説明

管接続具

【課題】 複数の管材の一端同士を連通状態にて接続する際、接続される管材の一端の外周に雄ねじを螺刻する必要がない管接続具を提供する。
【解決手段】複数の管材の一端同士を連通状態にて接続する管接続具であって、内部空間を有する本体部と、該複数の管材の一端各々を該内部空間に連通するよう接続する複数の接続口と、を備えてなり、該複数の接続口のうち少なくとも1の接続口である押込接続口に、押込接続口に接続されるべき管材の該一端である押込一端を押し込むことにより、押込接続口と押込一端との少なくとも一方が変形することで、押込接続口の内面と押込一端の外面とが密接し押込接続口に対して押込一端が固定されるものである、管接続具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管接続具に関し、より詳細には、複数(少なくとも2以上)の管材の一端同士を連通状態にて接続する管接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
管材(パイプとも呼ばれることがある。)は、気体、液体、これら気体と液体との混合物、気体及び液体の一方又は両方とそれに分散する固体(通常、粉体や粒体)との混合物といった流体を、該管材の内部流路に沿って流通させるのに種々の分野において用いられており、金属製(例えば、炭素鋼やステンレス鋼等の鋼製、アルミニウム製)、樹脂製(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のようなポリアルカン製、ポリ塩化ビニル製、ポリスチレン製等)、無機材料製(例えば、セメント管)等のものが広く知られている。
このように管材は流体の流路を形成するのに用いられるが、かかる流路の形成には、複数(少なくとも2以上)の管材の一端同士を連通状態にて接続する必要が生じることもある。複数の管材の一端同士を連通状態にて接続するには、これら一端同士を溶接等によって接続することもあるが、接続を容易かつ確実ならしめるため管接続具も多用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、特許文献1に開示の考案は、「曲げ応力に対するねじ管継手の強度を向上するとともに、鋼管に刻設加工したおねじ付近でのさびの発生を防ぐ」(要約の目的)ためになされたものであり、具体的には「エルボなどの管継手本体の内面に形成されるめねじは、その管継手本体の端部から軸線方向に予め定める距離だけ離れて内方に形成されており、鋼管の端部に刻設加工されたおねじを前記管継手本体に螺合し、この管継手本体のめねじよりも軸線方向外方の端部で管を支持して曲げ応力に対する強度を向上する。さらに管継手本体の端部を、合成樹脂製環体で覆い、第1のOリングと第2のOリングとを用いて、外部からの水の侵入などを防ぎ、これによって鋼管の端部に形成されたおねじ付近でさびが生じることを防ぐ。」(要約の構成)というものであり、「管継手本体の内面に形成されるめねじは、その管継手本体の端部から軸線方向に予め定める距離だけ離れて刻設されており、この管継手本体に螺合する管の端部は、管継手本体のめねじよりも軸線方向外方の端部で支持されるので、強度が向上され、曲げ応力が作用しても、破損してしまうことが防がれる。また本考案によれば、管継手本体の端部付近は合成樹脂製環体で覆われ、第1および第2のOリングによって気密性が達成され、これによって管の端部に刻設されたおねじに水などが侵入してさびが生じることが防がれる。」(考案の詳細な説明中、段落番号0014〜0015)というものである。
【0004】
【特許文献1】実開平5−75583号公報(例えば、要約、考案の詳細な説明中の段落番号0014〜0015、第1図、第2図等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の管継手本体のような従来から知られていた管接続具は、通常、接続される管材の一端の外周に螺刻された雄ねじ(特許文献1においては、鋼管の端部に刻設加工されたおねじ)に螺合可能な雌ねじ(特許文献1においては、管継手本体の内面に形成されるめねじ)を有し、該雌ねじに該雄ねじを螺合させることで、管接続具の内部空間を経由して複数の管材の一端同士を連通状態にて接続するものである。
このため従来の管接続具を用い、複数の管材の一端同士を連通状態にて接続するには、接続される管材の一端の外周に雄ねじを螺刻する必要があった。この管材の一端の外周へ雄ねじを螺刻する作業は、(イ)特別な螺刻装置を用いて特別な技術を有する者がある程度の作業時間を費やさなければならないという問題や、(ロ)外周へ雄ねじを螺刻する管材はある程度以上の厚みを要し(厚み方向に雄ねじを刻設するため、あまり厚みが薄い管材は用いることができない。)、管材のコスト削減や軽量化を妨げる問題もあった。
【0006】
この(ロ)に述べた管材の軽量化を妨げる問題は、とりわけ管材が移動しつつ使用される場合には、取扱容易性や可搬性を害する重大な要因となり得る。例えば、溶射装置(例えば、本出願人が出願した未公開特許出願、特願2006−59874及び特願2006−107338等)において、溶射材料を吹き付けるために、作業員が手で把持する溶射用のランス(先端にノズルを有し、基端からノズルに向けて溶射材料を、酸素を含む搬送ガスにより搬送し、ノズルから噴射する。)は、ランス本体(管材にて形成される:基端側部分)とノズル部(先端にノズルを備えた管材にて形成される:先端側部分)とは別体に通常形成されており、溶射装置を使用する際に、これらランス本体(基端側部分)の先端と、ノズル部(先端側部分)の基端と、を管接続具により接続し、ランス本体(基端側部分)の基端からノズル部先端のノズルへ溶射物を移送する。
溶射は、耐火性粒子と金属粒子等を含む溶射材料を酸素ガスと共に高温の補修体(例えば、コークス炉等の炉壁)に噴射し、金属粒子等が酸化される際に生じる熱により耐火性粒子の少なくとも一部を溶融させ、該溶解した耐火性粒子を該補修体の表面に付着及び固化させ該表面を覆う技術として種々の技術分野において使用されてきたが、高温の補修体から作業員ができる限り遠ざかるためには長いランスを要することから、作業員の作業を容易ならしめるためにはランス本体(基端側部分)を構成する管材はできる限り軽量であることが好ましい。
しかしながら、ランス本体(基端側部分)の先端とノズル部(先端側部分)の基端とを接続する管接続具は、ランス本体(基端側部分)の先端の外周に螺刻された雄ねじに螺合可能な雌ねじと、ノズル部(先端側部分)の基端の外周に螺刻された雄ねじに螺合可能な雌ねじと、を両端に有する直円筒形状の中空の管部材からなるものを通常用いており、上述の(ロ)のごとくランス本体(基端側部分)の先端に雄ねじを螺刻することを要することからランス本体(基端側部分)はある程度以上の厚みを要し軽量化には限界があった。このため溶射装置を使用する作業員は、取扱が難儀な重たい溶射用のランスを把持し移動させる必要があるため、重労働を強いられていた。
【0007】
そこで、本発明においては、複数の管材の一端同士を連通状態にて接続する際、接続される管材の一端の外周に雄ねじを螺刻する必要がない管接続具を提供することを目的とする。
このような接続される管材の一端の外周に雄ねじを螺刻する必要がないことで、上記した(イ)及び(ロ)のような問題が生じない。
そして、かかる管接続具は、管材の接続に幅広く用いることができるが、例えば、前述した溶射装置においてランス本体(基端側部分)の先端とノズル部(先端側部分)の基端とを接続するのに用いれば、ランスを軽量化することができ、溶射作業を容易ならしめることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の管接続具(以下、「本接続具」という。)は、複数の管材の一端同士を連通状態にて接続する管接続具であって、内部空間を有する本体部と、該複数の管材の一端各々を該内部空間に連通するよう接続する複数の接続口と、を備えてなり、該複数の接続口のうち少なくとも1の接続口である押込接続口に、押込接続口に接続されるべき管材の該一端である押込一端を押し込むことにより、押込接続口と押込一端との少なくとも一方が変形することで、押込接続口の内面と押込一端の外面とが密接し押込接続口に対して押込一端が固定されるものである、管接続具である。
本接続具は、特許文献1に開示の管継手本体のような従来から知られていた管接続具と同様に、内部空間を有する本体部と、複数(2以上)の管材の一端各々を該内部空間に連通するよう接続する複数の接続口(本体部に形成される)と、を備えてなり、それによって複数の管材の一端同士を該内部空間を通じ連通状態にて接続する。
そして、本接続具においては、該複数の接続口のうち少なくとも1の接続口である押込接続口(該複数の接続口の2以上から全部が押込接続口であってもよい。)に、押込接続口に接続されるべき管材の該一端である押込一端を押し込むことにより、押込接続口と押込一端との少なくとも一方が変形(塑性変形と弾性変形との別は問わない。塑性変形と弾性変形とのいずれか一方のみが起こる場合でも両方が起こる場合でもよい。)することで(押込接続口と押込一端との両方が変形してもよい)、押込接続口の内面と押込一端の外面とが密接し押込接続口に対して押込一端が固定される。
このように本接続具によれば、押込接続口と押込一端との少なくとも一方の変形により、押込接続口の内面と押込一端の外面とが密接し押込接続口に対して押込一端が固定されるので、接続される管材の一端(押込一端)の外周に雄ねじを螺刻することなく、複数の管材の一端同士を連通状態にて接続することができる。このため本接続具によれば、接続される管材の一端(押込一端)の外周に雄ねじを螺刻する必要がないので、上記した(イ)及び(ロ)のような問題が生じない。
【0009】
本接続具においては、押込接続口に押込一端が押し込まれる方向に平行な直線である押込方向線に対して垂直な一平面によって、押込接続口に押込一端が押し込まれたときに互いに密接する押込接続口の前記内面及び押込一端の前記外面を切断したとき、該一平面による該内面の断面部分と、該一平面による該外面の断面部分と、が、押込接続口に押込一端が押し込まれる前に互いに相似形を略なしているもの(以下、「相似形接続具」という。)であってもよい。
押込接続口に押込一端が押し込まれ押込接続口に対して押込一端が固定されたとき互いに密接する押込接続口の前記内面(以下、「口内面」という場合もある。)及び押込一端の前記外面(以下、「端外面」という場合もある。)を、ある一平面(押込接続口に押込一端が押し込まれる方向に平行な直線である押込方向線に対して垂直な平面である。)によって切断したところを考える(即ち、互いに密接する口内面及び端外面を該ある一平面によって切断する。)。このとき該内面(口内面)の該ある一平面による断面部分と、該外面(端外面)の該ある一平面による断面部分と、が、押込接続口に押込一端が押し込まれる前に互いに相似形を略なしているものである。
こうすることで押込接続口に押込一端が押し込まれる前、口内面の該ある一平面(押込方向線に対して垂直な平面)による断面部分と、端外面の該ある一平面(押込方向線に対して垂直な平面)による断面部分と、が互いに相似形を略なしているので、押込方向線に沿って押込接続口に押込一端が押し込まれると、該ある一平面の位置において口内面と端外面とが口内面を巡るようにうまく密接するので、口内面と端外面との間から流体(管材の内部を流通する液体や気体等の流体)が洩れることを防止又は減少させつつ押込接続口に押込一端を固定することができる。
【0010】
相似形接続具の場合、押込接続口に押込一端が押し込まれたときに密接する押込接続口の前記内面と押込一端の前記外面とが、押込接続口に押込一端が押し込まれる前には互いに相似形を略なしているものであってもよい。
こうすることで押込接続口に押込一端が押し込まれ押込接続口に対して押込一端が固定されたとき互いに密接する押込接続口の前記内面(口内面)と押込一端の前記外面(端外面)とが、押込接続口に押込一端が押し込まれる前には互いに相似形を略なしているので、互いに密接する口内面及び端外面の全面にわたってうまく密接し口内面と端外面との間から流体(管材の内部を流通する液体や気体等の流体)が洩れることを確実に防止又は減少させつつ押込接続口に押込一端をうまく固定することができる。
【0011】
相似形接続具の場合、押込接続口と押込一端とが金属材料によって形成されており、前記一平面による前記内面の断面部分と、前記一平面による前記外面の断面部分と、の相似比が0.95〜0.99である部分を有するものであってもよい。
金属材料としては、従来から管接続具や管材を形成するのに用いられてきた金属材料を幅広く用いることができ、何ら限定されるものではないが、例えば、ステンレス鋼や炭素鋼等の鋼材、アルミニウム、銅、真ちゅう等を挙げることができるが、押込接続口に押込一端をうまく押し込むことができることや耐腐食性等からはとりわけステンレス鋼が好ましい。
そして、前記一平面による前記内面(口内面)の断面部分と、前記一平面による前記外面(端外面)の断面部分と、の相似比(口内面の寸法/端外面の寸法)は、あまり小さいと押込接続口に押込一端を押し込むのが困難であったり又は押込接続口や押込一端が破損し得るし、逆にあまり大きいと押込接続口に押込一端を押し込んだ際、押込接続口の内面(口内面)と押込一端の外面(端外面)とが密接し押込接続口に対して押込一端がうまく固定されない問題を生じうるので、これらを両立する範囲とされることが好ましく、通常、好ましくは0.95以上かつ好ましくは0.99以下とされる。
【0012】
相似形接続具の場合、押込接続口の前記内面が、押込方向線を軸とする回転面を略なすもの(以下、「回転面接続具」という。)であってもよい。
こうすることで押込接続口の内面(口内面)に対して押込一端の外面(端外面)が押込方向線(押込接続口に押込一端が押し込まれる方向に平行な直線)を軸とするいずれの回転位置でも押込接続口の内面(口内面)と押込一端の外面(端外面)とが密接し押込接続口に対して押込一端がうまく固定される。
【0013】
回転面接続具の場合、前記回転面が、押込方向線を軸とする直円柱の側面又は前記直線を軸とする先細りの直円錐の側面であってもよい。
こうすることで押込接続口の前記内面(口内面)が、押込方向線を軸とする回転面を略なすように簡単に形成することができると共に、押込接続口に押込一端を円滑に押し込むことができる。
【0014】
回転面接続具の場合、前記一平面による前記内面の断面部分の直径が、前記一平面による前記外面の断面部分の直径よりも0.1mm〜2.0mm小さい部分を有するものであってもよい。
このように前記一平面による前記内面(口内面)の断面部分の直径Diが、前記一平面による前記外面(端外面)の断面部分の直径Doよりもあまり小さいと押込接続口に押込一端を押し込むのが困難であったり又は押込接続口や押込一端が破損し得るし、逆にあまり大きいと押込接続口に押込一端を押し込んだ際、押込接続口の内面(口内面)と押込一端の外面(端外面)とが密接し押込接続口に対して押込一端がうまく固定されない問題を生じうるので、これらを両立する範囲とされることが好ましく、通常、径差(Do−Di)は、好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.2mm以上であり、逆に、好ましくは2.0mm以下であり、より好ましくは1.0mm以上である(径差(Do−Di)は、好ましくは0.1mm以上で2.0mm以下であり、より好ましくは0.2mm以上で1.0mm以下である。)。
【0015】
本接続具においては、一端に第1の接続口を、他端に第2の接続口を、それぞれ有する直円筒形状の中空の管部材によって構成されるものであってもよい。
こうすることで、汎用されている直円筒形状の中空の管部材(パイプ)によって本接続具を構成することができ、直円筒形状の中空の管部材(パイプ)の一端に第1の接続口を形成すると共に、他端に第2の接続口を形成することができるので、本接続具を安価かつ容易に形成することができる。なお、第1の接続口及び第2の接続口の一方又は両方が押込接続口である。
【0016】
本接続具は種々の管材を連結するのに広く用いることができ、その用途や目的は何ら限定されるものではないが、前述した溶射装置の溶射ランスを接続するのに用いることもできる。即ち、かかる溶射装置は、本接続具によって、基端側部分と、ノズルを有する先端側部分と、が接続された溶射ランスを有する溶射装置である。こうすることで、本接続具により接続されるランスを構成する管材の先端に雄ねじを螺刻する必要がないので、該管材として薄肉(厚みが小さい)のものを用いることで、ランスを軽量化することができ、溶射作業を容易ならしめることができる。
【0017】
また、本接続具は、種々の管の接続物の製造方法に広範に用いることができ、該製造方法は、本接続具の押込接続口に押込一端を押し込む押込ステップを含むものである、本接続具を使用した管の接続物の製造方法である。
かかる製造方法においては、接続される管材の一端に雄ねじを螺刻する必要がないので、該管材として薄肉(厚みが小さい)のものを用いることができ、従来の方法(接続される管材の一端に雄ねじを螺刻する方法)では管材として採用することが困難なことが多かった肉厚が2.0mm以下のステンレス鋼製の円筒形管材も用いることができる。即ち、本接続具を使用した管の接続物の製造方法において、押込一端が、肉厚が2.0mm以下のステンレス鋼製の円筒形管材の一端であるようにすることもでき、前記した(イ)や(ロ)の問題を防止又は減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態を図面を参照して詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
図1は、一例の本発明の管接続具(本接続具)21を用いて形成した溶射装置の一部である溶射用のランス11を示す図である。具体的には、図1(a)はランス11の(一部)正面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。図1を参照して、溶射用のランス11について説明する。
ランス11は、溶射材料(不図示)を吹き付けるために作業員(不図示)が手で把持するものであり、先端側11aにノズル13nを有し、基端側11bからノズル13nに向けて溶射材料(不図示)を、酸素ガスを含む搬送ガス(ここではほぼ純粋な酸素ガス)により搬送し、ノズル13nから噴射するためのものである(噴射方向を図1(a)中、矢印Bにて示す。)。
ランス11は、大まかには、直管状のパイプによって構成されたランス本体15と、ランス本体15の先端に一端が取り付けられた本接続具21と、本接続具21の他端に基端が取り付けられたノズル部13と、を備えてなる。
【0020】
ランス本体15は、両端が開放された中空直円柱形(円筒形)のステンレス鋼製のパイプによって構成されている。耐火性粒子と金属粒子等を含む溶射材料と、酸素ガスを含む搬送ガス(ここではほぼ純粋な酸素ガス)と、の混合物が加圧状態にてランス本体15の基端に供給され、ランス本体15は該混合物を基端から先端(即ち、本接続具21やノズル部13の方向)に向けて移送する。
ノズル部13は、先端が栓部材13cにより閉鎖され基端が開放された中空直円柱形(円筒形)のステンレス鋼製のパイプによって構成されたパイプ部13aと、上述したようにパイプ部13aの先端に取り付けられ該先端を塞ぐ栓部材13c(ステンレス鋼製)と、パイプ部13aの先端近傍(栓部材13c側)にパイプ部13aの長手方向に対し略直角方向に突出するよう枝状に形成されたノズル13n(ステンレス鋼製のパイプにより構成されており、ノズル13nの内部とパイプ部13aの内部とは連通している。)と、を有してなる。上述したようにランス本体15の先端に移送された前記混合物は、後述するように本接続具21によってランス本体15の先端位置に対応するよう基端が取り付けられたパイプ部13aの内部に進入し、ノズル13n方向に移送されて最終的にノズル13nから噴射される。なお、該噴射された混合物は、図示しない高温の補修体(例えば、コークス炉等の炉壁)に接触し、該混合物に含まれている金属粒子が酸化(主として、搬送ガスに含まれる酸素ガスにより酸化される。)される際に生じる熱(酸化熱)により、該混合物に同じく含まれている耐火性粒子の少なくとも一部が溶融し、該溶解した耐火性粒子が該補修体の表面に付着し該表面を覆う。
【0021】
本接続具21は、直線D(特に図1(b)参照)を軸とする中空直円柱形(両端が開放された中空円筒形の直管状)のステンレス鋼製のパイプによって構成された本体部26(本体部26が形成する該中空直円柱の内部である内部空間27を有する。)を有してなり、特に図1(b)に示すように、本接続具21の両端のうち一端側にはランス本体15の先端を内嵌する受入部23が形成されると共に、該両端のうち他端側にはパイプ部13aの基端側外面に螺刻された雄ねじと螺合する雌ねじが直線D(特に図1(b)参照)に沿って内周に刻設された螺合部25が形成されている。
受入部23の内周面23aは、直線D(特に図1(b)参照)を軸とする直円柱の側面に沿った形状を有しており、後述するように、ランス本体15の先端が内嵌される前は、内周面23aが形成する直円柱の直径は、ランス本体15の先端が形成する直円柱の直径よりもやや小さく形成されており、ランス本体15の先端を受入部23に叩き込むこと(力を加えて押し込むこと、圧入)でランス本体15の先端(ステンレス鋼製)と受入部23(ステンレス鋼製)とが変形してランス本体15の先端が受入部23に受け入れられている。このようにランス本体15の先端と受入部23との変形により、受入部23の内周面23aがランス本体15先端を締め付けることで、ランス本体15の先端が受入部23によって強固に固定されている。
一方、螺合部25の内周には、パイプ部13aの基端側外面に螺刻された雄ねじ(後述する雄ねじ13ab)と螺合する雌ねじ25aが直線Dを軸として螺刻されている。
以上のように、ランス本体15の先端を受入部23に嵌入(圧入)すると共に、螺合部25の雌ねじ25aにパイプ部13aの基端側外面の雄ねじを螺合させることにより、ランス本体15とパイプ部13aとが直線Dにそって真っ直ぐに本接続具21により連結されている。
【0022】
図2は、ランス本体15の先端が本接続具21の受入部23に内嵌される前の状態を示す断面図(図1(b)と同様の断面位置)であり、内嵌前の該状態におけるランス本体15の先端の外径d2と、受入部23の内周面23aの内径d1と、螺合部25の内面の内径d3と、の関係を示すものである。
ここでは上述のようにランス本体15と本接続具21とのいずれもステンレス鋼によって形成されており、図2に記載のように、直線D方向の受入部23の長さは20mmであり、直線D方向の螺合部25の長さは13mmである(直線D方向の本接続具21全体の長さは20mm+13mm=33mmである。)。そして、螺合部25の内面の内径d3=18mmである。
ランス本体15の先端の外径d2と、受入部23の内周面23aの内径d1と、は前述の通りd2>d1とされ、径差dd=(d2−d1)は、あまり小さいとランス本体15の先端が本接続具21の受入部23に内嵌(圧入)されたとき受入部23の内周面23aがランス本体15先端を十分締め付けることができず(例えば、ランス本体15の先端が、受入部23から抜け落ちることも生じうる。)、逆にあまり大きいとランス本体15の先端を受入部23に嵌入(例えば、ハンマー等により叩き込み圧入する)することが困難であったり又はランス本体15の先端や受入部23が破損し得るので、これら両条件を満たすようにされるのが好ましく、通常、径差dd=(d2−d1)は、好ましくは0.05mm以上とされ、より好ましくは0.1mm以上とされ、最も好ましくは0.2mm以上とされ、逆に、好ましくは2.0mm以下とされ、より好ましくは1.0mm以下とされ、最も好ましくは0.5mm以下とされる。なお、ここでは実際には、d1=21.5mm、d2=21.7mmであるので、径差dd=(d2−d1)=0.2mmとした。
【0023】
図3は、上述した溶射用のランス11の製造方法を示す図である。図3を参照して、ランス11の製造方法について簡単に説明する。
第1に、図3(a)に示すように、ランス本体15の先端(外周に雄ねじは螺刻されていない。)を本接続具21の受入部23に嵌入する。前述の如く、ランス本体15の先端の外径d2と受入部23の内周面23aの内径d1とはd2>d1であるので、図示しないハンマー等によりランス本体15の先端を本接続具21の受入部23に常温にて叩き込む。これにより図3(b)に示すように、ランス本体15の先端と受入部23との変形により、受入部23の内周面23aがランス本体15先端を締め付けることで、ランス本体15の先端が受入部23によって強固に固定される。
第2に、図3(c)に示すように、螺合部25の雌ねじ25aに、ノズル部13のパイプ部13a(予め、栓部材13cやノズル13nはパイプ部13aに取り付けられている。)の基端側外面の雄ねじ13abを螺合させることで、本接続具21にノズル部13を取り付ける。
以上のようにして、図1に示すようなランス11が完成される。
【0024】
上述した通り本接続具21を用いた場合(実施例:図1に示したようなランス11)と、ランス本体15の先端の外周に雄ねじを螺刻し、ランス本体15の先端と接続具との接続もねじ止めにて行った場合(即ち、ランス本体15の先端とノズル部13のパイプ部13a基端との両方とも螺合により接続具に固定した場合)(比較例)と、の両方の場合について、実際にランスを製作した。なお、実施例と比較例とのいずれも、ランス本体の長さは2.0mとし、ランス本体の外径は21.7mmとし、ランス本体の材質はステンレス鋼(SUS304)とした。
実施例については、ランス本体15先端の外周に雄ねじを螺刻する必要がないので、ランス本体15を構成する管材は厚み1.5mmのものを用いることができた。厚み1.5mmの管材を用い、図3に示した手順によってランス(実施例ランス)を完成させた。
比較例については、ランス本体先端の外周に雄ねじを螺刻する必要があるので、ランス本体を構成する管材は厚み3.0mmのものを用いる必要があった。厚み3.0mmの管材を用い、ランス本体先端の外周に雄ねじを螺刻し、両側に螺合部を有する接続具を用いランス(比較例ランス)を完成させた。
完成した実施例ランスの重量を測定したところ2200gであったのに対し、比較例ランスの重量は3500gであり、比較例ランスに対して実施例ランスは約6割の重量であることが明らかになった。このように本接続具は、厚みが2.0mm以下のステンレス鋼製の管材を接続することが可能であり、これにより本接続具は溶射用ランスの大幅な軽量化を達成しうることが明らかになった。
なお、ここでは本接続具21は、一端側に受入部23が形成されると共に、他端側に螺合部25が形成されているが、両端とも受入部23を有するようにしてもよい。
【0025】
以上説明したように、本接続具21は、複数の管材(ここではランス本体15とパイプ部13aとの2本の管材)の一端同士(ここではランス本体15の先端とパイプ部13aの基端)を連通状態にて接続する管接続具であって、内部空間27を有する本体部26と、該複数の管材の一端各々(ここではランス本体15の先端とパイプ部13aの基端)を該内部空間27に連通するよう接続する複数の接続口(ここでは受入部23と螺合部25の2個)と、を備えてなり、該複数の接続口(受入部23、螺合部25)のうち少なくとも1の接続口(ここでは受入部23)である押込接続口(受入部23)に、押込接続口(受入部23)に接続されるべき管材(ここではランス本体15)の該一端である押込一端(ここではランス本体15の先端)を押し込むことにより、押込接続口(受入部23)と押込一端(ランス本体15の先端)との少なくとも一方が変形することで、押込接続口(受入部23)の内面(内周面23a)と押込一端(ランス本体15の先端)の外面とが密接し押込接続口(受入部23)に対して押込一端(ランス本体15の先端)が固定されるものである、管接続具である。
【0026】
そして、本接続具21においては、押込接続口(受入部23)に押込一端(ランス本体15の先端)が押し込まれる方向に平行な直線である押込方向線(ここでは直線D)に対して垂直な一平面(ここでは押込接続口(受入部23)を切断する該垂直な任意の平面。例えば、図1(b)において、かかる一平面の1つを点線Pにて示した。このような一平面は、押込接続口(受入部23)の押込方向線(直線D)に沿った範囲において、ここでは無数に存する。)によって、押込接続口(受入部23)に押込一端(ランス本体15の先端)が押し込まれたときに互いに密接する押込接続口(受入部23)の前記内面(内周面23a)及び押込一端(ランス本体15の先端)の前記外面を切断したとき、該一平面(例えば、平面P)による該内面(内周面23a)の断面部分と、該一平面(例えば、平面P)による該外面(ランス本体15の先端近傍の外面)の断面部分と、が、押込接続口(受入部23)に押込一端(ランス本体15の先端)が押し込まれる前(図2)に互いに相似形を略なしているものである(図2において、該一平面(例えば、平面P)による該内面(内周面23a)の断面部分の位置をP2にて示し、該一平面(例えば、平面P)による該外面(ランス本体15の先端近傍の外面)の断面部分の位置をP1にて、それぞれ示した。これら両断面はいずれも略円形であり互いに相似形をほぼなしている。)。
【0027】
本接続具21においては、押込接続口(受入部23)に押込一端(ランス本体15の先端)が押し込まれたときに密接する押込接続口(受入部23)の前記内面(内周面23a)と押込一端(ランス本体15の先端)の前記外面とが、押込接続口(受入部23)に押込一端(ランス本体15の先端)が押し込まれる前にはいずれも押込方向線(直線D)を軸とする直円柱の側面に沿った形状をしており、互いに相似形を略なしているものである。
加えて、本接続具21においては、押込接続口(受入部23)と押込一端(ランス本体15の先端)とが金属材料(ここではステンレス鋼)によって形成されており、前記一平面による前記内面(内周面23a)の断面部分(位置P2)と、前記一平面による前記外面の断面部分(位置P1)と、の相似比(ここではd1/d2=21.5mm/21.7mm=0.99)が0.95〜0.99である部分を有するものである(ここでは押込接続口(受入部23)と押込一端(ランス本体15の先端)とのいずれの部分も同じである。)。
【0028】
本接続具21においては、押込接続口(受入部23)の前記内面(内周面23a)が、押込方向線(直線D)を軸とする回転面(ここでは押込方向線(直線D)を軸とする直円柱の側面)を略なすものであり、前記回転面が、押込方向線(直線D)を軸とする直円柱の側面である。
本接続具21においては、前記一平面による前記内面(内周面23a)の断面部分の直径d1が、前記一平面による前記外面の断面部分の直径d2よりも0.1mm〜2.0mm小さい部分を有するものである(ここでは押込接続口(受入部23)と押込一端(ランス本体15の先端)とのいずれの部分も、d2−d1=0.2mmである。)。
本接続具21は、一端に第1の接続口(受入部23)を、他端に第2の接続口(螺合部25)を、それぞれ有する直円筒形状の中空の管部材によって構成されるものである。
そして、溶射用のランス11は、本接続具21によって、基端側部分たるランス本体15と、ノズル13nを有する先端側部分たるノズル部13と、が接続された溶射ランスであり、このランス11は図示しない溶射装置の一部をなす。
さらに、図3に示したランス11の製造方法は、押込接続口(受入部23)に押込一端(ランス本体15の先端)を押し込む押込ステップ(図3(a))を含むものである、本接続具21を使用した管の接続物(ランス11)の製造方法である。該製造方法においては、押込一端(ランス本体15の先端)が、肉厚が1.5mm(2.0mm以下)のステンレス鋼製の円筒形管材の一端である。
【0029】
図4は、別の形態の本接続具121を示す断面図である。本接続具121は、上述の本接続具21に比し、本接続具21の受入部23の内周面23aは直線Dを軸とする直円柱の側面に沿った形状(ストレート)をしていたのに対し、図4の本接続具121の受入部123の内周面123aは直線Dを軸とする直円錐台の側面に沿った形状(テーパー)をしていることが異なるが、その余りは同様である(本接続具21と同様の要素については、本接続具21にて用いたのと同じ参照番号を付しており、説明を省略する。)。受入部123の内周面123aは、内側に行くにつれて先細り(螺合部25方向に行くにつれて先細り)となるようテーパーが付けられており、具体的には、最も内側の直径(直円錐台の両底面のうち半径の小さい一方側の底面の直径)dt1は、最も外側の直径(直円錐台の両底面のうち半径の大きい他方側の底面の直径)dt2よりも小さい(即ち、dt1<dt2)。そして、ランス本体15の先端の外径d2よりもdt2の方が大きい方がランス本体15の先端を受入部123に嵌入しやすくなり、そして、少なくともd2よりもdt1の方が小さい方がランス本体15の先端が受入部123によって強固に固定されるので好ましい(即ち、好ましくは、dt1<d2<dt2)。そして、d2とdt1との径差ddt1=(d2−dt1)は、あまり小さいとランス本体15の先端が本接続具121の受入部123に内嵌(圧入)されたとき受入部123の内周面123aがランス本体15先端を十分締め付けることができず(例えば、ランス本体15の先端が、受入部123から抜け落ちることも生じうる。)、逆にあまり大きいとランス本体15の先端を受入部123に嵌入(ハンマー等により叩き込み圧入れする)することが困難であったり又はランス本体15の先端や受入部123が破損し得るので、これら両条件を満たすようにされるのが好ましく、通常、径差ddt1は、好ましくは0.03mm以上、より好ましくは0.05mm以上、最も好ましくは0.10mm以上であり、逆に、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.5mm以下、最も好ましくは0.2mm以下である。さらに、dt2とd2との径差ddt2=(dt2−d2)は、あまり小さいとランス本体15の先端を受入部123に容易に嵌入することができなくなり、あまり大きいと本接続具121が大型化する問題を生じうるので、これら両条件を満たすようにされるのが好ましく、通常、径差ddt2は、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上、最も好ましくは0.2mm以上であり、逆に、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.0mm以下、最も好ましくは0.5mm以下である。
【0030】
本接続具121は、上述の本接続具21と同様に用いることができ、例えば、溶射用のランスを形成するために用いることができる。このとき本接続具121を用いることで、ランス本体を構成する管材は薄肉(例えば、厚み1.5mm)のものを用いることができ、上記の比較例ランスに対して大幅な軽量化を図ることができる。
なお、ここでは本接続具121は、一端側に受入部123が形成されると共に、他端側に螺合部25が形成されているが、両端とも受入部123を有するようにしてもよい。
【0031】
以上説明したように、本接続具121は、複数の管材(ここではランス本体15とパイプ部13aとの2本の管材)の一端同士(ここではランス本体15の先端とパイプ部13aの基端)を連通状態にて接続する管接続具であって、内部空間127を有する本体部126と、該複数の管材の一端各々(ここではランス本体15の先端とパイプ部13aの基端)を該内部空間127に連通するよう接続する複数の接続口(ここでは受入部123と螺合部25の2個)と、を備えてなり、該複数の接続口(受入部123、螺合部25)のうち少なくとも1の接続口(ここでは受入部123)である押込接続口(受入部123)に、押込接続口(受入部123)に接続されるべき管材(ここではランス本体15)の該一端である押込一端(ここではランス本体15の先端)を押し込むことにより、押込接続口(受入部123)と押込一端(ランス本体15の先端)との少なくとも一方が変形することで、押込接続口(受入部123)の内面(内周面123a)と押込一端(ランス本体15の先端)の外面とが密接し押込接続口(受入部123)に対して押込一端(ランス本体15の先端)が固定されるものである、管接続具である。
【0032】
そして、本接続具121においては、押込接続口(受入部123)に押込一端(ランス本体15の先端)が押し込まれる方向に平行な直線である押込方向線(ここでは直線D)に対して垂直な一平面(ここでは押込接続口(受入部123)を切断する該垂直な任意の平面)によって、押込接続口(受入部123)に押込一端(ランス本体15の先端)が押し込まれたときに互いに密接する押込接続口(受入部123)の前記内面(内周面123a)及び押込一端(ランス本体15の先端)の前記外面を切断したとき、該一平面による該内面(内周面123a)の断面部分と、該一平面による該外面(ランス本体15の先端近傍の外面)の断面部分と、が、押込接続口(受入部123)に押込一端(ランス本体15の先端)が押し込まれる前(図4)に互いに相似形を略なしているものである(図4において、該一平面による該内面(内周面123a)の断面部分の位置をQ2にて示し、該一平面による該外面(ランス本体15の先端近傍の外面)の断面部分の位置をQ1にて、それぞれ示した。これら両断面はいずれも略円形であり互いに相似形をほぼなしている。なお、これら位置Q1と位置Q2とは、押込接続口(受入部123)に押込一端(ランス本体15の先端)が押し込まれたとき、該一平面の位置にて一致する。また、かかる該一平面は、押込接続口(受入部123)を切断する該垂直な任意の平面とすることができる。)。
加えて、本接続具121においては、押込接続口(受入部123)と押込一端(ランス本体15の先端)とが金属材料(ここではステンレス鋼)によって形成されており、前記一平面による前記内面(内周面123a)の断面部分(位置Q2)と、前記一平面による前記外面の断面部分(位置Q1)と、の相似比(ここではQ2における内径は21.3mmであり、Q1における外形d2=21.7mmであるので、21.3mm/21.7mm=0.98)が0.95〜0.99である部分を有するものである。
【0033】
本接続具121においては、押込接続口(受入部123)の前記内面(内周面123a)が、押込方向線(直線D)を軸とする回転面(ここでは押込方向線(直線D)を軸とする直円錐台の側面)を略なすものであり、前記回転面が、押込方向線(直線D)を軸とする先細りの直円錐の側面である。
本接続具121においては、前記一平面による前記内面(内周面123a)の断面部分の直径が、前記一平面による前記外面の断面部分の直径d2よりも0.1mm〜2.0mm小さい部分を有するものである。
本接続具121は、一端に第1の接続口(受入部123)を、他端に第2の接続口(螺合部25)を、それぞれ有する直円筒形状の中空の管部材によって構成されるものである。
そして、本接続具121は、本接続具21と同様、基端側部分たるランス本体と、ノズルを有する先端側部分たるノズル部と、を接続し溶射ランスを形成するのに用いることができ、かかる溶射ランスは溶射装置の一部をなすことができる。
さらに、本接続具121を用いて溶射ランスのような管の接続物を製造するには、押込接続口(受入部123)に押込一端(ランス本体15の先端)を押し込む押込ステップを含むことを要する。本接続具121を使用した管の接続物(例えば、溶射ランス)の製造方法においては、押込一端(ランス本体15の先端)が、肉厚が1.5mm(2.0mm以下)のステンレス鋼製の円筒形管材の一端とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】一例の本発明の管接続具(本接続具)を用いて形成した溶射装置の一部である溶射用のランスを示す図である。
【図2】ランス本体の先端が本接続具の受入部に内嵌される前の状態を示す断面図である。
【図3】溶射用のランスの製造方法を示す図である。
【図4】別の形態の本接続具を示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
11 (溶射用)ランス
11a 先端側
11b 基端側
13 ノズル部
13a パイプ部
13ab 雄ねじ
13c 栓部材
13n ノズル
15 ランス本体
21 本接続具
23 受入部
23a 内周面
25 螺合部
25a 雌ねじ
26 本体部
27 内部空間
121 本接続具
123 受入部
123a 内周面
126 本体部
127 内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の管材の一端同士を連通状態にて接続する管接続具であって、
内部空間を有する本体部と、該複数の管材の一端各々を該内部空間に連通するよう接続する複数の接続口と、を備えてなり、
該複数の接続口のうち少なくとも1の接続口である押込接続口に、押込接続口に接続されるべき管材の該一端である押込一端を押し込むことにより、押込接続口と押込一端との少なくとも一方が変形することで、押込接続口の内面と押込一端の外面とが密接し押込接続口に対して押込一端が固定されるものである、
管接続具。
【請求項2】
押込接続口に押込一端が押し込まれる方向に平行な直線である押込方向線に対して垂直な一平面によって、押込接続口に押込一端が押し込まれたときに互いに密接する押込接続口の前記内面及び押込一端の前記外面を切断したとき、該一平面による該内面の断面部分と、該一平面による該外面の断面部分と、が、押込接続口に押込一端が押し込まれる前に互いに相似形を略なしているものである、請求項1に記載の管接続具。
【請求項3】
押込接続口に押込一端が押し込まれたときに密接する押込接続口の前記内面と押込一端の前記外面とが、押込接続口に押込一端が押し込まれる前には互いに相似形を略なしているものである、請求項2に記載の管接続具。
【請求項4】
押込接続口と押込一端とが金属材料によって形成されており、
前記一平面による前記内面の断面部分と、前記一平面による前記外面の断面部分と、の相似比が0.95〜0.99である部分を有するものである、請求項2又は3に記載の管接続具。
【請求項5】
押込接続口の前記内面が、押込方向線を軸とする回転面を略なすものである、請求項2乃至4のいずれか1に記載の管接続具。
【請求項6】
前記回転面が、押込方向線を軸とする直円柱の側面又は前記直線を軸とする先細りの直円錐の側面である、請求項5に記載の管接続具。
【請求項7】
前記一平面による前記内面の断面部分の直径が、前記一平面による前記外面の断面部分の直径よりも0.1mm〜2.0mm小さい部分を有するものである、請求項5又は6に記載の管接続具。
【請求項8】
一端に第1の接続口を、他端に第2の接続口を、それぞれ有する直円筒形状の中空の管部材によって構成されるものである、請求項1乃至7のいずれか1に記載の管接続具。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1に記載の管接続具によって、基端側部分と、ノズルを有する先端側部分と、が接続された溶射ランスを有する溶射装置。
【請求項10】
押込接続口に押込一端を押し込む押込ステップを含むものである、請求項1乃至8のいずれか1に記載の管接続具を使用した管の接続物の製造方法。
【請求項11】
押込一端が、肉厚が2.0mm以下のステンレス鋼製の円筒形管材の一端である、請求項10に記載の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−41604(P2009−41604A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204905(P2007−204905)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(391029484)日本特殊炉材株式会社 (9)