説明

簡易担架及びその製造方法

【課題】持ち運びが容易で、かつ、コンパクトに収容できる折り畳み式の簡易担架を製造するに際して、その製造の手間やコストを格段に低減する。
【解決手段】中空状に膨出する多数の突起20が真空成形されたキャップフィルム21に、少なくとも突起20内に空気を封入するバックフィルム22を積層してなる長尺矩形状の気泡シート2の両側端縁を長手方向に沿って折り返すとともに、熱融着することによって端縁重合部3を形成し、この端縁重合部3に所定の間隔で複数の貫通孔4を形成して簡易担架1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち運びが容易で、かつ、コンパクトに収容できる折り畳み式の簡易担架及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
急病人や負傷者などを迅速に搬送することを目的として使用される担架としては、二本の長い棒の間に丈夫な布を張ったものが一般に知られている。また、このような従来の担架に対して、持ち運びが容易で、かつ、コンパクトに収容できるようにされた折り畳み式の簡易担架も知られており、例えば、特許文献1には、感染予防のために使い捨てとされた、折り畳み式の簡易担架が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−279184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された簡易担架は、所定の大きさとされた不織布に防水処理を施した矩形状シートの四周縁を裏面側に折り返すとともに、この折り返し部分を縫着することによって仕上げた後に、把手となる把手ベルトを必要な数だけ上記矩形状シートの周囲の折り返し部分に縫着し、さらに、二本の補強ベルトを上記矩形状シートの裏面側に配置して縫着するというものであるため、使い捨てとするには、製造の手間やコストの面において未だ改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明者らは、中空状に膨出する多数の突起が形成されたキャップフィルムに、突起内に空気を封入するバックフィルムを積層することによって形成された、独立した多数の気泡を有する気泡シートに着目し、このような気泡シートを利用すれば、持ち運びが容易で、かつ、コンパクトに収容できる折り畳み式の簡易担架を製造するに際して、その製造の手間やコストを格段に低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る簡易担架は、中空状に膨出する多数の突起が真空成形されたキャップフィルムに、少なくとも前記突起内に空気を封入するバックフィルムを積層してなる長尺矩形状の気泡シートからなり、前記気泡シートの両側端縁を長手方向に沿って折り返すとともに、熱融着することによって形成された端縁重合部を有し、かつ、前記端縁重合部には、所定の間隔で複数の貫通孔が形成されている構成としてある。
【0007】
また、本発明に係る簡易担架の製造方法は、多数の吸引孔が設けられた成形ロールに溶融状態のキャップ用フィルムを連続供給して、中空状に膨出する多数の突起が真空成形されたキャップフィルムを形成するとともに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを溶融状態で連続供給しながら熱融着により前記キャップフィルムに積層して気泡シートを連続的に形成する気泡シート形成工程、前記気泡シートの両側端縁を長手方向に沿って折り返すとともに、熱融着して端縁重合部を形成する端縁重合部形成工程、前記端縁重合部に長手方向に沿って所定の間隔で複数の貫通孔を形成する貫通孔形成工程、を有する方法としてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、持ち運びが容易で、かつ、コンパクトに収容できる折り畳み式の簡易担架であって、その製造の手間やコストを格段に低減させることができる簡易担架を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る簡易担架の実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る簡易担架の製造に利用する気泡シートの例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る簡易担架の製造方法の製造工程の一部(気泡シート形成工程)を示す説明図である。
【図4】本発明に係る簡易担架の製造方法の製造工程の一部(端縁重合部形成工程)を示す説明図である。
【図5】本発明に係る簡易担架の製造方法の製造工程の一部(貫通孔形成工程)を示す説明図である。
【図6】本発明に係る簡易担架の使用例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
[簡易担架]
まず、本発明に係る簡易担架の実施形態について説明する。
なお、図1は、本実施形態に係る簡易担架を示す説明図であり、図1(a)は、本実施形態に係る簡易担架の概略を示す平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。
【0012】
本実施形態において、簡易担架1は、中空状に膨出する多数の突起20が真空成形されたキャップフィルム21に、突起20内に空気を封入するバックフィルム22を熱融着によって積層してなる長尺矩形状の気泡シート2からなっている。
【0013】
このような気泡シート2からなる簡易担架1は、気泡シート2の両側端縁を長手方向に沿って折り返すとともに、折り返された側の気泡シート2の一方の面に重ね合わせて熱融着することによって形成された端縁重合部3を有している。そして、この端縁重合部3には、所定の間隔で複数(図1に示す例では、各端縁重合部3に四つずつ)の貫通孔4が形成されている。
【0014】
簡易担架1を形成するための気泡シート2は、キャップフィルム21に成形された突起20内に空気を封入することによって、独立した多数の気泡が形成されたものであればよい。図2(a)に示すように、キャップフィルム2とバックフィルム3とからなる二層構造とするのが、気泡シート2に要求される必要最小限の構成となるが、必要に応じて、図3に示すように、突起20の頂面側にライナーフィルム23を積層した三層構造としてもよい。
【0015】
また、特に図示しないが、例えば、図2に示す二層構造とした気泡シート2を複数積層したり、図2に示す二層構造の気泡シート2の突起20の頂面側に、図3に示す三層構造とした気泡シート2を積層したりすることもできる。さらに、気泡シート2には、端縁重合部3を形成する際の熱融着性が損なわれなければ、例えば、強度を向上させることを目的として、合成樹脂製繊維をメッシュ状に熱融着してなる補強材を積層するなどしてもよい。
なお、図1では、気泡シート2についての詳細な図示は省略してある。
【0016】
このような気泡シート2を形成するにあたり、その材料樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂を単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。
【0017】
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンホモポリマー、又はプロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが例示できる。プロピレンと共重合される他のオレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、イソブチレン、ペンテン−1などのα−オレフィンが挙げられ、これらの他のオレフィンとの共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
また、ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが例示できる。
【0018】
[製造方法]
次に、本発明に係る簡易担架の製造方法の実施形態について説明するが、併せて、本発明に係る簡易担架の実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0019】
[気泡シート形成工程]
図3は、本実施形態に係る簡易担架の製造方法における製造工程の一部を示す説明図であり、気泡シート形成工程の概略を示している。
図3に示す例では、まず、多数の吸引孔41が設けられた成形ロール40の外周面に、溶融状態にあるキャップ用フィルム21aを接触させて中空状に膨出する多数の突起20を真空成形し、これによってキャップフィルム21を形成する。
なお、特に図示しないが、吸引孔41のそれぞれは真空ポンプにつながれており、吸引孔41内を真空吸引することによって真空成形がなされるようになっている。
【0020】
真空成形によって突起20が形成されたキャップフィルム21には、成形ロール40に密着した状態のまま、突起20の開口側にバックフィルム22が積層される。このとき、バックフィルム22は、成形ロール40に密着するキャップフィルム21と押圧ロール50との間に溶融状態で供給され、熱融着によってキャップフィルム21と積層一体化される。
【0021】
図3に示す例において、突起20が真空成形されてキャップフィルム21となるキャップ用フィルム21aは、図示しない押し出し機に取り付けられたフラットダイ121から、材料樹脂を押し出すことによって連続して供給されるようになっている。同様に、キャップフィルム21に形成された突起20に空気を封入するバックフィルム22は、図示しない押し出し機に取り付けられたフラットダイ122から、材料樹脂を押し出すことによって連続して供給されるようになっている。
また、特に図示しないが、気泡シート3を図2(b)に示すような三層構造とする場合、ライナーフィルム23も同様に、押出機に取り付けられたフラットダイから材料樹脂を押し出して連続供給することによって、突起20の頂面側に積層されるようにすることができる。
【0022】
なお、キャップ用フィルム21aやバックフィルム22などは、予め所定の厚みでフィルム状に成形されたものを加熱溶融しつつ、突起20の真空成形や、熱融着が可能な溶融状態で供給するようにしてもよい。
【0023】
これにより、突起20内に空気が封入され、独立した多数の気泡が形成された気泡シート2が形成される。そして、気泡シート2は、剥離ロール60によって成形ロール40から剥離されて端縁重合部形成工程へと送られていく。
なお、気泡シート形成工程で形成された気泡シート2は、巻き取りロールに巻き取るなどしてから、端縁重合部形成工程に供するようにしてもよい。
【0024】
[端縁重合部形成工程]
図4は、本実施形態に係る簡易担架の製造方法における製造造工程の一部を示す説明図であり、端縁重合部形成工程の概略を示している。
気泡シート形成工程で形成された気泡シート2は、その両側端縁が、図4(a)中一点鎖線で示す折り返し位置から、長手方向に沿って折り返される(図4(b)参照)。
なお、図4は、気泡シート2の長手方向に直交する断面の概略を示しているが、図1と同様に、気泡シート2についての詳細な図示は省略してある。
【0025】
そして、気泡シート2の両側端縁を長手方向に沿って折り返すとともに、図4(c)に示すように、折り返された側の気泡シート2の一方の面に重ね合わせて熱融着する。これによって、気泡シート2の折り返された部分が、折り返された側の気泡シート2の一方の面に重ね合わされた端縁重合部3が形成される。
【0026】
このようにして端縁重合部3を形成するにあたり、気泡シート2の両側端縁の折り返し幅Wは、気泡シート形成工程において形成された気泡シート2の幅Wに応じて適宜調整することができる。
すなわち、製造しようとしている簡易担架1の幅Wは、気泡シート2の両側端縁を折り返した後の幅に相当し、気泡シート形成工程で形成された気泡シート2の幅Wと、気泡シート2の両側端縁の折り返し幅Wとの間には、W=(W−W)/2なる関係が成り立つことから、この関係を考慮しつつ折り返し幅Wを適宜調整すればよい。
【0027】
このように、折り返し幅Wを適宜調整することで、簡易担架1を所定の寸法で製造することができるため、気泡シート形成工程で形成された気泡シート2の側端縁側を切り取るなどしてその幅を調整する必要はない。したがって、本実施形態によれば、既存の製造設備を流用して形成された気泡シート2をそのまま利用して簡易担架1を製造することが可能となる。
なお、折り返し幅Wは、気泡シート2の両側端縁で等しくするのが好ましいが、必要に応じて異ならせるようにしてもよい。また、既存の製造設備を流用して形成した気泡シート2の幅Wは、通常、1200〜2400mm程度である。
【0028】
また、本実施形態において、気泡シート2の折り返された部分は、折り返された気泡シート2の側端縁に沿った第一融着部5と、この第一融着部5よりも外側に位置し、かつ、第一融着部5と平行又はほぼ平行な第二融着部6とによって、折り返された側の気泡シート2の一方の面に熱融着されている。
【0029】
第一融着部5は、主として、折り返された気泡シート2の側端縁を折り返された側の気泡シート2の一方の面に固着するため設けられる。また、第二融着部6は、主として、後述する貫通孔形成工程において貫通孔4を形成するのに必要な幅Wを確保しつつ、折り返された気泡シート2の側端縁側が垂れ下がるようにして端縁重合部3内に隙間が開いてしまうのを防ぐために設けられている。したがって、第一融着部5と第二融着部6との間隔が広すぎてしまうような場合には、両者の間に同様の融着部を設けるのが好ましい。
また、第一融着部5と第二融着部6とは、簡易担架1の長手方向に沿って設けられていることから、簡易担架1の剛性を高める構造体としての役割も果たしている。このため、簡易担架1の剛性をより向上させることを目的として、第一融着部5と第二融着部6との間に、同様の融着部を設けるようにすることもできる。
なお、上記幅Wは、概ね50〜200mm程度である。
【0030】
[貫通孔形成工程]
図5は、本実施形態に係る簡易担架の製造方法における製造造工程の一部を示す説明図であり、貫通孔形成工程の概略を示している。また、図5(a−2)は、図5(a−1)のB−B断面図、図5(b−2)は、図5(b−1)のC−C断面図、図5(c−2)は、図5(c−1)のD−D断面図であるが、これらの図においても、気泡シート2についての詳細な図示は省略してある。
【0031】
端縁重合部3には、長手方向に沿って所定の間隔で複数の貫通孔4を形成する。この貫通孔4は、簡易担架1を使用する際に、例えば、棒状の部材8を挿通するための挿通孔として利用したり(図6(c)参照)、搬送者が簡易担架1を直接に手でつかんで持ち上げるための把持孔として利用したりすることができる。
【0032】
貫通孔4は、打ち抜き加工により端縁重合部3の所定の部位を打ち抜くことによって形成することもできるが、図5に示す例では、端縁重合部3の外縁側に位置する一部を残して、形成しようとする貫通孔4の形状に沿って切り込み4aを設けてなる切片4bを(図5(a−1)及び(a−2)参照)、端縁重合部3の外縁側に折り返すとともに、端縁重合部3内に挟み込むことによって貫通孔4が形成されるようにしている(図5(b−1)及び(b−2)参照)。
【0033】
このようにすることで、貫通孔4を把持孔としてつかんで簡易担架1を持ち上げる際には、搬送者は、切片4bが挟み込まれた端縁重合部3の外縁側をつかむことになる。このため、貫通孔4を把持孔としてつかんだときのグリップ感が良くなるとともに、搬送者が把持する部分の補強にもなる。
【0034】
また、搬送者が把持する部分を補強するという観点から、貫通孔4には、図5(c−1)及び(c−2)に示すように、貫通孔4に挿通される筒部7aと、この筒部7bの両端に設けられたフランジ部7bとを有する補強部材7を取り付けるようにしてもよい。特に図示しないが、このような補強部材7は、貫通孔4への取り付け易さを考慮して、例えば、筒部7aとフランジ部7bとをそれぞれ別体に形成しておき、貫通孔4に取り付ける際に一体となって、貫通孔4から脱落しないように確実に固定できるようにするのが好ましい。
【0035】
本実施形態において、簡易担架1の寸法は、一般的な成人の体格に応じて設定することができるが、簡易担架1の長さLが、1200〜2100mm程度となるように、上記各工程のいずれかの工程を終えた段階で所定の長さごとに裁断される。
なお、簡易担架1の幅Wは、500〜900mm程度とすることができる。
【0036】
以上のようにして製造される簡易担架1は、例えば、図6(a)に示すようにコンパクトに折り畳むことができる。そして、使用する際には、折り畳まれた状態から広げて、貫通孔4に棒状の部材8を挿通することで(図6(b)及び(c)参照)、従来の担架と同様の形態での使用が可能となる。さらに、簡易担架1は、気泡シート2を利用して製造され、水がしみ込んで重くなることがないので、水難事故の発生時に、水の中を負傷者などを搬送する際にも利用できる。
【0037】
また、簡易担架1は、気泡シート2を利用して製造されることから、緩衝性や断熱性にも優れている。このため、例えば、大規模な災害が発生し、災害現場で多くの負傷者が搬送されるのを待たなければならないような場合には、負傷者を地面に直に座らせたり横たわらせたりせずに、簡易担架1を地面に敷いて、その上で負傷者が楽な姿勢をとれるようにすることで、搬送されるのを待っている間の負担を減らすことができ、負傷者を搬送するには、簡易担架1ごと負傷者を持ち上げてそのまま搬送すればよい。その際、本実施形態の簡易担架1には、特許文献1に開示された簡易担架に取り付けられている把手ベルトのように、外方に突出する部材がないので、現場を行き来する救助者などが足をひっかけて転んでしまうようなこともない。
本実施形態の簡易担架1は、コンパクトに折り畳んで収納できるで、そのような大規模災害に備えて限られたスペースに多数備蓄しておくことも可能である。
【0038】
そして、本実施形態によれば、既存の製造設備を流用して形成された気泡シート2をそのまま利用して、その両側端縁を長手方向に沿って折り返すとともに、熱融着して端縁重合部を形成し、この端縁重合部に貫通孔を形成するだけで、簡易担架1を製造することができる。したがって、持ち運びが容易で、かつ、コンパクトに収容できる折り畳み式の簡易担架を製造するにあたり、その製造の手間やコストを格段に低減させることができる。
【0039】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0040】
例えば、前述した実施形態において、端縁重合部3は気泡シート2が二重に重ねられた状態で形成されるが、少なくとも貫通孔4が形成される部位では、気泡シート2が三重又はそれよりも多く重ねられた状態で端縁重合部3が形成されるようにしてもよい。このようにすることで、貫通孔4が形成される部位の強度を高めて、貫通孔4に棒状の部材8を挿通したり、貫通孔4を把持孔として利用したりして簡易担架1を使用する際に、貫通孔4の周囲の気泡シート2が裂けるなどして簡易担架1が破損してしまうのを抑止することができる。
端縁重合部3は、気泡シート2の両側端縁を長手方向に沿って折り返すとともに、折り返された側の気泡シート2の一方の面に熱融着することによって形成されるが、製造しようとしている簡易担架1の幅Wが確保できれば、気泡シート2を長手方向に沿って具体的どのように折り返して端縁重合部3を形成するかは、必要に応じて適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、持ち運びが容易で、かつ、コンパクトに収容できる折り畳み式の簡易担架及びその製造方法を提供する。
【符号の説明】
【0042】
1 簡易担架
2 気泡シート
20 突起
21a キャップ用フィルム
21 キャップフィルム
22 バックフィルム
3 端縁重合部
4 貫通孔
5 第一融着部
6 第二融着部
7 補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状に膨出する多数の突起が真空成形されたキャップフィルムに、少なくとも前記突起内に空気を封入するバックフィルムを積層してなる長尺矩形状の気泡シートからなり、
前記気泡シートの両側端縁を長手方向に沿って折り返すとともに、熱融着することによって形成された端縁重合部を有し、かつ、
前記端縁重合部には、所定の間隔で複数の貫通孔が形成されていることを特徴とする簡易担架。
【請求項2】
前記気泡シートの折り返された部分が、
折り返された前記気泡シートの側端縁に沿った第一融着部と、
前記第一融着部よりも外側に位置し、かつ、前記第一融着部と平行又はほぼ平行な第二融着部とによって、
折り返された側の前記気泡シートの一方の面に熱融着されている請求項1に記載の簡易担架。
【請求項3】
前記貫通孔が、前記端縁重合部の外縁側に位置する一部を残して、形成しようとする前記貫通孔の形状に沿って切り込みを設けてなる切片を、前記端縁重合部の外縁側に折り返すとともに、前記端縁重合部内に挟み込むことによって形成された請求項1又は2に記載の簡易担架。
【請求項4】
前記貫通孔に、前記貫通孔に挿通される筒部と、前記筒部の両端に設けられたフランジ部とを有する補強部材を取り付けた請求項1〜3のいずれか一項に記載の簡易担架。
【請求項5】
多数の吸引孔が設けられた成形ロールに溶融状態のキャップ用フィルムを連続供給して、中空状に膨出する多数の突起が真空成形されたキャップフィルムを形成するとともに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを溶融状態で連続供給しながら熱融着により前記キャップフィルムに積層して気泡シートを連続的に形成する気泡シート形成工程、
前記気泡シートの両側端縁を長手方向に沿って折り返すとともに、熱融着して端縁重合部を形成する端縁重合部形成工程、
前記端縁重合部に長手方向に沿って所定の間隔で複数の貫通孔を形成する貫通孔形成工程、
を有することを特徴とする簡易担架の製造方法。
【請求項6】
前記端縁重合部形成工程において、
前記気泡シートの折り返された部分を、
折り返された前記気泡シートの側端縁に沿った第一融着部と、
前記第一融着部よりも外側に位置し、かつ、前記第一融着部と平行又はほぼ平行な第二融着部とによって、
折り返された側の前記気泡シートの一方の面に熱融着する請求項5に記載の簡易担架の製造方法。
【請求項7】
前記貫通孔形成工程において、
前記端縁重合部の外縁側に位置する一部を残して、形成しようとする前記貫通孔の形状に沿って切り込みを設けてなる切片を、前記端縁重合部の外縁側に折り返すとともに、前記端縁重合部内に挟み込むことによって、前記貫通孔を形成する請求項5又は6に記載の簡易担架の製造方法。
【請求項8】
前記貫通孔形成工程において、
前記貫通孔に挿通される筒部と、前記筒部の両端に設けられたフランジ部とを有する補強部材を前記貫通孔に取り付ける請求項5〜7のいずれか一項に記載の簡易担架の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−279640(P2010−279640A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137204(P2009−137204)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)