筐体モジュール、リモコン装置および給湯・追焚装置
【課題】操作性を高め且つカバーの前方への突出を解消することにある。
【解決手段】筐体部(前面ケース6−1、固定カバー10)に設置されて前面部(前面パネル部8)の一部または全部を開閉する開閉カバー(12)と、前記開閉カバーのアーム部(22−1、22−2)が挿入されて該アーム部の移動をガイドするアームガイド部(24−1、24−2、25−1、25−2)を備え、該アームガイド部に形成されたレール部(56、88)と前記アーム部とを係合させ、前記開閉カバーをスライド可能に支持するスライド機構(アーム部22−1、22−2、アームガイド部24−1、24−2、25−1、25−2)とを備える。
【解決手段】筐体部(前面ケース6−1、固定カバー10)に設置されて前面部(前面パネル部8)の一部または全部を開閉する開閉カバー(12)と、前記開閉カバーのアーム部(22−1、22−2)が挿入されて該アーム部の移動をガイドするアームガイド部(24−1、24−2、25−1、25−2)を備え、該アームガイド部に形成されたレール部(56、88)と前記アーム部とを係合させ、前記開閉カバーをスライド可能に支持するスライド機構(アーム部22−1、22−2、アームガイド部24−1、24−2、25−1、25−2)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室などに設置されるリモコン回路などを収納する筐体モジュール、該筐体モジュールを用いたリモコン装置、該リモコン装置を用いた給湯・追焚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯・追焚装置などの機器には遠隔操作を行うためのリモコン装置が備えられる。給湯・追焚装置では浴室に浴室リモコン装置が設置される。このため、浴室内で給湯温度の設定や水位などの設定を容易に行うことができる。
【0003】
このリモコン装置に関し、操作部に開閉蓋を備えて操作部を開閉する機構が知られている(たとえば、特許文献1)。この開閉機構に関し、開閉動作に連動する部材や蓋部材の閉止機構が知られている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−055767号公報
【特許文献2】特許第4449123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、リモコン装置は給湯・追焚装置などの機器本体と別個に設けられ、浴室など、機器本体と離間した場所に設置される。浴室に設置されたリモコン装置にあっては、通常時に使用されないスイッチボタンは隠蔽し、多用されるスイッチボタンを露出させるなど、操作性に対する配慮も必要である。斯かる要請から、必要に応じて開閉されるカバーが備えられる。このカバーは、スイッチボタンなどを防護する機能もある。
【0006】
開状態のカバーが閉状態で前方に突出する構成では、ユーザがカバーのつまみ部分を用いて開閉する手間がある。また、開かれたカバーが邪魔になり、不用意に負荷が加えられるという不都合もある。
【0007】
開状態でカバー背面が露出する構成では、その背面部の対策としてデザイン的な統一性や水滴やごみなどの付着を防止することが必要となるといった課題もある。
【0008】
そこで、本発明の筐体モジュール、リモコン装置または給湯・追焚装置の目的は、操作性を高め且つカバーの前方への突出を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の構成は以下の通りである。
【0010】
(1) 上記目的を達成するため、本発明の筐体モジュールは、筐体部に設置されて前記筐体部の前面部の一部または全部を開閉する開閉カバーと、前記開閉カバーのアーム部が挿入されて該アーム部の移動をガイドするアームガイド部を備え、該アームガイド部に形成されたレール部と前記アーム部とを係合させ、前記開閉カバーをスライド可能に支持するスライド機構とを備える。
【0011】
(2) 上記目的を達成するには、上記筐体モジュールにおいてより好ましくは、前記前面部は円弧面であって、前記アームガイド部および前記アーム部は前記前面部の前記円弧面に応じて湾曲させてもよい。
【0012】
(3) 上記目的を達成するには、上記筐体モジュールにおいてより好ましくは、前記アーム部は、前記アームガイド部の前記レール部に係合する溝部と、前記レール部に平行に形成された立壁とを備えてもよい。
【0013】
(4) 上記目的を達成するには、上記筐体モジュールにおいてより好ましくは、前記筐体部は固定カバーを備え、前記アームガイド部が前記固定カバーと前記筐体部とで形成されてもよい。
【0014】
(5) 上記目的を達成するには、上記筐体モジュールにおいてより好ましくは、前記レール部のスライド限界位置に衝突するストッパを前記アーム部または前記アームガイド部に設けることにより、前記開閉カバーの移動範囲を規制した構成としてもよい。
【0015】
(6) 上記目的を達成するには、上記筐体モジュールにおいてより好ましくは、前記アームガイド部と前記アーム部との係合により前記アーム部の離脱を阻止する離脱防止機構を備えてもよい。
【0016】
(7) 上記目的を達成するには、上記筐体モジュールにおいてより好ましくは、前記筐体部と閉状態の前記開閉カバーとを磁力により保持するカバー保持機構を備えてもよい。
【0017】
(8) 上記目的を達成するため、本発明のリモコン装置は、上記(1) ないし(7) の何れかに記載された筐体モジュールを備え、前記筐体部の前面部に表示部およびスイッチ部を備える。
【0018】
(9) 上記目的を達成するため、本発明の給湯・追焚装置は、上記(8) に記載のリモコン装置と接続されて給湯機能または追焚機能を制御する制御部を備える。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の筐体モジュール、リモコン装置または給湯・追焚装置によれば、次の何れかの効果が得られる。
【0020】
(1) 開閉カバーは筐体部より突出させることなく開閉でき、スライドによって容易に開閉でき、操作性を高めることができる。
【0021】
(2) 開閉カバーの背面側の露出がなく、開閉カバーの背面部のデザイン的な対策が不要である。
【0022】
(3) 湾曲させた開閉カバーでは、開状態の際、筐体部の前面より後退させることができ、邪魔にならない。
【0023】
そして、本発明の他の目的、特徴および利点は、添付図面および各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施の形態に係るリモコン装置を示す斜視図である。
【図2】開閉カバーを開いたリモコン装置を示す斜視図である。
【図3】開閉カバーを閉状態または開状態としたリモコン装置の側面を示す図である。
【図4】筐体モジュールを分解して示す斜視図である。
【図5】一部を省略した前面ケースの前面を示す図である。
【図6】前面ケースのアームガイド部を拡大して示す図である。
【図7】一部を省略した固定カバーの背面を示す図である。
【図8】固定カバーのアームガイド部を拡大して示す斜視図である。
【図9】一部を省略した開閉カバーの背面を示す図である。
【図10】背面側から見た開閉カバーの中間部およびアーム部を拡大して示す斜視図である。
【図11】開閉カバーのアーム部の前面を示す斜視図である。
【図12】前面側から見た開閉カバーの中間部およびアーム部を拡大して示す斜視図である。
【図13】前面ケースに対する固定カバーおよび開閉カバーの取付けを示す図である。
【図14】前面ケースに対する固定カバーの固定操作を示す図である。
【図15】一部を省略した前面ケースに対する固定カバーの固定状態およびXVB 部を拡大して示す断面図である。
【図16】一部を省略した筐体モジュールを示す正面図である。
【図17】図16のXVII−XVII線断面を示す断面図である。
【図18】図17のXVIIIA部、図17のXVIIIB部および図17のXVIIIC部を示す断面図である。
【図19】一部を省略した開閉カバーの下降状態を示す断面図である。
【図20】一部を省略した図16のXX−XX線断面を示す断面図である。
【図21】一部を省略した開閉カバーの下降状態を示す図である。
【図22】アーム部およびアームガイド部の摺動面部および摺動状態を示す断面図である。
【図23】第2の実施の形態に係るリモコン装置の一例を示す図である。
【図24】給湯・追焚装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔第1の実施の形態〕
【0026】
図1は第1の実施の形態に係る浴室リモコン装置の一例を示している。図1に示す構成は本発明の筐体モジュールおよびリモコン装置の一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0027】
図1に示す浴室リモコン装置2は浴室の壁面3に設置されている。このリモコン装置2は例えば、合成樹脂で成形された筐体モジュール4を備えている。この筐体モジュール4には筐体部として前面ケース6−1と背面ケース6−2とが備えられている。前面ケース6−1は背面ケース6−2により壁面3に取付けられている。前面ケース6−1は背面ケース6−2に係合され、着脱可能である。
【0028】
前面ケース6−1の前面パネル部8には固定カバー10および開閉カバー12が設置されている。前面パネル部8は前面ケース6−1の前面部の一例である。開閉カバー12は開閉動作を行う可動カバーである。前面パネル部8は、前面側を凸とする円弧面である。同様に固定カバー10および開閉カバー12も断面円弧面である。
【0029】
固定カバー10は筐体部を構成する前面ケース6−1に取り付けられ、筐体部の一部を構成する。開閉カバー12は前面ケース6−1および固定カバー10にスライド可能に支持されている。開閉カバー12は上下方向にスライドし、前面パネル部8を開閉する。
【0030】
固定カバー10には表示窓部14−1、スイッチ窓部16−1、16−2、16−3、16−4および放音孔17−1が形成されている。表示窓部14−1は前面パネル部8に設置されたLCD(Liquid Crystal Display)表示器の表示画面を露出させる。スイッチ窓16−1には前面パネル部8に設置された呼び出しスイッチ20−1の操作ボタン21を露出させる。スイッチ窓部16−2には前面パネル部8に設置された追焚きスイッチ20−2の操作ボタン21を露出させる。スイッチ窓部16−3には前面パネル部8に設置されたふろ自動スイッチ20−3の操作ボタン21を露出させる。スイッチ窓部16−4には前面パネル部8に設置された運転スイッチ20−4の操作ボタン21を露出させる。
【0031】
開閉カバー12には左右にアーム部22−1、22−2が設けられている。開閉カバー12はアーム部22−1、22−2により筐体モジュール4に摺動可能に支持されている。各アーム部22−1、22−2は前面ケース6−1側にある第1のアームガイド部24−1、24−2と、固定カバー10側にある第2のアームガイド部25−1、25−2(図7)によってスライド可能に挟み込まれてガイドされる。前面ケース6−1、背面ケース6−2および開閉カバー12の側面は共通のフラット面を構成し、筐体モジュール4の側面をフラット化している。
【0032】
図2は、開閉カバー12を下方にスライド終点までスライドさせた状態(開状態)を示している。開閉カバー12は、湾曲したアーム部22−1、22−2がアームガイド部24−1、24−2に沿ってスライドしている。この開状態では、前面ケース6−1の前面パネル部8が露出している。この露出部にはスイッチ操作パネル26が設置されている。このスイッチ操作パネル26には下降指示をする下降スイッチ26−1、上昇指示をする上昇スイッチ26−2、ふろ温度を指示するふろ温度スイッチ26−3、給湯温度を指示する給湯温度スイッチ26−4、水位を指示する水位スイッチ26−5、時刻を設定する時刻スイッチ26−6、浴室リモコンの優先を指示する浴室優先スイッチ26−7の各操作ボタン27が配置されている。開閉カバー12の下面側には底板28が形成され、この底板28は前面ケース6−1の下面側に着脱される。
【0033】
<開閉カバー12の開閉>
【0034】
図3は開閉カバーの開閉前後を示し、図3のAは開閉カバーの閉状態、図3のBは開閉カバーの開状態を示している。
【0035】
図3のAにおいて、二点鎖線はスライド終点に到達した開閉カバー12の位置を示している。この開閉カバー12が閉状態にあるとき、開閉カバー12の顎部(つまり下縁角部)は、開閉カバー12の湾曲面の頂点(最も突出した部分)である。
【0036】
これに対し、開閉カバー12をスライドして前面ケース6−1の下方に引き出すと、開閉カバー12は図3のBに示すように、アームガイド部25−1、25−2の延長上の湾曲面に到達する。このため、開閉カバー12の顎部(つまり下縁角部)は開閉カバー12の湾曲面の頂点より後退する。この後退幅はΔWである。開閉カバー12の湾曲面の頂点と壁面3との距離をWとすると、開閉カバー12の顎部の位置W1は、距離Wから後退幅ΔWだけ後退している。つまり、W1=W−ΔWである。この後退幅ΔWは例えば、仮想中心Oを中心とする開閉カバー12の曲率半径Rと開閉カバー12のスライド角度(回動角度)θに依存している。この場合、θ1は筐体モジュール4が構成する円弧の角度、θ2は開閉カバー12のスライド範囲を示す角度である。
【0037】
このような開閉カバー12のスライド構造では、スライドして開状態となった開閉カバー12は、後退幅ΔWだけ後退し、閉状態位置から突出しない。開閉カバー12の背面部は、開閉に関係なく壁面3側に向いており、ユーザ側から視認できない状態が維持される。
<筐体モジュール4>
【0038】
図4は、このリモコン装置2の筐体モジュール4を分解して示している。前面ケース6−1の前面パネル部8には窓部14−2、放音孔17−2、スイッチ押下部30−1、30−2、30−3、30−4、32−1、32−2、32−3、32−4、32−5、32−6、32−7が形成されている。窓部14−2は前面ケース6−1に内蔵されるLCD表示器の表示画面を露出させる。放音孔17−2は既述の放音孔17−1に対応し、前面ケース6−1に内蔵されるスピーカの音声を導音する。スイッチ押下部30−1、30−2、30−3、30−4、32−1、32−2、32−3、32−4、32−5、32−6、32−7は前面ケース6−1に内蔵されるスイッチの押下に用いられ、スイッチ操作パネル26に配置された既述のスイッチ26−1、26−2・・・26−7に対応する。
【0039】
各スイッチ26−1、26−2・・・・26−7は弾性部材からなるスイッチ操作パネル26に形成されている。このスイッチ操作パネル26は前面ケース6−1の前面パネル部8のスイッチ押下部32−1・・・32−7に既述のスイッチ26−1、26−2・・・26−7を対応させて設置される。
【0040】
窓部14−2の周囲には遮光シート33が設置される。この遮光シート33には窓部14−3が形成されている。この遮光シート33には導光パネル34が重ねられ、この導光パネル34の導光部36が固定カバー10の表示窓部14−1と係合する。
【0041】
スイッチ押下部30−1、30−2、30−3、30−4に対応する各スイッチ20−1、20−2、20−3、20−4が設置されている。各スイッチ20−1、20−2、20−3、20−4は導光部材で形成されている。各スイッチ20−1、20−2、20−3、20−4はスイッチ押下部30−1、30−2、30−3、30−4に配置される発光ダイオードなどの光源からの光を導光する。
【0042】
背面ケース6−2には周回状の溝部38が形成されている。この溝部38には溶接用導線が配置される。溶接用導線に電流を流し、溶接用導線に発生する熱により前面ケース6−1と背面ケース6−2とを溶着させる。これに代え、前面ケース6−1と背面ケース6−2とを水密状態に維持するパッキンを設置してもよい。背面ケース6−2には透孔40が形成されている。この透孔40は内蔵回路の配線の引き出しに用いられる。
【0043】
開閉カバー12の前縁中央には、固定カバー10と係合する係合片42が形成されている。
【0044】
<前面ケース6−1>
【0045】
図5は、前面ケース6−1の中間部を省略して示している。この前面ケース6−1には、一対のアームガイド部24−1、24−2とともに、各アームガイド部24−1、24−2の間に前方に突出したアイランド部44が形成されている。このアイランド部44の前面部はアームガイド部24−1、24−2と同心円状の円弧面で既述の前面パネル部8が形成されている。
【0046】
前面ケース6−1の上縁部には固定カバー10を取り外す際に用いられる一対の凹部46が形成されている。アイランド部44の上縁部には固定カバー10と係合して固定する複数の第1の係合固定部48が形成され、各係合固定部48には係合凹部50と係止突部51が形成されている。各係合凹部50および係止突部51は着脱可能な係合手段の一例としてアイランド部44の上縁の中央および左右に配置されている。
【0047】
前面ケース6−1の下縁部の中央には凹部52が形成されている。この凹部52には開閉カバー12の保持手段として磁石が配置される。この磁石は、カバー保持機構の一例である。
【0048】
図6は、前面ケース6−1側のアームガイド部24−1、24−2を拡大して示している。アームガイド部24−1、24−2は、開閉カバー12のアーム部22−1、22−2とでスライド機構を構成する。
【0049】
アームガイド部24−1、24−2には前面ケース6−1の縁部にはスライド面部54と、レール部56と、溝部58とが平行に形成されている。スライド面部54は前方に張り出した円弧状の面部である。レール部56は円弧状の一様な高さを持つ突壁である。このレール部56の終端部には開閉カバー12のスライド終端を決定するストッパ60が形成されている。このストッパ60はレール部56をアイランド部44側に直角に折り曲げた折曲部で形成されている。
【0050】
溝部58はレール部56と同様に円弧状である。この溝部58は、アイランド部44の上端側で既述のストッパ60で閉塞され、下端部は開放されている。この溝部58の底部には凹部62が形成されている。この溝部58の側面を成すアイランド部44の側壁64には、溝部58と直交方向に一定幅の凹部66が形成されている。
【0051】
アイランド部44の側壁64と、窓部14−2の仕切り壁68との間には溝部70が形成されている。この溝部70には長方形状の透孔72が側壁64に沿って形成されている。また、溝部70の最深部側には固定カバー10を係止する第2の係合固定部74の係止バー76が形成されている。この係止バー76は、側壁64と段部78との間を橋絡する橋絡部である。段部78には溝部70に通じる透孔80が形成されている。この透孔80は、スイッチ操作パネル26により閉塞されている。
【0052】
<固定カバー10>
【0053】
図7は固定カバー10の背面を示している。図8は、固定カバー10の一部を切り欠くとともに、固定カバー10の中間部およびアームガイド部25−1、25−2を拡大して示している。
【0054】
固定カバー10は、前面ケース6−1に設置されてアイランド部44を覆う。この固定カバー10には固定ケース6−1と対応する位置に既述の一対のアームガイド部25−1、25−2が形成されている。
【0055】
この固定カバー10の上縁壁部には、アイランド部44に設置された各係合固定部48の係合凹部50に係合して係止される複数の係止突部82が形成されている。
【0056】
固定カバー10の下縁部の左右には、前面ケース6−1の各係合固定部74の係止バー76に係止させる鉤部84が形成されている。鉤部84は係止バー76に引っ掛けて係止される。これら係合固定部48、係合固定部74により、固定カバー10は前面ケース6−1に着脱可能に固定される。
【0057】
各アームガイド部25−1、25−2には固定カバー10の縁部と平行にスライド面部86、レール部88、溝部90が形成されている。溝部90の端部は、レール部88の始端部および終端部により閉塞されている。溝部90を形成する壁部92に沿って固定カバー10の厚み方向に突出した突部94が形成されている。つまり、アームガイド部25−1、25−2は、開閉カバー12のアーム部22−1、22−2とでスライド機構を構成する。
【0058】
固定カバー10の下縁には開閉カバー12と着脱可能に係合させる係合部96の凹部98が形成されている。
【0059】
<開閉カバー12>
【0060】
図9は開閉カバー12の背面を示している。図10は開閉カバー12の中間部およびアーム部22−1、22−2を拡大して示している。
【0061】
この開閉カバー12は前面ケース6−1の前面を覆う覆い部100を備えている。この覆い部100の上縁中間部には、既述の係合部96の凹部98に係止させる係合片42が形成されている。この覆い部100の左右の縁部にはアーム部22−1、22−2が形成されている。
【0062】
各アーム部22−1、22−2の背面には、高さの異なるレール部104、106が平行に形成されている。レール部106はレール部104より高く形成されている。レール部104、106の間には溝部108が形成されている。溝部108の底面には一定の間隔で半球形状の複数のスライド突部110が間隔を開けて形成されている。レール部106にはその高さ方向および内壁面方向に突出する矩形の突部112が形成されている。
【0063】
レール部104はアームガイド部24−1または24−2のスライド面部54に対応する。レール部106はアームガイド部24−1または24−2の溝部58に係合する。溝部108にはアームガイド部24−1、24−2のレール部56が係合する。
【0064】
突部112は前面ケース6−1のアイランド部44の凹部66に対応する。この突部112は開閉カバー12を前面ケース6−1に装着する際の位置決め手段を構成している。つまり、凹部66に突部112を挿入することにより、前面ケース6−1のアームガイド部24−1、24−2に開閉カバー12の各アーム部22−1、22−2が装着可能である。装着後は、開閉カバー12の各アーム部22−1、22−2の突部112がアイランド部44の側壁64の下側に係合してアームガイド部24−1、24−2からの離脱を防止する。つまり、離脱防止手段が構成されている。
【0065】
開閉カバー12の底板28の中央部には、図10に示すように、凹部115、117が形成されている。各凹部115、117の中心は前面ケース6−1の凹部52の中心位置と一致している。
【0066】
図11は開閉カバー12の前面を示している。図12は開閉カバー12の中間部およびアーム部22−1、22−2を拡大して示している。
【0067】
開閉カバー12は、固定カバー10の下側に設置されて前面ケース6−1の前面パネル部8を開閉する。開閉カバー12の覆い部100の中間部には固定カバー10の係合部96に係合する係合片42が形成されている。
【0068】
各アーム部22−1、22−2の円弧長は、固定カバー10の内面幅に対応し、アイランド部44の幅W2から開閉カバー12の覆い部100の幅W3を減算した長さL1(=W2−W3)である。
【0069】
各アーム部22−1、22−2の前面側の外縁側には、レール部116が形成されている。各アーム部22−1、22−2の前面側の内縁側には、各アーム部22−1、22−2の上端側にスライド突部118が形成されている。このスライド突部118とレール部116との間には溝部120が形成されている。この溝部120の底面が各アーム部22−1、22−2の背面の一様な面部を形成している。
【0070】
レール部116は固定カバー10のアームガイド部25−1またはアームガイド部25−2のスライド面部86に対応する。スライド突部118は、固定カバー10の溝部90に摺動可能に係合する。溝部120には固定カバー10のレール部88が係合する。
【0071】
各アーム部22−1、22−2の溝部120の底面および底面に続く面部には複数のスライド突部122が形成されている。各スライド突部122は断面半球形状である。
【0072】
<前面ケース6−1、固定カバー10および開閉カバー12の係合>
【0073】
図13は前面ケース6−1、固定カバー10および開閉カバー12の係合位置を示している。
【0074】
前面ケース6−1のアイランド部44の側壁64には凹部66が形成されている。この凹部66に開閉カバー12のアーム部22−1、22−2にある突部112を合せる。二点鎖線は対応位置を示している。
【0075】
突部112を凹部66の中心位置または内壁に合せ、前面ケース6−1に開閉カバー12を重ねる。これにより、開閉カバー12は前面ケース6−1の閉位置に設置される。この状態を維持して前面ケース6−1に固定カバー10を装着する。これにより、開閉カバー12が開閉可能に筐体モジュール4を組み立てることができる。
【0076】
図14は、前面ケース6−1に対する固定カバー10の係合操作を示している。図15は前面ケース6−1に固定された固定カバー10および図15のAのXVB を拡大して示している。
【0077】
図14のAに示すように、前面ケース6−1のアームガイド部24−1、24−2に係合させた開閉カバー12のアーム部22−1、22−2を自重により下降させる。この状態で係合固定部74の係止バー76に固定カバー10の鉤部84を合わせる。
【0078】
係止バー76に鉤部84を係合し、同時に係合凹部50に固定カバー10の係止突部82を係合させる。前面ケース6−1に固定カバー10を固定すると、固定カバー10側にあるアームガイド部25−1、25−2にアーム部22−1、22−2が係合する。同時に、前面ケース6−1と固定カバー10との間に開閉カバー12のアーム部22−1、22−2が摺動可能に拘束される。図15のAが前面ケース6−1と固定カバー10との係合状態を示している。
【0079】
<筐体モジュール4の各部断面の構造>
【0080】
図16は、組み立てられた筐体モジュール4の前面において、各部の切断箇所を示している。
【0081】
筐体モジュール4は前面ケース6−1の前面には固定カバー10および開閉カバー12が設置されている。開閉カバー12が閉状態では、前面ケース6−1の前面が固定カバー10および開閉カバー12で覆われる。開閉カバー12を下降させると、図2に示すように、開閉カバー12で覆われていたスイッチパネル8が露出する。
【0082】
図17は、図16のXVII−XVII線断面の一部を省略して示している。図18のAは、図17のXVIIIA部を拡大して示している。
【0083】
前面ケース6−1の上縁にある係合凹部50には固定カバー10の天井部に突出する係止突部82が係合している。これにより、前面ケース6−1の上縁に固定カバー10の上部が固定される。係合凹部50側には係止突部82を係止する係止突部51が形成されている。この係止突部51により、固定カバー10の係止突部82が拘束される。これにより、係合状態が維持される。各係止突部51および係止突部82は断面が曲面で形成されており、着脱を容易にしている。
【0084】
図18のBは、図17のXVIIIB部を拡大して示している。固定カバー10の下縁にある係合部96の凹部98には開閉カバー12の上縁にある係合片42が係合する。これにより、開閉カバー12の閉状態が維持される。
【0085】
図18のCは、図17のXVIIIC部を拡大して示している。前面ケース6−1の中央下部には接着材124により磁石126が固定されている。これに対し、開閉カバー12には鉄板などの強磁性体板128が接着材130により固定されている。図18のCは磁石126に強磁性体板128が接着した状態である。これら磁石126および強磁性体板128によりカバー保持機構が構成されている。これにより、開閉カバー12は既述の係合部96の係合に加えて、磁力により開閉カバー12が閉状態に維持される。
【0086】
図19は、開閉カバー12の下降状態を示している。閉状態にある開閉カバー12の上縁側の中央を矢印a方向に押下すると、開閉カバー12の固定カバー10との係合状態が解除される。これにより、開閉カバー12はアーム部22−1、22−2により摺動可能となる。この状態では開閉カバー12が磁力により保持されているので、矢印b方向にユーザが力を加え、開閉カバー12を下降させることができる。この開状態が図19に示す状態である。これにより、前面ケース6−1の前面パネル部8が露出することは既述の通りであり、前面パネル部8のスイッチ操作が可能である。
【0087】
この開状態にある開閉カバー12を矢印c方向に押し上げ、係合部96を係合させると、開閉カバー12が固定カバー10に係合される。このとき、既述の磁力による保持が行われる。
【0088】
図20は、図16のXX−XX線断面の一部を省略して示している。図21は、開閉カバーの下降状態を示している。
【0089】
開閉カバー12のアーム部22−1、22−2にある突部112は前面ケース6−1側の凹部62に挿入されている。突部112は凹部62内をアーム部22−1、22−2の摺動方向に移動可能である。突部112が凹部62の終端に到達する位置が開閉カバー12のスライド終端である。スライド終端に到達すると、凹部62の終端で突部112の移動が阻止され、開閉カバー12のスライドが停止され、開状態で保持される。
【0090】
図22のAは、アーム部22−1、22−2とアームガイド部24−1、24−2、25−1、25−2との摺動面を示している。図22のBは摺動状態を示している。
【0091】
アーム部22−1、22−2にはアームガイド部24−1、24−2側に複数のスライド突部110、アームガイド部25−1、25−2側に複数のスライド突部122が形成されている。スライド突部110は、アームガイド部24−1、24−2のレール部56との点接触面を形成している。同様に、スライド突部122は、アームガイド部25−1、25−2のレール部88との点接触面を形成している。
【0092】
このような点接触面により接触面積が削減されているので、各アーム部22−1、22−2では、図22のBに示すように、複数の点接触でスライドし、円滑なスライド状態が得られる。つまり、湿気によってもスライド動作が妨げられることなく、円滑な開閉を行うことができる。
【0093】
この実施の形態の利点や効果は以下の通りである。
【0094】
(a) 開閉カバー12は筐体部の一部である固定カバー10より突出させることなく開閉できる。開閉カバー12はスライドによって開閉でき、開閉の操作性が高い。また、開状態の開閉カバー12が邪魔にならない。
【0095】
(b) 開閉カバー12の背面側の露出がなく、開閉カバー12の背面部に対するデザイン的な対策が不要である。
【0096】
(c) 湾曲させた開閉カバー12は開状態で固定カバー10の前面より後退させることができる。
【0097】
(d) 上記実施の形態では、開閉カバー12のアーム部22−1、22−2のそれぞれが前面ケース6−1側のアームガイド部24−1、24−2と、固定カバー10側のアームガイド部25−1、25−2とで摺動可能に支持されている。これらアームガイド部24−1、24−2と、アームガイド部25−1、25−2とはそれぞれがアーム部22−1、22−2と相まってスライド機構を構成している。アーム部22−1、22−2がアームガイド部24−1、24−2と、アームガイド部25−1、25−2に挟み込まれ、それぞれの摺動機能が滑らかなスライドを可能にしている。
【0098】
〔第2の実施の形態〕
【0099】
図23は、第2の実施の形態に係るリモコン装置を示している。図23に示す構成は本発明のリモコン装置の一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0100】
リモコン装置2にはCPU(Central Processing Unit )132により制御部が構成されている。CPU132には情報の入出力を行う入出力部(I/O)134が接続されている。この入出力部134が既述の呼び出しスイッチ20−1、追焚きスイッチ20−2、ふろ自動スイッチ20−3、運転スイッチ20−4、下降スイッチ26−1、上昇スイッチ26−2、ふろ温度スイッチ26−3、給湯温度スイッチ26−4、水位スイッチ26−5、時刻スイッチ26−6、浴室優先スイッチ26−7が接続されている。これらスイッチ操作により制御情報が入出力部134からCPU132に取り込まれる。
【0101】
入出力部134には入力ポート136、出力ポート138が設けられている。入力ポート136、出力ポート138には制御対象機器の一例として給湯・追焚装置140の制御部142が接続される。制御部142から検出情報などの情報が入出力部134からCPU132に取り込まれる。また、CPU132で生成した制御情報が入出力部134から制御部142に伝送される。
【0102】
図24は、給湯・追焚装置の一例を示している。この給湯・追焚装置140は、本発明のリモコン装置を用いた給湯・追焚装置の一例である。
【0103】
この給湯・追焚装置140には給湯機能部144および追焚機能部146が設置されている。給湯機能部144はリモコン装置2が接続された制御部142に制御される。この制御により、上水Wをガスの燃焼熱などにより加熱する。給湯機能部144から得られた温水HWは給湯栓148から給湯される。
【0104】
追焚機能部146は浴槽150にある浴槽水BWの追焚き加熱をする。この追焚き加熱は、リモコン装置2が接続された制御部142に制御される。この制御により、浴槽水BWをガスの燃焼熱などにより加熱する。
【0105】
このような給湯および追焚き、その制御はリモコン装置2の操作により実行される。
【0106】
〔他の実施の形態〕
【0107】
(1) 上記実施の形態では筐体モジュール4でリモコン装置2を構成したが、筐体モジュール4はリモコン装置2以外の電子機器に利用でき、リモコン装置2に限定されない。
【0108】
(2) リモコン装置2は給湯・追焚装置140のリモコン装置として例示したが、これに限定されない。リモコン装置2は各種の機器に用いることができる。
【0109】
(3) 上記実施の形態では、開閉カバー12が前面パネル部8の一部を開閉しているが、前面パネル部8の全部であってもよい。つまり、開閉カバー12は、筐体部の一部または全部をスライドによって開閉する構成であってもよい。その場合、開閉のためのスライド構造は既述の実施の形態に準じて構成すればよい。
【0110】
(4) レール部56のスライド限界に衝突するストッパ60をアームガイド部24−1、24−2に形成しているがこれに限定されない。同様のストッパをアーム部22−1、22−2に設け、レール部56のスライド限界内にアーム部22−1、22−2のスライド範囲を規制してもよい。
【0111】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明では開閉カバーをスライド操作によって開閉でき、閉状態から開状態に操作された開閉カバーが筐体部より突出することがなく、開閉の操作性が高く、開状態の開閉カバーが邪魔にならないなど、有用である。
【符号の説明】
【0113】
2 リモコン装置
4 筐体モジュール
6−1 前面ケース
6−2 背面ケース
8 前面パネル部
10 固定カバー
12 開閉カバー
22−1、22−2 アーム部
24−1、24−2 第1のアームガイド部
25−1、25−2 第2のアームガイド部
54 スライド面部
56、88、104、106、116 レール部
118、122 スライド突部
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室などに設置されるリモコン回路などを収納する筐体モジュール、該筐体モジュールを用いたリモコン装置、該リモコン装置を用いた給湯・追焚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯・追焚装置などの機器には遠隔操作を行うためのリモコン装置が備えられる。給湯・追焚装置では浴室に浴室リモコン装置が設置される。このため、浴室内で給湯温度の設定や水位などの設定を容易に行うことができる。
【0003】
このリモコン装置に関し、操作部に開閉蓋を備えて操作部を開閉する機構が知られている(たとえば、特許文献1)。この開閉機構に関し、開閉動作に連動する部材や蓋部材の閉止機構が知られている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−055767号公報
【特許文献2】特許第4449123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、リモコン装置は給湯・追焚装置などの機器本体と別個に設けられ、浴室など、機器本体と離間した場所に設置される。浴室に設置されたリモコン装置にあっては、通常時に使用されないスイッチボタンは隠蔽し、多用されるスイッチボタンを露出させるなど、操作性に対する配慮も必要である。斯かる要請から、必要に応じて開閉されるカバーが備えられる。このカバーは、スイッチボタンなどを防護する機能もある。
【0006】
開状態のカバーが閉状態で前方に突出する構成では、ユーザがカバーのつまみ部分を用いて開閉する手間がある。また、開かれたカバーが邪魔になり、不用意に負荷が加えられるという不都合もある。
【0007】
開状態でカバー背面が露出する構成では、その背面部の対策としてデザイン的な統一性や水滴やごみなどの付着を防止することが必要となるといった課題もある。
【0008】
そこで、本発明の筐体モジュール、リモコン装置または給湯・追焚装置の目的は、操作性を高め且つカバーの前方への突出を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の構成は以下の通りである。
【0010】
(1) 上記目的を達成するため、本発明の筐体モジュールは、筐体部に設置されて前記筐体部の前面部の一部または全部を開閉する開閉カバーと、前記開閉カバーのアーム部が挿入されて該アーム部の移動をガイドするアームガイド部を備え、該アームガイド部に形成されたレール部と前記アーム部とを係合させ、前記開閉カバーをスライド可能に支持するスライド機構とを備える。
【0011】
(2) 上記目的を達成するには、上記筐体モジュールにおいてより好ましくは、前記前面部は円弧面であって、前記アームガイド部および前記アーム部は前記前面部の前記円弧面に応じて湾曲させてもよい。
【0012】
(3) 上記目的を達成するには、上記筐体モジュールにおいてより好ましくは、前記アーム部は、前記アームガイド部の前記レール部に係合する溝部と、前記レール部に平行に形成された立壁とを備えてもよい。
【0013】
(4) 上記目的を達成するには、上記筐体モジュールにおいてより好ましくは、前記筐体部は固定カバーを備え、前記アームガイド部が前記固定カバーと前記筐体部とで形成されてもよい。
【0014】
(5) 上記目的を達成するには、上記筐体モジュールにおいてより好ましくは、前記レール部のスライド限界位置に衝突するストッパを前記アーム部または前記アームガイド部に設けることにより、前記開閉カバーの移動範囲を規制した構成としてもよい。
【0015】
(6) 上記目的を達成するには、上記筐体モジュールにおいてより好ましくは、前記アームガイド部と前記アーム部との係合により前記アーム部の離脱を阻止する離脱防止機構を備えてもよい。
【0016】
(7) 上記目的を達成するには、上記筐体モジュールにおいてより好ましくは、前記筐体部と閉状態の前記開閉カバーとを磁力により保持するカバー保持機構を備えてもよい。
【0017】
(8) 上記目的を達成するため、本発明のリモコン装置は、上記(1) ないし(7) の何れかに記載された筐体モジュールを備え、前記筐体部の前面部に表示部およびスイッチ部を備える。
【0018】
(9) 上記目的を達成するため、本発明の給湯・追焚装置は、上記(8) に記載のリモコン装置と接続されて給湯機能または追焚機能を制御する制御部を備える。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の筐体モジュール、リモコン装置または給湯・追焚装置によれば、次の何れかの効果が得られる。
【0020】
(1) 開閉カバーは筐体部より突出させることなく開閉でき、スライドによって容易に開閉でき、操作性を高めることができる。
【0021】
(2) 開閉カバーの背面側の露出がなく、開閉カバーの背面部のデザイン的な対策が不要である。
【0022】
(3) 湾曲させた開閉カバーでは、開状態の際、筐体部の前面より後退させることができ、邪魔にならない。
【0023】
そして、本発明の他の目的、特徴および利点は、添付図面および各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施の形態に係るリモコン装置を示す斜視図である。
【図2】開閉カバーを開いたリモコン装置を示す斜視図である。
【図3】開閉カバーを閉状態または開状態としたリモコン装置の側面を示す図である。
【図4】筐体モジュールを分解して示す斜視図である。
【図5】一部を省略した前面ケースの前面を示す図である。
【図6】前面ケースのアームガイド部を拡大して示す図である。
【図7】一部を省略した固定カバーの背面を示す図である。
【図8】固定カバーのアームガイド部を拡大して示す斜視図である。
【図9】一部を省略した開閉カバーの背面を示す図である。
【図10】背面側から見た開閉カバーの中間部およびアーム部を拡大して示す斜視図である。
【図11】開閉カバーのアーム部の前面を示す斜視図である。
【図12】前面側から見た開閉カバーの中間部およびアーム部を拡大して示す斜視図である。
【図13】前面ケースに対する固定カバーおよび開閉カバーの取付けを示す図である。
【図14】前面ケースに対する固定カバーの固定操作を示す図である。
【図15】一部を省略した前面ケースに対する固定カバーの固定状態およびXVB 部を拡大して示す断面図である。
【図16】一部を省略した筐体モジュールを示す正面図である。
【図17】図16のXVII−XVII線断面を示す断面図である。
【図18】図17のXVIIIA部、図17のXVIIIB部および図17のXVIIIC部を示す断面図である。
【図19】一部を省略した開閉カバーの下降状態を示す断面図である。
【図20】一部を省略した図16のXX−XX線断面を示す断面図である。
【図21】一部を省略した開閉カバーの下降状態を示す図である。
【図22】アーム部およびアームガイド部の摺動面部および摺動状態を示す断面図である。
【図23】第2の実施の形態に係るリモコン装置の一例を示す図である。
【図24】給湯・追焚装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔第1の実施の形態〕
【0026】
図1は第1の実施の形態に係る浴室リモコン装置の一例を示している。図1に示す構成は本発明の筐体モジュールおよびリモコン装置の一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0027】
図1に示す浴室リモコン装置2は浴室の壁面3に設置されている。このリモコン装置2は例えば、合成樹脂で成形された筐体モジュール4を備えている。この筐体モジュール4には筐体部として前面ケース6−1と背面ケース6−2とが備えられている。前面ケース6−1は背面ケース6−2により壁面3に取付けられている。前面ケース6−1は背面ケース6−2に係合され、着脱可能である。
【0028】
前面ケース6−1の前面パネル部8には固定カバー10および開閉カバー12が設置されている。前面パネル部8は前面ケース6−1の前面部の一例である。開閉カバー12は開閉動作を行う可動カバーである。前面パネル部8は、前面側を凸とする円弧面である。同様に固定カバー10および開閉カバー12も断面円弧面である。
【0029】
固定カバー10は筐体部を構成する前面ケース6−1に取り付けられ、筐体部の一部を構成する。開閉カバー12は前面ケース6−1および固定カバー10にスライド可能に支持されている。開閉カバー12は上下方向にスライドし、前面パネル部8を開閉する。
【0030】
固定カバー10には表示窓部14−1、スイッチ窓部16−1、16−2、16−3、16−4および放音孔17−1が形成されている。表示窓部14−1は前面パネル部8に設置されたLCD(Liquid Crystal Display)表示器の表示画面を露出させる。スイッチ窓16−1には前面パネル部8に設置された呼び出しスイッチ20−1の操作ボタン21を露出させる。スイッチ窓部16−2には前面パネル部8に設置された追焚きスイッチ20−2の操作ボタン21を露出させる。スイッチ窓部16−3には前面パネル部8に設置されたふろ自動スイッチ20−3の操作ボタン21を露出させる。スイッチ窓部16−4には前面パネル部8に設置された運転スイッチ20−4の操作ボタン21を露出させる。
【0031】
開閉カバー12には左右にアーム部22−1、22−2が設けられている。開閉カバー12はアーム部22−1、22−2により筐体モジュール4に摺動可能に支持されている。各アーム部22−1、22−2は前面ケース6−1側にある第1のアームガイド部24−1、24−2と、固定カバー10側にある第2のアームガイド部25−1、25−2(図7)によってスライド可能に挟み込まれてガイドされる。前面ケース6−1、背面ケース6−2および開閉カバー12の側面は共通のフラット面を構成し、筐体モジュール4の側面をフラット化している。
【0032】
図2は、開閉カバー12を下方にスライド終点までスライドさせた状態(開状態)を示している。開閉カバー12は、湾曲したアーム部22−1、22−2がアームガイド部24−1、24−2に沿ってスライドしている。この開状態では、前面ケース6−1の前面パネル部8が露出している。この露出部にはスイッチ操作パネル26が設置されている。このスイッチ操作パネル26には下降指示をする下降スイッチ26−1、上昇指示をする上昇スイッチ26−2、ふろ温度を指示するふろ温度スイッチ26−3、給湯温度を指示する給湯温度スイッチ26−4、水位を指示する水位スイッチ26−5、時刻を設定する時刻スイッチ26−6、浴室リモコンの優先を指示する浴室優先スイッチ26−7の各操作ボタン27が配置されている。開閉カバー12の下面側には底板28が形成され、この底板28は前面ケース6−1の下面側に着脱される。
【0033】
<開閉カバー12の開閉>
【0034】
図3は開閉カバーの開閉前後を示し、図3のAは開閉カバーの閉状態、図3のBは開閉カバーの開状態を示している。
【0035】
図3のAにおいて、二点鎖線はスライド終点に到達した開閉カバー12の位置を示している。この開閉カバー12が閉状態にあるとき、開閉カバー12の顎部(つまり下縁角部)は、開閉カバー12の湾曲面の頂点(最も突出した部分)である。
【0036】
これに対し、開閉カバー12をスライドして前面ケース6−1の下方に引き出すと、開閉カバー12は図3のBに示すように、アームガイド部25−1、25−2の延長上の湾曲面に到達する。このため、開閉カバー12の顎部(つまり下縁角部)は開閉カバー12の湾曲面の頂点より後退する。この後退幅はΔWである。開閉カバー12の湾曲面の頂点と壁面3との距離をWとすると、開閉カバー12の顎部の位置W1は、距離Wから後退幅ΔWだけ後退している。つまり、W1=W−ΔWである。この後退幅ΔWは例えば、仮想中心Oを中心とする開閉カバー12の曲率半径Rと開閉カバー12のスライド角度(回動角度)θに依存している。この場合、θ1は筐体モジュール4が構成する円弧の角度、θ2は開閉カバー12のスライド範囲を示す角度である。
【0037】
このような開閉カバー12のスライド構造では、スライドして開状態となった開閉カバー12は、後退幅ΔWだけ後退し、閉状態位置から突出しない。開閉カバー12の背面部は、開閉に関係なく壁面3側に向いており、ユーザ側から視認できない状態が維持される。
<筐体モジュール4>
【0038】
図4は、このリモコン装置2の筐体モジュール4を分解して示している。前面ケース6−1の前面パネル部8には窓部14−2、放音孔17−2、スイッチ押下部30−1、30−2、30−3、30−4、32−1、32−2、32−3、32−4、32−5、32−6、32−7が形成されている。窓部14−2は前面ケース6−1に内蔵されるLCD表示器の表示画面を露出させる。放音孔17−2は既述の放音孔17−1に対応し、前面ケース6−1に内蔵されるスピーカの音声を導音する。スイッチ押下部30−1、30−2、30−3、30−4、32−1、32−2、32−3、32−4、32−5、32−6、32−7は前面ケース6−1に内蔵されるスイッチの押下に用いられ、スイッチ操作パネル26に配置された既述のスイッチ26−1、26−2・・・26−7に対応する。
【0039】
各スイッチ26−1、26−2・・・・26−7は弾性部材からなるスイッチ操作パネル26に形成されている。このスイッチ操作パネル26は前面ケース6−1の前面パネル部8のスイッチ押下部32−1・・・32−7に既述のスイッチ26−1、26−2・・・26−7を対応させて設置される。
【0040】
窓部14−2の周囲には遮光シート33が設置される。この遮光シート33には窓部14−3が形成されている。この遮光シート33には導光パネル34が重ねられ、この導光パネル34の導光部36が固定カバー10の表示窓部14−1と係合する。
【0041】
スイッチ押下部30−1、30−2、30−3、30−4に対応する各スイッチ20−1、20−2、20−3、20−4が設置されている。各スイッチ20−1、20−2、20−3、20−4は導光部材で形成されている。各スイッチ20−1、20−2、20−3、20−4はスイッチ押下部30−1、30−2、30−3、30−4に配置される発光ダイオードなどの光源からの光を導光する。
【0042】
背面ケース6−2には周回状の溝部38が形成されている。この溝部38には溶接用導線が配置される。溶接用導線に電流を流し、溶接用導線に発生する熱により前面ケース6−1と背面ケース6−2とを溶着させる。これに代え、前面ケース6−1と背面ケース6−2とを水密状態に維持するパッキンを設置してもよい。背面ケース6−2には透孔40が形成されている。この透孔40は内蔵回路の配線の引き出しに用いられる。
【0043】
開閉カバー12の前縁中央には、固定カバー10と係合する係合片42が形成されている。
【0044】
<前面ケース6−1>
【0045】
図5は、前面ケース6−1の中間部を省略して示している。この前面ケース6−1には、一対のアームガイド部24−1、24−2とともに、各アームガイド部24−1、24−2の間に前方に突出したアイランド部44が形成されている。このアイランド部44の前面部はアームガイド部24−1、24−2と同心円状の円弧面で既述の前面パネル部8が形成されている。
【0046】
前面ケース6−1の上縁部には固定カバー10を取り外す際に用いられる一対の凹部46が形成されている。アイランド部44の上縁部には固定カバー10と係合して固定する複数の第1の係合固定部48が形成され、各係合固定部48には係合凹部50と係止突部51が形成されている。各係合凹部50および係止突部51は着脱可能な係合手段の一例としてアイランド部44の上縁の中央および左右に配置されている。
【0047】
前面ケース6−1の下縁部の中央には凹部52が形成されている。この凹部52には開閉カバー12の保持手段として磁石が配置される。この磁石は、カバー保持機構の一例である。
【0048】
図6は、前面ケース6−1側のアームガイド部24−1、24−2を拡大して示している。アームガイド部24−1、24−2は、開閉カバー12のアーム部22−1、22−2とでスライド機構を構成する。
【0049】
アームガイド部24−1、24−2には前面ケース6−1の縁部にはスライド面部54と、レール部56と、溝部58とが平行に形成されている。スライド面部54は前方に張り出した円弧状の面部である。レール部56は円弧状の一様な高さを持つ突壁である。このレール部56の終端部には開閉カバー12のスライド終端を決定するストッパ60が形成されている。このストッパ60はレール部56をアイランド部44側に直角に折り曲げた折曲部で形成されている。
【0050】
溝部58はレール部56と同様に円弧状である。この溝部58は、アイランド部44の上端側で既述のストッパ60で閉塞され、下端部は開放されている。この溝部58の底部には凹部62が形成されている。この溝部58の側面を成すアイランド部44の側壁64には、溝部58と直交方向に一定幅の凹部66が形成されている。
【0051】
アイランド部44の側壁64と、窓部14−2の仕切り壁68との間には溝部70が形成されている。この溝部70には長方形状の透孔72が側壁64に沿って形成されている。また、溝部70の最深部側には固定カバー10を係止する第2の係合固定部74の係止バー76が形成されている。この係止バー76は、側壁64と段部78との間を橋絡する橋絡部である。段部78には溝部70に通じる透孔80が形成されている。この透孔80は、スイッチ操作パネル26により閉塞されている。
【0052】
<固定カバー10>
【0053】
図7は固定カバー10の背面を示している。図8は、固定カバー10の一部を切り欠くとともに、固定カバー10の中間部およびアームガイド部25−1、25−2を拡大して示している。
【0054】
固定カバー10は、前面ケース6−1に設置されてアイランド部44を覆う。この固定カバー10には固定ケース6−1と対応する位置に既述の一対のアームガイド部25−1、25−2が形成されている。
【0055】
この固定カバー10の上縁壁部には、アイランド部44に設置された各係合固定部48の係合凹部50に係合して係止される複数の係止突部82が形成されている。
【0056】
固定カバー10の下縁部の左右には、前面ケース6−1の各係合固定部74の係止バー76に係止させる鉤部84が形成されている。鉤部84は係止バー76に引っ掛けて係止される。これら係合固定部48、係合固定部74により、固定カバー10は前面ケース6−1に着脱可能に固定される。
【0057】
各アームガイド部25−1、25−2には固定カバー10の縁部と平行にスライド面部86、レール部88、溝部90が形成されている。溝部90の端部は、レール部88の始端部および終端部により閉塞されている。溝部90を形成する壁部92に沿って固定カバー10の厚み方向に突出した突部94が形成されている。つまり、アームガイド部25−1、25−2は、開閉カバー12のアーム部22−1、22−2とでスライド機構を構成する。
【0058】
固定カバー10の下縁には開閉カバー12と着脱可能に係合させる係合部96の凹部98が形成されている。
【0059】
<開閉カバー12>
【0060】
図9は開閉カバー12の背面を示している。図10は開閉カバー12の中間部およびアーム部22−1、22−2を拡大して示している。
【0061】
この開閉カバー12は前面ケース6−1の前面を覆う覆い部100を備えている。この覆い部100の上縁中間部には、既述の係合部96の凹部98に係止させる係合片42が形成されている。この覆い部100の左右の縁部にはアーム部22−1、22−2が形成されている。
【0062】
各アーム部22−1、22−2の背面には、高さの異なるレール部104、106が平行に形成されている。レール部106はレール部104より高く形成されている。レール部104、106の間には溝部108が形成されている。溝部108の底面には一定の間隔で半球形状の複数のスライド突部110が間隔を開けて形成されている。レール部106にはその高さ方向および内壁面方向に突出する矩形の突部112が形成されている。
【0063】
レール部104はアームガイド部24−1または24−2のスライド面部54に対応する。レール部106はアームガイド部24−1または24−2の溝部58に係合する。溝部108にはアームガイド部24−1、24−2のレール部56が係合する。
【0064】
突部112は前面ケース6−1のアイランド部44の凹部66に対応する。この突部112は開閉カバー12を前面ケース6−1に装着する際の位置決め手段を構成している。つまり、凹部66に突部112を挿入することにより、前面ケース6−1のアームガイド部24−1、24−2に開閉カバー12の各アーム部22−1、22−2が装着可能である。装着後は、開閉カバー12の各アーム部22−1、22−2の突部112がアイランド部44の側壁64の下側に係合してアームガイド部24−1、24−2からの離脱を防止する。つまり、離脱防止手段が構成されている。
【0065】
開閉カバー12の底板28の中央部には、図10に示すように、凹部115、117が形成されている。各凹部115、117の中心は前面ケース6−1の凹部52の中心位置と一致している。
【0066】
図11は開閉カバー12の前面を示している。図12は開閉カバー12の中間部およびアーム部22−1、22−2を拡大して示している。
【0067】
開閉カバー12は、固定カバー10の下側に設置されて前面ケース6−1の前面パネル部8を開閉する。開閉カバー12の覆い部100の中間部には固定カバー10の係合部96に係合する係合片42が形成されている。
【0068】
各アーム部22−1、22−2の円弧長は、固定カバー10の内面幅に対応し、アイランド部44の幅W2から開閉カバー12の覆い部100の幅W3を減算した長さL1(=W2−W3)である。
【0069】
各アーム部22−1、22−2の前面側の外縁側には、レール部116が形成されている。各アーム部22−1、22−2の前面側の内縁側には、各アーム部22−1、22−2の上端側にスライド突部118が形成されている。このスライド突部118とレール部116との間には溝部120が形成されている。この溝部120の底面が各アーム部22−1、22−2の背面の一様な面部を形成している。
【0070】
レール部116は固定カバー10のアームガイド部25−1またはアームガイド部25−2のスライド面部86に対応する。スライド突部118は、固定カバー10の溝部90に摺動可能に係合する。溝部120には固定カバー10のレール部88が係合する。
【0071】
各アーム部22−1、22−2の溝部120の底面および底面に続く面部には複数のスライド突部122が形成されている。各スライド突部122は断面半球形状である。
【0072】
<前面ケース6−1、固定カバー10および開閉カバー12の係合>
【0073】
図13は前面ケース6−1、固定カバー10および開閉カバー12の係合位置を示している。
【0074】
前面ケース6−1のアイランド部44の側壁64には凹部66が形成されている。この凹部66に開閉カバー12のアーム部22−1、22−2にある突部112を合せる。二点鎖線は対応位置を示している。
【0075】
突部112を凹部66の中心位置または内壁に合せ、前面ケース6−1に開閉カバー12を重ねる。これにより、開閉カバー12は前面ケース6−1の閉位置に設置される。この状態を維持して前面ケース6−1に固定カバー10を装着する。これにより、開閉カバー12が開閉可能に筐体モジュール4を組み立てることができる。
【0076】
図14は、前面ケース6−1に対する固定カバー10の係合操作を示している。図15は前面ケース6−1に固定された固定カバー10および図15のAのXVB を拡大して示している。
【0077】
図14のAに示すように、前面ケース6−1のアームガイド部24−1、24−2に係合させた開閉カバー12のアーム部22−1、22−2を自重により下降させる。この状態で係合固定部74の係止バー76に固定カバー10の鉤部84を合わせる。
【0078】
係止バー76に鉤部84を係合し、同時に係合凹部50に固定カバー10の係止突部82を係合させる。前面ケース6−1に固定カバー10を固定すると、固定カバー10側にあるアームガイド部25−1、25−2にアーム部22−1、22−2が係合する。同時に、前面ケース6−1と固定カバー10との間に開閉カバー12のアーム部22−1、22−2が摺動可能に拘束される。図15のAが前面ケース6−1と固定カバー10との係合状態を示している。
【0079】
<筐体モジュール4の各部断面の構造>
【0080】
図16は、組み立てられた筐体モジュール4の前面において、各部の切断箇所を示している。
【0081】
筐体モジュール4は前面ケース6−1の前面には固定カバー10および開閉カバー12が設置されている。開閉カバー12が閉状態では、前面ケース6−1の前面が固定カバー10および開閉カバー12で覆われる。開閉カバー12を下降させると、図2に示すように、開閉カバー12で覆われていたスイッチパネル8が露出する。
【0082】
図17は、図16のXVII−XVII線断面の一部を省略して示している。図18のAは、図17のXVIIIA部を拡大して示している。
【0083】
前面ケース6−1の上縁にある係合凹部50には固定カバー10の天井部に突出する係止突部82が係合している。これにより、前面ケース6−1の上縁に固定カバー10の上部が固定される。係合凹部50側には係止突部82を係止する係止突部51が形成されている。この係止突部51により、固定カバー10の係止突部82が拘束される。これにより、係合状態が維持される。各係止突部51および係止突部82は断面が曲面で形成されており、着脱を容易にしている。
【0084】
図18のBは、図17のXVIIIB部を拡大して示している。固定カバー10の下縁にある係合部96の凹部98には開閉カバー12の上縁にある係合片42が係合する。これにより、開閉カバー12の閉状態が維持される。
【0085】
図18のCは、図17のXVIIIC部を拡大して示している。前面ケース6−1の中央下部には接着材124により磁石126が固定されている。これに対し、開閉カバー12には鉄板などの強磁性体板128が接着材130により固定されている。図18のCは磁石126に強磁性体板128が接着した状態である。これら磁石126および強磁性体板128によりカバー保持機構が構成されている。これにより、開閉カバー12は既述の係合部96の係合に加えて、磁力により開閉カバー12が閉状態に維持される。
【0086】
図19は、開閉カバー12の下降状態を示している。閉状態にある開閉カバー12の上縁側の中央を矢印a方向に押下すると、開閉カバー12の固定カバー10との係合状態が解除される。これにより、開閉カバー12はアーム部22−1、22−2により摺動可能となる。この状態では開閉カバー12が磁力により保持されているので、矢印b方向にユーザが力を加え、開閉カバー12を下降させることができる。この開状態が図19に示す状態である。これにより、前面ケース6−1の前面パネル部8が露出することは既述の通りであり、前面パネル部8のスイッチ操作が可能である。
【0087】
この開状態にある開閉カバー12を矢印c方向に押し上げ、係合部96を係合させると、開閉カバー12が固定カバー10に係合される。このとき、既述の磁力による保持が行われる。
【0088】
図20は、図16のXX−XX線断面の一部を省略して示している。図21は、開閉カバーの下降状態を示している。
【0089】
開閉カバー12のアーム部22−1、22−2にある突部112は前面ケース6−1側の凹部62に挿入されている。突部112は凹部62内をアーム部22−1、22−2の摺動方向に移動可能である。突部112が凹部62の終端に到達する位置が開閉カバー12のスライド終端である。スライド終端に到達すると、凹部62の終端で突部112の移動が阻止され、開閉カバー12のスライドが停止され、開状態で保持される。
【0090】
図22のAは、アーム部22−1、22−2とアームガイド部24−1、24−2、25−1、25−2との摺動面を示している。図22のBは摺動状態を示している。
【0091】
アーム部22−1、22−2にはアームガイド部24−1、24−2側に複数のスライド突部110、アームガイド部25−1、25−2側に複数のスライド突部122が形成されている。スライド突部110は、アームガイド部24−1、24−2のレール部56との点接触面を形成している。同様に、スライド突部122は、アームガイド部25−1、25−2のレール部88との点接触面を形成している。
【0092】
このような点接触面により接触面積が削減されているので、各アーム部22−1、22−2では、図22のBに示すように、複数の点接触でスライドし、円滑なスライド状態が得られる。つまり、湿気によってもスライド動作が妨げられることなく、円滑な開閉を行うことができる。
【0093】
この実施の形態の利点や効果は以下の通りである。
【0094】
(a) 開閉カバー12は筐体部の一部である固定カバー10より突出させることなく開閉できる。開閉カバー12はスライドによって開閉でき、開閉の操作性が高い。また、開状態の開閉カバー12が邪魔にならない。
【0095】
(b) 開閉カバー12の背面側の露出がなく、開閉カバー12の背面部に対するデザイン的な対策が不要である。
【0096】
(c) 湾曲させた開閉カバー12は開状態で固定カバー10の前面より後退させることができる。
【0097】
(d) 上記実施の形態では、開閉カバー12のアーム部22−1、22−2のそれぞれが前面ケース6−1側のアームガイド部24−1、24−2と、固定カバー10側のアームガイド部25−1、25−2とで摺動可能に支持されている。これらアームガイド部24−1、24−2と、アームガイド部25−1、25−2とはそれぞれがアーム部22−1、22−2と相まってスライド機構を構成している。アーム部22−1、22−2がアームガイド部24−1、24−2と、アームガイド部25−1、25−2に挟み込まれ、それぞれの摺動機能が滑らかなスライドを可能にしている。
【0098】
〔第2の実施の形態〕
【0099】
図23は、第2の実施の形態に係るリモコン装置を示している。図23に示す構成は本発明のリモコン装置の一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0100】
リモコン装置2にはCPU(Central Processing Unit )132により制御部が構成されている。CPU132には情報の入出力を行う入出力部(I/O)134が接続されている。この入出力部134が既述の呼び出しスイッチ20−1、追焚きスイッチ20−2、ふろ自動スイッチ20−3、運転スイッチ20−4、下降スイッチ26−1、上昇スイッチ26−2、ふろ温度スイッチ26−3、給湯温度スイッチ26−4、水位スイッチ26−5、時刻スイッチ26−6、浴室優先スイッチ26−7が接続されている。これらスイッチ操作により制御情報が入出力部134からCPU132に取り込まれる。
【0101】
入出力部134には入力ポート136、出力ポート138が設けられている。入力ポート136、出力ポート138には制御対象機器の一例として給湯・追焚装置140の制御部142が接続される。制御部142から検出情報などの情報が入出力部134からCPU132に取り込まれる。また、CPU132で生成した制御情報が入出力部134から制御部142に伝送される。
【0102】
図24は、給湯・追焚装置の一例を示している。この給湯・追焚装置140は、本発明のリモコン装置を用いた給湯・追焚装置の一例である。
【0103】
この給湯・追焚装置140には給湯機能部144および追焚機能部146が設置されている。給湯機能部144はリモコン装置2が接続された制御部142に制御される。この制御により、上水Wをガスの燃焼熱などにより加熱する。給湯機能部144から得られた温水HWは給湯栓148から給湯される。
【0104】
追焚機能部146は浴槽150にある浴槽水BWの追焚き加熱をする。この追焚き加熱は、リモコン装置2が接続された制御部142に制御される。この制御により、浴槽水BWをガスの燃焼熱などにより加熱する。
【0105】
このような給湯および追焚き、その制御はリモコン装置2の操作により実行される。
【0106】
〔他の実施の形態〕
【0107】
(1) 上記実施の形態では筐体モジュール4でリモコン装置2を構成したが、筐体モジュール4はリモコン装置2以外の電子機器に利用でき、リモコン装置2に限定されない。
【0108】
(2) リモコン装置2は給湯・追焚装置140のリモコン装置として例示したが、これに限定されない。リモコン装置2は各種の機器に用いることができる。
【0109】
(3) 上記実施の形態では、開閉カバー12が前面パネル部8の一部を開閉しているが、前面パネル部8の全部であってもよい。つまり、開閉カバー12は、筐体部の一部または全部をスライドによって開閉する構成であってもよい。その場合、開閉のためのスライド構造は既述の実施の形態に準じて構成すればよい。
【0110】
(4) レール部56のスライド限界に衝突するストッパ60をアームガイド部24−1、24−2に形成しているがこれに限定されない。同様のストッパをアーム部22−1、22−2に設け、レール部56のスライド限界内にアーム部22−1、22−2のスライド範囲を規制してもよい。
【0111】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明では開閉カバーをスライド操作によって開閉でき、閉状態から開状態に操作された開閉カバーが筐体部より突出することがなく、開閉の操作性が高く、開状態の開閉カバーが邪魔にならないなど、有用である。
【符号の説明】
【0113】
2 リモコン装置
4 筐体モジュール
6−1 前面ケース
6−2 背面ケース
8 前面パネル部
10 固定カバー
12 開閉カバー
22−1、22−2 アーム部
24−1、24−2 第1のアームガイド部
25−1、25−2 第2のアームガイド部
54 スライド面部
56、88、104、106、116 レール部
118、122 スライド突部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体部に設置されて前面部の一部または全部を開閉する開閉カバーと、
前記開閉カバーのアーム部が挿入されて該アーム部の移動をガイドするアームガイド部を備え、該アームガイド部に形成されたレール部と前記アーム部とを係合させ、前記開閉カバーをスライド可能に支持するスライド機構と、
を備える筐体モジュール。
【請求項2】
前記前面部は円弧面であって、前記アームガイド部および前記アーム部は前記前面部の前記円弧面に応じて湾曲させた、
請求項1に記載の筐体モジュール。
【請求項3】
前記アーム部は、前記アームガイド部の前記レール部に係合する溝部と、前記レール部に平行に形成された立壁とを備える、
請求項1または2に記載の筐体モジュール。
【請求項4】
前記筐体部は固定カバーを備え、前記アームガイド部が前記固定カバーと前記筐体部とで形成されている、
請求項1ないし3に記載の筐体モジュール。
【請求項5】
前記レール部のスライド限界位置に衝突するストッパを前記アーム部または前記アームガイド部に設けることにより、前記開閉カバーの移動範囲を規制した、
請求項1ないし4の何れかに記載の筐体モジュール。
【請求項6】
前記アームガイド部と前記アーム部との係合により前記アーム部の離脱を阻止する離脱防止機構を備える、
請求項1ないし5の何れかに記載の筐体モジュール。
【請求項7】
前記筐体部と閉状態の前記開閉カバーとを磁力により保持するカバー保持機構を備える、
請求項1ないし6の何れかに記載の筐体モジュール。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7の何れかに記載された筐体モジュールを備え、前記筐体部の前面部に表示部およびスイッチ部を備える、
リモコン装置。
【請求項9】
請求項8に記載のリモコン装置と接続されて給湯機能または追焚機能を制御する制御部を備える、
給湯・追焚装置。
【請求項1】
筐体部に設置されて前面部の一部または全部を開閉する開閉カバーと、
前記開閉カバーのアーム部が挿入されて該アーム部の移動をガイドするアームガイド部を備え、該アームガイド部に形成されたレール部と前記アーム部とを係合させ、前記開閉カバーをスライド可能に支持するスライド機構と、
を備える筐体モジュール。
【請求項2】
前記前面部は円弧面であって、前記アームガイド部および前記アーム部は前記前面部の前記円弧面に応じて湾曲させた、
請求項1に記載の筐体モジュール。
【請求項3】
前記アーム部は、前記アームガイド部の前記レール部に係合する溝部と、前記レール部に平行に形成された立壁とを備える、
請求項1または2に記載の筐体モジュール。
【請求項4】
前記筐体部は固定カバーを備え、前記アームガイド部が前記固定カバーと前記筐体部とで形成されている、
請求項1ないし3に記載の筐体モジュール。
【請求項5】
前記レール部のスライド限界位置に衝突するストッパを前記アーム部または前記アームガイド部に設けることにより、前記開閉カバーの移動範囲を規制した、
請求項1ないし4の何れかに記載の筐体モジュール。
【請求項6】
前記アームガイド部と前記アーム部との係合により前記アーム部の離脱を阻止する離脱防止機構を備える、
請求項1ないし5の何れかに記載の筐体モジュール。
【請求項7】
前記筐体部と閉状態の前記開閉カバーとを磁力により保持するカバー保持機構を備える、
請求項1ないし6の何れかに記載の筐体モジュール。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7の何れかに記載された筐体モジュールを備え、前記筐体部の前面部に表示部およびスイッチ部を備える、
リモコン装置。
【請求項9】
請求項8に記載のリモコン装置と接続されて給湯機能または追焚機能を制御する制御部を備える、
給湯・追焚装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2013−110536(P2013−110536A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253288(P2011−253288)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000170130)パーパス株式会社 (87)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000170130)パーパス株式会社 (87)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]