説明

簡易便器

【課題】本発明は、簡易便器の高さ調節作業を極めて簡単に行うことを課題とする。
【解決手段】内側に複数個のダボ23を設けた横長幅狭形状の位置合わせ具22を脚枠6とは別体に準備し、便器本体枠5の左右側板3のダボ孔列14の所定高さ位置のダボ孔13を選択し、該位置合わせ具22の複数個のダボ23を該選択したダボ孔13に嵌着して該左右側板3の所定高さ位置に該位置合わせ具22を取り付け、該位置合わせ具22の下縁に該脚枠6の脚板18の上端を当接させて該脚枠6の上下取付け位置を決定し、該脚枠6の摺動スリット19を介して外側から固定ボルト38を該左右側板3のボルト孔15に螺着して該脚枠6を該左右側板3に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として高齢者や体の不自由な人が室内で使用する簡易便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高齢者や体の不自由な人などの使用者の体型に合わせて、便器本体の基脚部に脚部材を高さ調節可能とした簡易便器として、便器本体の基脚部には縦に複数個のダボ孔を兼ねたねじ孔を配設し、一方、脚部材には該ねじ孔に適合する位置にねじ素孔と該ねじ孔に嵌着されるダボとを設け、ガタツキを防止したものが提供されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−339574号公報(第2−4頁、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の構成では、脚部材の高さを調節する際に、脚部材のダボと該ダボを嵌着する基脚部のダボ孔を目視することができないため、高さ調節作業を簡単に行うことができないおそれがあるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、便器本体枠5の左右側板3の内側に脚枠6を上下取付け位置調節可能に取り付けた簡易便器1であって、該左右側板3の内側にはダボ孔13の複数個を縦設したダボ孔列14の複数列が設けられており、また、該左右側板3には前後一対のボルト孔15が設けられており、一方、脚枠6は、底板17と、該底板17の前後に立設されている脚板18とからなり、該脚板18には摺動スリット19がそれぞれ設けられており、更に、内側に複数個のダボ23を設けた横長幅狭形状の位置合わせ具22を該脚枠6とは別体に準備し、該左右側板3のダボ孔列14の所定高さ位置のダボ孔13を選択し、該位置合わせ具22の複数個のダボ23を該選択したダボ孔13に嵌着することによって該左右側板3の所定高さ位置に該位置合わせ具22を取り付け、該位置合わせ具22の下縁に該脚枠6の脚板18の上端を当接させることによって該脚枠6の上下取付け位置を決定し、該脚枠6の摺動スリット19を介して外側から固定ボルト38を該左右側板3のボルト孔15に螺着することによって該脚枠6を該左右側板3に固定する簡易便器1を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の簡易便器1では、脚枠6とは別体に横長幅狭形状の位置合わせ具22を準備し、該位置合わせ具22を該左右側板3の所定高さ位置に取り付けた後、該位置合わせ具22の下縁に該脚枠6の脚板18の上端を当接させることによって該脚枠6の上下取付け位置を決定することができるので、高さ調節作業を極めて簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を図1〜図5に示す一実施例によって説明する。
図1および図2に示すように、本実施例の簡易便器1は、前板2と左右側板3と背板4とからなる木製の便器本体枠5と、該便器本体枠5の左右側板3の内側に5段階に上下取付け位置調節可能に取り付けられる左右一対の脚枠6と、該便器本体枠5の上面に取り付けられる木製の座枠7と、該座枠7内に挿入懸架される便バケツ8と、該座枠7の後端部に跳ね上げ可能に枢着される便座9と、該便座9上において該便器本体枠5の後部上端に跳ね上げ可能に枢着される便蓋10と、該便器本体枠5の左右側板3に取り付けられる左右一対の肘掛け枠11と、該便器本体枠5の左右側板3の後端上部から立設される背もたれ枠12とからなる。
【0008】
図2〜図5に示すように、該便器本体枠5の左右側板3の内側には5個のダボ孔13を縦設した2列のダボ孔列14が設けられており、また、該左右側板3の内側には最下位置のダボ孔13よりも下側に前後一対のボルト孔15が設けられている。
【0009】
該脚枠6は、後端部に移動用キャスター16が取り付けられている底板17と、該底板17から立設されている前後一対の脚板18とからなる。該前後一対の脚板18の中央部には摺動スリット19がそれぞれ設けられておりまた、該脚板18の内側の中央部には5個の円形凹部20がそれぞれ縦列して凹設されている。更に、該脚板18の上面の中央部には前後方向に沿って嵌合凹溝21がそれぞれ凹設されている。
【0010】
本実施例では、該脚枠6とは別体に横長幅狭形状の位置合わせ具22を準備する。
該位置合わせ具22の内側には、該左右側板3のダボ孔13に対応する2個のダボ23が設けられている。また、該位置合わせ具22の上面の中央部には把手凹部24が設けられており、更に、該位置合わせ具22の下面の中央部には前後方向に沿って嵌合凸条25が凸設されている。
【0011】
該便蓋10は前後に二つ折り可能とされており、該便蓋10を跳ね上げた状態で該背もたれ枠12の下部を通り抜けて折畳み可能とされている。また、該便蓋10の上面にはクッション部材26が取り付けられており、該便蓋10は座部として兼用することができるようにされている。
【0012】
該肘掛け枠11は、前後一対の肘掛け支板27が垂設されている下側短肘掛け28と、該下側短肘掛け28の上に跳ね上げ可能に取り付けられる上側長肘掛け29とからなる。該前後一対の肘掛け支板27の中央部には摺動スリット30がそれぞれ設けられており、一方、該便器本体枠5の左右側板3には3個のボルト孔31が縦列して設けられている。
そして、該左右側板3の3個のボルト孔31のうち1個のボルト孔31を選択するとともに、該肘掛け枠11を該便器本体枠5に対して上下に摺動させて所望な高さに調節した後、該肘掛け支板27の摺動スリット30を介して固定ボルト32を該選択したボルト孔31に螺着することによって、該肘掛け枠11は3段階に高さ調節可能とされている。
【0013】
該背もたれ枠12は、左右一対の背もたれ支柱33と、該左右一対の背もたれ支柱33の間に差し渡されるクッション性を有する背もたれ部材34とからなる。該背もたれ支柱33の上部には2個のボルト挿通孔35が縦列して設けられており、該背もたれ部材34の左右側面には4個のボルト孔36が縦列して設けられている。
そして、該背もたれ部材34の4個のボルト孔36のうち2個のボルト孔36を選択し、該背もたれ部材34を該背もたれ支柱33に対して所望な高さに調節した後、該背もたれ支柱33のボルト挿通孔35を介して固定ボルト37を該選択したボルト孔36に螺着することによって、該背もたれ部材34は2段階に高さ調節可能とされている。
【0014】
上記の簡易便器1の高さを調節する場合には、まず、該左右側板3のダボ孔列14のうち所定高さ位置の前後一対のダボ孔13を選択し、該位置合わせ具22の前後一対のダボ23を該選択したダボ孔13にそれぞれ嵌着して、該左右側板3の所定高さ位置に該位置合わせ具22を取り付ける。
次に、該位置合わせ具22の下面に該脚枠6の脚板18の上面を当接させて、該脚枠6の上下取付け位置を決定し、その後、該脚枠6の摺動スリット19を介して外側から固定ボルト38を該左右側板3のボルト孔15に螺着することによって該脚枠6を該左右側板3に固定する。
【0015】
上記の簡易便器1では、脚枠6とは別体に横長幅狭形状の位置合わせ具22を準備し、該位置合わせ具22を該左右側板3の所定高さ位置に取り付けた後、該位置合わせ具22の下縁に該脚枠6の脚板18の上端を当接させることによって該脚枠6の上下取付け位置を決定することができるので、高さ調節作業を極めて簡単に行うことができる。
【0016】
また、上記の簡易便器1では、位置合わせ具22を最上位置に取り付けると、該位置合わせ具22の上面が座枠7の下面に当接することとなるが、該位置合わせ具22には把手凹部24が設けられているので、使用者は該把手凹部24から手を差し込んで該位置合わせ具22を取り外す際の手掛りとすることができる。
【0017】
更に、該脚板18の上面の中央部には前後方向に沿って嵌合凹溝21が凹設されており、該位置合わせ具22の下面の中央部には前後方向に沿って嵌合凸条25が凸設されているので、該位置合わせ具22の下面に該脚枠6の脚板18の上面を当接させた際に、該位置合わせ具22の下面の嵌合凸条25と該脚板18の上面の嵌合凹溝21とが相互に嵌合し、該脚枠6が左右方向にがたつくのを防止することができる。
【0018】
また更に、該脚板18の内側の中央部には5個の円形凹部20が縦列して凹設されているので、該脚枠6の摺動スリット19を介して外側から固定ボルト38を該左右側板3のボルト孔15に螺着する際に、該固定ボルト38のノブ部39の内側に設けられている円形凸部40が該脚板18の円形凹部20に嵌合し、螺着した固定ボルト38がぐらつくのを防止することができる。
【0019】
以上、本発明の実施の形態を実施例により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、高さ調節作業を極めて簡単に行うことができる簡易便器として、産業上利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】簡易便器の斜視図である。
【図2】左右側板に脚枠を取り付けた様子を示す説明斜視図である。
【図3】左右側板と脚枠と位置合わせ具の分解斜視図である。
【図4】簡易便器の説明側断面図である。
【図5】左右側板に脚枠を取り付けた様子を示す説明正断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 簡易便器
3 左右側板
5 便器本体枠
6 脚枠
13 ダボ孔
14 ダボ孔列
15 ボルト孔
17 底板
18 脚板
19 摺動スリット
22 位置合わせ具
23 ダボ
38 固定ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体枠の左右側板の内側に脚枠を上下取付け位置調節可能に取り付けた簡易便器であって、
該左右側板の内側にはダボ孔の複数個を縦設したダボ孔列の複数列が設けられており、また、該左右側板には前後一対のボルト孔が設けられており、一方、脚枠は、底板と、該底板の前後に立設されている脚板とからなり、該脚板には摺動スリットがそれぞれ設けられており、更に、内側に複数個のダボを設けた横長幅狭形状の位置合わせ具を該脚枠とは別体に準備し、
該左右側板のダボ孔列の所定高さ位置のダボ孔を選択し、該位置合わせ具の複数個のダボを該選択したダボ孔に嵌着することによって該左右側板の所定高さ位置に該位置合わせ具を取り付け、該位置合わせ具の下縁に該脚枠の脚板の上端を当接させることによって該脚枠の上下取付け位置を決定し、該脚枠の摺動スリットを介して外側から固定ボルトを該左右側板のボルト孔に螺着することによって該脚枠を該左右側板に固定することを特徴とする簡易便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−87722(P2006−87722A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277815(P2004−277815)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】