説明

粉末ゲルマニウム含有外用剤

【課題】皮膚と薬剤塗布面との接触による皮膚呼吸の阻害を低減して、蒸れを起こし難くし、薬剤に含まれる成分の機能性を高め得るようにされた、粉末ゲルマニウム含有外用剤を提供する。
【解決手段】基布11の片面に粉末ゲルマニウムを混入してなる薬剤を塗布形成された貼付剤(パップ剤)10であって、塗布された薬剤層12の周囲に、適宜細幅で粘着剤を含む薬剤層13が形成され、前記薬剤層12には多数の通気部(薬剤の非付着部分14)が分布形成された構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末ゲルマニウムを含有させた貼付剤テープ、パップ剤など密封型の粉末ゲルマニウム含有外用剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、肩こりや腰痛、あるいは打身などで痛みや不快症状に対して、患部に貼着することにより、鎮痛効果が得られるパップ剤やプラスター(貼付テープ)など経皮吸収型の外用剤が多く用いられている。このような外用剤は、手軽に使用できることから汎用されている。近時、鎮痛のための薬剤に代えて粉末状のゲルマニウム(無機ゲルマニウム、有機ゲルマニウム化合物)を混入させたパップ剤が、ゲルマニウムを使用することによる有用性、例えば代謝機能を高め得る目的で利用することについて提案(例えば、特許文献1)されている。
【0003】
従来のパップ剤やプラスターは、基材として不織布や織成密度の高い布帛を使用し、その片面に所要の薬剤を塗布してなるものが一般的である。そして、そのパップ剤やプラスター(薬剤貼着シート)にあっては、患部の皮膚面に添わせて剥がれないように付着させるために、薬剤貼着シートにおける薬剤層を形成した基布面の周囲に粘着剤層を設けた構成のものが知られている(特許文献2など)。また、前記外用剤では、一般的に基布に塗布された薬剤に皮膚面への付着性を高めるのに粘着剤を練り込んだものが使用されている。
【0004】
【特許文献1】特願2005−95549号公報
【特許文献2】実用新案登録第2588236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のパップ剤やプラスターでは、パップ剤やプラスターを患部に貼り付けて使用すると、皮膚と薬剤との接触で薬効成分が皮膚を介して体内に浸透することになる反面、その貼付面積が広くなると皮膚呼吸を阻害することになる。この薬剤による皮膚呼吸の阻害については、基布が通気性を有するので、いわゆる蒸れが生じ難いとされている。しかしながら、薬剤層が厚く塗布されたパップ剤では、貼付面積が広くなるとどうしても薬剤層の性質上粘性が高いので予定するような通気性を確保しがたく、パップ剤の面積が広いものでは長い時間貼着状態にあると皮膚が蒸れによって炎症を起こし易くなるという問題点がある。したがって、使用時間を短く制限して炎症が発症しないように使用者が注意することを要求されている。
【0006】
ところで、前記特許文献1によって知られるように、粉末ゲルマニウムを用いた外用剤(パップ剤)では、混入される粉末ゲルマニウムによって使用者の代謝機能を高め得るなどの目的を達成しようとしているが、そのパップ剤が広い面積で形成される場合、現状ではやはり前述のような問題点を回避することはできない。したがって、在来のパップ剤のように、粘性の高い薬剤を基布に塗布した構成のものでは、使用者(患者)に自己管理を要求するしか炎症防止について対策できないのが現状である。そのために、例えば美容効果を高めようとするような使用目的では、その機能的効果を高めるには短時間使用ということに問題がある。もちろん、患部の不快症状改善においても同様である。
【0007】
一方、前記特許文献2によって知られるように薬剤層の周囲に粘着剤層を配するものでは、この貼着シートの薬剤層を周囲に設けた粘着剤層で皮膚面に押し付けて薬剤の皮膚への浸透を良好にすることを目的としているが、やはり皮膚呼吸による蒸れ対策は考慮されていない。
【0008】
このように、従来の経皮吸収型の外用剤では、その使用時における皮膚呼吸の阻害に対する配慮に欠けるという問題点がある。この一つの要因は、薬剤を塗布担持させるための基布に伸びの小さい材料を選択することにある。つまり、製造工程では、長尺の基布を走行させてその表面に薬剤を塗工する過程で、その基布の伸びが大きいと、加えられる緊張力で伸びが生じて良好な製品を得ることができない。そのために、織成密度の高い材料が採用されることになり、加えて塗工する薬剤に粘性の高いものが使用されていることから通気性が乏しくなることにある。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたもので、皮膚と薬剤塗布面との接触による皮膚呼吸の阻害を低減して、蒸れを起こし難くし、薬剤に含まれる成分の機能性を高め得るようにされた、粉末ゲルマニウム含有外用剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の粉末ゲルマニウム含有外用剤は、
基布の片面に粉末ゲルマニウムを混入してなる薬剤を塗布形成された貼付剤であって、塗布された薬剤層の周囲に、適宜細幅で粘着剤を含む薬剤の塗布層が形成され、前記薬剤層には多数の通気部が分布形成されていることを特徴とするものである(第1発明)。
【0011】
前記発明において、前記薬剤層に形成される通気部は、基布に対する薬剤の塗工時に薬剤が塗布されない部分を点在形成されているのがよい(第2発明)。
【0012】
また、前記発明において、前記薬剤層は少なくとも粘着剤を含まない薬剤で形成され、その薬剤層から基布を貫通する通気部が多数分布形成された構成であるのがよい(第3発明)。前記通気部は針孔状開口または切込み形成されているのがよい(第4発明)。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外用剤(貼付剤)の使用時に、粉末ゲルマニウムを含む薬剤層の周囲に形成された粘着剤を含む薬剤の塗布層で皮膚面に貼り付けて粉末ゲルマニウムを含む薬剤層が皮膚に圧接されるようにし、この状態で前記薬剤層に分布形成される多数の通気部によって皮膚面をすべて覆うことなく通気性を確保できるので、長い時間貼付使用しても蒸れの発生をなくし、薬剤成分の経皮吸収効果やゲルマニウムによる代謝機能を、より有効に作用させることができるという効果を奏する。
【0014】
第2発明によれば、この外用剤(貼付剤)における薬剤層の塗工に際し、例えば格子状に薬剤の基布面への非付着部分を形成させるようにして基布の露出面を分布形成させる構成とすれば、この外用剤を使用する際に、貼付する皮膚面が全面的に薬剤で覆われないので、皮膚呼吸が阻害されることを防止できる。しかも構造的に簡単であるので製作上での障害もない。また、第3発明によれば、主要部を占める薬剤層に粘着剤を含ませないで、この薬剤層から基布に貫通する通気部を多数分布形成しておくことにより前記第2発明によると同様の効果が得られる。さらに、第4発明によれば、前記薬剤層から基布への通気部として、薬剤を塗工された部分に針孔状開口または切込みを設けることにより前記通気部を形成でき、製作時における基布の伸びなどを考慮することなく通気性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明による粉末ゲルマニウム含有外用剤を具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1には本発明にかかる粉末ゲルマニウム含有外用剤(パップ剤)の一実施形態の正面図が示されている。図2には模式的に表わす図1におけるA−A視拡大断面図(a)と模式的に表わす図1のB−B視拡大断面図(b)が示されている。
【0017】
この実施形態の外用剤(貼付剤)10(以下、「パップ剤10」という。)は、所要寸法の方形にされた基布11の片面に、その中央部から周囲を適宜幅で残した全面に粘着剤を含まない薬剤を塗布して薬剤層12が形成されている。この薬剤層の周囲には、粘着剤を混入された薬剤層13(本発明の粘着剤を含む薬剤の塗布層に相当)が前記薬剤層12とほぼ同じ厚さで形成されている。そして、前記両薬剤層12,13の表面には保護用の剥離フィルム15が積層貼着されている。
【0018】
前記基布11としては、適宜厚さの不織布もしくは織布が使用される。なお、この基布11としては通気性が良好なもので製造工程での薬剤塗工時に伸びが生じ難いものであるのが好適である。
【0019】
前記薬剤層12を形成する薬剤には、外用剤として日本薬局方製剤総則23「パップ剤」の規定により作製し、基剤に粉末ゲルマニウム(主として有機ゲルマニウム化合物の微粉末)を適宜量混和したものが用いられる。なお、この薬剤層12は、好ましくは粘性の低い状態に調整されているのが好ましい。一方、前記薬剤層13には、前記薬剤層12における材料に公知の粘着剤を適量混和したものが用いられる。
【0020】
前記薬剤層12は、基布11の表面に塗工する工程において、例えば薬剤の塗工ロールによって薬剤の非付着部分14を格子状に点在させて基布面に塗工することにより、薬剤層12中にその非付着部分14が通気部となって、使用時に薬剤層12によって覆われる皮膚面に多数の通気部が形成され、パップ剤10の使用により塞がれる皮膚の呼吸を妨げるのが防止されることになる。
【0021】
前記剥離フィルム15は、前記薬剤層12および貼着剤を含む薬剤層13の表面に積層貼着して表面を保護するに適したプラスチックフィルムが用いられる。この剥離フィルム15は、その目的から薬剤層の表面に付着できて、使用時に剥離容易なものが好ましい。この剥離フィルム15としては、たとえばポリエチレン,ポリプロピレン、ナイロンなどのプラスチックフィルムが好ましい。
【0022】
このように構成される本実施形態のパップ剤10は、例えば腕部や脚部もしくは足部などに疲労を感じる場合,あるいは筋肉痛などの発症した部位に、通常使用されると同様に、剥離フィルム15を剥がして露出した薬剤層12をあてがって周縁部の粘着剤を含む薬剤層13部分を皮膚に密接するようにして貼り付けて使用する。こうすると、パップ剤10は、周縁部の薬剤層13による密着により主体部の薬剤層12全体が皮膚面に圧接されて薬剤成分が経皮吸収されることになる。この状態で長い時間維持すると、薬剤層12が圧接されている部位の皮膚はその薬剤層12によって塞がれることになるが、当該薬剤層12には多数の薬剤非付着部分14が形成されているので、それら薬剤非付着部分14が通気部として皮膚面での呼吸を妨げることがない。したがって、使用可能な範囲で長い時間このパップ剤10を貼り付けた状態を維持していても、付着部分で蒸れが生じるのを防止できるので、炎症の発症を防止して、薬剤の経皮吸収と粉末ゲルマニウムの代謝機能などを有効にすることができる。
【0023】
次に、図3に貼付剤の他の実施形態の一部を模式的に表わす拡大断面図(a)とその一部平面図(b)とが示されている。
【0024】
この実施形態は、貼付剤(外用剤)としてプラスター20に適用されたものであり、基本的構成としては前述の実施形態と同様である。このプラスター20は、基布21として従来のものと同様に細番手の繊維糸で織成された織成密度の高い布帛を用い、方形に形成されたその基布21の表面に、前記実施形態で記載の薬剤層12と同じ粉末ゲルマニウムを混和された薬剤を所要の厚みで周縁部所要幅の部分を残して塗布された薬剤層22を配し、その薬剤層22の周囲に前記同様の粘着剤を混入された薬剤層23を形成してなる。そして、前記薬剤層22には、その薬剤層22から基布21に貫通する針孔状の通気部24が適宜間隔で多数分布形成されている。そして、薬剤層22,23の表面に剥離フィルム25が貼着積層されている。
【0025】
このように構成されるプラスター20は、前記実施形態のパップ剤10と同様にして使用され、患部など使用部位の皮膚面に貼着使用すると、基布21の周縁部に形成されている粘着剤を混入された薬剤層23部分で皮膚面に付着固定されて薬剤層22を皮膚面に圧接させる。使用中は粘着剤を含まない薬剤層22に設けられている通気部24を通じて基布21外に皮膚から生じる熱気などが透過して緻密な織布にてなる基布21であっても無理なく皮膚呼吸が助勢され、蒸れの発生を抑えてこのプラスター20の貼付使用が長時間になっても炎症の発症を予防できるのである。
【0026】
また、前記プラスター20における薬剤層22に設けられる多数の通気部24については、プラスターの製造工程において、基布21への薬剤層22の塗工後の工程でニードルパンチなどを用いて窄孔するのが好ましい。また、この針孔状の通気部24を形成するほかに、刃状の工具でもって長手方向に小さな切込み(図示せず)を適宜配置で多数形成するようにしてもよい。このような切込みを形成することによっても前述の通気部の機能を発揮させることができる。
【0027】
また、プラスター20における薬剤層22に分布させる通気部としては、前記実施形態における薬剤の塗工ロールによって塗布する薬剤の塗布面に、非付着部分を点在させる方式を採用することもできる。この方式によれば、穿孔や切込みのような工具を用いなくて目的物を得ることができる。
【0028】
上述したように、本実施形態の貼付剤によれば、パップ剤,プラスターいずれのタイプにおいても、薬剤層に多数の通気部を点在させて付着使用中における皮膚呼吸を助勢できる機能を備えるので、薬効成分を十分吸収できる時間貼付使用することができると言う効果が得られる。特に、粉末ゲルマニウムを混在させて貼付使用する用剤とすれば、その混在させた粉末ゲルマニウム(有機ゲルマニウム)からの放射線による代謝機能を合理的に活用でき、肌部のみならず使用部位を通じての体内での機能回復効果が一層期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明にかかる粉末ゲルマニウム含有外用剤(パップ剤)の一実施形態の正面図
【図2】模式的に表わす図1におけるA−A視拡大断面図(a)と模式的に表わす図1のB−B視拡大断面図(b)
【図3】貼付剤の他の実施形態の一部を模式的に表わす拡大断面図(a)とその一部平面図(b)
【符号の説明】
【0030】
10 パップ剤(貼付剤)
11,21 基布
12,22 薬剤層
13,23 粘着剤を混入された薬剤層
14 非付着部分(通気部)
15,25 剥離フィルム
20 プラスター(貼付剤)
24 通気部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基布の片面に粉末ゲルマニウムを混入してなる薬剤を塗布形成された貼付剤であって、塗布された薬剤層の周囲に、適宜細幅で粘着剤を含む薬剤の塗布層が形成され、前記薬剤層には多数の通気部が分布形成されていることを特徴とする粉末ゲルマニウム含有外用剤。
【請求項2】
前記薬剤層に形成される通気部は、基布に対する薬剤の塗工時に薬剤が塗布されない部分を点在形成されている請求項1に記載の粉末ゲルマニウム含有外用剤。
【請求項3】
前記薬剤層は、少なくとも粘着剤を含まない薬剤で形成され、その薬剤層から基布を貫通する通気部が多数分布形成された構成である請求項1に記載の粉末ゲルマニウム含有外用剤。
【請求項4】
前記通気部は、針孔状開口または切込みで形成されている請求項3に記載の粉末ゲルマニウム含有外用剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−39369(P2007−39369A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224914(P2005−224914)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(592117483)
【Fターム(参考)】