説明

簡易脱水装置

【課題】使用者による使い勝手のよい簡易脱水装置を提供する。
【解決手段】バスケット2と、バスケットを収容するためのケース3と、バスケットを回転駆動させるためのペダル57を具備する回転駆動機構4とを設ける。ケースは、上部が開口の有底筒状のケース本体21と、ケース本体を下方から支持固定するための平板状のベース体22とを主として構成する。ケース本体の底部には、ベース体とケース本体との間に回転駆動機構の設置スペースSAを得るための駆動機構設置用凹部26を凹設する。駆動機構設置用凹部は、その長手方向の一端を開口26aとし、この開口は、ケースを操作方向上流側から見たときに、ケース本体の正面の左右方向に沿った一端側に配置するとともに、ペダルを駆動機構設置用凹部の開口から突出するように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少量の脱水対象物の脱水を人力によって行うのに好適な簡易脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、少量の脱水対象物、例えばモップの柄から外した雑巾部分などの脱水を行うことのできる簡易脱水装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような従来の簡易脱水装置は、バスケットと、バスケットが収容されるケースと、ケースの底部に装着される回転駆動機構とを備えている。そして、バスケットに脱水対象物を収納した状態で、回転駆動機構の一部を構成するペダルを踏み付けて押し下げ操作を繰り返すことにより、バスケットを脱水対象物とともに回転させて、その遠心力により脱水対象物に含まれる水分(液分)を遠心分離して脱水を行うように構成されている。また、ペダルを強く踏みつけることにより、バスケットの回転が速くなり、遠心力が大きくなるので、脱水時間を短くすることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3155733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の簡易脱水装置においては、ケースを操作方向上流側から見たときにケースの正面の下部にペダルが配置されているため、ペダルの押し下げ操作、特に、ペダルを強く踏みつける押し下げ操作をすると、ケースが手前に傾き、ケースの後側が浮き上がろうとする。その結果、装置の姿勢が前後に傾こうとするので、装置の姿勢が安定しないという問題点があった。
【0006】
また、装置の姿勢が安定しないということは、ペダルを円滑に操作することができず、使用者による使い勝手が悪いことになる。
【0007】
なお、装置の姿勢を安定させるためには、装置の姿勢を安定させるための踏み付け部を設けることが考えられるが、ケースの正面にペダルが配置されているため、ケースを踏み付けて押さえるための踏み付け部を設けるスペースがなく、また、踏み付け部をケースの底から張り出すように設けると、装置が大きくなるので、小型化を阻害することになる。
【0008】
そこで、少量の洗濯物、モップの雑巾部分などの脱水を行うのに好適な使用者による使い勝手のよい簡易脱水装置が求められている。
【0009】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、使用者による使い勝手のよい簡易脱水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の本発明の簡易脱水装置の特徴は、脱水対象物を収容するためのバスケットと、前記バスケットを収容するためのケースと、前記バスケットを回転駆動させるための押し下げ操作されるペダルを具備する回転駆動機構とを有している簡易脱水装置において、前記ケースは、前記バスケットより大きく形成された上部が開口の有底筒状のケース本体と、前記ケース本体を下方から支持固定するための平板状のベース体とを有しており、前記ケース本体の底部には、前記ベース体と前記ケース本体との間に前記回転駆動機構の設置スペースを得るための駆動機構設置用凹部が凹設されており、前記駆動機構設置用凹部は、その長手方向の一端が開口とされ、この開口は、前記ケースを操作方向上流側から見たときに、前記ケース本体の正面の左右方向に沿った一端側に配置されており、前記回転駆動機構のペダルは、前記駆動機構設置用凹部の開口から突出するように配置されている点にある。
【0011】
そして、このような構成を採用したことにより、ベースの上面におけるペダルの配置位置の反対側にスペースを設けることができる。このスペースには、装置の姿勢を安定させるための踏み付け部などを配置することができる。その結果、使用者による使い勝手を向上することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の本発明の簡易脱水装置の特徴は、請求項1において、前記ケース本体の底部には、前記ベース体を操作方向上流側から踏み付け可能な踏み付けスペースを得るための凹部が凹設されており、前記凹部は、前記ケースを操作方向上流側から見たときに、前記溝部の開口の配置側とは反対側の底角部に配置されている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、ペダルと踏み付け部とを反する位置に配置することができるので、使用者による操作性を容易かつ確実に向上することができる。
【0013】
さらに、請求項3に記載の本発明の簡易脱水装置の特徴は、請求項1または請求項2において、前記ケースには、前記ケース本体の開口を覆う開閉自在な上蓋が設けられており、前記上蓋の内面には、前記バスケットの開口に嵌合される回転自在な振れ止め体が設けられている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、上蓋は、脱水中に、脱水対象物および脱水した水分が外部に飛び出すのを確実に防止することができ、振れ止め体は、バスケットの回転軸が振れるのを確実に防止することができるので、脱水中における装置の姿勢を容易かつ確実に安定させることができるとともに、安全性を向上させることができる。
【0014】
さらにまた、請求項4に記載の本発明の簡易脱水装置の特徴は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記ベース体の上面には、前記ペダルの押し下げ操作を不能とするための起伏自在なストッパが設けられている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、ストッパは、起立状態とすることでペダルの押し下げ操作、すなわち脱水作業を確実に不能とすることができ、伏した状態とすることで脱水作業を実行することができるから、上蓋を開いた状態でバスケットを回転させるなどの使用者の意図とは異なる操作により生じる危険や、子供などの使用者以外の者が上蓋を開いた状態でバスケットを回転させるなどの危険を回避することができるので、安全性を容易かつ確実に向上することができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の本発明の簡易脱水装置によれば、ベースの上面におけるペダルの配置位置の反対側にスペースを設けることができる。このスペースには、装置の姿勢を安定させるための踏み付け部などを配置することができる。その結果、使用者による使い勝手を向上することができるなどの優れた効果を奏する。
【0016】
請求項2に記載の本発明の簡易脱水装置によれば、ペダルと踏み付け部とを反する位置に配置することができるので、使用者による操作性を容易かつ確実に向上することができるなどの優れた効果を奏する。
【0017】
請求項3に記載の本発明の簡易脱水装置によれば、上蓋は、脱水中に、脱水対象物および脱水した水分が外部に飛び出すのを確実に防止することができ、振れ止め体は、バスケットの回転軸が振れるのを確実に防止することができるので、脱水中における装置の姿勢を容易かつ確実に安定させることができるとともに、安全性を向上することができるなどの優れた効果を奏する。
【0018】
請求項4に記載の本発明の簡易脱水装置によれば、上蓋を開いた状態でバスケットを回転させるなどの使用者の意図とは異なる操作により生じる危険や、子供などの使用者以外の者が上蓋を開いた状態でバスケットを回転させるなどの危険を回避することができるので、安全性を容易かつ確実に向上することができるなどの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る簡易脱水装置の実施形態の上蓋の閉状態における要部を示す外観斜視図
【図2】図1の上蓋の開状態を示す図1と同様の図
【図3】図1の正面図
【図4】図4は図3のA−A線に沿った断面図
【図5】図3の一部省略平面図
【図6】図1の回転駆動機構の要部を示す分解斜視図
【図7】図1の回転駆動機構の要部を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。図1から図7は、本発明に係る簡易脱水装置の実施形態の要部を示すものであり、図1は上蓋の閉状態を示す外観斜視図、図2は図1の上蓋の開状態を示す外観斜視図、図3は図1の正面図、図4は図2の一部省略平面図、図5は図4のA−A線に沿った断面図、図6は回転駆動機構の要部を示す分解斜視図、図7は回転駆動機構の要部を示す平面図である。
【0021】
なお、説明の便宜上、操作方向上流側から見たときの正面を「前」、下流側を「後」、右側を「右」、左側を「左」、上方を「上」、下方を「下」として以下に説明する。
【0022】
本実施形態の簡易脱水装置は、脱水対象物の液分を遠心力によって遠心分離するものであり、構造が簡単で、簡単に移動することのできる小型の脱水装置である。
【0023】
図1から図7に示すように、本実施形態の簡易脱水装置1は、脱水対象物を収容するためのバスケット2と、このバスケット2を収容するためのケース3と、バスケット2を回転駆動させるための押し下げ操作されるナイロンなどのプラスチックにより形成されたペダル57を具備する回転駆動機構4とを有している。
【0024】
図2および図5に示すように、前記バスケット2は、脱水槽として機能するものであり、ポリプロピレンなどのプラスチックにより上部が開口した有底円筒状に形成されている。このバスケット2の周壁と、底壁の中央部を除く部分には、図2に示すように、遠心力によって脱水した水分が通過する複数の貫通孔11が形成されている。
【0025】
図5に示すように、前記バスケット2の底壁の上面中央部は、中心が上方に凸の笠状に形成されている。また、底壁の下面中央部には、下端が開口した下方に凸の有底穴12が形成されており、この有底穴12には、回転駆動機構4の一部を構成する後述する駆動軸41の上端部が着脱自在に嵌合されている。また、有底穴12の底部には、駆動軸41の回り止めとなる回り止め用溝部13が形成されており、この回り止め用溝部13には、後述する駆動軸41の上端面に形成された後述する平板部41aが嵌合されている。また、バスケット2の回転軸線RLは、図5に示すように、上下方向に沿って配置されている。
【0026】
図1から図5に示すように、前記ケース3は、バスケット2を収容するためのバスケット2より大きく形成された上部が開口のケース本体21と、このケース本体21を下方から支持固定するベース体22と、ケース本体21の開口を覆うための上蓋23とを有している。これらケース本体21、ベース体22および上蓋23は、ポリプロピレンなどのプラスチックにより形成されている。
【0027】
前記ケース本体21は、全体として上部が開口した有底四角筒状に形成されている。このケース本体21の開口端には、図5に示すように、フランジ部25が形成されている。このフランジ部25は、開口端縁から外側に向かって水平に延出された水平部25aと、この水平部25aの先端縁から下方に向かって直角に延出された垂直部25bとにより形成されている。
【0028】
前記ケース本体21の底部には、ベース体22とケース本体21との間に回転駆動機構4の設置スペースSAを設けるための駆動機構設置用凹部26が凹設されている。この駆動機構設置用凹部26は、ケース本体21に形成された左右側壁部26b、上壁部26cおよび後壁部26dに囲まれた略直方体形状のものである。また、駆動機構設置用凹部26は、その長手方向の図4の右斜め下に示す前端が駆動機構設置用凹部26の外部に連通する開口26aとされており、この開口26aは、ケース本体21の前右側に配置されている。
【0029】
すなわち、駆動機構設置用凹部26は、その長手方向の前端が開口26aとされ、この開口26aは、ケース3を操作方向上流側から見たときに、ケース本体21の正面の左右方向に沿った一端側である右側に配置されている。
【0030】
なお、駆動機構設置用凹部26の内部空間によって形成される設置スペースSAは、横長直方体の長手方向前端を長手方向に対して斜めに切り取った形状とされており、斜めに切り取った切り口が開口26aとされ、この開口26aがケース本体21の前右側に配置されて外部と連通されている。また、駆動機構設置用凹部26の長手方向後端は、ケース3の中心を越えて配置されている。すなわち、設置スペースSAは、ケース3の中心を含むように形成されている。
【0031】
なお、ケース3の中心とは、バスケット2の回転軸線RLを含む上下方向に沿った直線上の位置である。
【0032】
前記駆動機構設置用凹部26の上壁部26cは、ベース体22と間隔をおいて対向するように配置されている。また、上記上壁部26cは、ケース本体21の上下方向の中間部分において水平方向に沿って配置されており、この上壁部26cより下方に位置するケース本体21の内部は、遠心分離された水分を貯留するタンクとして機能する。また、駆動機構設置用凹部26は、図7に示すように、その長手方向と左右方向とのなす角度がほぼ45度をなすように配置されている。
【0033】
図4および図5に示すように、前記駆動機構設置用凹部26の上壁部26cの上面におけるケース3の中心部には、上方に凸の円筒状に形成された軸支持筒部27が一体に立設されている。この軸支持筒部27の上端面は、バスケット2の有底穴12の先端面とわずかな隙間をもって対向している。
【0034】
図1から図4に示すように、前記ケース本体21の底部には、ベース体22とケース本体21との間にベース体22を操作方向上流側である前側から踏み付け可能な踏み付けスペースSBを得るための踏み付けスペース設置用凹部29が凹設されている。踏み付けスペース設置用凹部29は、開口26aの配置側とは左右方向反対側の前左側の底角部に配置されている。
【0035】
前記踏み付けスペース設置用凹部29は、その前端が駆動機構設置用凹部26の上壁部26cの高さ位置と同一位置に配置されている。また、踏み付けスペース設置用凹部29は、ケース本体21の前面と左側面とに開口している。そして、踏み付けスペースSBの下方に位置するベース体22の上面の前左側が使用者により踏み付けられる踏み付け部31とされている。
【0036】
図1から図5に示すように、前記ベース体22は、平面矩形の平板状に形成されている。そして、ベース体22のケース本体21の下端部と対向する所定位置には、図示しない複数の貫通孔が穿設されており、これら貫通孔のそれぞれに挿通される図示しない固定ねじをケース本体21の下面に螺入させることにより、ベース体22の上面にケース本体21が取り付けられて下方から支持固定されている。このベース体22の上面の前右角部には、図1および図2に示すように、起立させたときに上端にペダル57が当たってペダル57の押し下げ操作ができなくなる起伏自在なほぼ平板状のストッパ33が設けられている。また、ベース体22の上面の前端縁近傍の中央部には、ベース体22を貫通する左右方向に長い長孔32が設けられており、この長孔32は、例えば、簡易脱水装置1の持ち運びの際に手指を挿入したり、モップの柄を立てたりするなどの各種の用途に用いることができる。
【0037】
前記上蓋23は、ケース本体21の開口を覆うためのものである。この上蓋23は、図1から図3および図5に示すように、短軸四角筒状に形成された蓋胴部23aと、この蓋胴部23aの上端開口を閉塞する蓋天板23bとにより、全体として有頭短軸四角筒状に形成されている。そして、蓋胴部23aの内面は、図5に示すように、ケース本体21のフランジ部25の一部を構成する垂直部25bの外周面を取り囲むことができるように、フランジ部25より大きく形成されている。
【0038】
図2および図5に示すように、前記蓋天板23bの下面には、円盤状の振れ止め体35が配設されている。この振れ止め体35は、バスケット2の開口を覆うように嵌合されるものであり、振れ止め体35の下面の外周部分には、バスケット2の開口端の内側に挿入される下方に凸の平板状に形成された複数の位置決め片35aが一体に形成されている。これら複数の位置決め片35aは、振れ止め体35の中心、すなわちケース3の中心から等距離位置において、隣位する2つの位置決め片35aの相互間の距離がほぼ等しくなるように等角度で配置されている。また、振れ止め体35の中心には、上下方向に貫通する貫通孔が穿設されており、この貫通孔に下方から挿通される固定ねじ36の先端部を上蓋23の下面の中央部に螺着させることにより、振れ止め体35が上蓋23に回転自在に支持されている(図5)。
【0039】
なお、上蓋23の中心とは、バスケット2の回転軸線RLを含む上下方向に沿った直線上の位置である。また、振れ止め体35の軸線は、バスケット2の回転軸線RLと一致するように形成されている。
【0040】
図2および図5に示すように、前記上蓋23とケース本体21とは、それぞれの後側の左右方向中央部に軸線を水平にして配設されたピン37aを具備するヒンジ37によって、開閉自在にされている。すなわち、上蓋23は、後側に配設されたヒンジ37のピン37aを中心として開閉されるようになっている。
【0041】
前記上蓋23の前端縁の中央部分には、図1から図3に示すように、上蓋23の開閉操作に用いる取っ手38が水平に突設されており、この取っ手38の後端縁をケース本体21のフランジ部25の一部を構成する垂直部25bの下端に掛けることにより、上蓋23がケース3の開口を閉塞した閉状態を保持することができるようになっている。なお、上蓋23を開く場合には、取っ手38を上方に操作することにより、上蓋23がピン37aを中心として上方に回転することになる。この上蓋23を閉じた閉状態の外観を図1に示す。また、上蓋23をケース本体21の開口に対して90度開いた開状態の外観を図2に示す。なお、上蓋23の最大開き角度は、設計コンセプトなどの必要に応じて設定することができる。
【0042】
図5から図7に示すように、前記回転駆動機構4は、上端がバスケット2の有底穴12に嵌合される金属製の駆動軸41を有している。この駆動軸41は、その軸線が上下方向に沿って配置されており、駆動軸41の上端部には、バスケット2の回り止め用溝部13に嵌合する平板部41aが設けられている。また、駆動軸41は、その上端部近傍がケース本体21の軸支持筒部27の内孔によって回転自在に支持されており、駆動軸41の下端部は、ベース体22の上面に嵌合された下軸受42によって回転自在に支持されている。勿論、駆動軸41の軸線は、バスケット2の回転軸線RLを含む上下方向に沿った直線上に位置している。
【0043】
前記駆動軸41には、ポリアセタールなどのプラスチックにより形成された小径の平歯車としての小径ギヤ43が固着されており、小径ギヤ43の上面は、軸支持筒部27の下面に対向されている。この小径ギヤ43は、図示しない止め輪によって駆動軸41上における軸線方向の位置決めが行われている。
【0044】
前記小径ギヤ43の図7の右下側に示す側方には、小径ギヤ43に噛合するポリアセタールなどのプラスチックにより形成された大径の平歯車としての大径ギヤ44が配設されている。この大径ギヤ44は、駆動軸41と平行に延在するポリアセタールなどのプラスチックにより形成されたねじ軸45の上部に図示しない一方向クラッチを介して取り付けられている。このねじ軸45の上端部は、大径ギヤ44の上方に突出されており、ねじ軸45の上端部は、駆動機構設置用凹部26の上壁部26cの下面に下方から嵌合された上軸受46によって回転自在に支持されている。また、ねじ軸45の下端部は、ベース体22の上面に嵌合された下軸受47によって回転自在に支持されている。なお、一方向クラッチは、ペダル57を押し下げる操作を行ったときにのみ大径ギヤ44を回転駆動するように機能する。
【0045】
前記ねじ軸45には、ポリアセタールなどのプラスチックによりほぼ立方体状に形成されたねじブロック48が螺合されている。このねじブロック48は、上方から見て4つの角がほぼ左右前後に位置するように配置されており、図7の左斜め下と、図7の右斜め上との隣接しない2つの側面の下端部近傍には、それぞれアーム支持腕49が一体に形成されている。これらのアーム支持腕49は、側面から水平に立設された支持部49aと、この支持部49aの先端から上方に向かって延在するガイド部49bとを有している。なお、ねじブロック48の上下方向に貫通する内孔には、雌ねじが形成されている。
【0046】
前記ねじ軸45の下部の外周には、圧縮コイルばねからなる付勢ばね51が装着されている。この付勢ばね51の下端は、下軸受47の外周部に当接されており、上端は、ねじブロック48の下面に当接されている。そして、付勢ばね51の上端をそのばね力によってねじブロック48の下面に当接させることにより、ねじブロック48は、常時上方に付勢されている。東京都中央区銀座1丁目22番12号
【0047】
前記ねじブロック48には、ナイロンなどのプラスチックにより形成された揺動アーム52が嵌合されている。この揺動アーム52は、その長手方向が駆動機構設置用凹部26の長手方向と平行に延在するほぼ平板状のアーム本体53を有しており、アーム本体53の長手方向のほぼ中間部分には、厚さ方向に貫通するブロック挿入孔54が形成されている。このブロック挿入孔54は、揺動アーム52の長手方向に沿って長い平面ほぼ長方形に形成されており、このブロック挿入孔54にねじブロック48の上部が下方から挿入されて嵌合されている。このとき、揺動アーム52のブロック挿入孔54の形成部位の長手方向に対して直交する両側の下面は、アーム支持腕49の支持部49aの上面に当接されており、揺動アーム52は、付勢ばね51のばね力によって常時上方に付勢されている。また、ブロック挿入孔54およびアーム支持腕49は、ねじブロック48がねじ軸45上で回転するのを防止する回り止めとしても機能するようになっている。
【0048】
前記揺動アーム52の設置スペースSAの奥側に位置する基部は、奥側が開口の平面ほぼコ字状をなすように二股状に形成されており、開口内にはベース体22の上面に立設された取付基体55の上端部分が挿入されている。この取付基体55の上端部分と揺動アーム52の基部とは、水平に延在する金属製の連結ピン56によって連結されており、揺動アーム52は、連結ピン56を中心として揺動可能に形成されている。
【0049】
したがって、揺動アーム52は、連結ピン56を中心として上下方向に往復円弧運動するように、すなわち揺動可能に形成されているとともに、ねじブロック48を介して伝動される付勢ばね51のばね力によって常時は上方に付勢されている。
【0050】
前記揺動アーム52の先端は、開口26aの外側に突出されており、この揺動アーム52の先端の上面には、ペダル57が一体に形成されている。すなわち、ペダル57は、駆動機構設置用凹部26の開口から突出するように配置されている。また、ペダル57は、その長手方向が左右方向に沿って配置されており、ペダル57の後端がケース3の前面と対向するように配置されている。そして、使用者がペダル57を踏み付けることによってバスケット2が回転するように構成されている。
【0051】
なお、ケース3と揺動アーム52、ひいてはペダル57の色を異なる色、例えばケース3を黄色とし、ペダル57を青色とすることにより、使用者による操作部の視認性、すなわち、ペダル57を目立たせることができるので、操作部の認識を容易に行うことができる。
【0052】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0053】
本実施形態の簡易脱水装置1を使用する場合には、上蓋23の取っ手38を上方に操作することにより、図2に示す上蓋23が開いた開状態とする。このとき、ベース体22の上面に形成された踏み付け部31を踏み付けることにより、上蓋23を簡単に開けることができる。そして、上蓋23を開いた開状態とすることにより、バスケット2の開口が露出する。
【0054】
つぎに、バスケット2の内部に脱水対象物を供給する。ついで、開いた上蓋23を閉じて、図1に示す上蓋23が閉じた開状態とする。このとき、振れ止め体35に設けられた複数の位置決め片35aがバスケット2の開口端の内側に挿入され、バスケット2の開口が振れ止め体35により覆われるとともに、ケース本体21の開口が上蓋23によって覆われる。
【0055】
つぎに、ベース体22の上面に配設されたストッパ33を倒した状態において、ペダル57を一方の足、例えば右足で踏み付けて押し下げる操作を繰り返す。ここで、ペダル57を最下端まで押し下げた後、その操作力を解放すると、ペダル57は、付勢ばね51のばね力によって元の位置に自動的に復帰する。したがって、使用者は、ペダル57を押し下げる操作をするときにのみ力を使用すればよいので、労力の負担を低減できる。
【0056】
また、ペダル57の押し下げ操作を繰り返す場合、他方の足、例えば左足でベース体22の上面に形成された踏み付け部31を踏み付けることにより、簡易脱水装置1を使用箇所に固定することができるので、装置が移動したり、傾いたりするのを防止することができる。
【0057】
すなわち、簡易脱水装置1の姿勢を安定させることができるので、ペダル57の操作を円滑に行うことができる。
【0058】
そして、ペダル57の押し下げ操作を繰り返すと、揺動アーム52が連結ピン56を中心として上下移動する。この揺動アーム52の上下動にともなって、ねじブロック48がねじ軸45上を上下動し、ねじ軸45が正・逆方向に回転する。このねじ軸45の回動のうちペダル57を押し下げたときに発生する一方向の回転のみが、一方向クラッチ、大径ギヤ44および小径ギヤ43をこの順に介して駆動軸41に伝動してバスケット2を回転させる。なお、ペダル57が上昇するときに発生するねじ軸45の他方向の回転は、一方向クラッチの空転により大径ギヤ44へ伝動しないようになっている。
【0059】
また、バスケット2の回転により、バスケット2の内部に収納された脱水対象物の水分が遠心分離される。この脱水対象物から遠心分離された水分は、バスケット2の貫通孔11を通過してケース本体21の内部に貯留されることになる。このとき、バスケット2の開口に嵌合された振れ止め体35がバスケット2とともに回転するので、バスケット2の回転軸が振れるを確実に防止することができる。また、上蓋23は、脱水対象物および脱水した水分が外部に飛び出すのを確実に防止することができる。
【0060】
なお、バスケット2の回転は、ペダル57の踏み付け力を強く、すなわち、ねじブロック48の下方への移動速度を速くすることにより、速くなる。そして、バスケット2の回転速度を速くすると、遠心力が大きくなるので、脱水に必要な時間を短くすることができるし、脱水能力を容易に向上することができる。
【0061】
このように、本実施形態の簡易脱水装置1によれば、回転駆動機構4の設置スペースSAを得るための駆動機構設置用凹部26の開口26aがケース本体21の底部の前右側に配置されているので、ベース体22の上面におけるペダル57の配置位置の反対側にスペースを設けることができる。このスペースには、装置の姿勢を安定させるための踏み付け部31などを配置することができる。その結果、ペダル57を踏み付けて押し下げる操作を円滑に行うことができるので、使用者による使い勝手を容易かつ確実に向上することができる。
【0062】
また、本実施形態の簡易脱水装置1によれば、ケース本体21の前左側の底角部にベース体22を操作方向上流側から踏み付け可能な踏み付けスペースSBが設けられているから、ベース体22の前側および左側を大きくすることなく、ベース体22の上面の前左側に使用者により踏み付けられる踏み付け部31を容易に設けることができる。
【0063】
さらに、本実施形態の簡易脱水装置1によれば、ペダル57が前右側、踏み付け部31が前左側、すなわちペダル57と踏み付け部31とが反する位置に配置されているので、使用者による操作性を容易かつ確実に向上することができる。
【0064】
さらにまた、本実施形態の簡易脱水装置1によれば、上蓋23は、脱水中に、脱水対象物および脱水した水分が外部に飛び出すのを確実に防止することができる。
【0065】
また、本実施形態の簡易脱水装置1によれば、振れ止め体35は、バスケット2の回転軸が振れるを確実に防止することができるので、脱水中における装置の姿勢を容易かつ確実に安定させることができる。
【0066】
またさらに、本実施形態の簡易脱水装置1によれば、ストッパ33は、起立状態とすることでペダル57の押し下げ操作、すなわち脱水作業を確実に不能とすることができ、伏した状態とすることで脱水作業を実行することができるから、上蓋23を開いた状態でバスケット2を回転させるなどの使用者の意図とは異なる操作により生じる危険や、子供などの使用者以外の者が上蓋23を開いた状態でバスケット2を回転させるなどの危険を回避することができるので、安全性を用かつ確実に向上することができる。
【0067】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 簡易脱水装置
2 バスケット
3 ケース
4 回転駆動機構
21 ケース本体
22 ベース体
23 上蓋
26 駆動機構設置用凹部
26a 開口
29 凹部
31 踏み付け部
33 ストッパ
35 振れ止め体
41 駆動軸
43 小径ギヤ
44 大径ギヤ
45 ねじ軸
48 ねじブロック
51 付勢ばね
52 揺動アーム
57 ペダル
RL (バスケットの)回転軸線
SA 設置スペース
SB 踏み付けスペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水対象物を収容するためのバスケットと、前記バスケットを収容するためのケースと、前記バスケットを回転駆動させるための押し下げ操作されるペダルを具備する回転駆動機構とを有している簡易脱水装置において、
前記ケースは、前記バスケットより大きく形成された上部が開口の有底筒状のケース本体と、前記ケース本体を下方から支持固定するための平板状のベース体とを有しており、
前記ケース本体の底部には、前記ベース体と前記ケース本体との間に前記回転駆動機構の設置スペースを得るための駆動機構設置用凹部が凹設されており、
前記駆動機構設置用凹部は、その長手方向の一端が開口とされ、この開口は、前記ケースを操作方向上流側から見たときに、前記ケース本体の正面の左右方向に沿った一端側に配置されており、
前記回転駆動機構のペダルは、前記駆動機構設置用凹部の開口から突出するように配置されていることを特徴とする簡易脱水装置。
【請求項2】
前記ケース本体の底部には、前記ベース体を操作方向上流側から踏み付け可能な踏み付けスペースを得るための踏み付けスペース設置用凹部が凹設されており、
前記踏み付けスペース設置用凹部は、前記ケースを操作方向上流側から見たときに、前記駆動機構設置用凹部の開口の配置側とは左右方向反対側の底角部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の簡易脱水装置。
【請求項3】
前記ケースには、前記ケース本体の開口を覆う開閉自在な上蓋が設けられており、
前記上蓋の内面には、前記バスケットの開口に嵌合される回転自在な振れ止め体が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の簡易脱水装置。
【請求項4】
前記ベース体の上面には、前記ペダルの押し下げ操作を不能とするための起伏自在なストッパが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の簡易脱水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−229814(P2011−229814A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105077(P2010−105077)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(510081322)株式会社S Inc. (3)
【Fターム(参考)】