説明

粒子分析装置およびコンピュータプログラム

【課題】複数の粒子像の確認をより効率的に行うことができる粒子分析装置およびコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】粒子分析装置は、撮像対象となる複数の粒子を含有する試料をフローセルに流し、フローセルに流れる試料中の粒子を撮像し、撮像された粒子像を解析し、解析結果を表示する。粒子分析装置に含まれる情報処理装置の表示部には、粒子径ヒストグラム201と、粒子形状ヒストグラム202と、粒子画像一覧203が表示される。粒子画像一覧203の各粒子像エリアには、円相当径と円形度が当該粒子像エリアの横軸範囲と縦軸範囲にそれぞれ含まれる粒子の画像が表示される。このように粒子画像一覧203が表示されると、どのような値の範囲にどのような形状の粒子が含まれるかを、一見して、容易かつ的確に把握することができるため、粒子形状の確認を効率的に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子像を画像解析することによって、粒子の大きさや形状に関する情報を求める粒子分析装置および粒子像に基づいて粒子の大きさや形状に関する情報を表示する機能をコンピュータに付与するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粒子懸濁液をシースフローセルに流し、該シースフローセルを流れる粒子懸濁液中の粒子を撮像し、撮像された粒子像を解析し、解析結果を表示する粒子分析装置が知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の粒子分析装置では、撮像された粒子像に基づき、粒子の円相当径の頻度分布を示すヒストグラムと、円相当径と円形度の2つのパラメータによる2次元スキャッタグラムと、撮像された各粒子の一括表示画面が表示される。この一括表示画面では、大きさによってクラス分けされた粒子が一覧表示される。
【0004】
また、特許文献2に記載の粒子分析装置では、2次元スキャッタグラム上の領域が指定されると、該領域に属する粒子が一覧表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−136439号公報
【特許文献2】特開2000−180347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
粒子分析においては、測定対象試料から撮像された粒子像を参照することにより、有益な情報が得られることがある。この場合、各粒子像が無作為に並べて表示されるのみでは、粒子像の確認を効率的に行うことは難しい。
【0007】
これに対し、特許文献1に記載の粒子分析装置では、撮像された各粒子像の一括表示画面が表示されるものの、画面上における粒子像の配置には規則性がなかった。
【0008】
また、特許文献2に記載の粒子分析装置では、2次元スキャッタグラム上の領域が指定されると、該領域に属する粒子が一覧表示画面に表示されるが、画面上における粒子像の配置には規則性がなかった。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑みて為されたものであり、複数の粒子像の確認をより効率的に行うことができる粒子分析装置およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、粒子分析装置に関する。この態様に係る粒子分析装置は、撮像対象となる複数の粒子を含有する試料を通過させるフローセルと、前記フローセルを通過する前記試料を撮像する撮像部と、撮像により得られた粒子画像に基づいて、粒子の第1のパラメータに関する第1特徴値と、粒子の第2のパラメータに関する第2特徴値と、を複数の粒子画像について取得する特徴値取得手段と、取得された前記第1および第2特徴値の大きさに応じて複数の粒子画像を配置した粒子分布表示画面を生成する粒子分布表示画面生成手段と、前記粒子分布表示画面生成手段によって生成された前記粒子分布表示画面を出力する出力手段とを備える。
【0011】
本態様に係る粒子分析装置によれば、試料に含まれる粒子画像が、第1および第2の特徴値の大きさに応じて配置された粒子分布表示画面が出力される。これにより、画面上における粒子画像の配置に規則性が生じ、粒子の2つの特徴値と粒子画像との関係を把握しやくすなるため、複数の粒子画像の確認をより効率的に行うことができる。
【0012】
本態様に係る粒子分析装置は、前記第1および第2特徴値の大きさに応じて前記複数の粒子画像を複数の領域に分類する分類手段をさらに備え、前記粒子分布表示画面生成手段は、前記分類手段によって分類された前記領域に応じて前記粒子画像を配置する構成とされ得る。こうすると、粒子画像が領域ごとに配置されるため、粒子の2つの特徴値と粒子画像との関係をさらに把握しやすくなる。
【0013】
この場合、分類された前記粒子画像が複数ある前記領域について、前記複数の粒子画像から所定数の前記粒子画像を表示対象として選択する選択手段をさらに備える構成とされ得る。こうすると、選択された粒子画像のみが表示されるため、各領域を小さくしても、粒子画像が視覚的に確認され易くなる。また、粒子画像の確認が容易であるため、一画面に表示する領域の数を増やすことができ、画面切り替え等の手間を軽減して一度に多くの粒子画像を確認することができる。
【0014】
また、この場合、前記選択手段は、前記複数の粒子画像から1つの前記粒子画像を選択するようにしても良い。
【0015】
また、本態様に係る粒子分析装置において、前記粒子分布表示画面は、分類された前記粒子画像の数を、各領域について表示するよう構成され得る。こうすると、各領域に分類された粒子画像の数についても把握することができる。
【0016】
この場合、前記粒子分布表示画面は、前記粒子画像の数を前記粒子画像の配置と対応付けて表示するよう構成されても良い。こうすると、各領域に分類された粒子画像の数を、一見して容易に把握することができる。
【0017】
また、本態様に係る粒子分析装置において、前記粒子分布表示画面は、前記第1特徴値の大きさと、前記粒子画像の数との関係を示すヒストグラムをさらに表示するよう構成され得る。こうすると、第1特徴値に対する粒子画像の分布をさらに把握することができる。
【0018】
この場合、前記粒子分布表示画面は、前記ヒストグラムを前記粒子画像の配置と対応付けて表示するよう構成されても良い。こうすると、どのような形状の粒子がどのような第1特徴値の範囲に分布しているかを、視覚的に把握することができる。
【0019】
また、本態様に係る粒子分析装置は、前記粒子分布表示画面に表示される前記領域の数に関する情報を設定する設定手段をさらに備え、前記分類手段は、前記設定手段により設定された数の前記領域に前記粒子画像を分類し、前記粒子分布表示画面生成手段は、前記設定手段により設定された数の前記領域を含む前記粒子分布表示画面を生成するよう構成され得る。こうすると、表示したい領域の数に応じて、粒子分布表示画面が表示され、分析の作業性が向上する。
【0020】
また、本態様において、前記第1のパラメータは粒子の径に関し、前記第2のパラメータは粒子の形状に関することが望ましい。こうすると、粒子の形状を的確に把握することができる。
【0021】
本発明の第2の態様は、撮像対象となる複数の粒子を含有する試料を通過させるフローセルと、前記フローセルを通過する前記試料を撮像する撮像部と、を備えた粒子分析装置に用いられるコンピュータプログラムに関する。この態様に係るコンピュータプログラムは、粒子分析装置に、撮像により得られた粒子画像に基づいて、粒子の第1のパラメータに関する第1特徴値と、粒子の第2のパラメータに関する第2特徴値と、を複数の粒子画像について取得する特徴値取得手段と、取得された前記第1および第2特徴値の大きさに応じて複数の粒子画像を配置した粒子分布表示画面を生成する粒子分布表示画面生成手段と、前記粒子分布表示画面生成手段によって生成された前記粒子分布表示画面を出力する出力手段としての機能と、を付与する。
【0022】
本発明の第2の態様に係るコンピュータプログラムにおいても、上記第1の態様と同様の効果が奏される。
【発明の効果】
【0023】
以上のとおり、複数の粒子像の確認をより効率的に行うことができる粒子分析装置およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【0024】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係る粒子分析装置の構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る情報処理装置の構成を示す図である。
【図3】実施形態に係る情報処理装置の表示部に表示される解析結果画面の例示図である。
【図4】実施形態に係る情報処理装置の表示部に表示される粒子分布表示画面の例示図である。
【図5】実施形態に係る表示粒子画像数設定処理のフローチャートを示す図および情報処理装置の表示部に表示される表示粒子画像数受付画面の例示図である。
【図6】実施形態に係る粒子撮像処理および粒子分布画面表示処理のフローチャートを示す図である。
【図7】実施形態に係る粒子分布表示画面生成処理および実施形態の変更例に係る表示処理のフローチャートを示す図である。
【図8】実施形態の変更例に係る粒子分布表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本実施の形態に係る粒子分析装置について、図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態に係る粒子分析装置の構成を示す図である。粒子分析装置は、測定装置1と情報処理装置2を備える。測定装置1は、試料をフローセルに流し、フローセルに流れる試料中の粒子を撮像し、情報処理装置2は、撮像された粒子像を解析し、解析結果を表示する。
【0028】
まず試料は、ダイヤフラムポンプ等の吸引手段(図示せず)により、吸引ピペット11から吸引され、サンプルフィルター12を通り、フローセル15の上部の試料チャージングライン13へ引き込まれる。試料がサンプルフィルター12を通されると、試料中の粗大な粒子やごみが取り除かれる。これにより、流路の狭いフローセル15が詰まらないようになる。また、サンプルフィルター12は、粗大な擬集塊をほぐす効果も有している。
【0029】
試料チャージングライン13に引き込まれた試料は、シースシリンジ14が動作されることにより、フローセル15に導かれる。フローセル15に導かれた試料は、サンプルノズル15aの下方先端から少しずつ押し出される。これと同時に、シース液ボトル16からシース液チャンバー17を介して、シース液がフローセル15に送り込まれる。フローセル15内に導かれた試料は、シース液で取り囲まれ、扁平な試料流に形成される。
【0030】
このように扁平に絞られた試料流に対して、ストロボ18からパルス光が60分の1秒間隔で照射され、試料が含有している粒子の静止画像が、対物レンズ19を介して、約2μ秒ごとにカメラ20によって撮像される。カメラ20から出力される画像信号は、情報処理装置2に入力される。
【0031】
情報処理装置2は、画像信号の受信と並行して、入力された画像信号に基づき個々の粒子画像を取得する。また、情報処理装置2は、取得した個々の粒子画像に基づき、粒子の特徴を示すパラメータ値(円相当径、円形度)を取得して、試料に関する解析結果を表示部に表示する。
【0032】
情報処理装置2は、粒子の特徴として、たとえば、以下に示すパラメータ値を取得する。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
図2は、情報処理装置2の構成を示す図である。
【0036】
情報処理装置2は、パーソナルコンピュータからなっており、本体300と、入力部310と、表示部320から構成されている。本体300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ハードディスク304と、読み出し装置305と、入出力インターフェース306と、画像出力インターフェース307と、通信インターフェース308を有する。
【0037】
CPU301は、ROM302に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM303にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM303は、ROM302およびハードディスク304に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM303は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU301の作業領域としても利用される。
【0038】
ハードディスク304には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU301に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。本実施の形態では、カメラ20から出力された画像信号を受信し、画像信号に基づいて粒子ごとの画像を作成し、粒子画像に基づいて試料の解析を行うためのプログラムや、解析結果を表示部320上に表示を行う表示プログラムが、ハードディスク304にインストールされている。これらプログラムがインストールされることで、後述の解析処理や表示処理が行われる。すなわち、CPU301は、かかるプログラムにより、後述する図5(a)、図6(a)、(b)、図7(a)の処理を実行する機能が付与されている。
【0039】
読出装置305は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体などの外部記憶に記録されたコンピュータプログラムおよびデータを読み出すことができる。これにより、情報処理装置2で実行されるプログラムは、記録媒体などの外部記憶を介して更新可能となっている。
【0040】
入出力インターフェース306には、マウスやキーボードからなる入力部310が接続されており、ユーザが入力部310を使用することにより、情報処理装置2に対する指示が行われる。画像出力インターフェース307は、ディスプレイ等で構成された表示部320に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部320に出力する。表示部320は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また、通信インターフェース308により、カメラ20から出力された画像信号の受信が可能となる。
【0041】
情報処理装置2は、測定装置1から入力される画像信号に基づいて、粒子毎に画像解析を行い、上記表1、表2に示すようなパラメータ値を取得する。さらに、画像処理装置2は、ユーザの指示入力に応じて、解析結果を示す種々の画面を作成し、作成した画面を表示部320に表示する。
【0042】
図3は、情報処理装置2の表示部に表示される解析結果画面の例示図である。
【0043】
同図(a)は、解析結果画面に表示される粒子径ヒストグラム101である。粒子径ヒストグラム101には、図示の如く、測定された試料の個々の粒子について、粒子径を定量化したパラメータ値の分布が表示される。本実施の形態では、粒子径パラメータとして“円相当径”が用いられている。粒子径ヒストグラム101の横軸は、円相当径に応じたレンジに設定され、縦軸の左側と右側は、それぞれ、頻度とその累積を表している。
【0044】
同図(b)は、解析結果画面に表示される粒子形状ヒストグラム102である。粒子形状ヒストグラム102には、図示の如く、測定された試料の個々の粒子について、粒子形状を定量化したパラメータ値の分布が表示される。本実施の形態では、粒子形状パラメータとして“円形度”が用いられている。粒子形状ヒストグラム102の縦軸は、円形度に応じたレンジに設定され、横軸の下側と上側は、それぞれ、頻度とその累積を表している。
【0045】
このように、粒子径ヒストグラム101と粒子形状ヒストグラム102が表示されると、測定された試料の個々の粒子が、それぞれ、どのような円相当径と円形度を有しているかが分かる。
【0046】
同図(c)は、解析結果画面に表示されるスキャッタグラム103である。スキャッタグラム103には、図示の如く、粒子径ヒストグラム101と粒子形状ヒストグラム102の内容が2次元的または3次元的に合わせて表示される。スキャッタグラム103の横軸と縦軸は、それぞれ、粒子径ヒストグラム101の横軸と粒子形状ヒストグラム102の縦軸と同じである。
【0047】
このように、スキャッタグラム103が表示されると、測定された試料の個々の粒子が、どのような円相当径と円形度に分布しているかが分かる。
【0048】
図4は、情報処理装置2の表示部に表示される他の解析結果画面の例示図である。
【0049】
図示の如く、この画面には、粒子径ヒストグラム201と、粒子形状ヒストグラム202と、粒子画像一覧203が併せて表示されている。
【0050】
粒子径ヒストグラム201は、図3(a)の粒子径ヒストグラム101と同様、測定された試料の個々の粒子について、粒子径を定量化したパラメータ値の分布が表示される。本実施の形態では、粒子径パラメータとして“円相当径”が用いられている。粒子径ヒストグラム201の横軸は、円相当径に応じたレンジに設定され、縦軸は頻度を表している。
【0051】
粒子形状ヒストグラム202は、図3(b)の粒子形状ヒストグラム102と同様、測定された試料の個々の粒子について、粒子形状を定量化したパラメータ値の分布が表示される。本実施の形態では、粒子形状パラメータとして“円形度”が用いられている。粒子形状ヒストグラム202の縦軸は、円形度に応じたレンジに設定され、横軸は頻度を表している。
【0052】
粒子画像一覧203の横軸と縦軸は、それぞれ、粒子径ヒストグラム201の横軸(円相当径)と粒子形状ヒストグラム202の縦軸(円形度)に対応している。また、粒子画像一覧203の横軸と縦軸は、それぞれ、所定数の領域に分割されており、これにより、縦横に仕切られた各領域(以下、「粒子像エリア」という)が設定されている。したがって、各粒子像エリアは、横軸と縦軸において一定の範囲を有している。
【0053】
粒子画像一覧203の各粒子像エリアには、円相当径と円形度が当該粒子像エリアの横軸範囲と縦軸範囲にそれぞれ含まれる粒子の画像が表示される。1つの粒子像エリアに複数の粒子画像が存在するときは、各粒子像エリアには、その粒子像エリアの縦軸範囲と横軸範囲の中間に最も近い円相当径と円形度を有する粒子画像が1つ表示される。
【0054】
また、各粒子像エリアの右下隅には、粒子像エリアに含まれる粒子の個数が表示される。粒子像エリアに含まれる粒子が存在しない場合、粒子像エリア204に示すように、その粒子像エリアには粒子画像は表示されず、右下隅に表示される個数は0とされる。このように、粒子像エリアに含まれる粒子が存在しない場合であっても個数を表示することにより、粒子像エリアに含まれる粒子が存在しないために粒子画像が表示されていないのか、何らかの障害により表示処理が中断したために粒子画像が表示されていないのかを区別することが可能になる。なお、粒子画像一覧203の中央付近における粒子画像と粒子数の表示は、便宜上、図示省略されている。
【0055】
なお、本実施の形態では、粒子画像一覧203に表示される粒子画像の個数がユーザにより設定可能である。すなわち、設定された個数に応じて、図4の横軸と縦軸が区分され、粒子画像一覧203上に粒子像エリアが設定される。図4の例示では、縦軸と横軸がそれぞれ11分割されて121個の粒子像エリアが設定され、121個の粒子像を表示可能となっている。縦横の分割数が減少すると、各粒子像の縦軸範囲と横軸範囲が広くなり、一つの粒子像エリアに表示される粒子画像を大きくすることができる。
【0056】
図5(a)は、情報処理装置2内で行われる表示粒子画像数設定処理を示すフローチャートである。
【0057】
この処理は、ユーザが情報処理装置2に対して、図4で示した粒子画像一覧203に表示される粒子画像数を設定する指示を入力した場合に開始される。ユーザにより、粒子画像数を設定する指示がなされると、粒子画像一覧203に表示する粒子画像数を設定するための表示粒子画像数の受付画面が、情報処理装置2の表示部320に表示される(S11)。
【0058】
図5(b)は、表示粒子画像数受付画面400の例示図である。
【0059】
図示の如く、表示粒子画像数受付画面400には、設定領域401、402と、OKボタン403が含まれている。設定領域401では、縦方向および横方向に表示される粒子画像の個数が入力される。これにより、粒子画像一覧203に表示される粒子像エリア数が決まる。設定領域402では、各粒子像エリアに表示される粒子画像の大きさが、大、中、小の中から選択される。OKボタン403が押下されると、表示粒子画像数と粒子画像の大きさが、情報処理装置2に受け付けられる。
【0060】
図5(a)に戻って、図5(b)で設定した内容が情報処理装置2に受け付けられると(S12:YES)、この設定内容が情報処理装置2のハードディスク304に記憶される(S13)。このようにして、表示粒子画像数設定処理が終了する。
【0061】
次に、図4に示す画面(粒子分布表示画面)を表示する際の処理について説明する。
【0062】
なお、かかる表示処理に先立って、試料測定の際に、図6(a)に示す処理が行われる。すなわち、カメラ20で粒子画像が撮像されると、カメラ20から出力される画像信号が、情報処理装置2により通信インターフェース308を介して受信される(S21)。受信された画像信号は、所定の画像加工が施された後、個々の粒子ごとに切り出され、情報処理装置2内のハードディスク304に格納される(S22)。さらに、取得された各粒子画像に基づき、粒子径と粒子形状に関する各種パラメータ値(円相当径と円形度を含む)が算出され、ハードディスク304に格納される(S23)。
【0063】
しかる後、ユーザにより、粒子分布表示画面の表示指令が情報処理装置2に入力されると、情報処理装置2において、図6(b)に示す処理が実行される。
【0064】
まず、S31において、表示対象試料のパラメータ値(円相当径、円形度)がハードディスク304から読み出され、円相当径と円形度のヒストグラムが生成される。次に、図5(a)の処理により設定された表示粒子画像数に基づいて、図4の粒子画像一覧203に設定される各粒子像エリアの横軸範囲と縦軸範囲が決定される(S32)。
【0065】
しかる後、各粒子像エリアの横軸範囲および縦軸範囲と、S31で読み出した各粒子のパラメータ値(円相当径、円形度)とが比較され、該当する粒子像エリアに、各粒子の粒子画像が分類される。各粒子画像は、粒子像エリア毎に、ハードディスク304に記憶される(S33)。各粒子画像は、たとえば、粒子像エリアごとに作成されたフォルダに記憶されることにより、または、粒子画像のファイル名に粒子像エリアに対応するファイル名が付されることにより、分類結果が識別可能となるよう記憶される。
【0066】
続いて、分類された粒子画像の中から、各粒子像エリアに表示される粒子画像が1つずつ選択される。選択された粒子画像は、図5(a)の処理で設定された表示粒子画像数と粒子画像の大きさに応じた倍率で縮小されて、ハードディスク304に記憶される(S34)。すなわち、図4の粒子画像一覧203の表示領域の大きさと表示粒子画像数から、1つの粒子像エリアの縦横の幅が決定される。この縦横の幅の中に粒子画像が収まるよう、各粒子像エリアに表示される粒子画像が縮小される。このとき、粒子画像は、さらに、図5(b)の設定領域402で設定された大きさで表示されるように縮小される。
【0067】
なお、S34では、上述したように、粒子像エリアの縦軸範囲と横軸範囲の中間値に最も近い円相当径と円形度を有する粒子画像が、クラスに属する粒子画像の中から、表示される粒子画像として選択される。
【0068】
こうして分類と縮小画像の作成が行われた後、S35において、“粒子分布表示画面生成処理”が行われ、この処理にて作成された粒子分布表示画面が、情報処理装置2の表示部320に表示される。このようにして、粒子分布画面の表示処理が終了する。
【0069】
図7(a)は、図6(b)のS35にて実行される“粒子分布表示画面生成処理”の詳細を示すフローチャートである。
【0070】
処理が開始されると、図6(a)のS34で記憶された各粒子像エリアに対応する縮小画像が読み出される(S41)。また、図6(b)のS34で分類された粒子画像が粒子像エリア毎にカウントされ、各粒子像エリアに属する粒子画像の数が取得される(S42)。続いて、図4の粒子画像一覧203の各粒子像エリア内に、縮小画像と粒子画像の数が配置される(S43)。さらに、図4の画面中の粒子径ヒストグラム201と粒子形状ヒストグラム202に、それぞれ、図6(b)のS31で生成された円相当径と円形度のヒストグラムが配置される(S44)。こうして、“粒子分布表示画面生成処理”が終了する。
【0071】
以上、本実施の形態によれば、測定試料に含まれる粒子の粒子像が、粒子径と円形度に応じて規則的に分布して表示されるため、ユーザは、粒子の径および円形度と粒子画像との関係を把握しやすくなる。よって、粒子形状の確認を効率的に行うことができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、1つの粒子像エリアに該当する粒子画像が複数ある場合に、代表的な1つの粒子画像のみが選択されて表示されるため、各粒子像エリアの表示領域が小さい場合にも、粒子画像が比較的大きく表示され得る。このため、粒子の形状が視覚的に確認され易くなる。また、このように、各粒子像エリアに大きく粒子像を表示できるため、一画面に含まれる粒子像エリアの数を増やして各粒子像エリアが小さくなっても、表示される粒子画像が極端に小さくなることはない。よって、一画面に含め得る粒子像エリアの数を多くすることができ、画面切り替え等の手間を掛けずに、一度に多くの粒子像を確認することができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態ついて説明したが、本発明は、上記実施形態に制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も上記以外に種々の変更が可能である。
【0074】
たとえば、上記実施の形態において、図4の粒子画像一覧203の粒子像エリア内に表示される粒子の数が省略されても良い。この場合、たとえば、粒子像エリア上に操作カーソルが重ねられたときにのみ、粒子の数がポップアップ表示されるようにしても良い。また、粒子の数が、粒子画像一覧203と分離して表示されても良い。この場合、たとえば、粒子画像一覧203とは別に、粒子数一覧が設けられても良い。
【0075】
また、図8に示すように、図4の粒子分布表示画面から、粒子径ヒストグラム201と粒子形状ヒストグラム202が省略されても良い。こうすると、粒子画像一覧203中の各粒子像エリアが大きくなるため、各粒子像が見易くなる。この場合、粒子径ヒストグラムと粒子形状ヒストグラムが、粒子画像一覧203と分離して表示されても良い。
【0076】
また、上記実施の形態では、図4の粒子画像一覧203の各粒子像エリアに表示される粒子画像は1つとされたが、2つ以上であっても良い。2つ目以降の粒子画像の表示は、たとえば、粒子像エリアについて粒子画像が選択されるときの基準を用い、基準への合致度が高い粒子画像を順次選択し、選択した粒子画像を表示するようにしても良い。
【0077】
また、上記実施の形態において、粒子径ヒストグラム101、201に表示される粒子径パラメータは、円相当径以外のパラメータであっても良く、粒子形状ヒストグラム102、202に表示される粒子形状パラメータは、円形度以外のパラメータであっても良い。すなわち、図3の縦軸と横軸には、円形度と円相当径以外のパラメータが設定されても良い。また、上記表1、表2に示したパラメータの中から、適宜、表示に用いられるパラメータが選択できるようにしても良い。
【0078】
また、上記実施の形態では、図6(a)の粒子撮像処理において、測定対象試料の全ての粒子について分類が行われた後、各粒子像エリアについて粒子画像が1つ選択されたが、分類の際に、全ての粒子像エリアについて所定数の粒子画像が該当したときに分類が停止されるようにしても良い。こうすると、分類の処理が迅速に行われ得る。
【0079】
また、上記実施の形態では、各粒子像エリアに表示される粒子画像として、その粒子像エリアの縦軸範囲と横軸範囲の中間値に最も近い円相当径と円形度を有する粒子画像が選択された。しかしながら、これに限らず、その粒子像エリアの縦軸範囲と横軸範囲の最大または最小の円相当径と円形度を有する粒子画像を、粒子像エリアに表示するようにしても良い。また、この粒子像エリアに対応するクラスに含まれる粒子画像の中で、最初または最後に撮像された粒子画像を、粒子像エリアに表示するようにしても良い。
【0080】
また、上記実施の形態において、粒子画像一覧203の粒子像エリアが押下(たとえば、クリック)されると、この粒子像エリアに表示される粒子画像が次々に入れ替わるよう、粒子画像一覧203が構成されても良い。こうすると、既に粒子像エリアに表示されている粒子画像以外の粒子画像を容易に確認することができる。また、粒子画像一覧203の粒子像エリアが所定の手順で押下(たとえば、ダブルクリック)されると、この粒子像エリアに該当する粒子の一覧画面がさらに表示されるよう、粒子画像一覧203が構成されても良い。
【0081】
図7(b)は、この場合の処理を示すフローチャートである。S51では、表示中の粒子画像一覧203に含まれる粒子像エリアのうち一つがワンクリックされたかが判別される。S51における判別がNOであれば、S53に進む。他方、S51において、何れかの粒子像エリアがワンクリックされたと判定されると(S51:YES)、当該粒子像エリアに該当する粒子画像のうち、次の順位の粒子画像の縮小画像が作成され、作成された縮小画像が、それまで表示されていた縮小画像に替えて、当該粒子像エリアに表示される(S52)。ここで、粒子画像の表示順は、たとえば、当該粒子像エリアの縦軸範囲と横軸範囲の中間値に対する各粒子画像の円形度と円相当径の値の近さによって決められる。
【0082】
S53では、表示中の粒子画像一覧203に含まれる粒子像エリアのうち一つがダブルクリックされたかが判別される。S53における判別がNOであれば、本ルーチンの処理が終了し、S51に戻る。他方、S53において、何れかの粒子像エリアがダブルクリックされたと判定されると(S53:YES)、当該粒子像エリアに該当する全ての粒子画像の縮小画像が作成され、作成された縮小画像が一覧表示される(S54)。かかる一覧表示は、ユーザにより、粒子分布表示画面への復帰操作が入力されるまで行われる(S55)。その後、ユーザにより復帰操作が入力されると(S55:YES)、図4に示す粒子分布表示画面が再び表示される(S56)。
【0083】
こうすると、既に粒子像エリアに表示されている粒子画像以外の粒子画像を、一覧で確認することができる。
【0084】
なお、S54で表示される一覧画面上の各粒子画像は、当該画面に含まれる粒子画像の数に応じた大きさで表示される。あるいは、予め決められた個数の粒子画像が所定の大きさで表示され、画面に入り切らない粒子画像は、ユーザによるスクロール操作によって、表示させ得るようにしても良い。また、S54で表示される一覧画面は、別画面として表示されても良く、あるいは、図4の粒子分布表示画面に重ねて表示されても良い。
【0085】
また、上記実施の形態では、図5(b)の設定領域401において、縦方向および横方向に表示される粒子画像の個数が一律に設定された。しかしながら、これに限らず、縦と横に表示される粒子画像の個数が個別に設定されるようにしても良く、または、粒子画像一覧203内の粒子像エリア数の合計が設定されるようにしても良い。
【0086】
また、上記実施の形態では、ステップS33において粒子画像が分類され、記憶されている。しかしながら、これに限らず、粒子画像を分類して記憶することなく、ステップS43において、縮小粒子画像を、円相当径、円形度に応じて粒子分布表示画面上に配置しても良い。
【0087】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 … 測定装置
2 … 情報処理装置
15 … フローセル
20 … カメラ
301 … CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象となる複数の粒子を含有する試料を通過させるフローセルと、
前記フローセルを通過する前記試料を撮像する撮像部と、
撮像により得られた粒子画像に基づいて、粒子の第1のパラメータに関する第1特徴値と、粒子の第2のパラメータに関する第2特徴値と、を複数の粒子画像について取得する特徴値取得手段と、
取得された前記第1および第2特徴値の大きさに応じて複数の粒子画像を配置した粒子分布表示画面を生成する粒子分布表示画面生成手段と、
前記粒子分布表示画面生成手段によって生成された前記粒子分布表示画面を出力する出力手段と、
を備える粒子分析装置。
【請求項2】
前記第1および第2特徴値の大きさに応じて前記複数の粒子画像を複数の領域に分類する分類手段をさらに備え、
前記粒子分布表示画面生成手段は、前記分類手段によって分類された前記領域に応じて前記粒子画像を配置する、
請求項1記載の粒子分析装置。
【請求項3】
分類された前記粒子画像が複数ある前記領域について、前記複数の粒子画像から所定数の前記粒子画像を表示対象として選択する選択手段をさらに備える、
請求項2記載の粒子分析装置。
【請求項4】
前記選択手段は、前記複数の粒子画像から1つの前記粒子画像を選択する、
請求項3記載の粒子分析装置。
【請求項5】
前記粒子分布表示画面は、分類された前記粒子画像の数を、各領域について表示する、
請求項2ないし4の何れか一項に記載の粒子分析装置。
【請求項6】
前記粒子分布表示画面は、前記粒子画像の数を前記粒子画像の配置と対応付けて表示する、
請求項5記載の粒子分析装置。
【請求項7】
前記粒子分布表示画面は、前記第1特徴値の大きさと、前記粒子画像の数との関係を示すヒストグラムをさらに表示する、
請求項1ないし6の何れか一項に記載の粒子分析装置。
【請求項8】
前記粒子分布表示画面は、前記ヒストグラムを前記粒子画像の配置と対応付けて表示する、
請求項7記載の粒子分析装置。
【請求項9】
前記粒子分布表示画面に表示される前記領域の数に関する情報を設定する設定手段をさらに備え、
前記分類手段は、前記設定手段により設定された数の前記領域に前記粒子画像を分類し、
前記粒子分布表示画面生成手段は、前記設定手段により設定された数の前記領域を含む前記粒子分布表示画面を生成する、
請求項2ないし8の何れか一項に記載の粒子分析装置。
【請求項10】
前記第1のパラメータは粒子の径に関し、前記第2のパラメータは粒子の形状に関する、
請求項1ないし9の何れか一項に記載の粒子分析装置。
【請求項11】
撮像対象となる複数の粒子を含有する試料を通過させるフローセルと、前記フローセルを通過する前記試料を撮像する撮像部と、を備えた粒子分析装置に用いられるコンピュータプログラムであって、
粒子分析装置に、
撮像により得られた粒子画像に基づいて、粒子の第1のパラメータに関する第1特徴値と、粒子の第2のパラメータに関する第2特徴値と、を複数の粒子画像について取得する特徴値取得手段と、
取得された前記第1および第2特徴値の大きさに応じて複数の粒子画像を配置した粒子分布表示画面を生成する粒子分布表示画面生成手段と、
前記粒子分布表示画面生成手段によって生成された前記粒子分布表示画面を出力する出力手段としての機能と、
を付与するコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−75341(P2011−75341A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225631(P2009−225631)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)