説明

籾摺精米装置

【目的】この発明は、籾摺精米装置に関し、精米作業あるいは籾摺精米作業をユ−ザ−の希望によって選択させ、無人籾摺精米装置の稼働率を高めるようにしたものである。
【構成】仕切壁2によって操作室3と機械室4とに仕切られた籾摺精米装置の機械室4内に精米機12と籾摺機10を設け、操作室3側の操作盤6上に籾と玄米とを選択する選択手段を設け、この選択手段を操作することによって、タンク20内の切替手段21が精米機12側あるいは籾摺機10側に切り替わるように構成している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、籾摺精米装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】無人の精米装置が近年普及しつつあり、この形態の精米装置は所定の玄米を無人建屋に持込み、装置に組み込むコイン投入口に所定枚数のコインを投入することによって一定時間精米各部が自動的に運転を開始するとともに当該金額に見合う時間だけ運転継続すると作動が停止する構成である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記の従来装置にあっては、精米作業のみを主体とするものであって、同じ建屋で籾摺と精米とを同時に行なう構成にはなっていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は前記問題点に鑑みて提案するものであり、ユ−ザ−の希望により精米作業だけでなく、籾摺精米作業も同時に行なえるようにして、籾摺精米装置の稼働率の向上を図れるようにしたものである。併せて無人籾摺精米装置における設置面積を極力小さくして敷地の有効利用を図れるように工夫したものである。このため、この発明は次のような技術的手段を講じた。
【0005】即ち、仕切壁2によって操作室3と機械室4とに仕切られた籾摺精米装置の機械室4内に精米機12と籾摺機10を設け、操作室3側の操作盤6上には籾と玄米とを選択する選択手段を設け、該選択手段を選択操作することによって、タンク20内の切替手段21が精米機12側あるいは籾摺機10側に切り替わるべく構成したことを特徴とする籾摺精米装置の構成とする。
【0006】
【実施例】以下、図面に示す実施例に基づいて、この発明の実施例を説明する。まず、構成から説明すると、1は無人籾摺精米装置の建屋であり、内部は仕切壁2により操作室3と機械室4とに仕切られる。このうち、操作室3側には原料籾投入部5、操作盤6、白米取出部7、投入ホッパ8等を有し、機械室4側には、籾摺昇降機9、籾摺機10、精米昇降機11、精米機12、糠処理部13等が設けられている。
【0007】上記操作室3側には原料置き台15を設置し、前記投入ホッパ8の下部には供給螺旋16を内装する供給樋17を設け、該供給螺旋16軸は一端側に設けた駆動モ−タ18により回転駆動可能に設けられている。なお、図2において符号19は篩網である。そして、上記供給樋17の移送終端側は籾摺昇降機9のホッパ部に臨ませ、該籾摺昇降機9の上部は籾摺機10の籾タンク20に連通させる。この籾タンク20下部には切換シャッタ21を設け、この切換シャッタ21を中央の横軸22廻りに回動できるように構成し、左側傾斜姿勢イと右側傾斜姿勢ロとに切り換わることができるようにしている。
【0008】左側傾斜姿勢イにすると連通口23を介して精米昇降機11に直接原料が供給される。また、右側傾斜姿勢ロにすると籾摺機10の脱ぷロ−ル24、25部に原料が供給される。これら脱ぷロ−ル24、25は異なる周速度で回転し、それらのうち一方の脱ぷロ−ル24が他方の脱ぷロ−ル25に対して遠近に移動できるように構成されている。
【0009】脱ぷロ−ル24は揺動部材26に支持されこの揺動部材26先端側に螺合する調節螺杆27を制御モ−タ28の正逆回転によって固定側ロ−ルに対して遠近移動しそれとの間隔を広狭に変更できる構成としている。29は摺出米を風選処理する風選部、30は摺り出された混合米から分離した軽い粃等を集めて一側に移送する移送螺旋、31は混合米中の小米を漏下除去しながら流下させる流下樋、32は唐箕、33は排塵胴である。
【0010】この排塵胴33の延長部33’は籾摺機10本体から後方に向けて延出され、機外に放出しうる。なお、脱ぷロ−ル24、25や移送螺旋30等の駆動部は駆動モ−タ34によって回転駆動され、移送螺旋30の排出側端部は籾摺昇降機9に連通しうる。また、流下樋31からの混合米は適宜移送部を介して精米昇降機11のホッパ部に連通する。
【0011】精米昇降機11の上部のタンク近傍には精米機12の玄米タンク55を臨ませる。この精米機12は、精白室35内に精白ロ−ル(図示省略)を内装する公知の形態であり、除糠スクリ−ン(図示省略)からの分離糠は、糠搬送ファン(図示省略)により糠処理部13に搬送される。上記精白室35の出口側は白米取出部7としての白米タンク36に通じる。
【0012】糠処理部13は、建屋1の機械室4後方壁に接近して設けられるもので、サイクロン36’と、このサイクロン36’下部に臨み落下した糠を水平移送する糠移送螺旋37樋38、及び螺旋樋37の途中部と終端部とに開口せる排出部からの落下糠を受ける糠袋39、39からなる。前記操作室3側操作盤6は、その盤面に原料投入可ランプ40、コイン枚数表示灯41、コインメック42、もみ・こめ選択ボタン43a・43b、白度選択(図例では、上白、標準、8ぶ、の3段階に選択できる)ボタン44、45、46等を配設し、このうち、コインメック42には投入コインの識別部や投入コイン毎に作動するコインセンサ48等を備えている。そして、この操作盤6の内部には各部駆動モ−タの駆動制御を行なうマイクロコンピュ−タを備えている。
【0013】図5は制御ブロック図を示すものであり、同図に示すようにマイクロコンピュ−タの演算制御部(CPU)49には、コインセンサ48からの検出情報、白度選択情報、もみ・こめ選択情報、籾摺機10の駆動モ−タ34の負荷電流検出器50の検出情報信号、クロック信号等が入力される。一方、出力情報としては、供給螺旋駆動モ−タ18制御信号、切換シャッタ21制御信号、籾摺機駆動モ−タ34、昇降機9、11駆動モ−タ51、精米機駆動モ−タ52、糠移送螺旋モ−タ53等本機駆動系信号、白度調節モ−タ54制御信号、ロ−ル間隙制御モ−タ28の正逆転指令信号等がある。
【0014】次に上例の作用を説明する。原料が籾の場合について、その量に見合う運転時間を確保できるだけのコインをコインメック42の投入口に投入し、次に「もみ」選択ボタン43aを押し、最後に3つの白度選択ボタン44、45、46のいずれかを選択して押す。これらの設定準備を完了して籾を投入ホッパ8に投入するのであるが、装置各部はコイン投入を同時に運転を開始し、投入ホッパ8からの籾は供給螺旋16によって移送され籾摺昇降機9内に供給される。この昇降機9からの排出籾は上記の「もみ」設定に伴い予め傾斜姿勢ロに設定される切換シャッタ21によって籾タンク20から籾摺機10の脱ぷロ−ル24、25上に供給される。
【0015】原料籾は脱ぷロ−ル24、25の回転によって脱ぷ処理され、下方の風選部29を通過するうち軽い籾殻や粃が除去され、混合米は流下樋31から精米昇降機11を経て精米機12内に供給される。精米機12内では図示外の精白ロ−ルが回転して順次供給される一部未脱ぷ粒を含む玄米粒を除糠スクリ−ンとの間で表面糠層乃至籾殻を剥離させ、白米とさせる。この白米は白米取出部7を経て適宜操作室3内にて回収されるものである。
【0016】運転各部は、投入金額にて設定された時間Tが経過するとまず供給螺旋16の駆動モ−タ18が停止し、所定時間遅れて籾摺機10、精米機12等が停止するものであり、昇降機9、11や精白室内の穀粒残留を少なくしている。原料が玄米である場合には、籾摺作業を省略する。このため、ユ−ザ−は「こめ」選択ボタン43bを押して作業開始するものであるが、このとき、籾タンク20内の切換シャッタ21は傾斜姿勢イのように切り替わり、原料玄米は直接精米昇降機11を経て精米機12に供給される。このため、籾摺作業はなされず、玄米は全て精米機12に送られて精白室において表面糠層の剥離が行なわれる。
【0017】また、除糠スクリ−ンを抜けて排出される糠乃至粉砕籾殻等は糠処理部36を経て移送螺旋樋38にて移送されつつ糠袋39、39に回収される。
【0018】
【発明の効果】この発明は前記の如く構成したので、以下のような技術的効果を奏する。即ち、仕切壁2によって操作室3と機械室4とに仕切られた籾摺精米装置の機械室4内に精米機12と籾摺機10を設け、操作室3側の操作盤6上には籾と玄米とを選択する選択手段を設け、該選択手段を選択操作することによって、タンク20内の切替手段21が精米機12側あるいは籾摺機10側に切り替わるべく構成したものであるから、精米処理だけ、あるいは籾摺と精米作業とを同時に行なうことがユ−ザ−の希望で簡単にできるようになり、無人の籾摺精米装置の稼働率を高めることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】全体平面図である。
【図2】装置概略のフロ−図である。
【図3】籾摺機の一部の正面図である。
【図4】操作盤の正面図である。
【図5】制御ブロック図である。
【符号の説明】
1 建屋
2 仕切壁
3 操作室
4 機械室
5 原料籾投入部
6 操作盤
7 白米取出部
9 籾摺昇降機
10 籾摺機
11 精米昇降機
12 精米機

【特許請求の範囲】
【請求項1】仕切壁2によって操作室3と機械室4とに仕切られた籾摺精米装置の機械室4内に精米機12と籾摺機10を設け、操作室3側の操作盤6上には籾と玄米とを選択する選択手段を設け、該選択手段を選択操作することによって、タンク20内の切替手段が精米機12側あるいは籾摺機10側に切り替わるべく構成したことを特徴とする籾摺精米装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平7−251082
【公開日】平成7年(1995)10月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−14411
【分割の表示】特願平4−340820の分割
【出願日】昭和63年(1988)4月22日
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)