説明

粉末状チューイングガム組成物、これらの使用およびこうした組成物の調製方法

本発明は、50%w/w超のチューイングガムベースを含有し、組成物の粒子の少なくとも95%w/wが1200ミクロン未満の粒径を有する粉末状チューイングガム組成物に関する。本発明はまた、この粉末状チューイングガム組成物の使用に関する。本発明はまた、a)コア区画、b)本発明の組成物を含む1つ以上の層を含むチューイングガムに関する。本発明はさらに、(a)コア組成物を提供する工程;(b)パンニングプロセスを使用することによって、粉末状チューイングガム組成物でコア組成物をコーティングする工程;および任意選択で(c)パンニングプロセスを使用することによって外側仕上げ層で外側中間層をコーティングする工程を含む、チューイングガムの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、粉末状チューイングガム組成物、こうした組成物の使用、およびこうした組成物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
チューイングガムの製造は、従来から、高価な専用の設備を用いて行われており、使用されるプロセスの特性のために大規模な投資が必要である。そのため、大型の製造ユニットにおいてチューイングガムを製造することによってのみ、これまでのところ収益があった。結果として、チューイングガムの製造者は世界中でごくわずかである。
【0003】
近年、粉末状チューイングガム組成物の圧縮によってチューイングガムタブレットを製造することが可能になった。これは打錠機において行われるが、これは製薬業界では標準的な設備であるが、菓子業界では通常利用可能ではない。従って、菓子業界において小規模ならびに大規模な会社において広く利用可能な装置を用いて行うことができ、高価な装置に対する過度の投資を必要としない、粉末状チューイングガム組成物からチューイングガムを製造するための代替製造方法が必要とされている。
【0004】
こうした方法は、EP0814670B1に簡潔に記載されている。この方法は、菓子業界ならびに製薬業界において普及している従来のパンニング設備を使用する。しかし、本出願人は、一般的に利用可能な粉末状チューイングガム組成物を用いてこの方法を行うと製造収率が低いことを確認した。この低い収率は、コーティングされるべき中心物に対して粉末状チューイングガム組成物粒子の接着性が低いことによる。それどころか、粉末状チューイングガム組成物はパンニング装置の壁に蓄積される。
【0005】
US6,551,634B2は、風味剤含有コアと、コアを封入するガム状物を含まない中間層と、ガムを咀嚼する人の口の中に置かれるガムピースの外側層であり、ガム状物を含有する外側層とを含み、この外側層が中間層を封入する、チューイングガムピースまたはバブルガムピースを開示する。外側ガム状物含有層は粉状にした材料として適用される。このチューイングガムピースまたはバブルガムピースは風味剤の代わりにまたはこれらの補助剤として薬物を含有するコアを含んでいてもよい。
【0006】
US6,558,722B2において、約5%から約40%のチューイングガムベースを含有する粉末状チューイングガム組成物が適用される。「湿潤したコアに適用する乾燥充填物が多過ぎる場合、乾燥充填物の過充填分がパンの後方に集まる」と述べられている。そこでは決して、「多過ぎる」が意味するものを量的方法では特定していない。そのため、粉末状チューイングガム組成物への乾燥充填物の適用には問題があることを暗に示唆している。
【0007】
欧州特許出願第1350434号は、甘味剤および他の典型的なチューイングガム成分と共に「ソフトベーシックガム」と呼ばれるガムベースを含む粉末形態のチューイングガムに関する。得られた粉末は、圧縮されてチューイングガムを形成できる。粉末状組成物は、48.5重量%以下の濃度のガムベースを含むことができる。
【0008】
米国特許第3,152,908号は、パンニングプロセスにおいて艶付チョコレート製品を製造するための方法を開示する。乾燥艶出し組成物は、他の水溶性成分と共に70%のアラビアガムを含有するが、この組成物はチューイングガムコーティングの水不溶性ガムベースを形成するには不向きである。
【0009】
米国特許第4,456,629号は、光沢のあるワックスコーティングされたタブレット上に印刷を可能にする光沢のあるワックスコーティングを形成するための方法に関する。この技術がチューイングガムコーティングに適用可能または関連し得るかどうか、または如何にしてそうするかについての示唆はない。
【0010】
国際特許出願WO99/13870は、チューイングガムを製造するための方法を教示し、ここでチューイングガム組成物は、生理学的冷却剤であるアクリル系カルボキサミドを含む。この組成物内において、冷却剤は、好ましくは、マルトデキストリンまたはアラビアガムを含む封入剤によって封入される。チューイングガムを製造するために、種々の成分が混合され、混合機から出され、ローリングおよびカッティング、押出成またはキャスティングによって所望の形態に成型される。チューイングガムを用いて中心物をコーティングすること、または如何にして開示された組成物をこの目的のために適用し得るかについての示唆はない。
【0011】
同様に、米国特許第4,238,475号は、治療成分を含むチューイングガム組成物に関し、この成分はアラビアガムでコーティングされている。チューイングガムは、8重量%から25重量%の範囲のガムベースを含有し、組成物の種々の成分を混合することによって製造される。チューイングガム組成物を用いて中心物をコーティングすること、または開示された混合物がこの観点で如何に有用であるかまたは好適であるかの言及はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許第0814670号明細書
【特許文献2】米国特許第6,551,634号明細書
【特許文献3】米国特許第6,558,722号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1350434号明細書
【特許文献5】米国特許第3,152,908号明細書
【特許文献6】米国特許第4,456,629号明細書
【特許文献7】国際公開第99/13870号
【特許文献8】米国特許第4,238,475号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、パンニングによってチューイングガムを製造するのに好適な代替の粉末状チューイングガム組成物が当該技術分野において必要とされ続けている。
【0014】
従って、本発明の目的は、代替粉末状チューイングガム組成物、およびチューイングガムを製造するための代替手段を提供すること、ならびにチューイングガムを製造するための粉末状チューイングガム組成物の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
今般本出願人は、驚くべきことに、粉末状チューイングガム組成物におけるチューイングガムベースの含有量を50%w/wを超える量まで増大させることによって、標準のパンニングプロセスにおいてコーティングされるべき中心物に対する粉末状チューイングガム組成物粒子の低い接着性を改善することを見出した。
【0016】
故に、本発明は、パンニングプロセスを繰り返すことで任意の食用および咀嚼可能な中心物をコーティングするために適用できる粉末状チューイングガム組成物に関する。粉末状チューイングガム組成物は、50%w/wを超えるチューイングガムベース、好ましくは65%w/wを超えるチューイングガムベース、より好ましくは75%w/wを超えるチューイングガムベースを含有する。組成物の粒子の少なくとも95%w/wは、1200ミクロン未満の粒径を有する。
【0017】
本発明の粉末状チューイングガム組成物に使用されるチューイングガムベースは、50℃から65℃、好ましくは60℃の軟化温度を有し得る。
【0018】
好ましい実施形態において、本発明に従う粉末状チューイングガム組成物は、5℃から30℃の温度において自由流動性の粉末である。
【0019】
好ましくは、本発明に従う粉末状チューイングガム組成物は、100%以下であるが、少なくとも50%w/wのチューイングガムベース、例えば少なくとも51%w/w、例えば少なくとも52%w/w、少なくとも53%w/w、少なくとも54%w/w、少なくとも55%w/w、例えば少なくとも56%w/w、少なくとも57%w/w、少なくとも58%w/w、または少なくとも59%w/wのチューイングガムベースを含有する。
【0020】
さらにより好ましくは、本発明に従う粉末状チューイングガム組成物は、100%以下であるが、少なくとも60%w/wのチューイングガムベース、例えば少なくとも61%w/w、例えば少なくとも62%w/w、少なくとも63%w/w、少なくとも64%w/w、少なくとも65%w/w、例えば少なくとも66%w/w、少なくとも67%w/w、少なくとも68%w/w、または少なくとも69%w/wのチューイングガムベースを含有する。
【0021】
さらにより好ましくは、本発明に従う粉末状チューイングガム組成物は、100%以下であるが、少なくとも70%w/wのチューイングガムベース、例えば少なくとも71%w/w、例えば少なくとも72%w/w、少なくとも73%w/w、少なくとも74%w/w、少なくとも75%w/w、例えば少なくとも76%w/w、少なくとも77%w/w、少なくとも78%w/w、または少なくとも79%w/wのチューイングガムベースを含有する。
【0022】
さらにより好ましくは、本発明に従う粉末状チューイングガム組成物は、100%以下であるが、少なくとも80%w/wのチューイングガムベース、例えば少なくとも81%w/w、例えば少なくとも82%w/w、少なくとも83%w/w、少なくとも84%w/w、少なくとも85%w/w、例えば少なくとも86%w/w、少なくとも87%w/w、少なくとも88%w/w、または少なくとも89%w/wのチューイングガムベースを含有する。
【0023】
この粉末状チューイングガム組成物は、当該技術分野において周知の他の成分、例えば流動改善剤、酸化防止剤、着色剤、フレーバ、糖または糖代替物、例えばバルク甘味剤、ポリオール、高強度甘味剤を含有していてもよい。流動改善剤の例としては、タルク、シリカ、ステアリン酸マグネシウム、アラビアガムなどを挙げることができる。周知の酸化防止剤としては、BHT、トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0024】
追加の成分を収容するために、好ましい実施形態において本発明に従う粉末状チューイングガム組成物は、100%w/w未満のチューイングガムベース、例えば99%w/w未満、例えば98%w/w未満、97%w/w未満、96%w/w未満、95%w/w未満、例えば94%w/w未満、93%w/w未満、92%w/w未満または91%w/w未満のチューイングガムベースを含有する。
【0025】
パンニングプロセスに適用可能であるために、95%w/w超の自由流動性粉末状チューイングガム組成物の粒子は、1200ミクロン未満でなければならない。好ましくは、65%超の粒子は100から1000ミクロンである。これは、本発明の組成物の粒径分布が、風味剤などのような追加され得る粉末状組成物の粒径分布と同様であり、それによって混合プロセスを促進するという利点を有する。
【0026】
定義:
本明細書で使用される場合、「チューイングガム」という用語は、一種の咀嚼可能な菓子を指し、この一部は咀嚼中に溶解しない。
【0027】
本明細書で使用される場合、「チューイングガムベース」という用語は、咀嚼中に溶解しないチューイングガムの一部を指す。チューイングガム組成物は、通常、水溶性のバルク部分、風味剤を伴った非水溶性のチューイングガムベース部分を含む。咀嚼中、水溶性部分は風味剤の一部と共に消散する。チューイングガムベース部分は、咀嚼過程の間中、実質的に口に留まる。チューイングガムベースは、疎水性で、弾力性がある非水溶液の物質を含み、この物質は実質的に変化することなく長期間咀嚼できる。換言すれば、本明細書で使用される場合、チューイングガムベースは、非水溶性であり、非消化性であるチューイングガムの一部である。チューイングガムベースは、一般に、エラストマー、樹脂、脂肪および油、ワックス、軟化剤および無機充填剤を含む。エラストマーは、ポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレンコポリマーおよびスチレンブタジエンゴム、ならびに天然ラテックス、例えばチクルを挙げることができる。樹脂としては、ポリビニルアセタート樹脂およびテルペン樹脂が挙げられる。脂肪および油はまた、チューイングガムベースに含まれていてもよく、タロー、硬化および部分硬化植物油およびココアバターが挙げられる。一般に使用されるワックスとしては、パラフィン、微結晶および天然ワックス、例えば蜜蝋およびカルナウバが挙げられる。チューイングガムベースはまた、通常、充填剤成分を含む。充填剤成分は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、リン酸二カルシウムなどであってもよい。チューイングガムベースはまた、通常、軟化剤を含有し、軟化剤としては、グリセリロールモノステアラートおよびグリセロールトリアセタートが挙げられる。さらに、チューイングガムベースはまた、任意成分、例えば酸化防止剤、着色剤、および乳化剤を含有していてもよい。本明細書で使用される場合、チューイングガムの定義は高度に水溶性であるアラビアガムまたは同様の物質を明示的に排除する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「粉末状チューイングガム組成物」という用語は、「チューイングガムベース」と甘味剤とフレーバと機能性成分との粉末形成された混合物を指し、機能性成分は、テクスチャ調節剤、流動改善剤、割れ防止剤、酸化防止剤、着色剤などを含んでいてもよい。
【0029】
テクスチャ調節剤は、チューイングガムの咀嚼性および口での感触を最適化するために、粉末状チューイングガム組成物の一部であってもよい。テクスチャ調節剤は、可塑剤または可塑化剤としても当該技術分野において知られており、硬化脂肪、グリセリン、レシチンおよびこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0030】
なお、一部の技術分野において、「ガム」という用語は、上述のような菓子の不溶性部分の意味において使用され得るのではなく、むしろ水溶性または水分散性の炭水化物系ヒドロコロイドに関連し得る。例えば、Kirk−Othmer:Concise Encyclopedia of Chemical Technology,John Wiley & Sons,1985には、次の定義が記載されている:「商業用ガムは水溶性または水分散性ヒドロコロイドである。」(pp.202−203)。「用語ガムは工業的に有用な多糖類またはその誘導体であり、温水または冷水中で水和して粘性の溶液または分散系を形成する。」(p.572ff)。これらのガムには、アラビアガム(アカシアガム)、トラガカントガム、イナゴマメガム、グアーガム、デキストラン、キサンタンガム、寒天(agar−agar)、カラギーナンおよび他の幾つかが含まれる。これらはすべて、長時間の咀嚼の後でも口に留まるというチューイングガムの最も重要な特性に欠く。そのため、こういうものとしての「ガム」に関連するこの用語は、本明細書で示される教示に適用できない。
【0031】
本明細書で使用される場合、「軟化点」という用語は、当該技術分野において知られている環球(Ring−and−Ball)アッセイによって測定される温度を指す。
【0032】
粉末に関連して本明細書で使用される場合、「自由流動性」という用語は、注いだときに粉末が液体のように移動することを意味する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「流動改善剤」という用語は、粉末を自由流動性にするためにこの粉末に添加できるいずれかの物質を意味する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「標準パンニング装置」という用語は、例えばDriam GmbHによって製造されるDriacoater(登録商標)のようなパンニング装置、イギリスのA.M.P−Roseにおいて製造される種々のコーティングパンなどを指す。「パンニングプロセス」は、「標準パンニング装置」としても知られる水平載置されたパンにおいてチューイングガムを回転させることによってコア上に層を徐々に堆積させる、例えばチューイングガムの製造プロセスとして定義される。このプロセスは当業者に周知である。
【0035】
本明細書で使用される場合、「反すう食塊サイズ(cud−size)」という用語は、元々のチューイングガムピースに含有されていた他の成分がすべて咀嚼によって溶解した後に残る不溶性部分を意味する。
【0036】
w/wは乾燥重量を基準とした重量を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(発明の詳細な記述)
本出願人は、驚くべきことに、粉末状チューイングガム組成物におけるチューイングガムベースの含有量を50%w/w超に増大させることによって、上述のコーティングされるべき中心物に対する粉末状チューイングガム組成物の低い接着性を改善することを見出した。故に、本発明は、50%w/w超のチューイングガムベースを含有する粉末状チューイングガム組成物に関し、ここで粉末状チューイングガム組成物の粒子の少なくとも95%w/wは1200ミクロン未満の粒径を有する。本発明の組成物に使用される好適なガムベースは、例えばEP1350434A1の9頁、30から34行に開示される「軟質ベースガム(soft basic gum)」に対応してもよい。
【0038】
最良の結果は、粉末状チューイングガム組成物が50%w/wから90%w/wのチューイングガムベースを含有する場合に見られる。さらに良好な結果は、粉末状チューイングガム組成物が65%w/wから85%w/wのチューイングガムベースを含有する場合に見られる。
【0039】
本発明に従う組成物に使用されるチューイングガムベースは、50℃から65℃、最も好ましくは58℃から62℃の軟化点を有するのが好ましいが、これは58℃未満の軟化点ではこの粉末調製物がプロセス温度において粘着性になり、所望の自由流動性を低減するからである。62℃を超える軟化点では、最終的なガムが咀嚼するのに不快な硬さになる。50℃から65℃の間が、本発明に使用されるチューイングガムベースのための軟化点に関して許容可能な範囲を好適に定めているようである。
【0040】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物のために使用されるチューイングガムベースはエラストマーを含む。エラストマーとしては、ポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレンコポリマーおよびスチレンブタジエンゴム、ならびに天然ラテックス、例えばチクルを挙げることができる。
【0041】
別の実施形態によれば、本発明の組成物に使用されるチューイングガムベースは、樹脂を含む。好適な樹脂は、ポリビニルアセタート樹脂およびテルペン樹脂を含んでいてもよい。
【0042】
さらに別の実施形態によれば、本発明の組成物のために使用されるチューイングガムベースは、脂肪および/または油を含み、これらとしては、タロー、硬化および部分硬化植物油、およびココアバターを挙げることができる。
【0043】
さらに別の実施形態によれば、本発明の組成物のために使用されるチューイングガムベースは、ワックスを含む。好適なワックスとしては、パラフィン、微結晶および天然ワックス、例えば蜜蝋およびカルナウバが挙げられる。
【0044】
さらに別の実施形態によれば、本発明の組成物のために使用されるチューイングガムベースは軟化剤を含む。好適な軟化剤としては、グリセロールモノステアラートおよびグリセロールトリアセタートを挙げることができる。
【0045】
さらに別の実施形態によれば、本発明の組成物のために使用されるチューイングガムベースは無機充填剤を含む。好適な充填剤成分は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、リン酸二カルシウムなどであってもよい。
【0046】
都合のよい実施形態によれば、本発明の組成物のために使用されるチューイングガムベースは、8%w/wから16%w/wの少なくとも1つのエラストマー、12%w/wから19%w/wのポリビニルアセタート、14%w/wから30%w/wの樹脂、10%w/wから22%w/wの少なくとも1つの硬化および/または部分硬化植物油、0%w/wから7%w/wのワックス、5%w/wから9%w/wの少なくとも1つの乳化剤および/または技術的補助剤、例えばグリセロールモノステアラート、アセチル化モノグリセリド、レシチン、糖エステルおよび/またはトリアセチン、15%w/wから40w/wの不活性鉱物充填剤、および0%w/wから0.1%w/wの酸化防止剤を含む。
【0047】
パンニングプロセスに適用可能であるために、95%w/w超の自由流動性の粉末状チューイングガム組成物の粒子が、直径1200ミクロン未満でなければならない。粉末状チューイングガム組成物の大部分を中心物上に堆積させること、および得られたコーティングが滑らかで均一であることを確実にするために、本発明に従う粉末状チューイングガム組成物の少なくとも65%w/wの粒子が100ミクロンから1000ミクロンの粒径を有するのが好ましい。さらにより好ましくは、本発明に従う組成物のうち少なくとも66%w/w、例えば少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%w/w、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%の粒子が100ミクロンから1000ミクロンの粒径を有するべきである。
【0048】
本発明に従う粉末状チューイングガム組成物は、5℃から30℃の温度にて自由流動性の粉末であるのが好ましい。
【0049】
粉末状チューイングガム組成物は、当該技術分野において周知の他の成分、例えば流動改善剤、酸化防止剤、着色剤、フレーバ、バルク剤および甘味剤、例えばバルク甘味剤、ポリオールまたは高強度甘味剤を含有してもよい。
【0050】
流動改善剤としては、タルク、シリカ、シリカートタイプ、例えばマグネシウムシリカートおよびアルミニウムシリカート、二酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、アラビアガム、および他の好適な流動改善剤および/またはこれらの組み合わせを挙げることができる。周知の酸化防止剤としては、BHT、トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0051】
バルク甘味剤は当該技術分野において周知であり、これらとしては炭水化物甘味剤および低炭水化物甘味剤の両方、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。炭水化物甘味剤としては、これらに限定されないが、単独または組み合わせて、スクロース、グルコース、マルトース、マルトデキストリン、乾燥転化糖、乾燥植物シロップ、乾燥グレープジュース、フルクトース、ラクトース、乾燥グルコースシロップなどの炭水化物含有成分が挙げることができる。低炭水化物バルク甘味剤としては、単独または組み合わせて、ポリオール、例えばイソマルト、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、水素化デンプン加水分解物、マルチトールなどを挙げることができるが、これらに限定されない。さらに、低炭水化物甘味剤としては、単独または組み合わせて、高強度甘味剤、例えばアスパルタム、サッカリンおよびこの塩、スクラロース、ステビオシド、タウマチン、シクラミン酸およびこの塩、アセサルファームおよびこの塩、またはいずれかの他の好適な甘味剤が挙げられる。
【0052】
バルク剤としては、同様に甘味を製品に与える炭水化物またはポリオールを挙げることができる。しかし、こうした材料はカロリーが高いので、これらはまた低カロリーバルク剤と置き換えられてもよい。低カロリーバルク剤としては、イヌリン(Raftiline HP(登録商標)、Beneo HPX(登録商標))、フルクトオリゴサッカリド(Raftilose(登録商標)P95)(NutraFlora(登録商標))、イソマルトロース(Palatinose(登録商標))、グアーガムヒドロシラート(Sun Fiber(登録商標))、または不消化デキストリン(Fibersol−2(登録商標)またはNutriose(登録商標))、またはいずれかの他の好適な低カロリーバルク剤を挙げることができる。
【0053】
本発明に従う粉末状チューイングガム組成物は、バルク剤および/または甘味剤を含有してもよく、このバルクおよび/または甘味剤は、約1%w/wを超えるが、49%以下、好ましくは約10%w/wを超えるが、49%以下、より好ましくは約25%w/wを超えるが、49%以下、最も好ましくは約35%w/wを超えるが、49%以下の量で使用される。
【0054】
着色剤は、所望の色特性を与えるか、またはコーティングのガム部分を白色化することによって望ましくない色を取り除く。粉末状または液体着色剤は、必要に応じて粉末状チューイングガム組成物の混合中に添加されてもよい。着色剤および白色剤としては、果実および植物抽出物、二酸化チタン、コメデンプンまたはこれらの混合物および/またはこれらの分散物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0055】
風味剤としては、精油、合成フレーバまたはこれらの混合物を含むことができ、これらとしては、当業者に既知のような風味芳香族化合物、オレオ樹脂、植物、葉、花、果実などに由来する抽出物、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。フレーバ油としては、植物および果実に由来する油、ペパーミント油、スペアミント油、シナモン油、他のミント油、丁子油、冬緑油、アニス油などを挙げることができるが、これらに限定されない。人工または天然果実フレーバ、例えばレモン、オレンジ、グレープ、ライムおよびグレープフルーツを含むシトラス油、およびリンゴ、イチゴ、サクランボ、パイナップルなどを含む果実エッセンスも有用である。天然および人工風味剤は、いずれかの感覚的に許容される様式にて組み合わされてもよい。
【0056】
本発明に従う粉末状チューイングガム組成物は、風味剤を含有してもよく、この風味剤は、約0.1%w/wを超える、好ましくは約2%w/wを超える、より好ましくは約5%w/wを超える量で使用される。故に、好ましい実施形態において、風味剤は、0.1%w/wから10%w/w、好ましくは約2%w/w、より好ましくは約5%w/w超から約10%w/wの量で使用される。
【0057】
特に、1つの態様において、本発明は、
a)50%w/wから約99%w/wのチューイングガムベース、
b)約1%w/wから約45%w/wのバルク剤および/または甘味剤、
c)約0.1%w/wから約10%w/wの風味剤、
d)約1%w/wから約30%w/wのタルク、および任意選択で
e)約0.1w/wから約20%w/wのさらなる流動改善剤
から本質的になる粉末状チューイングガム組成物に関する。
【0058】
本発明はまた、a)コア区画、およびb)本発明に従う組成物を含む1つ以上の層を含むチューイングガムに関する。
【0059】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つの層が本発明に従う組成物を含有する、少なくとも2つの別個の層を含むチューイングガムに関する。
【0060】
別の態様において、本発明は、a)コア区画、b)1つ以上の中間層区画、およびc)外側層区画を含むチューイングガムに関する。こうしたチューイングガムは、一般に中心充填チューイングガム(centre−filled chewing gum)と呼ばれる。本発明のこの態様によれば、少なくとも1つの中間層区画が本発明に従う組成物を含有する。
【0061】
本発明に従う中心充填チューイングガムにおいて、食用の咀嚼可能なコア区画は、菓子、ナッツ、乾燥または新鮮な果実、風味剤、または調製物、例えばタブレット、カプセル、シート、圧縮ピル、ウエハ、易溶融タブレット、半液体または液体調製物から選択される1つ以上の化合物を含んでいてもよく、調製物は、1つ以上の活性医薬成分(API)および/または栄養補助食品、例えばこれらに限定されないが、魚油、ω3脂肪酸、プレバイオティクス、プロバイオティクス細菌、カフェイン、ガラナ、ビタミン、ミネラルおよび酵素を含む。
【0062】
1つ以上の中間区画は、グルーとして作用する溶液(糖含有または無糖)を含んでいてもよく、さらにフレーバおよび着色剤、アラビアガム、精糖または平滑にするためのポリオールもしくは低浸透性のシーリング成分を含んでいてもよい。しかし、中間区画の少なくとも1つは本発明に従う組成物を含まなければならない。
【0063】
外側層区画は、好ましくはチューイングガムベースを含まないが、視覚的な印象のための製品の仕上げ部分および/または貯蔵寿命を改善するために湿分の吸収を低減する製品のシーリング部分である。外側層は、糖および/またはポリオール、アラビアガム、CMC、ワックス、脂肪、フレーバおよび着色剤を含有してもよい。
【0064】
本発明のチューイングガムの好ましい実施形態によれば、チューイングガム組成物は、本発明に従うチューイングガムの少なくとも10%w/w、好ましくは少なくとも25%w/wを構成する。これによって、食用の咀嚼可能なコア区画は、チューイングガムの継続した咀嚼に十分な量のチューイングガム組成物によって囲まれている。
【0065】
本発明はさらに、菓子または調製物、例えばタブレット、カプセル、シート、圧縮ピル、ウエハ、易溶融タブレット、半液体または液体調製物をコーティングするための粉末状チューイングガム組成物の使用を含み、この調製物は、1つ以上の活性医薬成分および/または栄養補助食品、例えばこれらに限定されないが、魚油、ω3脂肪酸、プレバイオティクス、プロバイオティクス細菌、カフェイン、ガラナ、ビタミン、ミネラルおよび酵素を含む。コーティングは、標準パンニング装置、例えば従来のコーティングパンまたは連続操作パンにて行われてもよい。このプロセスは、産業界では周知であり、中心物上の多層として記載できる。層は、回転パン中での移動によって摩擦により平滑になり、圧縮される。まず、糖/ポリオールおよびその他の成分ならびに加工助剤の液体溶液をパンを回転させながら添加する。中心物のすべてが湿潤したとき、粉末状チューイングガム組成物を添加する。粉末は、湿潤したコアに粘着する。中心物が粉末で飽和されたとき、これらを再び湿潤させ、さらに粉末材料を添加する。このプロセスは、所望の重量に到達するまで繰り返される。
【0066】
従って、別の態様において、本発明は、本発明に従うチューイングガムの製造方法に関し、この方法は:
(a)コア組成物を提供する工程;および(b)パンニングプロセスの使用によりコア組成物を本発明に従う組成物でコーティングする工程;ならびに任意選択で
(c)パンニングプロセスの使用により外側仕上げ層で中間層をコーティングする工程
を含む。
【0067】
(実施例)
本明細書の記載事項はいずれも、本発明の原理を単に例示するものであり、いかなる方法によっても限定として理解されるものではない。
【0068】
実験の目的は、標準コーティングプロセスによる粉末状チューイングガム組成物を用いてチューイングガムピースを製造することであった。このチューイングガムは、標準的チューイングガムに匹敵する良好な咀嚼性を有しているはずである。コーティング手順は、9インチの典型的なステンレス製コーティングパン(標準パンニング装置)にて行った。
【0069】
コーティングは次のコーティング材料および中心物を使用する。
【0070】
軟質コーティンググル―(液体):
1500gマルチトールシロップ75%d.s.(Maltisorb 75/75 Roquette Freres)
60gアラビアガム396−I(Instant Senegal quality, Alland&Robert)
30g食品等級二酸化チタン
撹拌下で70℃まで加熱し、この温度を維持する。
【0071】
プレガム化:
プレガム化はコーティング工程であり、ここで割れおよび不均一な表面は、コーティング手順の良好な性能および全体的な印象のために平滑にされる。
プレガム化は、アラビアガム溶液(40%d.s.w/w)を添加し、Maltisorb P35(平均35ミクロンの微粒子マルチトール結晶)をまぶすことによって行われる。
プレガム化はまた、異なるコーティング材料間における中心物からの(および中心物への)水の移動を低減する。
【0072】
硬質コーティング(トップコーティング):
1040gマルチトール粉末(Maltisorb P200,Roquette Freres)
15gアラビアガム396−I(Instant Senegal quality,Alland&Robert)
20g食品等級二酸化チタン
460g水
撹拌によって溶解し、80℃まで撹拌下で加熱する。
【0073】
実施例1に使用される粉末状チューイングガム組成物1(本発明に従う)
「GBP−T1」、チューイングガムベース58%(Gum Base Company Italy製)、イソマルト12%、マルチトール10%、アラビアガム10%、タルク10%を含有する粉末状チューイングガム組成物。この製品を本明細書に従って製造する。
【0074】
実施例2に使用される粉末状チューイングガム組成物2Gum(標準の市販)
「All in Gum」−無糖(SE)、Cafosa−24%から26%チューイングガムベースおよび74%から76%ソルビトール粉末を含有し、フレーバおよび着色剤を含まない粉末状チューイングガム組成物。Cafosa,Barcelona,Spainにて市販。
【0075】
中心物
1500グラムの軟質圧縮タブレット、それぞれ直径10mm、重量0.65g
【実施例1】
【0076】
3.5時間の活性コーティング時間の間、33個の層を表1に従って適用する。
【0077】
得られたタブレットは、中心物とコーティングとの比が60/40である。
【0078】
ガム含有量は、コーティングの約80%である。
【0079】
【表1】



【0080】
製造されたチューイングガムは、平滑な表面、優れたテクスチャおよび良好な咀嚼性を有していた。2分間の咀嚼後反すう食塊の湿潤重量は1.0グラム/ピースであった。フレーバ放出量は、従来のチューイングガムと同様である。プロセスは、トレイル(trail)の各段階で問題を生じなかった。
【実施例2】
【0081】
約3.5時間の活性コーティング時間中、33個の層を表2に従って適用する。
【0082】
【表2】



【0083】
製造されたチューイングガムは、粉末状チューイングガム組成物がコーティングプロセス中に中心物から洗い流され、最終的に篩いかす/塊(パンの後方における小さいボール)になったため使用不適と評価された。チューイングガムの反すう食塊サイズは、この理由のために0に近く、製品は、コーティングされたタブレットとしてのみ特徴付けられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンニングプロセスを繰り返すことで任意の食用および咀嚼可能な中心物をコーティングするための粉末状チューイングガム組成物であって、50%w/w超のチューイングガムベースを含有することを特徴とし、ならびにさらに組成物の粒子の少なくとも95%w/wが1200ミクロン未満の粒径を有することを特徴とする、組成物。
【請求項2】
50%w/wから90%w/wのチューイングガムベースを含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
70%w/wから85%w/wのチューイングガムベースを含有することを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
チューイングガムベースが50℃から65℃の軟化点を有する、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
チューイングガムベースが58℃から62℃の軟化点を有する、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
組成物の少なくとも65%w/wの粒子が100ミクロンから1000ミクロンの粒径を有する、請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
5℃から30℃の温度にて自由流動性の粉末である、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
さらに、甘味剤、バルク剤、風味剤、着色剤、酸化防止剤、および流動改善剤の1つ以上を含む、請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
a)50%w/wから約99%w/wのチューイングガムベース、
b)約1%w/wから約45%w/wのバルク剤および/または甘味剤、
c)約0.1%w/wから約10%w/wの風味剤、
d)約1%w/wから約30%w/wのタルク、および任意選択で
e)約0.1%w/wから約20%w/wの別の流動改善剤
から本質的になる、請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
a)コア区画、b)請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物を含む1つ以上の層を含むチューイングガム。
【請求項11】
さらにc)外側層区画を含む、請求項10に記載のチューイングガム。
【請求項12】
コア区画が、菓子、ナッツ、乾燥または新鮮な果実、風味剤、1つ以上の活性医薬成分および/または栄養補助食品、例えばこれらに限定されないが、魚油、ω3脂肪酸、プレバイオティクス、プロバイオティクス細菌、カフェイン、ガラナ、ビタミン、ミネラルおよび酵素を含む調製物から選択される化合物を含む、請求項10または11に記載のチューイングガム。
【請求項13】
請求項1から9のいずれかに記載の組成物が、チューイングガムの少なくとも10%w/wを構成する、請求項10から12のいずれかに記載のチューイングガム。
【請求項14】
菓子、または1つ以上の活性医薬成分および/または栄養補助食品、例えばこれらに限定されないが、魚油、ω3脂肪酸、プレバイオティクス、プロバイオティクス細菌、カフェイン、ガラナ、ビタミン、ミネラルおよび酵素を含む調製物をコーティングするための、先行する請求項1から9のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項15】
コーティングがパンニング装置にて行われることを特徴とする、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
(a)コア組成物を提供する工程;
(b)パンニングプロセスの使用により、請求項1から9のいずれかに定義される組成物でコア組成物をコーティングする工程;および任意選択で
(c)パンニングプロセスの使用により外側仕上げ層で外側中間層をコーティングする工程
を含む、請求項10から13のいずれかに定義されるチューイングガムの製造方法。

【公表番号】特表2011−527184(P2011−527184A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516964(P2011−516964)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【国際出願番号】PCT/DK2009/050166
【国際公開番号】WO2010/003425
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(511007369)
【Fターム(参考)】