説明

粉末成形金型装置

【課題】複数の圧粉体を同時に成形する金型装置において、成形密度のばらつきが抑えられ安定した品質の圧粉体を得る。
【解決手段】圧縮エアにより下パンチ台61を介して上方に付勢される下パンチ31の高さ位置をナット部材65で任意の位置に規制し、これにより各キャビティ12A、12B、12Cの深さ(容量)を異ならせた状態でそれらキャビティに粉末Pを充填し、次いで上下のパンチ51,31でキャビティ内の粉末Pを圧縮することにより圧粉体を成形する。キャビティごとにフィーダボックス40からの粉末充填量を予め把握しておき、その充填量に応じて圧縮成形時の下パンチ31の高さ位置に基づくキャビティの容量を調節することで各キャビティ2において均一な成形密度の圧粉体を成形することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末を圧縮成形して所望形状の圧粉体を得る粉末成形金型装置に係り、特に複数の圧粉体を同時に成形する粉末成形金型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、軸受等の円筒状の部品を高い寸法精度で生産する場合、押し型内に充填した主に金属粉からなる原料粉末を上下のパンチで圧縮して、図5に示すような中心に孔を有する円筒状の圧粉体P1を成形し、この圧粉体P1を焼結して目的形状の部品を得る粉末冶金法が有効に利用されている。圧粉体P1は、通常、図6に示すように、ダイス70のダイス孔70aに下側からコアロッド71と円筒状の下パンチ72を嵌入させてダイス孔70a内に円筒状のキャビティ70bを形成し、このキャビティ70bに上部開口から粉末Pを供給し、上パンチ73をキャビティ70bに嵌入させて上下のパンチ73,72により粉末Pを軸方向に圧縮するといった手法で成形されている。
【0003】
キャビティ70bへの粉末Pの充填は、粉末Pを貯留するホッパからホースを介して粉末Pの供給を受けているフィーダボックス74を、キャビティ70bの上部開口に対しダイス7の上面に滑動させながら進退させることにより、粉末Pをキャビティ70bに落とし込み、かつダイス70の上面ですり切りを行ってキャビティ70bに粉末Pを充填させている(特許文献1等参照)。
【0004】
粉末冶金法は部品の大量生産といった面でもきわめて有効であるが、さらに効果的に大量生産を可能とするものとして、図7に示すような複数の圧粉体を同時に成形する金型装置が開発されている。この装置では、ダイプレート100に設けられた複数のダイス101のダイス孔102にコアロッド103がそれぞれ挿入されており、コアロッド103に沿って摺動する下パンチ104をダイス孔102に下方から嵌入してキャビティ105を形成し、このキャビティ105にフィーダボックス106によって粉末Pを充填する。そして、図8に示すように各キャビティ105に上パンチ107を嵌入するとともに下パンチ104を上昇させて両パンチ104,107によりキャビティ105内の粉末Pを圧縮し、この後、図9に示すように上パンチ107を退避させるとともに下パンチ104を上昇させて、円筒状の圧粉体P1をダイス孔から上方に抜き出す。これにより、複数の圧粉体P1を同時に得ることができる。
【0005】
ダイス101はダイプレート100内に横方向に並列して設けられ、複数のフィーダボックス106はダイプレート100上をダイス孔102の上方の開口に対して一括して進退するように設けられており、フィーダボックス106内には、上方に設置された図示せぬ1つのホッパから分岐する図示せぬホースを介して、ホッパ内で貯留されている粉末Pが常に供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−020802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図7〜図9に示した金型装置では、同一の寸法の圧粉体を得るためにキャビティ105は同じ容量、すなわち同じ深さとされ、したがって各フィーダボックス106から各キャビティ105に落下して充填される粉末Pも同一の量が充填される設計である。しかしながら、キャビティ105に充填される粉末Pの量は、各フィーダボックス106から落下する粉末Pの流動特性やキャビティ105(ダイス孔102)の位置等の諸条件が異なることに起因して異なっているのが実情である。粉末充填量はキャビティ105ごとには一定であってばらつきの傾向は同じであるものの、装置全体としては、各キャビティ105の粉末充填量が異なるため圧縮成形された圧粉体P1は密度が異なって重量差が生じ、その結果、品質が不安定であるといった問題を招くことになる。キャビティ105ごとの粉末充填量の違いは、フィーダボックス106、あるいはホッパとフィーダボックス106をつなぐホースなどの改良で是正を試みてきたが、有効な対策とはなっていないのが現状である。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、複数の圧粉体を同時に成形する金型装置において、成形密度のばらつきが抑えられ安定した品質の圧粉体を得ることができる粉末成形金型装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の粉末成形金型装置は、上下方向に貫通する複数のダイス孔を有するダイプレートと、前記ダイス孔に下方から嵌入され、該ダイス孔に上方に開口するキャビティを形成する下パンチと、前記ダイプレート上を前記ダイス孔の開口に対して進退自在に設けられ、進出時に、自身の内部に供給されている粉末を前記キャビティに落下させて充填するフィーダボックスと、前記ダイス孔に上方から嵌入され、前記下パンチとともに前記キャビティに充填された粉末を圧粉体に圧縮成形する上パンチと、前記圧縮成形時に全ての前記下パンチを一定の高さ位置に支持する下パンチ支持手段と、前記フィーダボックスによる前記キャビティへの粉末充填時において、前記下パンチを前記一定の高さ位置より上方に付勢してキャビティの容量を可変とするとともに、前記圧縮成形時には前記下パンチの下降を許容して該下パンチを前記一定の高さ位置に位置付け得る下パンチ付勢手段と、この下パンチ付勢手段で上方に付勢される前記下パンチを任意の高さ位置に規制するとともに下降は可能とする下パンチ位置規制手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、下パンチ付勢手段で上方に付勢される下パンチの高さ位置を下パンチ位置規制手段で任意の位置に規制し、これにより各キャビティの深さ(容量)を異ならせた状態でそれらキャビティに粉末を充填し、次いで上下のパンチでキャビティ内の粉末を圧縮することにより圧粉体を成形する。ここで、キャビティごとにフィーダボックスからの粉末充填量を予め把握しておき、その充填量に応じて圧縮成形時の下パンチの高さ位置に基づくキャビティの容量を調節することにより、各キャビティにおいて均一な成形密度の圧粉体を成形することができる。
【0011】
これを実現するためには、前記下パンチ位置規制手段によって規制される前記下パンチの高さ位置は、前記各キャビティに充填される粉末の密度に応じた位置であって、前記圧縮成形後の前記圧粉体の成形密度を全てのキャビティにおいて均一にし得る位置であることとすれば可能である。この場合、本発明においては、前記圧粉体の密度は、前記各キャビティのうち、充填される粉末の密度が最も低いキャビティで圧縮成形される圧粉体に合わせられることを特徴とする。
【0012】
また、本発明では、前記下パンチ付勢手段の機能を簡素な構成で、かつ確実に得るため、該下パンチ付勢手段が圧縮エアを含む形態を好ましいものとしている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の圧粉体を同時に成形する金型装置において、成形密度のばらつきが抑えられ安定した品質の圧粉体を得ることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る粉末成形金型装置の側面図であって、フィーダボックスからキャビティに粉末が充填された状態を示している。
【図2】一実施形態に係る粉末成形金型装置の正面図であって、フィーダボックスからキャビティに粉末が充填された状態を示している。
【図3】一実施形態に係る粉末成形金型装置の正面図であって、キャビティ内の粉末を上下のパンチで圧縮成形している状態を示している。
【図4】一実施形態に係る粉末成形金型装置の正面図であって、圧縮成形された圧粉体をキャビティ上方に抜き出した状態を示している。
【図5】粉末を圧縮成形して得られる単純円筒状の圧粉体を示す斜視図である。
【図6】フィーダボックスによる一般的な粉末供給状況を示す断面図である。
【図7】従来の複数キャビティ式の粉末成形金型装置の正面図であって、フィーダボックスからキャビティに粉末が充填された状態を示している。
【図8】図7に示した粉末成形金型装置において、キャビティ内の粉末を上下のパンチで圧縮成形している状態の正面図である。
【図9】図7に示した粉末成形金型装置において、圧縮成形された圧粉体をキャビティ上方に抜き出した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
[1]粉末成形金型装置の構成
図1および図2は一実施形態の粉末成形金型装置のそれぞれ側面図、正面図を示している。これら図で符号10は、水平に固定されたダイプレートである。ダイプレート10内には、複数(この場合、3つ)の円筒状のダイス11が等間隔に並列して設けられている。ダイプレート10の下方には間隔を空けてコアプレート20が平行に配設されており、ダイプレート10は、ポスト21を介してコアプレート20に支持されている。
【0016】
ダイプレート10とコアプレート20との間には、ベースプレート30が平行に配設されている。ベースプレート30にはポスト21が貫通しており、ベースプレート30はポスト21に沿って上下動可能となっている。コアプレート20には、ベースプレート30を貫通し、各ダイス11の上下方向に貫通するダイス孔11aに同心状に挿入される円柱状のコアロッド22が支持されている。コアロッド22の上端面は、ダイス11の上面と面一である。ベースプレート30上には、コアロッド22に摺動可能に外装されて上端部がダイス孔11a内に摺動可能に嵌入される円筒状の下パンチ31が支持されている。ダイス孔11a内には、ダイス孔11aの内壁面とコアロッド22の外周面と下パンチ31の上端面とにより、円筒状のキャビティ12が形成される。
【0017】
ダイプレート10上には、各ダイス11に対応して複数のフィーダボックス40がセットされている。フィーダボックス40は、底面が開口したボックス本体41の一端上部に短い管状の供給口42が設けられたもので、各フィーダボックス40の供給口42には、上方に設置された1つのホッパから分岐したホース(いずれも不図示)が接続されている。各フィーダボックス40内には、そのホッパ内で貯留されている粉末冶金原料の粉末Pがホースを介して常に供給されるようになっている。
【0018】
各フィーダボックス40は、ダイプレート10上を図1の矢印F・Rに示すように各ダイス孔11aの上方開口、すなわちキャビティ12の開口に対して一括して進退自在に滑動するよう設けられており、図示せぬ往復動機構により駆動される。フィーダボックス40が図1で矢印F方向に動いた進出時(図1および図2の状態)において、フィーダボックス40内の粉末Pがキャビティ12に落下する。そして矢印R方向に退出すると粉末Pはフィーダボックス40ですり切りされ、充満した状態に充填される。
【0019】
ダイプレート10上には、各ダイス11に対応して複数の円筒状の上パンチ51が配設されている。これら上パンチ51は上パンチプレート50の下面に、下方に向けて支持されている。上パンチプレート50は昇降機構52によって昇降させられ、下降することにより、ダイス孔11aに上方から嵌入される。上パンチ51はダイス11およびコアロッド22に摺動しながらダイス孔11aに嵌入させられ、下パンチ31とともにキャビティ12に充填された粉末Pを圧縮する。
【0020】
次に、上記下パンチ31をベースプレート30上に支持する構造について説明する。
ベースプレート30の上面であって、コアロッド22が貫通する貫通孔30aに対応する位置には、円板状の下パンチ台61が上下方向に摺動可能に嵌め込まれている。この下パンチ台61上に、コアロッド22が載置されて支持されている。
【0021】
下パンチ台61は、中心にコアロッド22が貫通する貫通孔61aを有しており、外周部には下方に突出する環状凸部61bが形成されている。環状凸部61bは、ベースプレート30に形成された環状溝からなるエア室32に上下方向に摺動可能に嵌め込まれている。下パンチ台61がエア室32に沿って下降すると環状凸部61bの内側の底面がベースプレート30に形成されたストッパ部(下パンチ支持手段)33に当接し、これより下方には下降しない。この最下降位置において、下パンチ台61の上面はベースプレート30の上面と面一になる。本実施形態では、圧縮エアが貯まるエア室32と、エア室32内の圧縮エアで上昇させられる下パンチ台61により、本発明に係る下パンチ付勢手段が構成されている。
【0022】
ベースプレート30には、各エア室32に対してエアを供給したり、各エア室32からエアを排出したりするためのエア通路(不図示)が形成されている。各エア室32には、図示せぬエア供給源からエア通路を介してエアが供給される。エア室32にエアが供給されるとエア室32内の内圧が高まり、圧縮エアによって下パンチ台61が浮上する。これにより、下パンチ31が下パンチ台61とともに上昇する。
【0023】
エア室32内の圧縮エアで上昇させられる下パンチ台61の高さ位置は、下パンチ台61の周囲に同心状に設けられた円筒状のナット部材(下パンチ位置規制手段)65で任意に規制される。ナット部材65は、内周面に形成されたねじ部が、ベースプレート30に形成された環状のスリット34の内周面に形成されたねじ部に回転可能に螺合しており、回転方向に応じて、ベースプレート30の上面から突出したり、突出位置から下がったりする。ナット部材65の上端には、内側に突出する環状庇部65aが形成されており、この環状庇部65aに下パンチ台61の上面が当接することで、圧縮エアで上昇させられる下パンチ台61および下パンチ31の高さ位置が規制されるようになっている。
【0024】
[2]圧粉体の成形
上記構成の金型装置では、はじめに、図2に示すように上パンチプレート50を上昇させて各上パンチ51を退避位置まで上昇させ、この状態から、各フィーダボックス40を各キャビティ12上に向けて往復動させ、各フィーダボックス40内の粉末Pを各キャビティ12に落とし込むとともにすり切りによって充填する。
【0025】
ところで、本実施形態のように複数のキャビティ12に同時に充填される粉末Pの量は、各フィーダボックス40から落下する粉末Pの流動特性やキャビティ12の位置等の諸条件が異なることに起因して異なることは前述の通りである。そこで本実施形態では、まず、事前に各キャビティ12への粉末Pの充填量の特性を調査し、3つのキャビティ12を、図2に示すように、粉末Pが最も充填されにくいキャビティ12A(左側のキャビティ12)、粉末Pが最も充填されやすいキャビティ12C(図中、中央のキャビティ12)、これらの中間のキャビティ12B(右側のキャビティ12)として把握したとする。粉末Pの充填のされやすさはキャビティ12での粉末Pの充填密度と相関し、充填されやすいほど充填密度は高いことになる。
【0026】
そして、粉末Pを充填する前に、各下パンチ31の高さ位置を、粉末Pが最も充填されにくい方のキャビティ12A、すなわち充填密度が低い方のキャビティ12Aから順に高くするように調節する。すなわち、キャビティ12Aに嵌入される下パンチ31を最も低くし、次いでキャビティ12Bに嵌入される下パンチ31をその次に高くし、キャビティ12Cに嵌入される下パンチ31を最も高く設定する。下パンチ31の高さ位置の調節は、所望の高さになる位置にナット部材65の高さを調節し、エア室32にエアを供給して下パンチ台61を浮上させ、下パンチ台61をナット部材65の環状庇部65aに当接させることでなされる。
【0027】
この場合、最も低くするキャビティ12Aの下パンチ31においては、下パンチ台61がストッパ部33に当接する最も下降した位置に位置付けている。このように下パンチ31の高さ位置を調節することにより、キャビティ12の深さは、下パンチ31が低い方から順に深さが大きく、容量の大きなものとなる。
【0028】
以上のように、キャビティ12への粉末Pの充填量に応じてキャビティ12の深さ(容量)を調節した後、各フィーダボックス40を作動させて各キャビティ12に粉末Pを充填する。次いで、図3に示すように各キャビティ12(12A,12B,12C)に上パンチ51を嵌入するとともに下パンチ31をベースプレート30ごと上昇させ、上下のパンチ51,31によりキャビティ12内の粉末Pを圧縮する。粉末Pが圧縮されると上パンチ51の圧力により粉末Pを介して下パンチ31はエア室32内の圧縮エアに抗して下降し、下パンチ台61がベースプレート30のストッパ部33に当接する。これにより、全ての下パンチ31は一定の高さ位置に支持され、全てのキャビティ12の容量が一定となる。すなわち、粉末Pの圧縮成形体(圧粉体)のサイズが均一になる。
【0029】
粉末Pが圧縮されたら、図4に示すように上パンチ51をキャビティ12から抜き出して上方に退避させるとともに下パンチ31を上昇させて、円筒状の圧粉体P1をダイス孔11aから上方に抜き出す。これにより、複数(3つ)の圧粉体P1を同時に得る。
【0030】
[3]作用効果
本実施形態の金型装置によれば、圧縮エアにより下パンチ台61を介して上方に付勢した下パンチ31の高さ位置を、ナット部材65で任意の位置に規制し、これにより各キャビティ12の深さ(容量)を異ならせた状態でそれらキャビティ12に粉末Pを充填し、次いで上下のパンチ51,31でキャビティ12内の粉末Pを圧縮することにより圧粉体P1が成形される。ここで、キャビティ12ごとにフィーダボックス40からの粉末充填量を予め把握しておき、その充填量に応じて圧縮成形時の下パンチ31の高さ位置に基づくキャビティ12の容量を調節することにより、各キャビティ12において均一な成形密度の圧粉体を成形することができる。よって、成形密度のばらつきが抑えられ安定した品質の圧粉体を得ることができる。
【0031】
なお、圧粉体の密度は、各キャビティ12のうち、充填される粉末Pの密度が最も低いキャビティ12Aで圧縮成形される圧粉体に合わせている。これにより、上記のようにキャビティ12Aの下パンチ31を最も低い位置に設定し、これを基準として他の2つのキャビティ12(12B,12C)の容量をキャビティ12Aよりも適宜に小さくすれば、全てのキャビティ12で圧縮される圧粉体の密度を均一にすることができる。もし、密度が最も高い方のキャビティ12(12C)で成形される圧粉体に合わせる場合には、他のキャビティ12(12A,12B)の容量を大きくする必要があり、装置の大型化などを招くので好ましくはない。
【符号の説明】
【0032】
10…ダイプレート
11a…ダイス孔
12…キャビティ
31…下パンチ
32…エア室(下パンチ付勢手段)
33…ストッパ部(下パンチ支持手段)
40…フィーダボックス
51…上パンチ
61…下パンチ台(下パンチ付勢手段)
65…ナット部材(下パンチ位置規制手段)
P…粉末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に貫通する複数のダイス孔を有するダイプレートと、
前記ダイス孔に下方から嵌入され、該ダイス孔に上方に開口するキャビティを形成する下パンチと、
前記ダイプレート上を前記ダイス孔の開口に対して進退自在に設けられ、進出時に、自身の内部に供給されている粉末を前記キャビティに落下させて充填するフィーダボックスと、
前記ダイス孔に上方から嵌入され、前記下パンチとともに前記キャビティに充填された粉末を圧粉体に圧縮成形する上パンチと、
前記圧縮成形時に全ての前記下パンチを一定の高さ位置に支持する下パンチ支持手段と、
前記フィーダボックスによる前記キャビティへの粉末充填時において、前記下パンチを前記一定の高さ位置より上方に付勢してキャビティの容量を可変とするとともに、前記圧縮成形時には前記下パンチの下降を許容して該下パンチを前記一定の高さ位置に位置付け得る下パンチ付勢手段と、
この下パンチ付勢手段で上方に付勢される前記下パンチを任意の高さ位置に規制するとともに下降は可能とする下パンチ位置規制手段と、
を具備することを特徴とする粉末成形金型装置。
【請求項2】
前記下パンチ位置規制手段によって規制される前記下パンチの高さ位置は、前記各キャビティに充填される粉末の密度に応じた位置であって、前記圧縮成形後の前記圧粉体の成形密度を全てのキャビティにおいて均一にし得る位置であることを特徴とする請求項1に記載の粉末成形金型装置。
【請求項3】
前記圧粉体の密度は、前記各キャビティのうち、充填される粉末の密度が最も低いキャビティで圧縮成形される圧粉体に合わせられることを特徴とする請求項2に記載の粉末成形金型装置。
【請求項4】
前記下パンチ付勢手段は圧縮エアを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粉末成形金型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−71323(P2012−71323A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217324(P2010−217324)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000233572)日立粉末冶金株式会社 (272)