管用テーパタップ
【課題】従来の管用テーパタップでは好適な深さまでの加工が目視では判断しづらく、ネジゲージで確認をしながらの加工となるため作業性が悪い場合があった。
従って、ネジゲージなどを用いなくても好適な深さのテーパめねじの加工を可能とする管用テーパタップを供給することを課題とする。
【解決手段】管用テーパタップの刃形状径よりもシャンク径を太くすることで、シャンク部分が被加工物に接触すると、管用テーパタップの進行を停止、阻止出来るようにすることにより、好適な深さのテーパめねじを加工することができる。
従って、ネジゲージなどを用いなくても好適な深さのテーパめねじの加工を可能とする管用テーパタップを供給することを課題とする。
【解決手段】管用テーパタップの刃形状径よりもシャンク径を太くすることで、シャンク部分が被加工物に接触すると、管用テーパタップの進行を停止、阻止出来るようにすることにより、好適な深さのテーパめねじを加工することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーパめねじを加工するタップに関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物にめねじを加工するタップが知られている。これらのタップに関して、特許文献1に開示のものがある。
【0003】
特許文献1では、特に小径タップについて、そのタッピング加工の向上、小径タップの耐久性の改善などについて、開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-175533
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、射出成形品の製造において、使用される金型の冷却などを行う温調回路には、例えば冷水を流す流路の栓をする為に、止め栓が用いられることがある。
【0006】
この止め栓は、回路端面に管用のテーパタップを用いてテーパめねじを加工し、そのテーパめねじにテーパスクリュープラグを締付けて止め栓としている。図4に温調回路の止め栓を示す。回路端面を下底とする台形が3つ示されているが、この台形部に止め栓が設けられる。
【0007】
しかしテーパめねじの深さが浅いと止め栓であるテーパスクリュープラグが端面より飛び出す、深いと止め栓であるテーパスクリュープラグで冷却回路を塞ぐ等の不具合が発生する。
【0008】
この様子を図5、図6に示す。
【0009】
図5では、テーパめねじの深さが深い為に、止め栓であるテーパスクリュープラグが、温調回路の回路端面よりも更に深く入り込んだものである。
【0010】
一方、図6では、テーパめねじの深さが浅い為、止め栓であるテーパスクリュープラグが回路端面より飛び出してしまっているものである。
【0011】
図5、図6において、「b」は止め栓であるテーパスクリュープラグの上面の直系、外径であり、この「b」の寸法の直径となるように、回路端面に開口部が加工されると良い。
【0012】
その状態を図4では、例示するものである。図4における3つの台形の下底である回路端面での寸法が「b」であり、止め栓であるテーパスクリュープラグを設けたときには、図5のように、深く入り過ぎることも無く、また、図6のように、飛び出すことがないのである。
【0013】
図6のように、上記不具合が起きないように好適な深さにテーパめねじを加工しなければいけないが、目視での判断が難しい為ネジゲージにてテーパめねじの深さを測定しながら加工しなければならず作業性が悪いことがある。
【0014】
これらのテーパめねじの加工の深さについては、上記特許文献1には、開示のないものである。
【0015】
上記したように、従来の管用テーパタップでは好適な深さまでの加工が目視では判断しづらく、ネジゲージを用いて深さの確認をしながらの加工とする場合には、作業性が良いとは言えなくなるのである。
【0016】
従って本発明は、ネジゲージなどを用いなくても止め栓に対して好適な深さのテーパめねじの加工を可能とする管用テーパタップを供給する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記目的を達成する為に管用テーパタップの刃形状径よりもシャンク径を太くすることにより、シャンク部分がストッパーとなる為、シャンク部分が被加工物に接触するまで加工することにより、止め栓用に好適な深さのテーパめねじを加工することができるようにする。
【0018】
ここで、本発明の構成について、更に他の表現にて、以下に説明をする。
【0019】
被加工物にめねじを切削加工する刃形状部とシャンク部とが軸方向に一体に備えられた管用テーパタップにおいて、前記刃形状部と前記シャンク部との間に中間軸部を設け、前記刃形状の直径、及び前記中間軸部の直径よりも前記シャンク部の直径を大きくするようにする。
【0020】
また、前記シャンク部の刃形状部側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接することで前記管用テーパタップのめねじの切削加工が進むことが停止され、被加工物に加工される開口部の直径が前記停止された位置に対応する大きさになるようにする。
【0021】
また、前記シャンク部の刃形状部側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接することで前記管用テーパタップのめねじの切削加工が進むことが停止され、被加工物に加工される深さが前記停止された位置に対応する深さになるようにする。
【0022】
また、前記管用テーパタップによって被加工物にめねじが加工されて得られる開口部の開口端面の直径寸法を基準径とし、前記刃形状部が前記基準径となる位置である前記基準径位置から前記シャンク部まで間を前記中間軸部とするようにする。
【0023】
また、前記中間軸部の軸方向の寸法を1.5mm乃至2mmとするようにする。
【0024】
また、前記中間軸部の軸方向の寸法を1.5mm乃至2mm以上とし、前記中間軸部の外径を内径とする管状の調整部を前記中間軸部に設け、前記調整部の内径を前記シャンク部の外径よりも小さくして前記調整部の位置が前記シャンク部によって固定されるようにする。
【0025】
また、前記調整部の刃形状部側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接することで前記管用テーパタップのめねじの切削加工が進むことが停止されることで、被加工物に加工される開口部の直径が前記停止された位置に対応する大きさになるようにする。
【0026】
また、前記調整部の刃形状部側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接することで前記管用テーパタップのめねじの切削加工が進むことが停止されることで、被加工物に加工される深さが前記停止された位置に対応する深さになるようにする。
【0027】
また、前記調整部の軸方向の寸法を変えた前記調整部に取替えることで、被加工物に加工される開口部の直径を変えるようにする。
【0028】
また、前記調整部の軸方向の寸法を変えた前記調整部に取替えることで、被加工物に加工される深さを変えるようにする。
【発明の効果】
【0029】
以上のように本発明によれば、止め栓用に好適な深さのテーパめねじを容易に加工することができる。
【0030】
またシャンク部分が被加工物に接触するまで加工すればよいので、例えば、ネジゲージを用いて測定しながら加工する必要がなくなり、作業性が従来よりも改善される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施例の管用テーパタップである
【図2】本発明の第2の実施例の管用テーパタップを説明する図である
【図3】本発明の第2の実施例の管用テーパタップを説明する図である
【図4】温調回路の流路、止め栓の形状を説明する図である
【図5】止め栓用のめねじが深く加工されたことを例示する図である
【図6】止め栓用のめねじが浅く加工されたことを例示する図である
【図7】従来の管用テーパタップである
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0033】
図7は従来の管用テーパタップである。
【0034】
図7の管用テーパタップは、刃形状部1とシャンク部2とが軸方向に一体に備えられており、刃形状部1の外径である刃形状径3よりも、シャンク部2の外径であるシャンク径4の方が小さくなっている。
【0035】
なお、上記図5、図6で言及した「b」は、回路端面に加工される開口部の要求される直径であり、これを基準径と呼ぶこととし、図7の基準径5であるとする。
【0036】
また、前記刃形状部が前記基準径となる位置が図7の基準径位置6である。
【0037】
図7の管用テーパタップは刃形状径3よりもシャンク径4が細くなっており、基準径位置6から先も刃形状が加工されている。また基準径位置6も目視では判断する事が出来ない。
【0038】
その為、テーパめねじを加工する時は、ネジゲージにて深さを測定しながらの加工となる為作業性が悪いことがある。
【0039】
またストッパーとなるものが無く、基準径位置6より先も刃形状部1がある為、深く加工してしまう可能性がある。
【0040】
即ち、図7の管用テーパタップの場合には、回路端面の位置に基準径位置6が達しても、更にテーパめねじの加工を行い、図5のように、管用テーパタップの基準径位置6が回路端面の位置よも深く入り込んでしまうことがある。
【0041】
続いて図1に本発明にかかる実施例である管用テーパタップを示す。
【0042】
刃形状径3よりもシャンク径4を太くしている。
【0043】
このようにする事によりシャンク部2が被加工物の端面に接触し、それ以上テーパめねじを深く加工する事を抑止できる。
【0044】
その結果、図4で示すように、加工によって、被加工物の端面に加工される開口部の直径は、上記「b」、若しくは基準径5となる。
【0045】
また、基準径位置からシャンク2までに中間軸部7を設けても良い。
【0046】
この中間軸部7の長さを例えば1.5mm乃至2mmにすることで止め栓に好適な深さのテーパめねじを加工することができる。
【0047】
なお、図1の管用テーパタップの装着される工作機械の作業部の形状や、作業部の特性、被加工物の上記工作機械での支持構造、支持の状態、若しくは被加工物の材質、硬さなど、を考慮して、上記中間軸部7の長さを適宜選択、調整されるものであっても良い。
【実施例2】
【0048】
次に、本発明についての他の実施例を図2、図3を用いて説明する。
【0049】
図2では、図1の中間軸部6に調整部20を設けたものである。
【0050】
この調整部20は、図1の中間軸部6の外径を内径とする管状の形状であり、前記中間軸部6を同心軸として、外側に被せて、嵌め込めるようにしている。
【0051】
但し、前記調整部20の内径が前記シャンク部2の外径のシャンク径4よりも小さくしてあるので、前記調整部20を軸方向に移動させても、前記シャンク部2によって、移動が停止、阻止されて、固定される。
【0052】
従って、前記調整部20の位置が前記シャンク部2によって規定、固定される。この時、前記調整部20の刃形状部1側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接する、当たる、干渉することで、加工時の管用テーパタップの進行が停止、阻止される為、被加工物に更に深くめねじを加工することが無くなる。
【0053】
図2で、基準径である「b」とする位置(図1の基準径位置6)からシャンク部2端面迄の距離、寸法、長さは、「Z1+T1」の和で表されている。
【0054】
調整部20が中間軸部7に、嵌め込まれていない場合には、刃形状部1がめねじを加工しながら進行して、基準径位置6を過ぎても停止せず、更に、「Z1+T1」の和の長さだけ、進んだ位置で停止することとなる。
【0055】
この為、被加工物には、基準径5若しくは「b」とする位置よりも、「Z1+T1」の和の長さだけ深い位置まで、めねじが加工されることになる。
【0056】
ここで、軸方向の長さ、寸法が「T1」の調整部20を前記中間部7に設けると、刃形状部1がめねじを加工しながら進行して、「Z1」の長さだけ、進んだ位置で調整部20の刃形状部1側の端面が被加工物の開口端面に接する、当たる、干渉することで、加工時の管用テーパタップの進行が停止、阻止されることとなる。
【0057】
これにより、調整部20の「T1」の長さ、寸法分だけ、浅い位置で管用テーパタップが停止することになる。
【0058】
従って、前記「T1」を変えることで、「Z1」の長さ、寸法を希望とする値、所望とする値にすることが出来ることとなる。
【0059】
図3は、「Z1」よりも大きな値「Z2」とするように、前記調整部20を「T1」よりも小さな値「T2」とした実施例を示すものである。
【0060】
この実施例2では、同じ管用テーパタップであっても、中間軸部7に設ける調整部20の軸方向の長さ、寸法を変えることで、被加工物に設けるめねじの加工における深さを、希望の深さ、所望の深さとなるように、変えることが可能となるものである。
【0061】
若しくは、実施例では、同じ管用テーパタップであっても、中間軸部7に設ける調整部20の軸方向の長さ、寸法を変えることで、被加工物に設けるめねじの加工によって、被加工物の端面に設けられる開口部の直径を、希望の大きさ、所望の大きさとなるように、変えることが可能となるものである。
【0062】
なお、上記実施例などは、本発明についての実施をするにあたっての説明をするものである。
【0063】
従って、上記説明に本発明が限定されるものではなく、適宜変更することを許容するものである。
【0064】
例えば、本発明の実施例の図1、図2、図3では、管用テーパタップの先端から、シャンク部2に近づくに従って、タップの外形の軌跡が徐々に漸次太くなっている。
【0065】
この部分の断面は、管用テーパタップの先端から、シャンク部2に近づくに従って、傾斜した断面となり、一般に呼ばれるテーパーを設けているものである。
【0066】
但し、このテーパーを設ける状態も、シャンク部2に近付く迄、太くなり続けるのではなく、例えば、「b」の値、若しくは基準径5となる基準径位置6以降は、タップ部の太さが太くならない状態、同じ太さでシャンク部2に至るようにするものであっても良い。
【0067】
この場合、タップ部の断面は、上記基準径5となる基準径位置6迄傾斜するテーパー状であるが、基準径5となる基準径位置6以降は、太さが変化せず、平行状態で、ストレートの状態とするものであっても良い。
【0068】
更には、基準径5となる基準径位置6以降は、太さが逆に、少しではあるが細くなるテーパーの状態とするものであっても良い。
【0069】
若しくは、上記基準径5となる基準径位置6以降は、刃形状部を設けないものであっても良い。
【0070】
これらのタップ部の太さの変化の状態とすることで、被加工物に作られる開口部の直径が希望の値、所定の値よりも大きく、太くなることを回避可能とする効果も狙えるものである。
【0071】
若しくは、基準径5の開口部となる孔のめねじを被加工物に深く設ける際に、本管用テーパタップが接する作業面部に対する抵抗、摩擦抵抗などを低減可能とすることが狙えるものである。
【0072】
なお、「基準径5となる基準径位置6以降は、」と上記において、説明したが、必ずしも「基準径5となる基準径位置6以降」に限定されるものではなく、実施形態、用いる工作機械の状態、特性などによっては、「基準径5となる基準径位置6」に対して、軸方向で、適宜前後するものであっても良い。
【0073】
上述のように、本発明を実施するに当たっては、上述の本発明の思想に対応するものであるならば、上述の実施例の説明、及び、これらの実施例の説明を基にして、考え出される種々の形態、工夫を行うものであっても、本発明に関係するものであると言える。
【符号の説明】
【0074】
1‥刃形状部、2‥シャンク部、3‥刃形状径、4‥シャンク径
5‥基準径、6‥基準径位置、7‥中間軸部
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーパめねじを加工するタップに関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物にめねじを加工するタップが知られている。これらのタップに関して、特許文献1に開示のものがある。
【0003】
特許文献1では、特に小径タップについて、そのタッピング加工の向上、小径タップの耐久性の改善などについて、開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-175533
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、射出成形品の製造において、使用される金型の冷却などを行う温調回路には、例えば冷水を流す流路の栓をする為に、止め栓が用いられることがある。
【0006】
この止め栓は、回路端面に管用のテーパタップを用いてテーパめねじを加工し、そのテーパめねじにテーパスクリュープラグを締付けて止め栓としている。図4に温調回路の止め栓を示す。回路端面を下底とする台形が3つ示されているが、この台形部に止め栓が設けられる。
【0007】
しかしテーパめねじの深さが浅いと止め栓であるテーパスクリュープラグが端面より飛び出す、深いと止め栓であるテーパスクリュープラグで冷却回路を塞ぐ等の不具合が発生する。
【0008】
この様子を図5、図6に示す。
【0009】
図5では、テーパめねじの深さが深い為に、止め栓であるテーパスクリュープラグが、温調回路の回路端面よりも更に深く入り込んだものである。
【0010】
一方、図6では、テーパめねじの深さが浅い為、止め栓であるテーパスクリュープラグが回路端面より飛び出してしまっているものである。
【0011】
図5、図6において、「b」は止め栓であるテーパスクリュープラグの上面の直系、外径であり、この「b」の寸法の直径となるように、回路端面に開口部が加工されると良い。
【0012】
その状態を図4では、例示するものである。図4における3つの台形の下底である回路端面での寸法が「b」であり、止め栓であるテーパスクリュープラグを設けたときには、図5のように、深く入り過ぎることも無く、また、図6のように、飛び出すことがないのである。
【0013】
図6のように、上記不具合が起きないように好適な深さにテーパめねじを加工しなければいけないが、目視での判断が難しい為ネジゲージにてテーパめねじの深さを測定しながら加工しなければならず作業性が悪いことがある。
【0014】
これらのテーパめねじの加工の深さについては、上記特許文献1には、開示のないものである。
【0015】
上記したように、従来の管用テーパタップでは好適な深さまでの加工が目視では判断しづらく、ネジゲージを用いて深さの確認をしながらの加工とする場合には、作業性が良いとは言えなくなるのである。
【0016】
従って本発明は、ネジゲージなどを用いなくても止め栓に対して好適な深さのテーパめねじの加工を可能とする管用テーパタップを供給する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記目的を達成する為に管用テーパタップの刃形状径よりもシャンク径を太くすることにより、シャンク部分がストッパーとなる為、シャンク部分が被加工物に接触するまで加工することにより、止め栓用に好適な深さのテーパめねじを加工することができるようにする。
【0018】
ここで、本発明の構成について、更に他の表現にて、以下に説明をする。
【0019】
被加工物にめねじを切削加工する刃形状部とシャンク部とが軸方向に一体に備えられた管用テーパタップにおいて、前記刃形状部と前記シャンク部との間に中間軸部を設け、前記刃形状の直径、及び前記中間軸部の直径よりも前記シャンク部の直径を大きくするようにする。
【0020】
また、前記シャンク部の刃形状部側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接することで前記管用テーパタップのめねじの切削加工が進むことが停止され、被加工物に加工される開口部の直径が前記停止された位置に対応する大きさになるようにする。
【0021】
また、前記シャンク部の刃形状部側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接することで前記管用テーパタップのめねじの切削加工が進むことが停止され、被加工物に加工される深さが前記停止された位置に対応する深さになるようにする。
【0022】
また、前記管用テーパタップによって被加工物にめねじが加工されて得られる開口部の開口端面の直径寸法を基準径とし、前記刃形状部が前記基準径となる位置である前記基準径位置から前記シャンク部まで間を前記中間軸部とするようにする。
【0023】
また、前記中間軸部の軸方向の寸法を1.5mm乃至2mmとするようにする。
【0024】
また、前記中間軸部の軸方向の寸法を1.5mm乃至2mm以上とし、前記中間軸部の外径を内径とする管状の調整部を前記中間軸部に設け、前記調整部の内径を前記シャンク部の外径よりも小さくして前記調整部の位置が前記シャンク部によって固定されるようにする。
【0025】
また、前記調整部の刃形状部側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接することで前記管用テーパタップのめねじの切削加工が進むことが停止されることで、被加工物に加工される開口部の直径が前記停止された位置に対応する大きさになるようにする。
【0026】
また、前記調整部の刃形状部側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接することで前記管用テーパタップのめねじの切削加工が進むことが停止されることで、被加工物に加工される深さが前記停止された位置に対応する深さになるようにする。
【0027】
また、前記調整部の軸方向の寸法を変えた前記調整部に取替えることで、被加工物に加工される開口部の直径を変えるようにする。
【0028】
また、前記調整部の軸方向の寸法を変えた前記調整部に取替えることで、被加工物に加工される深さを変えるようにする。
【発明の効果】
【0029】
以上のように本発明によれば、止め栓用に好適な深さのテーパめねじを容易に加工することができる。
【0030】
またシャンク部分が被加工物に接触するまで加工すればよいので、例えば、ネジゲージを用いて測定しながら加工する必要がなくなり、作業性が従来よりも改善される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施例の管用テーパタップである
【図2】本発明の第2の実施例の管用テーパタップを説明する図である
【図3】本発明の第2の実施例の管用テーパタップを説明する図である
【図4】温調回路の流路、止め栓の形状を説明する図である
【図5】止め栓用のめねじが深く加工されたことを例示する図である
【図6】止め栓用のめねじが浅く加工されたことを例示する図である
【図7】従来の管用テーパタップである
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0033】
図7は従来の管用テーパタップである。
【0034】
図7の管用テーパタップは、刃形状部1とシャンク部2とが軸方向に一体に備えられており、刃形状部1の外径である刃形状径3よりも、シャンク部2の外径であるシャンク径4の方が小さくなっている。
【0035】
なお、上記図5、図6で言及した「b」は、回路端面に加工される開口部の要求される直径であり、これを基準径と呼ぶこととし、図7の基準径5であるとする。
【0036】
また、前記刃形状部が前記基準径となる位置が図7の基準径位置6である。
【0037】
図7の管用テーパタップは刃形状径3よりもシャンク径4が細くなっており、基準径位置6から先も刃形状が加工されている。また基準径位置6も目視では判断する事が出来ない。
【0038】
その為、テーパめねじを加工する時は、ネジゲージにて深さを測定しながらの加工となる為作業性が悪いことがある。
【0039】
またストッパーとなるものが無く、基準径位置6より先も刃形状部1がある為、深く加工してしまう可能性がある。
【0040】
即ち、図7の管用テーパタップの場合には、回路端面の位置に基準径位置6が達しても、更にテーパめねじの加工を行い、図5のように、管用テーパタップの基準径位置6が回路端面の位置よも深く入り込んでしまうことがある。
【0041】
続いて図1に本発明にかかる実施例である管用テーパタップを示す。
【0042】
刃形状径3よりもシャンク径4を太くしている。
【0043】
このようにする事によりシャンク部2が被加工物の端面に接触し、それ以上テーパめねじを深く加工する事を抑止できる。
【0044】
その結果、図4で示すように、加工によって、被加工物の端面に加工される開口部の直径は、上記「b」、若しくは基準径5となる。
【0045】
また、基準径位置からシャンク2までに中間軸部7を設けても良い。
【0046】
この中間軸部7の長さを例えば1.5mm乃至2mmにすることで止め栓に好適な深さのテーパめねじを加工することができる。
【0047】
なお、図1の管用テーパタップの装着される工作機械の作業部の形状や、作業部の特性、被加工物の上記工作機械での支持構造、支持の状態、若しくは被加工物の材質、硬さなど、を考慮して、上記中間軸部7の長さを適宜選択、調整されるものであっても良い。
【実施例2】
【0048】
次に、本発明についての他の実施例を図2、図3を用いて説明する。
【0049】
図2では、図1の中間軸部6に調整部20を設けたものである。
【0050】
この調整部20は、図1の中間軸部6の外径を内径とする管状の形状であり、前記中間軸部6を同心軸として、外側に被せて、嵌め込めるようにしている。
【0051】
但し、前記調整部20の内径が前記シャンク部2の外径のシャンク径4よりも小さくしてあるので、前記調整部20を軸方向に移動させても、前記シャンク部2によって、移動が停止、阻止されて、固定される。
【0052】
従って、前記調整部20の位置が前記シャンク部2によって規定、固定される。この時、前記調整部20の刃形状部1側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接する、当たる、干渉することで、加工時の管用テーパタップの進行が停止、阻止される為、被加工物に更に深くめねじを加工することが無くなる。
【0053】
図2で、基準径である「b」とする位置(図1の基準径位置6)からシャンク部2端面迄の距離、寸法、長さは、「Z1+T1」の和で表されている。
【0054】
調整部20が中間軸部7に、嵌め込まれていない場合には、刃形状部1がめねじを加工しながら進行して、基準径位置6を過ぎても停止せず、更に、「Z1+T1」の和の長さだけ、進んだ位置で停止することとなる。
【0055】
この為、被加工物には、基準径5若しくは「b」とする位置よりも、「Z1+T1」の和の長さだけ深い位置まで、めねじが加工されることになる。
【0056】
ここで、軸方向の長さ、寸法が「T1」の調整部20を前記中間部7に設けると、刃形状部1がめねじを加工しながら進行して、「Z1」の長さだけ、進んだ位置で調整部20の刃形状部1側の端面が被加工物の開口端面に接する、当たる、干渉することで、加工時の管用テーパタップの進行が停止、阻止されることとなる。
【0057】
これにより、調整部20の「T1」の長さ、寸法分だけ、浅い位置で管用テーパタップが停止することになる。
【0058】
従って、前記「T1」を変えることで、「Z1」の長さ、寸法を希望とする値、所望とする値にすることが出来ることとなる。
【0059】
図3は、「Z1」よりも大きな値「Z2」とするように、前記調整部20を「T1」よりも小さな値「T2」とした実施例を示すものである。
【0060】
この実施例2では、同じ管用テーパタップであっても、中間軸部7に設ける調整部20の軸方向の長さ、寸法を変えることで、被加工物に設けるめねじの加工における深さを、希望の深さ、所望の深さとなるように、変えることが可能となるものである。
【0061】
若しくは、実施例では、同じ管用テーパタップであっても、中間軸部7に設ける調整部20の軸方向の長さ、寸法を変えることで、被加工物に設けるめねじの加工によって、被加工物の端面に設けられる開口部の直径を、希望の大きさ、所望の大きさとなるように、変えることが可能となるものである。
【0062】
なお、上記実施例などは、本発明についての実施をするにあたっての説明をするものである。
【0063】
従って、上記説明に本発明が限定されるものではなく、適宜変更することを許容するものである。
【0064】
例えば、本発明の実施例の図1、図2、図3では、管用テーパタップの先端から、シャンク部2に近づくに従って、タップの外形の軌跡が徐々に漸次太くなっている。
【0065】
この部分の断面は、管用テーパタップの先端から、シャンク部2に近づくに従って、傾斜した断面となり、一般に呼ばれるテーパーを設けているものである。
【0066】
但し、このテーパーを設ける状態も、シャンク部2に近付く迄、太くなり続けるのではなく、例えば、「b」の値、若しくは基準径5となる基準径位置6以降は、タップ部の太さが太くならない状態、同じ太さでシャンク部2に至るようにするものであっても良い。
【0067】
この場合、タップ部の断面は、上記基準径5となる基準径位置6迄傾斜するテーパー状であるが、基準径5となる基準径位置6以降は、太さが変化せず、平行状態で、ストレートの状態とするものであっても良い。
【0068】
更には、基準径5となる基準径位置6以降は、太さが逆に、少しではあるが細くなるテーパーの状態とするものであっても良い。
【0069】
若しくは、上記基準径5となる基準径位置6以降は、刃形状部を設けないものであっても良い。
【0070】
これらのタップ部の太さの変化の状態とすることで、被加工物に作られる開口部の直径が希望の値、所定の値よりも大きく、太くなることを回避可能とする効果も狙えるものである。
【0071】
若しくは、基準径5の開口部となる孔のめねじを被加工物に深く設ける際に、本管用テーパタップが接する作業面部に対する抵抗、摩擦抵抗などを低減可能とすることが狙えるものである。
【0072】
なお、「基準径5となる基準径位置6以降は、」と上記において、説明したが、必ずしも「基準径5となる基準径位置6以降」に限定されるものではなく、実施形態、用いる工作機械の状態、特性などによっては、「基準径5となる基準径位置6」に対して、軸方向で、適宜前後するものであっても良い。
【0073】
上述のように、本発明を実施するに当たっては、上述の本発明の思想に対応するものであるならば、上述の実施例の説明、及び、これらの実施例の説明を基にして、考え出される種々の形態、工夫を行うものであっても、本発明に関係するものであると言える。
【符号の説明】
【0074】
1‥刃形状部、2‥シャンク部、3‥刃形状径、4‥シャンク径
5‥基準径、6‥基準径位置、7‥中間軸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物にめねじを切削加工する刃形状部とシャンク部とが軸方向に一体に備えられた管用テーパタップにおいて、
前記刃形状部と前記シャンク部との間に中間軸部を設け、
前記刃形状の直径、及び前記中間軸部の直径よりも前記シャンク部の直径を大きくした
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項2】
請求項1記載の管用テーパタップにおいて、
前記シャンク部の刃形状部側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接することで前記管用テーパタップのめねじの切削加工が進むことが停止され、被加工物に加工される開口部の直径が前記停止された位置に対応する大きさになる
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項3】
請求項1記載の管用テーパタップにおいて、
前記シャンク部の刃形状部側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接することで前記管用テーパタップのめねじの切削加工が進むことが停止され、被加工物に加工される深さが前記停止された位置に対応する深さになる
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項4】
請求項1記載の管用テーパタップにおいて、
前記管用テーパタップによって被加工物にめねじが加工されて得られる開口部の開口端面の直径寸法を基準径とし、
前記刃形状部が前記基準径となる位置である前記基準径位置から前記シャンク部まで間を前記中間軸部とする
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項5】
請求項1記載の管用テーパタップにおいて、
前記中間軸部の軸方向の寸法を1.5mm乃至2mmとする
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項6】
請求項1記載の管用テーパタップにおいて、
前記中間軸部の軸方向の寸法を1.5mm乃至2mm以上とし、
前記中間軸部の外径を内径とする管状の調整部を前記中間軸部に設け、
前記調整部の内径を前記シャンク部の外径よりも小さくして前記調整部の位置が前記シャンク部によって固定される
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項7】
請求項6記載の管用テーパタップにおいて、
前記調整部の刃形状部側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接することで前記管用テーパタップのめねじの切削加工が進むことが停止されることで、被加工物に加工される開口部の直径が前記停止された位置に対応する大きさになる
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項8】
請求項6記載の管用テーパタップにおいて、
前記調整部の刃形状部側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接することで前記管用テーパタップのめねじの切削加工が進むことが停止されることで、被加工物に加工される深さが前記停止された位置に対応する深さになる
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項9】
請求項6記載の管用テーパタップにおいて、
前記調整部の軸方向の寸法を変えた前記調整部に取替えることで、被加工物に加工される開口部の直径を変える
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項10】
請求項6記載の管用テーパタップにおいて、
前記調整部の軸方向の寸法を変えた前記調整部に取替えることで、被加工物に加工される深さを変える
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項1】
被加工物にめねじを切削加工する刃形状部とシャンク部とが軸方向に一体に備えられた管用テーパタップにおいて、
前記刃形状部と前記シャンク部との間に中間軸部を設け、
前記刃形状の直径、及び前記中間軸部の直径よりも前記シャンク部の直径を大きくした
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項2】
請求項1記載の管用テーパタップにおいて、
前記シャンク部の刃形状部側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接することで前記管用テーパタップのめねじの切削加工が進むことが停止され、被加工物に加工される開口部の直径が前記停止された位置に対応する大きさになる
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項3】
請求項1記載の管用テーパタップにおいて、
前記シャンク部の刃形状部側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接することで前記管用テーパタップのめねじの切削加工が進むことが停止され、被加工物に加工される深さが前記停止された位置に対応する深さになる
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項4】
請求項1記載の管用テーパタップにおいて、
前記管用テーパタップによって被加工物にめねじが加工されて得られる開口部の開口端面の直径寸法を基準径とし、
前記刃形状部が前記基準径となる位置である前記基準径位置から前記シャンク部まで間を前記中間軸部とする
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項5】
請求項1記載の管用テーパタップにおいて、
前記中間軸部の軸方向の寸法を1.5mm乃至2mmとする
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項6】
請求項1記載の管用テーパタップにおいて、
前記中間軸部の軸方向の寸法を1.5mm乃至2mm以上とし、
前記中間軸部の外径を内径とする管状の調整部を前記中間軸部に設け、
前記調整部の内径を前記シャンク部の外径よりも小さくして前記調整部の位置が前記シャンク部によって固定される
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項7】
請求項6記載の管用テーパタップにおいて、
前記調整部の刃形状部側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接することで前記管用テーパタップのめねじの切削加工が進むことが停止されることで、被加工物に加工される開口部の直径が前記停止された位置に対応する大きさになる
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項8】
請求項6記載の管用テーパタップにおいて、
前記調整部の刃形状部側の軸方向の面が被加工物の開口端面に接することで前記管用テーパタップのめねじの切削加工が進むことが停止されることで、被加工物に加工される深さが前記停止された位置に対応する深さになる
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項9】
請求項6記載の管用テーパタップにおいて、
前記調整部の軸方向の寸法を変えた前記調整部に取替えることで、被加工物に加工される開口部の直径を変える
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【請求項10】
請求項6記載の管用テーパタップにおいて、
前記調整部の軸方向の寸法を変えた前記調整部に取替えることで、被加工物に加工される深さを変える
ことを特徴とする管用テーパタップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2013−43265(P2013−43265A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184261(P2011−184261)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
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