説明

管理装置およびそれを備えたエネルギー管理システム

【課題】省エネルギーを喚起する情報をテレビ受像機に表示させるだけでなく、ユーザに省エネルギーのための具体的な行動を期待できる管理装置およびそれを備えたエネルギー管理システムを提供する。
【解決手段】管理装置2は、テレビ3でコンテンツを視聴中に情報提示部21が特定の提示情報をテレビ3に表示させることをトリガにして、テレビ3で視聴中のコンテンツを録画するための録画指示を発生する録画依頼部20を有している。テレビ3は、コンテンツを録画するための録画装置33を具備しており、管理装置2から録画指示を受信すると、現在視聴中のコンテンツを録画装置33に録画させる処理を実行する。そのため、テレビ3は、管理装置2から特定の提示情報を受信した場合には、提示情報の表示に併せて、現在視聴中のコンテンツを録画装置33に録画することになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の使用状況等に関連した情報をテレビ受像機に表示させる管理装置およびそれを備えたエネルギー管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気機器の消費電力を測定した測定値または電力量計で計量した計量値等のデータを、テレビ受像機(テレビ)に表示させる装置(消費電力等表示装置)が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の構成では、電気機器の消費電力等を宅内にあるテレビに表示させるので、テレビを見ようとするユーザ(電気使用者)は、テレビ画面に表示されるデータによって電気使用状況を知ることができ、省エネルギー意識を喚起される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−151614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した装置を導入した場合、テレビ受像機に表示されるデータによって省エネルギー意識を喚起されたユーザが、手近なテレビ受像機をオフ(映像出力、音声出力を停止)することによって、省エネルギー化(消費電力の抑制)を図ることが考えられる。しかし、ユーザにとって見逃したくないテレビ番組の放送中であれば、たとえば電力需要ピーク時に省エネルギー意識を喚起されたとしても、ユーザがテレビ番組の視聴を継続してしまうことがある。その結果、上述した装置では、ユーザは、電力需要のピークカット、ピークシフトといった省エネルギーのための具体的な行動にまで至らない可能性がある。
【0006】
本発明は上記事由に鑑みて為されており、省エネルギーを喚起する情報をテレビ受像機に表示させるだけでなく、ユーザに省エネルギーのための具体的な行動を期待できる管理装置およびそれを備えたエネルギー管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の管理装置は、テレビ受像機との間で通信を行うテレビ通信部と、少なくとも電力の使用状況を含むエネルギー関連情報を取得する情報取得部と、前記エネルギー関連情報に基づく提示情報を前記テレビ受像機に表示させる情報提示部と、前記テレビ受像機でコンテンツを視聴中に前記情報提示部が特定の前記提示情報を前記テレビ受像機に表示させることをトリガにして、前記テレビ受像機で視聴中のコンテンツを録画装置に録画させるための録画指示を発生する録画依頼部とを有することを特徴とする。
【0008】
この管理装置において、前記録画指示の発生時に、前記テレビ受像機で視聴中のコンテンツの種別が予め設定されている録画条件に合致するか否かを判定し、合致しなければ前記録画指示を無効にする選別部をさらに有することが望ましい。
【0009】
この管理装置において、前記エネルギー関連情報は使用可能な電力の情報を含んでおり、前記エネルギー関連情報に基づいて前記テレビ受像機におけるコンテンツの視聴に必要な電力以上の余剰電力が発生しているか否かを判定し、前記余剰電力が発生していると判定したときにユーザへの通知を行う余剰通知部をさらに有することがより望ましい。
【0010】
この管理装置において、時間帯によって異なる電気料金単価の情報を前記時間帯と組み合わせて料金情報として記憶している料金情報記憶部と、現在時刻を計る時計部と、前記料金情報および前記現在時刻に基づいて現在の前記電気料金単価が所定値以下か否かを判定し、前記所定値以下であると判定したときにユーザへの通知を行う低料金通知部とをさらに有することがより望ましい。
【0011】
この管理装置において、前記トリガを受けて、前記エネルギー関連情報に基づいて稼働中の電気機器の中から前記テレビ受像機におけるコンテンツの視聴に必要な電力との消費電力の差が小さい順に少なくとも1つの電気機器を検索し、当該電気機器を示す代替情報を前記テレビ受像機に表示させる代替表示部をさらに有することがより望ましい。
【0012】
本発明のエネルギー管理システムは、上記管理装置と、当該管理装置との間で通信可能な前記テレビ受像機と、前記管理装置からの前記録画指示を受けて前記テレビ受像機で視聴中のコンテンツを録画する前記録画装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、省エネルギーを喚起する情報をテレビ受像機に表示させるだけでなく、ユーザに省エネルギーのための具体的な行動を期待できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1に係るエネルギー管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態1に係るエネルギー管理システムの概略システム構成図である。
【図3】実施形態2に係るエネルギー管理システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態1)
本実施形態のエネルギー管理システムは、エネルギーの使用状況や発生状況や単価など、エネルギーに関連する情報をユーザに通知するために用いられる。以下では、エネルギー管理システムが一般住宅に用いられており、管理対象のエネルギーが電力(電気エネルギー)である場合を例として説明する。
【0016】
このエネルギー管理システム1は、図2に示すように、管理装置2と、テレビ受像機(以下、「テレビ」と略称する)3とを備えている。詳しくは後述するが、管理装置2は、エネルギー関連情報に基づく提示情報をテレビ3に表示させる機能を有している。ここでいうエネルギー関連情報(以下、「関連情報」と略称する)は、エネルギー(ここでは電力)の使用状況や発生状況や単価など、エネルギーに関連する情報であって、少なくとも電力の使用状況を含んでいる。
【0017】
図2では、商用電源の引込線(図示せず)に接続された分電盤4が住宅に設けられ、分電盤4には、引込線が接続される主幹ブレーカ(図示せず)と、主幹ブレーカの二次側から分岐する複数の電路の各々に挿入される分岐ブレーカ(図示せず)とが設けられている。各分岐ブレーカの二次側には屋内配線41を介して負荷(図示せず)が接続される。ここでいう負荷には、屋内配線41に接続される種々の電気機器の他、コンセント、壁スイッチ等の配線器具を含む。
【0018】
さらに、本実施形態では太陽電池を具備する太陽光発電設備(図示せず)が住宅に設けられており、太陽光発電設備と電力会社から供給される商用電力系統とで系統連系が行われる。太陽光発電設備は、パワーコンディショナ(図示せず)を具備しており、太陽電池で生成された直流電力をパワーコンディショナのインバータ回路にて交流電力に変換して出力する。パワーコンディショナは、分電盤4に設けられ主幹ブレーカの二次側に接続された連系ブレーカ(図示せず)に接続されている。これにより、太陽光発電設備で発生した電力は、分電盤4を介して負荷に供給され、負荷で消費される電力を太陽光発電設備の出力のみで賄えない場合には、商用電力系統から負荷へ電力供給される。
【0019】
また、太陽光発電設備で生成される電力が全ての負荷で消費される電力の合計よりも大きければ、太陽光発電設備で生じた電力の余剰分(以下、「余剰電力」という)は、商用電力系統に逆潮流されて電力会社に売電される。つまり、余剰電力の発生時、パワーコンディショナは、余剰電力の電圧を商用電力系統よりも高くすることによって逆潮流を行う。
【0020】
なお、パワーコンディショナには蓄電池(図示せず)が接続されていてもよく、この場合、パワーコンディショナは蓄電池の充電および放電の制御を行う。つまり、パワーコンディショナは、たとえば昼間に太陽電池の出力によって蓄電池を充電し、夜間には蓄電池に蓄積された電力をインバータ回路にて交流電力に変換して出力する。
【0021】
また、エネルギー管理システム1は、負荷に供給されている電流を検出するセンサ部(図示せず)と、センサ部の出力を受けて、負荷に供給されている電力を計測する計測装置5とを備えている。ここでは、計測装置5は、負荷に供給されている電力の瞬時値(瞬間消費電力)と、電力量との両方を計測する。センサ部は、分電盤4内において主幹ブレーカ、各分岐ブレーカの二次側(屋内配線41側)に挿入されている。計測装置5は各センサ部に接続され、センサ部ごとに(つまりブレーカごとに)負荷に供給される電力の瞬時値および積算値を求め、当該積算値を電力量として計測する。
【0022】
さらに、センサ部はパワーコンディショナに設けられていてもよい。この場合、計測装置5は、パワーコンディショナのセンサ部の出力を受けて、太陽電池で発電された電力量(発電量)や、蓄電池の残りの電力量(残容量)などを計測することができる。このように計測装置5で計測される電力(瞬時電力、電力量)は、住宅におけるエネルギーに関連する関連情報であって、計測装置5は、関連情報を管理装置2に提供する情報提供装置として機能する。なお、計測装置5は分電盤4と並べて設置されるが、この構成に限らず、計測装置5は他の内器(主幹ブレーカや分岐ブレーカ)と一緒に分電盤4内に収納されていてもよい。
【0023】
管理装置2は、図1に示すように、提示情報をテレビ3に提供してテレビ2に表示させる処理を行う情報提示部21と、提示情報等が記憶された提示情報記憶部22と、テレビ3との間で通信を行うテレビ通信部23とを有している。
【0024】
情報提示部21は、後述の判定部27からの要求を受けて、提示情報記憶部22から提示情報を読み出してテレビ3に提供することによって、提示情報をテレビ3に表示させる。ここでは、情報提示部21が提示情報を提供するWebサーバとして機能し、テレビ3が情報提示部21から提供される提示情報を閲覧するためのWebブラウザとして機能する。
【0025】
テレビ3は、管理装置2から提供された提示情報を画面の一部(たとえば右下の隅)に表示する。具体的には、テレビ3はたとえばテレビジョン放送を受信して表示する視聴中のコンテンツの一部に重なるように提示情報を表示する。ここでいうコンテンツは、ユーザに視聴させる目的でテレビ3が表示している映像であって、テレビジョン放送だけでなく、外部機器(DVD再生機やゲーム機など)からテレビ3への入力によって表示される映像も含んでいる。なお、提示情報の表示形態は上記形態に限らず、たとえば視聴中のコンテンツを縮小し、このコンテンツと並べて提示情報が表示される形態であってもよい。あるいは、一時的にコンテンツの表示を中断して、テレビ3の全画面に提示情報が表示されてもよい。
【0026】
管理装置2は、計測装置5の計測結果を関連情報として取得する情報取得部24と、取得した関連情報を記憶する関連情報記憶部25と、計測装置5との間で通信を行う計測通信部26とをさらに有している。
【0027】
情報取得部24は、定期的(たとえば5分ごと)に関連情報を取得し、取得した関連情報を時系列に従って関連情報記憶部25に格納する。関連情報記憶部25には、下記表1に例示するように、負荷を特定するための「回路ID」ごとに、「回路名」と、関連情報(表1では「瞬時消費電力」)と、計測日時(表1では「計測タイムスタンプ」)とが対応付けて記憶される。
【0028】
【表1】


すなわち、表1では、たとえば回路IDが「CI001」である主幹回路について、2011年2月18日14時15分の時点で、1500Wの電力(瞬時値)が消費されていたことを表している。
【0029】
本実施形態では、管理装置2は、テレビ3、計測装置5と共に、住宅内において汎用の通信プロトコルを利用したLAN(Local Area Network)を構築する。テレビ3と管理装置(テレビ通信部23)2との間、並びに計測装置5と管理装置(計測通信部26)2との間は、LANケーブルによって有線接続されていてもよいし、無線LANによって無線接続されていてもよい。本実施形態では、一例としてテレビ3と管理装置2との間は有線接続とし、計測装置5と管理装置2との間は無線接続とする(図2参照)。なお、これらの接続形態はLAN接続に限らず、たとえばテレビ3と管理装置(テレビ通信部23)2との間はHDMI(High-DefinitionMultimedia Interface)等の規格に準じた接続形態であってもよい。
【0030】
また、管理装置2は、関連情報が所定の判定条件を満たすか否かを判定する判定部27と、判定条件が記憶された条件記憶部28とをさらに有している。
【0031】
判定部27は、関連情報記憶部25から読み出した関連情報を、条件記憶部28から読み出した判定条件と照らし合わせることにより、関連情報が判定条件を満たすか否かを判定する。条件記憶部28には複数の判定条件が予め記憶されている。判定部27は、情報取得部24が関連情報を取得する度に判定を行い、関連情報が判定条件を満たすと判定した場合、情報提示部21に要求(送信要求)を出すことにより情報提示部21に提示情報を表示するための処理を実行させる。条件記憶部28には、下記表2に例示するように、判定条件を特定するための「条件ID」ごとに、判定条件を示す「条件文」と、条件文の内容を文章で記述した「備考」とが対応付けて記憶される。
【0032】
【表2】


すなわち、表2の例では、たとえば回路IDが「CI001」で特定される負荷の消費電力(瞬時値)が2000Wを超えたときに、判定部27は条件IDが「CO001」である判定条件を満たした(つまり、関連情報が判定条件に合致した)と判定する。
【0033】
判定部27から情報提示部21に出力される送信要求には、判定部27にて合致すると判定された判定条件を特定する条件IDが含まれ、情報提示部21は、この条件IDに対応する提示情報を提示情報記憶部22から読み出してテレビ3に提供する。つまり、提示情報記憶部22においては提示情報が条件IDに対応付けて提示情報テーブルとして記憶されており、情報提示部21は、送信要求に含まれる条件IDに対応する提示情報をテレビ3に提供する。提示情報テーブルとしては、下記表3に例示するように、提示情報を特定するための「メッセージID」ごとに、「条件ID」と、提示情報の内容を示す「メッセージ用文言」と、提示情報の表示形式を示す「提示情報タイプ」とが対応付けて記憶される。さらに、提示情報テーブルには、「メッセージID」ごとに、「1」または「0」からなる「録画要否」が対応付けて記憶されているが、「録画要否」については後に詳しく説明する。
【0034】
【表3】


すなわち、表3の例では、たとえば条件IDが「CO005」である判定条件を満たしたとき、情報提示部21は、「太陽光の発電が開始されました」というテキストからなる提示情報(メッセージIDが「ME002」の提示情報)をテレビ3に提供する。
【0035】
また、判定部27から情報提示部21に出力される送信要求には、条件IDの他、判定条件に合致した関連情報および負荷を特定する回路IDなどが含まれていてもよい。この場合、情報提示部21は、たとえば送信要求に含まれる関連情報および回路IDを用いることにより、負荷ごとに現在の消費電力や当日の消費電力量を表す提示情報を生成しテレビ3に提供することも可能である。このように関連情報に基づいて生成される提示情報は、テキストに加えて、現在の消費電力等を表すグラフを含んでいてもよい。
【0036】
なお、管理装置2は、蓄電池の充放電の制御、並びに各負荷のオンオフ制御についても可能に構成されていてもよいが、管理装置2によるこれらの制御についての詳細な説明は省略する。管理装置2の主な機能である情報提示部21、情報取得部24、判定部27は、マイコン(マイクロコンピュータ)を主体として実現される。
【0037】
テレビ3は、管理装置2のテレビ通信部23との間で通信を行う装置通信部31と、提示情報を表示する表示制御部32とを備えており、管理装置2から送信された提示情報を含む通信データを装置通信部31にて受信する。テレビ3は、装置通信部31にて通信データが受信されると、同通信データに含まれている提示情報を表示制御部32にて表示する。
【0038】
ところで、本実施形態の管理装置2は、テレビ3でコンテンツを視聴中に情報提示部21が特定の提示情報をテレビ3に表示させることをトリガにして、テレビ3で視聴中のコンテンツを録画するための録画指示を発生する録画依頼部20をさらに有している。図1の例では、テレビ3がコンテンツを録画するための録画装置33を具備しており、録画依頼部20は、テレビ3に対して録画指示を送信することによって、テレビ3内の録画装置33に視聴中のコンテンツを録画させる。
【0039】
具体的には、録画依頼部20は、上述したように提示情報記憶部22内の提示情報テーブルにおいてメッセージIDごとに対応付けられている録画要否(「1」または「0」)によって、録画指示を送信するか否かを決定する。ここで、上記表3の「録画要否」の「1」は録画の必要があることを表しており、「録画要否」の「0」は録画の必要がないことを表している。情報提示部21は、判定部27から送信要求を受けて条件IDに対応する提示情報を提示情報記憶部22から読み出す際、提示情報と共に条件IDに対応付する録画要否を読み出す。録画依頼部20は、情報提示部21が読み出した録画要否によって録画の要否を判断し、録画が必要な場合(つまり録画要否が「1」の場合)にのみ、録画指示を送信する。
【0040】
つまり、提示情報テーブルに記憶されている複数の提示情報のうち、録画要否「1」に対応付けられた条件IDの提示情報が、録画指示のトリガとなる特定の提示情報(以下、「特定情報」という)である。本実施形態では、特定情報は、たとえば負荷回路の消費電力が上限を超えそうである旨のメッセージなど、ユーザに対して省エネルギーを喚起する提示情報である。上記表3の例では、「回路[X]の消費電力が上限を超えそうです」というテキストからなる提示情報(メッセージIDが「ME002」の提示情報)が特定情報となる。録画依頼部20は、テレビ3でコンテンツを視聴中に情報提示部21が特定情報をテレビ3に提供することをトリガにして、録画指示を発生しテレビ3に対して送信する。なお、録画依頼部20からの録画指示は、テレビ通信部23および装置通信部31を用いて提示情報(特定情報)と共にテレビ3に送信される。
【0041】
テレビ3は、管理装置2から録画指示を受信すると、現在視聴中のコンテンツを録画装置33に録画させる処理を実行する。そのため、テレビ3は、管理装置2から特定情報を受信した場合には、提示情報の表示に併せて、現在視聴中のコンテンツを録画装置33に録画することになる。ここで、テレビ3は、録画装置33にてコンテンツの録画を開始したときに、録画を開始した旨および録画対象のコンテンツの概要(番組名など)を、提示情報と同じ方法で表示する。
【0042】
録画装置33は、視聴中のコンテンツをEPG(電子番組ガイド)やテレビジョン放送の受信信号に含まれるデータに基づいて識別し、視聴中のコンテンツが終了すると録画を自動的に終了する。本実施形態では、録画装置33は、大容量で且つ繰返し録画可能なハードディスク装置が用いられている。録画装置33は、ハードディスクにメモリを併用していてもよく、この場合、視聴中のコンテンツの過去数分のデータをメモリに常時記録し、録画指示を受けると、メモリに記録してある過去数分のデータまで遡ってハードディスクに録画する。これにより、録画装置33は、録画指示があった時点より前に遡って録画を開始することができる。なお、テレビ3はオフ(映像出力、音声出力が停止)している状態でも、録画装置33にてコンテンツを録画することができる。
【0043】
録画装置33は、上述したように管理装置2からの録画指示を受けて録画したコンテンツについては、録画指示によって自動的に録画されたことを表す自動録画タグを付けて管理する。そのため、録画指示を受けて録画装置33が録画したコンテンツを後からユーザが再生(視聴)する場合には、自動録画タグが付いたコンテンツを再生すればよい。
【0044】
ここで、録画装置はテレビ3と一体の構成に限らず、テレビ3と別体に設けられていてもよい。録画装置がテレビ3と別体である場合、録画装置は一般的なレコーダーの他、ホームサーバなどであってもよく、テレビ3と録画装置との間はたとえばLAN接続や、HDMI等の規格に準じた接続形態で接続される。この場合、管理装置2から録画指示を受けたテレビ3が録画装置に対して信号を送信して録画装置を操作してもよいし、管理装置2がテレビ3ではなく録画装置に録画信号を直接送信してもよい。
【0045】
以上説明した構成の管理装置2によれば、エネルギー(電力)に関連する関連情報に基づく提示情報が、プッシュ方式でテレビ3に表示されるので、ユーザはテレビ3の画面を見てエネルギーに関連する情報を得ることができる。この種の提示情報を表示する場合、即時性は重要ではないが、ユーザの視界に入りやすい位置に表示することが求められる。そのため、提示情報を表示する媒体として、ユーザの視界に入りやすいテレビ3が適している。
【0046】
ここで、テレビ3に表示された提示情報を見て省エネルギーを喚起されたユーザが、手近なテレビ3をオフ(映像出力、音声出力を停止)することによって、省エネルギー化(消費電力の抑制)を図ることが考えられる。しかし、ユーザにとって見逃したくないテレビ番組等の放送中であれば、省エネルギー意識を喚起されたとしても、ユーザがテレビ番組の視聴を継続してしまうことがある。この点について、本実施形態の管理装置2は、テレビ3でコンテンツを視聴中に情報提示部21が特定の提示情報をテレビ3に表示させることをトリガにして、テレビ3で視聴中のコンテンツを録画するための録画指示を発生する録画依頼部20を有している。
【0047】
すなわち、本実施形態の管理装置2では、省エネルギーを喚起するような提示情報をテレビ3に表示させる場合、録画依頼部20からの録画指示によって、視聴中のコンテンツ(テレビ番組)を録画装置33に録画させることができる。したがって、ユーザは、テレビ3でコンテンツを視聴中に、テレビ3に表示された提示情報を見て省エネルギーを喚起されると、現在視聴中のコンテンツを見逃す心配なく、テレビ3をオフ(映像出力、音声出力を停止)して省エネルギー化を図ることができる。
【0048】
言い換えれば、ユーザは、テレビ3に表示された特定の提示情報(特定情報)を見てテレビ3をオフしたとしても、そのとき視聴中のコンテンツについては録画装置33に自動的に録画されるので、後で視聴することができる。要するに、ユーザは、見逃したくないテレビ番組等を視聴する時間帯を、たとえば電力需要のピーク時などから電力需要の低い時間帯(電力に余裕のある時間帯)にシフトすることができる。その結果、本実施形態の管理装置2によれば、電力需要のピークカット、ピークシフトといった省エネルギーのための具体的な行動をユーザに期待できるという利点がある。
【0049】
また、提示情報の種類によってはユーザが省エネルギーを喚起されずテレビ3をオフ(映像出力、音声出力を停止)するに至らないこともあるので、管理装置2は、この種の提示情報の表示時にまで、視聴中のコンテンツを自動的に録画することは不要である。この点、本実施形態では、提示情報ごとに録画要否が設定されることによって、省エネルギーを喚起する特定の提示情報(特定情報)のみを録画指示のトリガとして用いているので、無駄な録画をなくすことができる。
【0050】
また、本実施形態では、管理装置2は提示情報をテレビ3に表示させるだけで、テレビ3をオフする操作についてはユーザが任意に行っているが、これに限らず、管理装置2がテレビ3をオフする処理まで自動的に行ってもよい。この場合、管理装置2は、録画指示に併せて、テレビ3に対してオフ(映像出力、音声出力を停止)するための制御信号を送信し、この制御信号によってテレビ3を強制的にオフする。これにより、管理装置2は、ユーザがテレビ3に表示される提示情報(特定情報)を見逃していても、テレビ3をオフすることで確実に省エネルギー化を図ることができる。
【0051】
さらにまた、録画装置33は、録画依頼部20からの録画指示を受けてすぐに録画を開始する構成に限らず、録画指示を受けて一定期間内にテレビ3がオフ(映像出力、音声出力を停止)したときに録画を開始するように構成されていてもよい。この構成では、提示情報(特定情報)を見たユーザが、テレビ3をオフした場合にのみ、視聴中のコンテンツが録画装置33に録画されることになる。したがって、提示情報(特定情報)を見たユーザが、仮に、省エネルギーよりもテレビ3でのコンテンツの視聴を優先して、テレビ3の視聴を継続するような場合、録画装置33での録画は行われない。
【0052】
ところで、図1の例では、管理装置2は、録画依頼部20での録画指示の発生時に、実際に録画装置33に録画させるか否かをテレビ3で視聴中のコンテンツの種別に応じて決定する選別部29をさらに備えている。選別部29は、録画指示の発生時、テレビ3で視聴中のコンテンツの種別が、予め設定されている録画条件に合致するか否かを判定し、合致しなければ録画依頼部20で発生した録画指示を無効にする。ここでいうコンテンツの種別は、たとえば視聴中の番組名または番組のジャンル、あるいはCM(コマーシャルメッセージ)か否かの別、CMのジャンルや内容、DVD再生機、ゲーム機等からの入力によって表示される画面か否かの別などを含む。
【0053】
具体的に説明すると、条件記憶部28には、録画の対象とするコンテンツの種別が録画条件として記憶されており、選別部29は、録画指示の発生時、条件記憶部28から録画条件を読み出す。さらに、選別部29は、テレビ通信部23および装置通信部31を介して、テレビ3から視聴中のコンテンツの種別を受信し、受信したコンテンツの種別を、条件記憶部28から読み出した録画条件と照らし合わせることにより、録画の要否を判定する。視聴中のコンテンツの種別が録画条件に合致した場合、管理装置2は、録画依頼部20で発生した録画指示をテレビ3に送信する。
【0054】
条件記憶部28には、録画の対象とするコンテンツの種別が予め複数記憶されている。条件記憶部28に記憶されている録画条件はユーザによって設定されており、ユーザは、録画の対象とするコンテンツの種別を任意に決めることができる。また、テレビ3は、視聴中のコンテンツの種別を、EPG(電子番組ガイド)やテレビジョン放送の受信信号に含まれるデータに基づいて識別してもよいし、音声や映像を解析することによって識別してもよい。
【0055】
上記選別部29により、管理装置2は、録画依頼部20で録画指示が発生したときに視聴中のコンテンツを全て録画させるのではなく、録画条件として設定されている種別のコンテンツのみ録画装置33に録画させることができる。すなわち、ユーザによっては、録画してまで見る必要がないと判断されるコンテンツの種別もあり、選別部29は、このようなコンテンツについては録画指示を無効にして、無駄な録画をなくすことができる。
【0056】
また、管理装置2がテレビ3に表示させる提示情報は、上述したような情報に限らず、たとえば現在の時間帯における電気料金(単価)や、本日の太陽電池の発電量予測などの情報でもよい。この場合、管理装置2はインターネットに接続され、電気料金や、発電量予測に用いられる天気などの関連情報をインターネット上のサーバから情報取得部24にて取得する。この構成では、インターネット上のサーバが、関連情報を管理装置2に提供する情報提供装置として機能する。
【0057】
なお、管理装置2の情報取得部24は、電気機器や給湯設備、太陽光発電設備などの運転状態を通信により取得し、この運転状態に基づいてエネルギーに関する関連情報を取得する構成であってもよい。
【0058】
(実施形態2)
本実施形態のエネルギー管理システム1は、録画装置33に録画したコンテンツを再生(視聴)するのに適したタイミングをユーザへ通知する機能を管理装置2に有する点が、実施形態1のエネルギー管理システム1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、図3に示すように、管理装置2は、余剰電力の発生を通知する余剰通知部11と、電気料金単価が所定値以下であることを通知する低料金通知部12とを有している。さらに、管理装置2は、時間帯によって異なる電気料金単価の情報を時間帯と組み合わせて料金情報として記憶している料金情報記憶部13と、現在時刻を計る時計部14とを有している。テレビ3は、余剰通知部11および低料金通知部12からの通知信号を受けてユーザに対する通知を行う通知用表示部34を有している。
【0060】
余剰通知部11は、関連情報に基づいて、太陽光発電設備、蓄電池等に生じている余剰電力の有無、および余剰電力がある場合にはその大きさを求める。ここでいう関連情報は、計測装置5の計測結果であって、少なくとも電力の使用状況、並びに太陽電池の発電量や蓄電池の残容量などの使用可能な電力の情報を含んでいる。さらに、余剰通知部11は、余剰電力を、録画装置33に録画されたコンテンツの視聴に必要な電力(以下、「視聴用電力」という)、つまりテレビ3での映像出力、音声出力に必要な電力と比較し、視聴用電力以上の余剰電力が発生しているか否かを判定する。このとき、視聴用電力以上の余剰電力が発生していると判定すると、余剰通知部11は、テレビ通信部23を用いてテレビ3へ通知信号を送信する。なお、視聴用電力は、たとえばテレビ3の定格電力であって、予め余剰通知部11に設定されている。
【0061】
低料金通知部12は、料金情報記憶部13に記憶されている料金情報と、時計部14で計時されている現在時刻とに基づいて、現在の電気料金単価を求める。つまり、たとえば深夜と昼間とで電気料金単価が異なる料金体系で需要家が電力会社と契約している場合、電気料金単価は一定ではなく時間帯によって異なるので、低料金通知部12はまず現在の電気料金単価を求める。さらに、低料金通知部12は、現在の電気料金単価を所定値と比較し、現在の電気料金単価が所定値以下であるか否かを判定する。このとき、電気料金単価が所定値以下であると判定すると、低料金通知部12は、テレビ通信部23を用いてテレビ3へ通知信号を送信する。なお、料金情報は、需要家と電力会社との契約において定められる情報であって、予め料金情報記憶部13に設定されている。
【0062】
通知用表示部34は、テレビ3のフレーム(枠)部分に設けられたLED(発光ダイオード)を具備しており、装置通信部31経由で余剰通知部11および低料金通知部12からの通知信号を受けるとLEDを点灯させることによってユーザに対する通知を行う。すなわち、テレビ3はオフ(映像出力、音声出力が停止)している状態で、通知用表示部34のLEDが点灯することにより、録画装置33に録画したコンテンツを視聴するのに適したタイミングをユーザへ通知する。ここで、通知用表示部34は、余剰通知部11からの通知信号と低料金通知部12からの通知信号とを区別して、発光色や位置の異なるLEDを点灯させてもよい。
【0063】
以上説明した本実施形態のエネルギー管理システム1によれば、視聴用電力以上の余剰電力が発生しているか、あるいは現在の電気料金単価が所定値以下であれば、通知用表示部34からユーザに通知が為されることになる。したがって、ユーザは、この通知を受けて、録画装置33に録画したコンテンツを視聴するのに適したタイミングを知ることができる。その結果、ユーザは、テレビ番組等を視聴する時間帯を、たとえば電力需要のピーク時などから電力需要の低い時間帯(電力に余裕のある時間帯)、あるいは電気料金単価の安い時間帯にシフトすることができる。要するに、本実施形態の管理装置2によれば、ユーザは、電力需要のピークカット、ピークシフトといった省エネルギーのための行動をとりやすくなる。なお、余剰通知部11と低料金通知部12とは、一方が省略されていてもよく、この場合、通知用表示部34は他方からの通知信号を受けて動作する。
【0064】
また、通知用表示部は、テレビ3に設けられる構成に限らず、たとえば管理装置2やその他の装置に設けられていてもよい。ただし、上記タイミングを通知するための表示はユーザの視界に入りやすい位置に表示することが求められるので、通知用表示部は、ユーザの視界に入りやすいテレビ3に設けられることが望ましい。
【0065】
ところで、図3の例では、管理装置2は、特定情報によるトリガを受けて、テレビ3をオフ(映像出力、音声出力を停止)する以外の方法で省エネルギー化を図るための代替案を代替情報としてテレビ3に表示させる代替表示部15をさらに有している。代替表示部15は、情報提示部21が特定情報(特定の提示情報)をテレビ3に表示させる際、テレビ3の代わりにオフさせる電気機器を検索し、この電気機器を示す代替情報をテレビ3に表示させる。ここで、代替表示部15は、関連情報に基づいて、稼働中の電気機器の中から、テレビ3におけるコンテンツの視聴に必要な電力(テレビ3の消費電力)との消費電力の差が小さい順に、少なくとも1つの電気機器を検索する。
【0066】
代替表示部15は、代替情報を情報提示部21からの提示情報(特定情報)と一緒にテレビ3に送信する。テレビ3の表示制御部32は、提示情報と一緒に代替情報を受信した場合、提示情報と併せて代替情報を表示する。これにより、テレビ3に特定情報が表示される場合には、代替情報も併せて表示されることになる。
【0067】
このように、代替表示部15が設けられた構成によれば、管理装置2は、特定情報をテレビ3に表示させる場合に、テレビ3をオフする以外の方法で省エネルギー化を図るための代替案をユーザに提示することができる。したがって、ユーザは、代替情報として示されたテレビ3以外の電気機器をオフ(停止)すれば、テレビ3でコンテンツの視聴を継続しながらも、省エネルギー化を図ることができる。
【0068】
なお、代替表示部15が代替情報をテレビ3に表示させる場合には、録画装置33は、録画依頼部20からの録画指示を受けて一定期間内にテレビ3がオフ(映像出力、音声出力を停止)したときにのみ、録画を開始するように構成されることが望ましい。これにより、代替情報を見たユーザが代替案に従ってテレビ3以外の電気機器をオフした場合には、録画装置33での録画は行われない。
【0069】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【符号の説明】
【0070】
1 エネルギー管理システム
2 管理装置
3 テレビ(テレビ受像機)
11 余剰通知部
12 低料金通知部
13 料金情報記憶部
14 時計部
15 代替表示部
20 録画依頼部
21 情報提示部
23 テレビ通信部
24 情報取得部
29 選別部
33 録画装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビ受像機との間で通信を行うテレビ通信部と、
少なくとも電力の使用状況を含むエネルギー関連情報を取得する情報取得部と、
前記エネルギー関連情報に基づく提示情報を前記テレビ受像機に表示させる情報提示部と、
前記テレビ受像機でコンテンツを視聴中に前記情報提示部が特定の前記提示情報を前記テレビ受像機に表示させることをトリガにして、前記テレビ受像機で視聴中のコンテンツを録画装置に録画させるための録画指示を発生する録画依頼部とを有することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記録画指示の発生時に、前記テレビ受像機で視聴中のコンテンツの種別が予め設定されている録画条件に合致するか否かを判定し、合致しなければ前記録画指示を無効にする選別部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記エネルギー関連情報は使用可能な電力の情報を含んでおり、
前記エネルギー関連情報に基づいて前記テレビ受像機におけるコンテンツの視聴に必要な電力以上の余剰電力が発生しているか否かを判定し、前記余剰電力が発生していると判定したときにユーザへの通知を行う余剰通知部をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項4】
時間帯によって異なる電気料金単価の情報を前記時間帯と組み合わせて料金情報として記憶している料金情報記憶部と、
現在時刻を計る時計部と、
前記料金情報および前記現在時刻に基づいて現在の前記電気料金単価が所定値以下か否かを判定し、前記所定値以下であると判定したときにユーザへの通知を行う低料金通知部とをさらに有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項5】
前記トリガを受けて、前記エネルギー関連情報に基づいて稼働中の電気機器の中から前記テレビ受像機におけるコンテンツの視聴に必要な電力との消費電力の差が小さい順に少なくとも1つの電気機器を検索し、当該電気機器を示す代替情報を前記テレビ受像機に表示させる代替表示部をさらに有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の管理装置と、当該管理装置との間で通信可能な前記テレビ受像機と、前記管理装置からの前記録画指示を受けて前記テレビ受像機で視聴中のコンテンツを録画する前記録画装置とを備えることを特徴とするエネルギー管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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