説明

粉体圧縮成形機及び該成形機を用いた粉体圧縮成形物の連続製造装置

【解決手段】圧縮成形ゾーン21でスライドプレート3の第1,2成形臼部32,33に設けられた複数の貫通臼穴31に複数の下杵61と上杵41を進入させて粉体を圧縮成形し、スライドプレート3をスライドさせて成形物排出ゾーン22a,22bで成形物を下方へと押出して回収するように構成した粉体圧縮成形機。
【効果】粉体を大きな空隙率を有する固体に低圧縮力で圧縮成形する場合でも、成形物を崩すようなことなく、良好に成形回収することができ、しかも十分な空隙率を有した水等に溶解しやすい成形物を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を所定の大きさ・形状の固体に圧縮成形する粉体圧縮成形機、及び該成形機を用いた粉体圧縮成形物の連続製造装置に関し、更に所述すれば、例えば粉乳などを大きな空隙を有する固体に低圧縮力で圧縮成形する場合でも、成形物を崩すようなことなく、良好に成形回収することができ、しかも十分空隙を有し、水等に溶解しやすい成形物を、破損することなく形状を維持したまま成形することができる粉体圧縮成形機、及び該成形機を用いた粉体圧縮成形物の連続製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯し易く、また外出時に計量の必要なく所定のミルクを調製することができるように所定量の粉乳を圧縮成形した固形乳が提案されており(特許文献1:WO2006/004190)、この固形乳を圧縮成形するための成形機としては、医薬錠剤の製造などに用いられる回転式打錠機(特許文献2:特開平6−218028号公報、特許文献3:特開2000−95674号公報など)が示されている。
【0003】
しかしながら、これらの打錠機は医薬錠剤やタブレット状の食品類、或いは入浴剤や農薬、その他の薬剤類を圧縮成形するために用いられるものであり、粉体を強固に圧縮して比較的硬い圧縮成形物を成形するのに適した構造となっており、上記の固形乳を圧縮成形するのには不適である。
【0004】
即ち、粉乳を固体状に成形した固形乳の場合、温水中に投入することによって良好かつ速やかに溶解するように30%以上の大きな空隙率を有した状態に低圧縮力で圧縮成形することが求められ、しかも輸送や携帯中に破損することのない実用上の保形性が必要である。
ここで、本明細書において「空隙率」とは、粉体の嵩体積中に空隙が占める体積の割合を意味する(例えば、宮嶋孝一郎編集「医薬品の開発」(第15巻)廣川書店、平成元年(1989年)発行、第240頁参照)。
【0005】
しかしながら、上記従来の打錠機では、低圧縮力で圧縮成形を行おうとすれば、圧縮成形後の成形機からの排出回収の際に成形物が破損することから、成形速度を遅くしなければならず、製造効率が著しく低下すると共に、本来このような低圧縮力で圧縮成形を行うことを目的としていないため空隙率の調節が極めて困難であり、30%以上の大きな空隙率を有する固形乳を安定的に成形することは難しい。また、これらの打錠機は、上下貫通した穴状の臼に下から下杵を挿入し、その臼内に成形用粉体を投入して上下杵でこれを突き固め、通常は下杵でこの成形物を押し上げて臼の上側から成形物を排出し、この臼が形成されたプレートなどの上から掻き落すようにして成形物を回収するようになっているため、空隙率が大きくなるように低圧縮力で成形された成形物の場合、この回収時に崩れてしまう不都合が発生しやすい。
【0006】
【特許文献1】WO2006/004190
【特許文献2】特開平6−218028号公報
【特許文献3】特開2000−95674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、粉乳などの粉体を大きな空隙率を有する状態に低圧縮力で圧縮成形することができ、しかも回収時に成形物が崩れてしまうなどの不都合を生じることなく良好な製造効率を達成し得、大きな空隙率を有し、かつ良好な形状保持性を有する固形乳などの圧縮成形物を、効率的に製造することができる粉体圧縮成形機、及び該成形機を用いた粉体圧縮成形物の連続製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため、圧縮成形ゾーンと該圧縮成形ゾーンの両側にそれぞれ形成された2箇所の成形物排出ゾーンとを有する装置本体と、該装置本体に水平方向スライド可能に配設されたスライドプレートと、該スライドプレートに設けられた、整列した複数の貫通臼穴で構成される第1成形臼部と、該第1成形臼部と同様に整列した複数の貫通臼穴で構成され、上記スライドプレートに上記第1成形臼部とスライド方向に沿って並設された第2成形臼部と、上記貫通臼穴に対応して配置された複数の上杵を有し、上記圧縮成形ゾーンにおいて上記スライドプレートの上方に上下動可能に配設された上杵体と、上記貫通臼穴に対応して配置された複数の排出用ピンを有し、上記2箇所の成形物排出ゾーンにおいて、それぞれスライドプレートの上方に上下動可能に配設された2つの成形物排出体と、上記上杵と対向して配置された複数の下杵を有し、上記圧縮成形ゾーンにおいて上記スライドプレートの下方に上下動可能に配設された下杵体と、上記圧縮成形ゾーンにおいて、上記スライドプレートの貫通臼穴に成形用粉体を投入する粉体供給機構部と、上記2箇所の成形物排出ゾーンにおいて、それぞれスライドプレートの下側に配設された成形物回収機構部とを具備してなり、上記スライドプレートは、一方のスライド限で上記第1成形臼部が上記圧縮成形ゾーンに位置すると共に、上記第2成形臼部が上記成形物排出ゾーンの一方に位置し、他方のスライド限で上記第2成形臼部が上記圧縮成形ゾーンに位置すると共に、上記第1成形臼部が他方の成形物排出ゾーンに位置するようにスライドし、上記圧縮成形ゾーンでは、上記下杵体の各下杵が上記第1又は第2成形臼部の各貫通臼穴に進入して各貫通臼穴に底壁が形成され、この貫通臼穴に上記粉体供給機構部により成形用粉体が投入され、上記上杵体の各上杵が各貫通臼穴に進入してこの上杵と上記下杵との間で成形用粉体が圧縮成形され、上記一方の成形物排出ゾーンでは、上記第2成形臼部の各貫通臼穴内に上記成形物排出体の各排出用ピンが進入して各貫通臼穴内の成形物を下方へと押し出して、上記粉体供給機構部で回収し、上記他方の成形物排出ゾーンでは、上記第1成形臼部の各貫通臼穴内に上記成形物排出体の各排出用ピンが進入して各貫通臼穴内の成形物を下方へと押し出して、上記粉体供給機構部で回収するようになっていることを特徴とする粉体圧縮成形機を提供する。
【0009】
即ち、本発明の粉体圧縮成形機による粉体の圧縮成形は次のようにして行われる。まず、上記スライドプレートが一方のスライド限にある状態で、スライドプレートの上記第1成形臼部が上記圧縮成形ゾーンに位置し、この第1成形臼部の各貫通臼穴に下側から上記下杵体の各下杵が進入し、この下杵で各貫通臼穴に底壁が形成される。この状態で上記粉体供給機構部により各貫通臼穴に成形用粉体が投入され、上記上杵体の各上杵が上から各貫通臼穴内に進入し、この上杵と下杵との間で成形用粉体が圧縮成形される。このとき、スライドプレートの上記第2成形臼部は、上記一方の成形物排出ゾーンに位置し、下記の第1成形臼部についての成形物排出操作と同様の操作により成形物の排出が行われる。
【0010】
次いで、上記上杵体の各上杵と下杵体の各下杵が上記各貫通臼穴から退去し、各貫通臼穴内に圧縮成形物が保持された状態でスライドプレートが他方のスライド限へとスライドし、各貫通臼穴内に成形物が保持された第1成形臼部が上記他方の成形物排出ゾーンに移動し、上記成形物排出体の各排出用ピンが第1成形臼部の各貫通臼穴内に上から進入して各貫通臼穴内の成形物を下方へと押し出し、この成形物が上記成形物回収機構部に回収される。このとき、一方の成形物排出ゾーンに位置していた上記第2成形臼部は、上記圧縮成形ゾーンに移動して、上記と同様の操作によって粉体の圧縮成形が行われる。
【0011】
次に、再びスライドプレートが一方のスライド限へと移動し、上記圧縮成形ゾーンで第1成形臼部での粉体の圧縮成形が行われると共に、上記一方の成形物排出ゾーンに上記第2成形臼部が移動して、上記同様にして成形物排出体の排出用ピンで成形物が排出され、成形物回収機構部に成形物が回収される。
【0012】
そして、この動作が繰り返され、上記圧縮成形ゾーンで上記第1成形臼部と第2成形臼部での成形動作が交互に繰り返され、またこれと同時に一方の成形物排出ゾーンでの第2成形臼部からの成形物排出動作と、他方の成形物排出ゾーンでの第1成形臼部からの成形物排出動作とが交互に繰り返され、複数個ずつ連続的に粉体の圧縮成形物が製造されるものである。
【0013】
このように、本発明の粉体圧縮成形機では、上記スライドプレートの第1及び第2成形臼部に設けられた複数の貫通臼穴に上記下杵体の複数の下杵と上杵体の複数の上杵を進入させて複数の上杵と下杵とで貫通臼穴内の成形用粉体を圧縮成形するようになっているため、各上杵と下杵とで低圧縮力で粉体を圧縮成形して、空隙率の大きな圧縮成形物を得る場合でも、同時に複数個の成形物を成形することができ、しかも第1成形臼部と第2成形臼部の2箇所の成形部を設け、一方の成形臼部で圧縮成形操作を行いながら、他方の成形臼部で成形物の取り出し操作を行うようになっているので、処理能力を低下させることなく、効率的に空隙率大きな成形物を成形することができる。
【0014】
また、本発明の粉体圧縮成形機では、上記のように、各貫通臼穴内に保持された成形物を上記排出用ピンで下へと押し出して、貫通臼穴が形成されたスライドプレートの下側に成形物を排出するようになっており、このスライドプレートの下側で上記成形物回収手段によってトレーなどに成形物を受取ることにより、成形物に大きな負荷を与えることなく、良好に排出・回収することができ、低圧縮力で圧縮成形された空隙率の大きな成形物であっても、排出回収時に破損させてしまうようなことなく、成形物を得ることができるものである。
【0015】
更に、本発明の粉体圧縮成形機は、従来の回転式打錠機のように高速で連続的に杵で粉体を圧縮成形する方式とは異なり、複数個の成形物を同時に成形するように構成されているので、従来の回転式打錠機と同様の処理能力を得る場合でも、比較的緩徐な速度で低圧縮力により圧縮成形を行うことができ、これにより空隙率の大きな圧縮成形物を得ることができるものである。また更に、上下両方の杵の動作により圧縮成形を行うように設定することも、処理能力を低下させることなく行うことができる。
【0016】
また、本発明は、この粉体圧縮成形機を用いた粉体圧縮成形物の連続製造装置として、上記本発明の粉体圧縮成形機2台を並べて設置すると共に、両粉体圧縮成形機の一方の成形物排出ゾーンを通過する第1搬送コンベアと、両粉体成形機の他方の成形物排出ゾーンを通過する第2搬送コンベアとを具備し、一方の粉体圧縮成形機で両搬送コンベア上を搬送される回収トレーに交互に成形物を載置して排出すると共に、他方の粉体圧縮成形機で両搬送コンベア上を搬送される成形物未載置の回収トレーに交互に成形物を載置して排出するように構成されたことを特徴とする粉体圧縮成形物の連続製造装置を提供する。
【0017】
この連続製造装置は、上述した本発明の粉体圧縮成形機を2台用いて粉体圧縮成形物を成形し、第1及び第2搬送コンベアからなる2本のコンベアラインに効率よく供給するものである。即ち、上記本発明の粉体圧縮成形機は、上述のように、2箇所の成形物排出ゾーンを有し、この2箇所の成形物排出ゾーンから交互に成形物を排出するように構成されている。そこで、この粉体圧縮成形機を2台並べて設置すると共に、回収トレーを搬送する第1搬送コンベアを両粉体圧縮成形機の一方の成形物排出ゾーンを通過するように配設すると共に、同様の第2搬送コンベアを両粉体圧縮成形機の他方の成形物排出ゾーンを通過するように配設して、それぞれの粉体圧縮成形機で第1搬送コンベアの回収トレーと第2搬送コンベアの回収トレーとに交互に成形物を排出供給することにより、第1,第2の両搬送コンベアに間欠なく連続的に成形物を排出・供給して効率よく粉体の圧縮成形物を製造するものである。
【0018】
従って、この粉体圧縮成形物の連続製造装置によれば、大きな空隙率を有し低圧縮力で圧縮成形された圧縮成形物を、非常に効率よく連続的に製造することができるものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の粉体圧縮成形機によれば、例えば粉乳などを大きな空隙率を有する比較的大きな固体へと低圧縮力で圧縮成形する場合でも、成形物を破損することなく、良好に成形回収することができ、しかも十分な空隙率を有し水等に溶解しやすい成形物を得ることができる。更に、この粉体圧縮成形機を用いて構成された上記本発明の粉体圧縮成形物の連続製造装置によれば、上記の圧縮成形物を非常に効率よく連続的に製造することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態及び実施例】
【0020】
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明の粉体圧縮成形機1,1を用いて構成した粉体圧縮成形物の連続製造装置であり、第1搬送コンベアa1と第2搬送コンベアa2からなる2本のコンベアラインで、それぞれ圧縮成形物を回収する回収トレーdを搬送し、上記両粉体圧縮成形機1,1で圧縮成形した粉体の圧縮成形物をこの回収トレーdに排出・回収して、搬送するものである。
【0021】
上記粉体圧縮成形機1は、図2〜4に示されているように、粉体の圧縮成形を行う圧縮成形ゾーン21及び2箇所の成形物排出ゾーン22a,22bを有する装置本体2と、該装置本体2に水平方向スライド可能に配設されたスライドプレート3と、上記圧縮成形ゾーン21において、上記スライドプレート3の上方に上下動可能に配設された上杵体4と、上記両成形物排出ゾーン22a,22bにおいて、それぞれ上記スライドプレート3の上方に上下動可能に配設された成形物排出体5a,5bと、上記圧縮成形ゾーン21において、上記スライドプレート3の下方に上下動可能に配設された下杵体6とを具備している。
【0022】
上記スライドプレート3は、図5,6に示されているように、上記装置本体2に設置されたスライドレール36,36に複数個のスライダー361を介して水平方向スライド可能に支持されている。
【0023】
このスライドプレート3のスライド方向中間部には、上下に貫通した多数(本例では16個)の貫通臼穴31が整列して形成された第1成形臼部32が設けられていると共に、スライド方向一端部にも同様に多数(本例では16個)の貫通数穴31が整列して形成された第2成形臼部33が設けられている。更に、スライド方向他端部には、上記貫通臼穴31よりも一回り大きな多数(本例では16個)の円形貫通穴34が上記第1及び第2成形臼部32,33と同様に整列した杵挿通部35が形成されている。
【0024】
このスライドプレート3の他端中央部には舌状の突出部37が延出形成されており、この突出部37の先端に固定された雌ネジ体371が、装置本体2に設けられた駆動スクリュー23に螺合している。そして、図示しない駆動源によってこの駆動スクリュー23が正逆回転することにより、このスライドプレート3が水平方向に沿って往復スライド運動するようになっている。
【0025】
また、上記装置本体2には、図6に示されているように、上記一方の成形物排出ゾーン22aの上記スライドプレート3の下側近傍に存して、上記貫通臼穴31よりも一回り大きな多数(本例では16個)の成形物通過穴381が上記第1及び第2成形臼部32,33と同様に整列して形成された排出ガイドプレート38が配設されており、図3に示されているように、他方の成形物排出ゾーン22bにも同様の排出ガイドプレート38が配設されている。
【0026】
上記上杵体4は、図3,4に示されているように、上記圧縮成形ゾーン21において上記スライドプレート3の上方に上下動可能に配設されている。この上杵体4は、厚肉板状本体の下面に、先端に四角ブロック状の圧縮部411(図7〜10参照)が形成された多数(本例では16本)の上杵41を垂設したものであり、この上杵41は、上記スライドプレート3の第1及び第2成形臼部32,33を構成する貫通臼穴31と同様に整列して垂設されている。なお、特に図示していないが、上記厚肉板状本体には、各上杵41にかかる圧力が所定量を超えた場合にこれを逃がすスプリングが配設されている。
【0027】
上記成形物排出体5a,5bは、図3に示されているように、それぞれ上記成形物排出ゾーン22a,22bにおいて上記スライドプレート3の上方に上下動可能に配設されている。この成形物排出体5a,5bは、厚肉板状本体の下面に、先端に四角ブロック状の押下部511(図11〜14参照)が形成された多数(本例では16本)の排出用ピン51を垂設したものであり、この排出用ピン51は、上記スライドプレート3の第1及び第2成形臼部32,33を構成する貫通臼穴31と同様に整列して垂設されている。
【0028】
これら成形物排出体5a,5bと上記上杵体4は、図3,4に示されているように、同一の動作体24aに取付けられており、これらは一体的に上下動するようになっている。この場合、図3に示されているように、上記両成形物排出体5a,5bは、上記上杵体4よりも下方に突出した状態に配設されており、両成形物排出体5a,5bは、上記上杵体4よりも下までストロークするようになっている。
【0029】
また、これら成形物排出体5a,5b及び上記上杵体4が取り付けられた上記動作体24aは、図3に示されているように、油圧シリンダー25aに懸架されており、この油圧シリンダー25aに駆動されて上下動するようになっている。更に、この油圧シリンダー25aはジャッキ26aに懸架されており、このジャッキ26aによって油圧シリンダー25aによる上下動の位置を上下に調節し得、これにより上杵41の貫通臼穴31への進入量を調節するようになっている。
【0030】
上記下杵体6は、図3,4に示されているように、上記圧縮成形ゾーン21において上記スライドプレート3の下方に上下動可能に配設されている。この下杵体6は、厚肉板状本体の上面に、先端に四角ブロック状の圧縮部611(図7〜10参照)が形成された多数の下杵61を立設したものであり、この下杵61は、上記スライドプレート3の第1及び第2成形臼部32,33を構成する貫通臼穴31と同様に整列して立設されている。
【0031】
この下杵体6は、図3,4に示されているように、動作体24bに取付けられている。この動作体24bは、第1油圧シリンダー25bに支持されていると共に、この第1油圧シリンダー25bが更に第2油圧シリンダー25cに支持されている。この第2油圧シリンダー25cは、第1油圧シリンダー25bごと下杵体6を上下動させて下杵61で上記貫通臼穴31に底壁を形成する動作を行うものであり、上記第1油圧シリンダー25bは、下杵61を上記貫通臼穴31内で上下動させて圧縮成形を行うためのものである。なお、これらの動作は後で詳述する。更に、上記第2油圧シリンダー25cはジャッキ26bに支持されており、上記第1及び第2油圧シリンダー25b,25cによる上下動の位置を更に上下に調節し得、これにより上記貫通臼穴31への成形用粉体の投入量を調節するようになっている。
【0032】
次に、上記圧縮成形ゾーン21には、図2〜4に示されているように、上記スライドプレート3の上面に近接して粉体供給漏斗7が配設されている。この粉体供給漏斗7は、下端面が開放した略四角箱形の部材で、図15に示されているように、逆四角錐台状の漏斗本体71の下端に四角枠状の開放部72が連設されたものであり、上面両端部に装置本体2の上部に設けられたホッパー74,74(図3,4参照)と連結される粉体供給管部73,73が設けられている。
【0033】
この粉体供給漏斗7の内部には、上記スライドプレート3の貫通臼穴31の配置に対応して中央部に一対の仕切板721,721が立設されており、これにより漏斗7の内部が左右の供給部に仕切られている。また、左右それぞれの供給部中央から上面両端部の上記粉体供給管部73,73中央部へと邪魔板722,722が斜めに配設されており、これにより粉体供給管部73,73から供給された粉体が均等に漏斗下端面から排出されるようになっている。なお、上記粉体供給管部73,73は、上記ホッパー74,74とフレキシブルパイプ741(図7,8,10参照)により接続されており、これら粉体供給漏斗7、両ホッパー74,74及びフレキシブルパイプ741により粉体供給機構部が構成されている。
【0034】
この粉体供給漏斗7は、図5,6に示されているように、上記装置本体2に配設されたガイドバー75,75にスライダー751,751を介して支持されており、下端開口面をスライドプレート3の上面に近接させた状態で、図示しない駆動源により上記ガイドバー75,75に沿って往復移動するようになっている。これにより、この粉体供給漏斗7から、圧縮成形ゾーン21に位置する第1又は第2成形臼部32,33の各貫通臼穴31に成形用粉体を投入するようになっている。
【0035】
この場合、この粉体供給漏斗7の移動範囲は、上記圧縮成形ゾーン21において、スライドプレート3に設けられた上記第1成形臼部32又は第2成形臼部33を横断する範囲であり、図9に示されているように、その一方の移動限において、上記上杵体4と一方の成形物排出体5aとの間に位置するようになっている。
【0036】
ここで、図3に示されているように、上記装置本体2の両成形物排出ゾーン22a,22b位置において、上記スライドプレート3の下側には両側面に開放した空間部27,27が設けられており、この空間部27,27を上記第1,第2搬送コンベアa1,a2(図1参照)がそれぞれ貫通している。
【0037】
更に、この空間部27,27には、図3及び図11〜14に示されているように、それぞれ上記搬送コンベアa1,a2を挟んで一対の昇降アーム(回収トレー昇降装置)8,8が配されており、この昇降アーム8,8で搬送コンベアa1,a2上に載置された回収トレーdを一旦持ち上げ、再び搬送コンベアa1,a2に戻すことができるようになっている。そして、これら昇降アーム8,8及び上記搬送コンベアa1,a2により成形物回収機構部が構成されている。なお、上記第1,第2搬送コンベアa1,a2はいずれも間欠回転により回収トレーdを搬送するものである。
【0038】
次に、この粉体圧縮成形機の動作について、図5〜14を参照して説明する。
まず、図5に示された上記スライドプレート3が一方のスライド限にある状態では、同図5及び図7に示されているように、スライドプレート3の中間部に設けられた上記第1成形臼部32が上記圧縮成形ゾーン21に位置した状態となっている。
【0039】
またこのとき、図5及び図11に示されているように、スライドプレート3の一端部に設けられた上記第2成形臼部33は、上記一方の成形物排出ゾーン22aに位置した状態となっており、この第2成形臼部33の各貫通臼穴31には、前回の成形動作で成形された成形物mが保持された状態となっている。
【0040】
この状態から、上記圧縮成形ゾーン21では、図8に示されているように、上記第2油圧シリンダー25c(図3,4参照)の駆動により上記下杵体6が所定高さまで上昇し、第1成形臼部32の各貫通臼穴31に下側から各下杵61の圧縮部611が進入し、この下杵61の圧縮部611で各貫通臼穴31に底壁が形成され、この状態で上記粉体供給漏斗7がスライドプレート3の上面に沿って往復動し(図8中の矢印参照)、この粉体供給漏斗7から各貫通臼穴31に成形用粉体pが投入される。
【0041】
このとき、上記一方の成形物排出ゾーン22aでは、図12に示されているように、上記昇降アーム8,8により搬送コンベアa1上に載置されていた回収トレーdが持ち上げられ、この回収トレーdが成形物排出ゾーン22aの排出ガイドプレート38下面にほとんど接触した状態となる。
【0042】
次に、圧縮成形ゾーン21では、図9に示されているように、上記油圧シリンダー25a(図3,4参照)に駆動されて上杵体4が下降し、各上杵41の圧縮部411が上から各貫通臼穴31内に進入して各貫通臼穴31内の成形用粉体pを押圧すると共に、上記第1油圧シリンダー25bに駆動されて上記下杵体6が上昇し、各下杵61の押圧部611で成形用粉体pを押圧し、この上杵41と下杵61の両圧縮部411,611間で成形用粉体pが圧縮成形される。
【0043】
このとき、一方の成形物排出ゾーン22aでは、図13に示されているように、上記一方の成形物排出体5aが上記上杵体4と一体的に下降して、各排出用ピン51の押下部511が第2成形臼部33の各貫通臼穴31内に上側から進入し、この押下部511が各貫通臼穴31内の成形物mを下方へと押出し、各成形物mが排出ガイドプレート38の成形物通過穴381を通って上記回収プレートd上に載置される。
【0044】
更にこのとき、他方の成形物排出ゾーン22b(図2,3,5参照)では、上記上杵体4及び一方の成形物排出体5aと一体的に他方の成形物排出体5bが降下するが、図5に示されているように、他方の成形物排出ゾーン22bには上記スライドプレート3の杵挿通部35が位置しており、特に図示していないが、この杵挿通部35の各円形貫通穴34内に上記成形物排出体5bの各排出用ピン51が挿入された状態となる。
【0045】
次いで、上記圧縮成形ゾーン21では、図10に示されているように、油圧シリンダー25a(図3,4参照)の駆動によって上記上杵体4が上昇すると共に、第1及び第2両油圧シリンダー25b,25cの駆動によって上記下杵体6が下降し、上杵41及び下杵61の両圧縮部411,611が上記貫通臼穴31から退去し、各貫通臼穴31内に成形物mが残留保持された状態となる。
【0046】
このとき、一方の成形物排出ゾーン22aでは、図14に示されているように、上記昇降アーム8,8が降下して、成形物mが載置された回収トレーdが上記搬送コンベアa1上に再び載置され、搬送コンベアa1が回転して、成形物mが粉体圧縮成形機1から排出される。
【0047】
次に、上記スライドプレート3が駆動スクリュー23に駆動されて、図6に示されているように、他方のスライド限へとスライドし、上記一方の成形物排出ゾーン33で成形物mが排出されて各貫通臼穴31内が空になった第2成形臼部33が上記圧縮成形ゾーン21に移動すると共に、圧縮成形ゾーン21で成形された成形物mを各貫通臼穴31内に保持した上記第1成形臼部32が他方の成形物排出ゾーン22bに移動する。
【0048】
そして、圧縮成形ゾーン21では、上記図7〜図10で説明した成形動作と同様の動作によって、第2成形臼部33の各貫通臼穴31内に粉体の圧縮成形物mが成形され、他方の成形物排出ゾーン22bでは、上記図11〜図14で説明した成形動作と同様の動作によって、上記第1成形臼部32の各貫通臼穴31内の成形物mが排出され、回収トレーdに載置されて搬送コンベアーa2により粉体圧縮成形機1から排出される。
【0049】
以降、スライドプレート3が往復スライド運動し、それに従って上記圧縮成形ゾーン21で第1成形臼部32と第2成形臼部33に対して交互に上記と同様の圧縮成形が行われ、それと同時に、一方の成形物排出ゾーン22aにおける第2成形臼部33からの成形物排出動作と、他方の成形物排出ゾーン22bにおける第1成形臼部32からの成形物排出動作とが交互に繰り返され、粉体の圧縮成形が繰り返し行われるものである。
【0050】
このように、本実施例の粉体圧縮成形機1では、上記スライドプレート3の第1及び第2成形臼部32,33にそれぞれ設けられた多数(本例では16個)の貫通臼穴31にそれぞれ上記下杵体6の下杵61と上杵体4の上杵41を進入させて多数(本例では16本)の上杵41と下杵61とで各貫通臼穴31内の成形用粉体pを圧縮成形するようになっているため、上杵41と下杵61を低速度で上下動させ低圧縮力で粉体pを圧縮成形して、空隙率の大きな圧縮成形物mを得る場合でも、同時に多数個(本例では16個)の成形物を成形することができ、しかも第1成形臼部32と第2成形臼部33の2箇所の成形部を設け、一方の成形臼部で圧縮成形操作を行いながら、他方の成形臼部で成形物の取り出し操作を行うようになっているので、比較的低速の動作で低圧縮力の圧縮成形を行っても、処理能力を大幅に低下させることなく、効率的に空隙率の大きな成形物を得ることができる。
【0051】
また、本実施例の粉体圧縮成形機1では、上記のように、各貫通臼穴31内に保持されたの成形物mを上記排出用ピン51で上から下へと押し出して、貫通臼穴31が形成されたスライドプレート3の下側に成形物mを排出するようになっており、このスライドプレート3の下側で回収トレーdに成形物mを受け取ることによって、成形物mに大きな負荷を与えることなく良好に排出・回収することができ、低圧縮力で圧縮成形された空隙率の大きな成形物mであっても、排出回収時に破損させることなく成形物mを得ることができるものである。
【0052】
更に、本実施例の粉体圧縮成形機1では、従来の回転式打錠機のように高速で連続的に杵で粉体を圧縮成形する方式とは異なり、多数個(本例では16個)の成形物mを同時に成形するように構成されているので、従来の回転式打錠機と同様の処理能力を得る場合でも、比較的緩徐な速度で低圧縮力により圧縮成形を行うことができ、これにより空隙率の大きな圧縮成形物mを成形することができるものである。また、更に上下両方の杵41、61の動作により圧縮成形することで圧縮面の硬さを調節することができる。これにより低圧縮力での圧縮成形においても空隙率が大きく且つ圧縮成形機からの排出回収時において圧縮成形物の破損を軽減することができる。
【0053】
そして、本実施例では、この粉体圧縮成形機1を2台用意し、図1に示されているように2台の粉体圧縮成形機1,1を並べて設置すると共に、両粉体圧縮成形機1,1の一方の成形物排出ゾーン22aを通過する第1搬送コンベアa1と、両粉体成形機1,1の他方の成形物排出ゾーン22bを通過する第2搬送コンベアa2を設置して、圧縮成形物の連続製造装置を構成し、一方の粉体圧縮成形機1で両搬送コンベアa1,a2上を搬送される回収トレーdに交互に成形物mを載置して排出すると共に、他方の粉体圧縮成形機1で両搬送コンベアa1,a2上を搬送される成形物未載置の回収トレーdに交互に成形物を載置して排出することにより、連続的に粉体の圧縮成形物を製造することを行うようになっている。
【0054】
即ち、上記粉体圧縮成形機1は、上述のように、2箇所の成形物排出ゾーン22a,22bを有し、この2箇所の成形物排出ゾーン22a,22bから交互に成形物mを排出するように構成されている。そこで、この粉体圧縮成形機1を2台並べて設置すると共に、回収トレーdを搬送する第1搬送コンベアa1を両粉体圧縮成形機1,1の一方の成形物排出ゾーン22aを通過するように配設すると共に、同様の第2搬送コンベアa2を両粉体圧縮成形機1,1の他方の成形物排出ゾーン22bを通過するように配設して、それぞれの粉体圧縮成形機1,1で第1搬送コンベアa1の回収トレーdと第2搬送コンベアa2の回収トレーdとに交互に成形物mを排出供給することにより、第1,第2の両搬送コンベアa1,a2に間断なく連続的に成形物mを排出・供給して効率よく粉体の圧縮成形物を製造するものである。
【0055】
従って、この粉体圧縮成形物の連続製造装置によれば、大きな空隙率を有した圧縮成形物を、非常に効率よく連続的に製造することができるものである。
【0056】
更に本実施例では、図1に示されているように、上記第1搬送コンベアa1及び第2搬送コンベアa2の上記2台の粉体圧縮成形機1,1よりも上流側に存して回収トレーdの重量を測定する第1重量測定装置b,bを設置すると共に、上記2台の粉体圧縮成形機1,1よりも下流側に存して成形物mが載置された回収トレーdの重量を測定する第2重量測定装置c,cを設置し、成形物mが載置された回収トレーdの重量と成形物m載置前の回収トレーdの重量との重量差により成形物mの重量を検査するように構成されており、得られる成形物の重量の信頼性も高いものである。
【0057】
このように、本実施例の粉体圧縮成形機1によれば、粉乳から固形乳を圧縮成形する場合のように、粉体を大きな空隙率を有する比較的大きな固体に低圧縮力で圧縮成形する場合でも、成形物を崩すようなことなく、良好に成形し回収することができ、しかも十分な空隙率を有し水等に溶解しやすい成形物mを得ることができる。更に、この粉体圧縮成形機1を2台用いて構成された上記本実施例の粉体圧縮成形物の連続製造装置によれば、上記の圧縮成形物mを非常に効率よく連続的に製造することができるものである。
【0058】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではない。例えば、本発明の粉体圧縮装置は、上述のように、粉体を大きな空隙率を有する比較的大きな固体に低圧縮力で圧縮成形する場合でも、形成物を破損することなく、良好かつ効率的に成形・回収作業を行うことができるものであり、具体的には粉乳から固形乳を圧縮成形する場合などに好適に用いられるものであるが、本発明粉体圧縮装置の用途はこれに限定されるものではなく、粉体を固体に圧縮成形する用途であれば、種々の用途に好適に用いられるものである。また、各部の構成や形状、配置、組み合わせなども、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の粉体圧縮成形機を用いて構成した粉体圧縮成形物の連続製造装置の一例を示す概略図である。
【図2】同装置を構成する本発明の一実施例にかかる粉体圧縮成形機を示す概略平面図である。
【図3】同粉体圧縮成形機示す概略側面図である。
【図4】同粉体圧縮成形機示す概略正面図である。
【図5】同粉体圧縮成形機のスライドプレートが一方のスライド限にある状態を示す拡大概略平明図である。
【図6】同粉体圧縮成形機のスライドプレートが他方のスライド限にある状態を示す拡大概略平明図である。
【図7】同粉体圧縮成形機の圧縮成形ゾーンを示す拡大概略図である。
【図8】同粉体圧縮成形機の圧縮成形ゾーンを示す拡大概略図である。
【図9】同粉体圧縮成形機の圧縮成形ゾーンを示す拡大概略図である。
【図10】同粉体圧縮成形機の圧縮成形ゾーンを示す拡大概略図である。
【図11】同粉体圧縮成形機の成形物排出ゾーンを示す拡大概略図である。
【図12】同粉体圧縮成形機の成形物排出ゾーンを示す拡大概略図である。
【図13】同粉体圧縮成形機の成形物排出ゾーンを示す拡大概略図である。
【図14】同粉体圧縮成形機の成形物排出ゾーンを示す拡大概略図である。
【図15】同粉体圧縮成形機を構成する粉体供給機構部の粉体供給漏斗を示す一部を断面とした拡大概略図である。
【符号の説明】
【0060】
1 粉体圧縮成形機
2 装置本体
21 圧縮成形ゾーン
22a,22b 成形物排出ゾーン
3 スライドプレート
31 貫通臼穴
32 第1成形臼部
33 第2成形臼部
34 円形貫通穴(貫通穴)
35 杵挿通部
4 上杵体
41 上杵
5a,5b 成形物排出体
51 排出用ピン
6 下杵体
61 下杵
7 粉体供給漏斗
8 昇降アーム(回収トレー昇降装置)
a1 第1搬送コンベア
a2 第2搬送コンベア
b 第1重量測定装置
c 第2重量測定装置
d 回収トレー
m 成形物
p 成形用粉体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮成形ゾーンと該圧縮成形ゾーンの両側にそれぞれ形成された2箇所の成形物排出ゾーンとを有する装置本体と、
該装置本体に水平方向スライド可能に配設されたスライドプレートと、
該スライドプレートに設けられた、整列した複数の貫通臼穴で構成される第1成形臼部と、
該第1成形臼部と同様に整列した複数の貫通臼穴で構成され、上記スライドプレートに上記第1成形臼部とスライド方向に沿って並設された第2成形臼部と、
上記貫通臼穴に対応して配置された複数の上杵を有し、上記圧縮成形ゾーンにおいて上記スライドプレートの上方に上下動可能に配設された上杵体と、
上記貫通臼穴に対応して配置された複数の排出用ピンを有し、上記2箇所の成形物排出ゾーンにおいて、それぞれスライドプレートの上方に上下動可能に配設された2つの成形物排出体と、
上記上杵と対向して配置された複数の下杵を有し、上記圧縮成形ゾーンにおいて上記スライドプレートの下方に上下動可能に配設された下杵体と、
上記圧縮成形ゾーンにおいて、上記スライドプレートの貫通臼穴に成形用粉体を投入する粉体供給機構部と、
上記2箇所の成形物排出ゾーンにおいて、それぞれスライドプレートの下側に配設された成形物回収機構部とを具備してなり、
上記スライドプレートは、一方のスライド限で上記第1成形臼部が上記圧縮成形ゾーンに位置すると共に、上記第2成形臼部が上記成形物排出ゾーンの一方に位置し、他方のスライド限で上記第2成形臼部が上記圧縮成形ゾーンに位置すると共に、上記第1成形臼部が他方の成形物排出ゾーンに位置するようにスライドし、
上記圧縮成形ゾーンでは、上記下杵体の各下杵が上記第1又は第2成形臼部の各貫通臼穴に進入して各貫通臼穴に底壁が形成され、この貫通臼穴に上記粉体供給機構部により成形用粉体が投入され、上記上杵体の各上杵が各貫通臼穴に進入してこの上杵と上記下杵との間で成形用粉体が圧縮成形され、
上記一方の成形物排出ゾーンでは、上記第2成形臼部の各貫通臼穴内に上記成形物排出体の各排出用ピンが進入して各貫通臼穴内の成形物を下方へと押し出して、上記粉体供給機構部で回収し、
上記他方の成形物排出ゾーンでは、上記第1成形臼部の各貫通臼穴内に上記成形物排出体の各排出用ピンが進入して各貫通臼穴内の成形物を下方へと押し出して、上記粉体供給機構部で回収するようになっていることを特徴とする粉体圧縮成形機。
【請求項2】
上記第1成形臼部が上記スライドプレートのスライド方向中間部に形成されていると共に、上記第2成形臼部が上記スライドプレートのスライド方向一端部に形成されており、更に上記スライドプレートのスライド方向他端部に、上記貫通臼穴と同様に整列した複数の貫通穴で構成される杵挿通部が形成されていると共に、上記上杵体と上記2つの成形物排出体とが同時に上下動するように構成されており、
上記他方の成形物排出ゾーンでは、上記上杵体と2つの成形物排出体の動作により、上記第1成形臼部の各貫通臼穴内に上記成形物排出体の各排出用ピンが進入し、各貫通臼穴内の成形物を下方へと押し出して上記粉体供給機構部で回収し、又は上記成形物排出体の各排出用ピンが上記杵挿通部の各貫通穴内に挿入された状態となるように構成され、
上記圧縮成形ゾーンでの圧縮成形動作と上記成形物排出ゾーンでの成形物の排出回収動作とが同時に行われると共に、成形物の排出が上記スライドプレートのスライド運動毎に一方の成形物排出ゾーンと他方の成形物排出ゾーンで交互に行われるように構成されている請求項1記載の粉体圧縮成形機。
【請求項3】
上記粉体供給機構部が、上記圧縮成形ゾーンにおいて、上記スライドプレートの上面に接触又は近接した状態で該スライドプレートの上面に沿って移動する粉体供給漏斗を具備し、この粉体供給漏斗がスライドプレート上を移動することにより、圧縮成形ゾーンに位置する上記第1又は第2成形臼部の各貫通臼穴に成形用粉体を投入するように構成された請求項1又は2記載の粉体圧縮成形機。
【請求項4】
上記下杵体が上昇し、各下杵が各貫通臼穴の所定位置まで進入して一旦停止し、この各貫通臼穴内に成形用粉体が投入され、上記上杵体が降下して各上杵が各貫通臼穴に進入すると共に、上記下杵体が再び上昇して、上杵と下杵の両方で粉体を圧縮成形するように構成された請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉体圧縮成形機。
【請求項5】
上記成形物回収機構部が、上記両成形物排出ゾーンにおいて、上記スライドプレートの下方に配置され、スライドプレートの下方に回収トレーを供給し搬出する間欠回転する搬送コンベアを具備し、上記搬送コンベアによりスライドプレートの下方に回収トレーを供給し、この回収トレー上に上記スライドプレートの各貫通臼穴から排出される成形物を受取り、搬送コンベアによりこの回収トレーを成形機から搬出するように構成された請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉体圧縮成形機。
【請求項6】
上記成形物回収機構部が、上記搬送コンベアと、該搬送コンベア上の回収トレーを一旦持ち上げて再び搬送コンベア上に載置する回収トレー昇降装置とを具備してなり、上記搬送コンベアによりスライドプレートの下方に供給された回収トレーを上記回収トレー昇降装置により一旦上方へと持ち上げ、上記スライドプレートの下面近傍で上記各貫通臼穴から排出される成形物を回収トレー上に受取り、再び回収トレーを降下させて搬送コンベアにより搬出するように構成された請求項5記載の粉体圧縮成形機。
【請求項7】
上記請求項5又は6記載の粉体圧縮成形機2台を並べて設置すると共に、両粉体圧縮成形機の一方の成形物排出ゾーンを通過する第1搬送コンベアと、両粉体圧縮成形機の他方の成形物排出ゾーンを通過する第2搬送コンベアとを具備し、一方の粉体圧縮成形機で両搬送コンベア上を搬送される回収トレーに交互に成形物を載置して排出すると共に、他方の粉体圧縮成形機で両搬送コンベア上を搬送される成形物未載置の回収トレーに交互に成形物を載置して排出するように構成されたことを特徴とする粉体圧縮成形物の連続製造装置。
【請求項8】
上記第1搬送コンベア及び第2搬送コンベアの上記2台の粉体圧縮成形機よりも上流側に存してそれぞれ設置され、回収トレーの重量を測定する第1重量測定装置と、上記2台の粉体圧縮成形機よりも下流側に存してそれぞれ設置され、成形物が載置された回収トレーの重量を測定する第2重量測定装置とを具備し、成形物が載置された回収トレーの重量と成形物載置前の回収トレー重量との重量差により成形物の重量を検査するように構成された請求項7記載の連続製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−307592(P2007−307592A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−140010(P2006−140010)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(000228110)クオリカプス株式会社 (22)
【出願人】(000006138)明治乳業株式会社 (265)