説明

管理システム

【課題】分析装置の操作者が分析装置における異常の発生や分析装置における処理状態を迅速に把握することができる分析装置の管理システムを提供すること。
【解決手段】本発明にかかる管理システム1は、ネットワーク30を介して接続した分析装置a1〜b2との間で通信を行って分析装置a1〜b2を管理する管理サーバ10を備えた管理システムにおいて、管理サーバ10は、分析装置a1〜b2から送信された送信情報の内容に応じて該送信情報を分析装置a1〜b2ごとに予め登録された転送先に転送することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信接続手段を介して接続した分析装置との間で通信を行って分析装置を管理する管理装置を備えた管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分析結果の信頼性を高めるため、ネットワークなどの通信接続手段を介して複数の分析装置と管理サーバとを接続し、接続した分析装置と管理サーバの間で通信を行うことによって、分析装置を管理する管理システムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。このような管理システムにおいては、分析装置は、管理サーバと分析装置との間の接続状態を示す接続情報、分析装置の動作状態を示す状態情報、分析装置に異常が発生したことを示す異常情報、分析装置に使用される物品の在庫情報、分析装置における分析精度に関する精度情報を管理サーバに送信する。そして、管理サーバは、分析装置から送信された各情報をもとに、分析装置における分析精度の精度管理、分析装置における消耗品および保守作業に対する費用管理、分析装置における消耗品の在庫管理、分析装置の動作処理を正常に維持するための運用管理を行っている。
【0003】
【特許文献1】特許第3772125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような管理システムでは、データベースを管理サーバに接続し、このデータベースに分析装置と管理サーバとの間で通信された各種情報を記憶させている。管理システムの管理者は、データベースに記憶された各種情報をもとに分析装置の精度管理、費用管理、在庫管理、運用管理を行い、分析装置の操作者は、ネットワークを介して管理サーバに接続することによって、データベース内に記憶された情報を参照していた。
【0005】
ところで、分析対象が多数ある場合には、分析処理に長時間を必要とする。このため、分析装置の操作者は、分析装置そばに常駐せず分析装置から離れることがある。しかしながら、操作者が分析装置から離れていたときに分析装置に異常が発生した場合、操作者は分析装置の異常を即時に認識することができず、分析装置の異常に迅速に対応することができなかった。また、操作者が分析装置から離れていたときに分析装置における分析処理が終了した場合も、分析装置の終了を即時に認識することができないたため、次の分析処理の開始が遅れ、効率よく分析装置を操作することができない場合があった。
【0006】
さらに、操作者は、分析装置で発生した異常の詳細などを確認する場合、ネットワークを介して管理サーバに接続した後、データベース内に記憶された各種情報の中から操作者が操作する分析装置に関する情報を検索するという煩雑な処理を経て、異常の詳細および異常に対する対処方法を把握していた。したがって、分析装置の操作者は、分析装置の異常に対して迅速かつ適切に対応することができなかった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、分析装置の操作者が分析装置における異常の発生や分析装置における処理状態を迅速に把握することができる分析装置の管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる管理システムは、通信接続手段を介して接続した分析装置との間で通信を行って前記分析装置を管理する管理装置を備えた管理システムにおいて、前記管理装置は、前記分析装置から送信された送信情報の内容に応じて該送信情報を前記分析装置ごとに予め登録された転送先に転送することを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる管理システムは、前記管理装置は、予め定められた前記送信情報の各内容と転送の要否との関係をもとに前記送信情報の転送の要否を判断することを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる管理システムは、前記転送先は、前記分析装置の操作者が有する端末装置であることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる管理システムは、前記管理装置は、前記送信情報を記憶する記憶手段を備え、前記管理装置は、前記送信情報とともに前記記憶手段への接続を誘導する誘導情報を前記転送先に送信することを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる管理システムは、前記転送先は、転送順序が設定された複数の転送先であり、前記管理装置は、前記誘導情報を介した前記端末装置による前記記憶手段への接続がない場合、次の転送順序の前記転送先に前記送信情報を転送することを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる管理システムは、前記分析装置は、前記管理装置と前記分析装置との間の接続状態を示す接続情報、前記分析装置の動作状態を示す状態情報、前記分析装置に異常が発生したことを示す異常情報、前記分析装置に使用される物品の在庫情報および/または前記分析装置における分析精度に関する精度情報を前記送信情報として前記管理装置に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、分析装置から送信された送信情報の内容に応じて該送信情報を分析装置ごとに予め登録された転送先に転送することによって、分析装置の操作者による分析装置における異常の発生や分析装置における処理状態の迅速な把握を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である分析装置の管理システムについて説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0016】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。図1は、本実施の形態1にかかる管理システムの全体構成を示す図である。図1に示すように、本実施の形態1にかかる管理システム1は、複数の施設にそれぞれ配置された分析装置a1〜b2と、ネットワーク30を介して各分析装置a1〜b2と接続する管理サーバ10とを備える。
【0017】
分析装置a1〜b2は、検体等の試料の成分を生化学的または免疫学的に分析する。分析装置a1〜b2は、検体等の試料および試薬を反応容器に分注し、反応容器内で生じる反応を光学的に測定した結果をもとに試料を分析する。分析装置a1〜b2においては、搬送される複数の反応容器に、試薬分注機構が試薬容器から試薬を順次分注し、検体分注機構が複数の検体容器4から検体を順次分注する。そして、反応容器は、攪拌装置へ搬送され、分注された試薬と検体とは、攪拌装置によって順次攪拌されて反応する。このようにして検体と試薬とが反応した反応液を保持した反応容器は、測光装置に搬送され、測光装置による光学的測定が行われる。光学的測定が終了した反応容器は、そのまま廃棄される場合もあり、洗浄装置によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される場合もある。分析装置a1〜b2は、試料、試薬および反応容器内の液体を所定温度に保持した状態で、検体または試薬の分注、反応容器内の液体の攪拌、反応容器内の液体に対する光学的測定を行う。
【0018】
この分析装置a1〜b2は、複数の施設にそれぞれ設置される。たとえば、施設Aには、分析装置a1〜a3が設置され、施設Bには、分析装置b1,b2が設置されている。施設によっては、たとえば施設Aのクライアント側管理装置a0のように、クライアント側管理装置を設けて施設内の単数または複数の分析装置の動作状態や分析装置における分析結果を管理している。
【0019】
各分析装置a1〜b2は、ネットワーク30を介して、各分析装置a1〜b2に関する情報を管理サーバ10に送信する。各分析装置a1〜b2は、管理サーバ10と分析装置a1〜b2との間の接続状態を示す接続情報を定期的に管理サーバ10に送信する。また、各分析装置a1〜b2は、分析装置a1〜b2自身の動作状態を示す状態情報を管理サーバ10に送信する。たとえば、状態情報として、行っていた分析処理が終了したことを示す情報や、検体、試薬、反応容器内の液体の温度情報などがある。また、各分析装置a1〜b2は、各分析装置a1〜b2に異常が発生したことを示す異常情報を管理サーバ10に送信する。たとえば、異常情報として、反応容器、試薬容器または検体容器の搬送異常、分析装置を構成する各機構の動作異常などがある。また、各分析装置a1〜b2は、分析装置a1〜b2に使用される物品の在庫情報を管理サーバ10に送信する。たとえば、在庫情報として、分析に使用する試薬の残量や反応容器を洗浄する洗浄液の残量などがある。また、各分析装置a1〜b2は、分析装置a1〜b2における分析精度に関する精度情報を管理サーバ10に送信する。たとえば、精度情報として、測光装置の光源および受光部における出力電力、検体および試薬を分注する各分注機構における分注時に分注対象である液体に加える圧力値などがある。
【0020】
管理サーバ10は、ネットワーク30を介して分析装置a1〜b2との間で通信を行うことによって、分析装置a1〜b2を管理する。管理サーバ10は、分析装置a1〜b2から送信された送信情報の内容に応じて、この送信情報を分析装置a1〜b2ごとに予め登録された転送先に転送する。管理サーバ10は、各種情報を記憶するデータベース20を有する。
【0021】
この転送先は、分析装置a1〜b2の操作者が有する端末装置であり、たとえば、施設Aにおける分析装置a1の操作者Uが有する携帯端末50などがある。そして、このような転送先は、各分析装置a1〜b2において分析処理を開始する際の各分析装置a1〜b2の操作者による分析装置a1〜b2のログイン時に、分析装置a1〜b2において各操作者によってそれぞれ入力される。
【0022】
ここで、分析装置a1〜b2における転送先の登録について説明する。操作者が分析装置a1〜b2にログインした場合、分析装置a1〜b2に接続するディスプレイ装置には、たとえば図2に示すように、分析モードを示すウィンドウWが表示され、このウィンドウWに転送先登録のためのメニューMが表示される。操作者Uは、転送先の登録を行う場合には、分析装置a1〜b2の入力部を構成するマウスおよびキーボードの操作によって、欄Bs内に転送先のメールアドレスを記載する。そして、操作者は、マウスを操作し、転送先の登録を行うことを示す欄By上にカーソルCを移動させ、マウスの左ボタンをクリックする。この場合、分析装置a1〜b2は、管理サーバ10に、欄Bsに入力されたメールアドレスを転送先として登録を指示する指示情報を送信する。
【0023】
一方、操作者Uは、転送先の登録を行わない場合には、転送先の登録を行わないことを示す欄Bn上にカーソルCを移動させ、マウスの左ボタンをクリックする。この場合、分析装置a1〜b2は、ネットワーク30を介して管理サーバ10に、この分析装置a1〜b2においては情報の転送を行わないことを指示する指示情報を送信する。
【0024】
管理サーバ10は、分析装置a1〜b2からそれぞれ送信された転送先に関する指示情報をもとに、各分析装置a1〜b2における転送の要否および転送先の登録を行う。各分析装置a1〜b2における転送の要否および転送先は、各分析装置a1〜b2と各転送先とを対応させた転送テーブルの更新処理を経て、予め管理サーバ10によって登録される。また、管理サーバ10は、予め定められた送信情報の各内容と転送の要否との関係をもとに送信情報の転送の要否を判断する。そして、管理サーバ10は、ネットワーク30、基地局60を介して、転送先である操作者Uが有する携帯端末50へ分析装置a1〜b2からの送信情報を転送する。
【0025】
データベース20は、分析装置a1〜b2からの送信情報を含む各種情報を記憶する。データベース20は、分析装置a1〜b2と各転送先とを対応させた転送テーブル、分析装置a1〜b2から送信された送信情報の各内容と転送の要否との関係を示す判断テーブルを記憶する。各分析装置a1〜b2からは、ネットワーク30を介して、データベース20内に記憶された情報を閲覧することができる。
【0026】
データベース20は、各施設における分析装置に関する情報をそれぞれ記憶する。同じ系列のグループにおいて複数の施設内に分析装置を配置する場合には、データベース20は、グループごとに情報を区別して記憶する。たとえば、グループGに属する施設A,D,F,Hにおける情報は、データベース20内のデータベースDg内に記憶される。また、グループJに属する施設B,Kにおける情報は、データベースDjに記憶される。さらに、データベース20は、各グループの各施設における分析装置の情報を、たとえば地域ごとに区別して記憶してもよい。たとえば、グループGにおいては、P地域内に施設Aおよび施設HがありQ地域に施設Dおよび施設Fがある場合には、P地域に対応するデータベースDpとQ地域に対応するデータベースDqを設ける。データベースDpには、施設Aに対応するフォルダFaと施設Hに対応するフォルダFhが格納される。管理サーバ10は、各分析装置a1〜b2の操作者に対応させて各データベースや各フォルダへのアクセス許可を行い、各分析装置a1〜b2の操作者によってデータベース20内へのアクセスを制限してもよい。また、記憶される分析装置に関する情報として、分析装置に関するマニュアル類、すなわち、運用マニュアル、取り扱い説明書、装置使用時の注意事項等を含ませてもよい。これにより資源の一元化や共有化を図ることができる。
【0027】
図3を参照して、管理サーバ10が分析装置a1〜b2から送信された送信情報を転送先へ転送するまでの処理手順について説明する。まず、管理サーバ10は、各分析装置a1〜b2から送信された送信情報を受信する情報受信処理を行う(ステップS2)。管理サーバ10は、受信した送信情報に応じて、分析装置a1〜b2からの送信情報を転送する転送先を登録する転送先登録処理を行う(ステップS4)。そして、管理サーバ10は、受信した送信情報を転送する必要があるか否かを判断する転送判断処理を行い(ステップS6)、その後、転送先に受信した送信情報を転送する転送処理を行い(ステップS8)、分析装置a1〜b2から送信された送信情報に対する転送処理を終了する。
【0028】
つぎに、図3に示す転送先登録処理について説明する。図4は、図3に示す転送先登録処理の処理手順を示すフローチャートである。図4に示すように、管理サーバ10は、分析装置a1〜b2から転送先の登録を指示する転送先登録指示情報を受信したか否かを判断する(ステップS12)。管理サーバ10は、転送先登録指示情報を受信しないと判断した場合(ステップS12:No)、転送先登録処理を終了し、転送判断処理に進む。一方、管理サーバ10は、転送先登録指示情報を受信したと判断した場合(ステップS12:Yes)、データベース20内から転送テーブルを取得する(ステップS14)。そして、管理サーバ10は、転送先登録指示情報の指示をもとに転送テーブルを更新し(ステップ16)、転送先登録処理を終了する。ここで、転送テーブルは、たとえば図5の転送テーブルTmに示すように、分析装置a1〜b2と各転送先とがそれぞれ対応している。たとえば、管理サーバ10は、転送先登録指示情報が、施設Aにおける分析装置a1の転送先の登録を指示する場合には、行Rmに示すように、施設Aにおける分析装置a1の転送先を転送先登録指示情報において指示された転送先のメールアドレスに更新し、転送先を登録する。
【0029】
つぎに、図3に示す転送判断処理について説明する。図6は、図3に示す転送判断処理の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、管理サーバ10は、判断テーブルを参照する(ステップS22)。この判断テーブルは、図7の判断テーブルTsに示すように、分析装置a1〜b2から送信された送信情報の各内容と転送の要否との関係を示すものである。判断テーブルTsに示すように、分析装置a1〜b2から送信された送信情報が、当該分析装置に異常が発生し警報が出力されたことを示す場合、または、分析処理が終了したことを示す場合、この異常または分析終了を予め登録された転送先に転送する必要がある。また、各分析装置a1〜b2から送信された送信情報が、分注機構における分注量のばらつき発生、測光装置における発光量または受光量のばらつき発生、または温度制御機構における制御温度のばらつき発生などの装置動作にばらつきが発生したことを示す場合、このばらつき発生を予め登録された転送先に転送する必要がある。一方、各分析装置a1〜b2から送信された送信情報が、装置動作が正常であることを示す場合、転送する必要がない。
【0030】
管理サーバ10は、たとえば図7に示す判断テーブルTsを参照し、分析装置a1〜b2から送信された送信情報を転送先へ転送する必要があるか否かを判断する(ステップS24)。管理サーバ10は、分析装置a1〜b2から送信された送信情報を転送先へ転送する必要がないと判断した場合(ステップS24:No)、転送判断処理を終了する。一方、分析装置a1〜b2から送信された送信情報を転送先へ転送する必要があると判断した場合(ステップS24:Yes)、分析装置a1〜b2から送信された送信情報を転送するために転送テーブルを参照する(ステップS26)。そして、管理サーバ10は、転送テーブルを参照して、送信情報を送信した分析装置a1〜b2に対応する転送先を取得後、転送先を設定し(ステップS28)、転送判断処理を終了する。判断テーブルTsは、各分析装置a1〜b2に対応する各転送先を転送先欄に示し、図6に示す転送先設定処理(ステップS28)においては、この判断テーブルTsの転送先欄の更新登録を行う。
【0031】
つぎに、図3に示す転送処理について説明する。図8は、図3に示す転送処理の処理手順を示すフローチャートである。図8に示すように、管理サーバ10は、転送判断処理において分析装置a1〜b2から送信された送信情報が転送先へ転送する必要があると判断されたか否かを判断する(ステップS32)。管理サーバ10は、転送判断処理において分析装置a1〜b2から送信された送信情報が転送先へ転送する必要があると判断されなかったと判断した場合(ステップS32:No)、転送処理を終了する。一方、転送判断処理において分析装置a1〜b2から送信された送信情報が転送先へ転送する必要があると判断されたと判断した場合(ステップS32:Yes)、転送判断処理において設定された転送先へ分析装置a1〜b2から送信された送信情報を転送し(ステップS34)、転送処理を終了する。
【0032】
このように、実施の形態1にかかる管理システムにおいては、分析装置から送信された送信情報の内容に応じて分析装置ごとに予め登録された転送先に転送している。言い換えると、管理システム1においては、分析装置に発生した異常や分析処理の終了などを操作者が携帯する携帯端末に転送している。このため、操作者は、操作者が分析装置から離れていた場合であっても、分析装置に発生した異常や分析処理の終了などを即時に把握することができる。また、操作者は、分析装置からネットワーク回線を介して管理サーバに接続した後にデータベース内に記憶された各種情報の中から操作者が操作する分析装置に関する情報を検索するという煩雑な処理を経ることなく、迅速に分析装置の異常や分析終了などの詳細を把握することができる。この結果、操作者は、分析装置の異常に迅速かつ適切に対応することができ、また、次の分析処理を速やかに開始し効率よく分析装置を操作することができる。
【0033】
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2について説明する。実施の形態2は、第1の転送先に分析装置から送信された送信情報を転送し、転送先によるデータベースの閲覧が確認されなかった場合には、第2の転送先に分析装置から送信された送信情報を転送する。図9は、本実施の形態2にかかる管理システムの全体構成を示す図である。
【0034】
図9に示すように、実施の形態2にかかる管理システム201は、図1に示す管理サーバ10に代えて、管理サーバ210を有する。管理サーバ210は、予め登録された転送先として、複数の転送先を登録する。たとえば、図9に示すように、分析装置a1から、第1の転送先として操作者U1の携帯端末50aのメールアドレスを指示し第2の転送先として操作者U2の携帯端末50bを指示する転送先登録指示情報を受信した場合である。さらに、転送登録指示情報が各転送先に対して転送順序を定めている場合には、管理サーバ210は、各転送先に応じて転送順序についても設定し、設定された転送順序にしたがって分析装置a1〜b2から送信された送信情報を転送先に送信する。
【0035】
管理サーバ210は、分析装置a1〜b2から送信された送信情報を各転送先に転送する場合に、分析装置a1〜b2から送信された送信情報とともに、データベース20への接続を誘導する誘導情報を転送先に送信する。この誘導情報は、データベース20内における転送された送信情報を記憶するデータベースやフォルダへの接続を誘導するURLアドレスなどである。そして、管理サーバ210は、誘導情報を介した転送先からのデータベースへの接続がないと判断した場合には、次の転送順序の転送先へ分析装置a1〜b2から送信された送信情報を転送する。
【0036】
図10を参照して、管理サーバ210が分析装置a1〜b2から送信された送信情報を転送先へ転送するまでの処理手順について説明する。管理サーバ210は、図3に示すステップS2と同様に情報受信処理を行う(ステップS202)。つぎに、管理サーバ210は、分析装置a1〜b2から送信された送信情報を転送する転送先を登録する転送先登録処理を行う(ステップS204)。管理サーバ210は、図4に示すステップS12〜ステップ16と同様の処理手順を行って転送登録処理を行う。ここで、管理サーバ210は、転送先登録指示情報をもとに、一の分析装置に対して、転送順序をそれぞれ対応させた複数の転送先を登録する場合がある。たとえば、図11の転送テーブルTmbに示すように、施設Aにおける分析装置a1においては、転送先登録指示情報にもとづき、行Rmaに示す転送先を転送順序が1番である第1の転送先として登録し、行Rmbに示す転送先を転送順序が2番である第2の転送先として登録する。
【0037】
つぎに、管理サーバ210は、受信した送信情報を転送する必要があるか否かを判断する転送判断処理を行う(ステップS206)。管理サーバ210は、図6に示すステップS22〜ステップ28と同様の処理手順を行って転送判断処理を行う。ここで、管理サーバ210は、転送先として複数の転送先が登録されている場合、転送順序にしたがって転送先を設定する。そして、管理サーバ210は、転送先に送信情報を転送する転送処理を行い(ステップS208)、分析装置a1〜b2から送信された送信情報に対する転送処理を終了する。
【0038】
つぎに、図10に示す転送処理について説明する。図12は、図10に示す転送処理の処理手順を示すフローチャートである。図12に示すように、管理サーバ210は、転送判断処理において分析装置a1〜b2から送信された送信情報が転送先へ転送する必要があると判断されたか否かを判断する(ステップS232)。管理サーバ210は、転送判断処理において分析装置a1〜b2から送信された送信情報が転送先へ転送する必要があると判断されなかったと判断した場合(ステップS232:No)、転送処理を終了する。
【0039】
一方、管理サーバ210は、転送判断処理において分析装置a1〜b2から送信された送信情報が転送先へ転送する必要があると判断されたと判断した場合(ステップS232:Yes)、転送判断処理において設定された第1の転送先へ、分析装置a1〜b2から送信された送信情報を誘導情報とともに転送する(ステップS234)。ここで、転送先の携帯端末50aには、図13のウィンドウWに示すように、分析装置a1から送信された送信情報として、「分析装置a1に分注エラーが発生しました。」というメッセージが送信される。そして、メッセージの下部には、分析装置a1の送信情報の詳細を記憶するデータベース20へ接続できるURLアドレスにアクセス可能な誘導情報としてのメニューM2が示される。操作者U1は、携帯端末50aの入力部を操作しメニューM2を選択することによって、データベース20へ直接接続できる。
【0040】
そして、管理サーバ210は、所定時間経過までに、転送先からのアクセスがあるか否かを判断する(ステップS236)。管理サーバ210は、転送先からのアクセスがあると判断した場合(ステップ236:Yes)、携帯端末を有する操作者によって分析装置から送信された送信情報の詳細が確認されたものと判断し、転送処理を終了する。
【0041】
一方、管理サーバ210は、転送先からのアクセスがないと判断した場合(ステップ236:No)、端末装置を有する操作者によって分析装置から送信された送信情報の詳細が確認されていないものと判断し、分析装置a1〜b2から送信された送信情報を誘導情報とともに再度第1の転送先へ転送する(ステップS238)。そして、管理サーバ210は、所定時間経過までに、転送先からのアクセスがあるか否かを再度判断する(ステップS240)。管理サーバ210は、転送先からのアクセスがあると判断した場合(ステップ240:Yes)、転送処理を終了する。
【0042】
これに対し、管理サーバ210は、転送先からのアクセスがないと判断した場合(ステップ236:No)、携帯端末を有する操作者によって分析装置から送信された送信情報の詳細が確認されていないものと判断し、図10のステップS206における転送判断処理において設定された次の転送先があるか否かを判断する(ステップS242)。管理サーバ210は、次の転送先があると判断した場合(ステップS242:Yes)、ステップS234に進み、次の転送先である第2の転送先へ、分析装置a1〜b2から送信された送信情報を誘導情報とともに転送する。一方、管理サーバ210は、次の転送先がないと判断した場合(ステップS242:No)、転送処理を終了する。
【0043】
このように、実施の形態2にかかる管理システム201においては、転送先からデータベース内へのアクセスがなかった場合には、次に設定された転送先に分析装置から送信された送信情報を転送するため、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、分析装置の異常などを分析装置の操作者に確実に通知することができるという効果を奏する。さらに、管理システム201は、分析装置から送信された送信情報とともにデータベース20への接続を誘導する誘導情報を転送先に送信するため、操作者は、操作者自身が携帯する携帯端末から直接データベース内に接続可能であり、分析装置から送信された送信情報の詳細を迅速かつ簡易に把握することができる。
【0044】
また、上記実施の形態で説明した管理サーバ10,210は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。このコンピュータシステムは、所定の記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することで管理サーバ10,210の処理動作を実現する。ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステムの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステムによって読み取り可能なプログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。また、このコンピュータシステムは、ネットワーク30を介して接続した他のコンピュータシステムからプログラムを取得し、取得したプログラムを実行することで管理サーバ10,210の処理動作を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施の形態1にかかる管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示す分析装置に接続するディスプレイ装置の表示画面の一例を示す図である。
【図3】図1に示す管理サーバが分析装置から送信された送信情報を転送先へ転送するまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図3に示す転送先登録処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図1に示すデータベースに記憶される転送テーブルの一例を示す図である。
【図6】図3に示す転送判断処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図1に示すデータベースに記憶される判断テーブルの一例を示す図である。
【図8】図3に示す転送処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態2にかかる管理システムの全体構成を示す図である。
【図10】図9に示す管理サーバが分析装置から送信された送信情報を転送先へ転送するまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図9に示す図1に示すデータベースに記憶される転送テーブルの一例を示す図である。
【図12】図10に示す転送処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】図9に示す携帯端末の表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1,201 管理システム
10,210 管理サーバ
20 データベース
30 ネットワーク
50,50a,50b 携帯端末
60 基地局
a1〜b2 分析装置
a0 クライアント側管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信接続手段を介して接続した分析装置との間で通信を行って前記分析装置を管理する管理装置を備えた管理システムにおいて、
前記管理装置は、前記分析装置から送信された送信情報の内容に応じて該送信情報を前記分析装置ごとに予め登録された転送先に転送することを特徴とする管理システム。
【請求項2】
前記管理装置は、予め定められた前記送信情報の各内容と転送の要否との関係をもとに前記送信情報の転送の要否を判断することを特徴とする請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記転送先は、前記分析装置の操作者が有する端末装置であることを特徴とする請求項1または2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記送信情報を記憶する記憶手段を備え、
前記管理装置は、前記送信情報とともに前記記憶手段への接続を誘導する誘導情報を前記転送先に送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の管理システム。
【請求項5】
前記転送先は、転送順序が設定された複数の転送先であり、
前記管理装置は、前記誘導情報を介した前記端末装置による前記記憶手段への接続がない場合、次の転送順序の前記転送先に前記送信情報を転送することを特徴とする請求項4に記載の管理システム。
【請求項6】
前記分析装置は、前記管理装置と前記分析装置との間の接続状態を示す接続情報、前記分析装置の動作状態を示す状態情報、前記分析装置に異常が発生したことを示す異常情報、前記分析装置に使用される物品の在庫情報および/または前記分析装置における分析精度に関する精度情報を前記送信情報として前記管理装置に送信することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−20310(P2008−20310A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192091(P2006−192091)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】