説明

管状ピストン、保持カップ、及びフィルタを有するフィルタバイアル

フィルタバイアル及びピストンが提供され、バイアルは、閉塞下端及び開放上端を備えると共に、中空管状ピストン(10)を内部に有する円柱状壁部を有する。ピストンは、カップ(30)によって被覆される先端を有し、カップ(30)は、使用の間に、バイアルと共に液密シールを形成するために、バイアルの壁部と係合するべく外方に延出する基端カップシールを有する。ピストンの先端部は、ピストンフランジを有し、ピストンフランジは、カップがピストンフランジの上方にスナップ嵌合を形成し、且つピストンの凹部まで延出するように、外方に延出すると共に、凹部付近に配置される。ピストンフランジは、カップを、使用の間に、バイアルと液密シールを形成するのに十分な程度、外方に膨出させる。フィルタ(16)は、カップの下端に載置されると共に、カップの内方延出縁部と当接する。フィルタは、ピストンの先端部において、ピストン支持体によって、縁部と接して保持される。カップの先端部にあるカップ支持体もまた、フィルタの支持を助ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状ピストン、保持カップ、及びフィルタを有するフィルタバイアルに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタバイアルは、ピストンの先端部にフィルタを備えた管状ピストンを有する。ピストンは、流体及び流体に浮遊させられる物体を含有する嵌め合いバイアルに嵌合する。ピストンがバイアルに挿入された時に、ピストンの下部において、フィルタを通過するには大きすぎる粒子又は分子から、流体を隔離するために、流体はフィルタを通過すると共にピストンに至る。濾過された流体は、更なる使用のために、ピストンから抽出させられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フィルタの直径及び厚みは、フィルタ毎に大きく変化し得、また、フィルタの厚みは、1個のフィルタにおいてでさえも大きく変化し得る。これらの変化は、濾過させられる流体全てがフィルタを通過し、ピストン内において、濾過された流体を汚すように流体がフィルタの周縁にしみ出ないように、フィルタを密封することを困難にする。更に、流体がフィルタを通過する時に、フィルタが反り、或いは変形してしまい、且つ流体がピストン本体に流入する時に、流体がフィルタを迂回しかねない。現在のアセンブリは、超音波溶接されたアセンブリを使用する。フィルタが隣接する壁に超音波溶接されるとしても、使用の間に、バイアルに置かれた流体を汚す可塑剤を残している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
使用の間に、全ての流体がフィルタを通過すると共に、液体のいずれもがフィルタの縁周りを通過しないように、フィルタをピストン上の所定位置で保持するカップを有するフィルタバイアル及びピストンが提供される。超音波溶接からの汚染が存在しないように、部品は一体成形される。部品は合わせてスナップ嵌合するが、スナップ固定の位置において、しみ出ること又は漏出を阻止するために、適当なシールが設けられる。
【0005】
フィルタバイアルアセンブリは、長手軸を有し、使用の間に、その長手軸に沿って、ピストンは移動する。アセンブリは、閉塞下端及び開放上端を有し、壁部が直径Dを有する円柱状内部を画定する管状バイアルを含む。対向する先端部及び基端部を有し、少なくとも先端部が開放している管状ピストンが供給される。ピストンは円柱状内部を画定する壁部を有し、ピストンの先端部近傍において凹部と対向する外部を有する。ピストンは更に、ピストンの先端部に、又は先端部近傍に、ピストンから外方に延出する先端ピストンフランジを有する。フィルタ支持体は、ピストンの内部において、ピストンの先端部に配置される。保持カップが供給され、カップの基端部及び先端部の間に延出する側壁を有し、内径は、ピストンの先端シールよりも小さい。カップは、保持カップの先端部において、長手軸へ向けて内方に延出する縁部と、更に、直径Dよりも大きい距離でカップの基端部から外方に延出するカップシールを有する。カップの側壁は、保持カップがピストン先端シールの上方を通過した時に、側壁が、ピストンフランジの位置において、直径Dよりも大きい外径を取るように、カップがピストンの先端シールを通過するにつれて、外方に変形するのに十分な可撓性を有する。保持カップの基端部がピストンの先端部に載置された時に、フィルタは、保持カップの縁部及びピストンの先端部の間に配置される。
【0006】
ピストン及び保持カップは、バイアルの内部がカップシールの位置にあり、また先端ピストンフランジの位置にある状態で、フィルタカップが流体シールと当接し且つ流体シールを形成するように、フィルタバイアルの開放端を通り載置される。好適には、陥凹領域が、ピストンの周囲全体に延在する。更に、縁部は好適には、保持カップの内周に連続して延在するが、間欠的であってもよい。ピストン、バイアル、及び保持カップは、プラスチックから作られ、また好適には、各部品は、別個に形成される。必要に応じて、キャップが供給され、キャップは、ピストンの基端部に解放可能であるが、密着して嵌るようなサイズに形成されている。このキャップは一般的に使用されるものであり、また典型的には、可撓性膜を有し、この可撓性膜を通して、濾過流体をピストン内部から抜き出すために、針が挿入され得る。有利には、しかし任意で、基端カップシールは、使用の間に、ピストンの凹部端と当接する。好適には、ピストンの基端部近傍で、ピストンから外方に延出すると共に、ピストンの先端部がバイアルの下端近傍にある時に、バイアルと係合すると共に液密シールを形成するように配置される付加的なシールが存在する。理想的には、ピストンフランジは、シールの基端がより大きく且つシールの先端がより小さい概ね三角形の断面形状を有する。
【0007】
フィルタバイアル用のピストン形成方法も提供され、ピストンは、対向する基端部及び先端部を備えた円柱状管を有する。本方法は、ピストンの先端部において、外方に延出するピストンフランジを形成する工程を含む。円柱状凹部が、ピストンの先端部において、ピストン先端部の周縁に、またピストンフランジに隣接して、またピストンフランジの基端側上に形成される。フィルタは、保持カップの下端に載置され、このカップは、ピストンの先端部上に嵌合するように寸法が決められる。開放基端部及び対向する先端部に内方へ延出する縁部を備えた保持カップが供給され、この縁部は、フィルタの周縁と当接する。本方法はまた、カップの基端部及びピストンの凹部の間にスナップ嵌合を形成するために、カップの開放基端部をピストン先端部及びピストンフランジに載置する工程と、ピストンの先端部がフィルタと当接するまで、保持カップをピストンに沿って前進させる工程を含む。使用の間に、フィルタバイアルの内部と密封係合するように寸法が決められた外方延出シールを基端部に備えた保持カップが供給される。保持カップは、ピストンフランジにおいて、外方へ膨出するのに十分な可撓性を有する材料から作られ、ピストンフランジ及び保持カップは、使用の間に、フィルタバイアルの壁部と共に液密シールを形成するのに十分な距離だけ、外方に延出するように寸法が決められている。
【0008】
更なる変形において、本方法は、保持カップの先端部にフィルタ支持体を供給する工程を含み、カップフィルタ支持体は、使用の間に、フィルタと当接するために配置される。本方法はまた、ピストンの先端部に、ピストンフィルタ支持体を供給する工程を含み、ピストンフィルタ支持体は、使用の間に、フィルタと当接するように配置されてもよい。有利には、本方法はまた、ピストンの先端部にピストンフィルタ支持体を供給する工程を含み、ピストンフィルタ支持体は、使用の間に、フィルタと当接するように配置される。最後に、本方法は、フィルタの周縁において、軸方向対向シールを形成するように配置されるリブを、ピストンの先端縁に載置する工程を含む。
【0009】
本明細書に開示される様々な実施形態のこれら及び他の特徴並びに効果は、以下の説明及び図面に関して良好に理解されるものであり、図面において、同様の符号は、図面全体にわたり、同様の部品について言及している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ピストン、保持容器、及びバイアルの分解組立側面図。
【図2】図1の断面図。
【図3】組み付け形態におけるピストン及び保持容器の断面図。
【図4】ピストンが部分的にバイアルに挿入されている組み付け形態におけるピストン、保持容器、及びバイアルの断面図。
【図5】先端部から基端部へ向けて見た時の図1の保持カップの端面図。
【図6】先端部から基端部へ向けて見た時の図1のピストンの端面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1〜図4を参照すると、円形断面を備えた管状ピストン10は、基端部及び先端部12,14夫々を有しており、有孔ピストン支持体16が、先端部14に配置されている。支持体16は、有利には、ピストン10の長手軸18上の中心位置において交差する放射状アームの形態をなす。先端及び基端という用語は、長手軸18に沿った部分の相対的な位置のことをいい、また内方及び外方という用語は、長手軸18に対して接近及び離間する相対方向のことをいう。1個又は複数のフランジ20は、基端部12から半径方向に延出する。第1基端シール22は、基端部12の近傍に、しかしそこから内方に配置されると共に、外方へ、長手軸18から離れるように延出する。通気穴24は、シール22の近傍に、しかし先端部14へ僅かに向けて配置される。先端部14の近傍に、また好適には先端部14に延出するのは、陥凹領域26であり、ピストン10の本体よりも小さい直径を有し、ピストン本体のより大きな直径部の位置において、肩部27を形成する。外方に延出する先端ピストンフランジ28は、この陥凹領域において、先端部14の近傍に配置される。ピストン10の先端部を包囲する軸方向延出先端31(図2)が、好適にはしかし任意で設けられる。先端31は好適には、三角形断面を有すると共に、きわめて小さい。
【0012】
保持カップ30は、ピストン凹部26と密着して嵌まるようなサイズに形成された内径を有する。保持カップ30は、基端部及び先端部32,34夫々を有し、有孔カップ支持体36は先端部34の上方に、また第3カップシール38は基端部にあり、軸18から離れるように外方に延出する。支持体36は、支持体16と同様である。膜フィルタ40は、保持カップ30の内部と嵌合すると共に、カップ支持体36と当接する。膜フィルタ40は円板形状であり、通常は、軸方向の厚みが、その直径の数分の1である。幾つかの状況において、複数のフィルタ40が積み重ねられてもよい。カップ30の先端部34おいて内方に延出する縁部41は、フィルタ40の周縁において、軸方向への支持をもたらす。ピストン10の先端部にある先端31(図2)は、部品が組み付けられた時に、フィルタ40をこの縁部41に押し付ける。
【0013】
支持体16,36は好適には、ピストン10又はカップ30夫々の壁部から延出する放射状支柱即ちスポークの形態をなす。しかし、支持体16,36は、矩形又は正方形格子工作物、又は排水穴を内部に備えた板等、他の形態をとってもよい。三角形断面を備えたスポークが適当であると考えられ、三角形の頂点は、フィルタの閉塞を低減させるために、フィルタ40と当接している。支持体16,36は、フィルタ40の両側と当接するので、三角形断面を備えたスポークは、頂点が互いに向かうように、頂点の配向を必要とする。4個のスポークが図示されているが、6個の等しく間隔があけられたスポークが好適であると考えられる。あまりにも多くのスポークは、フィルタ40の流通を遮断し、またあまりにも少ないスポークは、フィルタが曲がるのを許容すると共に、濾過されていない流体がフィルタの周縁を流れることにより、フィルタを迂回するのを許容する。中心におけるスポークの交差は、好適には、流体がフィルタを流通するのを阻止しないように小さく、約7.6ミリメートル(0.3インチ)の内径を備えたピストン10に対して、約2.5ミリメートル(0.1インチ)の中心妨害を伴う。寸法は、使用される材料の寸法及び強度に応じて変化する。
【0014】
管状バイアル42は、開放基端部44及び閉鎖先端部46を有する。バイアル42は、保持カップ30及びピストン10が、バイアル内に嵌合するように、寸法が決められると共に形成される。バイアル42、カップ30、及びピストン10は好適には、全て円形断面を備えた円柱状であるが、他の形状が使用されてもよい。
【0015】
図3を参照すると、保持カップ30は、ピストンフランジ28上に嵌合し、且つ、ピストン支持体16が膜フィルタ40と当接すると共に、好適には、フィルタ40を縁41に、またカップ支持体36に押し付けるように、ピストン10の先端部14上にある凹部26と当接する。理想的には、円形先端31は、フィルタを縁部で挟持するために、フィルタ40の周縁に集中させられる力をもたらす。従って、フィルタ40は、縁部41及び先端31によって、所定位置に保持されると共に、更に、支持体16,36によって支持される。先端31及び縁部41は、フィルタ40の周縁を所定位置に保持し、先端31はフィルタ40に対して軸方向への圧縮封止をもたらす。フィルタ40の本体の反り又は捩れ等の移動は、支持体16,36によって制限される。濾過流体50がフィルタ40を流通する時に、フィルタ40の周縁及び縁41の間におけるシールが漏れないように、支持体16,36、縁部41及び先端31の組み合わせは十分である。
【0016】
保持カップ30が凹部26上に嵌合した時に、液密シールを形成するために、フランジ28はカップ30の側壁29を外方へ押すと共に、基端部32は好適には、肩部27と当接し、又は肩部27と接近する。ピストンフランジ28は好適には、ピストン10の先端部14にあり、又は先端部14に極めて接近しており、且つ液密シールを形成するために、ピストン10の外壁及びカップ30の内壁の間に載置される。有利には、ピストン支持体16は、フィルタ30の端を通過するあらゆる漏出を阻止するのに十分な程、フィルタ40を縁部41に押し付け、また好適には、フィルタは、ピストン10の先端部14の円形周縁によって圧縮させられ、或いは支持体16の円形周縁によって押し付けられ、その結果、フィルタ10の外縁及びカップ30の壁部29の間におけるあらゆる流体のしみ出しが、カップへ流入することはない。肩部27の位置、及びカップ30の側壁29の軸方向長さは、所望の圧縮量を得るように選択され得る。
【0017】
保持カップ30が凹部26及びシール26上に嵌合した時に、組み付けられたカップ30及びピストン10の外径が、ピストン本体10の直径よりも僅かに大きいように、カップ30の側壁29は、外方に変形させられる。次に、組み付けられたカップ30及びピストン10は、流体即ち濾液50をフィルタ40を通し、且つ管状ピストン10の中空内部まで通過させるために、バイアル42に嵌合される。好適には、しかし任意で、ピストンフランジ28は、バイアル42の内壁と共に液密シールを形成するのに十分な程外方へ、カップ30の側壁29を膨出させる。シール38はまた、バイアルと共に液密シールを形成するために、バイアル42の内壁と相対的に寸法が決められる。それ故、有利には、ピストン10の先端部14の近傍に、バイアル42の内部を密封する2個の外方対向シールが存在する。
【0018】
ピストンが長手軸18に沿って前進する時に、流体即ち濾液50がフィルタ40を通り、ピストン10の本体まで通過し、空気は通気穴24を通り流出する。最終的には、シール22はバイアル42に入り、また、バイアル42の内壁を封止する。フィルタ40を通過した濾液50は、ピストン10の中空体内にあり、そこで直接的に、或いは、ピストン10の基端部12上に嵌合されたキャップ52の開口を通り除去され得る。フィルタ40を通り抜けるのには大きすぎる濾液50内に含まれた物質は、フィルタ40及びバイアルの閉鎖先端部46の間に保持される。好適には、キャップ52はピストン10の基端部とスナップ嵌めを形成し、またより好適には、ピストン10の(複数の)フランジ20上にスナップ嵌合を形成する内方延出リム即ち縁部を有する。
【0019】
カップ30をフランジ28上に押し付けることにより生じる変形即ち膨出量は、フランジ28の位置において、カップ30の側壁29及びバイアル42の内壁の間に形成される液密シールの性質に影響を及ぼす。変形は主として、カップ30の側壁29の剛性、カップ30の壁厚さ、フランジ28の剛性、フランジ28の形状及び寸法によって影響を受ける。更に、フランジ28はその円形形状を失うことなく、且つ、カップ30の側壁29の当接する内側全周に液密シールを形成する程度に硬い。図4において、バイアル42の壁部は、2個のシール位置において、僅かに変形した状態で示されているが、この変形は任意であると共に、バイアル42のために使用される厚み及び材料に応じて変化する。有利には、フランジ28は、外方に角度が付けられると共に、ピストンの先端部から基端部へ向けて傾斜する傾斜面を有する。
【0020】
シール38はまた、好適には、外方に角度が付けられると共に、ピストンの先端部から基端部へ向けて傾斜する傾斜面を有する。シール22はまた、好適には、外方に角度が付けられると共に、ピストンの先端部から基端部へ向けて傾斜する傾斜面を有する。
【0021】
シール22,28及びフランジ38は、好適には、概ね三角形の断面を有すると共に、ピストン10又はカップ30と一体成形される。本構成は、ピストン10及びバイアル42の壁部が、薄くなるのを可能にする一方で、シール22,28及びフランジ38は、強度があり、且つ使用の間に、その円形形状を維持しつつ、均一に密封する。異なる断面形状が使用されてもよい。同様に、支持体16,36は、ピストン10及びカップ30夫々の形成の間に、一体成形される。
【0022】
ピストン10の中空体及びカップ30の中空カップ部に挿入される栓部は、長手軸18に沿って移動する。支持体16,36各々が、三角形断面を有し、三角形の頂点が、使用の間に、フィルタ40の両側面と対向しているならば、組み合わさる栓部は、支持体の三角形断面を形成するように、ピストン10の先端部を形成するべく使用されなければならない。或いは、支柱の断面が、概ね四角形又は矩形であってもよく、その場合には、成形後に、栓部の後退を可能にするべく、十分なテーパのみを備えた逆形状が、成形栓部に形成され得る。三角形断面を備えた支持体36のカップへの成形は、三角形状が成形栓部の端部に形成され得ると共に、角度が栓部の後退を促すので、困難なことではない。
【0023】
他のシールタイプが、シール28,22,38に使用されてもよいが、それ程好ましいものではないと考えられる。例えば、矩形又は半円形凹部に配置されるOリングシールが使用されてもよい。しかし、このシールを位置決めするために使用される凹部は、壁厚さ及び壁の強度を低下させてしまい、好ましくない。それ故、シール28,22,38は、好適には、それらシールが延出する部品と共に一体成形され或いは鋳造される。更に、好適なピストン10、カップ30、及びバイアル42は、様々なプラスチックから成形され、またそれは、Oリング或いはDリングでさえも保持するための適当な凹部が、部品の強度を低下させるので、凹部の形成を困難にする。
【0024】
ピストン10、カップ30及びバイアル42は、好適には、適当なプラスチック、好適には、バイアル42に載置される試料を汚染させることがないプラスチックから成形される。バイアルは好適には、ポリオレフィンから、好適にはポリプロピレン又は他の適当なポリマから作られる。フィルタ40は、好適にはしかし任意で、テフロン(登録商標)、ナイロン、ガラス繊維、又はPVDF(ポリフッ化ビニリデン)又はPES(ポリエーテルサルホン)等、他のフィルタ材料から作られる。
【0025】
使用に際して、フィルタ40は、保持カップ30の内部に載置される。カップ30は次に、ピストンフランジ28上に、且つピストン10の先端部にスナップ嵌合されると共に、好適には(しかし任意で)、カップシール38がピストンの肩部27と当接するまで、ピストンに沿って押される。この時点において、フィルタ40はピストン10の先端部及び縁部41の間に保持され、また好適には、ピストン支持体16及びカップ支持体36並びに縁部41の間に保持される。フィルタ40を縁部41に押し付ける先端31は、有利には、フィルタ40をフィルタの周縁付近で包囲する軸方向シールを形成し、また更に、フィルタの周縁が、支持体16,36の空間の間で変形するのを阻止することを助け、ひいては、フィルタの周縁において良好な封止をもたらすことを助ける。支持体16,36は、フィルタ40が軸18に沿って曲がると共に、フィルタの周縁において、シールを破損させることを阻止する。
【0026】
先端31は好適には、頂点がフィルタ40と当接している三角形断面を有する。組み付けの間に、先端31は好適には、先端31がフィルタ40を縁部41に押し付ける時に、変形するのに十分な程小さい。約0.25ミリメートル(0.01インチ)の高さを有する先端31が、約7.6ミリメートル(0.3インチ)の内径を備えたピストン10に使用される時、適当であると考えられ、先端31の直径は僅かに小さい。先端31は、管状ピストン10の円形先端縁上にあるリブとしてみなされてもよい。
【0027】
本アセンブリはまた、2個の外方延出部を形成し、一方は、ピストンフランジ28がカップ30の側壁29を外方へ押す位置にあり、また他方は、カップシール38の位置にある。これら両方のシール位置は、管状バイアル42の内部よりも大きく、且つバイアルと共に2個のシールを形成する。これら両方のシール位置は、好適には、両位置において、良好な液密封止を保証するために、バイアル42の壁部が長手軸18に向けて内方に延出するのに十分な距離だけ隔離される。
【0028】
図1〜図2に示されるように、先端ピストンフランジ28は、ピストン10の端部より僅かに前に配置されており、傾斜するフランジ28が始まる前に、短い円柱状部分が存在する。この円柱状部分は任意である。この円柱状部分は、ピストン10の先端縁に円柱状周縁を有する円板形状フィルタ支持体16を超音波溶接することにより成形され得る。しかし、この超音波溶接は、接着剤のように、汚染物を残す。それ故、フィルタ支持体16は、好適には、ピストン10の形成と同時に一体成形され、ひいては、ピストン10と同じ材料から作られる。この一体成形は、ピストン10の全長がピストンの直径よりも数倍長く、従って、内部部品を成形することが困難であることから、通常は困難である。
【0029】
それ故、ピストンフランジ28、またより少ない範囲でフランジ28及び凹部26は、保持カップ30をピストン10の端部に保持させるために、スナップロックを形成する。しかし、フランジ28はまた、側壁29を外方へ膨出させると共に、カップ30の先端部及びピストン10の先端部において、封止位置を形成するために、保持カップ30の変形可能な壁部と協働する。
【0030】
充填線54が任意で、バイアルの内部に配置される流体の最大レベルを指示するために、バイアル42の外側に載置される。それ故、充填線54の使用を可能にするために、バイアル42の内部への流体の載置をバイアルの外側から見ることができるように、バイアルの壁部は、好適には十分に透明又は半透明である。充填線54は、外方延出フランジ又は内方延出凹部として、バイアルに成形され得、或いは、充填線は、塗装、マーカー、研磨、レーザエッチング、化学エッチング、又は眼に見える表示を残す他の方法によって、印が付けられ得る。
【0031】
ピストン10の先端部14は、フィルタを、カップの内方延出縁41で保持し得る。しかし、好適には一方、また任意で両方の支持体16,36がまた、フィルタを所定位置で保持し、且つ使用の間に、フィルタの中央を支持するために使用される。ピストン支持体16は、ピストンがバイアルまで前進し、且つ、流体がフィルタを通過させられる時に、フィルタが反ると共に、周縁で漏出することを制限する。従って、ピストン支持体16は、好適には、カップ支持体36よりも強度がある。特に、保持カップ30はピストンフランジ28上を摺動すると共に、ピストン凹部26とスナップ嵌合を形成するのに十分な程柔軟な側壁29を有さなければならないので、ピストン10は、保持カップ30と同等に、又はより強度があると共に硬い材料から作られ得る。好適には、ピストン10は、保持カップ30と同じ材料から作られるが、カップは、僅かに薄く、それ故、より可撓性を有する。
【0032】
上述は、一例として挙げられるものであり、限定ではない。上記の開示を前提として、当該技術分野に属する者であれば、様々なシール28,38の形成方法を含み、本明細書に開示される本発明の範囲及び精神内にある変型を考察し得る。更に、本明細書に開示される実施形態の様々な特徴は、単独で、或いは互いに様々な組み合わせで使用され得ると共に、本明細書に開示される特定の組み合わせに限定されるものではない。従って、請求の範囲は、例証実施形態によって限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸を有するフィルタバイアル装置であって、
閉塞下端、開放上端、及び直径Dを備えた円柱状内部を画定する壁部を有する管状バイアルと、
対向する先端部及び基端部を備えた管状のピストンであって、少なくとも該先端部が開放しており、該ピストンは、該ピストンの先端部付近に外側対向凹部を備えた円柱状内部を画定し、該ピストンは更に、該ピストンの先端部に或いはそれに隣接して、且つ、該ピストンから外方に延出する先端ピストンフランジを有するピストンと、
前記ピストンの先端部において、該ピストンの内部に配置されるフィルタ支持体と、
保持カップであって、該保持カップは、該保持カップの基端部及び先端部の間に延在する側壁を有し、内径が前記ピストンの先端シールよりも小さく且つ前記保持カップの先端部において長手軸へ向けて内方に延出する縁部を有し、該保持カップが更に、該カップの基端部から前記直径Dよりも大きい距離で外方に延出するカップシールを有し、該カップの側壁は、該保持カップが前記ピストンの先端シールの上方を通過した時に、前記ピストンフランジの位置において、直径Dよりも大きい外径をとるために、前記保持カップが前記ピストンの先端シール上を通過するにつれて外方に変形する程十分な可撓性を有する、保持カップと、
前記保持カップの基端部が前記ピストンの先端部上に載置された時に、該保持カップの縁部及び該ピストン先端部の間に載置されるフィルタと
を備えるフィルタバイアル装置。
【請求項2】
前記ピストン及び前記保持カップは、前記カップシールの位置及び前記先端ピストンフランジの位置において、フィルタカップが前記バイアルの内部と当接すると共に該内部と共に流体シールを形成するように、前記フィルタバイアルの開放端部を通して載置される、請求項1に記載のフィルタバイアル装置。
【請求項3】
前記ピストンの先端部は先端縁を有し、リブが該先端縁上にあり、該リブが、前記ピストンの周囲に延在すると共に、使用の間に、前記フィルタを前記カップの縁部に押し付けるように、使用の間に該フィルタと当接するように配向される、請求項1に記載のフィルタバイアル装置。
【請求項4】
前記縁部は、前記保持カップの内周に連続的に延在し、陥凹領域が前記ピストンの全周に延在する、請求項1に記載のフィルタバイアル装置。
【請求項5】
前記ピストン、前記バイアル及び前記保持カップがポリマからなる、請求項1に記載のフィルタバイアル装置。
【請求項6】
前記ピストンの基端部上に解放可能であるが、密着して嵌るようなサイズに形成されたキャップを更に含む請求項1に記載のフィルタバイアル装置。
【請求項7】
基端カップシールが前記ピストンの前記凹部の端と当接する、請求項2に記載のフィルタバイアル装置。
【請求項8】
前記ピストンの基端部の近傍において、該ピストンから外方に延出すると共に、該ピストンの先端部が前記バイアルの下端付近にある時に、該バイアルと係合すると共に、液密シールを形成するように配置されるシールを含む請求項2に記載のフィルタバイアル装置。
【請求項9】
前記ピストンフランジが、前記シールの基端部においてより大きく、且つ該シールの先端部においてより小さい概ね三角形の断面形状を有する、請求項1に記載のフィルタバイアル装置。
【請求項10】
フィルタバイアルアセンブリであって、
中空管状のピストンを内部に有するとともに、閉塞下端及び開放上端を備えた円柱状包囲バイアルであって、該ピストンが、基端カップシールを有するカップによって被覆される先端部を有し、該基端カップシールは、該基端カップシールを前記バイアルの壁部と係合させるのに十分な距離だけ、該ピストンが該バイアルを前進する時に、液密シールを形成するために、該バイアルの壁部と係合し、前記ピストンの先端部はピストンフランジを有し、該ピストンフランジは、前記カップが該ピストンフランジ上でスナップ嵌合を形成すると共に、凹部まで延出するように、外方に延出すると共に、該ピストンの凹部付近に配置されており、前記ピストンフランジは、該フランジ及び前記カップが前記バイアルに挿入された時に、該バイアルと共に先端液密カップシールを形成するのに十分な程、前記カップを外方へ膨出する、バイアルと、
前記カップの内方延出縁部と当接する周縁を有すると共に、前記ピストン先端部のピストン支持体及び前記縁部の間に保持されるフィルタと
を備えるフィルタバイアルアセンブリ。
【請求項11】
前記カップの先端部において、前記フィルタと当接するカップ支持体を更に含む請求項10に記載のフィルタバイアルアセンブリ。
【請求項12】
前記ピストンの基端部付近において、前記バイアルの円柱状壁部と係合させられる時に、液密シールを形成するように寸法が決められると共に構成される外方延出シールを更に含む請求項10に記載のフィルタバイアルアセンブリ。
【請求項13】
前記ピストンの先端部は、リブを備えた先端縁を有し、該リブが該先端部から延出すると共に、前記フィルタを前記カップの縁部に押し付けるように配向される、請求項11に記載のフィルタバイアルアセンブリ。
【請求項14】
前記ピストンの基端部を被覆する取り外し可能なキャップを更に含む請求項10に記載のフィルタバイアルアセンブリ。
【請求項15】
前記ピストンの壁部を通り延在すると共に、該ピストンの基端部及び前記ピストンフランジの先端付近において、前記シールの近傍に配置される通気穴を更に含む請求項12に記載のフィルタバイアルアセンブリ。
【請求項16】
フィルタバイアル用ピストンの形成方法であって、該ピストンは、対向する基端部及び先端部を備えた円柱状管を有し、
前記ピストンの先端部において、外方延出ピストンフランジを形成する工程と、
前記ピストンの先端部において、且つ前記ピストンフランジに隣接して、且つ該ピストンフランジの基端側上に、該ピストン先端部の周縁に円柱状凹部を形成する工程と、
保持カップの下部にフィルタを載置する工程と、該カップは、前記ピストンの先端上に嵌合するようなサイズに形成され、該保持カップは、開放基端部と、対向する先端部に内方延出縁部とを有し、該縁部は、前記フィルタの周縁と当接しており、
前記カップの基端部及び前記ピストンの凹部の間にスナップ嵌合を形成するために、該ピストンの先端部及び前記ピストンフランジ上に、該カップの開放基端部を載置すると共に、前記ピストンの先端部が前記フィルタと当接するまで、前記保持カップを該ピストンに沿って前進させる工程とを含み、該保持カップは、前記基端部において、使用の間に前記フィルタバイアルの内部と密封係合するようなサイズに形成された外方延出シールを有し、該保持カップは、前記ピストンフランジにおいて、該ピストンフランジと共に外方に膨出するのに十分な程、可撓性を有する材料から作られており、また該保持カップは、使用の間に、前記フィルタバイアルの壁部と共に液密シールを形成するのに十分な距離だけ外方に延出するようなサイズに形成される、フィルタバイアル用ピストンの形成方法。
【請求項17】
前記保持カップの先端部に、フィルタ支持体を供給する工程を更に含み、該フィルタ支持体が、使用の間に、前記フィルタと当接するように配置される、請求項16に記載のフィルタバイアル用ピストンの形成方法。
【請求項18】
前記ピストンの先端部にピストンフィルタ支持体を供給する工程を更に含み、該ピストンフィルタ支持体が、使用の間に、前記フィルタと当接するように配置される、請求項16に記載のフィルタバイアル用ピストンの形成方法。
【請求項19】
前記ピストンの先端部にピストンフィルタ支持体を供給する工程を更に含み、該ピストンフィルタ支持体が、使用の間に、前記フィルタと当接するように配置される、請求項17に記載のフィルタバイアル用ピストンの形成方法。
【請求項20】
前記ピストンの先端縁上において、前記フィルタの周縁に軸方向対向シールを形成するように配置されるリブを更に含む請求項17に記載のフィルタバイアル用ピストンの形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−515149(P2011−515149A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500837(P2011−500837)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/034736
【国際公開番号】WO2009/117212
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(510251578)サイエンティフィック プラスティック プロダクツ インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SCIENTIFIC PLASTIC PRODUCTS,INC.
【Fターム(参考)】