説明

管理機能付き中継サーバ及び中継通信システム

【課題】ジョブ情報を作成する負担を低減した中継通信システムを提供する。
【解決手段】センター端末5は、接続ジョブリスト格納部と、接続ジョブリスト管理部と、を備える。接続ジョブリスト格納部は、接続ジョブ情報を格納する。接続ジョブ情報は、オペレータが接続して保守作業を行うべき被接続端末を指定するとともに、当該保守作業がワンタイムジョブ及びエニータイムジョブの何れか一方であることを指定可能である。接続ジョブリスト管理部は、接続ジョブ情報に係る保守作業をオペレータが完了した際、当該接続ジョブ情報でワンタイムジョブが指定されていた場合には当該接続ジョブ情報を前記接続ジョブリスト格納部から削除する。また接続ジョブリスト管理部は、接続ジョブ情報にかかる保守作業をオペレータが完了した際、当該接続ジョブ情報でエニータイムジョブが指定されていた場合には当該接続ジョブ情報を削除しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、ネットワークを介して遠隔保守などの作業を行う中継通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ネットワークを介した設備管理システムを開示する。この設備管理システムは、顧客(ビルオーナ)、設備保守会社、及び電気設備メーカーに跨る形で構築されている。顧客は、自身が保有するビルに、空調設備等の保守対象システムを設置しており、更にこの保守対象システムに接続された被保守端末(運転制御管理装置)を有している。この被保守端末は、インターネット等のネットワークを介してアクセス可能に構成されている。設備保守会社は、インターネット等のネットワークを介して遠隔地から被保守端末にアクセスし、保守対象システムを管理(遠隔保守)することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−223521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような設備管理システムにおいて、保守対象システムに何らかのトラブルが発生した場合などには、設備保守会社のサービスマン(作業者)がネットワークを介して被保守端末にアクセスし、遠隔地から保守作業(遠隔保守)を行う。サービスマンにも担当分野や得意分野があるので、適切なサービスマンが保守作業を担当することが好ましい。そこで、保守対象システムで保守作業が必要な状況が発生した場合には、設備保守会社のコールセンターにおいて、保守作業を担当するサービスマンを選定し、当該サービスマンに保守作業を行わせている。
【0005】
このように、どのサービスマンがどの遠隔保守作業を担当するかは流動的に決定されるので、サービスマンにとっても自分自身が行うべき保守作業が必ずしも明らかではない。そこで、上記のような設備管理システムにおいては、「どのサービスマンがどの遠隔保守作業を担当すべきか」という情報をシステムで管理できることが望まれる。
【0006】
この点、サービスマンが担当するそれぞれの遠隔保守作業を「ジョブ情報」という単位で管理する構成が提案されている。サービスマンは、システムに対して問い合わせることにより、自分自身が担当すべき遠隔保守作業のジョブ情報を取得できる。このジョブ情報は、サービスマンによる遠隔保守作業が終了したときに、システムから削除される。
【0007】
ところで前述のように、保守作業を担当するサービスマンの選定は、コールセンターにおいて行われている。適切なサービスマンを選定するには、保守作業の内容、各サービスマンの担当分野、勤務地、その他さまざま要素を複合的に考慮して決定しなければならない。このため、コールセンターのオペレータが人手でサービスマンの選定を行っているのが現状である。サービスマンの選定は、前記ジョブ情報が新たに作成されるごとに行われるので、ジョブ情報が頻繁に作成されるようでは、コールセンターのオペレータの負担が大きくなるという問題がある。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、ジョブ情報を作成する負担を低減した中継通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の観点によれば、以下の構成の管理機能付き中継サーバが提供される。即ち、この管理機能付き中継サーバは、接続ジョブ情報格納部と、接続ジョブ情報管理部と、を備える。前記接続ジョブ情報格納部は、接続ジョブ情報を格納する。前記接続ジョブ情報は、作業者が接続して作業を行うべき被作業側中継サーバを指定するとともに、当該作業がワンタイムジョブ及びエニータイムジョブの何れか一方であることを指定可能である。前記接続ジョブ情報管理部は、前記接続ジョブ情報に係る作業を前記作業者が完了した際、当該接続ジョブ情報でワンタイムジョブが指定されていた場合には当該接続ジョブ情報を前記接続ジョブ情報格納部から削除する。また接続ジョブ情報管理部は、前記接続ジョブ情報にかかる作業を前記作業者が完了した際、当該接続ジョブ情報でエニータイムジョブが指定されていた場合には当該接続ジョブ情報を削除しない。
【0011】
即ち、接続ジョブ情報でワンタイムジョブを指定しておけば、作業終了とともに不要になった接続ジョブ情報を自動的に削除することができる。一方、接続ジョブ情報でエニータイムジョブを指定しておけば、作業が終了しても接続ジョブ情報が削除されないので、当該接続ジョブ情報をあとで使い回すことができる。従って、例えば定期メンテナンスのように何度も作業を繰り返すことがわかっている場合には、エニータイムジョブを指定して接続ジョブ情報を使い回すことにより、接続ジョブ情報を毎回作成する手間を削減することができる。
【0012】
上記の管理機能付き中継サーバは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この管理機能付き中継サーバにおいて、前記接続ジョブ情報でエニータイムジョブを指定する場合、当該接続ジョブ情報の有効期限を指定可能である。そして前記接続ジョブ情報管理部は、有効期限を過ぎた接続ジョブ情報を前記接続ジョブ情報格納部から削除する。
【0013】
このように接続ジョブ情報の有効期限を指定することにより、当該接続ジョブ情報がいつまでも残ってしまうことを防止できるので、セキュリティを強固なものにすることができる。
【0014】
上記の管理機能付き中継サーバは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この管理機能付き中継サーバにおいて、前記接続ジョブ情報でエニータイムジョブを指定する場合、所定の条件を満たした場合のみ当該接続ジョブ情報が有効化されるように指定可能である。
【0015】
例えば、定期メンテナンスのように特定の間隔で作業を行うことがわかっている場合には、「毎週月曜日にのみ有効」等と条件指定しておくことができる。
【0016】
本発明の別の観点によれば、作業者が操作する操作端末が接続される作業者側中継サーバと、前記作業者の作業の対象となる被作業側システムが接続される被作業側中継サーバと、管理機能付き中継サーバと、を含んで構成される中継通信システムであって、以下の構成が提供される。即ち、前記管理機能付き中継サーバは、接続ジョブ情報格納部と、接続ジョブ情報管理部と、を備える。前記接続ジョブ情報格納部は、接続ジョブ情報を格納する。前記接続ジョブ情報は、作業者が接続して作業を行うべき被作業側中継サーバを指定するとともに、当該作業がワンタイムジョブ及びエニータイムジョブの何れか一方であることを指定可能である。前記接続ジョブ情報管理部は、前記接続ジョブ情報に係る作業を前記作業者が完了した際、当該接続ジョブ情報でワンタイムジョブが指定されていた場合には当該接続ジョブ情報を前記接続ジョブ情報格納部から削除する。また接続ジョブ情報管理部は、前記接続ジョブ情報にかかる作業を前記作業者が完了した際、当該接続ジョブ情報でエニータイムジョブが指定されていた場合には当該接続ジョブ情報を削除しない。
【0017】
即ち、接続ジョブ情報でワンタイムジョブを指定しておけば、作業終了とともに不要になった接続ジョブ情報を自動的に削除することができる。一方、接続ジョブ情報でエニータイムジョブを指定しておけば、作業が終了しても接続ジョブ情報が削除されないので、当該接続ジョブ情報をあとで使い回すことができる。従って、例えば定期メンテナンスのように何度も作業を繰り返すことがわかっている場合には、エニータイムジョブを指定して接続ジョブ情報を使い回すことにより、接続ジョブ情報を毎回作成する手間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る中継通信システムの全体構成を示す説明図。
【図2】センター端末の構成を示す機能ブロック図。
【図3】オペレータリストの内容を示す図。
【図4】保守端末リストの内容を示す図。
【図5】被保守端末リストの内容を示す図。
【図6】接続ジョブリストの内容を示す図。
【図7】第1保守端末の構成を示す機能ブロック図。
【図8】第2被保守端末の構成を示す機能ブロック図。
【図9】ワンタイムジョブに指定された接続ジョブ情報を用いて行う遠隔保守作業のシーケンス図。
【図10】エニータイムジョブに指定された接続ジョブ情報を用いて行う遠隔保守作業のシーケンス図。
【図11】変形例に係る接続ジョブリストの内容を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る中継通信システム1の全体構成を示す説明図である。
【0020】
図1に示すように、中継通信システム1は、インターネット等のWide Area Network(WAN、広域通信網)3を介して接続された複数の中継サーバと、これらの中継サーバにLANを介して接続されるクライアント端末と、で構成されている。中継サーバは、他の中継サーバ及び他の中継サーバに接続されるクライアント端末と通信可能である。クライアント端末は、LANで接続された中継サーバを介して、他の中継サーバ及び他の中継サーバに接続されるクライアント端末と通信可能である。
【0021】
本実施形態では、この中継通信システム1を用いて、遠隔保守及びその管理が行われている。中継通信システム1において、前記中継サーバとして機能する端末は、センター端末(管理機能付き中継サーバ)5、第1被保守端末(被作業側中継サーバ)7A、第2被保守端末(被作業側中継サーバ)7B、第1保守端末(作業者側中継サーバ)9A、及び、第2保守端末(作業者側中継サーバ)9Bである。
【0022】
センター端末(管理機能付き中継サーバ)5は、コールセンターに設けられている。コールセンターとは、保守対象の機器の所有者からの問い合わせに対応するオペレータOp2が在籍する拠点である。また、センター端末5は、保守を行うオペレータの被保守端末に対するアクセス権を管理している。センター端末5には、前記クライアント端末としてのセンター端末操作端末11がLAN13を介して接続されている。なお、センター端末5のIDは、「Center@relaysystem.net」である。
【0023】
第1被保守端末7Aは、遠隔保守の対象となる機器の設置先に設けられている。第1被保守端末7Aには、LAN17を介して、前記クライアント端末としての第1被保守対象システム(被作業側システム)15A及び第2被保守対象システム(被作業側システム)15Bが接続されている。第1被保守対象システム15A及び第2被保守対象システム15Bは、遠隔保守の対象となるファイルサーバ又はWebサーバ等である。なお、第1被保守端末7AのIDは、「Target1@relaysystem.net」である。
【0024】
第2被保守端末7Bは、遠隔保守の対象となる機器の設置先に設けられている。第2被保守端末7Bには、LAN21を介して、前記クライアント端末としての第3被保守対象システム(被作業側システム)19A及び第4被保守対象システム(被作業側システム)19Bが接続されている。第3被保守対象システム19A及び第4被保守対象システム19Bは、遠隔保守の対象となるファイルサーバ又はWebサーバ等である。なお、第2被保守端末7BのIDは、「Target2@relaysystem.net」である。
【0025】
第1保守端末9Aは、遠隔保守作業を行うオペレータ(作業者)が在籍する保守拠点に設けられている。第1保守端末9Aには、LAN25を介して、前記クライアント端末としての第1保守操作端末(操作端末)23A及び第2保守操作端末(操作端末)23Bが接続されている。なお、第1保守端末9AのIDは、「Maintenance2@relaysystem.net」である。
【0026】
第2保守端末9Bは、遠隔保守作業を行うオペレータ(作業者)が在籍する保守拠点に設けられている。第2保守端末9Bには、LAN29を介して、前記クライアント端末としての第3保守操作端末(操作端末)27A及び第4保守操作端末(操作端末)27Bが接続されている。なお、第2保守端末9BのIDは、「Maintenance1@relaysystem.net」である。
【0027】
保守拠点に在籍するオペレータが保守作業を行うためには、中継通信システム1にログインすることが必要である。オペレータは、保守操作端末を操作して、各自に割り当てられたID及びパスワードを入力することにより、中継通信システム1にログインすることができる。本実施形態の中継通信システム1では、オペレータは特定の保守操作端末に結び付けられておらず、何れの保守操作端末を使用した場合であっても中継通信システム1にログインすることができる。オペレータは、中継通信システム1へのログイン後に、前記保守操作端末を使用して、前記センター端末5が管理するアクセス権の範囲で、前記保守対象システムの遠隔保守を行う。
【0028】
次に、図2から図6までを参照して、センター端末5の構成を説明する。図2は、センター端末5の構成を示す機能ブロック図である。図3から図6までは、センター端末5のデータベース格納部33に保存された内容を示す図である。
【0029】
図2に示すように、センター端末5は、インタフェース35と、データベース格納部33と、制御部31と、を備える。
【0030】
インタフェース35は、プライベートIPアドレスを利用して、LAN13に接続される機器と通信を行うことができる。また、インタフェース35は、グローバルIPアドレスを利用して、WAN3を介した通信を行うことができる。
【0031】
データベース格納部33は、オペレータリスト格納部53と、保守端末リスト格納部55と、被保守端末リスト格納部57と、接続ジョブリスト格納部59と、を備えている。
【0032】
オペレータリスト格納部53には、例えば図3に示すようなオペレータリスト53aが保存されている。オペレータリスト53aは、図3に示すように、「ID」、「パスワード」、及び「ログイン中継サーバ」で構成されている。「ID」の列には、中継通信システム1にログイン可能なオペレータのIDが記述されている。「パスワード」の列には、同じ行に記述されたIDを使用して中継通信システム1にログインするために必要なパスワードが記述されている。「ログイン中継サーバ」の列には、同じ行に記述されたIDを使用してオペレータが中継通信システム1にログイン済みである場合に、オペレータのIDと、当該オペレータが使用している中継サーバ(センター端末又は保守端末)のIDと、が記述される。なお、オペレータが中継通信システム1にログイン済みでない場合は、「ログイン中継サーバ」は空欄となる。
【0033】
保守端末リスト格納部55には、例えば図4に示すような保守端末リスト55aが保存されている。保守端末リスト55aは、中継通信システム1を構成する保守端末について記述された、「名称」及び「端末ID」から構成されている。「名称」には、保守端末に付与された名称が記述されている。この名称には、保守端末の設置場所(保守拠点の名称)等、分かり易い適宜の名称を付与することができる。「端末ID」には、保守端末のIDが記述されている。
【0034】
被保守端末リスト格納部57には、例えば図5に示すような被保守端末リスト57aが保存されている。被保守端末リスト57aには、中継通信システム1を構成する被保守端末について記述された、「名称」及び「端末ID」から構成されている。「名称」には、被保守端末に付与された名称が記述されている。この名称には、被保守端末の設置場所(会社名)等、分かり易い適宜の名称を付与することができる。「端末ID」には、被保守端末のIDが記述されている。
【0035】
接続ジョブリスト格納部(接続ジョブ情報格納部)59には、接続ジョブに関する情報(接続ジョブ情報)が保存されている。接続ジョブは、保守作業の作業単位を示している。接続ジョブ情報は、被保守対象システムに対して保守作業が必要になる度にセンター端末5によって作成され、接続ジョブリスト格納部59に保存される。接続ジョブリスト格納部59は、1又は複数の接続ジョブ情報で構成される接続ジョブリスト59aを保存している。
【0036】
図6に示すように、各接続ジョブ情報は、「名称」、「被保守端末ID」、「担当者ID」、「ステータス」、及び「属性」等の項目から構成されている。「名称」は、保守作業が必要な被保守対象システムと同じLANに接続される被保守端末の名称が記述されている。「被保守端末ID」には、前記被保守端末のIDが記述されている。「担当者ID」には、被保守端末へ接続して保守作業を担当するように選定されたオペレータのIDが記述されている。なお、「担当者ID」には、1又は複数のオペレータのIDを記述することができる。「ステータス」には、現在の接続ジョブの状態(例えば接続ジョブがどのオペレータによって実行されているか等)が記述されている。
【0037】
また、「属性」には、保守作業の属性を指定することができる。本実施形態において、保守作業の属性としては、「エニータイム(常時)ジョブ」及び「ワンタイム(一時)ジョブ」の何れか一方を指定可能である。「ワンタイムジョブ」が指定された接続ジョブ情報は、保守作業が終了するとともに削除され、「エニータイムジョブ」が指定された接続ジョブ情報は、保守作業が終了しても削除されない。
【0038】
なお、データベース格納部33は、図略のログ情報格納部を備えており、接続ジョブが行われた時間及び担当したオペレータ等の情報が格納されている。
【0039】
制御部31は、CPU、RAM、ROM等を含んでおり、ROM等から読み出したプログラムにより各種の処理を実行可能である。図2に示すように、制御部31は、ログイン認証部43と、接続ジョブ作成部45と、接続ジョブリスト管理部(接続ジョブ情報管理部)49と、担当接続先リスト送信部51と、を備えている。
【0040】
接続ジョブ作成部45は、遠隔保守を実施する必要が生じた場合に、前記接続ジョブ情報を作成する。接続ジョブリスト管理部49は、前記接続ジョブリスト格納部59に保存された接続ジョブリスト59aの管理を行う。具体的には、接続ジョブ作成部45が作成した接続ジョブ情報を接続ジョブリスト59aに登録したり、接続ジョブリスト59aの接続ジョブ情報を更新したり、接続ジョブリスト59aから接続ジョブ情報を削除したりする。
【0041】
ログイン認証部43は、オペレータリスト53aと、保守端末等から受信したオペレータのID及びパスワードと、を照合して、オペレータのログインの可否を判断する。また、ログイン認証部43は、オペレータID等の送信を行った保守端末のIDが保守端末リスト55aに含まれているか否かに基づいて、ログインの可否を判断する。
【0042】
担当接続先リスト送信部51は、保守を行うオペレータからの要求等に応じて、当該オペレータが遠隔保守作業の担当者として接続することができる被保守端末の名称の一覧(担当接続先リスト)を接続ジョブリスト59aから抽出し、当該オペレータが操作している保守操作端末に送信する。
【0043】
次に、図7を参照して、保守端末の構成を説明する。図7は、第1保守端末9Aの構成を示す機能ブロック図である。なお、第1保守端末9Aと第2保守端末9Bの構成は同様であるので、代表して、第1保守端末9Aの構成を説明する。第1保守端末9Aは、図7に示すように、インタフェース65と、制御部61と、データベース格納部63と、を備えている。
【0044】
インタフェース65は、プライベートIPアドレスを利用して、LAN25に接続される機器と通信を行うことができる。また、インタフェース65は、グローバルIPアドレスを利用して、WAN3を介した通信を行うことができる。
【0045】
制御部61は、CPU、RAM、ROM等を含んでおり、ROM等から読み出したプログラムにより各種の処理を実行可能である。図7に示すように、制御部61は、ルーティングセッション確立部71と、ルーティング制御部73と、ログイン情報送信部75と、選択ジョブ送信部77と、を備えている。
【0046】
ルーティングセッション確立部71は、第1保守端末9Aと、第1被保守端末7A又は第2被保守端末7Bと、の間にルーティングセッションを確立する。ルーティングセッションとは、LAN25に接続される機器と、保守対象システムの設置先のLAN(LAN17又はLAN21)に接続される機器と、の間で転送される通信パケットのルーティングに用いられるメディアセッションである。ルーティング制御部73は、このルーティングセッションを利用して、他のLANに接続される機器との間で通信パケットのルーティング制御を行う。
【0047】
ログイン情報送信部75は、第1被保守端末7A又は第2被保守端末7Bから受信したオペレータのID及びパスワード(以下、ログイン情報と称する)をセンター端末5に送信する。選択ジョブ送信部77は、オペレータが前記候補ジョブリストの中から選択した接続ジョブをセンター端末5に送信する。
【0048】
データベース格納部63は、センター端末情報格納部81を備えている。センター端末情報格納部81には、センター端末5の名称とIDとが保存されている。第1保守端末9Aは、センター端末情報格納部81の記憶内容を参照することで、例えば候補ジョブリストの中から選択された接続ジョブを通知するために、センター端末5にアクセスすることができる。
【0049】
次に、図8を参照して、被保守端末の構成を説明する。図8は、第1被保守端末7Aの構成を示す機能ブロック図である。なお、第1被保守端末7Aと第2被保守端末7Bの構成は同様であるので、代表して、第1被保守端末7Aの構成を説明する。第1被保守端末7Aは、図8に示すように、インタフェース95と、制御部91と、データベース格納部93と、を備えている。
【0050】
インタフェース95は、プライベートIPアドレスを利用して、LAN17に接続される機器と通信を行うことができる。また、インタフェース95は、グローバルIPアドレスを利用して、WAN3を介した通信を行うことができる。
【0051】
制御部91は、CPU、RAM、ROM等を含んでおり、ROM等から読み出したプログラムにより各種の処理を実行可能である。図8に示すように、制御部91は、ルーティングセッション確立部101と、ルーティング制御部103と、を備えている。
【0052】
ルーティングセッション確立部101は、第1被保守端末7Aと、第1保守端末9A又は第2保守端末9Bと、の間にルーティングセッションを確立する。ルーティング制御部103は、このルーティングセッションを利用して、他のLANに接続される機器との間で通信パケットのルーティング制御を行う。
【0053】
データベース格納部93は、センター端末情報格納部105を備えている。センター端末情報格納部105には、センター端末5の名称とIDとが保存されている。第1被保守端末7Aは、センター端末情報格納部105の記憶内容を参照することにより、例えば保守作業が必要になった旨を通知するために、センター端末5にアクセスすることができる。
【0054】
次に、図9を参照して、本実施形態の中継通信システム1を用いて遠隔保守を行う際の処理の流れについて説明する。
【0055】
以下では、第1被保守対象システム15Aに保守作業が必要となった場合を考える。例えば第1被保守対象システム15Aに障害が発生した場合、第1被保守端末7Aは、障害が発生した旨をセンター端末5に通知する(シーケンス番号1)。
【0056】
センター端末5は、この通知をセンター端末操作端末11に転送して、コールセンターのオペレータOp2に知らせる。コールセンターのオペレータOp2は、障害の内容及び被保守端末の名称等に基づいて、保守を行うことが好ましいオペレータを保守作業の担当者として選択する。ここでは、第1オペレータOp1が選択されたとする。これにより、センター端末5(接続ジョブ作成部45)が、接続ジョブ情報の作成を行う(シーケンス番号2)。
【0057】
作成された接続ジョブ情報は、接続ジョブリスト格納部59に保存されている接続ジョブリスト59aに追加される。即ち、接続ジョブリスト59aの「被保守端末ID」には、第1被保守端末7AのIDが記述され、「担当者ID」には、第1オペレータOp1のIDが記述される。この時点では接続ジョブは未実行なので、この時点での「ステータス」には「未実行」等と記述される。なお、説明の便宜上、上記のようにして作成された接続ジョブ情報を、第1ジョブ情報と呼ぶ。
【0058】
ところで、オペレータが保守作業を行うことによって被保守対象システムが障害から復旧した場合、それ以降はもはや保守作業を行う必要はない。つまり、被保守対象システムで何らかの障害が発生した場合、オペレータが行う保守作業は、通常、単発的なものとなる。このように、被保守対象システムで障害が発生した場合など、単発的に行われる保守作業について接続ジョブ情報を作成する際には、当該保守作業の「属性」として「ワンタイムジョブ」が指定される。
【0059】
また、第1ジョブ情報を接続ジョブリスト59aに追加するのと前後して、センター端末5は、当該第1ジョブ情報を第1被保守端末7Aに対して送信する(シーケンス番号3)。第1被保守端末7Aは、受信した第1ジョブ情報を登録する(シーケンス番号4)。当該第1ジョブ情報には、保守作業を担当するオペレータID(第1オペレータOp1のID)が記載されているので、第1被保守端末7Aは、自身に対してアクセスしてくるオペレータを予め知ることができる。
【0060】
続いて、コールセンターのセンター端末5は、第1オペレータOp1に対して、障害発生につき緊急に遠隔保守を行うべきことを通知する(シーケンス番号5)。当該通知は、様々な方法で行うことができる。例えば、中継通信システム1上でインスタントメッセージサービスが運用されている場合には、当該インスタントメッセージサービスを用いて上記の通知を行うようにすることができる。もっとも、この通知は必ずしもセンター端末5が行う必要はなく、コールセンターのオペレータが電話等の適宜の手段で通知しても良い。
【0061】
上記通知を受けた第1オペレータOp1は、第1保守操作端末23Aを操作することで中継通信システム1にログインを行う(シーケンス番号6)。なお、第1オペレータOp1がログインに利用する保守操作端末は、保守端末に接続されている保守操作端末であれば良く、第1保守操作端末23Aに限定されるわけではない。即ち、第1オペレータOp1は、第2保守操作端末23Bを操作することで第1保守端末9Aから中継通信システム1にログインすることも可能であるし、第3保守操作端末27A又は第4保守操作端末27Bを操作することで第2保守端末9Bから中継通信システム1にログインすることも可能である。
【0062】
前記ログインでは、第1オペレータOp1にログイン情報(IDとパスワード)の入力が求められる。第1オペレータOp1が第1保守操作端末23Aを操作してID(Op1)及びパスワード(abc)を入力して、入力内容を確定させると、当該ログイン情報が第1保守端末9Aを介してセンター端末5に送信される。
【0063】
このログイン情報を受信したセンター端末5(ログイン認証部43)は、ログインの可否を判断する。具体的には、ログイン認証部43は、入力されたID及びパスワードがオペレータリスト53aに登録されており、かつ、ログイン情報を送信した第1保守端末9Aが保守端末リスト55aに登録されている場合に限り、ログインを認証する(シーケンス番号7)。なお、オペレータのログインが成功した場合、センター端末5は、オペレータリスト53aの内容を更新する。具体的には、オペレータリスト53aの第1オペレータOp1に対応する「ログイン中継サーバ」に、第1オペレータOp1のIDと、第1保守端末9AのIDと、を記述する。
【0064】
センター端末5は、第1オペレータOp1がログインした場合、第1ジョブ情報を、第1保守端末9Aに送信する(シーケンス番号8)。これにより、第1保守端末9Aは、接続すべき被保守端末(第1被保守端末7A)のIDを取得できるので、当該被保守端末と通信を開始することができる。具体的には,第1保守端末9A(ルーティングセッション確立部71)は、第1被保守端末7Aに対して、ルーティングセッションの確立要求を行う(シーケンス番号9)。
【0065】
第1被保守端末7A(ルーティングセッション確立部101)は、この要求を受けると、アクセス許可としてのOKレスポンスを返信する(シーケンス番号10)。この結果、第1保守端末9Aと第1被保守端末7Aとの間に、メディアセッションが確立される。
【0066】
メディアセッションの確立の後に、第1保守端末9Aと第1被保守端末7Aは、ルーティング対象であるLAN17及びLAN25のネットワークアドレスを交換する。これにより、ルーティングセッションを介して、第1保守操作端末23Aと、第1被保守対象システム15A又は第2被保守対象システム15Bと、の通信が可能となる。第1保守端末9Aは、ルーティングセッションが確立した旨をセンター端末5に通知する(シーケンス番号11)。センター端末5(接続ジョブリスト管理部49)は、当該通知を受けると、第1ジョブ情報の「ステータス」欄に、「第1オペレータOp1が実行中」等と記述する(シーケンス番号12)。
【0067】
第1保守端末9Aは、第1被保守端末7Aとの間に確立された前記ルーティングセッションを介して、保守が必要なシステム(第1被保守対象システム15A)に対する保守作業を行う(シーケンス番号13)。具体的には、第1オペレータOp1は、第1保守操作端末23Aを操作して、リモートメンテナンス及びソフトウェアの更新等の保守作業を行うことができる。保守作業中において、第1保守端末9Aは、保守作業の状況をセンター端末5に対して随時送信する(シーケンス番号14)。センター端末5(接続ジョブリスト管理部49)は、必要に応じて、該当する接続ジョブ情報の「ステータス」欄を更新する(シーケンス番号15)。
【0068】
保守作業が完了したときには、第1保守端末9Aは、第1被保守端末7Aに対して作業終了を通知し(シーケンス番号16)、通信を切断する(シーケンス番号17)。続いて、第1保守端末9Aは、通信の切断をセンター端末5に通知する(シーケンス番号18)。
【0069】
センター端末5(接続ジョブリスト管理部49)は、通信の切断(即ち、保守作業の完了)の通知を受けると、当該保守作業の属性を判定する。保守作業の属性は、当該保守作業に係る接続ジョブ情報の「属性」欄に記述されている。上記の例の場合、第1ジョブ情報の「属性」欄には、ワインタイムジョブと記述されている。センター端末5(接続ジョブリスト管理部49)は、終了した保守作業の属性がワンタイムジョブと指定されていた場合は、当該保守作業に係る接続ジョブ情報(上記の場合は第1ジョブ情報)を接続ジョブリスト59aから削除する(シーケンス番号19)。
【0070】
以上のように、保守作業の属性にワンタイムジョブを指定しておけば、保守作業が終了すると同時に、当該保守作業に係る接続ジョブ情報は削除される。このように、保守作業が終了した接続ジョブ情報を自動的に削除するように構成することで、必要の無くなった接続ジョブ情報が接続ジョブリストに残り続けることを防止できる。これにより、作業が完了した接続ジョブを、オペレータが誤って(その必要が無いにもかかわらず)再実行してしまうことを防止できる。また、上記のように不要な接続ジョブ情報を削除するようにしておけば、被接続端末に対してオペレータ側から不必要に接続することができなくなるので、セキュリティの面でも好ましい。
【0071】
しかし、このように接続ジョブ情報が毎回削除されてしまうと、保守作業が必要になるたびに接続ジョブ情報を新しく作り直さなければならない。接続ジョブ情報を作成する際には、コールセンターのオペレータが、保守作業を担当するオペレータを選定しなければならないので、接続ジョブ情報を頻繁に作り直さなければならないようではコールセンターのオペレータの負担が大きい。
【0072】
そこで本実施形態の中継通信システム1では、保守作業の属性として、「エニータイムジョブ」を指定することができる。属性としてエニータイムジョブが指定された保守作業にかかる接続ジョブ情報は、当該保守作業が終了しても、接続ジョブリストから削除されない。従って、エニータイムジョブに指定した接続ジョブ情報は、一度作成しておけば後で使い回すことができる。これは、定期メンテナンスなど、同じオペレータが同じ被接続端末に対して何度も接続する必要がある場合に有効である。接続ジョブ情報を使い回すことにより、コールセンターにおいて接続ジョブ情報を毎回作成する手間を削減することができる。
【0073】
以下、具体的に説明する。例えば、第3被保守対象システム19Aの定期メンテナンスの担当者として、第1オペレータOp1と第3オペレータOp3が選定されたとする。この場合、第1オペレータOp1及び第3オペレータOp3は、第2被保守端末7Bに対して定期的に接続しなければならない。従ってこのような場合は、図6に示すように、「被保守端末ID」に第2被保守端末7BのIDを、「担当者ID」として第1オペレータOp1及び第3オペレータOp3を、それぞれ指定した第2ジョブ情報を予め作成しておくとともに、当該第2ジョブ情報の「属性」として「エニータイムジョブ」を指定しておく。
【0074】
次に、図10を参照して、エニータイムジョブが指定された接続ジョブ情報に基づいて遠隔保守作業を行う際の処理の流れについて説明する。
【0075】
以下では、第3オペレータOp3が、第3被保守対象システム19Aの定期メンテナンスを行う場合について考える。
【0076】
まず、第3オペレータOp3は、第3保守操作端末27Aを操作することで、中継通信システム1にログインを行う(シーケンス番号21)。前記ログインでは、第3オペレータOp3にログイン情報(IDとパスワード)の入力が求められる。第3オペレータOp3が第3保守操作端末27Aを操作してID(Op3)及びパスワード(ghi)を入力して、入力内容を確定させると、当該ログイン情報が第2保守端末9Bを介してセンター端末5に送信される。
【0077】
このログイン情報を受信したセンター端末5(ログイン認証部43)は、ログインの可否を判断する。具体的には、ログイン認証部43は、入力されたID及びパスワードがオペレータリスト53aに登録されており、かつ、ログイン情報を送信した第2保守端末9Bが保守端末リスト55aに登録されている場合に限り、ログインを認証する(シーケンス番号22)。
【0078】
センター端末5(担当接続先リスト送信部51)は、第3オペレータOp3がログインしたときには、当該第3オペレータOp3の担当接続先リストを作成して、第2保守端末9Bに送信する(シーケンス番号23)。例えば接続ジョブリストの内容が図6の場合、第2ジョブ情報(被保守端末の名称はB会社)と第3ジョブ情報(被保守端末の名称はC会社)において、第3オペレータOp3が担当者として指定されている。この場合、担当接続先リスト送信部51は、「B会社」と「C会社」を要素とする担当接続先リストを作成し、第2保守端末9Bに送信する。
【0079】
第2保守端末9Bは、受信した担当接続先リストを、第3オペレータOp3が操作している第3保守操作端末27Aに送信する。第3保守操作端末27Aは、受信した担当接続先リストに含まれている被保守端末の名称の一覧を、画面に表示する。これにより、第3オペレータOp3に対して、当該第3オペレータが遠隔保守作業の担当者として接続すべき被保守端末の名称(図6の場合はB会社とC会社)を通知することができる。
【0080】
第3オペレータOp3は、第3保守操作端末27Aの画面に表示された被保守端末の名称の中から、接続を希望する名称を選択する(シーケンス番号24)。このとき、第3保守操作端末27Aの画面には、第3オペレータOp3が遠隔保守の担当者として指定されている被保守端末の名称のみが表示されているので、担当外の被保守端末が誤って選択されてしまうおそれはない。
【0081】
ここでは、第3オペレータOp3が、「B会社」(第2被保守端末7Bの名称)を選択したものとして説明する。第3オペレータOp3が、接続する被保守端末の名称を選択し、その選択を確定させると、第2保守端末9Bは、当該選択内容(「B会社」)をセンター端末5に送信する。センター端末5は、第3オペレータOp3による選択内容に対応した接続ジョブ情報(上記の場合は第2ジョブ情報)を、接続ジョブリスト59aから抽出する(シーケンス番号25)。
【0082】
続いてセンター端末5は、当該第2ジョブ情報を第2被保守端末7Bに対して送信する(シーケンス番号26)。第2被保守端末7Bは、受信した第2ジョブ情報を登録する(シーケンス番号27)。当該第2ジョブ情報には、保守作業を担当するオペレータID(第1オペレータOp1及び第3オペレータOp3のID)が記載されているので、第2被保守端末7Bは、自身に対してアクセスしてくるオペレータを予め知ることができる。
【0083】
更に、センター端末5は、前記第2ジョブ情報を、第2保守端末9Bに送信する(シーケンス番号28)。これにより、第2保守端末9Bは、接続すべき被保守端末(第2被保守端末7B)のIDを取得できるので、当該被保守端末と通信を開始することができる。具体的には、第2保守端末9B(ルーティングセッション確立部71)は、第2被保守端末7Bに対して、ルーティングセッションの確立要求を行う(シーケンス番号29)。
【0084】
第2被保守端末7B(ルーティングセッション確立部101)は、この要求を受けると、アクセス許可としてのOKレスポンスを返信する(シーケンス番号30)。この結果、第2保守端末9Bと第2被保守端末7Bとの間に、メディアセッションが確立される。
【0085】
メディアセッションの確立の後に、第2保守端末9Bと第2被保守端末7Bは、ルーティング対象であるLAN21及びLAN29のネットワークアドレスを交換する。これにより、ルーティングセッションを介して、第3保守操作端末27Aと、第3被保守対象システム19A又は第4被保守対象システム19Bと、の通信が可能となる。第2保守端末9Bは、ルーティングセッションが確立した旨をセンター端末5に通知する(シーケンス番号31)。センター端末5(接続ジョブリスト管理部49)は、当該通知を受けると、第2ジョブ情報の「ステータス」欄に、「第3オペレータOp3が実行中」等と記述する(シーケンス番号32)。
【0086】
第2保守端末9Bは、第2被保守端末7Bとの間に確立された前記ルーティングセッションを介して、保守が必要なシステム(第3被保守対象システム19A)に対する保守作業を行う(シーケンス番号33)。具体的には、第3オペレータOp3は、第3保守操作端末27Aを操作して、リモートメンテナンス及びソフトウェアの更新等の保守作業を行うことができる。保守作業中において、第2保守端末9Bは、保守作業の状況をセンター端末5に対して随時送信する(シーケンス番号34)。センター端末5(接続ジョブリスト管理部49)は、必要に応じて、該当する接続ジョブ情報の「ステータス」欄を更新する(シーケンス番号35)。
【0087】
保守作業が完了したときには、第2保守端末9Bは、第2被保守端末7Bに対して作業終了を通知し(シーケンス番号36)、通信を切断する(シーケンス番号37)。続いて、第2保守端末9Bは、通信の切断をセンター端末5に通知する(シーケンス番号38)。
【0088】
センター端末5(接続ジョブリスト管理部49)は、通信の切断(即ち、保守作業の完了)の通知を受けると、当該保守作業の属性を判定する。保守作業の属性は、当該保守作業に係る接続ジョブ情報の「属性」欄に記述されている。上記の例の場合、第2ジョブ情報の「属性」欄には、エニータイムジョブと記述されている。センター端末5(接続ジョブリスト管理部49)は、終了した保守作業の属性がエニータイムジョブと指定されていた場合は、当該保守作業が終わると、接続ジョブ情報(上記の場合は第2ジョブ情報)の「ステータス」を更新する(シーケンス番号39)。例えば上記の場合において、当該保守作業を行ったのが4月2日だったとした場合、第2ジョブ情報のステータス欄に「4月2日に第3オペレータOp3が実行済み」などと記載する。
【0089】
以上のように、保守作業の属性としてエニータイムジョブを指定しておけば、接続ジョブ情報は保守作業終了後も削除されずに残る。これにより、次回保守作業を行う際に、接続ジョブ情報を使い回すことができる。
【0090】
以上で説明したように、本実施形態の中継通信システム1は、オペレータが操作する保守操作端末が接続される保守端末と、オペレータの保守作業の対象となる被保守対象システムが接続される被保守端末と、センター端末5と、を含んで構成されている。センター端末5は、接続ジョブリスト格納部59と、接続ジョブリスト管理部49と、を備える。接続ジョブリスト格納部59は、接続ジョブ情報を格納する。接続ジョブ情報は、オペレータが接続して保守作業を行うべき被接続端末を指定するとともに、当該保守作業がワンタイムジョブ及びエニータイムジョブの何れか一方であることを指定可能である。接続ジョブリスト管理部49は、接続ジョブ情報に係る保守作業をオペレータが完了した際、当該接続ジョブ情報でワンタイムジョブが指定されていた場合には当該接続ジョブ情報を前記接続ジョブリスト格納部59から削除する。また接続ジョブリスト管理部49は、接続ジョブ情報にかかる保守作業をオペレータが完了した際、当該接続ジョブ情報でエニータイムジョブが指定されていた場合には当該接続ジョブ情報を削除しない。
【0091】
即ち、接続ジョブ情報でワンタイムジョブを指定しておけば、作業終了とともに不要になった接続ジョブ情報を自動的に削除することができる。一方、接続ジョブ情報でエニータイムジョブを指定しておけば、作業が終了しても接続ジョブ情報が削除されないので、当該接続ジョブ情報をあとで使い回すことができる。従って、例えば定期メンテナンスのように何度も作業を繰り返すことがわかっている場合には、エニータイムジョブを指定して接続ジョブ情報を使い回すことにより、接続ジョブ情報を毎回作成する手間を削減することができる。
【0092】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態と同一又は類似の構成については、上記実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0093】
この変形例に係る接続ジョブリスト59bを、図11に示す。図11に示すように、この変形例においては、接続ジョブリスト59bに「有効期限」「有効化条件」の2つの項目が付加されている。
【0094】
「有効期限」には、エニータイムジョブが指定された接続ジョブ情報の有効期限を指定する。即ち、上記実施形態では、エニータイムジョブが指定された接続ジョブ情報は、削除されることなく残り続ける。しかしながら、この構成では、例えば定期メンテナンスが廃止された場合であっても延々と接続ジョブ情報が残存してしまう。また、同じ接続ジョブ情報をいつまでも使い回すようではセキュリティ上の問題もある。そこで、接続ジョブ情報にエニータイムジョブが指定された場合には、当該接続ジョブ情報の有効期限を設定できるようにしたものである。接続ジョブリスト管理部49は、設定された有効期限が到来したときに、その接続ジョブ情報を接続ジョブリスト59aから削除する。
【0095】
また「有効化条件」は、エニータイムジョブが指定された接続ジョブ情報が有効化される条件を指定することができるものである。例えば、毎週月曜日に定期メンテナンスを実行する必要がある場合は、「毎週月曜日」というように有効化条件を指定すれば、その接続ジョブ情報は毎週月曜日にのみ有効化され、それ以外のときには無効化される。担当接続先リスト送信部51は、担当接続先リストを作成する際(図10のシーケンス番号23)、有効化されている接続ジョブ情報に係る被保守端末の名称のみを、保守操作端末に送信する。即ち、有効化されている被保守端末のみが、オペレータに通知される。例えば、図11の場合、月曜日に第3オペレータOp3がログインしたときにのみ、「B会社」が第3オペレータOp3に通知される。これにより、第3オペレータOp3は、月曜日の定期メンテナンスを忘れてしまうことがない。
【0096】
以上のように、この変形例に係るセンター端末5においては、接続ジョブ情報でエニータイムジョブを指定する場合、当該接続ジョブ情報の有効期限を指定可能である。そして接続ジョブリスト管理部49は、有効期限を過ぎた接続ジョブ情報を接続ジョブリスト格納部59から削除する。
【0097】
このように接続ジョブ情報の有効期限を指定することにより、当該接続ジョブ情報がいつまでも残ってしまうことを防止できるので、セキュリティを強固なものにすることができる。
【0098】
また、この変形例に係るセンター端末5においては、接続ジョブ情報でエニータイムジョブを指定する場合、所定の条件を満たした場合のみ当該接続ジョブ情報が有効化されるように指定可能である。
【0099】
例えば、定期メンテナンスのように特定の間隔で作業を行うことがわかっている場合には、「毎週月曜日にのみ有効」等と条件指定しておくことができる。
【0100】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0101】
中継通信システム1を構成する被保守端末及び保守端末の台数は上記実施形態に限定されず、それぞれ1台であっても良いし、3台以上であっても良い。また、被保守端末に接続される被保守対象システム、及び、保守端末に接続される保守操作端末の台数は上記実施形態に限定されず、それぞれ1台であっても良いし、3台以上であっても良い。
【0102】
上記の第1保守端末9A及び第2保守端末9Bは、パーソナルコンピュータに着脱可能に取り付けられるメモリ及び当該メモリに保存されたアプリケーションであっても良い。
【0103】
上記のオペレータリスト53a、保守端末リスト55a、被保守端末リスト57a、接続ジョブリスト59aは、適宜の形式(例えばXML形式)で格納することができる。
【0104】
上記実施形態の構成に代えて、各中継サーバ間での通信に用いられる外部サーバをインターネット上に設置し、SIP(Session Initiaion Protocol)サーバとしての機能を発揮させて通信を行う構成にしても良い。
【符号の説明】
【0105】
1 中継通信システム
5 センター端末(管理機能付き中継サーバ)
7A 第1被保守端末(被作業側中継サーバ)
7B 第2被保守端末(被作業側中継サーバ)
9A 第1保守端末(作業者側中継サーバ)
9B 第2保守端末(作業者側中継サーバ)
15A 第1被保守対象システム(被作業側システム)
15B 第2被保守対象システム(被作業側システム)
23A 第1保守操作端末(操作端末)
23B 第2保守操作端末(操作端末)
49 接続ジョブリスト管理部(接続ジョブ情報管理部)
59 接続ジョブリスト格納部(接続ジョブ情報格納部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が接続して作業を行うべき被作業側中継サーバを指定するとともに、当該作業がワンタイムジョブ及びエニータイムジョブの何れか一方であることを指定可能な接続ジョブ情報を格納する接続ジョブ情報格納部と、
前記接続ジョブ情報に係る作業を前記作業者が完了した際、当該接続ジョブ情報でワンタイムジョブが指定されていた場合には当該接続ジョブ情報を前記接続ジョブ情報格納部から削除し、当該接続ジョブ情報でエニータイムジョブが指定されていた場合には当該接続ジョブ情報を削除しない接続ジョブ情報管理部と、
を備えることを特徴とする管理機能付き中継サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の管理機能付き中継サーバであって、
前記接続ジョブ情報でエニータイムジョブを指定する場合、当該接続ジョブ情報の有効期限を指定可能であり、
前記接続ジョブ情報管理部は、有効期限を過ぎた接続ジョブ情報を前記接続ジョブ情報格納部から削除することを特徴とする管理機能付き中継サーバ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の管理機能付き中継サーバであって、
前記接続ジョブ情報でエニータイムジョブを指定する場合、所定の条件を満たした場合のみ当該接続ジョブ情報が有効化されるように指定可能であることを特徴とする管理機能付き中継サーバ。
【請求項4】
作業者が操作する操作端末が接続される作業者側中継サーバと、
前記作業者の作業の対象となる被作業側システムが接続される被作業側中継サーバと、
管理機能付き中継サーバと、
を含んで構成される中継通信システムであって、
前記管理機能付き中継サーバは、
作業者が接続して作業を行うべき被作業側中継サーバを指定するとともに、当該作業がワンタイムジョブ及びエニータイムジョブの何れか一方であることを指定可能な接続ジョブ情報を格納する接続ジョブ情報格納部と、
前記接続ジョブ情報に係る作業を前記作業者が完了した際、当該接続ジョブ情報でワンタイムジョブが指定されていた場合には当該接続ジョブ情報を前記接続ジョブ情報格納部から削除し、当該接続ジョブ情報でエニータイムジョブが指定されていた場合には当該接続ジョブ情報を削除しない接続ジョブ情報管理部と、
を備えることを特徴とする中継通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−221052(P2012−221052A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83829(P2011−83829)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】