説明

管路の止水方法及び止水装置

【課題】管路内に設置した止水装置が水圧によって下流側に流されるのを確実に防止すること。
【解決手段】水が流れる管路内に止水装置1を設置し、止水装置1よりも下流側のマンホールM1の内壁面に、管路との接続口31を跨ぐように複数本の規制棒38を固定する。これにより、止水装置1が上流側から水圧を受けても、止水装置1に複数本の規制棒38が当接して下流側への移動が規制されることから、止水装置1が下流側に流されるのが確実に防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水が流れる管路の止水方法、及び、それに用いる止水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下水道管等の水が流れる既設管路内において、清掃や補修等の作業を行う際に、その作業区間に水が入り込まないように、作業空間よりも上流側の位置に止水装置を設置して止水することが行われている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1の止水装置は、環状ホースと、この環状ホースの内側に配置された止水壁とを有し、流体圧力によって外側の環状ホースが膨張して管路の内面に密着したときの、管路内面との摩擦力によって管路に対して固定されるようになっている。
【0004】
特許文献2の止水装置は、管体と、この管体の外側に配置された外側チューブと、管体の内側に配置されて内部空間を閉塞する内側チューブとを有するものであり、前記特許文献1のものと同様に、外側チューブが膨張して管路内面に密着することによって、管路内に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−285419号公報
【特許文献2】特開平10−141574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1,2の止水装置は、何れも、外側に位置するホースやチューブを膨張させて管路の内面に密着させたときの、管路内面との間の摩擦力のみによって固定されるようになっている。しかし、特に管路の径が大きい場合には止水装置に作用する水圧も大きくなり、水圧が上記の摩擦力に打ち勝って止水装置が下流側に流されてしまう虞がある。尚、ホースやチューブへ供給する流体圧力を高めることによって、上記摩擦力を大きくすることは可能ではあるが、そうすると管路に過大な内圧が作用して破損が生じる虞がある。
【0007】
本発明の目的は、管路内に設置した止水装置が水圧によって下流側に流されるのを確実に防止することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
第1の発明の管路の止水方法は、水が流れる管路内に止水装置を設置し、前記管路内の前記止水装置よりも下流側の位置に、前記止水装置に当接して前記止水装置が下流側に流れるのを規制する規制手段を、前記管路に固定的に設けることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、規制手段を、止水装置よりも下流側の位置において管路に固定的に設けることにより、止水装置が上流側から水圧を受けても、規制手段が止水装置に下流側から当接することによって止水装置の下流側への移動が規制されることから、止水装置が流されるのが確実に防止される。
【0010】
第2の発明の管路の止水方法は、前記第1の発明において、前記止水装置を、前記管路に接続されたマンホールから前記管路内に設置し、前記規制手段として複数本の規制棒を用い、前記マンホールの内壁面に前記管路のマンホールとの接続口を跨ぐように前記複数本の規制棒を固定することを特徴とするものである。
【0011】
これによれば、管路との接続口を跨ぐようにマンホールの内壁面に固定された複数本の規制棒によって、マンホールから管路内に引き込まれた止水装置が、管路の上流側からの水圧によって流されて接続口からマンホール側に移動してくることが確実に防止される。
【0012】
第3の発明の管路の止水方法は、前記第2の発明において、前記マンホールの内壁面の、前記管路の前記接続口を挟む位置に、2本の支持棒を互いに平行となるように固定し、 前記複数本の規制棒を、前記2本の支持棒にわたって架け渡して、これら2本の支持棒に固定することを特徴とするものである。
【0013】
マンホールの内壁面の、管路との接続口を挟む位置にそれぞれ固定された2本の支持棒にわたって、複数本の規制棒をそれぞれ架け渡して固定することで、複数本の規制棒が管路(マンホールの内壁)に対して強固に固定されることになり、水圧によって止水装置が流されるのをより確実に防止できる。
【0014】
第4の発明の管路の止水方法は、前記第3の発明において、前記支持棒の前記マンホールの内壁面に面する部分には、複数の切り込みが間隔を空けて形成されており、前記規制棒を、前記2本の支持棒にそれぞれ形成された前記切り込みに挿入することにより、前記2本の支持棒に固定することを特徴とするものである。
【0015】
これによれば、2本の支持棒に形成された複数の切り込みに複数本の規制棒をそれぞれ挿入するだけで、複数本の規制棒を容易且つ速やかに設置することができる。また、止水装置を撤去する際に、規制棒を取り外す作業も容易である。
【0016】
第5の発明の管路の止水方法は、前記第1〜第4の何れかの発明において、前記止水装置にワイヤを連結し、前記ワイヤで牽引することにより、前記止水装置を、前記管路に接続されたマンホールから前記管路内の所定位置まで引き込むことを特徴とするものである。
【0017】
このように、止水装置をワイヤで牽引することによって、止水装置を管路の所定位置に容易に設置することができる。
【0018】
第6の発明の止水装置は、前記第1の発明の管路の止水方法に用いられる止水装置であって、筒状の装置本体と、前記装置本体の外周側に設けられた環状チューブと、前記装置本体の内側空間を閉塞する止水膜と、前記装置本体にその筒軸方向において前記止水膜と隣接するように取り付けられた補強部材とを有することを特徴とするものである。
【0019】
本発明の止水装置においては、筒状の装置本体の外周側に設けられた環状チューブに圧力流体を注入して膨張させることにより、環状チューブを管路の内面に密着させて管路内で固定する。ここで、筒状の装置本体の内側空間を閉塞する止水膜には、止水時に水圧が作用するが、この止水膜に隣接する補強部材によって止水膜が支えられる。そのため、管路径が大きく、大きな水圧が作用する場合でも止水膜によって確実に水を堰き止めることができる。
【0020】
第7の発明の止水装置は、前記第6の発明において、前記装置本体の一端面に前記補強部材が取り付けられるとともに、前記補強部材を外側から覆うように前記止水膜が設けられ、前記補強部材には、前記装置本体の他端側へ延びるパイプ材が連結されていることを特徴とするものである。
【0021】
これによれば、止水膜を内側から支える補強部材に、止水膜と反対側に延びるパイプ材が連結されており、このパイプ材の止水膜と反対側の端面に、第1の発明の規制手段を当接させることで、止水装置の耐圧性が向上する。
【0022】
第8の発明の止水装置は、前記第6又は第7の発明において、前記装置本体の両端面に前記補強部材がそれぞれ取り付けられるとともに、一方の端部の前記補強部材を外側から覆うように前記止水膜が設けられ、前記装置本体の両端部にそれぞれ設けられた前記補強部材が、前記装置本体内に挿通された連結材によって連結されていることを特徴とするものである。
【0023】
これによれば、一方の補強部材を覆う止水膜5に作用する水圧を、他方の補強部材に分散させることができ、耐圧性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】補修時における管路内の状態を示す断面図である。
【図2】止水装置の斜視図である。
【図3】止水装置の正面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】装置本体を含む止水装置の骨格構造の分解斜視図である。
【図6】環状チューブの斜視図である。
【図7】止水装置をマンホール内で組み立てる工程を示す図である。
【図8】図7のB−B線断面図である。
【図9】止水装置の管路内への設置工程を示す図である。
【図10】止水装置を管路内に固定する工程を示す図である。
【図11】図10のC−C線断面図である。
【図12】支持棒、及び、支持棒に取り付けられる規制棒の斜視図である。
【図13】止水装置の撤去工程を示す図である。
【図14】変更形態の規制手段の構造を示す斜視図である。
【図15】別の変更形態の止水装置を示す図であり、(a)は前方から見た斜視図、(b)は止水装置の下部に位置するセグメントと扇状パイプ部材の分解斜視図である。
【図16】さらに別の変更形態の止水装置の斜視図であり、(a)は前方から見た図、(b)は後方から見た図である。
【図17】図16の止水装置のセグメントと分割止水体の分解斜視図である。
【図18】分割止水体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、地中に埋設された既設の下水道管(以下、単に管路ともいう)の内面を内張り材で被覆する補修作業時における管路内の止水に、本発明を適用した一例である。図1は、補修時における管路(下水道管)内の状態を示す断面図である。本実施形態では、管路内に作業員が入って作業できる、管径が800mm以上の大径の下水道管を特に対象としている。
【0026】
図1に示すように、地中に埋設された管路PにはマンホールM(M1,M2)が接続されている。また、この管路P内には上流側(図中右側)から下水が流れている。そこで、管路P内の、所定の補修区間内で補修作業(内張り作業)を行う際に、その補修区間の上流側の位置に止水装置1を設置し、管路P内の下水Wを堰き止める。これにより、補修区間内は下水Wが存在しないドライな環境となり、補修作業を安全に行うことができるようになる。また、図1に示されるように、本実施形態では、止水装置1に排水ホース20を接続し、この排水ホース20を補修区間内に通すことで、止水装置1で堰き止めた下水Wを排水ホース20で補修区間よりもさらに下流側に排出しながら(水替え)、補修区間内での補修作業を並行して進める工法を採用している。
【0027】
まず、止水装置1の構造について説明する。図2は止水装置1の斜視図、図3は止水装置1の正面図、図4は図3のA−A線断面図である。尚、以下の止水装置1の説明においては、図2の手前側を前方(正面)と定義し、「前」「後」という表現を適宜用いて説明する。図2〜図4に示すように、止水装置1は、筒状の装置本体2と、装置本体2の外周側に設けられた環状チューブ3と、装置本体2の内側に設置された水替え用パイプ4と、装置本体2の前端部に取り付けられた止水膜5とを有する。尚、図2では、止水装置1の内部構造が分かるように、図3に示される円形の止水膜5の右半分の図示が省略されている。また、図4は、管路P内に設置されたときの状態がわかりやすくなるように、管路P及びマンホールMを二点鎖線で示している。
【0028】
図5は、装置本体2を含む止水装置1の骨格構造の分解斜視図であり、(a)は上半部、(b)は下半部をそれぞれ示している。図4、図5に示すように、装置本体2は、複数(図では6つ)の扇形のセグメント6に分割されており、周方向に隣接するセグメント6同士がボルトで連結された筒状の構造を有する。尚、各セグメント6がマンホールMの上部開口を通過できる大きさとなるように、セグメント6の分割数が適宜決定される。管路Pの内径等の条件に応じて適宜変更可能である。また、各セグメント6の軸方向(前後方向)両端部にはフランジ部6aがそれぞれ設けられており、管路P内に止水装置1を引き込んだときに、セグメント6の外周部に設けられる、後述の環状チューブ3が管路P内面に接触することが防止されている。さらに、図4に示すように、一方のフランジ部6aには、ゴム等からなる保護部材7が接着剤で固定され、この保護部材7がフランジ部6aよりも径方向に突出することで、フランジ部6aが直接接触して管路P内面が傷つくことが防止されている。
【0029】
図2〜図5に示すように、筒状の装置本体2(複数のセグメント6)の内側空間の中心位置には、センターパイプ8が挿通される。また、複数のセグメント6の各々の前後方向両端面には、それぞれ扇状パイプ部材10(10A,10B)がボルトで取り付けられている。各扇状パイプ部材10は、放射状に配置された複数のパイプ11と、これら複数のパイプ11の内端部同士、及び、外端部同士を連結する円弧状の連結部材12,13を有する。そして、扇状パイプ部材10の外側の連結部材13がセグメント6に固定されるとともに、内側の連結部材12がセンターパイプ8に固定されている。尚、扇状パイプ部材10についても、上述したセグメント6と同様に、マンホールMの上部開口を通過できるような大きさとなるように、分割数が決定される。この観点からは、セグメント6と扇状パイプ部材10の分割数を等しくする必要は必ずしもなく、図5から明らかなようにセグメント6と比較して薄い形状となる扇状パイプ部材10は、セグメント6よりも分割数を少なくしてもよい。
【0030】
図2に示すようにセンターパイプ8の前端面は扇状パイプ部材10とともに止水膜5によって覆われるが、止水装置1の管路P内への設置時には、後方へ延びるセンターパイプの後端面(止水膜5と反対側の端面)に、後述する規制棒38(図11、図12参照)が当接することで、止水装置1の耐圧性が向上する。また、扇状パイプ部材10は装置本体2の前端面(止水膜5側の面)にのみ設けられてもよいのだが、耐圧性向上の観点から、図4、図5のように、扇状パイプ部材10が後側にも設けられて、前後の扇状パイプ部材10がセンターパイプ8(本発明の連結材に相当する)で連結されることで、前面の止水膜5に作用する水圧を後端側へ分散させることが好ましい。
【0031】
尚、図2、図4に示すように、装置本体2内の下部空間には、後述する2本の水替え用パイプ4が挿通される。そのため、図5(b)に示すように、複数のセグメント6のうち下側2つのセグメント6に取り付けられる扇状パイプ部材10Bには、水替え用パイプ4を扇状パイプ部材10Bに取り付けるための取付リング14が設けられている。尚、図4に示すように、取付リング14にはその周方向一部に切り欠きが設けられてC字状に形成されている。
【0032】
図6は、環状チューブ3の斜視図である。環状チューブ3は、気密性を有する筒状体15が環状に丸められた上で、その両端部に別の筒状体16が被せられて内部が密閉された構造を有する。筒状体15,16としては、経糸と緯糸とで織成した筒状織物の内面又は外面を、ゴムや合成樹脂の被膜で覆ったものを使用できる。尚、図2、図4に示すように、本実施形態では、筒状の装置本体2を構成する複数のセグメント6の外周面に、2つの環状チューブ3が筒軸方向(前後方向)に並べて取り付けられている。また、図6に示すように、各々の環状チューブ3にはエア注入口17が設けられており、このエア注入口17は図示しないエアチューブを介してエア供給源(図示省略)と接続される。そして、環状チューブ3は、エア注入口17からエアが供給されることによって図4の実線で示された萎んだ状態から二点鎖線で示すように膨張し、セグメント6と管路Pの内面との間の空間を塞ぐようになっている。
【0033】
図2、図3に示すように、装置本体2の下部空間には、2つの水替え用パイプ4が前後方向から見て左右対称位置に配置され、これら2つの水替え用パイプ4はそれぞれ扇状パイプ部材10Bに取り付けられている。より詳細には、各水替え用パイプ4の一端部にフランジ4aが設けられており、水替え用パイプ4が、セグメント6の前後両端部にそれぞれ設けられた2つの扇状パイプ部材10Bに挿通された後に前記フランジ4aが扇状パイプ部材10の取付リング14にボルトで固定される。
【0034】
また、各水替え用パイプ4の内部には袋体18が収容されている。この袋体18にはエアチューブ19(図4、図5参照)が接続され、このエアチューブ19は、図5(b)に示すように、水替え用パイプ4に形成された孔4bと、扇状パイプ部材10Bの取付リング14に形成された切り欠きを通って止水装置1の外部に引き出されて、図示しないエア供給源と接続される。そして、袋体18は、エアチューブ19からエアが供給されたときに膨張することによって、水替え用パイプ4内の通路を開閉する止水弁として機能する。
【0035】
後で詳述するが、図1、図4に示すように、水替え用パイプ4には排水ホース20が接続され、その内部の袋体18によって水替え用パイプ4の内部通路を開放することによって、止水装置1の上流側に堰き止められた水を、水替え用パイプ4及び排水ホース20によって補修区間よりも下流側に送る(水替え)ことが可能となっている。
【0036】
図1〜図4に示すように、止水膜5は、織布をゴムなどの柔軟な材料で被覆した材料(例えば、ターポリン)からなる円形の膜である。この止水膜5は、筒状の装置本体2の前端面に取り付けられた複数の扇状パイプ部材10を外側から覆うように設けられ、固定リング21とボルトによって装置本体2(複数のセグメント6)に取り付けられている。これによって、止水膜5は、装置本体2の前端面の内側開口を塞ぐようになっている。また、止水膜5には、水替え用パイプ4の開口を開放させるための円形孔5aが2つ形成されており、これら円形孔5aの周囲において、止水膜5の表面に固定リング22がそれぞれ押しつけられた状態で固定リング22が水替え用パイプ4のフランジ部4aにボルトで固定されることで、固定リング22とフランジ部4aとの間に、止水膜5の円形孔5aの周囲部分が挟まれて固定されている。
【0037】
後でも説明するが、本実施形態の止水装置1は、図4に示すように、管路P内に設置された状態において、筒状の装置本体2の内側空間については止水膜5によって閉塞する一方で、装置本体2の外面と管路Pの内面の間の空間については膨張した環状チューブ3で閉塞することで、管路Pの水を堰き止める。さらに、図1に示すように、水を堰き止めるとともに、水替え用パイプ4内の袋体18を収縮状態として水替え用パイプ4内の通路を開放することで、堰き止められた水を水替え用パイプ4に接続された排水ホース20によって補修区間の下流側まで送ることができる。
【0038】
ところで、特に、管路Pの内径が大きいと、止水時に止水膜5に大きな水圧が作用するが、上述したように止水膜5に複数の扇状パイプ部材10が隣接しており、これら複数の扇状パイプ部材10によって止水膜5が内側から支えられる構造となっている。そのため、水圧による止水膜5の変形を抑制し、さらには、破断を防止できることから、止水膜5によって確実に水を堰き止めることができる。また、先にも述べたように、扇状パイプ部材10が前後両側に設けられて、前後の扇状パイプ部材10がセンターパイプ8で連結された構成では、前面の止水膜5に作用する水圧が後端側へ分散するため、耐圧性が向上する。また、後述するように、センターパイプ8の後端面(止水膜5と反対側の端面)に規制棒38(規制手段)が当接することで、さらに耐圧性が向上するようになっている。
【0039】
以上説明した止水装置1は、例えば、次のようにして組み立てることができる。まず、複数のセグメント6を周方向に接続し、筒状の装置本体2を組み立てる。次に、装置本体2の外周面に環状チューブ3を2つ取り付ける。尚、管路Pへの引き込み時に位置がずれないように、環状チューブ3の各々を装置本体2の外周面に両面テープ等で仮止めしておく。また、2つの環状チューブ3にそれぞれ接続される2本のエアチューブは、装置本体2の外周面と環状チューブ3の内面との間を通し、且つ、互いに重ならないようにして後方に引き出す。
【0040】
次に、装置本体2の前後方向両端部の下半分に、扇状パイプ部材10のうち、図5(b)に示される取付リング14を有する扇状パイプ部材10Bをボルトで取り付ける。また、センターパイプ8を装置本体2内の中心部に挿通し、扇状パイプ部材10Bと固定する。さらに、2つの水替え用パイプ4を扇状パイプ部材10の取付リング14に挿入し、フランジ部4aにおいてボルトで固定する。ここで、水替え用パイプ4のフランジ4aと扇状パイプ部材10の取付リング14に、凹部と凸部をそれぞれ形成しておくと、水替え用パイプ4と扇状パイプ部材10の両者の位置決めが簡単に行え、組付作業が容易になる。尚、取付リング14の切り欠きは、水替え用パイプ4内の袋体18に接続されたエアチューブ19を通すためのものである(図4参照)。次に、装置本体2の前後方向両端部に、図5(a)に示される残りの扇状パイプ部材10Aを取り付けるとともに、これらをセンターパイプ8に固定する。また、後側の扇状パイプ部材10の間からエアチューブ19を後方に引き出す。最後に、装置本体2の前端面に、複数の扇状パイプ部材10を覆うように止水膜5を固定リング21,22を用いて取り付ける。
【0041】
尚、セグメント6や扇状パイプ部材10などの各構成部材を連結したときにボルトの頭が飛び出ることがないように、各構成部材にボルトの頭を収容する凹部を形成しておくことが好ましい。
【0042】
次に、上述した止水装置1を用いた、管路Pの止水方法について説明する。図7は、止水装置1をマンホール内で組み立てる工程を示す図である。また、図8は、図7のB−B線断面図である。ここでは、図1や図7に示される補修区間(管路部分P2)の補修(内張り)を行うために、管路P内の、上記補修区間よりも上流側の位置、より具体的には、補修区間のマンホールM1を挟んで上流側にある管路部分P1内に止水装置1を設置する。
【0043】
まず、補修区間である下流側の管路部分P2と止水装置1が設置される上流側の管路部分P1との間に存在する、マンホールM1内に、止水装置1を組み立てるための作業ステージ30を設置する。図7、図8に示すように、マンホールM1の内壁面には、上流側の管路部分P1及び下流側の管路部分P2とそれぞれ接続される2つの接続口31,32が開口している。また、図8に示すように、マンホールM1の下部空間は接続口31(32)よりも幅の大きな広い空間となっている。その上で、マンホールM1の内壁面の、接続口31(32)を左右に挟む位置において、H鋼からなる、鉛直方向に延びる固定部材33を2本(合計4本)それぞれアンカーで固定する。そして、これら4本の固定部材33に作業ステージ30を水平に取り付ける。尚、作業ステージ30で組み立てた止水装置1を真下に降ろすことができるように、作業ステージ30の床板は取り外し可能となっている。
【0044】
また、図8に示すように、マンホールM1の内壁面の、接続口31を上下に挟む位置において、鋼製の2本の支持棒34を、接続口31の左右2本の固定部材33にわたって水平に架け渡し固定する。後で詳述するが、上述した2本の支持棒34は、止水装置1を管路部分P1内に設置した後に、水圧が作用して止水装置1がマンホールM1へ流れてくるのを規制する規制棒38(図11参照)を取り付けるためのものである。さらに、止水装置1に大きな水圧が作用した場合でも、2本の支持棒34を強固にマンホールM1の内壁面に固定しておくために、図7に示すように、他方の接続口32側に設けられた支持棒34との間にわたって複数本の鋼棒35を水平に架け渡しておく。
【0045】
次に、セグメント6や環状チューブ3等の止水装置1の構成部材をマンホールM1内に搬入し、作業ステージ30上において、先に例示したような工程で止水装置1を組み立てる。また、止水装置1を組み立てるマンホールM1に対して上部開口からワイヤ36を引き入れるとともに、マンホールM1よりも上流側に位置する別のマンホールM2から管路部分P1内を通してマンホールM1の下部にワイヤ37を引き入れる。尚、これら2本のワイヤ36,37は、地上に設置された巻き上げ機(図示省略)によってそれぞれ巻取り又は繰り出しがなされる。そして、止水装置1の止水膜5が設けられた端部(図7の下端部)にマンホールM1の下部からのワイヤ37を接続する一方で、それとは反対側の端部(図7の上端部)にマンホールM1の上部からのワイヤ36を接続する。さらに、環状チューブ3用のエアチューブ、及び、水替え用パイプ4内の袋体18用のエアチューブ19(図4参照)を、図示外のエア供給源に接続しておく。
【0046】
そして、上側のワイヤ36によって止水装置1を吊り上げた状態で、作業ステージ30の床面を取り外す。さらに、上側のワイヤ36を繰り出して止水装置1をマンホールM1内で下降させつつ、下側のワイヤ37で止水装置1の下端部を引っ張って止水装置1を横に寝かせながら、止水装置1を作業ステージ30の真下に降ろす。
【0047】
次に、マンホールM1から上流側の管路部分P1内へ止水装置1を引き込む。図9は、止水装置1の管路P(管路部分P1)内への設置工程を示す図である。止水装置1の、ワイヤ37で牽引することにより、マンホールM1内の止水装置1を、接続口31から上流側の管路部分P1内の所定位置まで引き込む。尚、図8に示すように、マンホールMに固定された固定部材33、及び、支持棒34は、管路Pの長さ方向から見て、接続口31と重なっていないことから、これら固定部材33や支持棒34と干渉することなく止水装置1を接続口31から管路部分P1内へ引き込むことができる。
【0048】
次に、管路P内に設置された止水装置1を固定する。図10は、止水装置1を管路P内に固定する工程を示す図、図11は、図10のC−C線断面図である。止水装置1の固定に先立って、まず、水替え用パイプ4に排水ホース20を接続するとともに、この排水ホース20を補修区間(管路部分P2)に通す。このとき、水替え用パイプ4内の袋体18にエアを供給して膨張させ、水替え用パイプ4内の通路を閉止しておくと、水替え用パイプ4と排水ホース20との接続作業が容易になる。
【0049】
次に、マンホールM1内に、管路部分P1内に設置した止水装置1に当接して止水装置1が下流側に流れることを規制する、鋼製の複数本の規制棒38を設置する。図12は、支持棒34と、支持棒34に取り付けられる規制棒38の斜視図である。先にも少し触れたが、図11、図12に示すように、マンホールM1の内壁面の、管路Pとの接続口31の上下の位置には、2本の支持棒34が左右2本の固定部材33にわたって架け渡されている。さらに、図12に示すように、各支持棒34の、接続口31が形成されたマンホールM1の内壁面に面する部分には、間隔を空けて複数の切り込み34aが形成されている。そして、2本の支持棒34の複数の切り込み34aに複数本(図では3本)の規制棒38をそれぞれ挿入することにより、マンホールM1の内壁面に、管路Pとの接続口31を跨ぐように複数本の規制棒38が固定されることになる。尚、図11、図12に示すように、1本の規制棒38を接続口31の中心を横切るように配置することで、この規制棒38が止水装置1のセンターパイプ8の後端面に当接可能となる。
【0050】
その後、水替え用パイプ4内の袋体18へのエア供給を止め、水替え用パイプ4内を開放した後、環状チューブ3内にエアを供給し、環状チューブ3を膨張させて管路部分P1の内面に密着させ、止水装置1を管路部分P1に対して固定する(図4参照)。
【0051】
上記のように補修区間よりも上流側の管路部分P1に止水装置1を設置した後に、マンホールM1から図示しない内張り材を搬入して補修区間(管路部分P2)内に引き込み、この内張り材により管路Pの内面全周を被覆することによって補修区間の補修を行う。尚、この補修作業の間は、止水装置1の水替え用パイプ4内の袋体18にエアを供給せず、水替え用パイプ4内の通路を開放して、補修区間内に通された排水ホース20によって、止水装置1で堰き止められた下水Wを補修区間よりもさらに下流側に流す(水替え)。従って、補修区間内に下水Wが存在しないドライな環境で、補修作業を安全に行うことができ、また、作業性も向上する。
【0052】
補修区間の補修が終了すると、管路P内から止水装置1を撤去する。図13は止水装置1の撤去工程を示す図である。まず、水替え用パイプ4内の袋体18にエアを供給し、膨張させて水替え用パイプ4内の通路を閉止してから、排水ホース20を止水装置1から取り外す。次に、環状チューブ3内のエアを徐々に抜き、収縮させる。尚、排水が堰き止められている状態では、上流側の水圧が高くなり、環状チューブ3が収縮したときに急激に排水が流れるため、水替え用パイプ4内の袋体18へのエア供給を停止し、水替え用パイプ4内を開放して排水させながら、環状チューブ3のエア抜きを行う。
【0053】
次に、一方のワイヤ37を少し引いて止水装置1を少し上流側に移動させた後に、複数本の規制棒38を支持棒34から抜き取り、マンホールM1と管路部分P1との接続口31を開放する。その後、ワイヤ37を徐々に緩め、図13に示すように、水圧に押されて止水装置1が管路部分P1からマンホールM1へ出たら、他方のワイヤ36で牽引して止水装置1を吊り下げる。そして、止水装置1を作業ステージ30に固定した後、解体してマンホールM1から地上へ搬出する。
【0054】
以上説明した本実施形態の止水方法においては、止水装置1よりも下流側のマンホールM1の内壁面に複数本の規制棒38を固定的に設けることで、止水装置1が複数本の規制棒38に当接して下流側(マンホールM1)への移動が規制されることから、止水膜5に大きな水圧が作用した場合でも、止水装置1が下流側に流されるのが確実に防止される。また、複数本の規制棒38は、マンホールM1の管路部分P1との接続口31を跨ぐように配置されていることから、管路部分P1内に設置された止水装置1が、水圧によって流されて接続口31からマンホールM1側に移動してくることが確実に防止される。さらに規制棒38を止水装置1のセンターパイプ8(本発明のパイプ材に相当する)の後端面(止水膜5と反対側の面)に当接可能にすることで、止水膜5に作用する水圧を効果的に受けることができ、耐圧性が向上する。
【0055】
また、複数本の規制棒38は、マンホールM1の内壁面の、管路部分P1の接続口31を上下に挟む位置に固定された2本の支持棒34にわたって架け渡されていることから、複数本の規制棒38がマンホールM1の内壁面に対して強固に固定されることになり、水圧によって止水装置1が流されるのをより確実に防止できる。さらに、2本の支持棒34に形成された複数の切り込み34aに、複数本の規制棒38を挿入するだけで、複数本の規制棒38をマンホールM1の内壁面に容易且つ速やかに固定することができ、また、止水装置1を撤去する際に、規制棒38を取り外す作業も容易である。
【0056】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0057】
1]管路P内に設置された止水装置1が、下流側に流れることを規制する構成は、前記実施形態のものに限られない。即ち、管路Pに固定的に設けられるとともに下流側から止水装置1に当接して、止水装置1が下流側に流れるのを規制することができるものであれば、様々な構成を採用することが可能である。
【0058】
例えば、図14(a)に示すように、複数本の規制棒38がマンホールM1の内壁面に直接アンカーで固定されてもよい。また、図14(b)に示すように、規制棒38が、接続口31を完全に跨ぐような長いものではなく、接続口31の途中まで延びる比較的短いものであってもよい。さらには、止水装置1の下流側への移動を規制する規制手段は棒状のものに限られず、図14(c)に示すように、マンホールM1の内壁面に、接続口31を覆うように固定された板状部材40であってもよい。
【0059】
2]前記実施形態では、止水装置1が水替え用パイプ4を有し、この水替え用パイプ4に排水ホース20を接続することで、図1のように、堰き止めた水を補修区間よりも下流側に送っていたが(水替え)、水替え用パイプ4等の水替えを行うための構成を備えておらず、単に管路P内の水を止水するだけの機能を有する止水装置であってもよい。この場合には、止水装置1に堰き止められている水を、図1に示される、止水装置1よりも上流側のマンホールM2から、排水ホースを用いてバキュームカーで汲み上げて排水する。また、可能であれば、止水装置1で堰き止められる水量がある限界水量を超える間に補修作業を終えるようにしてもよい。
【0060】
あるいは、水替えパイプ4内を開閉する袋体18のみが省かれた構成であってもよい。この場合には、水替えパイプ4に排水ホースを接続し、止水装置1の下流側のマンホールM1から、バキュームカーで汲み上げて排水する。
【0061】
また、水替えパイプ4の本数は2本に限られるものではなく、水替えの水量に応じて適宜変更可能である。例えば、図15(a)に示す止水装置1Aのように、水替えパイプ4の数が1本であってもよい。この場合には、図15(b)に示すように、1本の水替えパイプ4を支持する扇状パイプ部材10の各々が半円状の分割リング14aを有し、2つの扇状パイプ部材10が隣接するセグメント6にそれぞれ取り付けられたときに、2つの分割リング14aから、水替えパイプ4が取り付けられる1つの取付リング14が形成されてもよい。尚、水替え用パイプ4の径が大きいと重くなり、組み立て時の作業性が悪くなるため、水替えの水量が比較的多い場合には水替え用パイプ4を複数設ける方がよい。
【0062】
3]止水膜5を内側(裏側)から支える止水膜5の補強構造は、前記実施形態の構成には限られず、以下に例示するように適宜変更可能である。
【0063】
前記実施形態では、センターパイプ8が装置本体2の内側空間の中心に配置されていたが、水圧を支えられるならば、センターパイプ8が中心から少しずれた位置に配置されてもよい。尚、この場合、センターパイプ8のオフセット量に応じて、その周囲に配置される複数の扇状パイプ部材の形状が少し異なった形状となる。さらには、複数の扇状パイプ部材10のみで止水膜5に作用する水圧を支えられる場合にはセンターパイプ8を省略してもよい。
【0064】
前記実施形態では装置本体2の前後両端部にそれぞれ扇状パイプ部材10が設けられていたが(図5参照)、扇状パイプ部材10が設けられる主な目的は、止水膜5を裏側から支持することであるから、装置本体2の、後端部(止水膜5とは反対側の端部)に扇状パイプ部材10を設ける必要は必ずしもない。但し、前記実施形態の扇状パイプ部材10は、水替え用パイプ4の両端部を支持するという機能もあるため、後端部の扇状パイプ部材10を省略する場合には、水替え用パイプ4の姿勢が不安定にならないように、水替え用パイプ4の後端部を別の部材に固定することが好ましい。
【0065】
また、複数の棒部材が井桁状に組まれた構造や、板状の部材など、前記実施形態のように複数のパイプ11が放射状に配置された構造以外でも止水膜を支えることは可能である。
【0066】
4]前記実施形態では、マンホールM内において、複数の扇形パイプ部材10をそれぞれセグメント6に取り付けた後に、複数の扇形パイプ部材10を覆うように1枚の止水膜5を固定していた。しかし、止水膜5を扇形パイプ部材と同様に複数に分割し、扇形パイプ部材に組み付けて一体化してから、マンホールM内に搬入するようにしてもよい。
【0067】
図16は、この変更形態の止水装置1Bの斜視図であり、(a)は前方から見た図、(b)は後方から見た図である。図17は、セグメント6と分割止水体41の分解斜視図、図18は、扇状パイプ部材43と止水膜42からなる分割止水体41の分解斜視図である。図16〜図18に示すように、止水装置1Bは、複数のセグメント6からなる筒状の装置本体2と、この筒状の装置本体2(複数のセグメント6)の前端面に取り付けられた複数の分割止水体41と、複数の分割止水体41を支持するセンターパイプ8と、複数の分割止水体41に支持された水替え用パイプ44と、装置本体2の外周部に設けられた環状チューブ3等を有する。この変更形態の止水装置1Bにおいては環状チューブ3が1本のみ設けられている。尚、分割止水体41以外の構成については、前記実施形態の止水装置1Bとほぼ同様であるので適宜説明を省略する。
【0068】
図18に示すように、各分割止水体41は、扇形の止水膜42と、この止水膜42を前後に挟む2つの扇状パイプ部材43とを有する。複数の分割止水体41(41A,41B)のうち、下側に位置するセグメント6に取り付けられる2つの分割止水体41Bにおいては、止水膜42に水替え用パイプ4を通す穴42aが形成され、また、扇形パイプ部材43にも水替え用パイプ4を取り付けるための取付リング43aが形成されている。また、この分割止水体41の一方の扇形パイプ部材43には扇枠状のパッキン44が重ねられる。そして、扇状パイプ部材43、止水膜42、扇状パイプ部材43、パッキン44を順に重ねてから、ボルトにより一体化することで、1つの分割止水体41が構成される。また、複数の分割止水体41は周方向に並べられた状態で、筒状の装置本体2(複数のセグメント6)の前端面にパッキン44を介して取り付けられることで、筒状の装置本体2の内部空間を塞ぐようになっている。
【0069】
分割止水体41のセグメント6への取付についてより具体的に説明する。図17に示すように、センターパイプ8の前端面の外周部にはセグメント6と同数の凹部8aが周方向に等間隔空けて形成されるとともに、複数のセグメント6の前端面の周方向中央部にもそれぞれ凹部6aが形成されている。そして、センターパイプ8の複数の凹部8aと、複数のセグメント6にそれぞれ形成された複数の凹部6aとの間に、複数の細長い連結板45がそれぞれ架け渡されている。また、各連結板45の幅方向両端部にはそれぞれ段付き部(図示省略)が形成されており、1つの連結板45の周方向両側に配置された2つの分割止水体41が、連結板45の2つの段付き部に重ねられた状態でセグメント6及びセンターパイプ8に固定される。即ち、複数の連結板45は、水圧を受ける分割止水体41を裏側から支えるとともに、周方向に隣接する2つの分割止水体41の間をシールする役割も果たしている。尚、図16(b)に示すように、センターパイプ8及びセグメント6の後端側にも複数の連結板45が設けられており、装置本体2の前端部に設けられた複数の分割止水体41が受ける水圧を、センターパイプ8を介して、装置本体2の後端部に分散させる役割を果たしている。
【0070】
以上の止水装置1Bは、図18に示す、止水膜42を有する分割止水体41を地上で組み立ててから、これらをマンホールM内に搬入してセグメント6及びセンターパイプ8に組み付ける。前記実施形態では、先に複数のセグメント6と複数の扇状パイプ部材43を組み立ててから、1枚の面積の大きな止水膜42を貼り付けており、管路Pの径が大きくなるほどその作業は困難なものとなるが、これと比較すると、本変更形態の止水装置1Bでは、狭いマンホールM内での組み立て作業が容易である。
【0071】
5]以上説明した実施形態及びその変更形態は、本発明を下水道管内の止水に適用した例であるが、例えば、上水道管や農業用水管など、下水道管以外の管路の止水に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0072】
1,1A,1B 止水装置
2 装置本体
3 環状チューブ
5 止水膜
10 扇状パイプ部材
11 パイプ
31 接続口
34 支持棒
37 ワイヤ
38 規制棒
42 止水膜
43 扇状パイプ部材
M マンホール
P 管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が流れる管路内に止水装置を設置し、
前記管路内の前記止水装置よりも下流側の位置に、前記止水装置に当接して前記止水装置が下流側に流れるのを規制する規制手段を、前記管路に固定的に設けることを特徴とする管路の止水方法。
【請求項2】
前記止水装置を、前記管路に接続されたマンホールから前記管路内に設置し、
前記規制手段として複数本の規制棒を用い、前記マンホールの内壁面に前記管路のマンホールとの接続口を跨ぐように前記複数本の規制棒を固定することを特徴とする請求項1に記載の管路の止水方法。
【請求項3】
前記マンホールの内壁面の、前記管路の前記接続口を挟む位置に、2本の支持棒を互いに平行となるように固定し、
前記複数本の規制棒を、前記2本の支持棒にわたって架け渡して、これら2本の支持棒に固定することを特徴とする請求項2に記載の管路の止水方法。
【請求項4】
前記支持棒の前記マンホールの内壁面に面する部分には、複数の切り込みが間隔を空けて形成されており、
前記規制棒を、前記2本の支持棒にそれぞれ形成された前記切り込みに挿入することにより、前記2本の支持棒に固定することを特徴とする請求項3に記載の管路の止水方法。
【請求項5】
前記止水装置にワイヤを連結し、前記ワイヤで牽引することにより、前記止水装置を、前記管路に接続されたマンホールから前記管路内の所定位置まで引き込むことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の管路の止水方法。
【請求項6】
請求項1の管路の止水方法に用いられる止水装置であって、
筒状の装置本体と、
前記装置本体の外周側に設けられた環状チューブと、
前記装置本体の内側空間を閉塞する止水膜と、
前記装置本体にその筒軸方向において前記止水膜と隣接するように取り付けられ、前記止水膜を支える補強部材とを有することを特徴とする止水装置。
【請求項7】
前記装置本体の一端面に前記補強部材が取り付けられるとともに、前記補強部材を外側から覆うように前記止水膜が設けられ、
前記補強部材には、前記装置本体の他端側へ延びるパイプ材が連結されていることを特徴とする請求項6に記載の止水装置。
【請求項8】
前記装置本体の両端面に前記補強部材がそれぞれ取り付けられるとともに、一方の端部の前記補強部材を外側から覆うように前記止水膜が設けられ、
前記装置本体の両端部にそれぞれ設けられた前記補強部材が、前記装置本体内に挿通されたパイプ材によって連結されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の止水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−122596(P2012−122596A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276052(P2010−276052)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】