説明

筒状ニット製品のための反転装置であり、特には、筒状製品を軸方向端部で自動的に閉じるための縫製又はルーピングステーションのための反転装置

【解決手段】筒状ニット製品のための反転装置であり、特には、筒状製品を軸方向端部で自動的に閉じるための縫製又はルーピングステーションのための反転装置は、下部分(131) 及び上部分(132) を備えている。下部分(131) 及び上部分(132) は、その軸方向両端部の内の一方で吊るされて略垂直に設けられる反転されるべき筒状製品(101) を支持するための支持手段(60)が配置されているか、又は配置可能である中間領域の下方及び上方に夫々配置されている。管状体(137) が更に備えられており、管状体(137) の軸方向上端部から製品(101) を徐々に抜き出して管状体(137) の外側側面に前記支持手段(60)によって保持された製品(101) を裏返すために、前記管状体(137) は、前記管状体(137) の軸方向上端部を通って製品(101) が前記管状体(137) 内に吸込まれた後、前記支持手段(60)から吊るされた製品(101) の前記軸方向端部を通って底部から上向きに前記軸方向上端部が挿入され得る。補助摺動手段(159) が更に備えられており、補助摺動手段(159) は、命令により前記管状体(137) の軸に平行に前記管状体(137) に対して移動可能であり、前記管状体(137) の軸方向下端部に向けて製品(101) を摺動させるために、前記管状体(137) の外側側面へと裏返される製品(101) に対して周期的に係合及び係合解除が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状ニット製品のための反転装置又は反転器であり、特には、筒状製品を軸方向端部で自動的に閉じるための縫製又はルーピングステーションのための反転装置又は反転器に関する。
【背景技術】
【0002】
筒状ニット製品、特には靴下類製品を軸方向端部で製造サイクルの終わりに円形靴下編機で自動的に閉じるための技術が公知である。
【0003】
これらの技術の内の一部は、製造サイクルの終わりに円形靴下編機から製品を拾い、製品を製造すべく使用される編機に対して横方向に通常配置されている縫製又はルーピングステーションに拾われた製品を移すことに基づいている。
【0004】
縫製又はルーピングステーションには、縫製又はルーピングヘッドが設けられており、製品の製造が終了する位置である製品の軸方向端部によって通常構成される製品の軸方向端部が、縫製又はルーピングヘッドによって閉じられる。
【0005】
一部の技術は、製品を製造した編機から製品を拾うためと、製品の軸方向端部を閉じるための縫製又はルーピング動作の間製品を支持するためとの両方で単一の装置を使用することに基づいている。他の技術では、製品を拾い、拾われた製品を縫製又はルーピングステーションに移すための装置と、縫製ステーションに配置されて、続く縫製又はルーピング動作のために製品を用意し、任意には縫製又はルーピングの間縫製又はルーピングヘッドに対して製品を移動させるために使用される処理装置とが備えられている。
【0006】
通常製品は、製品の最後に形成された編成列の編成ループを個別に係合することにより、製品を製造した編機から拾われて、任意には処理装置に移される。また、前記最終編成列の半列の編成ループは、縫製又はルーピングを続ける前に別の半列の編成ループに個別に対向させられて、そのため、製品の軸方向端部が、どの場合にも最後に形成された編成列を構成する2つの半列の相互に面する2つのループを結合することにより閉じられる。このため、筒状ニット製品、特には靴下類の軸方向端部の自動的な閉じで精密さ及び美観の観点で優れた結果が達成される。
【0007】
これらの技術の両方で、多くの場合、縫製又はルーピングのための環縫いが、製品の表面に、つまり製品が着用される際に通常見える側でほとんど目に見えないように、縫製又はルーピングが裏返しに反転された製品に対して行われている。
【0008】
このため、筒状ニット製品の軸方向端部を閉じるためにこれらの技術を行なうべく設計された縫製又はルーピングステーションには、一般的に反転器が設けられている。反転器は、製品に縫製又はルーピング動作を行う前に、製品を製造した編機から表面が外側である状態で拾われた製品を裏返しに反転させて、任意には縫製又はルーピング動作の後、製品を表面が外側である状態にするために製品を再度反転させるべく設計されている。
【0009】
このタイプの使用のために最も広く普及したタイプの反転器の内の1つが、管状体の使用に基づいており、管状体は、ピックアップ装置又は処理装置によって閉じられるべき軸方向端部を支持されて該軸方向端部が上向きになる状態で略垂直に配置された製品に下方領域で対向させられる。管状体は更に、軸が垂直であり、軸方向上端部が吊るされた製品と対向するように配置されている。そのため、どのような場合でも、閉じられるべき軸方向端部をピックアップ装置又は処理装置によって保持されたままの製品を軸方向上端部を介して吸い込むように、管状体の内部が吸込手段に接続されている。その後管状体は、ピックアップ装置又は処理装置と係合された製品の軸方向端部を管状体の軸方向上端部が通過するように上昇する。この通過により、製品は、管状体の外側側面に裏返され、管状体の軸方向上端部から徐々に抜き出されて、裏返しに反転される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0942086号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
例えばパンティーストッキングの場合のような非常に長い筒状製品の場合には、この種の反転器を用いて管状体の外側側面へと製品を完全に裏返すことは困難となり得る。製品を、縫製又はルーピングを行なった後新たな反転により表面が外側である状態に戻す必要があるとき、同様の問題が生じる。この新たな反転は、実際には、管状体の軸方向下端部を通して管状体に製品を吸い込むことにより行われる。この場合にも、製品の相当な長さにより実際には、反転器の管状体の軸方向下端部を通した製品の完全な吸込みが妨げられ得る。
【0012】
この問題を解決するために、非常に長い管状体を有して、従って、略垂直な占有面積を有する反転器が考案されているが、このような反転器は設置及び取付を困難にする。代案として、水平軸を有して、管状体の外側側面に面するローラを備えた反転器が考案されている。これらのローラは、夫々の軸を中心として回転移動で命令により作動され得る。更に前記ローラは、製品の裏返しを完了すべく、製品の管状体の外側側面へと既に裏返されている部分と係合するように管状体の外側側面に向かう方向に、又は、他の動作状態で管状体と干渉しないように管状体の外側側面から離れる方向に移動可能である。
【0013】
管状体の外側側面への製品の裏返しを補助し完了させるローラの使用は、反転器の垂直方向の占有面積の低減を可能にする一方、欠点が全くないわけではない。
【0014】
ローラの作用は、実際には、ローラによって生じる摩擦により破れる場合がある特に繊細な製品ではほとんど容認され得ない。
【0015】
また、製品に対するローラの回転作用は、非常に光沢がある製品の場合には管状体の外側側面で製品を引っ張るという点で生産的とはほとんどなり得ない。
【0016】
本発明の目的は、筒状ニット製品のための反転装置であり、特には、筒状製品を軸方向端部で自動的に閉じるための縫製又はルーピングステーションのための反転装置であり、非常に長い製品でも正確な反転を確保し、垂直方向の占有面積が低減され得る前記反転装置を提供することにより上述された問題を解決することである。
【0017】
この意図の範囲内で、本発明は、特に光沢がある製品又は繊細な製品であっても正確な回転を確保し、前記製品の損傷又は破損の危険性を回避する反転器を提供することを目的とする。
【0018】
本発明は、動作中に非常に信頼性が高く正確な反転器を提供することを別の目的とする。
【0019】
本発明は、構造的に簡素であり、競争力のある価格で製造され得る反転器を提供することを更に別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この意図、並びにこれらの目的及び以下に明らかとなるその他の目的は、筒状ニット製品のための反転装置であり、特には、筒状製品を軸方向端部で自動的に閉じるための縫製又はルーピングステーションのための反転装置であり、その軸方向両端部の内の一方で吊るされて略垂直に配置され反転されるべき筒状製品を支持するための支持手段が配置されているか、又は配置可能である中間領域の下方及び上方に夫々配置された下部分及び上部分を備えると共に管状体を更に備え、該管状体の軸方向上端部から製品を徐々に抜き出して前記管状体の外側側面へと前記支持手段によって保持された製品を裏返すために、前記管状体の軸方向上端部を通って製品を吸込んだ後、前記支持手段から吊るされた製品の前記軸方向端部を通って底部から上向きに前記軸方向上端部が挿入され得る前記反転装置において、補助摺動手段を更に備えており、該補助摺動手段は、命令により前記管状体の軸に平行に前記管状体に対して移動可能であり、前記管状体の軸方向下端部に向けて製品を摺動させるために、前記管状体の外側側面へと裏返される製品に対して周期的に係合及び係合解除が可能であることを特徴とする装置により達成される。
【0021】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面に非限定例として例証された本発明に係る反転器の好ましい、しかし限定するものではない実施形態の説明によって更に明瞭となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】軸が垂直であるように配置された反転器の下部分及び管状体を示す軸方向断面略図である。
【図2】軸が垂直線に対して傾けられているように配置された反転器の下部分及び管状体を示す軸方向断面略図である。
【図3】反転器の上部分を示す軸方向断面略図である。
【図4】図3を線IV−IVに沿って示した拡大断面図である。
【図5】図4を線V -V に沿って示した断面図である。
【図6】製品を支持するための支持手段を垂直面に沿って示す軸方向断面図である。
【図7】製品を支持するための支持手段を、単純化及び更なる明瞭化のために複数の要素を省略して示す平面図である。
【図8】本発明に係る反転器の動作を示す概略図であり、更に具体的には本発明に係る反転器が配置されている縫製又はルーピングステーションで製品を位置決めするための工程を示して、図6の断面に垂直な垂直面に沿った軸方向断面図で前記反転器を示す概略図である。
【図8a】図8を詳細に示す拡大図である。
【図9】本発明に係る反転器の動作を示す概略図であり、更に具体的にはピックアップ装置のピックアップ部材から支持手段へと製品の編成ループを個別に移動させるための工程を示し、前記反転器を軸方向断面で示して図8に示された要素を詳細に示す拡大略図である。
【図9a】図9を詳細に示す拡大詳細図である。
【図10】本発明に係る反転器の動作を示す概略図であり、更に具体的にはピックアップ装置のピックアップ部材から支持手段へと製品の編成ループを個別に移動させるための工程を示し、前記反転器を軸方向断面で示して図8に示された要素を詳細に示す拡大略図である。
【図10a】図10を詳細に示す拡大詳細図である。
【図11】図8と同様、本発明に係る反転器の動作を示す概略図であり、更に具体的には支持手段から吊るされた製品を反転するための工程を示す断面略図である。
【図12】図8と同様、本発明に係る反転器の動作を示す概略図であり、更に具体的には支持手段から吊るされた製品を反転するための工程を示す断面略図である。
【図13】図8と同様、本発明に係る反転器の動作を示す概略図であり、更に具体的には支持手段から吊るされた製品を反転するための工程を示す断面略図である。
【図14】図8と同様、本発明に係る反転器の動作を示す概略図であり、更に具体的には支持手段から吊るされた製品の編成列の半列の編成ループに編成列の別の半列の対応する編成ループを、一方の半列を別の半列に対して略180 度の円弧を通って反転することにより夫々重ねるための工程と、相互に重ねられた編成ループ対を縫製又はルーピングするための工程とを示す断面略図である。
【図14a】図14を詳細に示す拡大図である。
【図15】本発明に係る反転器の動作を示す概略図であり、更に具体的には単純化及び更なる明瞭化のために複数の要素を省略して図14a を線XV−XVを通過する面に沿って示す断面略図である。
【図16】図14a と同様、本発明に係る反転器の動作を示す概略図であり、更に具体的には支持手段から製品を外すための工程を示す断面図である。
【図17】本発明に係る反転器の動作を示す概略図であり、更に具体的には単純化及び更なる明瞭化のために複数の要素を省略して図16を線XVII−XVIIを通過する面に沿って示す断面略図である。
【図18】図8と同様、本発明に係る反転器の動作を示す概略図であり、更に具体的には反転器から間隔を置いて製品を配置するための工程を示す断面略図である。
【図19】図8と同様、本発明に係る反転器の動作を示す概略図であり、更に具体的には図8に示された状態への反転器の戻しを示す断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る反転装置又は反転器は、製品の製造続行又は製品の軸方向端部の縫製又はルーピングによる閉じに関係なく筒状製品を更に一般的に単に反転させるために本発明に係る反転器が使用され得るという事実を変更することなく、円形靴下編機で製造された例えば靴下類製品のような筒状ニット製品101 の軸方向端部を閉じるための縫製又はルーピングステーション102 での好ましい使用に関連して説明される。
【0024】
図面を参照すると、参照番号130 によって通常示されている本発明に係る反転装置又は反転器は、下部分131 及び上部分132 を実質上備えており、下部分131 及び上部分132 は、中間部分の下方及び上方に夫々配置されており、中間部分には、軸方向両端部の内の一方で吊るされて、略垂直に配置される反転されるべき筒状製品101 を支持するための支持手段が配置されているか、又は配置され得る。
【0025】
反転器130 は管状体137 を備えており、管状体137 は、以下で更に明らかとなるように、管状体137 の軸方向上端部から製品101 を徐々に抜き出して管状体137 の外側側面へと支持手段によって保持された製品101 を裏返すように、管状体137 の軸方向上端部を通して製品101 を吸い込んだ後、支持手段から吊るされた製品101 の軸方向端部を通って軸方向上端部が下から上向きに挿入され得る。
【0026】
本発明によれば、反転器130 は補助摺動手段159 を備えており、補助摺動手段159 は、管状体137 の軸と平行に管状体137 に対して命令で移動可能であり、管状体137 の軸方向下端部に向けて製品101 を摺動させるために、管状体137 の外側側面へと裏返された製品101 に対して周期的に係合するか又は係合を外すことが可能である。
【0027】
更に具体的には、反転器130 の下部分131 及び上部分132 間の中間領域に配置された製品101 を支持するための支持手段は、処理装置60を含んでおり、処理装置60は、軸又は主軸61a が垂直であるように配置された環状体61を有している。環状体61は、複数のスパイク62を下面に有しており、複数のスパイク62は、軸が軸61a と一致する仮想円柱面に沿って軸61a と平行に配置されている。スパイク62は、反転されるべき製品101 を軸方向上端部でスパイク62から吊るすように製品101 を支持すべく適合しており、管状体137 は、軸が垂直主軸61a にあるように設けられて、軸61a に沿って命令で移動可能である。
【0028】
反転器が、例示された実施形態のように、製品101 の軸方向端部を閉じるための縫製又はルーピングステーションに設けられるべく設計されている場合、処理装置60の環状体61は、直径軸64を中心として互いに回転される2つのハーフリング63a,63b から構成される。2つのハーフリングの内の一方のハーフリング63b によって構成されたハーフリングは、ハーフリング63b の各スパイク62をハーフリング63a の対応するスパイク62と対向させて並べるように、直径軸64を中心として他方のハーフリング63a に対して命令で反転され得る。好ましくは、2つのハーフリング63a,63b が共面位置にあるとき、スパイク62は、先端が下向きであるように方向付けられており、ハーフリング63b は、ハーフリング63a と下方領域で面するように直径軸64を中心として反転され得る。
【0029】
処理装置60は、編機から製品101 を直接拾い、拾われた製品101 を縫製又はルーピングステーション102 に運ぶために、縫製又はルーピングステーション102 から、反転されるべき製品101 を製造すべく使用される編機まで又はその逆方向に移動可能である。
【0030】
代案として、例示された実施形態のように、処理装置60は、縫製又はルーピングステーション102 に常時配置されており、反転されるべき製品101 は、製品101 を製造した編機から拾われて、ルーピングステーションに設けられ、通常参照番号10として図8乃至13に示されているピックアップ装置により処理装置60に移される。
【0031】
ピックアップ装置10は、軸11a を有する環状のピックアップ体11を備えており、ピックアップ体11は複数のピックアップ部材29を支持している。各ピックアップ部材29は、軸11a に関するラジアル面に配置された薄板体を有しており、軸11a に向かう方向又は軸11a から離れる方向に命令で移動可能である。
【0032】
ピックアップ体11は、軸11a が垂直であるように配置されている。ピックアップ部材29は、編機のニードルシリンダの周りにピックアップ体11を同軸に位置決めして、ピックアップ体11を自軸11a に沿って適切に移動させることによって、各ピックアップ部材が編機の針と径方向に面するように、製品101 を製造すべく使用される円形靴下編機の針間の角度間隔に対応して軸11a を中心として角度間隔を置いて均一に配置されている。ピックアップ部材29は、例示された実施例では、上向きに開いたフックのように形成されて軸11a を向いた端部を有する。このような端部は編機の対応する針と係合可能であり、各ピックアップ部材29は、このような針から編成ループを拾い、製品を製造した編機から製品101 を外すように針と対向させられる。各ピックアップ部材29の前記端部は、ピックアップ装置10から処理装置60に製品101 を移すように、スパイク62と係合され得る。スパイク62は、ピックアップ装置10のピックアップ部材29間の間隔に相当する角度間隔に応じて軸61a を中心として互いに均一に角度間隔を置いて設けられている。実際には、各ピックアップ部材29は処理装置60のスパイク62と組み合わされ、ピックアップ装置10が縫製又はルーピングステーション102 に配置されているときピックアップ体11は、ピックアップ部材29がスパイク62の環の周りに配置されて、各ピックアップ部材29がスパイク62と径方向に並んでいる状態で、処理装置60の環状体61と同軸な位置にある。
【0033】
製品101 の編成ループは、以下で更に明らかとなるように、環状体61の下方にピックアップ体11を同軸に配置して、ハーフリング63b がハーフリング63a に対して共面位置にある間、つまりハーフリング63a の下方に反転する前に、スパイク62の内の1つと各ピックアップ部材29の端部を係合することによって、ピックアップ部材29から処理装置60のスパイク62へと移される。
【0034】
例示された実施形態では、環状体61は、中空円筒65の周りに同軸に接続されており、中空円筒65は、垂直軸を有しており、中空円筒65が軸61a と一致する自軸を中心として回転可能であるように支持構造66によって支持されている。特に図6に示されているように、ハーフリング63a は中空円筒65の外側側面に固定されている一方、ハーフリング63b は直径軸64を中心として中空円筒65に枢支されている。
【0035】
中空円筒65は歯車67に同軸で固定されており、歯車67は別の歯車68と噛合し、該別の歯車68は、支持構造66に支持された電動機69の軸に固定されている。電動機69の作動により、中空円筒65が自軸を中心として回転し、従って、環状体61が、支持構造66に対して自軸61a を中心として回転する。
【0036】
図6及び7に示されているように、ハーフリング63b は、直径軸64を中心として複動流体作動シリンダ70によって反転される。複動流体作動シリンダ70はブロック71に取り付けられており、ブロック71は、支持構造66の一部により支持されている。複動流体作動シリンダ70は、ピストンの軸によってラック72に接続されており、ラック72は、軸74にジョイント接続された歯状部分73と噛合しており、軸74は、環状体61及び中空円筒65の軸61a に直角な自軸74a と中心としてブロック71に対して回転可能である。軸74はアーム75に固定されており、アーム75は、軸74a に平行であり軸74a に対して間隔を置いて設けられて、ハーフリング63b の一部と係合可能な部分を有する。ラック72及び歯状部分73による一方向又は反対方向への複動流体作動シリンダ70の作動により、軸74の一方向又は反対方向への回転、従ってハーフリング63b がハーフリング63a に対して共面である位置からハーフリング63b がハーフリング63b の下方に反転される位置まで又はその逆方向へのハーフリング63b の移動が引き起こされる。
【0037】
好都合なことに、軸74は、流体作動シリンダ76の作用によりブロック71に対して自軸74a に沿って命令で移動可能であり、流体作動シリンダ76は、ブロック71に取り付けられており、ハーフリング63b に対してアーム75を係合させるか又は係合を外すように、軸受77を介して自身のピストンで軸74に作用する。
【0038】
尚、ハーフリング63a に対して共面位置でハーフリング63b を固定するための手段が設けられている。図示されているように、前記手段はピン90によって構成されることが可能であり、ピン90は、支持構造66により支持されており、ハーフリング63b に画定された座部93から外すために、支持構造66に本体により接続された流体作動シリンダ91の作用により、戻しばね92とは対照的に、軸61a から離れる方向に移動可能である。実際には、戻しばね92の作用は、ピン90と座部93との係合、従って、ハーフリング63a に対して共面である位置でのハーフリング63b の支持を確保する。ハーフリング63b が反転されるとき、ピン90は、流体作動シリンダ91の作動により座部93から予め外されている。
【0039】
好都合なことに、第1のアキシアル押出手段80が設けられており、第1のアキシアル押出手段80は、言うまでもなくピックアップ装置10が設けられている場合、ピックアップ部材29がスパイク62と係合されているときピックアップ装置10のピックアップ部材29と相互に作用し、ピックアップ部材29からスパイク62へと編成ループを個別に移動させるように処理装置60のスパイク62と相互に作用する。
【0040】
更に、第2のアキシアル押出手段81が設けられており、以下に更に明らかとなるように、ハーフリング63b がハーフリング63a の下方に反転されるとき、ハーフリング63a のスパイク62からハーフリング63b のスパイク62へと編成ループを移動させるため、或いは 、縫製又はルーピング動作の後、ハーフリング63b のスパイク62から製品101 を外すために、第2のアキシアル押出手段81は処理装置60のスパイク62と相互に作用する。
【0041】
反転器130 の下部分131 及び上部分132 は、主垂直軸61a に沿って互いに同軸に位置付けられることが可能であり、管状体137 は、下部分131 又は上部分132 によって支持され得る。
【0042】
反転器130 の下部分131 は、管状体137 を支持するための下部支持手段と、管状体137 を軸61a に沿って作動するための下部作動手段とを含んでいる。該下部作動手段により、管状体137 の軸方向上端部が処理装置60の環状体61の下方で突出する下降位置から、前記軸方向上端部が処理装置60の環状体61の上方にあり、管状体137 の軸方向下端部が処理装置60の環状体61の近くにある状態で管状体137 が配置される上昇位置まで、管状体137 は処理装置60の環状体61を通過する。
【0043】
更に詳細には、管状体137 の下部支持手段は、特に図1及び2に示されているように下部支持構造133 を含んでおり、下部支持構造133 は、支持構造66の一部又は独立した支持構造であり得る。下部支持構造133 は、水平軸134aを中心として回転可能であるようにフレーム134 を支持している。脚部135 がフレーム134 に固定されており、中空の下部案内筒136 が前記脚部135 にジョイント接続されている。下部案内筒136 は下端部で脚部135 に固定されており、水平軸134aは、下部案内筒136 の軸方向拡張部分の中間領域に設けられている。
【0044】
フレーム134 は、下部案内筒136 の軸が製品101 を製造すべく使用される編機に上端部で接近するように垂直線に対して傾いている図2に示された傾斜位置から、下部案内筒136 の軸が軸61a と一致する例えば図1に示された垂直位置まで、又はその逆方向に移動すべく命令で回転可能である。
【0045】
下部案内筒136 は、軸方向に摺動可能であるように管状体137 を支持すべく適合されており、管状体137 は、軸方向両端部で開口しており、下部案内筒136 の周りで同軸に嵌合され得る。
【0046】
上記に述べられた下降位置から上昇位置まで管状体137 を移動させるために、下部作動手段は下部スリーブ138 を含んでおり、下部スリーブ138 は、下部案内筒136 の周りで軸方向に摺動可能であるように同軸に嵌合されている。座部139 が、下部スリーブ138 の上端部に画定されており、管状体137 の軸方向下端部が接触することにより座部139 に係合可能である。
【0047】
下部スリーブ138 はブロック140 に接続されており、ブロック140 には、ねじ軸141 と係合する主ねじが設けられており、ねじ軸141 は、自軸を中心として回転可能であるようにフレーム134 に支持されており、ねじ軸141 の軸が下部案内筒136 の軸と平行であるように設けられている。ねじ軸141 は電動機142 の出力軸に固定されており、電動機142 は、フレーム134 に取り付けられて、ねじ軸141 を回転すべく、従って下部案内筒136 に沿って下部スリーブ138 を摺動させるべく作動され得る。
【0048】
下部案内筒136 に沿った下部スリーブ138 の位置は、適切にフレーム134 に配置されたセンサ143,149 によって制御され得る。
【0049】
フレーム134 は、下部支持構造133 に対して水平軸134aを中心として線形アクチュエータによって回転される。線形アクチュエータは電動機144 によって構成されており、電動機144 は、下部支持構造133 に取り付けられて、出力軸によりねじ軸145 に接続されている。ねじ軸145 は、中空軸147 に画定された主ねじ146 と係合する。中空軸147 はレバー148 に枢支されており、レバー148 は、フレーム134 にジョイント接続されて、水平軸134aを中心として下部支持構造133 に枢支されている。
【0050】
フレーム134 には、下部案内筒136 の上端部の周りに下部案内筒136 と同軸である環状座部150 が設けられている。第1のアキシアル押出手段80は環状体151 を含んでおり、環状体151 は環状座部150 内に同軸に収容され得る。環状体151 は、流体作動シリンダ152 のピストンの軸に接続されており、流体作動シリンダ152 は、フレーム134 に本体により接続されており、流体作動シリンダ152 の軸が下部案内筒136 の軸と平行であるように設けられている。流体作動シリンダ152 は、下部案内筒136 の軸に沿って環状体151 を一方向又は反対方向に移動させるために作動され得る。
【0051】
環状体151 の上方に向いた面の周縁外形は、ピックアップ体11が縫製又はルーピングステーション102 に移動されるとき、又は処理装置60のスパイク62とピックアップ部材29によって係合されるとき、ピックアップ装置10のピックアップ部材29間に挿入され得る歯を有する櫛形状であることが好ましい。
【0052】
特に図3に示されているように、上部分132 は、管状体137 の軸方向上端部と係合可能な上部支持手段と、電動機142 の作動によって得られる前記上昇位置から、管状体137 の軸方向下端部が処理装置60の環状体61に対して上方に間隔を置く更なる上昇位置まで管状体137 を上昇させるための上部作動手段とを含んでいる。
【0053】
更に詳細には、上部分132 は上部支持構造153 を含んでおり、上部支持構造153 は、下部支持構造133 の一体部分又は独立した支持構造であり得る。上部支持構造153 は、中空円筒65に対して上方且つ同軸に配置された固定上部スリーブ154 を支持している。
【0054】
上部支持手段及び上部作動手段は可動上部スリーブ155 を含んでおり、可動上部スリーブ155 は、固定上部スリーブ154 と内部で同軸に係合し、固定上部スリーブ154 に対して軸方向に移動可能である。
【0055】
可動上部スリーブ155 の下端部は、管状体137 の軸方向上端部と係合可能であり、管状体137 の軸方向上端部と係合するための固定手段を備えている。
【0056】
更に具体的には、管状体137 の軸方向上端部は、可動上部スリーブ155 の下端部に挿入され得る突出端を有する。可動上部スリーブ155 は、下端部の近くに可動ピン156 を有しており、可動ピン156 は、可動上部スリーブ155 の軸に対して径方向に設けられて、流体作動シリンダ157 のピストンに接続されている。流体作動シリンダ157 は、本体が可動上部スリーブ155 に接続されており、可動ピン156 を移動させるべく作動され得る。可動ピン156 は、流体作動シリンダ157 の作動により、可動上部スリーブ155 の内表面から径方向に突出することが可能であり、可動上部スリーブ155 に挿入された管状体137 の軸方向上端部の突出端のための下部停止肩部を画定して、可動上部スリーブ155 からの管状体137 の抜き出しを抑制し、それによって管状体137 を支持する。
【0057】
可動上部スリーブ155 は、流体作動シリンダ158 のピストンの軸に接続されており、流体作動シリンダ158 は、本体が上部支持構造153 に接続されて、流体作動シリンダ158 の軸が可動上部スリーブ155 の軸と平行であるように設けられている。流体作動シリンダ158 は、固定上部スリーブ154 に対して可動上部スリーブ155 をその軸に沿って移動させるべく作動され得る。
【0058】
補助摺動手段159 は、管状体137 が中空円筒65から上向きに突出するとき管状体137 の外側側面に面するように処理装置60の環状体61の上方に配置されている。
【0059】
特に図3,4及び5に示されている補助摺動手段159 はスライダ160 を含んでおり、スライダ160 は、垂直軸を有する円柱161 に摺動可能に連結されており、円柱161 は、上部支持構造153 に固定されている。主ねじ162 がスライダ160 に画定されており、ねじ軸163 が、主ねじ162 と係合して、自身の垂直軸を中心として回転可能であるように上部支持構造153 によって支持されている。ねじ軸163 は電動機164 の出力軸に接続されており、電動機164 は上部支持構造153 に取り付けられている。実際には、電動機164 の作動により、円柱161 に沿って、すなわち軸61a と平行にスライダ160 が上向き又は下向きに摺動される。
【0060】
スライダ160 は、軸61a に対して互いに正反対な2つの領域に2つの押え器165 を支持している。2つの押え器165 は対向しており、管状体137 の外側側面又は管状体137 の外側側面へと裏返される製品101 に対して係合するか又は係合を外すように、ばね167 の作用とは対照的にスライダ160 に取り付けられた対応する流体作動シリンダ166 の作用により互いに向かう方向に移動するか、又はばね167 の作用により互いから離れる方向に移動することが可能である。押え器165 の対向面は、管状体137 の外側側面と係合するように円柱面の一部であるように形成されている。任意には、押え器165 の対向面は、製品101 への付着力を増大させるためにきざみが付けられ得るか又は鋸歯状に形成され得る。
【0061】
尚、管状体137 を通る下向き又は上向きの吸引力を生成するために、下部案内筒136 の下端部及び固定上部スリーブ154 の両方が、単純化のために図示されていない公知のタイプの空気吸込手段に命令で接続され得る。
【0062】
第2のアキシアル押出手段81は、環状作動体82を含んでおり、環状作動体82は、中空円筒65の周りに同軸で嵌合されて、支持構造66に対して軸61a を中心として回転可能にジョイント接続されている。環状作動体82は、図8乃至13及び19に示されている垂直案内棒83により中空円筒65に接続されており、垂直案内棒83の周りには、中空円筒65に対する環状体82の下降を抑制するばね84が配置されている。
【0063】
少なくとも1つの流体作動シリンダ85のピストンが環状作動体82に命令で作用し、前記シリンダは軸が垂直であるように支持構造66に取り付けられている。流体作動シリンダ85の作動により、戻しばねとして作用するばね84の作用とは対照的に、中空円筒65に対して環状作動体82が下げられる。軸受86が、環状作動体82と流体作動シリンダ85のピストンとの間に介装されており、軸61a と一致する自軸を中心とした中空円筒65の回転中の環状作動体82と流体作動シリンダ85のピストンとの摩擦を回避する。
【0064】
ハーフリング63a,63b が共面であるときにスパイク62が配置されている円柱面内には、処理装置60の環状体61に、実際にはスパイク62によって径方向の外側を画定される環状座部87が設けられている。
【0065】
この環状座部87に環状接触体88が収容されており、この環状接触体88も、ハーフリング63a,63b と同様に半分に分けられ、2つの要素として構成されている。環状接触体88の2つの要素は夫々、環状作動体82の作用によりスパイク62に対して軸61a と平行に移動可能であり、環状作動体82は、流体作動シリンダ85により下向きに押圧されたとき、図14乃至18にのみ示されている棒又は支柱89によって環状接触体88に作用し、環状接触体88を下降させる。流体作動シリンダ85の作用が停止するとき環状接触体88の上昇は、戻しばねによって達成され得る。尚、中空円筒65に固定されたハーフリング63a に配置された環状接触体88の半分に作用する棒89は、環状接触体88の前記半分に固定されることが可能であり、反転され得るハーフリング63b に配置された環状接触体88の他方の半分に作用する支柱89は、好都合なことに2つの別個の部分に設けられており、実際には、ハーフリング63a に対して直径軸64を中心としたハーフリング63b の反転を可能にする。図14,14a,16,18には、環状作動体82、中空円筒65及び環状接触体88が、第2のアキシアル押出手段81を示すために、図8乃至13及び19に使用された断面とは異なる面に沿った断面で示されている。
【0066】
反転器130 が、図示されているように縫製又はルーピングステーション102 に設けられている好ましい例には、このような縫製又はルーピングステーション102 に、明細書を完全とするためにのみ以下に簡潔に述べられる縫製又はルーピングヘッド170 が設けられている。
【0067】
縫製又はルーピングヘッド170 は、それ自体公知の方法で縫製要素を備えており、縫製要素は、縫製又はルーピングのための環縫い173 を形成すべく、針171 及びかぎ針、針171 及び糸供給管、又は図示されているように2本の針171,172 によって構成されている。縫製又はルーピングヘッド170 は更に、縫製要素の近くに軸受174 を備えており、軸受174 は、水平軸を有しており、ハーフリング63b がハーフリング63a の下方に反転されるとき且つハーフリング63b が電動機69の作動により中空円筒65と共に軸61a を中心として回転されている間にハーフリング63b を支持すべく設計されている。
【0068】
縫製又はルーピングヘッド170 は縫製要素を作動するために電動機175 を備えており、該電動機175 の作動は電動機69の作動と同期されており、そのため、どの場合にも、縫製又はルーピングヘッド170 の針171 が製品101 の編成ループ対を運ぶハーフリング63b のスパイク62と係合して編成ループ対を結合する。
【0069】
縫製又はルーピングヘッド170 は、縫製又はルーピング動作の終わりに縫製又はルーピングのための環縫い173 を切断するために、単純化のために図示されていない公知のタイプのカッタを備えている。
【0070】
好都合なことに、縫製又はルーピングヘッド170 は、案内軸177 にジョイント接続されたスライダ176 に取り付けられており、案内軸177 は、案内軸177 の軸が水平であるように設けられて、案内軸177 が支持構造66によって自軸に沿って摺動可能であるように支持されている。線形アクチュエータが、スライダ176 に作用し、ねじ及びナットの接続によりスライダ176 に接続された例えば流体作動シリンダ又は電動機のような単純化のために図示されていない公知のタイプである。また線形アクチュエータは、ハーフリング63b のスパイク62と相互作用すべく適合された位置に縫製又はルーピングヘッド170 を移動させるようにスライダ176 、従って縫製又はルーピングヘッド170 を軸61a に向かう方向に命令で並進移動させるか、又は、縫製又はルーピングステーション102 でのピックアップ体11の位置決め及びハーフリング63a に対する直径軸64を中心としたハーフリング63b の反転を妨げないようにスライダ176 、従って縫製又はルーピングヘッド170 を軸61a から離れる方向に命令で並進移動させる。
【0071】
反転器130 は、反転器130 を構成する複数の可動要素の移動を制御するための単純化のために詳細には説明されていない他のセンサによって完成され得る。反転器130 の可動要素を作動するために必要な複数のアクチュエータに加えて複数のセンサも、反転器130 の動作を監視するプログラム可能な電子タイプの制御及び作動要素に機能的に接続されている。この制御及び作動要素は、予め設定された動作プログラムの機能として反転器130 の動作及び製品101 を製造すべく使用される編機の動作の両方を監視する単一の制御及び作動要素によって構成され得る。
【0072】
反転器が筒状ニット製品の軸方向端部を閉じるために縫製又はルーピングステーションで使用される好ましい例における本発明に係る反転器は、以下に示す通り動作する。
【0073】
非作動状態では、管状体137 が下部分131 に支持され、完全に下げられて、軸が軸61a と一致するように反転器130 が配置されている。
【0074】
反転されるべき製品101 が、製品101 を製造すべく使用された編機から拾われると、反転中に製品101 を支持する処理装置60へと製品101 を外すべく設計されたピックアップ装置10が使用される場合、製品101 の最後に形成された編成列の編成ループをピックアップ部材29に保持するピックアップ体11が、軸11a が処理装置60の環状体61の下方で軸61a に位置するように配置される(図8,8a)。
【0075】
製品101 を製造すべく使用された編機から縫製又はルーピングステーション102 へと製品101 を移す間、特に製品101 が非常に長い場合には、図2に示されているように、また図8に破線で示されているように、下部分131 は、内部が吸込手段に接続されている管状体137 の軸方向上端部が製品101 を製造すべく使用される編機に接近するように軸61a に対して傾けられ得る。この接近により、ピックアップ装置10のピックアップ部材29からその上端部で吊るされた製品101 が、管状体137 内で管状体137 の軸方向上端部を通って吸い込まれ易くなる。続いて、管状体137 の軸が軸61a に位置するように下部分131 が戻される。
【0076】
次に、下部スリーブ138 に支持された管状体137 の軸方向上端部と、共面位置にある2つのハーフリング63a,63b との間にあるピックアップ体11は、各ピックアップ部材29がスパイク62と係合するように上昇する(図9,9a)。
【0077】
その後、流体作動シリンダ152 が作動されて、環状体151 を軸61a に沿って上昇させる。環状体151 は、ピックアップ部材29間に周縁外形の歯で入り込み、ピックアップ部材29からスパイク62へと編成ループを個別に移動させる。このようにして、各スパイク62は、製品を製造すべく使用された編機の針によって形成された最終編成列の編成ループを運ぶ(図10及び10a )。
【0078】
環状体151 が上昇位置に維持されている間、電動機142 の作動により、下部スリーブ138 、従って管状体137 は軸61a に沿って上昇して、前記管状体137 の軸方向上端部は、ピックアップ体11及び処理装置60の環状体61を通過して、中空円筒65内を通過し、上昇位置に達する(図11)。管状体137 のこの上向きの並進移動により、スパイク62から最後に形成された編成列によって吊るされた製品101 がスパイク62の上方で反転される。管状体137 の軸方向下端部が、未だ共面位置にある2つのハーフリング63a,63b によって構成された環状体61の真上に位置するとき、管状体137 の上昇は停止される。製品101 が管状体137 の軸方向の占有スペースより短い場合、管状体137 の上向きの並進移動だけで製品101 の反転は十分完了する。
【0079】
代わりに製品101 が管状体137 の軸方向の占有スペースより長い場合、管状体137 の外側側面への製品101 の反転は、補助摺動手段159 によって完了する。
【0080】
特に、管状体137 が上昇位置にある状態では、押え器165 は、流体作動シリンダ166 及び電動機164 の組み合わされた作動により、管状体137 の軸方向上端部からの製品101 の抜き出しが完了するまで管状体137 の軸方向下端部に向けて製品101 を押し込むように、周期的に、管状体137 の外側側面へと既に裏返された製品101 の一部と係合すると同時に下げられて、次に、製品101 から外されると同時に上げられる。
【0081】
管状体137 の外側側面への製品101 の裏返しの完了は、例えば光電池168 によって構成された光学検出器によって検出可能であり、光電池168 は、管状体137 の上端に面しており、補助摺動手段159 の介入が必要ではない場合補助摺動手段159 の作動を抑制するか、又は補助摺動手段159 が製品101 の裏返しを完了したとき補助摺動手段159 の作動を停止する(図12)。
【0082】
製品101 の反転の完了後、従って製品101 が裏返された状態にあるとき、可動上部スリーブ155 は、可動上部スリーブ155 の下端部が管状体137 の軸方向上端部の突出端の周りに嵌合するまで、流体作動シリンダ158 によって下げられる。続いて、流体作動シリンダ157 が作動されて、可動ピン156 によって管状体137 の軸方向上端部の近くで管状体137 と係合する。その後、流体作動シリンダ152 は環状体151 を環状座部150 に戻すように作動されて、電動機142 は、下部案内筒136 に沿って下部スリーブ138 を完全に下降させるように作動される。この時点で、ピックアップ体11は反転器130 から離れる方向に移動される(図13)。
【0083】
その後、ハーフリング63b は、図6に示されているように、ハーフリング63b の各スパイク62がハーフリング63a の各スパイク62と対向してハーフリング63a の各スパイク62の下方で並ぶように、流体作動シリンダ70の作動により、ハーフリング63a の下方で直径軸64を中心として反転される。ハーフリング63b の反転後、縫製又はルーピングヘッド170 は、軸受174 により下方領域でハーフリング63b を支持するようにハーフリング63b に向けて移動される。流体作動シリンダ85の作動により、環状作動体82が下げられ、ハーフリング63a に配置された環状接触体88の半分が下降して、ハーフリング63a のスパイク62からハーフリング63b のスパイク62へと編成ループが移される。このようにして、ハーフリング63b の各スパイク62は、編成ループ対を支持する(図14及び14a)。
【0084】
この時点で、ハーフリング63b が軸61a を中心として回転して、この回転中、縫製ヘッド170 の針171 がどの場合にもハーフリング63b のスパイク62と相互に作用して、同一のスパイク62に配置された編成ループ対を結合するように、縫製又はルーピングヘッド170 の縫製要素を駆動する電動機175 と電動機69とは相互に同期して作動される。このようにして、筒状製品101 の軸方向端部が裏返された状態で閉じられる(図15)。
【0085】
縫製又はルーピングを終了する際、縫製又はルーピングのための環縫い173 が切断されて、縫製又はルーピングヘッド170 はハーフリング63b から離れる方向に移動される。前記ハーフリング63b は、縫製又はルーピング動作が始まる前にハーフリング63b が占めていた軸61a を中心とした回転位置に戻されて、環状接触体88を上昇させた後、複動油圧作動シリンダ70の新たな介入によって、以前の方向に対して反対方向に直径軸64を中心として反転されて、ハーフリング63b がピン90によって固定されてハーフリング63a と共面である位置に戻される。この時点で、環状接触体88は再度下げられて、ハーフリング63b のスパイク62から製品101 が外される(図16及び17)。
【0086】
製品101 は、固定上部スリーブ154 を吸込手段に接続することによって一時的に生成される吸引力により、閉じられたばかりの端部から管状体137 内に管状体137 の軸方向下端部を通って吸い込まれる。
【0087】
製品101 を、閉じられたばかりの端部から管状体137 の軸方向下端部を介して吸込むことにより、製品101 が反転されて、従って表面が外側である状態に戻される。
【0088】
製品101 の管状体137 内への管状体137 の軸方向下端部を介した吸込みは、好都合なことに補助摺動手段159 の作動によって補助されることが可能であり、補助摺動手段159 は、管状体137 の軸方向下端部に向けて製品101 を押し込み、管状体137 は、該管状体137 での製品101 のこの吸込みを再度容易にするために、管状体137 の軸方向下端部が中空円筒65の上方に移動されるまで、流体作動シリンダ158 によって作動される可動上部スリーブ155 を上昇させることによって更に上昇され得る(図18)。
【0089】
尚、製品101 が、裏返された状態にすべく反転された後、表面が外側である状態にすべく再度反転される必要がない場合、製品101 の吸込みを、製品101 の開口した軸方向端部、すなわち軸方向上端部から管状体137 の軸方向下端部を介して行うことが可能である。これは、管状体137 の内部を吸込手段に接続する前に、管状体137 が、可動上部スリーブ155 の上昇により図18に示されている更なる上昇位置に移動されている間に、補助摺動手段159 によって管状体137 の軸方向下端部の下方に製品101 を押し込むことにより達成され得る。
【0090】
製品101 が反転器130 から離れる方向に移動された後、可動上部スリーブ155 は下げられて、下部スリーブ138 は、管状体137 の軸方向下端部が下部スリーブ138 に入るように上昇する(図19)。その後、可動ピン156 は、管状体137 の軸方向上端部の突出端から外れて、管状体137 は、下部スリーブ138 の下降により下部案内筒136 の周りで下降位置に戻される。可動上部スリーブ155 は、新たな製品101 の軸方向両端部の内の一方を閉じるべく新たな製品101 を受け取る準備ができている図8に示された状態に反転器130 を戻すように上昇する。
【0091】
言うまでもなく、本発明に係る反転器は、筒状ニット製品が軸方向両端部の内の一方で自動的に閉じられる縫製又はルーピングステーションで好ましくは使用されるべく考案されているが、筒状ニット製品を単に反転させるためだけにも使用され得る。この場合、装置の動作は、説明された動作と同様であり、縫製又はルーピングのために製品101 を用意するための工程がなく、製品101 は、裏返された状態にされると、表面が外側である状態に戻すべく再度反転されない点が異なる。
【0092】
実際には、本発明に係る反転器の垂直方向の占有面積が低減され得るが、前記反転器は非常に長い製品を正確に反転し得るので、本発明に係る反転器は、意図した目的を完全に達成していることが分かっている。また本発明に係る反転器は、特に光沢がある製品又は繊細な製品の損傷又は破損を回避して、前記製品を正確に反転することが可能である。
【0093】
このように考案された反転器は、その全てが添付した請求項の範囲内にある多くの調整及び変更を加えることができ、また細部の全ては、更に他の技術的に等価な要素に置き換えてもよい。
【0094】
実際には、用いられる材料並びに寸法は、要望及び技術の状態に応じて如何なるものであってもよい。
【0095】
本出願が優先権を主張するイタリア特許出願第MI2008A000399号明細書における開示内容は、参照してここに盛り込まれる。
【0096】
任意の請求項に記載されている技術的特徴の後には参照番号が付いているが、これらの参照番号は、請求項の明瞭性を高めるためだけに含まれているものであり、このような参照番号により一例として識別される各要素の解釈をいかなる形においても限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状ニット製品のための反転装置であり、特には、筒状製品を軸方向端部で自動的に閉じるための縫製又はルーピングステーションのための反転装置であり、その軸方向両端部の内の一方で吊るされて略垂直に配置され反転されるべき筒状製品(101) を支持するための支持手段(60)が配置されているか、又は配置可能である中間領域の下方及び上方に夫々配置された下部分(131) 及び上部分(132) を備えると共に管状体(137) を更に備え、該管状体(137) の軸方向上端部から製品(101) を徐々に抜き出して前記管状体(137) の外側側面へと前記支持手段(60)によって保持された製品(101) を裏返すために、前記管状体(137) の軸方向上端部を通って製品(101) を吸込んだ後、前記支持手段(60)から吊るされた製品(101) の前記軸方向端部を通って底部から上向きに前記軸方向上端部が挿入され得る前記反転装置において、
補助摺動手段(159) を更に備えており、該補助摺動手段(159) は、命令により前記管状体(137) の軸に平行に前記管状体(137) に対して移動可能であり、前記管状体(137) の軸方向下端部に向けて製品(101) を摺動させるために、前記管状体(137) の外側側面で裏返される製品(101) に対して周期的に係合及び係合解除が可能であることを特徴とする装置。
【請求項2】
反転されるべき製品(101) を支持する前記支持手段は、環状体(61)を有する処理装置(60)を含んでおり、
前記環状体(61)は、軸が垂直主軸(61a) にあるように配置されて、複数のスパイク(62)を支持しており、
該スパイク(62)は、前記処理装置(60)の前記環状体(61)の軸(61a) と一致する軸を有する仮想円柱面に沿って配置されて、軸方向端部で吊るされた反転されるべき製品(101) を支持すべく適合されており、
前記管状体(137) は、軸が前記垂直主軸(61a) にあるように配置可能であり、命令により前記垂直主軸(61a) に沿って移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記管状体(137) は、前記下部分(131) 又は前記上部分(132) により支持されることが可能であり、前記管状体(137) の内部が空気吸込手段に接続可能であり、
前記処理装置(60)の前記環状体(61)を通過させて、前記処理装置(60)から吊るされて前記管状体(137) の外側側面に前記管状体(137) の軸方向上端部を通って吸い込まれている製品(101) を少なくとも部分的に裏返すために、前記管状体(137) は、命令により少なくとも該管状体(137) の軸方向上端部が前記処理装置(60)の前記環状体(61)と下方領域で対向する下降位置から、前記管状体(137) の軸方向上端部が前記処理装置(60)の前記環状体(61)の上方にあり、前記管状体(137) の軸方向下端部が前記処理装置(60)の前記環状体(61)の近くにある状態で前記管状体(137) が配置される上昇位置まで又はその逆方向に移動可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記下部分(131) は、軸が前記垂直主軸(61a) に配置されている状態で前記管状体(137) を支持するための下部支持手段(133) と、前記下降位置から前記上昇位置まで又はその逆方向に前記処理装置(60)の前記環状体(61)を前記管状体(137) が通過するように、前記垂直主軸(61a) に沿って前記管状体(137) を作動するための下部作動手段とを含んでいることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記上部分(132) は上部支持手段(153) を含んでおり、
該上部支持手段(153) は、前記上昇位置から、前記管状体(137) の軸方向下端部が前記処理装置(60)の前記環状体(61)に対して上向きに離間される更なる上昇位置まで又はその逆方向に前記主垂直軸(61a) に沿って前記管状体(137) を上昇させるために、前記管状体(137) の軸方向上端部と係合可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記下部支持手段(133) 及び前記上部支持手段(153) は前記空気吸込手段に前記管状体(137) の内部を接続すべく適合されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記下部分(131) は、前記管状体(137) が前記下降位置で前記下部分(131) に支持された状態で前記垂直主軸(61a) に対して命令で傾けられ得ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記処理装置(60)の前記環状体(61)は2つのハーフリング(63a,63b) から構成されており、
該2つのハーフリングの内の一方のハーフリング(63b) は、前記処理装置(60)の環状体(61)の他方のハーフリング(63a) のスパイク(62)と前記一方のハーフリング(63b) のスパイク(62)とを個別に対向させて並べるために、直径軸(64)を中心として前記他方のハーフリング(63a) に対して反転可能であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
製品の一編成列の編成ループをピックアップ装置(10)から前記処理装置(60)の前記スパイク(62)へと個別に移動させるために、前記ピックアップ装置(10)及び前記処理装置(60)の前記スパイク(62)と相互に作用すべく適合された第1のアキシアル押出手段(80)を更に備えていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
ハーフリング(63a) のスパイク(62)から反転される他方の対向するハーフリング(63b) のスパイク(62)へと編成ループを移動させるため、又は、前記処理装置(60)のスパイク(62)から編成ループを外すために、前記処理装置(60)のスパイク(62)と相互に作用する第2のアキシアル押出手段(81)を更に備えていることを特徴とする請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記補助摺動手段(159) は、前記垂直主軸(61a) と平行な方向に摺動可能であるように支持構造(153) に連結されたスライダ(160) を含んでおり、
該スライダ(160) は、前記支持構造(153) に対して前記垂直主軸(61a) と平行に命令で移動可能であり、
前記スライダ(160) は、前記垂直主軸(61a) に対して互いに正反対な2つの領域に、対向する2つの押え器(165) を支持しており、
該押え器(165) は、前記上昇位置又は前記更なる上昇位置で前記管状体(137) の外側側面に対して係合するか又は係合を外すために、命令により互いに向かう方向又は互いから離れる方向に移動可能であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記押え器(165) の相互対向面が、前記管状体(137) の外側側面と係合するために円柱面の一部であるように形成されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記押え器(165) の相互対向面は、前記管状体(137) の外側側面へと裏返される製品(101) への付着力を増大させるためにきざみが付けられているか又は鋸歯状に形成されていることを特徴とする請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
前記管状体(137) の外側側面への製品(101) の完全な裏返しを検出するための手段を更に備えていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8a】
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【図9】
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【図9a】
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【図10】
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【図10a】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図14a】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2011−514942(P2011−514942A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550122(P2010−550122)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052045
【国際公開番号】WO2009/112348
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(597009471)
【Fターム(参考)】