説明

簡易財布

【課題】紙素材であっても充分な強度を保ち、紙幣と硬貨、カード類も収納でき、簡単に製造できる財布を提供する。
【解決手段】端部に開口部1を有する筒体2を、Z字状に異方向へ二箇所折り返してZ折域3を形成し、該Z折域3で二箇所有する隙間4の一方を収納間5とし、他方を差込間6とする。Z折域3の一方の縁へ被せ片7を連接し、Z折域3の他方の端へ固定帯8を設ける。Z折域3の他方の縁へ蓋片9を連接し、該蓋片9を差込間6へ差込んで開口部1を閉じて固定する。筒体2の任意の箇所へ切込を入れ、該切込をカード類やレシートの出入り口にする。収納間5へ紙幣を収納し、被せ片7を折り曲げて被せ、固定帯8へ差し込んで固定する。開口部1を硬貨の出入り口にし、Z折域3の屈折部が硬貨袋の底になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣と硬貨を入れる財布に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の財布は、横長矩形の端を袋折して設けた内壁へ、別具の縫合で硬貨ポケットを形成し、ポケット開口部の閉じ固定も別具を取り付けており、紙幣を巻き込んで収納する被せ片の固定は、面ファスナーの固定具で行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−236845号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の財布は、硬貨ポケットを別具の縫合で形成し、ポケット開口部の閉じ固定も面ファスナーである事から合わさる面の双方へ取り付ける必要があり、紙幣を巻き込んで収納する被せ片の固定も、面ファスナーの固定具であることから、被せ片とポケットとの双方へ取り付ける必要があり、構造が複雑で、製造に手間の掛かるものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
端部を開口した細長い筒体、或いは封筒に設けた二本の折線各々を逆方向へ折りしてZ折域を形成し、Z折域の一方の隙間を収納間として紙幣の収納部にし、他方の隙間を差込間として蓋片の差込固定部にし、蓋片の差込固定によって開口部の閉じた状態が固定され、Z折域の一方の縁へ被せ片を延設し、Z折域の他方の端へ設けられた固定帯へ被せ片を差込んで固定する。
【発明の効果】
【0006】
筒体の開口部は硬貨の出入り口となり、筒体をZ折りしたことで、折り曲げ箇所が硬貨ポケットの底辺になるので、硬貨ポケットは筒体と一体化している。Z折域の一方の隙間が紙幣の収納間になり、他方の隙間が差込間になって、蓋片を差込む事で開口部の閉じ状態を固定できるので、蓋片に別個の固定具を取り付ける必要が無い。被せ片を固定帯へ差込んで固定しているので、被せ片へ別個の固定具を取り付ける必要が無い。前記の方法によって構造が簡略化され、製造も簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】差込前背面斜視図(実施例1)
【図2】紙幣挿入背面斜視図
【図3】蓋片差込前の正面斜視図
【図4】折畳み状態要部透視背面斜視図
【図5】背面倒し左側面斜視図
【図6】展開平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
硬貨ポケットと紙幣収納部とを一体化し、固定箇所などの構造を簡略化することで製造を簡単にした。
【実施例1】
【0009】
図1は、差込前背面斜視図であり、折線は一点鎖線で表示し、谷折山折で表現する折り曲げ方向は外側と正面方向からを基準にする。本発明物の素材は限定ではなく、布や人工樹脂であっても良いが、紙であることが望ましく、不織布も紙と同じ加工が可能なので同類とする。折線部を折り曲げた後、合着によって組み立てるのであるが、該合着方法は限定ではなく、素材によって対応することから、布ならば縫合であり、人工樹脂ならば溶着であり、紙ならば接着か粘着が適しており、望ましい素材が紙であることから接着であることが望ましい。
【0010】
筒体2の形成方法は限定ではなく、人工樹脂ならば最初から筒形状であるが、紙素材での形成方法で述べることにする。展開状態筒体2の中央折線10を山折して二重にした下辺を筒合着帯11で接着して平たい筒形状にする。筒合着帯11の場所は限定ではなく、頂辺であっても良いが下辺背面が望ましく、下辺背面の筒合着帯が厚み段差となり、該厚み段差によって紙幣の下辺を沿わせることができる。
【0011】
筒体2の長手方向に対して直角に接する二本の折線の各々を山折と谷折にしてZ折域3を形成し、該Z折域3には隙間4が二箇所存在し、該隙間4の一方を収納間5とし、他方を差込間6とする。Z折域3の一方の辺へ、五ミリ程度の遊びを設けて離した被せ折線12を介して被せ片7を延設し、被せ折線は一本の線であっても良いが、五ミリ程度の遊びを設けて離した平行な山折線であることが望ましい。Z折域3の他方の辺へ谷折線である蓋折線13を介して蓋片9を延設する。Z折域3の他方の端の蓋折線13の隣へ、天地に巻いた状態で固定帯8を設ける。Z折域3の全層を固定帯8或いは輪ゴムなどで巻いて折り曲げ状態を固定しても良いが、隙間4各々を部分的に接着して折り曲げ固定することが望ましく、該折り曲げ固定構造に於いて、収納間5では下辺領域の筒合着帯11を接着し、差込間6では中央領域を矩形に接着する。固定帯8の両端を差込間6へ挟み込んで、該挟み込み領域だけを接着しても良いし、固定帯8の両端を延長して連接して環にし、環形状の固定帯8を蓋片9から通し、該固定帯8の連接領域を該差込間6の中央矩形接着と同時に行っても良い。該固定帯8の両端連接領域の外面は接着していないことから、差込間6の蓋折線13隣接域は否接着域14と成り、該否接着域14へ蓋片9を差し込んで固定し、蓋片9の差込固定によって、開口部1は閉じた状態で固定される。
【0012】
図2は、紙幣挿入背面斜視図であり、Z折域3の収納間5へ紙幣15の他方半分を収納し、収納間5から出ている紙幣15の一方半分は被せ片7の内面に沿っており、紙幣15の下辺は、筒合着帯11の厚み段差によってズレ落ちが防止されている。被せ片7の上角は切り取られて切角16に成り、切角16にしたことで、固定帯8への被せ片7の挿入を容易にする。被せ片7の一方の縁は未接着状態では開口しており、開口状態でも良いが、一方の縁を内側へ折り返し、該折り返し部分を接着して閉じることが望ましい。固定帯8は環の状態でZ折域3の他方の端へ一周巻いた状態で固定されており、固定帯8の幅が否接着域14と成っているので、否接着域14へ差し込まれる蓋片9の幅は固定帯8と概略同寸であることが望ましい。
【0013】
図3は、蓋片差込前の正面斜視図であり、差込間6の中央は水平方向の幅よりも適宜に短くした矩形で接着されているが、蓋片9の隣接領域には固定帯8の内面が代理に接着されているので外面は否接着域14と成り、該否接着域14へ蓋片9を差し込んで固定することで、開口部1は閉じられた状態で固定される。開口部1の形成箇所は限定ではなく、蓋折線13の線上や周辺領域、蓋片9の折り曲げ方向の面に形成しても良いが、蓋片9の先辺を接着しないことで開口部1を設ける構造が望ましく、開口部1の縁は、切り離しであっても折り返しであっても良い。外正面板17は平らな面であっても良いが、切込18を入れてポケットを設けることが望ましく、該切込18の位置や形状は限定ではなく、外正面板17の上部を水平方向へ貫く直線で設けることが望ましい。
【0014】
図4は、折畳み状態要部透視背面斜視図であり、透視線は破線で表示している。固定帯8に被せ片7の端領域を差し込んで固定し、固定帯8は押し潰された環の形状であることから、隙間から指先を挿入して紙幣15を摘み出すことができ、被せ折線12とZ折域3との間には遊び19が設けられており、この遊び19によって、紙幣15の中央屈折領域をZ折域3の折縁が圧迫するのを回避でき、被せ片7を折り曲げた折畳み状態であっても、紙幣15を容易に滑り出すことができる。
【0015】
図5は、背面倒し左側面斜視図であり、開口部1を凸レンズ状に湾曲させて開くと、中に収納されている硬貨20を目視で確認し易くなる。開口部1を凸レンズ状に湾曲できる構造にするには、両側折り曲げ辺領域の遊離が不可欠で、該遊離領域の形成は否接着域14と側無着域21によって実現している。差込間6の接着領域は中央部水平方向のみで、蓋片9の隣接域では固定帯8が被さって、連接領域22が代わりに接着されて否接着域14と成り、差込間6の天地両側は接着剤が塗布されていないことから側無着域21と成っている。否接着域14は、開口部1を大きく開く働きの他に、折り曲げられた蓋片9を差し込んで固定するという役目も果たす。
【0016】
図6は、展開平面図であり、展開状態の筒体2では正面を下にして図示し、折線は一点鎖線で表示する。筒体2を筒形状にする工程は、横長矩形紙の中央を水平方向へ貫く山折線で中央折線10を入れ、下端に延設されている筒接着帯11を山折して接着することで筒形状なる。前記筒形状の状態(中央折線10より上が背方へ隠れた状態)で説明するならば、左端は蓋片9と成り、右隣接の三室はZ折域3と成り、右隣接の一室は被せ片7と成り、被せ片7の右縁は開口していても良いが閉じることが望ましく、右端に端合着帯23を延設して接着して閉じ、該端合着帯23の中央線10と交差する領域に切角16を形成するための接着領域を設ける。Z折域3の左に位置する差込間6の中央水平領域に中着域24を設け、該中着域24の上下両側の隣接領域は側無着域21と成る。切込18の形状や長さ、位置などは限定ではなく、適宜に変更しても良いが、望ましい場所を述べるならば、外正面板17と被せ片7との上端領域を横切る水平な切込18と、収納間5の上端領域へ水平なb切込18´を設ける。固定帯8は別具の平紐やテープであっても良いし、紙を折り曲げて接着する加工品であっても良く、該加工品を説明するならば、懐紙或いは畳紙と類似の折り方をし、の字に巻き込まれた巻紙の両端を付き合わせて接着固定して環形状にする。
【産業上の利用可能性】
【0017】
紙を素材にするのが望ましいが、紙だけに限らず、不織布、織り布、皮、人工樹脂であっても良い。
【符号の説明】
【0018】
1 開口部
2 筒体
3 Z折域
4 隙間
5 収納間
6 差込間
7 被せ片
8 固定帯
9 蓋片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に開口部1を有する筒体2を異方向へ折り返してZ折域3を形成し、該Z折域3で二箇所有する隙間4の一方を収納間5とし、他方を差込間6としたことを特徴とする簡易財布。
【請求項2】
Z折域3の一方の縁へ被せ片7を連接し、Z折域3の他方の端へ固定帯8を設けたことを特徴とする、請求項1記載の簡易財布。
【請求項3】
Z折域3の他方の縁へ蓋片9を連接し、該蓋片9を差込間6へ差込んで開口部1を閉じて固定することを特徴とする、請求項1または請求項2記載の簡易財布。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−239814(P2011−239814A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111894(P2010−111894)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000218281)
【Fターム(参考)】