説明

箱網

【課題】製造コストを下げると共に、材料の浪費を避けることができる箱網の提供。
【解決手段】底面部(33)と、該底面部の周縁全体から延伸して延伸先端側に開口している周面部(34)とを有する箱網であって、複数の網ユニット(31)から無端配列になるものであり、該複数の網ユニットは、同等のサイズで、いずれも、平面に広げられると方形になるものであって、無端配列における配列方向と直交している両側辺で隣接の2の網ユニットの相当の部分と連接していて、合わせて周面部になっている第1の部分(311)と、第1の部分における両側辺と隣接している一辺である底辺(3111)全体から延伸している上、無端配列において、その延伸方向の両側縁で隣接の2の網ユニットの相当の部分と連接していて、合わせて底面部になっている第2の部分(312)と、を備えていることを特徴とする箱網を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は漁業や養殖業に使用される網に関し、特に、所定空間を囲む略皿状に作成される箱網に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、特許文献1により開示されている箱網の斜視図である。図示のように、該箱網1は5枚の網ユニット11を有し、海中や養殖池の中に懸架されている状態で収容空間12を囲むことができる略皿状になる他、上端縁に複数のボール状浮力ユニット2が取り付けられている。
【0003】
このような標準的な構成を有する箱網1はサイズが大きく、5枚の網ユニット11も全て広い面積を有するため、この5枚の網ユニット11を組み合わせるのにコストがかかる。また、各網ユニット11のサイズか確実に対応しないと組み立てた箱網1の形状が歪むことになる。
【0004】
また、このような方形箱状の他、図2に示されているように、海中や養殖池の中に懸架されている状態で略円形底面部14と円柱面状の周面部13とを備える箱網もある。このような箱網は、平面に広げられると略円形になる底面部14を作製するのに、まずは方形の網材から略円形に切り取るので、網材の浪費が激しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾実用新案第M252267号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題点に鑑みて、本発明は製造コストを下げると共に、材料の浪費を避けることができる箱網の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明は底面部と、該底面部の周縁全体から延伸して延伸先端側に開口している周面部とを有する箱網であって、複数の網ユニットから無端配列になるものであり、該複数の網ユニットは、同等のサイズで、いずれも、平面に広げられると方形になるものであって、前記無端配列における配列方向と直交している両側辺で隣接の2の網ユニットの相当の部分と連接していて合わせて前記周面部になっている第1の部分と、前記第1の部分における前記両側辺と隣接している一辺である底辺全体から延伸している上、前記無端配列において、その延伸方向の両側縁で隣接の2の網ユニットの相当の部分と連接していて、合わせて前記底面部になっている第2の部分と、を備えていることを特徴とする箱網を提供する。
【0008】
上記箱網において、前記周面部は、その開口が上にあり、且つ略円形に保持されて懸架されると略円筒形になることができるように構成されており、前記第2の部分は、平面に広げられると、前記第1の部分の前記一辺を底辺とし、且つ、その高さが前記周面部が保持されてなる略円筒形の半径より長い二等辺三角形になるものであり、また、前記底面部は、前記各網ユニットにおける第2の部分により、前記周面部が懸架されて前記略円筒形に保持されている状態において、懸架されて倒置型の略円錐面形になるように構成されることができる。
【0009】
上記箱網において、前記周面部は、前記開口が上にあり、且つ略円形に保持されて懸架されると略円筒形になることができるように構成されており、前記第2の部分は、平面に広げられると、該第2の部分が属する網ユニットにおける第1の部分の該第2の部分に臨んでいる辺をその直角を挟む二辺における一つの辺とし、且つ、その斜辺が前記周面部が保持されてなる略円筒形の半径より長い直角三角形になるものであり、また、前記底面部は、その各第2の部分の前記直角三角形の直角を挟む二辺における他の一つの辺が、該第2の部分に隣り合っている他の網ユニットにおける第2の部分の斜辺と連結している上、前記周面部が懸架されて前記略円筒形に保持されている状態において、懸架されて倒置型略円錐台面形になることができるように構成されることができる。
【0010】
上記箱網において、4つの網ユニットから連続的になっているものであり、また、前記周面部は、前記4つの網ユニットにおける4つの前記第1の部分からなっており、且つ、それぞれの前記第2の部分から離れた端縁がそれぞれ方形の一辺となるように保持されて懸架されると方筒形になることができるように構成されており、前記第2の部分は、平面に広げられると、該第2の部分が属する網ユニットにおける第1の部分の該第2の部分に臨んでいる辺をその上底とし、且つ、その上底と下底とを結ぶ2つの斜辺の長さが同等である逆台形になるものであり、また、前記底面部は、その各第2の部分の各斜辺がそれぞれ該第2の部分と隣り合っている他の網ユニットにおける第2の部分の対応斜辺と連結している上、前記周面部が懸架されて前記方筒形に保持されている状態において、懸架されて倒置型の四角錐台面形になるように構成されることができる。
【0011】
前記4つの網ユニットは、平面に広げられると方形になる一枚の網材から同等のサイズに区切られたものであり、前記各網ユニットは、いずれも、前記網材において前記第1の部分と前記第2の部分とを有している上、前記網材には、更に、前記各第2の部分の左右両斜辺からそれぞれ延伸している上、隣り合っている他の網ユニットの同等部分と連接している直角三角形の余り部分があって、前記網材が方形に広げられると前記各網ユニットも前記第2の部分から延伸している直角三角形の余り部分と合わせて方形になることができるようになっており、また、各網ユニットにおける余り部分は、隣り合っている他の網ユニットの同等の部分とは、互いに重なるように折畳まれていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
上記構成により、本発明はサイズが大きい1枚の方形網材から箱網の大部分を作成することができるので、製造コストを下げると共に、材料の浪費を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の箱網の第1の構成例の斜視図である。
【図2】従来の箱網の第2の構成例の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の箱網が懸架されている状態の斜視図である。
【図4】図3に示されている第1の実施形態の底面部の平面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の箱網が懸架されている状態の斜視図である。
【図6】図5に示されている第2の実施形態の底面部の平面図である。
【図7】前記第2の実施形態における各網ユニットの構成が示されている平面図である。
【図8】前記第2の実施形態における各網ユニットの作成方法が示されている説明図である。
【図9】本発明の第3の実施形態における各網ユニットの構成が示されてい3る平面図である。
【図10】前記第3の実施形態の箱網が懸架されている状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、前掲図面を参照しながら、本発明の各好ましい実施形態について説明する。
図3、図4では第1の実施形態が示されており、図示のように、本発明の第1の実施形態は、底面部33と、該底面部33の周縁全体から延伸して延伸先端側に開口している周面部34とを有してなるものである。
【0015】
この箱網は、複数の網ユニット31から無端配列するように作成されたもので、該複数の網ユニット31は同等のサイズで、いずれも、第1の部分311と第2の部分312とを有している。
【0016】
第1の部分311は、平面に広げられると方形になるものであり、前記無端配列における配列方向と直交している両側辺で隣接の2の網ユニット31の相当の部分と連接していて、合わせて前記周面部になっている。
【0017】
第2の部分312は、第1の部分311における前記両側辺と隣接している一辺である底辺3111全体から延伸していると共に、前記無端配列にいて、その延伸方向の両側縁で隣接の2の網ユニット31の相当の部分と連接していて、合わせて前記底面部になっている。
【0018】
本発明における網ユニット31は、個々に作成する必要が全く無く、一枚の大きいサイズを有する網材から各網ユニットに区切って適切な形状に形成すればよく、多数の網ユニットを結びつけるコストを軽減させることができると共に、材料の浪費を避けることもできる。
【0019】
以上は本発明の箱網の各実施形態の共通構成であるが、この第1の実施形態において、各網ユニット31がそれぞれ有する第2の部分312は、平面に広げられると全て同じ形状と面積を有する二等辺三角形であると共に、それらが有している同じ長さの辺で互いに連結されている。
【0020】
この構成により、本発明の箱網の第1の実施形態における周面部34は、図示のように、その開口が上にあって、且つ略円形に保持されて懸架されると略円筒形になる。また、周面部34が懸架されて前記略円筒形に保持されている状態においては、底面部33は懸架されて倒置型の略円錐面形になる。
【0021】
ちなみに、懸架される底面部33を倒置型の略円錐面形にするため、各第2の部分312の形状である二等辺三角形の高さを略円筒形に懸架される周面部34の略円筒形の半径より長く形成する必要がある。
【0022】
また、この実施形態では、図示のように、各網ユニット31における前記底辺3111の両端に箱網を懸架して展開するためのフック32が取り付けられている。
【0023】
図5〜図8では第2の実施形態が示されており、図示のように、本発明の第2の実施形態は第1の実施形態と類似する構成を有しているが、各網ユニット31における第2の部分312は、平面に広げられると二等辺三角形ではなく、底辺3111をその直角を挟む二辺における一つの辺とする直角三角形である。
【0024】
図6、図7に示されているように、第2の実施形態において、底面部33は、底辺3111と直交する隣辺3121を隣り合っている他の網ユニット31における第2の部分の斜辺3122と連結することにより作られ、斜辺3122の隣辺3121より長い部分で、底面部33の中心に孔35を画成している。
【0025】
この第2の実施形態は、周面部34が懸架されて略円筒形に保持されている状態において、底面部33は懸架されて倒置型略円錐台面形になり、先端に孔35が開いている。
【0026】
この孔35を介して、例えば養殖業では死んだ魚を箱網外に排出することができ、孔35を必要としない場合は、例えば図5に示されているように閉じ網36で封止することができる。閉じ網36は材料を円形に切り取って作成するが、サイズが箱網全体と較べて極めて小さいので、使用する材料量が最小限に留まり、浪費にならない。
【0027】
ちなみに、第1の実施形態と同じく、懸架される底面部33を倒置型の略円錐面形にするため、各第2の部分312の形状である直角三角形の斜辺3122を略円筒形に懸架される周面部34の略円筒形の半径より長く形成する必要がある。
【0028】
この第2の実施形態の利点は図8に示されているように、平面に広げられると直角三角形になっている第2の部分312は、方形の網材から斜めに切り分ければ作成することができるので、一枚の大きい網材から2つの網材になるように整斉にジグザグに切り分ければ、この2つの網材からそれぞれ、1つの本発明の第2の実施形態の箱網を作成することができる。
【0029】
続いて、図9、図10を用いて本発明の第3の実施形態について説明する。図示されているように、本発明の第3の実施形態は第1、第2の実施形態と類似する構成を有しているが、この実施形態は4つの網ユニット31により方形箱状に形成されるものである。
【0030】
この4つの網ユニット31は、平面に広げられると方形になる一枚の網材30に連続して並び、且つ同等のサイズに区切られたものである。
【0031】
周面部34は、4つの網ユニット31における4つの第1の部分311からなり、且つ、それぞれの第2の部分312から離れた端縁(図中の上端縁)がそれぞれ方形の一辺となるように保持されて懸架されると方筒形になることができるように構成されている。
【0032】
第2の部分312は、平面に広げられるとそれが属する網ユニットにおける第1の部分311の該第2の部分312に臨んでいる辺をその上底3123とし、且つ、その上底3123と下底3124とを結ぶ2つの斜辺3125の長さが同等である逆台形になるものである。
【0033】
底面部33は、各第2の部分312の各斜辺3125がそれぞれ該第2の部分312と隣り合っている他の網ユニット31における第2の部分312の対応斜辺3125と連結していて先端に孔35を画成している上、周面部34が懸架されて前記方筒形に保持されている状態において、懸架されて前記孔35で下へ開口する倒置型の四角錐台形になるように構成されている。
【0034】
また、図9に示されているように、各網ユニット31は、いずれも、前記網材30において、平面に広げられると方形になる第1の部分311と平面に広げられると逆台形になる第2の部分312とを有している上、前記網材30には、更に、各第2の部分312の左右両斜辺3125からそれぞれ延伸している直角三角形の余り部分313があって、前記網材30が平面に広げられると前記各網ユニット31もそれから延伸している直角三角形の余り部分313と合わせて方形になることができるようになっている。
【0035】
従って、本発明の第3の実施形態は、平面に広げられると方形になる一枚の網材30から作成することができ、各網ユニット31における各第2の部分を結びつけて懸架されると倒置型の四角錐台面形になる底面部33を有するように作成すると、図10に示されているように、各網ユニット31に余り部分313ができ、該余り部分313は、隣り合っている他の網ユニット31の同等の部分と連接しているので、それと互いに重なるように箱網外に折畳まれる。
【0036】
この第3の実施形態の利点は、平面に広げられると方形になる一枚の網材30から作成することによって、網材30から不要な部分を切り取って廃棄することなく作成できる上、区切られた4つの網ユニット31がそれぞれ有する第2の部分312の各斜辺3125を縫い付けるだけで作成することができ、製造コストを軽減することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
上記構成により、本発明はサイズが大きい1枚の方形網材から箱網の大部分を作成することができるので、製造コストを下げると共に、材料の浪費を避けることができる。
【符号の説明】
【0038】
30 網材
31 網ユニット
311 第1の部分
3111 底辺
312 第2の部分
3121 隣辺
3122 斜辺
3123 上底
3124 下底
3125 斜辺
313 余り部分
32 フック
33 底面部
34 周面部
35 孔
36 閉じ網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部と、該底面部の周縁全体から延伸して延伸先端側に開口している周面部とを有する箱網であって、
複数の網ユニットから無端配列になるものであり、
該複数の網ユニットは、同等のサイズで、いずれも、
平面に広げられると方形になるものであって、前記無端配列における配列方向と直交している両側辺で隣接の2の網ユニットの相当の部分と連接していて、合わせて前記周面部になっている第1の部分と、
前記第1の部分における前記両側辺と隣接している一辺である底辺全体から延伸しており、かつ、前記無端配列において、その延伸方向の両側縁で隣接の2の網ユニットの相当の部分と連接していて、合わせて前記底面部になっている第2の部分と、を備えている、
ことを特徴とする箱網。
【請求項2】
前記周面部は、その開口が上にあり、且つ略円形に保持されて懸架されると略円筒形になることができるように構成されており、
前記第2の部分は、平面に広げられると、前記第1の部分の前記一辺を底辺とし、且つ、その高さが前記周面部が保持されてなる略円筒形の半径より長い二等辺三角形になるものであり、
また、前記底面部は、前記各網ユニットにおける第2の部分により、前記周面部が懸架されて前記略円筒形に保持されている状態において、懸架されて倒置型の略円錐面形になることができるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の箱網。
【請求項3】
前記周面部は、前記開口が上にあり、且つ略円形に保持されて懸架されると略円筒形になることができるように構成されており、
前記第2の部分は、平面に広げられると、該第2の部分が属する網ユニットにおける第1の部分の該第2の部分に臨んでいる辺をその直角を挟む二辺における一つの辺とし、且つ、その斜辺が前記周面部が保持されてなる略円筒形の半径より長い直角三角形になるものであり、
また、前記底面部は、その各第2の部分の前記直角三角形の直角を挟む二辺における他の一つの辺が、該第2の部分に隣り合っている他の網ユニットにおける第2の部分の斜辺と連結しており、かつ、前記周面部が懸架されて前記略円筒形に保持されている状態において、懸架されて倒置型略円錐台面形になることができるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の箱網。
【請求項4】
4つの網ユニットから連続的になっているものであり、また、
前記周面部は、前記4つの網ユニットにおける4つの前記第1の部分からなっており、且つ、それぞれの前記第2の部分から離れた端縁がそれぞれ方形の一辺となるように保持されて懸架されると方筒形になることができるように構成されており、
前記第2の部分は、平面に広げられると、該第2の部分が属する網ユニットにおける第1の部分の該第2の部分に臨んでいる辺をその上底とし、且つ、その上底と下底とを結ぶ2つの斜辺の長さが同等である逆台形になるものであり、
また、前記底面部は、その各第2の部分の各斜辺がそれぞれ該第2の部分と隣り合っている他の網ユニットにおける第2の部分の対応斜辺と連結している上、前記周面部が懸架されて前記方筒形に保持されている状態において、懸架されて倒置型の四角錐台面形になることができるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の箱網。
【請求項5】
前記4つの網ユニットは、平面に広げられると方形になる一枚の網材から同等のサイズに区切られたものであり、
前記各網ユニットは、いずれも、前記網材において前記第1の部分と前記第2の部分とを有している上、前記網材には、更に、前記各第2の部分の左右両斜辺からそれぞれ延伸しており、かつ、隣り合っている他の網ユニットの同等部分と連接している直角三角形の余り部分があって、前記網材が方形に広げられると前記各網ユニットも前記第2の部分から延伸している直角三角形の余り部分と合わせて方形になることができるようになっており、
また、各網ユニットにおける余り部分は、隣り合っている他の網ユニットの同等の部分とは、互いに重なるように折畳まれている、
ことを特徴とする請求項4に記載の箱網。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−125336(P2011−125336A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278105(P2010−278105)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(510329213)
【Fターム(参考)】