説明

管路位置計測方法及び装置

【課題】本発明は、複数の現場における管路位置計測体からのデータを一括してデータ管理することを目的とする。
【解決手段】本発明による管路位置計測方法及び装置は、プローブ(3)と演算部(10)とからなる複数の管路位置計測体(40)を通信手段(51)を介してデータ管理部(50)に接続し、各管路位置計測体(40)からの各孔(1)の孔経路計測情報(2)を一括して収集する方法と構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路位置計測方法及び装置に関し、特に、プローブと演算部とからなる複数の管路位置計測体からの孔経路計測情報をデータ管理部にケーブルを介して収集し、複数の掘削する孔の現場状況を1ケ所で集中管理することができるようにするための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の管路位置計測方法及び装置としては、最近社内開発し、公開公報として公開されていないため、特許文献等は開示していないが、掘削した孔の中に挿入するプローブと演算部、ケーブル等からなる管路位置計測体は、その孔毎に挿入され、孔の孔経路計測情報が出力されていた。
従って、複数の孔(互いに近い場所にある場合、互いに離れた場所にある場合)の計測を行っている場合は、その現場毎にデータ管理を行っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の管路位置計測方法及び装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、複数の孔計測現場のデータは、各々の現場でデータ管理されていたため、各現場のデータを集中して管理することができず、データ処理の遅れとなっていた。
また、埋設管の場合には、最終的に地図データに変換する必要があるが、このデータ処理装置を各現場毎に用意しなければならず、コスト負担も容易ではなかった。
また、各現場では、各々のデータを処理するために、データ処理時における計測したデータの損失リスクも存在していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明による管路位置計測方法及び装置は、孔の中に挿入するプローブにて姿勢・方位角演算を行い、前記プローブに接続されたケーブルのケーブル速度をケーブル測長器で計測し、前記姿勢・方位角とケーブル速度を用いて前記孔の経路を演算部にて計測するようにした管路位置計測方法において、前記プローブと演算部とからなる複数の管路位置計測体を通信手段を介してデータ管理部に接続し、前記各管路位置計測体からの前記各孔の孔経路計測情報を前記通信手段を介して前記データ管理部で収集する方法であり、また、前記演算部には、前記孔経路計測情報を表示するための表示器と、前記孔経路計測情報を記憶するための記憶回路が設けられている方法であり、また、前記姿勢・方位角及びケーブル速度を前記データ管理部に直接入力させる方法であり、また、本発明による管路位置計測装置は、孔の中に挿入するプローブにて姿勢・方位角演算を行い、前記プローブに接続されたケーブルのケーブル速度をケーブル測長器で計測し、前記姿勢・方位角とケーブル速度を用いて前記孔の経路を演算部にて計測するようにした管路位置計測装置において、前記プローブと演算部とからなる複数の管路位置計測体をデータ管理部に接続するための通信手段を有し、前記各管路位置計測体からの前記各孔の孔経路計測情報を前記通信手段を介して前記データ管理部で収集する構成であり、また、前記演算部には、前記孔経路計測情報を表示するための表示器と、前記孔経路計測情報を記憶するための記憶回路が設けられている構成であり、また、前記姿勢・方位角及びケーブル速度を前記データ管理部に直接入力させる構成である。
【発明の効果】
【0005】
本発明による管路位置計測方法及び装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、各現場における各管路位置計測体からの孔経路計測情報又は姿勢・方位角とケーブル速度をデータ管理部で一括して処理することができ、複数の現場の各種データの収集が迅速かつ容易となる。
データ管理部と現場の距離に関係なく、現場での作業状態を遠隔のデータ部でリアルタイムに把握することが可能になり、掘削現場で複数のプローブ又は装置が稼動している場合、作業の集中管理が可能となる。
また、すでに埋設されている埋設管の場合には、最終的に地図データに変換する必要があるため、データ管理部としてのデータ処理装置が1台あれば、複数の現場からのデータを一括処理でき、多くの現場の状況の把握が容易となる。
また、各現場のデータを一括して処理できるため、煩雑な現場におけるデータ損失のリスクを排除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面と共に本発明による管路位置計測方法及び装置の好適な実施の形態について説明する。
図1は、掘削された孔1の孔経路計測情報2(図2に示す)を得る時の計測座標を示し、図2及び図3のプローブ3内の角速度計4及び加速度計5により得られた姿勢・方位角6の演算を演算回路7で行い、このプローブ3を移動させるケーブル8のケーブル速度14を用いて演算部10で演算して前記孔経路計測情報2を得ている。
【0007】
前記プローブ3と演算部10とは、図3で示されるように構成されている。
すなわち、前記プローブ3の角速度計4及び加速度計5で得られた角速度及び加速度を演算回路7で演算して得られたプローブ3の姿勢・方位角6は、第1通信回路12を経て、ケーブル測長器13からのケーブル速度14と共に、演算部10の入力回路15及び第2通信回路16を介して演算/表示回路17に入力され演算が行われる。
【0008】
前述のプローブ3で計測した姿勢・方位角6、すなわち、姿勢角(ピッチ角:θ)及び方位角(ψ)とケーブル測長器13からのケーブル速度14(単位時間当りの移動距離:V)より、前記演算部10にて周知の数1の(1)式により、孔1の位置を計測することができる。
尚、図1は、水平位置(Y)と垂直位置(Z)の孔20の位置の計測座標を示している。
【数1】

【0009】
前記演算部10の演算/表示回路17から出力され、前記姿勢・方位角6及びケーブル速度14に基づく前記孔経路計測情報2は、表示器18で表示されると共に、記憶回路19で記憶される。
【0010】
前記プローブ3、ケーブル8、ケーブル測長器13、ケーブル巻取器13a及び演算部10等により、装置としての管路位置計測体40を構成しているが、この管路位置計測体40の運用フローとしては、図4に示される通りである。
【0011】
すなわち、図4においては、まず、第1ステップ60の計測モードにおいて、図1に示す孔1内で前記管路位置計測体40を往復させ、往路及び復路のプローブ3からのセンサデータである姿勢・方位角6及びケーブル8のケーブル速度14を演算部10の記憶回路19に記憶して記録する。
【0012】
次に、第2ステップ61の演算モードでは、前述の姿勢・方位角6及びケーブル速度14を用いて、孔1の位置を示す孔経路計測情報2を演算し、第3ステップ62の表示モードにおいて、前述の演算結果の孔経路計測情報2をグラフ化し、図1の水平位置Y及び垂直位置Zの内容を前記表示器18で表示すると共に前記記憶回路19で記憶して記録することができる。
【0013】
次に、第4ステップ63の通信モードにおいて、前述の孔経路計測情報2を図5のデータ管理部50へ無線、有線、インターネット等の通信手段51を介して伝送し、データの収集が行われる。
【0014】
また、前述の処理フローは、図4の実線矢印で示した処理であるが、他の処理フローとして点線で示すように、各現場の各管路位置計測体40を用いて前記第1ステップ60で得られた前記センサデータである姿勢・方位角6とケーブル速度14を前記各演算部10に入力するのではなく、一括して前記データ管理部50に直接入力し、このデータ管理部50内で前述の第2ステップ61の演算モード及び第3ステップ62の表示モードの処理を行い、図示していないが、前記データ管理部50の表示器で表示されると共に記憶回路で記録される。
【0015】
尚、前述の第2ステップ61の演算モードにおいては、図示されているように、孔1内をプローブ3が走行する往路データに対して、復路の復路データは時間軸を逆転しファイルを作り直すことにより得ると共に、前記プローブ3内の角速度計4及び加速度計5等のセンサの補正は、個有の補正として、バイアス、スケールファクタ及びクロスカップリングの補正を行っている。
【0016】
また、図5に示されているように前述の複数の孔1の掘削等の現場A、B・・・nに配設されて運用されている各管路位置計測体40からの前記姿勢・方位角6及びケーブル速度14は、前記データ管理部50の指示情報52によってデータ管理部50に入力され、前述の図4の実線矢印又は点線で示される処理フローによるデータ処理が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による管路位置計測方法及び装置を用いて計測した計測座標を示す構成図である。
【図2】本発明による管路位置計測装置を示す構成図である。
【図3】図1の要部を示す詳細構成図である。
【図4】本発明におけるデータ処理のフローを示すフロー図である。
【図5】本発明による各管路位置計測体をデータ管理部に伝送する構成を示す構成図である。
【符号の説明】
【0018】
1 孔
2 孔経路計測情報
3 プローブ
4 角速度計
5 加速度計
6 姿勢・方位角
7 演算回路
8 ケーブル
10 演算部
12 第1通信回路
13 ケーブル測長器
13a ケーブル巻取器
14 ケーブル速度
15 入力回路
16 第2通信回路
17 演算/表示回路
18 表示器
19 記憶回路
40 管路位置計測体
50 データ管理部
51 通信手段
52 指示情報
60〜63 第1〜第4ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔(1)の中に挿入するプローブ(3)にて姿勢・方位角演算を行い、前記プローブ(3)に接続されたケーブル(8)のケーブル速度(14)をケーブル測長器(13)で計測し、前記姿勢・方位角(6)とケーブル速度(14)を用いて前記孔(1)の経路を演算部(10)にて計測するようにした管路位置計測方法において、
前記プローブ(3)と演算部(10)とからなる複数の管路位置計測体(40)を通信手段(51)を介してデータ管理部(50)に接続し、前記各管路位置計測体(40)からの前記各孔(1)の孔経路計測情報(2)を前記通信手段(51)を介して前記データ管理部(50)で収集することを特徴とする管路位置計測方法。
【請求項2】
前記演算部(10)には、前記孔経路計測情報(2)を表示するための表示器(18)と、前記孔経路計測情報(2)を記憶するための記憶回路(19)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の管路位置計測方法。
【請求項3】
前記姿勢・方位角(6)及びケーブル速度(14)を前記データ管理部(50)に直接入力させることを特徴とする請求項1又は2記載の管路位置計測方法。
【請求項4】
孔(1)の中に挿入するプローブ(3)にて姿勢・方位角演算を行い、前記プローブ(3)に接続されたケーブル(8)のケーブル速度(14)をケーブル測長器(13)で計測し、前記姿勢・方位角(6)とケーブル速度(14)を用いて前記孔(1)の経路を演算部(10)にて計測するようにした管路位置計測装置において、
前記プローブ(3)と演算部(10)とからなる複数の管路位置計測体(40)をデータ管理部(50)に接続するための通信手段(51)を有し、前記各管路位置計測体(40)からの前記各孔(1)の孔経路計測情報(2)を前記通信手段(51)を介して前記データ管理部(50)で収集する構成としたことを特徴とする管路位置計測装置。
【請求項5】
前記演算部(10)には、前記孔経路計測情報(2)を表示するための表示器(18)と、前記孔経路計測情報(2)を記憶するための記憶回路(19)が設けられていることを特徴とする請求項3記載の管路位置計測装置。
【請求項6】
前記姿勢・方位角(6)及びケーブル速度(14)を前記データ管理部(50)に直接入力させることを特徴とする請求項4又は5記載の管路位置計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−190986(P2008−190986A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25312(P2007−25312)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)