粉体の圧縮成型装置
【課題】粉体の種類等に応じて適切な圧縮成型を行うことができ、高品質の成型体を安定的に効率良く提供し得る粉体の圧縮成型装置を提供すること。
【解決手段】本発明の圧縮成型装置は、鉛直方向に延びる貫通口10を有する臼体11と、該貫通口10に鉛直方向の下方側から挿入され且つ該貫通口10内を上下動可能に配され且つ容器3の下面の一部と接触した状態で該容器3を下方から支持する容器支持体12とを備え、貫通口10と容器支持体12とによって容器3の収容空間Sが画成可能になされている。本発明の圧縮成型装置は、更に、容器3内の粉体に超音波振動を付与する下杵20aと、上杵20bとを備えている。容器支持体12に、該容器支持体12の鉛直方向の全長に亘って下杵20aの移動路15が形成されており、該下杵20aが該移動路15を移動して、容器3の下面の前記一部以外の部位に接触可能になされている。
【解決手段】本発明の圧縮成型装置は、鉛直方向に延びる貫通口10を有する臼体11と、該貫通口10に鉛直方向の下方側から挿入され且つ該貫通口10内を上下動可能に配され且つ容器3の下面の一部と接触した状態で該容器3を下方から支持する容器支持体12とを備え、貫通口10と容器支持体12とによって容器3の収容空間Sが画成可能になされている。本発明の圧縮成型装置は、更に、容器3内の粉体に超音波振動を付与する下杵20aと、上杵20bとを備えている。容器支持体12に、該容器支持体12の鉛直方向の全長に亘って下杵20aの移動路15が形成されており、該下杵20aが該移動路15を移動して、容器3の下面の前記一部以外の部位に接触可能になされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に収容された粉体化粧料等の粉体に超音波振動を付与しながら該粉体を圧縮成型する粉体の圧縮成型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体の圧縮成型法として、粉体を所定の容器等に充填し加圧プレスして成型する、いわゆるプレス成型法が知られている。プレス成型法は、粉体を圧縮することにより、該粉体自体の凝集力及び/又は粉体中に含有されている油剤等の結合剤のバインダー効果を発現させ、これにより粉体を固化・成型する成型法である。しかし、プレス成型法は、粉体自体の物性や形状、複数種の粉体を併用している場合にはその成分組成等によっては、粉体の固化・成型が困難となる場合があった。
【0003】
このようなプレス成型法の問題を解消すべく、加圧プレスに加えて粉体に超音波振動を付与する方法が提案されている。例えば特許文献1には、鉛直方向に延びる貫通孔が形成されたテーブルと、該貫通孔に鉛直方向の上方側から挿入される上杵及び下方側から挿入される下杵とを備えた圧縮成型装置を用い、該貫通孔と該下杵の上面とで画成される凹部に粉体原料を充填後、該上杵の下面を該凹部内に挿入し、該粉体原料の上下それぞれから超音波振動を与えながら該粉体原料を圧縮成型し、タブレットを製造する方法が記載されている。特許文献1に記載の方法によれば、主として超音波振動を用いることにより、粉体の種類によらず、欠陥が少なく且つ密度が均一な高品質の成型体が得られるとされている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の圧縮成型装置においては、圧縮成型時に粉体を収容するための容器は使用されず、粉体は、前記凹部を画成する前記下杵の上面上に直接充填されるため、所定の圧縮成型後に前記凹部内に残留する粉体を完全に除去する作業等が必要となり、複数の成型体を連続的に製造し難く、生産性に問題がある。また特許文献1に記載の圧縮成型装置は、粉体を容器内で圧縮成型する場合、即ち容器付きの成型体を製造する場合には利用し難いものであった。
【0005】
また特許文献2には、プレス成型法を利用した全自動的な粉体等の化粧料の圧縮成型装置として、粉体の圧縮空間を複数有するターンテーブル、及び各該圧縮空間内の粉体を上下方向からそれぞれ圧縮する上下一組の圧縮手段を備え、各該圧縮空間に容器を順次配置し、該容器内に粉体を充填し、該圧縮手段によって該粉体を容器ごと加圧プレスして成型する圧縮成型装置が記載されている。特許文献2に記載の圧縮成型装置においては、圧縮空間内において粉体が収容された容器を下方から支持する容器受けとして機能する、加圧体27(特許文献2の図2等の記載参照)が上下動可能に配されているため、前記圧縮手段による粉体の下方から上方に向けての圧縮は、加圧体27を介して間接的に行われる。特許文献2に記載の圧縮成型装置によれば、複数の成型体を連続的に製造することが可能であり、また、種々の化粧料に即応した最適な圧縮成型を極めて簡易且つ自在に行うことができるとされている。
【0006】
ところで、特許文献2に記載の圧縮成型装置の如き成型体の連続製造装置においては、成型体の原料である粉体の品質や特性等(例えばかさ密度)のばらつき等により、成型体の品質にばらつきが生じたり、品質の低下を招いたりするおそれがある。このような、成型体の連続製造装置における粉体に起因する問題の解決には、粉体の種類等に応じて容器内への粉体の充填量を調整することが効果的であり、斯かる観点から、容器内で粉体を圧縮成型する成型体の連続製造装置は、粉体の充填量調整機構を備えていることが望ましい。特許文献2に記載の圧縮成型装置においては、圧縮空間において容器が載置される底部を形成する容器受けとしての加圧体27が上下動可能に配されているため、該圧縮空間に設置された容器に粉体を充填する時に粉体の種類等に応じて加圧体27を上下動させることにより、圧縮空間の容量を調整することができ、これにより容器内への粉体の充填量を調整することができると考えられる。
【0007】
しかし、特許文献2に記載の圧縮成型装置において、より高品質の成型体を得る等の目的で特許文献1に記載の如く、容器の下方から該容器内の粉体に向けて超音波振動を付与しようとすると、該容器の直下に位置する容器受けとしての加圧体27の存在により、超音波振動が容器内の粉体に伝わりにくく、超音波振動の効果が得られにくいという問題があった。成型体の連続製造に対応可能で、粉体の種類等に応じて粉体の充填量を調整でき、且つ超音波振動を用いた粉体の圧縮成型により粉体の種類等によらず高品質の成型体を提供し得る粉体の圧縮成型装置は未だ提供されていない。
【0008】
【特許文献1】特開2007−210985号公報
【特許文献2】特開昭63−60913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明の目的は、粉体の種類等に応じて適切な圧縮成型を行うことができ、高品質の成型体を安定的に効率良く提供し得る粉体の圧縮成型装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、皿状の容器内に収容された粉体に超音波振動を付与しながら該粉体を圧縮成型する粉体の圧縮成型装置であって、鉛直方向に延びる貫通口を有する臼体と、該貫通口に鉛直方向の下方側から挿入され且つ該貫通口内を上下動可能に配され且つ前記容器の下面の一部と接触した状態で該容器を下方から支持する容器支持体とを備え、該貫通口と該容器支持体とによって該容器の収容空間が画成可能になされており、更に、前記容器支持体によって支持されている前記容器の下方において鉛直方向に上下動可能に配され且つ該容器内の前記粉体に超音波振動を付与する下杵と、該容器を挟んで該下杵と相対向する位置に鉛直方向に上下動可能に配された上杵とを備え、該下杵と該上杵とによって該粉体を該容器ごと圧縮可能になされており、前記容器支持体に、該容器支持体の鉛直方向の全長に亘って前記下杵の移動路が形成されており、該下杵が該移動路を移動して、該容器支持体によって支持されている前記容器の下面の前記一部以外の部位に接触可能になされている粉体の圧縮成型装置を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の粉体の圧縮成型装置によれば、成型体の原料である粉体の種類等に応じた適切な圧縮成型を行うことができ、粉体の種類等によらず、欠陥が少なく密度が均一な高品質の成型体を安定的に効率良く得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の粉体の圧縮成型装置(以下、圧縮成型装置ともいう)全体の概略上面図が示されている。本実施形態の圧縮成型装置は、皿状の容器3内に収容された粉体に超音波振動を付与しながら該粉体を圧縮成型して容器3付きの成型体50を製造する装置であり、成型体の原料である粉体を圧縮成型する部位1(圧縮成型部)を複数(6個)有し且つ図示しない駆動源によって周方向に回転可能なターンテーブル2を備えている。本実施形態の圧縮成型装置は、ターンテーブル2をその周方向に回転させることによって、これら複数の圧縮成型部1がそれぞれ符号A〜Fの位置を順次通過して所定の工程を経るようになされており、複数の成型体50を連続的に製造することができる。
【0013】
複数の圧縮成型部1は、平面視して円形形状のターンテーブル2の周縁に沿って等間隔で配されている。ターンテーブル2は、ベース体4上において図1の矢標方向に(時計回りに)回転可能に配されている。ベース体4における図1の符号Aの位置には、粉体が入っていない複数の空の容器3をターンテーブル2へ搬送するコンベア5が接続されている。また、ベース体4における図1の符号Eと符号Fとの中間位置には、ターンテーブル2から排出された容器3付きの成型体50を所定位置へ搬送するコンベア6が接続されている。
【0014】
図2には、図1の符号Dの位置における圧縮成型部1の縦断面図が模式的に示されている。本実施形態の圧縮成型装置においては、後述するように図1の符号Dの位置で粉体の圧縮成型が行われる。複数の圧縮成型部1は、それぞれ図2〜図4に示すように、鉛直方向に延びる貫通口10を有する臼体11と、該貫通口10に鉛直方向の下方側から挿入され且つ該貫通口10内を上下動可能に配され且つ容器3の下面の一部と接触した状態で該容器3を下方から支持する容器支持体12とを備えている。貫通口10と容器支持体12とによって容器3の収容空間Sが画成可能になされている。
【0015】
本実施形態の圧縮成型装置は、図2に示すように、容器支持体12によって支持されている容器3の下方において鉛直方向に上下動可能に配され且つ該容器3内の粉体に超音波振動を付与する下杵(下ホーン)20aと、該容器3を挟んで該下杵20aと相対向する位置に鉛直方向に上下動可能に配された上杵(上ホーン)20bとを備え、該下杵20aと該上杵20bとによって粉体を容器3ごと圧縮可能になされている。下杵20a及び上杵20bは、図1の符号Dの位置に成型圧縮部1を上下から挟むように配されている。下杵20a及び上杵20bは何れも、その長さ方向と直交する方向の断面形状が容器3の平面形状(容器3の底板の平面視における形状)と相似形で且つ容器3内に挿入可能な形状(本実施形態では角が丸みを帯びた四角柱状)の金属等の剛体からなり、粉体を圧縮成型する際に、該粉体に超音波振動を付与する役割、及び該粉体を圧縮するための成型用杵としての役割を有している。
【0016】
下杵20aの下端には超音波振動素子21aが取り付けられており、該素子21aはエアシリンダ22aによって支持されており、これら三者は同一軸線上に位置している。エアシリンダ22aは図示しない支持部材に取り付けられている。これによって、下杵20a及び素子21aはそれぞれ上下方向へ移動可能になっている。一方、上杵20bの上端には超音波振動素子21bが取り付けられており、該素子21bはエアシリンダ22bによって支持されており、これら三者は同一軸線上に位置している。エアシリンダ22bは図示しない支持部材に取り付けられ、そこから垂下している。これによって、上杵20b及び素子21bはそれぞれ上下方向へ移動可能になっている。尚、超音波振動素子の移動手段はエアシリンダに限定されず、他に油圧シリンダや、電動モータを用いたボールネジプレス等の機器を用いても良い。また、超音波振動素子の移動手段は、杵及び該超音波振動素子に対して同一線上に位置していなくても良い。
【0017】
臼体11は、図3及び図4に示すように、略円筒状の金属等の剛体からなり、平面視(上面視)して円形形状をしている。臼体11の上端部は水平方向に張り出してフランジを形成しており、該フランジはターンテーブル2へボルト締め(図示せず)されている。貫通口10は、臼体11の鉛直方向と直交する水平方向の中央に位置し、図4に示すように鉛直方向の上方から見たときに(上面視において)、角が丸みを帯びた四角形(正方形)形状をしている。貫通口10の開口径は、図3に示すように鉛直方向の上方側から下方側に向かう途中で一度変化しており、下方側の開口径の方が上方側の開口径よりもが大きくなっている。
【0018】
臼体11の下端部には、容器支持体12の位置決め用部材13が貫通口10の壁面に露出するように配されている。本実施形態においては、図4に示すように4個の位置決め用部材13が貫通口10の壁面に沿って等間隔で配されており、これら4個の位置決め用部材13によって容器支持体12を貫通口10内の所望の位置で固定できるようになされている。即ち、位置決め用部材13は、その摩擦力により、貫通口10に挿入され固定された容器支持体12が自重により落下することを効果的に防止し得る。尚、位置決め用部材13が配されていても、容器支持体12は、後述する容器押し込み手段30や圧縮後部7b等により、貫通口10内を上下に摺動可能である。位置決め用部材13としては、例えばウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム等の弾性体、ゴム、スポンジ等を用いることができる。
【0019】
容器3の収容空間Sを画成する貫通口10の壁面は樹脂を含んで構成されており、図3に示すように、臼体11の一部が樹脂からなる樹脂部14となっている。このように、貫通口10の壁面における、粉体が収容される容器3と接触する部位を樹脂で形成した理由は、超音波振動に起因する該部位(貫通口10の壁面)と容器3との磨耗を緩和するためである。即ち、本実施形態においては、収容空間Sに収容された容器内の粉体に超音波振動を付与するため、該超音波振動により容器が振動する。このため、収容空間Sを構成する貫通口10の壁面の材質によっては、該壁面と容器との接触部分が超音波振動により傷が発生することがある。この場合、磨耗して該接触部分に磨耗痕が発生するだけでなく、その磨耗粉による汚染や成形品の美観の低下等を招くおそれがある。そこで、本実施形態においては、容器の収容空間Sを画成する貫通口10の壁面を樹脂部14とすることにより、このような超音波振動に起因する磨耗の問題を解消している。通常、容器3はアルミ合金等の金属やポリエチレンテレフタレート等の樹脂から形成されており、このような容器3の材質と硬度が同等以下の樹脂を貫通口10の壁面に用いることで、磨耗痕や磨耗粉の発生が特に効果的に抑制される。
【0020】
樹脂部14は実質的に樹脂からなる。該樹脂としては、例えばポリアセタール、MCナイロン(登録商標)、硬質ポリエチレン、フッ素樹脂等の1種以上を用いることができる。これらの中でも特にポリアセタールは、上述した磨耗痕や磨耗粉の抑制効果が高く、本発明で好ましく用いられる。
【0021】
容器支持体12は、金属等の剛体からなり、貫通口10の形状に合致した形状をしている。容器支持体12は図5に示すように、角が丸みを帯びた四角柱状のベース部12aと、該ベース部12a上に配され且つ収容空間S内の容器を下方から支持する支持部12bとを有している。支持部12bの上端部は、容器支持体12の貫通口10への挿入方向の先端部であると共に容器との接触部でもあり、圧縮成型時には該上端部上に粉体が収容される容器3が載置される。支持部12bの上端部(容器支持体12における容器との接触部)の水平方向(鉛直方向と直交する方向)視での形状は、図4に示すように放射状、より具体的には十字形状となっている。
【0022】
容器支持体12には、図5に示すように、該容器支持体12の鉛直方向の全長に亘って下杵20aの移動路15が形成されている。移動路15は、容器支持体12を構成するベース部12aを鉛直方向に貫通する貫通口15aと、該ベース部12a上に配された支持部12bを中心とする、該支持部12bの周囲空間とからなり、両者は同一軸線上に位置している。これにより、下杵20aが移動路15を移動して、容器支持体12によって支持されている容器3の下面の前記一部(容器3の下面における容器支持体12との接触部)以外の部位に接触可能になされている。
【0023】
下杵20aは、移動路15の形状に合致した形状をしており、移動路15によって容器支持体12の鉛直方向の全長に亘って移動可能になされている。具体的には下杵20aは、図6に示すように四角柱状をしており、且つその上端部(移動路15への挿入方向の先端部)に、上端から下杵20aの長さ方向に延びる所定長さの切り込み部23を有している。切り込み部23は、下杵20aが移動路15を移動する時に容器支持体12の支持部12bが挿入される空隙として機能する部位であり、下杵20aの水平方向視(長さ方向と直交する方向の断面視)において、支持部12bの上端部の水平方向視での形状に対応した形状、即ち放射状(十字形状)をしている。切り込み部23の鉛直方向に沿った長さは、支持部12bの鉛直方向に沿った長さよりも長くなっており、これにより下杵20aの上端部が容器支持体12(支持部12b)の上端部よりも鉛直方向の上方に突出し、容器支持体12上に載置されていた容器を該下杵20aの上端部によって持ち上げることが可能になしてある。
【0024】
十字形状の切り込み部23を有する下杵20aの上端部は、図6に示すように、4本の四角柱を縦横に2本ずつ所定間隔を置いて配置した形態をなしている。下杵20aの上端部を構成するこれら4本の四角柱は、超音波振動を効率良く均一に粉体に付与する観点から、水平方向視における大きさが同じであることが好ましい。
【0025】
下杵20aにおける容器3の下面との接触面積は、容器3内の粉体に下杵20aを通じて超音波振動を効率良く付与する観点から、容器3における粉体の収容部の底面積の50%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましい。ここで、「容器における粉体の収容部の底面積」とは、容器の内面において、粉体を下方から支持する底面の面積を意味する。
【0026】
尚、容器3は、図2及び図9に示すようにバットの如き底の浅い箱形の容器であり、平らな底板と該底板を包囲し且つ鉛直方向に立設する壁部とを有している。容器3における粉体の収容部の底面積は、この底板の内面側の面積である。容器3は、その底板と直交する方向(鉛直方向)の上方から見たときに(上面視において)、収容空間Sを画成する貫通口10の上面視における形状〔図4参照。角が丸みを帯びた四角形形状〕と略同形状をしており、且つ収容空間Sに収容された時における該収容空間Sを構成する貫通口10の壁面とのクリアランス(間隙)が50〜150μm程度となるような大きさを有している。容器3は、本実施形態の圧縮成型装置を構成する部材ではなく、該圧縮成型装置とは別体である。
【0027】
本実施形態においては、上杵20b及び下杵20aを鉛直方向に移動させて両者を突き合わせた時に、図7に示すように、下杵20aにおける上杵20bとの突き合わせ面の輪郭線20aaの少なくとも一部が、上杵20bにおける下杵20aとの突き合わせ面の輪郭線20bbからはみ出している。より具体的には図7に示すように、上杵20bと下杵20aとを突き合わせた時に、上杵20bの輪郭線20bbの略全体(輪郭線20bbの全長の90%以上)が、下杵20aの輪郭線20aaによって包囲されている。このように、上杵20bと下杵20aとを突き合わせた時に、その突き合わせ面において下杵20aの輪郭線の少なくとも一部が上杵20bの輪郭線からはみ出すようになされていることにより、下杵20aと上杵20bとの間で粉体に超音波振動を付与しながら該粉体を容器3ごと圧縮する時に、各杵による剪断力や超音波振動等によって容器3が傷つくことが効果的に防止される。
【0028】
本実施形態の圧縮成型装置は、容器支持体12を鉛直方向に上下動させる昇降手段を備えており、該昇降手段によって容器支持体12を貫通口10内で上下動させることにより収容空間Sの容積が可変可能になされており、これにより粉体の容器3への充填量が調整可能になされている。図8には、前記昇降手段としての容量調整板7が示されている。容量調整板7は、金属等の剛体からなり、図8に示すように、ターンテーブル2を下方から支持するベース体4における該ターンテーブル2との対向面4a上に配されており、対向面4aからターンテーブル2に向かって突出する凸部からなる。該凸部(容量調整板7)は、ターンテーブル2の周縁に沿って配されており、図1の符号Aの位置から符号Dに亘って連続する所定幅の半円状の圧縮前部7aと、図1の符号Dの位置から符号Fに亘って連続する所定幅の円弧状の圧縮後部7bとからなる。圧縮前部7aと圧縮後部7bとは、図1の符号Dの位置及び符号Fと符号Aとの間の2箇所において途切れており、連続していない。容量調整板7は、ターンテーブル2の周方向に回転する複数の容器支持体12を下方から支持し且つ所定の位置に誘導するガイドレールとしての役割を有しており、前記凸部の上面に容器支持体12が載置される。
【0029】
圧縮前部7aは、容器3のターンテーブル2への供給直後から粉体の圧縮成型直前までの工程に亘って容器支持体12を下方から支持する部材であり、図示しない駆動源によって鉛直方向に上下動可能に配されている。圧縮前部7aの前記対向面4aからの突出高さはその全長に亘って一定となっている。図示しない駆動源を動作させて圧縮前部7aを鉛直方向の下方側に移動させる、即ち圧縮前部7aの対向面4aからの突出高さを低くすると、圧縮前部7a上に位置している容器支持体12も該下方側に移動するため、容器3の収容空間Sの容積が増加する。粉体の容器3への充填量を増加する場合は、斯かる操作によって容器3の収容空間Sの容積を増加させる。一方、粉体の容器3への充填量を減少する場合は、上述した操作とは逆に圧縮前部7aを鉛直方向の上方側に移動させ、収容空間Sの容積を減少させる。
【0030】
圧縮後部7bは、粉体を容器3ごと圧縮した直後から粉体の入った容器3をターンテーブル2から排出するまでの工程に亘って容器支持体12を支持する部材であり、容器支持体12の進行方向(ターンテーブル2の回転方向)に従って対向面4aからの突出高さが高くなっている。即ち、圧縮後部7bにおける容器支持体12が載置される上面は、その全長に亘って傾斜しており、図1の符号Dから符号Fに向かうにつれて容器支持体12が鉛直方向の上方に移動し、これにより収容空間Sが減少するようになされている。本実施形態においては、図1の符号Eと符号Fとの中間位置において収容空間Sの容積が略ゼロとなるように圧縮後部7bの突出高さが調整されており、これにより該中間位置で、容器支持体12によって支持されている容器3がターンテーブル2の表面と同一平面上に押し出されるようになされている。
【0031】
以上の構成を有する本実施形態の圧縮成型装置を用いた粉体の圧縮成型方法(成型体の製造方法)を図1及び図9を参照しながら説明すると、先ず、図示しない駆動源を動作させてターンテーブル2を時計回りに回転させると共に、コンベア5を動作させて複数の空の容器3をターンテーブル2の近傍に搬送させ、回転状態のターンテーブル2の各圧縮成型部1における収容空間Sに、図1の符号Aの位置で、図9(a)に示すように容器押し込み手段30を用いて容器3を1個ずつ収容する。容器3は、その前記底板の外面が容器支持体12(支持部12b)の上端と接触するように収容空間Sに収容される。容器押し込み手段30は、コンベア5上の容器3を吸引又は把持して圧縮成型部1の上方に搬送した後、該圧縮成型部1における収容空間S内に進入して該容器3を押し込む。この容器押し込み手段30による容器3の押し込みにより、容器支持体12を圧縮前部7aに接触させる。容器押し込み手段30としては、このような機構を有する公知の技術を適宜利用することができる。
【0032】
次いで、図1の符号Bの位置で、図9(b)に示すように容器3内に粉体40を充填する。粉体40の容器3内への充填は、攪拌翼32を備えたホッパー33を用いて行われる。粉体40は、ホッパー33の上端開口部から投入され、攪拌翼32によって攪拌されながらホッパー33内を自然落下し、収容空間S内の容器3における前記底板の内面上に堆積される。上述したように、粉体40の容器3への充填量は、収容空間Sの容積を調整することにより調整可能であり、また該収容空間Sの容積は、収容空間Sを画成し且つ容器支持体12を下方から支持する圧縮前部7a(容量調整板7)を上下動させることにより、即ち圧縮前部7aの前記対向面4aからの突出高さを調整することにより調整可能である。圧縮前部7aの該突出高さは、図1の符号Bの位置における収容空間Sの容積(容器3への粉体の充填量)が所定値となるように、粉体の充填前に予め調整されている。粉体40の容器3への充填量は、粉体40の種類等に応じて決定される。
【0033】
次いで、図1の符号Dの位置で、図9(c)に示すように下杵20aと上杵20bとによって粉体40を容器3ごと圧縮する。この圧縮を行うに際し、本実施形態においては、先ずエアシリンダ22bを動作させて上杵20bを所定の待機位置から下降させて所定の押圧位置に待機させると共に、超音波振動素子21bを動作させて上杵20bを超音波振動させる。また、超音波振動素子21aを動作させて下杵20aを超音波振動させ、この状態でエアシリンダ22aを動作させて下杵20aを所定の待機位置から上昇させ且つ移動路15を移動させる。図1の符号Dの位置においては、図8に示すように容量調整板7が存在しておらず、下杵20aは符号Dの位置で上昇可能になされている。下杵20aを上昇させて、その上端部で容器支持体12上に載置されている容器3を持ち上げ、上方で待機している上杵20bの下面に粉体40を押し付ける。こうして、容器3内の粉体40は、下杵20aと上杵20bとによって上下から超音波振動を付与されつつ圧縮成型され、成型体50とされる。粉体40は、超音波を受けることで振動し、流動化する。従って、本実施形態によれば、低密度で且つ高強度の成型体が得られる。下杵20a及び上杵20bの振動条件は同じでも良く、あるいは異なっていても良いが、一般的には同条件としておく。粉体40を一定時間圧縮した後、超音波振動を停止し、エアシリンダ22bを動作させて上杵20bを上昇させて所定の待機位置に戻すと共に、エアシリンダ22aを動作させて下杵20aを下降させて移動路15から後退させ、所定の待機位置に戻す。
【0034】
尚、本実施形態においては、図9(c)に示すように、上杵への粉体の付着防止や成型体の表面に模様を付す等の目的で、上杵20bによる粉体40の押圧時に該上杵20bと該粉体40との間に、布や紙や樹脂フィルム等からなるシート34を介在させている。シート34は、上杵20bと臼体11(ターンテーブル2)との間において、繰出装置35から繰り出され、巻取装置36によって巻き取られるようになされている。上杵20bが図9(c)に示す状態から上昇すると、シート34は巻取装置36によって容器3の幅でピッチ送りされ、粉体40と接触する面が更新される。
【0035】
図1の符号Dの位置で粉体40を一定時間圧縮した後、図1の符号Eと符号Fとの中間位置で、図9(d)に示すように、容器排出手段37を用いて成型体50が入った容器3をターンテーブル2上から排出し、コンベア6で所定位置へ搬送する。上述したように、図1の符号Dの位置よりも容器支持体12の進行方向の後方においては、容器支持体12は、該進行方向に従って対向面4aからの突出高さが高くなされている圧縮後部7b(容量調整板7)によって下方から支持されており、圧縮後部7bは、図1の符号Eと符号Fとの中間位置で収容空間Sの容積が略ゼロとなるように前記突出高さが調整されている。従って、図1の符号Eと符号Fとの中間位置においては、容器支持体12の上端部(容器3との接触部)の表面は、ターンテーブル2の表面と略同位置にあり、これにより容器排出手段37による容器3のターンテーブル2からの排出がスムーズに行なわれる。容器排出手段37としては、このような機構を有する公知の技術を適宜利用することができる。こうして、目的とする成型体50が、容器3内に収容された状態で得られる。
【0036】
こうして容器3付きの成型体50が排出された後、圧縮成型部1は再び図1の符号Aの位置に戻り、上述した手順が繰り返される。図1の符号Eと符号Fとの中間位置で略ゼロとなっていた収容空間Sの容積は、容器支持体12が容量調整板7の非存在領域である符号Fと符号Aとの間を進むことによって下方に移動することにより増加し、符合Aの位置においては容器3を収容可能に調整されている。
【0037】
本実施形態の圧縮成型装置は、容器支持体12の昇降手段である容量調整板7(圧縮前部7a)を具備しているため、粉体の種類等に応じて容器3内への粉体の充填量を調整することが可能であり、これにより、粉体の品質や特性等(例えばかさ密度)のばらつき等に起因する、成型体の品質のばらつきや低下を防止することができ、高品質の成型体を連続的に効率良く製造することができる。また、本実施形態の圧縮成型装置は、粉体に超音波振動を付与しながらこれを圧縮成型するため、粉体の種類によらず、欠陥が少なく且つ密度が均一な高品質の成型体を製造することができる。特に本実施形態においては、容器3を下方から支持する容器支持体12に下杵20aの移動路15が形成されていることにより、超音波振動する下杵20aを容器支持体12上に載置されている容器3の下面に直接接触させることができるため、下杵20aの超音波振動が容器3内の粉体に効率良く付与され、これにより上述した超音波振動による効果を最大限に発揮させることができる。
【0038】
本発明の圧縮成型装置は、種々の粉体の圧縮成型に用いることができ、例えば粉体化粧料の圧縮成型に用いることができ、この場合高品質の固形化粧料が得られる。該固形化粧料は、例えばアイシャドウ、チーク、ファンデーション等のメイクアップ化粧料の形態として好適に用いられる。粉体化粧料は、一般に体質顔料、着色顔料、光輝性顔料等の各種顔料及び油性成分を含有する。顔料の含有量は、通常、粉体化粧料中に5〜80質量%程度である。
【0039】
一方、前記油性成分は、固形粉体化粧料において固形形状を賦形するためのバインダーとしての役割を持つ。また、化粧料を塗布した際の化粧膜の肌への付着性の面でも重要である。油性成分としては、例えば、動物油、植物油、合成油等の起源や、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素、油脂、ロウ、硬化油、エステル油、脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油、フッ素系油、ラノリン誘導体、油性ゲル化剤等を用いることができる。油性成分の含有量は、通常、粉体化粧料中に3〜20質量%程度である。
【0040】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。後述する他の実施形態については、前記実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前記実施形態についての説明が適宜適用される。
【0041】
図10には、本発明に係る容器支持体の他の実施形態が示されている。図10に示す容器支持体12は、中空の四角柱状をしており、且つその中空部に、該容器支持体12の上端から所定長さに亘って支持部12bが配されており、該支持部12bが、水平方向視〔容器支持体12の長さ方向(鉛直方向)と直交する方向の断面視〕において十字形状をしている。図5に示す容器支持体と図10に示す容器支持体との実質的な相違点は、容器3を下方から支持する支持部12bを包囲する枠体の有無であり、図5に示すように該枠体が無い方が、1)超音波エネルギーを容器3の隅々まで伝えやすい点、及び2)上述したように、上杵20b及び下杵20aを突き合わせたときに該下杵20aの輪郭線20aaの一部が上杵20bの輪郭線20bbからはみ出せる点で好ましい。
【0042】
図11(a)及び(b)には、それぞれ本発明に係る容器支持体の更に他の実施形態が示されており、図11(c)には、図11(a)及び(b)に示す容器支持体と併用される下杵が示されている。図11(a)に示す容器支持体12は、円筒状のベース部12aと、該ベース部12a上に配され且つ収容空間S内の容器を下方から支持する支持部12bとを有し、該支持部12bが、該容器支持体12の水平方向視において、円筒状のベース部12aの中心を起点として3方向に延びる3枚の板状部材12baから形成されている。これら3枚の板状部材12baによって、円筒状のベース部12aは水平方向視において3つの円弧に3等分されている。また、図11(b)に示す容器支持体12は、中空の円筒状をしており、且つその中空部に、該容器支持体12の上端から所定長さに亘って支持部12bが配されており、該支持部12bが、図11(a)に示す支持部12bと同様に形成されている。図11(a)に示す容器支持体と図11(b)に示す容器支持体との実質的な相違点は、支持部12bを包囲する枠体の有無である。また、図11(c)に示す下杵20aは、円筒状をしており、その上端部(移動路15への挿入方向の先端部)に、上端から下杵20aの長さ方向に延びる所定長さの切り込み部23を有している。図11(c)に示す切り込み部23は、図11(a)及び(b)に示す支持部12bの水平方向視での形状に対応した形状となっている。
【0043】
図12(a)には、本発明に係る容器支持体の別の実施形態が示されており、図12(b)には、図12(a)に示す容器支持体と併用される下杵が示されている。図12(a)に示す容器支持体12は、中空の円筒状をしており、図12(b)に示す下杵20aは、円筒状をしている。
【0044】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態では、下杵20a及び上杵20bの両方から粉体に対して超音波振動を付与していたが、下杵20aのみから又は上杵20bのみから超音波振動を付与しても良い。但し、前記実施形態のように粉体の上下から超音波振動を付与した方が、より高品質の成型体が得られる。また、本発明の圧縮成型装置は、前記実施形態のようなターンテーブルを用いたロータリー式の成型体連続製造に制限されず、他の方式(例えばレシプロ式)による成型体連続製造にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明の粉体の圧縮成型装置の一実施形態の全体の概略上面図である。
【図2】図2は、図1に示す装置の要部(図1の符合Dの位置における要部)の模式図である。
【図3】図3は、図1に示す装置における臼体及び該臼体の貫通口に挿入された容器支持体の概略縦断面図である。
【図4】図4は、図3に示す臼体及び容器支持体の概略上面図である。
【図5】図5は、図3に示す容器支持体の概略斜視図である。
【図6】図6は、図2に示す下杵の概略斜視図である。
【図7】図7は、図2に示す上杵と下杵とを突き合わせた時の突き合わせ面における両者の輪郭線の関係の説明図である。
【図8】図8は、図1に示す装置における容量調整板(昇降手段)の配置状態を示す概略上面図である。
【図9】図9は、図1に示す装置を用いた成型体の製造工程を示す図である。
【図10】図10は、本発明に係る容器支持体の他の実施形態の概略斜視図である。
【図11】図11(a)及び(b)は、それぞれ本発明に係る容器支持体の更に他の実施形態の概略斜視図であり、図11(c)は、図11(a)及び(b)に示す容器支持体と併用される下杵の概略斜視図である。
【図12】図12(a)は、本発明に係る容器支持体の別の実施形態の概略斜視図であり、図12(b)は、図12(a)に示す容器支持体と併用される下杵の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 圧縮成型部
2 ターンテーブル
3 容器
4 ベース体
4a ベース体におけるターンテーブルとの対向面
7 容量調整板(昇降手段)
7a 圧縮前部
7b 圧縮後部
10 貫通口
11 臼体
12 容器支持体
12a ベース部
12b 支持部
14 樹脂部
15 移動路
20a 下杵
20b 上杵
40 粉体
50 成型体
S 容器の収容空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に収容された粉体化粧料等の粉体に超音波振動を付与しながら該粉体を圧縮成型する粉体の圧縮成型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体の圧縮成型法として、粉体を所定の容器等に充填し加圧プレスして成型する、いわゆるプレス成型法が知られている。プレス成型法は、粉体を圧縮することにより、該粉体自体の凝集力及び/又は粉体中に含有されている油剤等の結合剤のバインダー効果を発現させ、これにより粉体を固化・成型する成型法である。しかし、プレス成型法は、粉体自体の物性や形状、複数種の粉体を併用している場合にはその成分組成等によっては、粉体の固化・成型が困難となる場合があった。
【0003】
このようなプレス成型法の問題を解消すべく、加圧プレスに加えて粉体に超音波振動を付与する方法が提案されている。例えば特許文献1には、鉛直方向に延びる貫通孔が形成されたテーブルと、該貫通孔に鉛直方向の上方側から挿入される上杵及び下方側から挿入される下杵とを備えた圧縮成型装置を用い、該貫通孔と該下杵の上面とで画成される凹部に粉体原料を充填後、該上杵の下面を該凹部内に挿入し、該粉体原料の上下それぞれから超音波振動を与えながら該粉体原料を圧縮成型し、タブレットを製造する方法が記載されている。特許文献1に記載の方法によれば、主として超音波振動を用いることにより、粉体の種類によらず、欠陥が少なく且つ密度が均一な高品質の成型体が得られるとされている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の圧縮成型装置においては、圧縮成型時に粉体を収容するための容器は使用されず、粉体は、前記凹部を画成する前記下杵の上面上に直接充填されるため、所定の圧縮成型後に前記凹部内に残留する粉体を完全に除去する作業等が必要となり、複数の成型体を連続的に製造し難く、生産性に問題がある。また特許文献1に記載の圧縮成型装置は、粉体を容器内で圧縮成型する場合、即ち容器付きの成型体を製造する場合には利用し難いものであった。
【0005】
また特許文献2には、プレス成型法を利用した全自動的な粉体等の化粧料の圧縮成型装置として、粉体の圧縮空間を複数有するターンテーブル、及び各該圧縮空間内の粉体を上下方向からそれぞれ圧縮する上下一組の圧縮手段を備え、各該圧縮空間に容器を順次配置し、該容器内に粉体を充填し、該圧縮手段によって該粉体を容器ごと加圧プレスして成型する圧縮成型装置が記載されている。特許文献2に記載の圧縮成型装置においては、圧縮空間内において粉体が収容された容器を下方から支持する容器受けとして機能する、加圧体27(特許文献2の図2等の記載参照)が上下動可能に配されているため、前記圧縮手段による粉体の下方から上方に向けての圧縮は、加圧体27を介して間接的に行われる。特許文献2に記載の圧縮成型装置によれば、複数の成型体を連続的に製造することが可能であり、また、種々の化粧料に即応した最適な圧縮成型を極めて簡易且つ自在に行うことができるとされている。
【0006】
ところで、特許文献2に記載の圧縮成型装置の如き成型体の連続製造装置においては、成型体の原料である粉体の品質や特性等(例えばかさ密度)のばらつき等により、成型体の品質にばらつきが生じたり、品質の低下を招いたりするおそれがある。このような、成型体の連続製造装置における粉体に起因する問題の解決には、粉体の種類等に応じて容器内への粉体の充填量を調整することが効果的であり、斯かる観点から、容器内で粉体を圧縮成型する成型体の連続製造装置は、粉体の充填量調整機構を備えていることが望ましい。特許文献2に記載の圧縮成型装置においては、圧縮空間において容器が載置される底部を形成する容器受けとしての加圧体27が上下動可能に配されているため、該圧縮空間に設置された容器に粉体を充填する時に粉体の種類等に応じて加圧体27を上下動させることにより、圧縮空間の容量を調整することができ、これにより容器内への粉体の充填量を調整することができると考えられる。
【0007】
しかし、特許文献2に記載の圧縮成型装置において、より高品質の成型体を得る等の目的で特許文献1に記載の如く、容器の下方から該容器内の粉体に向けて超音波振動を付与しようとすると、該容器の直下に位置する容器受けとしての加圧体27の存在により、超音波振動が容器内の粉体に伝わりにくく、超音波振動の効果が得られにくいという問題があった。成型体の連続製造に対応可能で、粉体の種類等に応じて粉体の充填量を調整でき、且つ超音波振動を用いた粉体の圧縮成型により粉体の種類等によらず高品質の成型体を提供し得る粉体の圧縮成型装置は未だ提供されていない。
【0008】
【特許文献1】特開2007−210985号公報
【特許文献2】特開昭63−60913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明の目的は、粉体の種類等に応じて適切な圧縮成型を行うことができ、高品質の成型体を安定的に効率良く提供し得る粉体の圧縮成型装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、皿状の容器内に収容された粉体に超音波振動を付与しながら該粉体を圧縮成型する粉体の圧縮成型装置であって、鉛直方向に延びる貫通口を有する臼体と、該貫通口に鉛直方向の下方側から挿入され且つ該貫通口内を上下動可能に配され且つ前記容器の下面の一部と接触した状態で該容器を下方から支持する容器支持体とを備え、該貫通口と該容器支持体とによって該容器の収容空間が画成可能になされており、更に、前記容器支持体によって支持されている前記容器の下方において鉛直方向に上下動可能に配され且つ該容器内の前記粉体に超音波振動を付与する下杵と、該容器を挟んで該下杵と相対向する位置に鉛直方向に上下動可能に配された上杵とを備え、該下杵と該上杵とによって該粉体を該容器ごと圧縮可能になされており、前記容器支持体に、該容器支持体の鉛直方向の全長に亘って前記下杵の移動路が形成されており、該下杵が該移動路を移動して、該容器支持体によって支持されている前記容器の下面の前記一部以外の部位に接触可能になされている粉体の圧縮成型装置を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の粉体の圧縮成型装置によれば、成型体の原料である粉体の種類等に応じた適切な圧縮成型を行うことができ、粉体の種類等によらず、欠陥が少なく密度が均一な高品質の成型体を安定的に効率良く得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の粉体の圧縮成型装置(以下、圧縮成型装置ともいう)全体の概略上面図が示されている。本実施形態の圧縮成型装置は、皿状の容器3内に収容された粉体に超音波振動を付与しながら該粉体を圧縮成型して容器3付きの成型体50を製造する装置であり、成型体の原料である粉体を圧縮成型する部位1(圧縮成型部)を複数(6個)有し且つ図示しない駆動源によって周方向に回転可能なターンテーブル2を備えている。本実施形態の圧縮成型装置は、ターンテーブル2をその周方向に回転させることによって、これら複数の圧縮成型部1がそれぞれ符号A〜Fの位置を順次通過して所定の工程を経るようになされており、複数の成型体50を連続的に製造することができる。
【0013】
複数の圧縮成型部1は、平面視して円形形状のターンテーブル2の周縁に沿って等間隔で配されている。ターンテーブル2は、ベース体4上において図1の矢標方向に(時計回りに)回転可能に配されている。ベース体4における図1の符号Aの位置には、粉体が入っていない複数の空の容器3をターンテーブル2へ搬送するコンベア5が接続されている。また、ベース体4における図1の符号Eと符号Fとの中間位置には、ターンテーブル2から排出された容器3付きの成型体50を所定位置へ搬送するコンベア6が接続されている。
【0014】
図2には、図1の符号Dの位置における圧縮成型部1の縦断面図が模式的に示されている。本実施形態の圧縮成型装置においては、後述するように図1の符号Dの位置で粉体の圧縮成型が行われる。複数の圧縮成型部1は、それぞれ図2〜図4に示すように、鉛直方向に延びる貫通口10を有する臼体11と、該貫通口10に鉛直方向の下方側から挿入され且つ該貫通口10内を上下動可能に配され且つ容器3の下面の一部と接触した状態で該容器3を下方から支持する容器支持体12とを備えている。貫通口10と容器支持体12とによって容器3の収容空間Sが画成可能になされている。
【0015】
本実施形態の圧縮成型装置は、図2に示すように、容器支持体12によって支持されている容器3の下方において鉛直方向に上下動可能に配され且つ該容器3内の粉体に超音波振動を付与する下杵(下ホーン)20aと、該容器3を挟んで該下杵20aと相対向する位置に鉛直方向に上下動可能に配された上杵(上ホーン)20bとを備え、該下杵20aと該上杵20bとによって粉体を容器3ごと圧縮可能になされている。下杵20a及び上杵20bは、図1の符号Dの位置に成型圧縮部1を上下から挟むように配されている。下杵20a及び上杵20bは何れも、その長さ方向と直交する方向の断面形状が容器3の平面形状(容器3の底板の平面視における形状)と相似形で且つ容器3内に挿入可能な形状(本実施形態では角が丸みを帯びた四角柱状)の金属等の剛体からなり、粉体を圧縮成型する際に、該粉体に超音波振動を付与する役割、及び該粉体を圧縮するための成型用杵としての役割を有している。
【0016】
下杵20aの下端には超音波振動素子21aが取り付けられており、該素子21aはエアシリンダ22aによって支持されており、これら三者は同一軸線上に位置している。エアシリンダ22aは図示しない支持部材に取り付けられている。これによって、下杵20a及び素子21aはそれぞれ上下方向へ移動可能になっている。一方、上杵20bの上端には超音波振動素子21bが取り付けられており、該素子21bはエアシリンダ22bによって支持されており、これら三者は同一軸線上に位置している。エアシリンダ22bは図示しない支持部材に取り付けられ、そこから垂下している。これによって、上杵20b及び素子21bはそれぞれ上下方向へ移動可能になっている。尚、超音波振動素子の移動手段はエアシリンダに限定されず、他に油圧シリンダや、電動モータを用いたボールネジプレス等の機器を用いても良い。また、超音波振動素子の移動手段は、杵及び該超音波振動素子に対して同一線上に位置していなくても良い。
【0017】
臼体11は、図3及び図4に示すように、略円筒状の金属等の剛体からなり、平面視(上面視)して円形形状をしている。臼体11の上端部は水平方向に張り出してフランジを形成しており、該フランジはターンテーブル2へボルト締め(図示せず)されている。貫通口10は、臼体11の鉛直方向と直交する水平方向の中央に位置し、図4に示すように鉛直方向の上方から見たときに(上面視において)、角が丸みを帯びた四角形(正方形)形状をしている。貫通口10の開口径は、図3に示すように鉛直方向の上方側から下方側に向かう途中で一度変化しており、下方側の開口径の方が上方側の開口径よりもが大きくなっている。
【0018】
臼体11の下端部には、容器支持体12の位置決め用部材13が貫通口10の壁面に露出するように配されている。本実施形態においては、図4に示すように4個の位置決め用部材13が貫通口10の壁面に沿って等間隔で配されており、これら4個の位置決め用部材13によって容器支持体12を貫通口10内の所望の位置で固定できるようになされている。即ち、位置決め用部材13は、その摩擦力により、貫通口10に挿入され固定された容器支持体12が自重により落下することを効果的に防止し得る。尚、位置決め用部材13が配されていても、容器支持体12は、後述する容器押し込み手段30や圧縮後部7b等により、貫通口10内を上下に摺動可能である。位置決め用部材13としては、例えばウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム等の弾性体、ゴム、スポンジ等を用いることができる。
【0019】
容器3の収容空間Sを画成する貫通口10の壁面は樹脂を含んで構成されており、図3に示すように、臼体11の一部が樹脂からなる樹脂部14となっている。このように、貫通口10の壁面における、粉体が収容される容器3と接触する部位を樹脂で形成した理由は、超音波振動に起因する該部位(貫通口10の壁面)と容器3との磨耗を緩和するためである。即ち、本実施形態においては、収容空間Sに収容された容器内の粉体に超音波振動を付与するため、該超音波振動により容器が振動する。このため、収容空間Sを構成する貫通口10の壁面の材質によっては、該壁面と容器との接触部分が超音波振動により傷が発生することがある。この場合、磨耗して該接触部分に磨耗痕が発生するだけでなく、その磨耗粉による汚染や成形品の美観の低下等を招くおそれがある。そこで、本実施形態においては、容器の収容空間Sを画成する貫通口10の壁面を樹脂部14とすることにより、このような超音波振動に起因する磨耗の問題を解消している。通常、容器3はアルミ合金等の金属やポリエチレンテレフタレート等の樹脂から形成されており、このような容器3の材質と硬度が同等以下の樹脂を貫通口10の壁面に用いることで、磨耗痕や磨耗粉の発生が特に効果的に抑制される。
【0020】
樹脂部14は実質的に樹脂からなる。該樹脂としては、例えばポリアセタール、MCナイロン(登録商標)、硬質ポリエチレン、フッ素樹脂等の1種以上を用いることができる。これらの中でも特にポリアセタールは、上述した磨耗痕や磨耗粉の抑制効果が高く、本発明で好ましく用いられる。
【0021】
容器支持体12は、金属等の剛体からなり、貫通口10の形状に合致した形状をしている。容器支持体12は図5に示すように、角が丸みを帯びた四角柱状のベース部12aと、該ベース部12a上に配され且つ収容空間S内の容器を下方から支持する支持部12bとを有している。支持部12bの上端部は、容器支持体12の貫通口10への挿入方向の先端部であると共に容器との接触部でもあり、圧縮成型時には該上端部上に粉体が収容される容器3が載置される。支持部12bの上端部(容器支持体12における容器との接触部)の水平方向(鉛直方向と直交する方向)視での形状は、図4に示すように放射状、より具体的には十字形状となっている。
【0022】
容器支持体12には、図5に示すように、該容器支持体12の鉛直方向の全長に亘って下杵20aの移動路15が形成されている。移動路15は、容器支持体12を構成するベース部12aを鉛直方向に貫通する貫通口15aと、該ベース部12a上に配された支持部12bを中心とする、該支持部12bの周囲空間とからなり、両者は同一軸線上に位置している。これにより、下杵20aが移動路15を移動して、容器支持体12によって支持されている容器3の下面の前記一部(容器3の下面における容器支持体12との接触部)以外の部位に接触可能になされている。
【0023】
下杵20aは、移動路15の形状に合致した形状をしており、移動路15によって容器支持体12の鉛直方向の全長に亘って移動可能になされている。具体的には下杵20aは、図6に示すように四角柱状をしており、且つその上端部(移動路15への挿入方向の先端部)に、上端から下杵20aの長さ方向に延びる所定長さの切り込み部23を有している。切り込み部23は、下杵20aが移動路15を移動する時に容器支持体12の支持部12bが挿入される空隙として機能する部位であり、下杵20aの水平方向視(長さ方向と直交する方向の断面視)において、支持部12bの上端部の水平方向視での形状に対応した形状、即ち放射状(十字形状)をしている。切り込み部23の鉛直方向に沿った長さは、支持部12bの鉛直方向に沿った長さよりも長くなっており、これにより下杵20aの上端部が容器支持体12(支持部12b)の上端部よりも鉛直方向の上方に突出し、容器支持体12上に載置されていた容器を該下杵20aの上端部によって持ち上げることが可能になしてある。
【0024】
十字形状の切り込み部23を有する下杵20aの上端部は、図6に示すように、4本の四角柱を縦横に2本ずつ所定間隔を置いて配置した形態をなしている。下杵20aの上端部を構成するこれら4本の四角柱は、超音波振動を効率良く均一に粉体に付与する観点から、水平方向視における大きさが同じであることが好ましい。
【0025】
下杵20aにおける容器3の下面との接触面積は、容器3内の粉体に下杵20aを通じて超音波振動を効率良く付与する観点から、容器3における粉体の収容部の底面積の50%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましい。ここで、「容器における粉体の収容部の底面積」とは、容器の内面において、粉体を下方から支持する底面の面積を意味する。
【0026】
尚、容器3は、図2及び図9に示すようにバットの如き底の浅い箱形の容器であり、平らな底板と該底板を包囲し且つ鉛直方向に立設する壁部とを有している。容器3における粉体の収容部の底面積は、この底板の内面側の面積である。容器3は、その底板と直交する方向(鉛直方向)の上方から見たときに(上面視において)、収容空間Sを画成する貫通口10の上面視における形状〔図4参照。角が丸みを帯びた四角形形状〕と略同形状をしており、且つ収容空間Sに収容された時における該収容空間Sを構成する貫通口10の壁面とのクリアランス(間隙)が50〜150μm程度となるような大きさを有している。容器3は、本実施形態の圧縮成型装置を構成する部材ではなく、該圧縮成型装置とは別体である。
【0027】
本実施形態においては、上杵20b及び下杵20aを鉛直方向に移動させて両者を突き合わせた時に、図7に示すように、下杵20aにおける上杵20bとの突き合わせ面の輪郭線20aaの少なくとも一部が、上杵20bにおける下杵20aとの突き合わせ面の輪郭線20bbからはみ出している。より具体的には図7に示すように、上杵20bと下杵20aとを突き合わせた時に、上杵20bの輪郭線20bbの略全体(輪郭線20bbの全長の90%以上)が、下杵20aの輪郭線20aaによって包囲されている。このように、上杵20bと下杵20aとを突き合わせた時に、その突き合わせ面において下杵20aの輪郭線の少なくとも一部が上杵20bの輪郭線からはみ出すようになされていることにより、下杵20aと上杵20bとの間で粉体に超音波振動を付与しながら該粉体を容器3ごと圧縮する時に、各杵による剪断力や超音波振動等によって容器3が傷つくことが効果的に防止される。
【0028】
本実施形態の圧縮成型装置は、容器支持体12を鉛直方向に上下動させる昇降手段を備えており、該昇降手段によって容器支持体12を貫通口10内で上下動させることにより収容空間Sの容積が可変可能になされており、これにより粉体の容器3への充填量が調整可能になされている。図8には、前記昇降手段としての容量調整板7が示されている。容量調整板7は、金属等の剛体からなり、図8に示すように、ターンテーブル2を下方から支持するベース体4における該ターンテーブル2との対向面4a上に配されており、対向面4aからターンテーブル2に向かって突出する凸部からなる。該凸部(容量調整板7)は、ターンテーブル2の周縁に沿って配されており、図1の符号Aの位置から符号Dに亘って連続する所定幅の半円状の圧縮前部7aと、図1の符号Dの位置から符号Fに亘って連続する所定幅の円弧状の圧縮後部7bとからなる。圧縮前部7aと圧縮後部7bとは、図1の符号Dの位置及び符号Fと符号Aとの間の2箇所において途切れており、連続していない。容量調整板7は、ターンテーブル2の周方向に回転する複数の容器支持体12を下方から支持し且つ所定の位置に誘導するガイドレールとしての役割を有しており、前記凸部の上面に容器支持体12が載置される。
【0029】
圧縮前部7aは、容器3のターンテーブル2への供給直後から粉体の圧縮成型直前までの工程に亘って容器支持体12を下方から支持する部材であり、図示しない駆動源によって鉛直方向に上下動可能に配されている。圧縮前部7aの前記対向面4aからの突出高さはその全長に亘って一定となっている。図示しない駆動源を動作させて圧縮前部7aを鉛直方向の下方側に移動させる、即ち圧縮前部7aの対向面4aからの突出高さを低くすると、圧縮前部7a上に位置している容器支持体12も該下方側に移動するため、容器3の収容空間Sの容積が増加する。粉体の容器3への充填量を増加する場合は、斯かる操作によって容器3の収容空間Sの容積を増加させる。一方、粉体の容器3への充填量を減少する場合は、上述した操作とは逆に圧縮前部7aを鉛直方向の上方側に移動させ、収容空間Sの容積を減少させる。
【0030】
圧縮後部7bは、粉体を容器3ごと圧縮した直後から粉体の入った容器3をターンテーブル2から排出するまでの工程に亘って容器支持体12を支持する部材であり、容器支持体12の進行方向(ターンテーブル2の回転方向)に従って対向面4aからの突出高さが高くなっている。即ち、圧縮後部7bにおける容器支持体12が載置される上面は、その全長に亘って傾斜しており、図1の符号Dから符号Fに向かうにつれて容器支持体12が鉛直方向の上方に移動し、これにより収容空間Sが減少するようになされている。本実施形態においては、図1の符号Eと符号Fとの中間位置において収容空間Sの容積が略ゼロとなるように圧縮後部7bの突出高さが調整されており、これにより該中間位置で、容器支持体12によって支持されている容器3がターンテーブル2の表面と同一平面上に押し出されるようになされている。
【0031】
以上の構成を有する本実施形態の圧縮成型装置を用いた粉体の圧縮成型方法(成型体の製造方法)を図1及び図9を参照しながら説明すると、先ず、図示しない駆動源を動作させてターンテーブル2を時計回りに回転させると共に、コンベア5を動作させて複数の空の容器3をターンテーブル2の近傍に搬送させ、回転状態のターンテーブル2の各圧縮成型部1における収容空間Sに、図1の符号Aの位置で、図9(a)に示すように容器押し込み手段30を用いて容器3を1個ずつ収容する。容器3は、その前記底板の外面が容器支持体12(支持部12b)の上端と接触するように収容空間Sに収容される。容器押し込み手段30は、コンベア5上の容器3を吸引又は把持して圧縮成型部1の上方に搬送した後、該圧縮成型部1における収容空間S内に進入して該容器3を押し込む。この容器押し込み手段30による容器3の押し込みにより、容器支持体12を圧縮前部7aに接触させる。容器押し込み手段30としては、このような機構を有する公知の技術を適宜利用することができる。
【0032】
次いで、図1の符号Bの位置で、図9(b)に示すように容器3内に粉体40を充填する。粉体40の容器3内への充填は、攪拌翼32を備えたホッパー33を用いて行われる。粉体40は、ホッパー33の上端開口部から投入され、攪拌翼32によって攪拌されながらホッパー33内を自然落下し、収容空間S内の容器3における前記底板の内面上に堆積される。上述したように、粉体40の容器3への充填量は、収容空間Sの容積を調整することにより調整可能であり、また該収容空間Sの容積は、収容空間Sを画成し且つ容器支持体12を下方から支持する圧縮前部7a(容量調整板7)を上下動させることにより、即ち圧縮前部7aの前記対向面4aからの突出高さを調整することにより調整可能である。圧縮前部7aの該突出高さは、図1の符号Bの位置における収容空間Sの容積(容器3への粉体の充填量)が所定値となるように、粉体の充填前に予め調整されている。粉体40の容器3への充填量は、粉体40の種類等に応じて決定される。
【0033】
次いで、図1の符号Dの位置で、図9(c)に示すように下杵20aと上杵20bとによって粉体40を容器3ごと圧縮する。この圧縮を行うに際し、本実施形態においては、先ずエアシリンダ22bを動作させて上杵20bを所定の待機位置から下降させて所定の押圧位置に待機させると共に、超音波振動素子21bを動作させて上杵20bを超音波振動させる。また、超音波振動素子21aを動作させて下杵20aを超音波振動させ、この状態でエアシリンダ22aを動作させて下杵20aを所定の待機位置から上昇させ且つ移動路15を移動させる。図1の符号Dの位置においては、図8に示すように容量調整板7が存在しておらず、下杵20aは符号Dの位置で上昇可能になされている。下杵20aを上昇させて、その上端部で容器支持体12上に載置されている容器3を持ち上げ、上方で待機している上杵20bの下面に粉体40を押し付ける。こうして、容器3内の粉体40は、下杵20aと上杵20bとによって上下から超音波振動を付与されつつ圧縮成型され、成型体50とされる。粉体40は、超音波を受けることで振動し、流動化する。従って、本実施形態によれば、低密度で且つ高強度の成型体が得られる。下杵20a及び上杵20bの振動条件は同じでも良く、あるいは異なっていても良いが、一般的には同条件としておく。粉体40を一定時間圧縮した後、超音波振動を停止し、エアシリンダ22bを動作させて上杵20bを上昇させて所定の待機位置に戻すと共に、エアシリンダ22aを動作させて下杵20aを下降させて移動路15から後退させ、所定の待機位置に戻す。
【0034】
尚、本実施形態においては、図9(c)に示すように、上杵への粉体の付着防止や成型体の表面に模様を付す等の目的で、上杵20bによる粉体40の押圧時に該上杵20bと該粉体40との間に、布や紙や樹脂フィルム等からなるシート34を介在させている。シート34は、上杵20bと臼体11(ターンテーブル2)との間において、繰出装置35から繰り出され、巻取装置36によって巻き取られるようになされている。上杵20bが図9(c)に示す状態から上昇すると、シート34は巻取装置36によって容器3の幅でピッチ送りされ、粉体40と接触する面が更新される。
【0035】
図1の符号Dの位置で粉体40を一定時間圧縮した後、図1の符号Eと符号Fとの中間位置で、図9(d)に示すように、容器排出手段37を用いて成型体50が入った容器3をターンテーブル2上から排出し、コンベア6で所定位置へ搬送する。上述したように、図1の符号Dの位置よりも容器支持体12の進行方向の後方においては、容器支持体12は、該進行方向に従って対向面4aからの突出高さが高くなされている圧縮後部7b(容量調整板7)によって下方から支持されており、圧縮後部7bは、図1の符号Eと符号Fとの中間位置で収容空間Sの容積が略ゼロとなるように前記突出高さが調整されている。従って、図1の符号Eと符号Fとの中間位置においては、容器支持体12の上端部(容器3との接触部)の表面は、ターンテーブル2の表面と略同位置にあり、これにより容器排出手段37による容器3のターンテーブル2からの排出がスムーズに行なわれる。容器排出手段37としては、このような機構を有する公知の技術を適宜利用することができる。こうして、目的とする成型体50が、容器3内に収容された状態で得られる。
【0036】
こうして容器3付きの成型体50が排出された後、圧縮成型部1は再び図1の符号Aの位置に戻り、上述した手順が繰り返される。図1の符号Eと符号Fとの中間位置で略ゼロとなっていた収容空間Sの容積は、容器支持体12が容量調整板7の非存在領域である符号Fと符号Aとの間を進むことによって下方に移動することにより増加し、符合Aの位置においては容器3を収容可能に調整されている。
【0037】
本実施形態の圧縮成型装置は、容器支持体12の昇降手段である容量調整板7(圧縮前部7a)を具備しているため、粉体の種類等に応じて容器3内への粉体の充填量を調整することが可能であり、これにより、粉体の品質や特性等(例えばかさ密度)のばらつき等に起因する、成型体の品質のばらつきや低下を防止することができ、高品質の成型体を連続的に効率良く製造することができる。また、本実施形態の圧縮成型装置は、粉体に超音波振動を付与しながらこれを圧縮成型するため、粉体の種類によらず、欠陥が少なく且つ密度が均一な高品質の成型体を製造することができる。特に本実施形態においては、容器3を下方から支持する容器支持体12に下杵20aの移動路15が形成されていることにより、超音波振動する下杵20aを容器支持体12上に載置されている容器3の下面に直接接触させることができるため、下杵20aの超音波振動が容器3内の粉体に効率良く付与され、これにより上述した超音波振動による効果を最大限に発揮させることができる。
【0038】
本発明の圧縮成型装置は、種々の粉体の圧縮成型に用いることができ、例えば粉体化粧料の圧縮成型に用いることができ、この場合高品質の固形化粧料が得られる。該固形化粧料は、例えばアイシャドウ、チーク、ファンデーション等のメイクアップ化粧料の形態として好適に用いられる。粉体化粧料は、一般に体質顔料、着色顔料、光輝性顔料等の各種顔料及び油性成分を含有する。顔料の含有量は、通常、粉体化粧料中に5〜80質量%程度である。
【0039】
一方、前記油性成分は、固形粉体化粧料において固形形状を賦形するためのバインダーとしての役割を持つ。また、化粧料を塗布した際の化粧膜の肌への付着性の面でも重要である。油性成分としては、例えば、動物油、植物油、合成油等の起源や、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素、油脂、ロウ、硬化油、エステル油、脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油、フッ素系油、ラノリン誘導体、油性ゲル化剤等を用いることができる。油性成分の含有量は、通常、粉体化粧料中に3〜20質量%程度である。
【0040】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。後述する他の実施形態については、前記実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前記実施形態についての説明が適宜適用される。
【0041】
図10には、本発明に係る容器支持体の他の実施形態が示されている。図10に示す容器支持体12は、中空の四角柱状をしており、且つその中空部に、該容器支持体12の上端から所定長さに亘って支持部12bが配されており、該支持部12bが、水平方向視〔容器支持体12の長さ方向(鉛直方向)と直交する方向の断面視〕において十字形状をしている。図5に示す容器支持体と図10に示す容器支持体との実質的な相違点は、容器3を下方から支持する支持部12bを包囲する枠体の有無であり、図5に示すように該枠体が無い方が、1)超音波エネルギーを容器3の隅々まで伝えやすい点、及び2)上述したように、上杵20b及び下杵20aを突き合わせたときに該下杵20aの輪郭線20aaの一部が上杵20bの輪郭線20bbからはみ出せる点で好ましい。
【0042】
図11(a)及び(b)には、それぞれ本発明に係る容器支持体の更に他の実施形態が示されており、図11(c)には、図11(a)及び(b)に示す容器支持体と併用される下杵が示されている。図11(a)に示す容器支持体12は、円筒状のベース部12aと、該ベース部12a上に配され且つ収容空間S内の容器を下方から支持する支持部12bとを有し、該支持部12bが、該容器支持体12の水平方向視において、円筒状のベース部12aの中心を起点として3方向に延びる3枚の板状部材12baから形成されている。これら3枚の板状部材12baによって、円筒状のベース部12aは水平方向視において3つの円弧に3等分されている。また、図11(b)に示す容器支持体12は、中空の円筒状をしており、且つその中空部に、該容器支持体12の上端から所定長さに亘って支持部12bが配されており、該支持部12bが、図11(a)に示す支持部12bと同様に形成されている。図11(a)に示す容器支持体と図11(b)に示す容器支持体との実質的な相違点は、支持部12bを包囲する枠体の有無である。また、図11(c)に示す下杵20aは、円筒状をしており、その上端部(移動路15への挿入方向の先端部)に、上端から下杵20aの長さ方向に延びる所定長さの切り込み部23を有している。図11(c)に示す切り込み部23は、図11(a)及び(b)に示す支持部12bの水平方向視での形状に対応した形状となっている。
【0043】
図12(a)には、本発明に係る容器支持体の別の実施形態が示されており、図12(b)には、図12(a)に示す容器支持体と併用される下杵が示されている。図12(a)に示す容器支持体12は、中空の円筒状をしており、図12(b)に示す下杵20aは、円筒状をしている。
【0044】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態では、下杵20a及び上杵20bの両方から粉体に対して超音波振動を付与していたが、下杵20aのみから又は上杵20bのみから超音波振動を付与しても良い。但し、前記実施形態のように粉体の上下から超音波振動を付与した方が、より高品質の成型体が得られる。また、本発明の圧縮成型装置は、前記実施形態のようなターンテーブルを用いたロータリー式の成型体連続製造に制限されず、他の方式(例えばレシプロ式)による成型体連続製造にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明の粉体の圧縮成型装置の一実施形態の全体の概略上面図である。
【図2】図2は、図1に示す装置の要部(図1の符合Dの位置における要部)の模式図である。
【図3】図3は、図1に示す装置における臼体及び該臼体の貫通口に挿入された容器支持体の概略縦断面図である。
【図4】図4は、図3に示す臼体及び容器支持体の概略上面図である。
【図5】図5は、図3に示す容器支持体の概略斜視図である。
【図6】図6は、図2に示す下杵の概略斜視図である。
【図7】図7は、図2に示す上杵と下杵とを突き合わせた時の突き合わせ面における両者の輪郭線の関係の説明図である。
【図8】図8は、図1に示す装置における容量調整板(昇降手段)の配置状態を示す概略上面図である。
【図9】図9は、図1に示す装置を用いた成型体の製造工程を示す図である。
【図10】図10は、本発明に係る容器支持体の他の実施形態の概略斜視図である。
【図11】図11(a)及び(b)は、それぞれ本発明に係る容器支持体の更に他の実施形態の概略斜視図であり、図11(c)は、図11(a)及び(b)に示す容器支持体と併用される下杵の概略斜視図である。
【図12】図12(a)は、本発明に係る容器支持体の別の実施形態の概略斜視図であり、図12(b)は、図12(a)に示す容器支持体と併用される下杵の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 圧縮成型部
2 ターンテーブル
3 容器
4 ベース体
4a ベース体におけるターンテーブルとの対向面
7 容量調整板(昇降手段)
7a 圧縮前部
7b 圧縮後部
10 貫通口
11 臼体
12 容器支持体
12a ベース部
12b 支持部
14 樹脂部
15 移動路
20a 下杵
20b 上杵
40 粉体
50 成型体
S 容器の収容空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皿状の容器内に収容された粉体に超音波振動を付与しながら該粉体を圧縮成型する粉体の圧縮成型装置であって、
鉛直方向に延びる貫通口を有する臼体と、該貫通口に鉛直方向の下方側から挿入され且つ該貫通口内を上下動可能に配され且つ前記容器の下面の一部と接触した状態で該容器を下方から支持する容器支持体とを備え、該貫通口と該容器支持体とによって該容器の収容空間が画成可能になされており、
更に、前記容器支持体によって支持されている前記容器の下方において鉛直方向に上下動可能に配され且つ該容器内の前記粉体に超音波振動を付与する下杵と、該容器を挟んで該下杵と相対向する位置に鉛直方向に上下動可能に配された上杵とを備え、該下杵と該上杵とによって該粉体を該容器ごと圧縮可能になされており、
前記容器支持体に、該容器支持体の鉛直方向の全長に亘って前記下杵の移動路が形成されており、該下杵が該移動路を移動して、該容器支持体によって支持されている前記容器の下面の前記一部以外の部位に接触可能になされている粉体の圧縮成型装置。
【請求項2】
前記下杵における前記容器の下面との接触面積が、該容器における前記粉体の収容部の底面積の50%以上である請求項1記載の粉体の圧縮成型装置。
【請求項3】
前記下杵及び前記上杵を鉛直方向に移動させて両者を突き合わせた時に、該下杵における該上杵との突き合わせ面の輪郭線の少なくとも一部が、該上杵における該下杵との突き合わせ面の輪郭線からはみ出している請求項1又は2記載の粉体の圧縮成型装置。
【請求項4】
前記容器支持体における前記容器との接触部の水平方向視での形状が、放射状である請求項1〜3の何れかに記載の粉体の圧縮成型装置。
【請求項5】
前記容器の収容空間を画成する前記貫通口の壁面が、樹脂を含んで構成されている請求項1〜4の何れかに記載の粉体の圧縮成型装置。
【請求項6】
前記容器支持体を鉛直方向に上下動させる昇降手段を備え、該昇降手段によって該容器支持体を前記貫通口内で上下動させることにより前記収容空間の容積が可変可能になされており、これにより前記粉体の前記容器への充填量が調整可能になされている請求項1〜5の何れかに記載の粉体の圧縮成型装置。
【請求項1】
皿状の容器内に収容された粉体に超音波振動を付与しながら該粉体を圧縮成型する粉体の圧縮成型装置であって、
鉛直方向に延びる貫通口を有する臼体と、該貫通口に鉛直方向の下方側から挿入され且つ該貫通口内を上下動可能に配され且つ前記容器の下面の一部と接触した状態で該容器を下方から支持する容器支持体とを備え、該貫通口と該容器支持体とによって該容器の収容空間が画成可能になされており、
更に、前記容器支持体によって支持されている前記容器の下方において鉛直方向に上下動可能に配され且つ該容器内の前記粉体に超音波振動を付与する下杵と、該容器を挟んで該下杵と相対向する位置に鉛直方向に上下動可能に配された上杵とを備え、該下杵と該上杵とによって該粉体を該容器ごと圧縮可能になされており、
前記容器支持体に、該容器支持体の鉛直方向の全長に亘って前記下杵の移動路が形成されており、該下杵が該移動路を移動して、該容器支持体によって支持されている前記容器の下面の前記一部以外の部位に接触可能になされている粉体の圧縮成型装置。
【請求項2】
前記下杵における前記容器の下面との接触面積が、該容器における前記粉体の収容部の底面積の50%以上である請求項1記載の粉体の圧縮成型装置。
【請求項3】
前記下杵及び前記上杵を鉛直方向に移動させて両者を突き合わせた時に、該下杵における該上杵との突き合わせ面の輪郭線の少なくとも一部が、該上杵における該下杵との突き合わせ面の輪郭線からはみ出している請求項1又は2記載の粉体の圧縮成型装置。
【請求項4】
前記容器支持体における前記容器との接触部の水平方向視での形状が、放射状である請求項1〜3の何れかに記載の粉体の圧縮成型装置。
【請求項5】
前記容器の収容空間を画成する前記貫通口の壁面が、樹脂を含んで構成されている請求項1〜4の何れかに記載の粉体の圧縮成型装置。
【請求項6】
前記容器支持体を鉛直方向に上下動させる昇降手段を備え、該昇降手段によって該容器支持体を前記貫通口内で上下動させることにより前記収容空間の容積が可変可能になされており、これにより前記粉体の前記容器への充填量が調整可能になされている請求項1〜5の何れかに記載の粉体の圧縮成型装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−52003(P2010−52003A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218930(P2008−218930)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
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