説明

管状掘削ストリング部分の中央孔に挿入される保持装置及び対応する管状掘削ストリング部分

【解決手段】
掘削ストリング部分の中心部に挿入することができる支持装置(13)であり、
前記中心孔は掘削ストリング部分の中心部分に沿った第一の直径を持ち、掘削ストリング部分の末端の最も近くに第二の直径を持ち、第二の直径は第一の直径よりも小さく、
前記支持装置(13)は少なくとも部分的に伝送線のための躯体を形成する細長い本体(14)を持ち、前記細長い本体(14)は第二の直径よりも小さい横断サイズ、及び細長い本体に沿って配置され、そして細長い本体(14)とは区別され、それに取付けられた複数のアーチ形状部分(15)を持つ。アーチ形状部分(15)は第二の直径の中を動くことができる様に弾力的に曲がることができ、第二の直径を通過すると第一の直径の中で拡大することができる様に、自由な状態で第一の直径よりも大きい非常に大きい弦を持つ、
支持装置。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明はオイル及びガス掘削に関し、より具体的には掘削ストリングに沿って情報を伝達するための装置及び冶具に関する。
【0002】
管状掘削ストリング部分は、掘削パイプ、重量掘削パイプ、抗底アセンブリ、サブ(subs)、ケリー(kelly)を含むがこれらに限定されない。
【0003】
石油及びガス掘削事業では、油井の穴の地形、油井用工具の状態、操業条件等に関して測定のために種々のセンサが使用される。
【0004】
測定されるデータは地表にいるオペレータ及び技術者にとり有用である。測定データは掘削ストリングに沿って種々の点で測定しても良い。測定データは、オイル、ガス又は他の鉱物資源の貯留層に正確に採取口をつけるために、
掘削方向、掘削速度等の様な掘削パラメーターを決定するために使用することができる。
【0005】
測定データは地表に送信されるべきである。マッドパルスの様な伝統的な伝送方法はそのデータ転送速度が非常に低い。伝送データを、例えば、掘削ストリング部分に掘削パイプの部分として直接組み入れられた電力ケーブルの様な伝送ラインに沿って伝送する努力が続けられている。電磁誘導カプラーの様な電気接点又は他の伝送のための部品は、掘削ストリング中の工具ジョイント又は接続ジョイントを超えてデータを伝送するために使用される。
【0006】
ストリング部分の壁の内部に形成されるチャンネルに伝送線を納める場合は、例えば、掘削パイプの中心部分の壁の厚さが薄い場合又は壁の厚さが中心部分(重量掘削パイプ又は掘削カラー…)は他より厚いが局所的により薄い場合は壁の強度を弱め、その中にチャンネルを通すことができない。伝送線を壁に対し中心孔を通すことにより、伝送線を中心孔を通る掘削流体及び工具又は他の物質又は対象品に曝すことになる。これにより伝送線を傷つけること起きる。
【0007】
掘削ストリング部は、例えば、水平掘削では曲げることができる。伝送線はもし接着剤被覆により壁に付着される場合は、曲げることで損傷を受けることもある。その場合、もし接着剤被覆により保護されていない場合は裂けたり、又は中心孔の内側表面からそれることもある。
【0008】
掘削ストリング部分の孔に挿入するライナーを用いることができることは良く知られている。しかし、ライナーは小さい中心孔に容易に収まらず、特に掘削ストリング部分がその末端で小さな直径を持つ場合はそうである。ライナーは、掘削ストリング部分の中心部分を減少させ、そして掘削ストリング中のヘッド(head)の損出を増大させる。
【0009】
本発明は、情報伝送のための機構を備えた油井の孔の掘削ストリングに対する重要な改良をもたらすものである。
【0010】
上記に鑑みて、支持装置は掘削ストリング部分の中心孔に挿入することができる。中心孔は掘削ストリング部分の中心部分に沿った第一の直径を持ち、掘削ストリング部分の末端の最も近くに第二の直径を持ち、第二の直径は第一の直径よりも小さい。支持装置は少なくとも部分的に伝送線のための躯体を形成する細長い本体を持ち、前記細長い本体は第二の直径よりも小さい横断サイズ、及び細長い本体に沿って配置され、そして細長い本体とは区別され、それに取付けられた複数のアーチ形状部分を持つ。アーチ形状部分は第二の直径を通して動くことができる様に弾力的に曲げることができ、第二の直径を通過すると第一の直径の中で拡大することができる様に、自由な状態で第一の直径よりも大きい非常に大きいコードを持つ。
【0011】
管状掘削ストリング部分は管状部材及びそれに挿入された支持装置を持つ。管状部材は、管状部材の中心部分に沿った第一の直径を持つ中心孔及び
管状部材の末端の最も近くに第二の直径を持ち、第二の直径は第一の直径よりも小さく、及び管状部材の中心孔に挿入が可能である支持装置を持つ。支持装置は少なくとも部分的に伝送線のための躯体を形成する細長い本体を持ち、前記細長い本体は第二の直径よりも小さい横断サイズ、及び細長い本体に沿って配置されそして細長い本体とは区別され、それに取付けられた複数のアーチ形状部分を持つ。アーチ形状部分は第二の直径を通して動くことができる様に弾力的に曲げることができ、第二の直径を通過すると第一の直径の中で拡大することができる様に、自由な状態において第一の直径よりも大きい非常に大きいコードを持つ。
【0012】
ある実施の態様において、アーチ形状部分は管の中心部分の内側周辺よりもその展開した場合の長さが大きいがその両端は離れている。
【0013】
本発明は以下の記述及び図面を参照することによりよく理解されるであろう。これらの図面は通常の実施の形態について記載しているものであり、本発明はこれらに限定されない。
【0014】
図1はある実施の形態の掘削ストリング部分の断面図である。
【0015】
図2は掘削ストリング部分に支持装置を挿入する状態を示す透視図である。
【0016】
図3は自由状態の支持装置を示す透視図である。
【0017】
図4は本体に取り付けられるアーチ形状部分を示す透視図である。
【0018】
図5はアーチ形状部分及び直径縮小部材を示す透視図である。
【0019】
図6は掘削ストリング部分に支持装置を挿入する状態を示す透視図である。
【0020】
図7はある実施の態様における細長い本体を示す横断面図である。
【0021】
図8はある実施の態様における細長い本体を示す横断面図である。
【0022】
図9はある実施の態様における細長い本体を示す横断面図である。
【0023】
本明細書に一般的に記載され、そしてこれらの図面に表された各部分は種々の異なる組み合せで配置しまた設計することができる。以下に述べる、より詳細な、図面に表されているような本発明の装置に関する記述は、本発明の範囲を限定するものでなく、本発明の種々の実施の態様の代表的な例を示すに過ぎず、本発明の説明のために示すに過ぎない。
【0024】
記述される本発明の実施の態様は図面を参照することにより、より良く理解されるであろう。図面中の同じ部分は同じ参照番号により示す。
【0025】
もちろん、当業者は本明細書に記載の装置に対して、図面に示すような、本発明の必須の特徴を変えることなく容易に種々の修飾を施すことができることを理解するであろう。
【0026】
したがって、以下の図面に関する記載は、例として示すものであり、単に特許請求の範囲に記載された発明と矛盾しない幾つかの選択された実施の態様について記述するものである。
【0027】
掘削リグは地中に掘削用の孔を開ける掘削ストリング部分を支持するために用いられる。幾つかの掘削ストリング部分は掘削ストリングの少なくとも一部を形成する。操業においては、掘削流体は通常掘削ストリングを通して加圧して掘削リグに供給される。掘削ストリングは、掘削ストリングの下端に装着された掘削ビットを回転させるために掘削リグにより回転させても良い。
【0028】
加圧された掘削流体はその孔の中の掘削ストリングの下端に向けて循環され、そして掘削ストリングの外側の表面に向けて還流され、掘削された地中の切削部分を表面に運ぶフラシング作用を行う。
【0029】
掘削ビットの回転は、代替的に掘削ビットに近接して位置する掘削モ−タ又は掘削タービンの様な他の掘削ストリング部分により提供することができる。他の掘削ストリング部分は掘削パイプ及びログを採取するダウンホール機器、掘削工具及びセンサ パッケージを含む。他の有用な掘削ストリング部分は安定器、開口機、ドリルカラー、大型掘削パイプ、サブアセンブリ、アンダリーマ、ロータリ操作システム、掘削ジャー、及び掘削ショック吸収材を含み、これらは当業者に良く知られている。
【0030】
米国特許出願US2005/00115017は掘削ストリング部分の中心孔に挿入可能なライナーに関する。ライナーは凡そ円筒形状のものに収められた最初に長方形をしたシートの形状の弾性材料を含む。
【0031】
ライナーの外径はボクスエンド又はピンエンドの近くの掘削ストリング部分の狭い孔にライナーを挿入するために変えることができる。
【0032】
狭い孔を通過すると、ライナー自体の外径は掘削ストリング部分の中心孔内で拡大する。ライナーの外径は拡大して中心孔の内部表面に接触する。そしてライナーの端は重なる。この書類の内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0033】
米国特許6,516,506はまた、長方形をしたシートからなり円筒形状に巻かれ、そして端が重なるライナーを開示する。
【0034】
ライナーの孔へ挿入することは円筒形のライナーの剛性のために極めて難しい。
【0035】
さらに、端が重なるために、ライナーは流路部分を減少させて、掘削ストリング中の掘削流体のヘッド(head)部分の損出を増大させる。
【0036】
他の欠点は、掘削パイプに曲げ荷重が掛かる場合は、ライナーはその背面が掘削パイプ内部表面から分離し、そして腹面上に横断褶曲を形成することもあり、それによりヘッド(head)部分の損出を増大させる。
【0037】
更なる欠点は、軸方向の振動又は揺れ荷重がかかる場合、ライナーは軸方向に動き掘削パイプ内部表面に消耗を引き起こす。
【0038】
本発明の目的は掘削プロセスにおいて伝送線を安定的にさせることである。
【0039】
本発明の他の目的は掘削ストリング部分の孔に容易に挿入が可能な伝送線を保護及び支持する装置を提出することである。
【0040】
図1を参照すると、掘削パイプ1はアップセット エンド及び各アップセット エンドに溶接により取付けられたツールジョイントを持つパイプを含むこともある。ツールジョイントはボックスエンド2を構成する。他のツールジョイントはピンエンド3を構成する。掘削パイプのピンエンド3は他の掘削パイプのボックスエンド2にネジ込まれ、複数の掘削パイプを一つの掘削ストリングを形成するように連結することができる。掘削パイプ1はツールジョイント2、パイプ及びツールジョイント3を通る縦長孔4を備えている。孔4は掘削流体、ワイアーラインツール(wire line tool)等を下方の掘削ストリングに運搬するために用いられる。
【0041】
孔4の周囲の壁の厚さは、通常、重量、力及び掘削パイプ1に負荷される実質的なトルク、孔4内の圧力、掘削パイプ1の曲げ等に耐えるに必要な他の制約条件に従い設計される。
【0042】
掘削パイプ1に大きな力が加わるため、例えば、電線、電気用ケーブル、又は光ケーブルの様な伝送線を収容するために掘削パイプ1の壁にチャネルを設けることは壁の強度を過度に弱める。少なくとも部分的に掘削パイプ1の孔4を通して伝送線を配置するのが好ましい。孔4を通して伝送線を収容することにより、伝送線を掘削流体、セメント、ワイアーラインツール、又は他の物質、又は孔4を通る物体に曝すことになる。これは伝送線を傷付け又は伝送線が孔4を通る物体又は物質と干渉しマイナスの影響を受けることになりうる。そして、干渉を最小限に抑えるために伝送線は孔4の壁に近い位置に維持するのが良い。
【0043】
掘削パイプ1は中心部分5、ボックスエンド2、及びアップセットパイプエンドとツールジョイント溶接エンドを持つ中心部分5の間に第1中間部分6を含み、及びピンエンド3、及び他のアップセットパイプエンドと他のツールジョイント溶接エンド持つ中心部分5の間に第2中間部分6を含む。中心部分5の内部表面7は伝送線8が導入される中心孔を定める。伝送線8又は少なくともそのある部分、例えば、穴9と支持装置の間の部分は保護管8aを含んでも良い。内部表面7は孔4の一部である。各中間部分6の外部直径は、中心部分5の外部直径から端2,3のツールジョイントの外部直径へと増大する。
【0044】
中間部分6の内部直径は中心部分5の内部表面7の直径よりも小さい。換言すると、中間部分6の壁の厚さは中心部分5の壁の厚さよりも極めて大きい。縦長孔4に並行する穴9は中間部分6の壁に、そしてまた、中間部分6を過度に弱めることなく伝送線8を収容するためにピンエンド3の壁に設けても良い。穴9又はガンドリル穴は第1及び第2中間部分6内に機械加工しても良い。穴9は旋盤又はフライス盤により加工することができる。
【0045】
ボックスエンド2の側には、穴9が、縦長孔4の中間部分と雌ネジの間の肩11に設けられた円形溝10と連通している。溝11に対向する穴9の側には、孔9が縦長孔4に連通しており、内部表面7と同じ実質的に同じ高さにある。ピンエンド3に最も近い穴9は中間部分6の縦長孔4と連通している。穴9は内部表面7と同じ高さであってもよい。より正確に言えば、中間部分6の外側の直径に最も近い穴9の表面は内部表面7と同じ高さである。
【0046】
内部表面7に対向する側では、穴9がピンエンド3の自由末端に設けられた円形溝12と連通する。溝11及び12は、米国特許6, 641, 434又は 6, 670, 880に開示された様な巻き線及び結合装置を収容しても良く(これらの文献は参照により本明細書に組み入れられる)、それによって2つの隣接する伝送線の間の電磁結合を得ることができる。
【0047】
図2を参照すると、掘削パイプ1は中心部分5の内部表面7上に、縦長孔14内に配置された支持装置13を持つ。
【0048】
支持装置13は縦長の本体14を含む。
【0049】
縦長の本体14は主として縦に長く、掘削パイプ1の幾何学軸に対してある角度を持っても良い。換言すると、本体14は僅かにらせん状であっても良く、例えば、中心部分5に沿って1回転のらせんよりも小さいらせん角度を持つらせん状であっても良い。本体14は一方から他方の端まで一体として形成しても良い。細長い本体14は金属製でも良く、例えば、AISI 304Lステンレス鋼、被覆され又は被覆されてなくても良く、又はプラスチック製又は複合体、例えば、繊維強化複合体であっても良い。
【0050】
細長い本体14は、例えば、接着剤により内部表面7に接合しても良い。接着剤はエポキシタイプ又は硬化により重合する任意の合成材料でもよい。細長い本体14は、実質的に内部表面7の半径に等しい半径を持つ内部表面7と接触するアーチ形状の表面を持つ。その変形として、孔4の中に支持装置13を挿入する間に伝送線8をより良く保持するために、アーチ形状の表面の曲率半径は内部表面7の曲率半径よりも大きくても良い。細長い本体は伝送線8の躯体を形成する縦長溝20を持つ。細長い本体14は中心部分5の最小の現実長さよりも僅かに短い固定長を持っても良い。伝送線は、例えば、一対の電線8bを含み、中間部分6の穴9に挿入された小管8aの内部を通り、小管8aが、少なくとも各穴9と細長い本体14の間において電線8bを保護する様にする。
【0051】
溝20はアーチ形状の表面の中心に形成しても良い。溝20はアーチ形状の表面を実質的に対称的な部分に分ける。伝送線8を保持するために、溝20は内部表面7から第2の距離における断面よりも、内部表面7から第1の距離における断面が大きくても良い。なお、第2の距離は第1の距離よりもより短い。換言すると、細長い本体14は伝送線8を溝20中に保持するための保持用リップを持っても良い。
【0052】
細長い本体14は内部表面7の反対側に2つの側面通路14a, 14bを持っても良い。細長い本体14の断面は、中心凸部分、2つの側面凹部分及び2つの凸部分を持っても良い。本体14の横断したサイズは、搭載まえ又は最終段階の何れかにおいて中間部分6の内径よりも小さい。本体14の角度寸法は120度より小さく、好ましくは60度より小さいのが良い。
【0053】
支持装置13はまた複数のアーチ形状部分15を持つ。ある実施の態様においては、アーチ形状部分15は細長い本体14に、例えば、留金固定具、溶接スポット溶接、ろう付け等の結合又はリベット又はボルトにより取付けられる。
【0054】
アーチ形状部分15は、互いに離れており、本体14に沿って一定間隔に配置しても良い。
【0055】
アーチ形状部分15は厚さが小さくても良く、具体的には0.1 mm及び2 mmの間、例えば、0.4 mmであっても良い。アーチ形状部分15は、例えば、ばね鋼の様な弾性材料、17.7PHの様な析出硬化ステンレス鋼、冷間圧延ステンレス鋼、Cu-Be合金、PEEKの様な合成材料、又は繊維強化複合材料の様な複合材であっても良い。好ましい選択は304Lステンレス鋼の細長い本体上に17.7PHステンレス鋼のアーチ形状部分を溶接したものであろう。もしアーチ形状部分が金属製の場合は、もしそれらが錆びる恐れのある場合は、他の特性を向上させるためには特に被覆するのが良い。
【0056】
アーチ形状部分は掘削パイプの軸に沿った長さが10 mmから100 mmの間であるのが良い。
【0057】
縦長本体の同じ側の2つの連続するアーチ形状部分の間の距離は500 mmから3000 mmの間であっても良い。
【0058】
アーチ形状部分15は自由な状態において180度から360度の角度を持つこともある。アーチ形状部分の自由な状態とは、掘削パイプ1に支持装置13を取付ける前又は例えば、図5に示す様に、他の要素によりアーチ形状部分15に力を加える前の状態を言う。
【0059】
最終位置は、例えば、図2に示す様に、アーチ形状部分は210 から300度の角度となるであろう。ある実施の態様において、アーチ形状部分は360度より大きい角度を成す。
【0060】
アーチ形状部分15の周囲の長さは、それが取付けられる内部表面7の内径による。アーチ形状部分15の直径は弾性変形下の、内部表面7の最終状態での直径により決まるため、アーチ形状部分15は幾何学的中心と反対向きの径方向の力を及ぼす。この径方向の力は内部表面7及び細長い本体14により支持される。そして、細長い本体14は、アーチ形状部分15の弾性半径方向力によって内部表面7と接触するように保たれる。例えば、500 MPaを超える高降伏強度の材料の選択及び360度を超える大きな角度占めるアーチ形状部分により、細長い本体14と内部表面7との間に高い径方向の接触力を作り出す。
【0061】
アーチ形状部分15は、ロール状態を完全に広げた場合又は展開した場合には、長方形をしていることもある(例えば、図4及び5を参照)。
【0062】
図2及び3では、アーチ形状部分15は、ある端の隅に切欠き15cを、アーチ形状部分15の他の端の反対側の隅に対応する切欠きを持つ。切欠き15cは、360度より大きい角度の持つ重要な機能を、アーチ形状部分の端が重複することなく与える。換言すると、アーチ形状部分の端は互いに離れている。その様な端は縦方向に間をおいて配置しても良い。その様な特徴は、掘削泥土のヘッド(head)を多量に失うことなく細長い本体14と内部表面7の間の大きな接触力を生み出す。各アーチ形状部分15は、その弾力性のある跳ね返りの力により細長い本体14を内部表面7に接触させる。アーチ形状部分15が占める角度は内部表面7の最終位置においては、その自由な状態の場合よりも大きいため、アーチ形状部分15は、径方向の力を内部表面7に向けて及ぼす。各アーチ形状部分15は、細長い本体14の一部を保持する。実質的同じ間隔で配置された一連のアーチ形状部分15は非常に強力に細長い本体14を保持する。また複数のアーチ形状部分15はライナー程剛性がなく支持装置を挿入するのがより簡単である。
【0063】
またアーチ形状部分を持つその様な支持装置はライナーより曲げ負荷に対して耐性がある。
【0064】
図3を参照すると、支持装置13の中心部分が、自由な状態にあるアーチ形状部分15とともに示されている。アーチ形状部分15の端の間の角距離は20から40度の間である。支持装置13は自由な状態にある。各アーチ形状部分15は、アーチ形状部分15の、あるC-翼の一つの側に沿って切欠きを持つ部分15eを持ち、アーチ形状部分15の他のC-翼の他の側に沿って切欠きを持つ他の端の部分15fを持ち、細長い本体14と接触する中心部分15bを持つ。切欠きは、例えば、挿入時に端部分15e及び15fが接触する又は重複することを防ぐことができる。
【0065】
図4を参照すると、アーチ形状部分15は、ロールを開いた場合長方形になる。
【0066】
アーチ形状部分15は内部表面7に適合する直径を持つ主要部分15a、及び内部表面7に対向する細長い本体14の表面と接触し、そしてそれに確実に取付けられる逆凸形状の端部分15bを持つ。他方、図2の実施の態様においては、アーチ形状部分15は、細長い本体14と接触する実質的に中心部分15bを持ち、そして内部表面7と接触する2つの側面部分を持つ。
【0067】
図5を参照すると、アーチ形状部分15は図4のアーチ形状部分に類似する。例えば、熱可塑剤の様な容易に溶融する材料のロープ又はひも等の拘束部分16は、主要部分15aの自由端の位置17及び細長い本体14と接触する端部分15bの位置18の間に収容されており、アーチ形状部分15をその直径を縮小した状態で保持している。穴はロープの収容を容易にするために位置17、18の少なくとも一つに設けられている。ロープは接着剤により固定され、収められている。図5に示す直径が縮小した状態において、アーチ形状部分15は中心部分5の直径より小さい直径を持つ掘削パイプの中間部分6の内部の直径を通ることができる。支持装置13が中心部分5の内部表面7内にある場合、拘束部分16は、例えば、拘束部分16の材料の軟化点又は溶融点を超える温度に加熱することにより、取り外しても良い。取り外しは、支持装置13を内部表面7に付着させるために備えている接着剤を重合させるために硬化させる際に起こることもある。重合可能な接着剤の層は内部孔の表面7又は支持装置13の部分又は全ての接面に用いても良い。その様な硬化は穴4を通してホットエアーを循環させることにより可能である。ロープ16は、他の実施の態様においては、最終状態以前に、その最大コード長さ又は直径を抑えるために例えば、図2、3のアーチ形状部分15と共に用いても良い。
【0068】
図6を参照すると、支持装置13はピンエンド3によって掘削パイプ1に挿入される状態である。アーチ形状部分15は、例えば、拘束部分16によってその両端が接触するようにしても良い。
【0069】
アーチ形状部分15の外径は縦長孔4に挿入することができ、そして中間部分6の内径を通すことができる様に狭められている。アーチ形状部分の周囲の長さは、中間部分6の内径を通して挿入される場合、アーチ形状部分の対向する端が重ならないように選択することができる。図2及び3に示す対応する切欠き15cは、アーチ形状部分に十分な周囲の長さを与えると共に重複を起こさせないために有用である。
【0070】
図7を参照すると、細長い本体14は異形材又は鋼片から得ることができる。細長い本体14は伝送線8のための躯体を形成している、中央溝20を持ち、及び内部表面7に適合した半径を持つ2つの側面21、22を持つ。その半径は、掘削パイプの中心部分で内部表面7の直径に実質的に等しく、そして掘削パイプの直径に依存する。反対側では、細長い本体14は僅かに凹んだ2つの表面23及び24及び凹んだ表面23及び24の間に中央が凸状の表面25を持つ。互いに反対側に位置する端26及び27は側面21及び凹んだ表面23の間に位置し、対称的に丸みを帯びた表面27がアーチ形状の表面22と凹んだ表面24の間に設けられている。通路14a 及び14bは、それぞれ表面22、24及び17、及び21、23及び26により規定される。
【0071】
図8を参照すると、異形材から得られた細長い本体14は、内部表面7に接触する様に形成された単一のアーチ形状表面、小さい曲率半径を持つ互いに反対側に位置する2つの丸みを帯びた表面26及び27、
大きい径を持つ2つの、凸状表面23及び24、及び凸状表面23及び24の間、及び掘削パイプ1の内部表面7に対向して設けられた中央溝20を持つ。溝20はアーチ形状部分15により部分的に閉じられていても良く、その結果伝送線8が溝20から脱落するリスクを低減させる。
【0072】
さらに溝20は図8に示す実施の態様の穴よりも小さい穴を持つ。より詳しく言えば、細長い本体14と共に作動する伝送線が溝20及び内部表面7の間に維持されている。図9に示す実施の態様の細長い本体14の溝20に配置されている伝送線は、溝20のリップ20a,20bにより保持される。20a,20bの間の距離は溝20の直径の70%よりも小さくても良い。
【0073】
図9を参照すると、細長い本体14は溝を持たない。細長い本体14は、その中に伝送線8が敷設されている縦長孔29を持つ管構造である。伝送線8は、細長い本体14の少なくとも中央部分において細長い本体14により完全に保護されている。細長い本体14の壁の厚さはほぼ一定であっても良い。細長い本体14は掘削パイプ1の内部表面7に接触する様に形成された単一表面28、2つの丸みを帯びた表面26及び27、2つの実質的にまっすぐな表面30、31、2つの凹んだ表面23及び24、及び凹んだ表面23及び24の間の中央が凸状の表面25を持つ。細長い本体14は縦長面に関して実質的に対称、例えば、掘削パイプ1と同軸をなしても良い。
【0074】
上に記述した、本発明の図面は、掘削パイプであり、そして掘削パイプの中央部分、すなわち、その末端を除く掘削パイプの全ての長さ部分に渡り第一の直径を持つ掘削ストリング部分を示す場合においても、本発明はまた、第一の直径を持つ部分が掘削ストリング部分の一部、すなわち、その一部が掘削ストリング部分端に近い部分に位置する場合であっても適用される。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削ストリング部分の中心孔に挿入することができる支持装置であり、
前記中心孔は掘削ストリング部分の中心部分の少なくとも一部に沿った第一の直径を持ち、掘削ストリング部分の末端の最も近くに第二の直径を持ち、第二の直径は第一の直径よりも小さく、
前記支持装置は少なくとも部分的に伝送線のための躯体を形成する細長い本体を持ち、前記細長い本体は第二の直径よりも小さい横断サイズ、及び細長い本体に沿って配置され、そして細長い本体とは区別され、それに取付けられた複数のアーチ形状部分を持ち、アーチ形状部分は第二の直径を通して動くことができる様に弾力的に曲がることができ、第二の直径を通過すると第一の直径の中で拡大することができる様に、自由な状態で第一の直径よりも大きい非常に大きいコードを持つ、
支持装置。
【請求項2】
前記アーチ形状部分は自由な状態において180度から360度の角度を持つ、請求項1の支持装置。
【請求項3】
前記アーチ形状部分の両端には、それぞれアーチ形状部分の対向する端の縦長方向の位置に切欠きが設けられている、請求項1又は2の支持装置。
【請求項4】
前記細長い本体が2つの凸状表面を含み、その間に躯体が配置されている、請求項1乃至3のいずれか1項の支持装置。
【請求項5】
前記細長い本体が躯体の反対側に2つの側面通路を持つ、請求項1乃至4のいずれか1項の支持装置。
【請求項6】
前記細長い本体は異形材から得られ、前記躯体は縦長のチャンネルである、請求項1乃至5のいずれか1項の支持装置。
【請求項7】
前記細長い本体は、管状形状を持ち、前記管状形状の内側は躯体を形成している、請求項1乃至6のいずれか1項の支持装置。
【請求項8】
前記支持装置は、前記支持装置を掘削ストリング部分の中に挿入する前及びその間に、アーチ形状部分の最大コードを拘束された状態の第二の直径未満に維持するために、前記アーチ形状部分の横断端に固定された拘束部分を持つ、請求項1乃至7のいずれか1項の支持装置。
【請求項9】
前記拘束部分は、熱可塑性材料のロープである、請求項8の支持装置。
【請求項10】
管状部材及びそれに挿入された支持装置を持つ管状掘削ストリング部分であって、管状部材は、管状部材の中心部分に沿った第一の直径及び管状部材の末端の最も近くに第二の直径を持つ中心孔を持ち、第二の直径は第一の直径よりも小さく、及び管状部材の中心孔に挿入が可能である支持装置を持ち、支持装置は少なくとも部分的に伝送線のための躯体を形成する細長い本体を持ち、前記細長い本体は第二の直径よりも小さい横断サイズ、及び細長い本体に沿って配置されそして細長い本体とは区別され、それに取付けられた複数のアーチ形状部分を持ち、アーチ形状部分は第二の直径を通して動くことができる様に弾力的に曲げることができ、第二の直径を通過すると第一の直径の中で拡大することができる様に、自由な状態において第一の直径よりも大きい非常に大きいコードを持つ、前記管状掘削ストリング部分。
【請求項11】
前記アーチ形状部分は弾力性のある跳ね返りの力により細長い本体を中心孔の第一の直径部分に保持し、前記アーチ形状部分は第一の直径部分表面に径方向の力を与える、請求項10の管状部材。
【請求項12】
前記細長い本体は、2つの凸状面を持ち、前記凸状面は第一の直径に適合する湾曲を持つ、請求項10又は11の支持装置。
【請求項13】
前記細長い本体が、躯体の反対側に2つの側面通路を持ち、そして通路は第一の直径部分の表面と接触している、請求項10乃至12のいずれか1項の支持装置。
【請求項14】
前記アーチ形状部分は、中心孔の第一の直径部分内に挿入された後その最終位置においてその端は互いに離れて配置されている、請求項10乃至13のいずれか1項の支持装置。
【請求項15】
前記アーチ形状部分は、第二の直径を持つ中心孔の部分を通して挿入される間に辛うじて接触する又は離れている様に配置される両端を持つ、請求項14の支持装置。
【請求項16】
前記アーチ形状部分は、最終位置において360度より大きい角度を持つ、請求項10乃至15のいずれか1項の支持装置。
【請求項17】
請求項8又は9の支持装置を設定する方法であって、
‐第一の直径を内径として持つ管状掘削ストリング部分の中心部分に支持装置を挿入するステップ;及び
‐管状掘削ストリング部分の孔を通してホットエアーを流してロープを切断し、前記アーチ形状部分を第一の直径部分に対して拡大させるステップ、
を含む前記方法。

【公表番号】特表2012−526217(P2012−526217A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509100(P2012−509100)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際出願番号】PCT/IB2009/006284
【国際公開番号】WO2010/128351
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(511269495)バム・ドリリング・フランス (1)