説明

管体用端末キャップ

【課題】管体の内部に浸入した雨水等を管体の外部へ効率良く排水することができる管体用端末キャップを提供する。
【解決手段】管体用端末キャップ2を構成する蓋部21裏面に側方に向かう下り勾配の通水路26が設けられ、この通水路26により、管体1内の水が側方から外部に排水されるようになされているため、特に管体1を上下方向に配設した場合において、管体1の内部に浸入した雨水等は、管体1内に留まることなく、通水路26から管体1の外部に効率よく排出される。また、蓋部21裏面に、管体1内の水を通水路26に導く傾斜面27が形成されていれば、管体1内の水は効果的に通水路26に導かれ、外部に排水される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物外壁の意匠性向上や日除け等を目的に、建物外壁等に取付けられる管体、主に上下方向に配設される管体の端部に取付けられる管体用端末キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物外壁等に取付けられる管体の端部に取付けられる従来の管体用端末キャップについては、例えば特許文献1には、以下のような端末キャップが開示されている。
すなわち、この端末キャップは、管体からなる建築用の化粧板の開口端部を閉鎖する蓋部の一面に、化粧板の端部の外側面に接合する固定片部と、端部の内側面に嵌まる筒部が設けられ、固定片部の面上には、小ネジ等の固着具が挿通する孔部が穿設され、孔部と化粧板に設けられた締結孔に通した固着具により端部キャップを化粧板に固定できるようになされたものである。そして、前記蓋部には表面から裏面へと貫通する水抜き孔が開孔されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−307546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の如き端末キャップにおいては、単に蓋部の表裏方向に水抜き孔を開孔しているのみであるため、管体内に溜まった雨水等の水量が多いときはうまく排水されるものと思われるが、管体内に溜まった雨水等の水量が少ない時や結露による水等の場合は、前記水抜き孔にうまく導水されず、排水性に優れているとは言えない。そして、管体内に水が残留すると、化粧板や端末キャップが経年劣化する恐れがある。
【0005】
そこで本発明は上記の如き問題点を解決し、管体の内部に浸入した雨水等を管体の外部へ効率良く排水することができる管体用端末キャップを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわち、本発明に係る管体用端末キャップは、蓋部裏面を管体の端部に当接させて、管体の端部に取付けられる管体用端末キャップであって、前記蓋部裏面に側方に向かう下り勾配の通水路が設けられ、前記通水路により、管体内の水を側方から外部に排水させるようになされたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、蓋部裏面に側方に向かう下り勾配の通水路が設けられ、この通水路により、管体内の水が側方から外部に排水されるようになされているため、特に管体を上下方向に配設した場合において、管体の内部に浸入した雨水等は、管体内に留まることなく、通水路から管体の外部に効率よく排出される。
【0008】
さらに本発明において、蓋部裏面に、管体内の水を通水路に導く傾斜面が形成されていれば、管体内の水は効果的に通水路に導かれ、外部に排水される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態について、図面に基づき以下に具体的に説明する。
すなわち、図1は本発明に係る管体用端末キャップと管体の実施の一形態を示す分解斜視図、図2は管体用端末キャップを管体に取付けた時の断面図、図3は管体用端末キャップに形成された通水路と傾斜面の関係を断面で示す説明図である。
【0010】
1は管体であり、その端部が開口されている。管体1の断面形状は円形、矩形等、特に限定されるものではなく、またその材質も特に限定されるものではない。尚、本形態では、管体1は断面がほぼ矩形のパイプからなり、材質は鋼管やアルミニウム管、又はそれらの外周に合成樹脂が塗装又は被覆されたもの等から作製されているものであって、その四隅には円形のビスホール11が設けられている。
【0011】
2は管体用端末キャップであり、前記管体1の端部開口を塞ぐ、管体1の外形と略同大同形の外形を有する蓋部21を備えると共に、蓋部21裏面には前記管体1内に挿入される大きさ及び形状の縦壁22が突設され、更に蓋部21裏面の周縁は若干薄肉となされて段部23が形成されている。又、管体1の四隅に設けられたビスホール11に対応して、蓋部21の四隅には前記ビスホール11に挿入される位置決め用の二個の突起24と前記ビスホール11にタッピングビス3を螺入するための螺子用の二個の孔25が、それぞれ対角位置に対称に設けられている。
【0012】
そして、管体1の端部に蓋部21の裏面を当接させると共に、縦壁22を管体1内に挿入し、更に位置決め用の突起24をビスホール11に挿入した状態で、螺子用の孔25からビスホール11に螺入したタッピングビス3を締結することにより、蓋部21が管体1の端部に取付けられる。このとき、蓋部21の裏面周縁に段部23が形成され、該段部23は管体1の端部に当接しないようになされているので、蓋部21と管体1とが多少ずれて取付けられても、ずれは目立ちにくくなされている。
【0013】
そして本形態では、蓋部21裏面に、管体1内の水を側方から外部に排水させるように、側方に向かう下り勾配の通水路26が設けられている。すなわち、通水路26は、管体用端末キャップ2が取付けられた管体1の内部に位置する蓋部21裏面の内方から、縦壁22を切欠くと共に、側方に向かって下り勾配で延設され、周縁に形成された段部23と面一で外部と連通している。尚、通水路26は蓋部21裏面の周縁に形成された段部23と面一で外部と連通されているため、外観上、通水路26が目立たなく好ましい。また、本形態では、通水路26は矩形の各短辺にそれぞれ一箇所、各長辺にそれぞれ二箇所設けられているが、通水路26の数は、蓋部21の大きさや形状によって、適宜決定すればよい。
【0014】
さらに、本形態では、管体1の内部に位置する蓋部21裏面の内方の通水路26以外の部分は、全て、近接する通水路26に向かって下り勾配の傾斜面27となされ、通水路26以外に溜まる水がこの傾斜面27を伝って通水路26に導かれるようになされている。
【0015】
また、前記傾斜面27と通水路26との境界は、角部があると水の表面張力により、当該角部に水が溜まることから、傾斜面27の終端が通水路26の底部に位置するようになされ、境界で角部が生じないようになされている。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明に係る管体用端末キャップは、蓋部裏面に側方に向かう下り勾配の通水路が設けられ、この通水路により、管体内の水が側方から外部に排水されるようになされているため、特に管体を上下方向に配設した場合において、管体の内部に浸入した雨水等は、管体内に留まることなく、通水路から管体の外部に効率よく排出されるので、建物外壁の意匠性向上や日除け等を目的に、建物外壁等に取付けられる管体、主に上下方向に配設される管体の端末キャップとして好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る管体用端末キャップと管体の実施の一形態を示す分解斜視図である。
【図2】管体用端末キャップを管体に取付けた時の断面図である。
【図3】管体用端末キャップに形成された通水路と傾斜面の関係を断面で示す説明図である。
【符号の説明】
【0018】
1 管体
11 ビスホール
2 管体用端末キャップ
21 蓋部
22 縦壁
23 段部
24 突起
25 螺子用の孔
26 通水路
27 傾斜面
3 タッピングビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋部裏面を管体の端部に当接させて、管体の端部に取付けられる管体用端末キャップであって、前記蓋部裏面に側方に向かう下り勾配の通水路が設けられ、前記通水路により、管体内の水を側方から外部に排水させるようになされたことを特徴とする管体用端末キャップ。
【請求項2】
蓋部裏面に、前記通水路に加えて管体内の水を通水路に導く傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の管体用端末キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−218027(P2007−218027A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42195(P2006−42195)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】