
40 ブーツ
51 帯状部材
53,58 突起部
60 リング部
71,72 爪部材
73 締め付け手段
74 往復動手段
75 駆動手段
76 制御手段
77 枢支部(枢支軸)
78,79 先端係止部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状部材をリング状に丸めてブーツのバンド装着部に外嵌されるリング部を形成し、このリング部には周方向に沿って所定ピッチだけ離間した一対の突起部が形成され、この一対の突起部を周方向に沿って相互に接近させて、このリング部を縮径させる等速自在継手用ブーツ装着方法であって、
一対の爪部材の先端係止部にて前記リング部の一対の突起部を挟持した状態で、この一対の爪部材を枢支部を中心に相互に接近する方向に揺動させながら、この一対の爪部材をリングの径方向に変位させ、リング部の縮径に伴った突起部の径方向及び周方向の変位に前記爪部材の先端係止部の位置を追従させることを特徴とする等速自在継手用ブーツ装着方法。
【請求項2】
前記一対の突起部の接近作業開始前の周方向位置および径方向位置から接近作業終了後の周方向位置および径方向位置までを演算しておき、この演算値に基づいて一対の爪部材先端係止部の位置を変位させることを特徴とする請求項1に記載の等速自在継手用ブーツ装着方法。
【請求項3】
爪部材の揺動動作と爪部材の径方向の移動動作とが連動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の等速自在継手用ブーツ装着方法。
【請求項4】
一対の突起部の接近作業開始前の周方向位置および径方向位置から接近作業終了後の周方向位置および径方向位置までの間に、複数の中間位置を設け、各中間位置で停止させつつ前記リング部を縮径させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の等速自在継手用ブーツ装着方法。
【請求項5】
継手内部を密封するブーツを備えた等速自在継手であって、
前記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の等速自在継手用ブーツ装着方法を用いて、ブーツのバンド装着部に締め付け装着されたことを特徴とする等速自在継手。
【請求項6】
帯状部材をリング状に丸めてブーツのバンド装着部に外嵌されるリング部を形成し、このリング部には周方向に沿って所定ピッチだけ離間した一対の突起部が形成され、この一対の突起部を周方向に沿って相互に接近させて、このリング部を縮径させる等速自在継手用ブーツ装着装置であって、
枢支部を中心にその先端係止部が相互に接近・離間する方向に揺動する一対の爪部材を有する締め付け手段と、
この締め付け手段の爪部材を、ブーツのバンド装着部に対して接近・離間させる方向に往復動させる往復動手段と、
この締め付け手段の爪部材を相互に接近・離間する方向に揺動させる駆動手段と、
前記往復動手段及び駆動手段を制御して、リング部の縮径に伴った突起部の径方向及び周方向の変位に前記爪部材の先端係止部の位置を追従させる制御手段とを備えたことを特徴とする等速自在継手用ブーツ装着装置。
【請求項7】
往復動手段にサーボモータを用いることを特徴とする請求項6に記載の等速自在継手用ブーツ装着装置。
【請求項8】
駆動手段にサーボモータを用いることを特徴とする請求項6に記載の等速自在継手用ブーツ装着装置。
【請求項9】
継手内部を密封するブーツを備えた等速自在継手であって、
前記請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の等速自在継手用ブーツ装着装置を用いて、ブーツのバンド装着部に締め付け装着されたことを特徴とする等速自在継手。
【請求項1】
帯状部材をリング状に丸めてブーツのバンド装着部に外嵌されるリング部を形成し、このリング部には周方向に沿って所定ピッチだけ離間した一対の突起部が形成され、この一対の突起部を周方向に沿って相互に接近させて、このリング部を縮径させる等速自在継手用ブーツ装着方法であって、
一対の爪部材の先端係止部にて前記リング部の一対の突起部を挟持した状態で、この一対の爪部材を枢支部を中心に相互に接近する方向に揺動させながら、この一対の爪部材をリングの径方向に変位させ、リング部の縮径に伴った突起部の径方向及び周方向の変位に前記爪部材の先端係止部の位置を追従させることを特徴とする等速自在継手用ブーツ装着方法。
【請求項2】
前記一対の突起部の接近作業開始前の周方向位置および径方向位置から接近作業終了後の周方向位置および径方向位置までを演算しておき、この演算値に基づいて一対の爪部材先端係止部の位置を変位させることを特徴とする請求項1に記載の等速自在継手用ブーツ装着方法。
【請求項3】
爪部材の揺動動作と爪部材の径方向の移動動作とが連動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の等速自在継手用ブーツ装着方法。
【請求項4】
一対の突起部の接近作業開始前の周方向位置および径方向位置から接近作業終了後の周方向位置および径方向位置までの間に、複数の中間位置を設け、各中間位置で停止させつつ前記リング部を縮径させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の等速自在継手用ブーツ装着方法。
【請求項5】
継手内部を密封するブーツを備えた等速自在継手であって、
前記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の等速自在継手用ブーツ装着方法を用いて、ブーツのバンド装着部に締め付け装着されたことを特徴とする等速自在継手。
【請求項6】
帯状部材をリング状に丸めてブーツのバンド装着部に外嵌されるリング部を形成し、このリング部には周方向に沿って所定ピッチだけ離間した一対の突起部が形成され、この一対の突起部を周方向に沿って相互に接近させて、このリング部を縮径させる等速自在継手用ブーツ装着装置であって、
枢支部を中心にその先端係止部が相互に接近・離間する方向に揺動する一対の爪部材を有する締め付け手段と、
この締め付け手段の爪部材を、ブーツのバンド装着部に対して接近・離間させる方向に往復動させる往復動手段と、
この締め付け手段の爪部材を相互に接近・離間する方向に揺動させる駆動手段と、
前記往復動手段及び駆動手段を制御して、リング部の縮径に伴った突起部の径方向及び周方向の変位に前記爪部材の先端係止部の位置を追従させる制御手段とを備えたことを特徴とする等速自在継手用ブーツ装着装置。
【請求項7】
往復動手段にサーボモータを用いることを特徴とする請求項6に記載の等速自在継手用ブーツ装着装置。
【請求項8】
駆動手段にサーボモータを用いることを特徴とする請求項6に記載の等速自在継手用ブーツ装着装置。
【請求項9】
継手内部を密封するブーツを備えた等速自在継手であって、
前記請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の等速自在継手用ブーツ装着装置を用いて、ブーツのバンド装着部に締め付け装着されたことを特徴とする等速自在継手。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−72438(P2013−72438A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209448(P2011−209448)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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