説明

管継手

【課題】 硬く、強度のある素材を使用することができ、しかも、接続作業が容易な管継手を提供する。
【解決手段】 筒状体をその長さ方向に沿って2つに切断した第1管継手半体110および第2管継手半体120と、前記第1管継手半体110と第2管継手半体120のいずれか一方に形成した係止部122と、いずれか他方に形成した被係止部112とを有し、係止部122と被係止部112とが係合することで、第1管継手半体110と第2管継手半体120とが結合して筒状の管継手100となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排水管や上水管などの管継手に関し、特に、配管の補修に適した管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
排水管や給水管等の管路では、管路の一部が破損した場合、その部分を切断して除去し、切断した部分に管継手を接続して修復することが行われている。
【0003】
図4は、排水管における従来の修復手順を説明する図である。(a)に示すように、たとえば、排水管の管1に欠陥孔2が開いてしまった場合、欠陥孔2を含む範囲を所定の間隔をあけた2本の点線に示す位置で切断し、(b)に示す状態にする。
【0004】
次に、(c)に示すように、やりくり管と称される管継手3を、一方側の管1に矢印に示すように斜めに差し込み、他端が他方の管1に当たらない位置まで押し込む。
【0005】
(d)に示すように、管継手3を排水管と平行にし、少し引き戻して両端に管1、1が入るようにする。この後、つなぎ目を封止することで、修復が完了する。
【0006】
この方法は、管継手3の内径を管1の外径よりかなり大きくし、かつ、(a)に示す2本の点線間の距離を大きくする必要があり、距離を大きくとれない場合など、作業が非常にやり難くなる場合が多い。また、管継手3と管1の径に差があるので、隙間を完全に封止するのも困難である。
【0007】
図5は、特許文献1(特開平9−317965)に記載されたまた別の従来の補修方法を示す図である。これは、管1の欠陥個所を切断した後、柔軟な素材からできた管継手4を使用する方法である。管継手4は、1個所に分割部を有し、分割部の一方に凸部4aを形成し、分割部の他方に凸部4aが係合する嵌合溝4bを形成したものである。管継手4が柔軟な素材なので、分割部を拡げることで、管1を図5に示すように囲むことができる。この後、凸部4aを嵌合溝4bに嵌合させることで、管継手4の分割部を封止する。この方法であれば、作業が容易であり、しかも、管継手4の内径を管1の外径に合わせることができ、封止も容易にできる。
【0008】
しかしながら、分割部を大きく拡げて管1を囲うので、素材はかなり柔軟なものでなければならない。そのため、材料が限定され、しかも、強度が必要な個所には使用できない。
【0009】
以上の他に、特許文献3(特開2001−349477)では、蛇腹状のフレキシブルホースを用いた管継手を提案している。蛇腹状の部分を縮めることで、排水管を切断した個所に挿入し、挿入してから蛇腹部分を伸ばして両側の排水管と接続するのである。
【特許文献1】特開平9−317965
【特許文献2】特開2001−349477
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献3に記載の管継手も、素材が蛇腹などのフレキシブルな構造なので、硬く、強度のある素材を使用することができなかった。そのため、使用できる個所が限定されていた。
【0011】
本発明は、斯かる実情に鑑み、柔軟な素材でも使用できるとともに、硬く、強度のある素材でも使用することができ、しかも、接続作業が容易な管継手を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の管継手は、筒状体をその長さ方向に沿って2つに切断した第1管継手半体および第2管継手半体と、前記第1管継手半体と第2管継手半体のいずれか一方に形成した係止部と、いずれか他方に形成した被係止部とを有し、係止部と被係止部とが係合することで、第1管継手半体と第2管継手半体とが結合して筒状体となることを特徴としている。
【0013】
前記第1管継手半体又は第2管継手半体のいずれか一方の切断部に、外周壁を延長して可撓片を形成し、該可撓片の先端に前記係止部としての凸部を形成し、前記第1管継手半体又は第2管継手半体のいずれか他方に、前記可撓片と重なる突起部を形成し、該突起部に前記被係止部としての凹部を形成した構成としてもよい。
【0014】
前記凸部及び凹部が、前記第1管継手半体と第2管継手半体の長さ全体に形成されている構成とすることができる。
【0015】
また、前記第1管継手半体と第2管継手半体とが、両端部に大径部を有するとともに両端の大径部の間に小径部を有し、前記第1管継手半体と第2管継手半体とが結合して筒状体となったとき、筒状体の両端部に、接続する管路の外径とほぼ同じ大きさの内径を有し、中間部が前記接続する管路の内径とほぼ同じ大きさの内径を有する段付き孔を有する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
排水管や給水管などの配管に、孔などの欠陥ができた場合、本発明の管継手の長さに適した長さの配管を切断して除去する。そして、離間した両側の配管の下側に、第1管継手半体を挿入する。第1管継手半体は、円筒などの筒状体を半割にしているので、簡単に配管の下側に挿入することができる。下側に第1管継手半体をセットしたら、上から第2管継手半体を載せ、係止部と被係止部を係合して結合する。配管は、筒状になった管継手の両端に入り込み接続される。この接続作業は、配管と管継手のつなぎ目を目視によって確認しながら行うことができ、確実な接続作業が行える。
【0017】
第1管継手半体と第2管継手半体の接合面に接着剤と塗布しておけば、接着剤により結合強度を上げ、かつ、シーリング効果も向上させることができる。また、筒状体の両端部の内径が配管の外径と同じになるようにすれば、シーリングも容易になる。
【0018】
なお、排水管の継手として使用する場合、排水管は通常、管の1/2以下しか流れていないので、シーリングがされていなくても十分な場合もある。
【0019】
第1管継手半体と第2管継手半体の結合力を大きくする必要がある場合には、第1管継手半体と、第2管継手半体を結合して筒状体にしてから、その外側を金属製のバンドで締め付けて固定してもよい。
【0020】
係止部と被係止部とが、凸部と凹部とから構成されると、第1管継手半体と、第2管継手半体の結合を容易にすることができる。凸部及び凹部が、前記第1管継手半体と第2管継手半体の長さ全体に形成されている構成とすれば、結合力を上げることができる。
【0021】
第1管継手半体と、第2管継手半体とが結合してできる筒状体が、両端部に、接続する管路の外径とほぼ同じ大きさの内径を有し、中間部が前記接続する管路の内径とほぼ同じ大きさの内径を有する段付き孔の構成にすると、管継手の部分も管の部分と同じ内径となり、流れをスムーズにし、ごみなどが溜まるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の管継手の図で、(a)は第1管継手半体と第2管継手半体を分離した状態の端面図、(b)は同じく第1管継手半体と第2管継手半体を分離した状態の正面図である。図2(a)は、第1管継手半体と第2管継手半体を結合する前の状態を示す斜視図で、(b)は結合した状態を示す斜視図、図3は第1管継手半体と第2管継手半体を結合した状態の拡大された断面図である。
【0024】
本発明の管継手100は、円筒形状の管を、その長さ方向に沿って2つに分割した第1管継手半体110と、第2管継手半体120とから構成されている。この実施例では、円筒形状であるが、筒状であればよく、楕円形や卵型でもよい。
【0025】
第1管継手半体110は、断面形状がほぼ半円形状で、両端に半円と同じ曲率中心を持った突起部111が延設されている。突起部111の下端には凹部からなる被係止部112が形成されている。また、両端には大径部113があり、大径部113、113の中間は小径部114となって段付きの径となっている。
【0026】
第2管継手半体120は、断面形状が第1管継手半体110と同様の半円形状で、半円の両端に半円の円弧の一部を薄肉にした可撓片121が形成されている。可撓片121の先端には、凸部状の係止部122がある。また、第1管継手半体110と同様に、両端には大径部123があり、大径部123、123の中間は小径部124となって段付きの径となっている。
【0027】
次に、上記管継手100の使用方法を説明する。
【0028】
まず、図4の従来例で説明したように、配管の不良部分を所定の長さだけ切断して取り除き、図4(b)に示す状態にする。すなわち、使用する管継手100が決まれば、管継手100の小径部114の長さも決まる。そこで、不良部分を切断して除去する場合は、小径部114の長さに合わせて切断する。
【0029】
次に、図3(a)に示すように、第1管継手半体110を管1、1の下側に挿入する。このとき、大径部113、113は、と、小径部114との段差の位置に、両側の管1,1の先端がくる。この状態で第1管継手半体110を下から支え、上から第2管継手半体120を被せる。このとき、第2管継手半体120の可撓片121が外側に弾性変形し、係止部122の凸部が突起部111を乗り越えてくる。そして、係止部122が被係止部112に重なると凸部が凹部に嵌入し、図3(b)に示すように、第1管継手半体110と第2管継手半体120とが結合する。第1管継手半体110と第2管継手半体120とが結合すると、管継手100の外側は円筒面となり、管1より若干太い筒状体となる。
【0030】
以上の接続作業は、目視により接続状態を確認しながら行うことができ、確実な接続を行うことができる。
【0031】
第1管継手半体110と第2管継手半体120を結合させる前に、可撓片121の内側と係止部122の各面、突起部111の外側面と被係止部112の内面、すなわち、接触面に接着剤を塗布しておけば、第1管継手半体110と第2管継手半体120を結合させた後、接着剤で結合を固定することができる。
【0032】
管1が排水用管の場合、排水は管1の半分程度を満たす程度なので、接着剤を使用しなくても水漏れが起こらない場合もある。しかし、接着剤で接着することで、つなぎ目を密閉することができ、封止効果を上げることができる。
【0033】
また、図2に示すように、管継手100と管1との接合部に、必要に応じてOリングなどのパッキン130を挿入すると気密に密閉することが可能となる。パッキン130の取付溝は、第1管継手半体110と第2管継手半体120に形成しておくとよい。
【0034】
なお、大径部113、123で形成する円の径は、管1の外径とほぼ同じにしておくことで、接着剤程度でも管1に管継手100を固定することができる。しかし、管継手100の結合の永続性を保証する必要がある場合や、管継手100の強度が必要な場合は、図3(b)に示した状態の管継手100の外側に金属バンドなどで締付固定するとよい。
【0035】
また、小径部114、124で作る円の径を管1の内径と同じにすることで、管路としては、径の変化のない状態にすることができ、流れが淀んだり、ごみが溜まるなどの問題を予防することができる。
【0036】
本発明の管継手100は、可撓片121に適当な可撓性を持たせることができれば、素材は特に限定されない。塩ビを初めとする各種のプラスチック、鋼鉄などの金属、等、種々の素材を使用することができる。また、可撓片121は必須ではなく、係止部と被係止部を設ければよい。
【0037】
また、第1管継手半体110に被係止部112を形成し、第2管継手半体120に係止部122を設けたが、逆にしてもよい。また、係止部122と被係止部112とは、実施例のもの以外の種々の形状のものを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の管継手の図で、(a)は第1管継手半体と第2管継手半体を分離した状態の端面図、(b)は同じく第1管継手半体と第2管継手半体を分離した状態の正面図である。
【図2】(a)は、第1管継手半体と第2管継手半体を結合する前の状態を示す斜視図で、(b)は結合した状態を示す斜視図である。
【図3】第1管継手半体と第2管継手半体を結合した状態の拡大された断面図である。
【図4】(a)から(d)は、排水管における従来の修復手順を説明する図である。
【図5】別の従来の補修方法を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 管
100 管継手
110 第1管継手半体
111 突起部
112 被係止部
113 大径部
114 小径部
120 第2管継手半体
121 可撓片
122 係止部
123 大径部
124 小径部
130 ゴムパッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体をその長さ方向に沿って2つに切断した第1管継手半体および第2管継手半体と、前記第1管継手半体と第2管継手半体のいずれか一方に形成した係止部と、いずれか他方に形成した被係止部とを有し、係止部と被係止部とが係合することで、第1管継手半体と第2管継手半体とが結合して筒状体となることを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記第1管継手半体又は第2管継手半体のいずれか一方の切断部に、外周壁を延長して可撓片を形成し、該可撓片の先端に前記係止部としての凸部を形成し、前記第1管継手半体又は第2管継手半体のいずれか他方に、前記可撓片と重なる突起部を形成し、該突起部に前記被係止部としての凹部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記凸部及び凹部が、前記第1管継手半体と第2管継手半体の長さ全体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
前記第1管継手半体と第2管継手半体とが、両端部に大径部を有するとともに両端の大径部の間に小径部を有し、前記第1管継手半体と第2管継手半体とが結合して筒状体となったとき、筒状体の両端部に、接続する管路の外径とほぼ同じ大きさの内径を有し、中間部が前記接続する管路の内径とほぼ同じ大きさの内径を有する段付き孔を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−264397(P2009−264397A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110869(P2008−110869)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(300050035)有限会社雄栄工業 (2)