説明

粉粒体供給機

【課題】 播種機において、例えば種子を間欠的に所定量ずつ繰り出す種子繰出ローラ等の粉粒体繰出装置の繰出ローラが、同一方向に回転するために粉粒体が鉛直方向に対して繰出ローラの回転方向へ斜め方向に繰り出される傾向があり、その結果、苗箱等の育苗器の搬送方向一側端部となる縁部の側壁等に粉粒体が衝突したり前記縁部の側壁等が粉粒体を遮ったりして、育苗器の前記縁部に粉粒体が供給されにくくなるおそれがある。
【解決手段】 育苗器(2)に粉粒体を供給する粉粒体供給機であって、前記育苗器(2)を一方向に搬送する搬送経路(3)を備え、粉粒体を貯留するタンク(68)と、該タンク(68)内の粉粒体を所定量ずつ繰り出して育苗器(2)へ落下させて供給する複数の繰出ローラ(69)を備える粉粒体繰出装置(7)を、該搬送経路(3)の上方に備え、前記複数の繰出ローラ(69)を、互いに反対側に回転する繰出ローラで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば床土詰装置、播種装置又は覆土装置等の粉粒体繰出装置を備える粉粒体供給機に関する。
【背景技術】
【0002】
育苗器に播種する播種機であって、前記育苗器を一方向に搬送する搬送経路を備え、粉粒体繰出装置として、育苗器に床土を詰める床土詰装置と育苗器に播種する播種装置と育苗器に覆土する覆土装置を搬送経路(3)の上方に設け、搬送経路に沿って該搬送経路の上手側から順に床土詰装置と播種装置と覆土装置を配置し、床土詰装置と播種装置の間に育苗器に灌水する灌水装置を設けた播種機が知られている(特許文献1及び2参照。)。
【特許文献1】特開平8−187015号公報
【特許文献1】特開平8−322331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記背景技術の播種機において、例えば種子を間欠的に所定量ずつ繰り出す種子繰出ローラ等の粉粒体繰出装置の繰出ローラが、同一方向に回転するために粉粒体が鉛直方向に対して繰出ローラの回転方向へ斜め方向に繰り出される傾向があり、その結果、苗箱等の育苗器の搬送方向一側端部となる縁部の側壁等に粉粒体が衝突したり前記縁部の側壁等が粉粒体を遮ったりして、育苗器の前記縁部に粉粒体が供給されにくくなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決するべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、育苗器(2)に粉粒体を供給する粉粒体供給機であって、前記育苗器(2)を一方向に搬送する搬送経路(3)を備え、粉粒体を貯留するタンク(68)と、該タンク(68)内の粉粒体を所定量ずつ繰り出して育苗器(2)へ落下させて供給する複数の繰出ローラ(69)を備える粉粒体繰出装置(7)を、該搬送経路(3)の上方に備え、前記複数の繰出ローラ(69)を、互いに反対側に回転する繰出ローラで構成した粉粒体供給機とした。
【0005】
従って、請求項1に係る発明によると、搬送経路(3)に沿って育苗器(2)を搬送させながら、タンク(68)内の粉粒体を複数の繰出ローラ(69)により所定量ずつ繰り出して育苗器(2)へ落下させて供給する。複数の繰出ローラ(69)は互いに反対側に回転するので、粉粒体が繰出ローラ(69)の回転方向へ斜め方向に繰り出されても、互いに反対側に回転する複数の繰出ローラ(69)により粉粒体が繰り出される方向は反対側に斜め方向となり、育苗器の搬送方向両側端部の両縁部へ確実に粉粒体を供給することができる。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、粉粒体供給機を育苗器(2)に種子を供給して播種する播種機とし、該搬送経路(3)に沿って該搬送経路(3)の上手側から順に育苗器(2)に床土を詰める床土詰装置(6)と育苗器(2)に播種する粉粒体繰出装置となる播種装置(7)と育苗器(2)に覆土する覆土装置(8)を設け、床土詰装置(6)と播種装置(7)の間又は播種装置(7)と覆土装置(8)の間に育苗器(2)に灌水する灌水装置(29)を設け、タンクを、種子を貯留する種子タンク(68)とし、複数の繰出ローラ(69)を、種子タンク(68)内の種子を所定量ずつ繰り出して育苗器(2)へ落下させて供給する複数の種子繰出ローラ(69)とした請求項1に記載の粉粒体供給機とした。
【0007】
従って、請求項2に係る発明によると、請求項2に係る発明の作用に加えて、搬送経路(3)に沿って育苗器(2)を搬送させることにより、育苗器(2)に床土を詰め、播種し、覆土する。また、育苗器(2)に床土を詰めた後に、育苗器(2)に灌水する。複数の種子繰出ローラ(69)は互いに反対側に回転するので、種子が種子繰出ローラ(69)の回転方向へ斜め方向に繰り出されても、互いに反対側に回転する複数の種子繰出ローラ(69)により種子が繰り出される方向は反対側に斜め方向となり、育苗器の搬送方向両側端部の両縁部へ確実に種子を供給することができる。
【発明の効果】
【0008】
よって、請求項1に係る発明によると、育苗器の搬送方向両側端部の両縁部へ確実に粉粒体を供給することができ、育苗器における粉粒体の供給むらを抑えることができる。
また、請求項2に係る発明によると、育苗器の搬送方向両側端部の両縁部へ確実に種子を供給することができ、育苗器における播種むらを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。
図1及び図2に示すように、粉粒体供給機となる播種機(1)は、例えば水稲苗用の矩形の育苗箱等の育苗器(2)を一方向に搬送する搬送経路(3)を備え、該搬送経路(3)上に支持され該搬送経路(3)に沿って該搬送経路(3)の上手側から順に、上下に複数枚に積み重ねられた育苗器(2)を下側から順に繰り出して搬送経路(3)上に供給する育苗器供給装置(4)と、育苗器(2)に床土を詰める床土詰装置(6)と、床土を詰めた育苗器(2)に灌水する灌水装置(29)と、育苗器(2)に播種する播種装置(7)と、育苗器(2)に覆土する覆土装置(8)を設けている。尚、育苗器供給装置(4)及び床土詰装置(6)及び播種装置(7)及び覆土装置(8)の各々の装置は、他の装置と独立して単独で設置できるように前後左右計4本の脚部(9,10)で支持されている。尚、覆土装置(8)の前側の左右の脚部(10)には上下に回動するアーム(11)を介して該脚部(10)の下端より下方に突出させることができる車輪(12)を各々取り付けており、該車輪(12)を下方に突出させ播種機(1)を持ち上げて他の脚部(9)を地面から浮かせることにより、播種機(1)を容易に移動させることができる。
【0010】
搬送経路(3)は、左右の搬送ガイド(15)で構成され、この左右の搬送ガイド(15)の間で長手方向を前後に向けた育苗器(2)を搬送する構成となっている。搬送経路(3)には、駆動するコンベアとして、ベルト式の育苗器搬送コンベアである育苗器供給部搬送コンベア(16)及び床土詰部搬送コンベア(17)と、ローラ式の育苗器搬送コンベアである播種部搬送コンベア(18)及び覆土部搬送コンベア(28)とを備えている。そして、非駆動でフリーで回転するローラ式のコンベアとして、育苗器供給部搬送コンベア(16)と床土詰部搬送コンベア(17)の間に床土詰前コンベア(62)を設け、床土詰部搬送コンベア(17)と播種部搬送コンベア(18)の間に灌水部コンベア(63)を設け、播種部搬送コンベア(18)と覆土部搬送コンベア(28)の間に覆土前コンベア(64)を設け、覆土部搬送コンベア(28)の後側に育苗器取出コンベア(75)を設けている。
【0011】
育苗器供給装置(4)は、上下に複数枚に積み重ねられた育苗器群を下側から受ける下受板(34)と、前記育苗器群の下から2枚目の育苗器(2)を下側から受ける上受板(35)と、育苗器群の最下位の育苗器(2)を強制的に下方へ落とす落とし板(36)とを備え、人手等により上受板(35)上に供給された育苗器群を先ず下受板(34)上に引き継ぎ、上受板(35)で育苗器群の下から2枚目の育苗器(2)から上側の育苗器(2)を支持した状態で下受板(34)による育苗器群の最下位の育苗器(2)の支持を解除し、その状態で落とし板(36)が最下位の育苗器(2)を上側から下方に押して育苗器群から分離して落下させて繰り出して育苗器供給部搬送コンベア(16)上に供給し、以下この作動工程を繰り返すことにより育苗器群の下側の育苗器(2)から順に育苗器供給部搬送コンベア(16)上に供給する構成となっている。尚、下受板(34)、上受板(35)及び落とし板(36)は、育苗器群に作用する各々の部分が前後方向で重複しないように各々育苗器群の前後左右4箇所に設けられ、育苗器群の左右外側から作用し、育苗器供給部搬送コンベア(16)の作動に連動し、育苗器供給部搬送コンベア(16)上において先に供給した育苗器(2)と次に供給する育苗器(2)との間に隙間が生じないように作動する。伝動構成について説明すると、育苗器供給モータ(94)に設けた出力スプロケット(95)から搬送伝動チェーン(96)及び駆動スプロケット(38)へ伝動し、該駆動スプロケット(38)と一体回転する搬送上手側のローラ(37)を介して育苗器供給部搬送コンベア(16)を駆動する。そして、駆動スプロケット(38)からチェーン(39)及び従動スプロケット(40)を介して第一のカウンタ軸(41)へ伝動し、該第一のカウンタ軸(41)と一体回転する駆動スプロケット(42)からチェーン(43)、従動スプロケット(44)及び一方向クラッチを介して第二のカウンタ軸(45)へ伝動し、該第二のカウンタ軸(45)の左右両端部に設けた駆動ベベルギヤ(46)から従動ベベルギヤ(47)を介して左右各々の落とし用軸(48)を互いに反対側に駆動回転させる。この落とし用軸(48)と落とし板(36)とが一体回転し、落とし板(36)が左右内側で下側に移行する方向に回転する。また、落とし用軸(48)の他端部からアーム(49,51)及びリンク(50)等を介して落とし用軸(48)の上方に位置する各々の受板用軸(52)を所定角度範囲内で揺動させ、該受板用軸(52)と一体回転する下受板(34)及び上受板(35)を揺動させ、下受板(34)と上受板(35)とを育苗器群に交互に作用させて、育苗器群を順次下降させる。また、第二のカウンタ軸(45)を手動で回転させるための手動供給操作具となる手動供給レバー(53)を設けており、該手動供給レバー(53)により作業者が任意に育苗器供給部搬送コンベア(16)上に育苗器(2)を落下させて供給することができる。
【0012】
床土詰装置(6)は、床土となる培土を貯留する床土タンク(54)と、該床土タンク(54)内の床土を所定量ずつ繰り出して育苗器(2)へ落下させて供給する床土繰出具となる床土繰出ベルト(55)と、育苗器(2)上で溢れる床土を均す均平具となる均平ブラシ(19)と、育苗器(2)内に突入して床土を鎮圧する床土鎮圧具となる床土鎮圧ローラ(57)と、床土繰出ベルト(55)上の隙間を調節して床土の繰出量を変更調節する床土量調節具となる床土量調節レバーを備え、床土繰出ベルト(55)が床土を供給する搬送経路(3)上の床土詰位置の搬送下手側に均平ブラシ(19)が位置し、均平ブラシ(19)の搬送下手側に床土鎮圧ローラ(57)が位置する。床土詰装置(6)の伝動構成について説明すると、床土繰出モータ(20)により床土繰出ベルト(55)が駆動し、該床土繰出ベルト(55)から歯車伝動機構を介して均平ブラシ(19)が駆動する。また、床土詰搬送モータ(21)に設けた出力スプロケット(97)から搬送伝動チェーン(59)を介して駆動スプロケット(60)へ伝動し、該駆動スプロケット(60)と一体回転する搬送下手側のローラ(61)により床土詰部搬送コンベア(17)を駆動する。尚、均平ブラシ(19)と床土繰出ベルト(55)とが互いに逆方向に回転するようになっている。尚、床土繰出モータ(20)又は床土詰搬送モータ(21)の一方の駆動で、床土繰出ベルト(55)と均平ブラシ(19)と床土詰部搬送コンベア(17)へ伝動する構成としてもよい。
【0013】
播種装置(7)は、播種する種子(種籾)を貯留する種子タンク(68)と、該種子タンク(68)内の種子を間欠的に所定量ずつ繰り出して育苗器(2)へ落下させて播種位置で供給する外周に所定のピッチで複数の繰出溝を備える種子繰出具となる前後一対の種子繰出ローラ(69)と、該種子繰出ローラ(69)の外周面に接触して該種子繰出ローラ(69)の繰出溝から溢れる種子を除去する各々の除去ブラシ(70)と、種子繰出ローラ(69)に臨む種子タンク(68)の出口の隙間を調節して種子繰出ローラ(69)への種子の供給状態を変更調節する種子供給調節具となる種子供給調節ハンドル(72)を備える。播種装置(7)の伝動構成について説明すると、播種モータ(65)に搬送下手側(後側)の種子繰出ローラ(69)を直結して該搬送下手側(後側)の種子繰出ローラ(69)を駆動し、搬送下手側(後側)の種子繰出ローラ(69)と一体回転する駆動ギヤを設け、該駆動ギヤと噛み合う同歯数の従動ギヤにより、該従動ギヤと一体回転する搬送上手側(前側)の種子繰出ローラ(69)を駆動する。従って、搬送下手側(後側)の種子繰出ローラ(69)と搬送上手側(前側)の種子繰出ローラ(69)とは、互いに逆方向に同じ回転速度で回転する。尚、搬送下手側(後側)の種子繰出ローラ(69)は搬送下手側回り(後回り、図2で右回り)に回転し、搬送上手側(前側)の種子繰出ローラ(69)は搬送上手側回り(前回り、図2で左回り)に回転する。これにより、播種作業を高速で行うときに種子繰出ローラ(69)を高速回転させても、搬送下手側(後側)の種子繰出ローラ(69)からの種子は斜め前下がりの方向に繰り出され、育苗器(2)の搬送上手側の端部には種子が供給され易いが、育苗器(2)の搬送下手側の端部には該端部の側壁が邪魔になって種子が供給されにくくなる。しかしながら、搬送上手側(前側)の種子繰出ローラ(69)からの種子は斜め後下がりの方向に繰り出され、育苗器(2)の搬送上手側の端部には種子が供給されにくいが、育苗器(2)の搬送下手側の端部には該端部の側壁が邪魔になって種子が供給され易くなるため、総合して育苗器(2)の搬送方向両端部に確実に種子を供給できる。また、互いに近づけて配置される一対の種子繰出ローラ(69)の繰出し位置が、互いに離れる側となるので、双方の種子繰出ローラ(69)で繰り出される種子が交錯しにくくなり、良好に播種作業を行える。
【0014】
また、播種モータ(65)と一体回転する出力スプロケット(66)から搬送伝動チェーン(71)を介して播種部搬送コンベア(18)の搬送下手側のローラ(75)へ伝動し、該搬送下手側のローラ(75)からチェーン(77)を介して搬送上手側のローラ(76)へ伝動する。尚、各々の除去ブラシ(70)は、対応する種子繰出ローラ(69)と逆方向に回転するべく、該種子繰出ローラ(69)から別途設けた一対の伝動ギヤにより伝動され駆動する。
【0015】
また、育苗器(2)の左右の端部も、側壁に繰り出される種子が衝突して外に跳ね出され易く、種子の供給量が少なくなる傾向がある。そこで、図7に示すように、育苗器(2)の左右の端部の上方に、繰り出される種子を育苗器(2)側に案内するガイド板(120)を設けている。このガイド板(120)は、下端部が搬送経路(3)の内側へ向いて傾斜しており、蝶ボルト(121)が通る左右方向の長孔(122)を備え、左右の搬送ガイド(15)の上面に蝶ボルト(121)により取り付け固定される。種子繰出ローラ(69)の回転速度に応じて、蝶ボルト(121)を弛めて長孔(122)によりガイド板(120)を左右移動させて該ガイド板(120)の左右位置を調節することにより、適正に育苗器(2)の左右の端部に種子が供給されるように調節できる。上述は、播種装置(7)にガイド板(120)を設ける場合について説明したが、同様に床土詰装置(6)や覆土装置(8)にガイド板(120)を設け、育苗器(2)の左右の端部に床土や覆土が適正に供給される構成としてもよい。特に、播種機(1)に、肥料や薬剤等の粒剤を育苗器(2)へ供給する粒剤供給装置を設ける場合、この粒剤供給装置による粒剤の繰出量が少ないので育苗器(2)への供給むらが生じ易いが、ガイド板(120)を使用すれば供給むらを抑えることができる。
【0016】
覆土装置(8)は、覆土となる培土を貯留する覆土タンク(84)と、該覆土タンク(84)内の覆土を所定量ずつ繰り出して育苗器(2)へ落下させて覆土位置で供給する覆土繰出具となる覆土繰出ベルト(85)と、育苗器(2)上で溢れる覆土を均す均平具となる均平板(86)と、覆土繰出ベルト(85)上の隙間を調節して覆土の繰出量を変更調節する覆土量調節具となる覆土量調節レバーとを備え、覆土繰出ベルト(85)が覆土を供給する搬送経路(3)上の覆土位置の搬送下手側に均平板(86)が位置する。覆土装置(8)の伝動構成について説明すると、覆土モータ(78)により覆土繰出ベルト(85)が駆動し、覆土モータ(78)に設けた出力スプロケット(79)から搬送伝動チェーン(80)を介して覆土部搬送コンベア(28)の搬送下手側のローラ(81)へ伝動し、該搬送下手側のローラ(81)からチェーン(98)を介して搬送上手側のローラ(82)へ伝動する。尚、搬送上手側のローラ(82)と搬送下手側のローラ(81)の間に、覆土位置がある。尚、覆土繰出ベルト(85)と覆土部搬送コンベア(28)とが互いに逆方向に回転するべく、搬送伝動チェーン(80)を側面視で交差するように巻き掛けている。
【0017】
覆土装置(8)の前側の脚部(10)には、育苗器搬送コンベアを手動で回転させるための操作具となる手動搬送ハンドル(92)をフック(93)を介して保持している。この手動搬送ハンドル(92)により、播種装置(7)で播種をしている途中で故障で播種機(1)が停止したときや播種作業を終了するために播種機(1)を停止させたとき、手動で育苗器(2)を搬送して該育苗器(2)を播種機(1)から容易に取り出すことができる。
【0018】
灌水装置(29)は、灌水部コンベア(63)の上側に設けられ、灌水部コンベア(63)の左右の搬送ガイド(15)から各々立ち上がる左右の支持フレーム(100)を設け、左右に配列される複数のノズルを備える左右に延びる灌水パイプ(99)を、左右の支持フレーム(100)で両持ち支持している。該灌水パイプ(99)すなわち灌水位置は、灌水部コンベア(63)の搬送上手寄りの位置に配置されている。
【0019】
図8に示すように、床土詰装置(6)と播種装置(7)の間に育苗器(2)内の床土に薬液を供給する薬液供給装置(123)を設けることができる。この薬液供給装置(123)は、薬液供給ポンプ(126)の駆動により薬液を貯留する薬液タンク(124)から薬液供給配管(125)を介して薬液を移送し、薬液ノズル(126)から育苗器(2)へ吐出する。育苗器(2)内の床土で保留されずに流下する薬液は、搬送経路(3)の下側で薬液ノズル(126)の下方に位置する薬液回収タンク(127)で回収される。薬液回収タンク(127)は、中央部に四方を囲む分離壁(128)を備え、分離壁(128)の外側に流下した薬液の上澄み液だけを分離壁(128)で囲まれた内部(129)へ供給するようになっている。これにより、薬液と一緒に落下する育苗器(2)の床土を、分離壁(128)の外側に堆積させ、内部(129)に供給しないようにしている。尚、前記内部(129)の上方は薬液案内板(130)で覆っており、搬送経路(3)で内部(129)の上方に搬送された育苗器(2)から薬液が流下しても、該薬液が直接内部(129)へ入らないようにしている。薬液案内板(130)は、前側(搬送経路(3)の搬送上手側)が低位となるよう前後に傾斜すると共に左右中央に対して左右両端が低位となるよう左右方向に傾斜しており、流下する薬液を内部(129)の前側及び左右両側に案内する。内部(129)の薬液は、薬液回収バルブ(132)の開閉により適宜薬液回収配管(131)を介して薬液タンク(124)へ回収される。これにより、薬液を再利用することができ、薬液の廃棄量を削減することができて環境汚染の防止及び廃液の処理の手間を削減することができる。従来は、薬液を再利用しておらず、廃液が多く発生してこの廃液の処理が必要となっていた。尚、上述の薬液タンク(124)を省略し、薬液回収タンク(127)を薬液タンクとして共用して、薬液回収タンク(127)から直接薬液供給配管(125)を介して薬液ノズル(126)により薬液を吐出する構成としてもよい。
【0020】
床土詰前コンベア(62)及び灌水部コンベア(63)及び覆土前コンベア(64)及び育苗器取出コンベア(75)の各々のコンベアは、左右の搬送ガイド(15)の前後端部で搬送上手側及び搬送下手側の装置に嵌る嵌合部材(101)により、播種機(1)本体に対して独立して個別に着脱可能に設けられている。従って、図6に示すように、これらのコンベアを短いものに組み替えることにより、各装置間の距離を変更でき、ひいては灌水装置の灌水位置から次工程の播種装置(7)の播種位置及び覆土装置(8)の覆土位置までの間隔を変更できる。また、床土詰前コンベア(62)及び灌水部コンベア(63)及び覆土前コンベア(64)及び育苗器取出コンベア(75)の各々のコンベアは、育苗器(2)の長手方向の長さ(60cm)より長く設定されている。従って、育苗器供給装置(4)と床土詰装置(6)と播種装置(7)と覆土装置(8)の何れの装置で育苗器(2)への作業の不具合があっても、その直後で不具合のあった育苗器(2)を即座に取り出すことができ、無駄な作業を防止でき、床土や種子や覆土の無駄を防ぐことができる。しかも、灌水部コンベア(63)の灌水位置より後側部分自体が育苗器(2)の長手方向の長さ(60cm)より長く設定されているので、灌水作業で不具合があった育苗器(2)を即座に取り出すことができ、種子や覆土の無駄を防ぐことができる。
【0021】
また、灌水部コンベア(63)を播種装置(7)と覆土装置(8)の間に組み付けることにより、播種装置(7)と覆土装置(8)の間に灌水装置(29)を配置することができる。あるいは、灌水部コンベア(63)を覆土装置(8)の後側に組み付けることにより、覆土後に灌水する構成とすることもできる。これらの場合も、灌水部コンベア(63)を組み替えて該灌水部コンベア(63)の長さを変更できる構成とすればよい。
【0022】
以上により、この播種機(1)は、育苗器(2)に播種する播種機であって、前記育苗器(2)を一方向に搬送する搬送経路(3)を備え、該搬送経路(3)に沿って該搬送経路(3)の上手側から順に育苗器(2)に床土を詰める床土詰装置(6)と育苗器(2)に播種する播種装置(7)と育苗器(2)に覆土する覆土装置(8)とを設け、床土詰装置(6)と播種装置(7)の間又は播種装置(7)と覆土装置(8)の間に育苗器(2)に灌水する灌水装置(29)を設け、灌水部コンベア(63)を組み替えることにより、灌水装置(29)の灌水位置から次工程の播種装置(7)の播種位置及び覆土装置(8)の覆土位置までの間隔を変更できる構成とした。
【0023】
従って、搬送経路(3)に沿って育苗器(2)を搬送させることにより、育苗器(2)に床土を詰め、播種し、覆土する。また、育苗器(2)に床土を詰めた後の覆土する前に、育苗器(2)に灌水する。そして、例えば水田の土壌等、吸水性の悪い土を床土詰めするときは、灌水部コンベア(63)を長いものに組み替えることで灌水位置から播種位置及び覆土位置までの間隔を大きく変更し、播種及び覆土までに育苗器に灌水した水が床土の上面に溜まらず吸水されるようにできる。逆に、吸水性の良い土を床土詰めするときは、灌水部コンベア(63)を短いものに組み替え、灌水位置から播種位置及び覆土位置までの間隔を、播種及び覆土までに育苗器に灌水した水が床土の上面に溜まらず吸水される適宜の間隔に短く変更できる。
【0024】
よって、床土の土質に拘らず播種及び覆土までに育苗器に灌水した水が床土の上面に溜まらず吸水されるように、灌水位置から播種位置及び覆土位置までの間隔を変更できるので、床土の上面に播種された種子が溜まった水と共に床土と覆土の間に閉じ込められて酸欠を起こし出芽不良となるのを防止できると共に、灌水位置から播種位置及び覆土位置までの間隔が不必要に大きくならないため、播種機が短くコンパクトになり、作業者が、育苗器供給装置(4)へ空の育苗器(2)を供給したり、床土詰装置(6)の床土タンク(54)へ床土を供給したり、播種装置(7)の種子タンク(68)へ種子を供給したり、覆土装置(8)の覆土タンク(84)へ覆土を供給したり、育苗器取出コンベア(75)から播種作業が終わった育苗器(2)を取り出したりする作業において、相互の作業をあまり移動せずに容易に行え、播種作業の作業性の向上が図れる。
【0025】
尚、種子タンク(68)の上端の開口より覆土タンク(84)の上端の開口を低位に設け、覆土タンク(84)の上端の開口より床土タンク(54)の上端の開口を低位に設けている。これにより、使用量が多いため作業者が頻繁に床土タンク(54)へスコップで床土を供給しなければならないが、この床土供給作業を低位で容易に行え、次いで供給頻度が高い覆土タンク(84)への覆土供給作業を容易に行える。しかも、種子タンク(68)の上端の開口が高位となるので、床土供給作業又は覆土供給作業を行うとき、誤って種子タンク(68)へ床土又は覆土を供給するようなことを防止でき、土が供給されることで播種装置(7)が故障するようなことを防止できる。
【0026】
床土タンク(54)は変形可能なゴム製の弾性体(113)を介して支持されており、作業者が床土を供給する度にその重みで揺れる構成となっている。これにより、床土タンク(54)内での床土のブリッジ現象を防止でき、特に水田の土壌等、ブリッジ現象を生じ易い土壌を床土として使用するとき、床土の繰り出しを適正に行える。尚、作業者がスコップ等で床土タンク(54)に触れることで、床土タンク(54)を揺らすこともできる。
【0027】
また、左右幅がコンベアの左右幅より小さい(30cm未満の)育苗器(110)に播種作業を行うときは、図1に示すように、コンベアの左右一方側にコンベア搬送方向の適宜間隔で複数の規制ガイド(112)を取り付け、コンベア上の育苗器(110)の左右位置を規制するようにすればよい。このとき、播種装置(7)で繰り出される種子が前記左右一方側の部分で無駄になるので、この種子を受ける受け容器(111)を播種装置(7)下方で前記左右一方側の位置に配置すればよい。
【0028】
尚、前述では、床土詰前コンベア(62)及び灌水部コンベア(63)及び覆土前コンベア(64)及び育苗器取出コンベア(75)の各々のコンベアを組み替えて、該コンベアの長さを変更する方法について説明したが、これらのコンベアを伸縮できる構成として長さを変更する構成としてもよい。このときは、該コンベアの左右の搬送ガイド(15)を前後に複数に分割して重複させることによりコンベアを縮小し、該コンベアのローラの互いの間隔が変更される構成とすればよい。
【0029】
また、前述では、育苗器供給装置(4)と床土詰装置(6)と灌水装置(29)と播種装置(7)と覆土装置(8)を独立して構成したが、育苗器供給装置(4)と床土詰装置(6)を一体で構成し、播種装置(7)と覆土装置(8)を一体で構成し、灌水部コンベア(63)のみ組み替え又は伸縮できる構成としてもよい。
【0030】
尚、中国等の外国では、コストダウンのため育苗器(2)として薄く変形し易い苗箱(一般的に、ソフトトレイと呼ぶことがある。)を使用して育苗するところがある。この苗箱を変形した状態で播種機(1)へ供給すると、床土詰装置(6)でその変形した苗箱に床土詰めすることになり、適正に床土を供給できず、ひいては適正に播種できなくなる。特に、苗箱の四隅が窪み易く、均一な床土詰めひいては播種ができないことが多い。そこで、床土詰装置(6)よりも搬送上手側で育苗器供給装置(4)よりも搬送下手側の床土詰前コンベア(62)上に、変形した苗箱を適正に整形する整形装置(133)を設けることができる。尚、このときは、床土詰前コンベア(62)を苗箱の長さよりも長くなるように設定する。前記整形装置(133)は、上方から苗箱を押圧して苗箱の内部の形状を適正に矯正する矯正板(134)を設けた構成とし、苗箱が搬送される度に矯正板(134)が上下動して順次苗箱を矯正する。尚、床土詰前コンベア(62)は、矯正板(134)により上方から押圧される苗箱を確実に受けるべく、上側の全面を平面状にしたベルトコンベアで構成するとよい。このベルトコンベアの構成とすることで、変形し易い苗箱を確実に搬送することができるという効果もある。尚、前記ベルトコンベアは、苗箱から流下する水等を下方に排出するため、適宜位置に排水孔を設けた構成としてもよい。
【0031】
そして、この播種機(1)は、育苗器(2)に種子を供給して播種し、育苗器(2)を一方向に搬送する搬送経路(3)を備え、該搬送経路(3)に沿って該搬送経路(3)の上手側から順に育苗器(2)に床土を詰める床土詰装置(6)と育苗器(2)に播種する粉粒体繰出装置となる播種装置(7)と育苗器(2)に覆土する覆土装置(8)を設け、床土詰装置(6)と播種装置(7)の間又は播種装置(7)と覆土装置(8)の間に育苗器(2)に灌水する灌水装置(29)を設け、種子を貯留する種子タンク(68)と、種子タンク(68)内の種子を所定量ずつ繰り出して育苗器(2)へ落下させて供給する複数(一対)の種子繰出ローラ(69)を備える播種装置(7)を、該搬送経路(3)の上方に備え、前記複数(一対)の繰出ローラ(69)を互いに反対側に回転する構成とした。
【0032】
従って、搬送経路(3)に沿って育苗器(2)を搬送させることにより、育苗器(2)に床土を詰め、播種し、覆土する。また、育苗器(2)に床土を詰めた後に、育苗器(2)に灌水する。そして、搬送経路(3)に沿って育苗器(2)を搬送させながら、種子タンク(68)内の種子を複数の種子繰出ローラ(69)により所定量ずつ繰り出して育苗器(2)へ落下させて供給する。複数(一対)の種子繰出ローラ(69)は互いに反対側に回転するので、種子繰出ローラ(69)の回転速度が高速になって種子が種子繰出ローラ(69)の回転方向へ斜め方向に繰り出されても、互いに反対側に回転する複数(一対)の種子繰出ローラ(69)により種子が繰り出される方向は反対側に斜め方向となり、育苗器の搬送方向両側端部の両縁部へ確実に粉粒体を供給することができ、育苗器における播種むらを抑えることができる。
【0033】
尚、上述では、粉粒体繰出装置として播種装置(7)を一例として説明したが、同様に床土詰装置(6)や覆土装置(8)に複数の繰出ローラを設けて、床土や覆土が繰り出される構成としてもよい。
【0034】
尚、上述では、共通のタンク(68)内の粉粒体を複数の繰出ローラ(69)が繰り出す構成について説明したが、タンク(68)及び繰出ローラ(69)からなる粉粒体繰出装置を搬送経路(3)に沿って複数設け、複数の粉粒体繰出装置における複数の繰出ローラ(69)を互いに反対方向に回転させる構成としてもよい。
【0035】
前述のような播種機(1)で播種し、育苗器(2)で苗を育苗するわけであるが、育苗された苗は、移植機で圃場に移植されたり、栽培温室で栽培されたりする。栽培温室では、列状に複数条に苗を定植して栽培し、この隣接する栽培条(135)の間に栽培作物の管理作業(芽かき作業、葉かき作業、防除作業等)や収穫作業を行うための通路(136)を備えている。栽培作物は高い位置まで成長するので、栽培作物に対して作業を行うには昇降する昇降台(137)を備える移動台車(138)を使用する。この移動台車(138)を走行させるための左右一対の走行レール(139)を通路(136)に設け、この走行レール(139)に移動台車(138)の前後左右計4輪の車輪(140)の小径部(140a)が載って走行する。尚、走行レール(139)は、パイプで構成され、暖房用の温湯を流す配管と兼用している。尚、車輪(140)の大径部(140b)は、通常の路面を走行するときに接地する。昇降台(137)には防護柵(141)と操作盤(142)を備えている。車輪(140)の近傍には転倒防止具(143)を設けており、この転倒防止具(143)が走行レール(139)の上方に位置する。転倒防止具(143)は、左右方向に長い板状で移動台車(138)の車体に固着されており、車輪(140)及び走行レール(139)よりも左右幅広で、該転倒防止具(143)の下端は車輪(140)の小径部(140a)の下端よりも若干上位にある。従って、昇降台(137)を上昇させて高所作業をしているとき、搭乗する作業者を含む移動台車(138)全体の重心が高くなって転倒し易くなり、車輪(140)が走行レール(139)から脱輪するおそれがあるが、仮に万が一脱輪しても、左右幅の広い転倒防止具(143)が確実に走行レール(139)に接触して、移動台車(138)は僅かに傾くだけで支持されるので、移動台車(138)の転倒や作業者の転落を防止でき、安全性が向上する。尚、通常の路面を走行するときは、車輪(140)の大径部(140b)の下端と転倒防止具(143)の下端の間にある程度の高低差があるので、転倒防止具(143)が路面の凹凸に引っ掛かるようなことを抑えられる。尚、車輪(140)の大径部(140b)と反対側へは該大径部(140b)があるため脱輪しにくく、該大径部(140b)側へ車輪(140)が移動して脱輪することが多いので、脱輪時に転倒防止具(143)が確実に走行レール(139)上に載るように転倒防止具(143)を小径部(140a)側に長く構成することが好ましい。
【0036】
尚、栽培作物を上方から撮影するカメラを設け、カメラにより作物の葉面積を計測し、葉面積が多いときには作業者(栽培管理者)に葉かき作業を促す告知をする制御装置を設けることができる。告知する手段としては、音声発生装置や、ランプやパソコン画面等の表示装置がある。この告知内容としては、一株あたり何枚の葉を取り除くべきかを知らせることもできる。要するに、葉面積が一定になるように取り除くべき葉の枚数を知らせるのである。これにより、葉面積の計測により作物の光合成量を推測でき、必要に応じて作物の水ストレスを低下させることができ、安定した収量を得ることができる。
【0037】
また、作物の生長点となる作物の上端部を局所的に暖房するために、栽培温室の上部のみに上方から垂れ下がる保温カーテン(144)を設け、該保温カーテン(144)内のみを暖房装置で暖房することにより、ランニングコストを抑えて効率良く生長点を暖房し、成長を促すことができる。しかしながら、作業時は保温カーテン(144)が作業の邪魔になる。そこで、移動台車(138)の昇降部となる防護柵(141)に左右外側へ回動させて突出する状態に切替できるカーテン開き具(145)を設け、保温カーテン(144)が作業の邪魔になるときには、カーテン開き具(145)を外側に突出させ、その状態で昇降台(137)(昇降部)を上昇させることにより、カーテン開き具(145)が保温カーテン(144)を下から持ち上げて移動台車(138)の位置のみを開くことができる。これにより、作業者が保温カーテン(144)を持ち上げる必要がなく、作業が容易になると共に、作業をする部分のみ保温カーテン(144)が持ち上げられるので、周辺の保温効果の低下を抑えることができる。しかも、保温カーテン(144)が持ち上げた状態で順次作業に伴って移動台車(138)を走行させれば、移動台車(138)が位置する部分の保温カーテン(144)のみが持ち上げられた状態となり、昇降台(137)を昇降させる必要がなく栽培条方向に連続的に作業を行える。
【0038】
また、栽培温室の暖房機(148)は、ボイラの燃焼等により加熱作用をする熱交換器(146)と、該熱交換器(146)で加熱された空気を噴出すための温風ファン(147)を備え、加熱する空気として栽培温室外の外気と温室内の内気とに取り入れる空気を切り替える内外気切替シャッター(149)を設けている。そして、栽培温室内の内気の温度を計測して設定値と比較する温度設定器(150)を設け、該温度設定器(150)からの信号により、内気が設定温度よりも低いと、暖房機(148)が内気を取り入れるべく内外気切替シャッター(149)が自動的に作動し、且つ熱交換器(146)の加熱運転が自動的に行われる。逆に、内気が設定温度よりも高いと、暖房機(148)が外気を取り入れるべく内外気切替シャッター(149)が自動的に作動し、且つ熱交換器(146)の加熱運転が自動的に停止する。これにより、内気が設定温度よりも高いときは、暖房機(148)を冷房装置として使用することができ、コストダウン及び省エネルギー化が図れる。従来は、暖房機と別に冷房装置を設ける必要があった。
【0039】
また、暖房機(148)の熱交換器(146)として燃焼装置となるバーナーを使用し、このバーナーの燃焼用燃料を貯留するオイルタンク(151,152)を複数設け、第一のオイルタンク(151)には灯油、LPG等のクリーンな燃料を貯留し、第二のオイルタンク(152)には重油等の燃焼することで有害排気ガスが発生する燃料を貯留する。燃焼装置で燃焼した排気ガスは、煙突(156)を通って栽培温室外へ排気される構成となっているが、煙突(156)に設けた排風切替弁(157)により栽培温室内に取り込むことができる。一方、栽培温室内には内気の二酸化炭素(CO2)の濃度測定器(153)を設け、内気が設定温度よりも低いとき、濃度測定器(153)により内気の二酸化炭素濃度が設定値よりも低いことが制御装置(154)に入力されると、第一のバルブ(155)が開いて第一のオイルタンク(151)内のクリーンな燃料が燃焼装置へ供給され、排風切替弁(157)が自動的に切り替わって燃焼した空気が栽培温室内に取り込まれ、二酸化炭素が栽培温室内に取り込まれる。逆に、濃度測定器(153)により内気の二酸化炭素濃度が設定値よりも低いことが制御装置(154)に入力されると、第二のバルブ(158)が開いて第二のオイルタンク(152)内の有害排気ガスが発生する燃料が燃焼装置へ供給され、排風切替弁(157)が自動的に切り替わって燃焼した空気はそのまま煙突(156)を介して栽培温室外へ排気される。これにより、内気の二酸化炭素濃度が設定値よりも低いときは、クリーンな燃料により比較的きれいな燃焼した空気を二酸化炭素の補充として栽培温室内に供給できるので、従来のように格別に二酸化炭素供給機を設ける必要がなく、コストダウン及び省エネルギー化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】播種機を示す平面図
【図2】播種機を示す側面図
【図3】育苗器供給装置の要部を示す平面図
【図4】育苗器供給装置の要部を示す側面図
【図5】下受板、上受板及び落とし板を示す斜視図
【図6】播種機を示す側面図
【図7】ガイド板を示す正面図
【図8】薬液供給装置を設けた播種機を示す一部断面側面図
【図9】薬液回収タンクを示す断面正面図
【図10】移動台車を示す図
【図11】暖房機を示すブロック図
【図12】暖房機を示すブロック図
【符号の説明】
【0041】
1:播種機、2:育苗器、3:搬送経路、6:床土詰装置、7:播種装置、8:覆土装置、29:灌水装置、68:種子タンク、69:種子繰出ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
育苗器(2)に粉粒体を供給する粉粒体供給機であって、前記育苗器(2)を一方向に搬送する搬送経路(3)を備え、粉粒体を貯留するタンク(68)と、該タンク(68)内の粉粒体を所定量ずつ繰り出して育苗器(2)へ落下させて供給する複数の繰出ローラ(69)を備える粉粒体繰出装置(7)を、該搬送経路(3)の上方に備え、前記複数の繰出ローラ(69)を、互いに反対側に回転する繰出ローラ(69)で構成した粉粒体供給機。
【請求項2】
粉粒体供給機を育苗器(2)に種子を供給して播種する播種機とし、該搬送経路(3)に沿って該搬送経路(3)の上手側から順に育苗器(2)に床土を詰める床土詰装置(6)と育苗器(2)に播種する粉粒体繰出装置となる播種装置(7)と育苗器(2)に覆土する覆土装置(8)を設け、床土詰装置(6)と播種装置(7)の間又は播種装置(7)と覆土装置(8)の間に育苗器(2)に灌水する灌水装置(29)を設け、タンクを、種子を貯留する種子タンク(68)とし、複数の繰出ローラ(69)を、種子タンク(68)内の種子を所定量ずつ繰り出して育苗器(2)へ落下させて供給する複数の種子繰出ローラ(69)とした請求項1に記載の粉粒体供給機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−81815(P2010−81815A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251814(P2008−251814)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】