説明

粉塵除去装置

【課題】 土砂、建築廃材等を処理する処理現場において、原料をホッパに投入する際に発生する粉塵による視界の悪化や作業環境の悪化を効果的に防止できる装置を提供すること。
【解決手段】 建築廃材等の原料を投入するホッパと、該ホッパから投入された原料を所定位置まで搬送するコンベアとを備えた処理装置に付設される粉塵除去装置であって、前記ホッパの開口部に微細な液体を噴霧する噴霧装置を設けるとともに、当該ホッパから離れたコンベアの搬送行程下流側の所定位置まで当該コンベアの外周部を覆って密閉するトンネル状のカバーを設け、さらに該カバー内を流通する粉塵と液体粒子を吸引除去する集塵装置を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土砂、建築廃材等を処理する処理現場において発生する粉塵の除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土砂や建築廃材を処理する処理現場では、搬送されてきた土砂・建築廃材等の原料をホッパに投入し、コンベアで所定の場所まで搬送して処理を行っている。これらの原料には、微細な粒子が含まれているため、ホッパに原料を投入する際には多量の粉塵が発生し、作業環境を悪化させたり、視界を悪くしたりするという問題点があった。
【0003】
この種の粉塵の発生を抑制するため、特許文献1乃至4に例示するような対策が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−131745号公報
【特許文献2】特開平11−72291号公報
【特許文献3】特開2003−126797号公報
【特許文献4】特開2003−336827号公報
【0005】
これらの特許文献に記載されている技術は、水や高粘度の液体を噴霧して粉塵を吸着させる方法である。このうち、上記特許文献1に開示されている方法は、粉塵を含んだ排出空気に少量の水を噴霧して、粉塵を付着落下させるとともに、噴霧水で濡れた軟質合成樹脂シートの表面に、噴霧水の付着していない粉塵と噴霧水を付着させ、該付着した粉塵をシート表面で成長する水滴とともに流落させる方法である。また、特許文献2に開示されている方法は、燒結鉱の破砕時に発生する粉塵にミストを噴霧して集塵する方法である。さらに、特許文献3に開示されている方法は、ダンプ車の荷台から粉塵発生物を荷下ろしする際に、高粘性スラリーを噴霧する方法である。また、特許文献4に開示されている方法は、燒結炉の炉壁に付着したクリンカの除去作業時に、燒結炉の上方に噴霧ノズルを設けて水を噴霧する方法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1乃至4に記載の方法は、粉塵を発生する原料をホッパに投入してコンベアで搬送し、処理する工程で採用するには適していないものである。すなわち、ホッパに建築廃材等の原料を投入する際に発生する多量の粉塵を水を噴霧することによって吸着する場合、吸着効率を高めるためには水の粒度を数ミクロン程度の微細なものとするのが好ましいが、このような微細な噴霧を行ったままでは、粉塵を吸着した粒子が空気中を漂って視界を悪くするという問題がある。これを防止するため、水の量を多くすると、粉塵がスラリー状となってコンベアに付着し、トラブルの原因となるので好ましくない。
【0007】
そこで、本発明は、粉塵を発生する原料をホッパに投入し、コンベアで所定の場所まで搬送する工程で採用するに適した粉塵除去装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用した。すなわち、本発明に係る粉塵除去装置は、建築廃材等の原料を投入するホッパと、該ホッパから投入された原料を所定位置まで搬送するコンベアとを備えた処理装置に付設される粉塵除去装置であって、前記ホッパの開口部に微細な液体を噴霧する噴霧装置を設けるとともに、当該ホッパから離れたコンベアの搬送行程下流側の所定位置まで当該コンベアの外周部を覆って密閉するトンネル状のカバーを設け、さらに該カバー内を流通する粉塵と液体粒子を吸引除去する集塵装置を設けたことを特徴としている。噴霧する液体としては、水を使用するのが経済的で好ましい。また、その粒度は、実験の結果では、数ミクロン乃至十数ミクロンとするのが好ましく、5ミクロン前後とするのがより好ましかった。
【発明の効果】
【0009】
この粉塵除去装置では、粉塵が多量に発生するホッパの位置で液体を噴霧し、コンベアの搬送路における前記ホッパから離れた場所で粉塵を吸着したミストを集塵装置で吸引除去するが、ホッパから吸引場所までの間ではコンベアをトンネル状のカバーで覆って外気から密閉しているので、粉塵を吸着したミストは前記集塵装置の吸引力によってホッパの位置で当該カバー内へ吸い込まれ、外部に殆んど漏出しなくなる。このため、作業環境が悪化したり、作業場の視野が悪くなったりすることが効果的に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明の実施形態について、具体的に説明する。図は本発明の実施形態を例示するもので、コンベア1の始端部にホッパ2が設けられている。ホッパ2へは、受入コンベア4から建築廃材、土砂等の原料が投入される。コンベア1はベルトコンベアであり、その終端部には搬送されてきた原料を処理する装置(例えば選別機、シュート、ホッパ、別のコンベア等)5が設けられている。
【0011】
ホッパ2の開口部上方には、噴霧装置10の噴霧ノズル11が設けられている。この噴霧ノズル11へは、別設の貯水タンク12からポンプユニット13で加圧した水が供給され、下向きに噴霧される。噴霧されるミストの粒子は5ミクロン程度とするのが最も効果的である。
【0012】
コンベア1の始端部から終端部まで、当該コンベアを密閉するカバー(フード)15がトンネル状に設けられている。カバー15の始端部はホッパの外壁と空気が漏れないように接続されている。カバー15はある程度の強度と気密性を有する材料、例えば、布、合成樹脂板、金属板、木材等で製作すればよい。
【0013】
カバー15の終端部には、集塵装置20が設けられている。この集塵装置20としては、例えばバッグフィルター式の集塵装置等、ミストで吸着された粉塵を確実に分離除去することのできる公知の集塵装置を利用することができる。
【0014】
ホッパ2の開口部が広い場合、集塵する箇所をホッパ2の近辺とすると、開口全体にわたって吸引するためには、強力な吸引装置が必要となる。このようにすると、水の粒子が粉塵を吸着する前に集塵されるため、効率が悪くなる。このため、本発明では、ホッパにつながるコンベアにトンネル状の覆いを被せて密閉形とし、ホッパから離れた場所で集塵するのである。なお、コンベアに沿って複数箇所で集塵するようにしてもよい。
【0015】
この粉塵処理装置の使用に際しては、上記噴霧ノズル10からホッパ2の開口部に向かって微細な水粒子(ミスト)を噴霧するとともに、コンベア1の搬送方向下流側に設けた集塵装置20を作動させてカバー15内の空気を吸引させる。この状態で、建築廃材等の原料をホッパ2内へ投入する。ホッパ2に投入された原料からは多量の粉塵が発生するが、この粉塵は、上記ミストに吸着され、水粒子とともに集塵装置20の吸引力により、コンベア1を覆うトンネル状のカバー15内に吸い込まれる。このため、ホッパ2の位置では、多量の粉塵が外部へ漏出するおそれはない。
【0016】
カバー15内に吸い込まれた粉塵と水粒子は、当該カバーの内側をコンベア1に沿って流動し、集塵装置20の位置で集塵される。これにより、コンベア1の終端部でも多量の粉塵が外部に漏出することが防止されるのである。
【0017】
この粉塵処理装置は、ホッパ2の開口部に微細な水粒子を噴霧する噴霧装置と、原料を搬送するコンベア1の外周部を覆うトンネル式のカバー15と、粉塵を含む空気を吸引して該粉塵を分離除去する集塵装置20とで構成されるもので、構造的には比較的簡単であり、設備費用も少なくてすむのみならず、堅牢で耐久性に富むものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかる粉塵処理装置は、粉塵を発生しやすい原料をコンベアで搬送する工程で使用するに適したもので、建築廃材処理プラント等の粉塵抑制用に採用して特に効果的なものである。なお、この装置を、建築廃材以外の原料を取り扱う他の現場や工程で使用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】粉塵処理装置の正面図である。
【図2】その平面図である。
【図3】その左側面図である。
【図4】その右側面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 コンベア
2 ホッパ
10 噴霧装置
15 カバー
20 集塵装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築廃材等の原料を投入するホッパと、該ホッパから投入された原料を所定位置まで搬送するコンベアとを備えた処理装置に付設される粉塵除去装置であって、前記ホッパの開口部に微細な液体を噴霧する噴霧装置を設けるとともに、当該ホッパから離れたコンベアの搬送行程下流側の所定位置まで当該コンベアの外周部を覆って密閉するトンネル状のカバーを設け、さらに該カバー内を流通する粉塵と液体粒子を吸引除去する集塵装置を設けたことを特徴とする粉塵除去装置。
【請求項2】
噴霧する液体が水であり、その噴霧粒度が数ミクロン乃至数十ミクロンである請求項1に記載の粉塵除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−181529(P2006−181529A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379908(P2004−379908)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】